JP2006177463A - 複式クラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 入力側の部材の形状を変更することで、複式クラッチ装置の軸方向寸法の短縮を図る。
【解決手段】 この複式クラッチ装置1は、エンジン側の部材からトルクが入力される入力軸10と、入力軸10と同軸上に配置された第1出力軸20と、第1出力軸20の外周側に同軸上に配置された筒状の第2出力軸30と、入力軸10の外周側に配置され入力軸10に入力されるトルクを第1出力軸20へ伝達及び遮断可能な第1クラッチ100と、第1クラッチ100の内周側に配置され入力軸10に入力されるトルクを第2出力軸20へ伝達及び遮断可能な第2クラッチ200と、第1及び第2クラッチ100、200を内周側に収容し入力軸からトルクが入力されるクラッチカバー110と、クラッチカバー110に相対回転不能に連結され第1及び第2クラッチ100、200に対してトルクを入力するための環状の入力部材160とを備えている。入力部材160は、クラッチカバー110から軸方向に延びる筒状の部材である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複式クラッチ装置、特に2つのクラッチが搭載されている複式クラッチ装置に関する。
車両の変速を自動的に行う手段として自動変速機(AT)がある。近年のATは、例えばトルクコンバータと複数の遊星ギヤ及びクラッチを組み合わせたものが主流となっている。ATは、トルクコンバータの無段変速作用及び複数のクラッチの自動切換により、手動変速機(MT)で必要とされている発進時、停止時、及び変速時のドライバーによるクラッチ操作が不要になる。一方、ATは、流体を介するトルクコンバータを用いるため、入力側と出力側とを機械的に直接連結しトルクを伝達するMTに比べて伝達効率が劣る。したがって、ATは、ドライバーの労力が軽減されるという利点を有している反面、車両の燃費が低下するという欠点を有している。そこで、MTの伝達効率を確保しつつクラッチ操作を不要とするため、MTの構造をベースに自動化した自動変速機(AMT)が開発されている。
AMTは、MTのクラッチ操作及びトランスミッションの変速操作を自動化しており、従来のMTと同様の伝達効率を確保しつつ、クラッチ操作を不要とすることができる。しかし、AMTは、変速操作をする間はMTと同様にクラッチの連結を解除するため、トルク伝達が一時的に遮断される。トルク伝達が遮断される間は、車両が加速することなく慣性のみで走行する状態となるため、変速時のいわゆるトルク切れは車両の加速に大きく影響し、ドライバーに不快感を与えやすい。一方、ATの場合は、複数のクラッチを用いるため、変速時のトルク切れがない。
以上に述べたトルク切れの問題を解決するため、AMTのクラッチ装置として複式クラッチ装置を採用しているものが開発されている。複式クラッチ装置は、主に、入力軸と、第1出力軸と、第2出力軸と、第1クラッチと、第2クラッチとから構成される。入力軸は、エンジンから複式クラッチ装置へトルクを入力するためのものである。第1出力軸は、トランスミッション側へトルクを出力するためのものであり、入力軸と同軸上に配置されている。第2出力軸は、トランスミッション側へトルクを出力するためのものであり、第1出力軸の外周側に同軸上に配置された筒状の部材である。第1クラッチは、入力軸に入力されたトルクを第1出力軸へ伝達及び遮断するためのものである。第2クラッチは、入力軸に入力されたトルクを第2出力軸へ伝達及び遮断するためのものであり、第1クラッチの外周側に配置されている(例えば、特許文献1を参照。)。
この複式クラッチ装置は、トルク切れを防止するため、第1及び第2クラッチにより第1及び第2出力軸へ交互にトルクを伝達可能としている。また、第1及び第2出力軸は、それぞれ異なる歯車対に選択的に連結可能となっている。この複式クラッチ装置は、第1クラッチを連結して第1出力軸へトルクを伝達している状態で第2出力軸をいずれかの歯車対に連結しておき、第1クラッチの連結を解除すると同時に第2クラッチを連結し第2出力軸へトルクを伝達することができる。また、その逆の動作も可能となっている。したがって、この複式クラッチ装置を採用したAMTは、変速時にトルク切れが発生せず、スムーズかつ無駄のない変速操作が可能となる。
