JP2006182704A - アポタンパク質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属イオンなどの補因子を有するタンパク質から、酸を添加することなく、直接且つ連続的にアポタンパク質を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】酸性条件下で解離する補因子を有するタンパク質からアポタンパク質を製造する方法において、バイポーラ膜とカチオン交換膜とが交互に配列され、該バイポーラ膜の陽イオン交換層と該カチオン膜とにより仕切られた酸室と、該カチオン交換膜と該バイポーラ膜の陰イオン交換層とにより仕切られた塩基室とを有する電気透析装置を使用し、前記タンパク質を、前記電気透析装置の酸室に供給しての電気透析により、該タンパク質から前記補因子を分離してアポタンパク質を生成させ、且つ分離された補因子を塩基室に移動させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、バイポーラ膜を用いた電気透析により、補因子が酸性条件下で解離するタンパク質からアポタンパク質を製造する方法に関する。
ラクトフェリンは、分子量約80,000の鉄結合性の糖タンパク質であり、1分子中に2個の鉄が結合している。ラクトフェリンは、多くの哺乳動物の体液中、例えば、乳汁中に存在する。特に、母乳の初乳には、5〜10g/L含まれ、含有されている全タンパク質の30%〜70%を占めることが知られている。ラクトフェリンは、乳児の健康維持および発育に重要なタンパク質であると共に、近年、抗菌作用および抗バクテリア作用を有するラクトフェリンは、一般に、初乳、常乳、チーズホエイ(チーズ製造時に生じる残漆)などから抽出される(例えば、非特許文献1および2)。
例えば、非特許文献1には、ラクトフェリンがカチオン性である性質を利用して、ホエーをカチオン交換樹脂と接触させてカチオン交換樹脂にラクトフェリンを吸着させ、この樹脂を高濃度塩類溶液で洗浄してラクトフェリンを脱離させ、次いでこのラクトフェリンを含む脱離液を限外濾過により脱塩して、ラクトフェリン濃縮物を得る方法が記載されている。その他、ラクトフェリン濃縮物を得る方法として、陽イオン交換性セルロース膜を用いた単純拡散法(非特許文献3)や電気泳動による分離法(非特許文献3)、アフィニティークロマトグラフによる分離方法(非特許文献4)、キャピラリー電気泳動による分離方法(非特許文献6)などが知られている。
抽出されたラクトフェリンには、一般的に20〜30%の鉄が結合している。この鉄を除去したアポラクトフェリンは、静菌作用が向上することが知られている。これは、微生物が生育に必要とする鉄分がアポラクトフェリンのキレート作用で奪われる為に、その増殖が制限され、従ってその生育に際して鉄分を必要とする微生物に対して静菌作用が有効に発現するものと考えられる。
富田守、眼CNews21、1998年、247頁 富田守、Foods Food Ingredients J. Jpn, 181巻、1999年、33q41頁 Clovis X. ChiuおよびMark R. Etzel, Journal of Food Science、62巻、5号、1997年、996−1001頁 Hurly WLら、J Dairy Sci、76巻、1993年、377頁 M. K. WalshおよびS. H .Nam、Prep. Biochem. Biotechnol. 31巻、3号、2001年、229−240頁 Peter Riechelら、Journal of Chromatography A、817巻、1998年、187−193頁
アポラクトフェリンは、一般にバッチ法で製造され、例えば、ホエーなどから抽出されたラクトフェリン含有液に、塩酸やクエン酸などの酸を添加してPHを2程度に調整し、鉄分を解離させることによりアポラクトフェリンが製造されている。しかし、解離した鉄とアポラクトフェリンが共存しているかぎり、ラクトフェリンの抽出段階で再結合する為、効率的にアポラクトフェリンを得ることが難しかった。また、添加した酸を構成するアニオンが不純物となりアポラクトフェリンの精製に障害となりうる。他の方法として、クエン酸溶液に対してラクトフェリンの透析を行う方法やエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤と接触させる方法などあるが、いずれも効率的なアポラクトフェリンの製造方法とはいえない。
従って、本発明の目的は、金属イオンなどの補因子を有するタンパク質から、酸を添加することなく、直接且つ連続的にアポタンパク質を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の技術課題を解決するべく鋭意研究した結果、バイポーラ膜を用いた電気透析装置を用いて、酸性条件下で解離する補因子を有するタンパク質を電気透析処理することにより、上記目的を達成できること見出し、本発明を提供するに到った。