特開2000−352431号公報 特表2003−516504号公報
以上に述べた複式クラッチ装置は、第1クラッチを介するトルク伝達経路と第2クラッチを介するトルク伝達経路の2つのトルク伝達経路が存在する。したがって、第1及び第2クラッチを構成する部品がそれぞれ別個に必要となる。例えば、特許文献1に示すように、第1及び第2クラッチは入力部材、出力部材及び付勢力発生機構をそれぞれ有している。そのため、従来の複式クラッチ装置は、部品点数が多くなるとともに構造が複雑となり、製造コストがかかる。
このような問題点を解決するために、入力部材を第1及び第2クラッチに対して共通部品とし部品点数を減らしている複式クラッチ装置がある(例えば、特許文献2参照)。具体的には、入力部材(特許文献2のカバー7)の一部は、第1及び第2クラッチの第1及び第2摩擦連結部の半径方向間に配置されており、軸方向に延びている。また、入力部材にはクラッチ連結時に軸方向への付勢力が作用するため、入力部材は入力軸側の部材(特許文献2では、第1の端壁4)に固定されている。
しかし、第1及び第2クラッチの連結及び解除を行う付勢力発生機構と入力部材との配置関係により、入力部材の形状を一部折り曲げる必要がある(例えば、特許文献2の図1)。入力部材をこのような形状にすると、付勢力が作用した際に曲げモーメントが発生し入力部材が軸方向や半径方向に弾性変形することが予想される。この場合、入力部材に軸方向に移動可能に係合している複数のドライブプレートの移動が阻害される可能性がある。このような入力部材の弾性変形を抑えるためには、入力部材を厚くする等の強度アップが必要となるが、部材の寸法が大きくなるため好ましくない。また、入力部材の一部を折り曲げているため、第1及び第2摩擦連結部と付勢力発生機構との軸方向間の距離が大きくなる。以上より、入力部材の一部に折り曲げ部が存在すると、複式クラッチ装置全体の軸方向寸法が大きくなってしまう。
本発明の課題は、入力側の部材の形状を変更することで、複式クラッチ装置の軸方向寸法の短縮を図ることにある。
請求項1に記載の複式クラッチ装置は、エンジン側の部材から入力されるトルクをトランスミッション側へ出力するためのものである。この複式クラッチ装置は、エンジン側の部材からトルクが入力される入力軸と、入力軸と同軸上に配置された第1出力軸と、第1出力軸の外周側に同軸上に配置された筒状の第2出力軸と、第1出力軸の外周側に配置され入力軸に入力されるトルクを第1出力軸へ伝達及び遮断可能な第1クラッチと、第1クラッチの内周側に配置され入力軸に入力されるトルクを第2出力軸へ伝達及び遮断可能な第2クラッチと、第1及び第2クラッチを内周側に収容し入力軸からトルクが入力されるクラッチカバーと、クラッチカバーに相対回転不能に連結され第1及び第2クラッチに対してトルクを入力するための入力部材とを備えている。入力部材は、クラッチカバーから軸方向に延びる筒状の部材である。
この複式クラッチ装置では、入力部材が軸方向に延びる筒状の部材であるため、軸方向の付勢力が作用しても変形を抑えることができ、入力部材が折り曲げ部を有している場合に比べて強度を確保するために入力部材の厚み等を大きくする必要がない。また、第1及び第2クラッチ周辺の部材を両クラッチに対して近接して配置することができる。この結果、複式クラッチ装置の軸方向寸法の短縮を図ることができる。さらに、入力部材に対する折り曲げ加工が不要となるため、製造コストを低減することができる。
請求項2に記載の複式クラッチ装置は、請求項1において、入力部材がクラッチカバーに対して軸方向に相対移動不能に連結されている。
この複式クラッチ装置では、入力部材がクラッチカバーに対して軸方向に相対移動不能に連結されるため、第1及び第2クラッチに対して軸方向の付勢力を与えた場合にでも、第1及び第2クラッチの動作が安定する。
請求項3に記載の複式クラッチ装置は、請求項1又は2において、クラッチカバーが円周方向に配置された複数の取付孔を有している。また、入力部材は、取付孔に軸方向へ挿嵌される複数の突出部を有している。
この複式クラッチ装置では、入力部材の突出部がクラッチカバーの取付孔に挿嵌されているため、クラッチカバーと入力部材とを確実に相対回転不能に連結することができる。これにより、第1及び第2クラッチに対して確実にトルクを伝達することができる。