本発明によれば、酸性条件下で解離する補因子を有するタンパク質からアポタンパク質を製造する方法において、
バイポーラ膜とカチオン交換膜とが交互に配列され、該バイポーラ膜の陽イオン交換層と該カチオン膜とにより仕切られた酸室と、該カチオン交換膜と該バイポーラ膜の陰イオン交換層とにより仕切られた塩基室とを有する電気透析装置を使用し、
前記タンパク質を、前記電気透析装置の酸室に供給しての電気透析により、該タンパク質から前記補因子を分離してアポタンパク質を生成させ、且つ分離された補因子を塩基室に移動させることを特徴とするアポタンパク質の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
(1)前記電気透析装置において、前記塩基室は、一価イオン選択透過性カチオン交換膜により2室に分割されていること、
(2)前記タンパク質がラクトフェリンであり、補因子が金属イオンであること、
が好ましい。
本発明によれば、バイポーラ膜を用いた電気透析により、酸室でタンパク質から補因子が分離されてアポタンパク質が生成するが、分離した補因子は、塩基室に移動するため、生成したアポタンパク質と補因子との再結合が有効に抑制され、効率よく、アポタンパク質を製造することができる。
また、本発明においては、補因子が移動する塩基室を、一価イオン選択透過性カチオン交換膜により2室に分割しておくことにより、補因子である多価金属イオンとバイポーラ膜から発生した水酸化物イオンとの反応による水酸化物の発生を有効に抑制することができ、水酸化物の析出による膜の目詰まりなどが防止され、連続的に長期間にわたって電気透析によるアポタンク質の製造を実行することができる。
(補因子を有するタンパク質)
本発明において、アポタンパク質の製造原料として用いる補因子を有するタンパク質とは、酸性条件下で補因子を解離する性質を有するタンパク質(酵素を含む)であり、例えば、ヘム類、アミラーゼ類、ヘキソキナーゼ類、金属プロテアーゼ類等を例示することができる。更に具体的には、ラクトフェリン、トランスフェリン、フェリチン、卵由来タンパク鉄、ヘモグロビン、ミオグロビン、シトクロームなどが挙げられる。
また、補因子としては、補欠分子族、補酵素、金属イオンが挙げられ、補欠分子族としては、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ヘム、フラビンモノヌクレオチド(FMN)など、補酵素としては、チアミン2リン酸、ピリドキサルリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンアイヌクレオチドリン酸(NADP)、補酵素A (CoA)など、金属イオンとしては、鉄、銅、マンガン、亜鉛、コバルト、バナジウム、カルシウムなどが挙げられる。
尚、ラクトフェリンの場合、鉄が一般的である。
(電気透析装置)
図1には、本発明に用いられる電気透析装置の模式図を示し、図2には、図1に示す構造を有し、バイポーラ膜およびカチオン交換膜で構成される繰返単位が最小である最もシンプルな単一のセル構造を有する電気透析装置の概略図を示した。
本発明では、図1に示す構造の電気透析装置を用いての電気透析により、上記のタンパク質からアポタンパク質を製造するわけであるが、この電気透析装置において、陽極15と陰極16との間に、バイポーラ膜(B)、カチオン交換膜(C)の2種類が交互に配列され、酸室11、塩基室12の2室が交互に形成されている。即ち、このような構造は、陽極−B−(C−B−)n−陰極で示される。ここで、バイポーラ膜およびカチオン交換膜(C)で構成される最小の繰返単位をセルと称し、nはセルの繰返積層数である。
このような装置において、バイポーラ膜(B)は、陰イオン交換層と陽イオン交換層とを有するものであるが、このようなバイポーラ膜(B)は、その陰イオン交換層を陽極15側に、陽イオン交換層側を陰極16側に向けて使用される。従って、酸室11は、バイポーラ膜(B)の陽イオン交換層とカチオン交換膜(C)とにより仕切られており、塩基室12は、バイポーラ膜(B)の陽イオン交換層とカチオン交換膜(C)とにより仕切られている。また、陽極15が配置されている正極室13は、バイポーラ膜(B)により酸室11と仕切られており、陰極16が配置されている負極室14は、バイポーラ膜(B)によって塩基室12と仕切られている。
このような構造の電気透析装置は、例えば、装置ハウジングの内部に、各室を仕切るための室枠を形成し、この室枠の中央部に切欠部を設け、室枠の切欠部に、上述したバイポーラ膜(B)及びとカチオン交換膜(C)を交互に配列し、室枠を両端より締め付けることにより、所謂フィルタープレス型の構造とすることにより形成することができる。各室には、液供給口および液排出口が設けられ、各液供給口、液排出口は必要に応じて枝管を経由して主管に接続される。また、各室枠には、室枠の厚みを均一に維持すると共に、供給された液の流れを均一にするための配流作用を有するスペーサーを設けるのが一般的である。また、酸室11、塩基室12のそれぞれに供給する液の外部タンクを設け、それぞれの室と外部タンクとの間で液を循環しながら電気透析を行うように構成されていることが好ましい。
(電極)
上記のような電気透析装置の電極は、公知のものが何ら制限なく使用できる。例えば、陽極15としては、白金、チタン/白金、カーボン、ニッケル、ルテニウム/チタン、イリジウム/チタンなどがよく使用されている。また、陰極16としては、鉄、ニッケル、白金、チタン/白金、カーボン、ステンレス鋼などがよく使用される。更に、電極の構造も公知の構造が特に制限なく採用される。一般的な構造としては、メッシュ状、格子状等が挙げられる。
(バイポーラ膜)
バイポーラ膜(B)は、カチオン交換膜とアニオン交換膜とが張り合わさった構造をした複合イオン交換膜である。このようなバイポーラ膜(B)としては、特に制限されず公知の膜を使用することができる。その製造方法としては、次のようなものが知られている。
例えば、カチオン交換膜とアニオン交換膜とをポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り合わせ硬化接着する方法(特公昭32−3962号公報)、カチオン交換膜とアニオン交換膜とをイオン交換性接着剤で接着させる方法(特公昭34−3961号公報)、カチオン交換膜とアニオン交換膜とを微粉のイオン交換樹脂、アニオンまたはカチオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物を塗布し圧着させる方法(特公昭35−14531号公報)、カチオン交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物とからなる糊状物質を塗布し、これに放射線照射することによって製造する方法(特公昭38−16633号公報)、アニオン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着させた後、電離性放射線を照射架橋させる方法(特公昭51−4113号公報)、イオン交換膜の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−37190号公報)、ポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニルベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外して残りの部分にクロルメチル化、次いでアミノ化処理する方法(米国特許3562139号明細書)、またアニオン交換膜とカチオン交換膜との界面を無機化合物で処理し、両膜を接合する方法(特開昭59−47235号公報)などである。本発明で用いるバイポーラ膜(B)は、これらの何れの方法により製造されていてもよい。
(カチオン交換膜)
カチオン交換膜(C)としては、公知のカチオン交換膜が何等制限されることなく使用される。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基を有するもの、さらにこれらのイオン交換基の複数種類が混在したカチオン交換膜を使用できる。また、カチオン交換膜は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、フッ素系のもの、材料・製造方法に由来するカチオン交換膜の種類、型式などの別なく如何なるものであってもよい。さらに、2N−食塩水溶液を5A/dmの電流密度で電気透析した時の電流効率が70%以上の実質的にカチオン交換膜として機能するものであれば、一般に両性イオン交換膜と称されるものであっても本発明のカチオン交換膜として使用できる。
(電気透析)
本発明においては、前述した補因子を有するタンパク質の溶液を酸室11に供給して電気透析を行うことにより、酸室11に補因子が除去されたアポタンパク質が生成する。この際、タンパク質から分離した補因子は、カチオン交換膜(C)を透過して塩基室12へ移動する。従って、生成したアポタンパク質と補因子との再結合が有効に抑制されるため、効率よく、アポタンパク質を製造することができる。