請求項4に記載の複式クラッチ装置は、請求項3において、入力部材が突出部に形成されクラッチカバーと軸方向に当接する複数の軸方向面と、軸方向面との間にクラッチカバーを挟み込むよう突出部に固定された環状部材とを有している。
この複式クラッチ装置では、入力部材が軸方向面と環状部材とを有しているため、クラッチカバーと入力部材とを確実に軸方向へ相対移動不能に連結することができる。これにより、第1及び第2クラッチに対して軸方向に付勢力を与えた場合にでも、第1及び第2クラッチの動作が安定する。
請求項5に記載の複式クラッチ装置は、請求項3において、入力部材が突出部に固定された環状部材と、クラッチカバーとの間に環状部材を軸方向に挟み込むようクラッチカバーに固定された固定部材とを有している。
この複式クラッチ装置では、入力部材が環状部材と固定部材とを有しているため、クラッチカバーと入力部材とを確実に軸方向へ相対移動不能に連結することができる。これにより、第1及び第2クラッチに対して軸方向に付勢力を与えた場合にでも、第1及び第2クラッチの動作が安定する。また、入力部材が環状部材と固定部材とを有しているため、入力部材にクラッチカバーと当接する軸方向面を設ける必要がないため、入力部材の形状が若干シンプルになり、製造コストを低減することができる。
請求項6に記載の複式クラッチ装置は、請求項1から5のいずれかにおいて、第1及び第2クラッチに対してトランスミッション側に配置され第1及び第2クラッチを連結及び解除するための付勢力発生機構をさらに備えている。
この複式クラッチ装置では、付勢力発生機構が第1及び第2クラッチに対してトランスミッション側に配置されているため、装置全体をトランスミッション側に取り付けることができる。これにより、エンジン側から切り離した構造にすることが容易となる。
請求項7に記載の複式クラッチ装置は、請求項6において、第1クラッチが第1出力軸に対して相対回転不能に連結された環状の第1出力部材と、入力部材の外周側に配置され入力部材に入力されるトルクを摩擦係合により第1出力部材へ伝達するための第1摩擦連結部とを有している。第2クラッチは、第2出力軸に対して相対回転不能に連結された環状の第2出力部材と、入力部材の内周側に配置され入力部材に入力されるトルクを摩擦係合により第2出力部材へ伝達するための第2摩擦連結部とを有している。付勢力発生機構は、第1及び第2摩擦連結部に対して選択的に付勢力を与えて摩擦係合させる。
請求項8に記載の複式クラッチ装置は、請求項6又は7において、付勢力発生機構がクラッチカバーに対して軸方向に相対移動可能に配置され第1摩擦連結部と接触及び離反可能である第1付勢部材と、クラッチカバーに対して軸方向に相対移動可能に配置され第2摩擦連結部と接触及び離反可能である第2付勢部材と、クラッチカバーと第1付勢部材との間に環状に形成され第1付勢部材を介して第1摩擦連結部に対して油圧により付勢力を与えるための第1油圧室と、第1付勢部材と第2付勢部材との間に環状に形成され第2付勢部材を介して第2摩擦連結部に対して油圧により付勢力を与えるための第2油圧室とを有している。
従来の複式クラッチ装置では、付勢部材を摩擦連結部から離反させるための機構が2つの油圧室それぞれに対して必要となる。しかし、この複式クラッチ装置では、クラッチカバー、第1及び第2付勢部材の間にそれぞれ第1及び第2油圧室が形成されているため、第1及び第2付勢部材を第1及び第2摩擦連結部に対して離反させるための機構を共通とすることができる。これにより、付勢力発生機構を構成する部品点数を削減することができるため、構造がシンプルになるとともに設置スペースを削減することができ、製造コストを低減することができる。
請求項9に記載の複式クラッチ装置は、請求項8において、第1及び第2油圧室が入力部材の内周側に配置されている。第1付勢部材は、入力部材の外周側に配置され第1摩擦連結部を付勢可能な第3筒状部を有している。
この複式クラッチ装置では、第1及び第2油圧室が入力部材の内周側に配置されているため、第1及び第2油圧室をコンパクトにすることができる。また、それに伴い、第1及び第2油圧室内の作動油に遠心力が作用する際に発生する油圧を小さくすることができる。これにより、第1及び第2油圧室をコンパクトにできるとともに、遠心力により発生する油圧に対抗するための機構を小さくすることができるため、付勢力発生機構の設置スペースを削減することができ、製造コストを低減することができる。
請求項10に記載の複式クラッチ装置は、請求項8又は9において、第1付勢部材が入力部材の突出部が軸方向に貫通する複数の取付孔を有している。
この複式クラッチ装置では、第1付勢部材が突出部が貫通する取付孔を有しているため、第1付勢部材の第3筒状部を入力部材の外周側に配置することができる。これにより、第1及び第2油圧室等が入力部材の内周側に配置されていても、入力部材の外周側に配置された第1摩擦連結部に付勢力を与えることができるため、付勢力発生機構をコンパクトにすることができ、製造コストを低減することができる。
請求項11に記載の複式クラッチ装置は、請求項8から10のいずれかにおいて、第2付勢部材と第2クラッチとの間に配置された支持部材と、第2付勢部材と支持部材との間に環状に形成された第3油圧室と、第2付勢部材と支持部材との間に配置され第1及び第2付勢部材に対して離反する方向へ付勢力を与えるための第1弾性部材とを有している。
従来、油圧室内の作動油に遠心力が作用すると油圧が発生し、付勢部材が自動的に軸方向へ移動する場合がある。しかし、この複式クラッチ装置では、第3油圧室が第2付勢部材に対して第1及び第2油圧室と反対側に形成されているため、第1及び第2油圧室内で発生した油圧と第3油圧室内で発生した油圧とが相殺し、遠心力により発生する油圧により第1及び第2付勢部材が自動的に軸方向へ移動することがない。また、付勢力発生機構が作動していない場合、第1弾性部材により第1及び第2付勢部材はクラッチカバーに押し付けられているため、より確実に第1及び第2付勢部材の意に反する移動を防止することができる。
請求項12に記載の複式クラッチ装置は、請求項8から11のいずれかにおいて、付勢力発生機構の内周側に配置されクラッチカバーと相対回転不能に連結される筒状部材をさらに備えている。第1及び第2付勢部材は、筒状部材の外周側に挿嵌されている。
この複式クラッチ装置では、第1及び第2付勢部材が筒状部材の外周側に挿嵌されているため、第1及び第2付勢部材の半径方向の位置及び軸方向の動作がより安定する。
請求項13に記載の複式クラッチ装置は、請求項8から12のいずれかにおいて、クラッチカバーが第1クラッチの外周側に筒状に形成された第1筒状部と、入力部材の内周側に筒状に形成された第2筒状部とを有している。第1付勢部材は、第2筒状部の内周側に筒状に形成された第4筒状部を有している。また、第2付勢部材は、第4筒状部の内周側に筒状に形成された第6筒状部を有している。
この複式クラッチ装置では、第4筒状部が第2筒状部の内周側に形成されているため、クラッチカバーと第1付勢部材との間に第1油圧室を形成しやすくなる。また、第6筒状部が第4筒状部の内周側に形成されているため、第2油圧室を形成しやすくなる。これにより、この複式クラッチ装置では、第1及び第2油圧室周辺の構造をシンプルにすることができるため、製造コストを低減することができる。
請求項14に記載の複式クラッチ装置は、請求項13において、第1油圧室が第2筒状部の内周側に形成されている。第2油圧室は、第4筒状部の内周側に形成されている。第3油圧室は、第6筒状部の内周側に形成されている。
この複式クラッチ装置では、第1油圧室が第2筒状部の内周側に形成されているため、クラッチカバーと第1付勢部材との間に第1油圧室を形成しやすくなる。また、第2油圧室が第4筒状部の内周側に形成されているため、第1付勢部材と第2付勢部材との間に第2油圧室を形成しやすくなる。さらに、第3油圧室が第6筒状部の内周側に形成されているため、第2付勢部材と支持部材との間に第3油圧室を形成しやすくなる。これにより、この複式クラッチ装置では、第1及び第2油圧室周辺の構造をシンプルにすることができるため、製造コストを低減することができる。
請求項15に記載の複式クラッチ装置は、請求項13又は14において、クラッチカバーと第1付勢部材とは、第2筒状部の内周側で一部が軸方向に当接している。第1付勢部材と第2付勢部材とは、第4筒状部の内周側で一部が軸方向に当接している。第1弾性部材は、第1及び第2付勢部材をクラッチカバーに対して付勢している。
この複式クラッチ装置では、クラッチカバーと第1付勢部材とが第2筒状部の内周側で一部が軸方向に当接しているため、第1付勢部材がクラッチカバー側に押圧された場合であっても第1油圧室を確実に確保することができる。また、第1付勢部材と第2付勢部材とが第4筒状部の内周側で一部が軸方向に当接しているため、第2付勢部材が第1付勢部材側に押圧された場合であっても第2油圧室を確実に確保することができる。これにより、この複式クラッチ装置では、第1及び第2油圧室を確実に形成することができる。