本発明において、電気透析時の各種液の温度は、通常、5〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲であることが好適である。また、電流密度は、特に制限を受けないが、一般には、0.1〜30A/dm、特に、0.5〜10A/dmの範囲にあるのがよい。
かかる電機透析によるアポタンパク質の製造原理を、鉄を補因子とするラクトフェリンを用いた場合を例にとって説明する。
即ち、図2を参照して、正極室13及び負極室には、希アルカリ水溶液(例えば0.001モル/LのNaOH水溶液)が循環供給されており、塩基室12には、NaCl水溶液などの電解質塩水溶液が循環供給されており、この酸室11に原料の鉄含有ラクトフェリン溶液を供給して電気透析が行われる。尚、酸室11にも、必要により、塩基室12と同様、電解質塩水溶液が循環供給される。
電極間に電気を流して電気透析を開始すると、バイポーラ膜(B)から酸室11に水素イオンが発生し、同時に塩基室12に水酸化物イオンが発生する。即ち、酸室11に水素イオンが生成するため、系外から酸を添加することなく、鉄含有ラクトフェリンが、酸性条件下に置かれ、その結果、ラクトフェリンから鉄が解離し、アポラクトフェリンが生成する。
一方、解離した鉄は、カチオンであるためカチオン交換膜を透過して隣室の塩基室12に移動する。また、ラクトフェリンは、鉄同様、電気泳動で陰極側へ移動するが、ラクトフェリンの分子量(約80,000)に比べカチオン交換膜(C)の分画分子量は(数十から数千)と小さく、カチオン交換膜を透過することができない。従って、鉄のみがラクトフェリン及び生成したアポラクトフェリンと分離して塩基室へ移行することとなり、アポラクトフェリンと鉄との再結合を有効に抑制し、効率よくアポラクトフェリンを製造することが可能となる。
また、ラクトフェリンのようなカチオン性タンパク質を処理する際、カチオン性タンパク質がカチオン交換膜(C)に吸着し有機汚染を生じる可能性がある。その場合、固定荷電と反対の荷電を有する層や電気的中性な親水化層をカチオン交換膜(C)の表面に形成させておくことにより、このような有機汚染を回避し、長時間にわたって、安定に電気透析を実行することができる。
(一価イオン選択透過性カチオン交換膜を用いた電気透析方法)
ところで、上述した図1或いは図2に示されている構造の電気透析装置を用いて電気透析を行うと、タンパク質が有する補因子が多価金属イオンの場合、補因子がカチオン交換膜(C)を透過して塩基室12へ移動した際、バイポーラ膜(B)から発生した水酸化物イオンと反応して水酸化物を形成し、塩基室に析出する。このような析出物は、塩基室12の溶液流路を閉塞したり、バイポーラ膜(B)表面に付着して膜のイオン透過性を低下させる原因となる。このような塩基室における多価金属イオンの水酸化物の析出を抑制するため、一価イオン選択透過性カチオン交換膜を用いて、塩基室を2室に分割する方法が有効である。
図3には、このような一価イオン選択透過性イオン交換膜を用いた電気透析装置の代表的な態様の概略図を示し、図4には、図3に示されている装置で単一セル構造を有するものの概略図を示した。
図3に示す装置においては、陽極15と陰極16との間にバイポーラ膜(B)、一価イオン選択透過性カチオン交換膜(CX)、カチオン交換膜(C)の3種類を順に配列し、酸室21、補因子濃縮室22、塩基室23の3室が順に形成されており、陽極15が設けられている正極室13はバイポーラ膜(B)で酸室21と仕切られ、陰極16が設けられている負極室14は、バイポーラ膜(B)により塩基室23と仕切られている。即ち、この電気透析装置の膜構造は、陽極−(B−C−CX)n−B−陰極で表すことができる。従って、図4の単セル構造の装置では、n=1となっている。
即ち、図3或いは図4で示される装置は、図1或いは図2における塩基室12が一価イオン選択透過性カチオン交換膜(CX)で2室(補因子濃縮室22と塩基室23)に分割された構造となっている。
図4を参照して、上記のような装置を用いて電気透析を行うと、多価金属イオンは、カチオン交換膜Cを透過して補因子濃縮室22へ移動する。しかし、多価金属イオンは、一価イオン選択透過性カチオン交換膜(CX)を透過できない為、補因子濃縮室22に残留し、補因子が濃縮される。従って、多価金属イオンが塩基室23に移動して水酸化物を析出することが有効に防止される。
尚、電気透析に際しては、補因子濃縮室22に、特に制限されるものではないが、NaClやKClのような1価カチオンを含む塩溶液を予め入れておくとよい。電気透析を行うと1価カチオンは、一価イオン選択透過性カチオン交換膜CXを透過して塩基室23へ移動し、バイポーラ膜から発生した水酸化物イオンとともにアルカリ溶液となる。その結果、多価金属イオンの塩基室への混入を極力防ぐことができ、水酸化物の析出を抑制することができ安定した電気透析を行うことができる。
(一価イオン選択透過性カチオン交換膜)
本発明において、前述した一価イオン選択透過性カチオン交換膜(CX)としては、かかる性状を有するカチオン交換膜として公知のものが何等制限されることなく使用される。例えば、特開昭62−205135号公報等に記載されるような、第4級アンモニウム塩基と3個以上のビニルベンジル基を有するビニル化合物との重合体を、陽イオン交換膜の少なくとも一方の表面に存在させた膜を用いるのが好適である。ここで、3個以上のビニルベンジル基を有するビニル化合物としては、例えば、メチルアミンやエチルアミン等の一級アミンと3個以上のビニルベンジルハライドとを反応させた化合物等を用いることができる。こうした一価イオン選択透過性カチオン交換膜は、一価陽イオンとして代表的なナトリウムイオンと二価陽イオンとして代表的なカルシウムイオンとの選択透過係数(PCa Na)が0.01〜0.2であるのが好適である。
本発明を更に具体的に説明するために下記に実施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、バイポーラ膜、カチオン交換膜及び一価イオン選択透過性カチオン交換膜として、以下のものを使用した。
(1)バイポーラ膜:(株)アストム製、ネオセプタBP−1E
(2)カチオン交換膜:(株)アストム製、ネオセプタCM−1
(3)一価イオン選択透過性カチオン交換膜:(株)アストム製、ネオセプタCMS(PCa Na=0.02)
(実施例1)
電気透析セルとして、図2に示すように、1対の電極間にバイポーラ膜、カチオン交換膜、バイポーラ膜の順に配列したアクリル樹脂製の電気透析セルを使用した。
酸室に100mg/mLのホロラクトフェリン(100%鉄結合)および0.0001MのNaCl混合溶液、塩基室に0.001MのNaCl水溶液を投入した。また、陽極室と陰極室には、0.001MのNaOHを投入した。次いで、各室を120rpmで攪拌しながら、10mA/cmの定電流で、室温中、20分間、電気透析した。電気透析終了後、酸室中の溶液を採取し、ラクトフェリンに結合した鉄量を470nmの吸光度で測定した。その結果、ラクトフェリンの鉄脱度は、37%であった。
(実施例2)
電気透析セルとして、図4に示すように、1対の電極間にバイポーラ膜、カチオン交換膜、一価イオン選択透過性イオン交換膜、バイポーラ膜の順に配列したアクリル樹脂製の電気透析セルを使用した。
酸室に100mg/mLのホロラクトフェリン(100%鉄結合)および0.0001MのNaCl混合溶液、補因子濃縮室および塩基室に0.001MのNaCl水溶液を投入した。また、陽極室と陰極室には、0.001MのNaOHを投入した。次いで、各室を120rpmで攪拌しながら、10mA/cmの定電流で、室温中、20分間、電気透析した。電気透析終了後、酸室中の溶液を採取し、ラクトフェリンに結合した鉄量を470nmの吸光度で測定した。その結果、ラクトフェリンの鉄脱度は、39%であった。また塩基室には、鉄由来の水酸化物の析出は認められなかった。
本発明に用いられる電気透析装置の模式図。 図1に示す構造を有し、バイポーラ膜およびカチオン交換膜で構成される繰返単位が最小である最もシンプルな単一のセル構造を有する電気透析装置の概略図。 一価イオン選択透過性イオン交換膜を用いた電気透析装置の代表的な態様の概略図。 図3に示されている装置で単一セル構造を有するものの概略図。
符号の説明
B:バイポーラ膜
C:カチオン交換膜
CX:一価イオン選択透過性カチオン交換膜
11:酸室
12:塩基室
13:陽極室
14:陰極室
15:陽極
16:陰極
21:酸室
22:補因子濃縮室
23:塩基室

Claims (3)

  1. 酸性条件下で解離する補因子を有するタンパク質からアポタンパク質を製造する方法において、
    バイポーラ膜とカチオン交換膜とが交互に配列され、該バイポーラ膜の陽イオン交換層と該カチオン膜とにより仕切られた酸室と、該カチオン交換膜と該バイポーラ膜の陰イオン交換層とにより仕切られた塩基室とを有する電気透析装置を使用し、
    前記タンパク質を、前記電気透析装置の酸室に供給しての電気透析により、該タンパク質から前記補因子を分離してアポタンパク質を生成させ、且つ分離された補因子を塩基室に移動させることを特徴とするアポタンパク質の製造方法。
  2. 前記電気透析装置において、前記塩基室は、一価イオン選択透過性カチオン交換膜により2室に分割されている請求項1記載のアポタンパク質の製造方法。
  3. 前記タンパク質がラクトフェリンであり、補因子が金属イオンである請求項1または2記載のアポタンパク質の製造方法。
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