請求項16に記載の複式クラッチ装置は、請求項7から15のいずれかにおいて、第1摩擦連結部が軸方向に配置され入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する複数の環状の第1ドライブプレートと、隣接する第1ドライブプレート同士の間に配置され第1出力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する少なくとも1つの環状の第1ドリブンプレートとを有している。また、第2摩擦連結部は、軸方向に配置され入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する複数の環状の第2ドライブプレートと、隣接する第2ドライブプレート同士の間に配置され第2出力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する少なくとも1つの環状の第2ドリブンプレートとを有している。入力部材は、第1及び第2ドライブプレートの軸方向の移動を規制するための複数の突起を端部に有している。
この複式クラッチ装置では、各ドライブプレート及び各ドリブンプレートが入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合しているため、付勢力発生機構により軸方向へ付勢された場合に各プレート同士が確実に摩擦係合することができる。また、各プレートへの付勢力が解除された場合に各プレート同士の摩擦係合を確実に解除することができる。これにより、この複式クラッチ装置では、第1及び第2摩擦連結部を介して確実にトルクを伝達及び遮断することができる。
請求項17に記載の複式クラッチ装置は、請求項16において、第1摩擦連結部が第1ドライブプレートと第1付勢部材の第3筒状部との間に環状の第2弾性部材をさらに有している。
この複式クラッチ装置では、第1摩擦連結部が第2弾性部材を有しているため、第1クラッチの連結及び連結解除を滑らかにすることができる。これにより、この複式クラッチ装置では、第1クラッチ連結及び連結解除時の衝撃を低減させることができる。第2弾性部材は、車両の発進が第1クラッチを連結させて行われる場合に特に有効である。
請求項18に記載の複式クラッチ装置は、請求項16又は17において、入力部材が半径方向外方へ突出する複数の外歯と、半径方向内方へ突出する複数の内歯とを有している。第1ドライブプレートは、半径方向内方へ突出し外歯と係合する複数の第1内歯を有している。第2ドライブプレートは、半径方向外方へ突出し内歯と係合する複数の第2外歯とを有している。第1出力部材は、第1摩擦連結部の外周側に配置され軸方向へ延びる第9筒状部と、第9筒状部から半径方向内方へ突出する複数の第1出力内歯とを有している。第2出力部材は、第2摩擦連結部の内周側に配置され軸方向へ延びる第11筒状部と、第11筒状部から半径方向外方へ突出する複数の第2出力外歯とを有している。第1ドリブンプレートは、半径方向外方へ突出し第1出力内歯と係合する複数の第1外歯を有している。第2ドリブンプレートは、半径方向内方へ突出し第2出力内歯と係合する複数の第2内歯を有している。
この複式クラッチ装置では、各プレートが外歯又は内歯を有しているため、各プレートをより確実に入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向に相対移動可能に係合させることができる。
請求項19に記載の複式クラッチ装置は、請求項12から18のいずれかにおいて、第2出力軸の外周側に筒状に設けられ、各油室へ油圧を供給するためのバルブ部材をさらに備えている。筒状部材は、バルブ部材の外周側に相対回転可能に配置されている。
この複式クラッチ装置では、筒状部材がバルブ部材の外周側に相対回転可能に配置されているため、バルブ部材から筒状部材を介して各油圧室へ油圧を容易に供給することができる。
請求項20に記載の複式クラッチ装置は、請求項19において、筒状部材とバルブ部材とが半径方向間に設けられた少なくとも1つの環状のブッシュと摺動可能に設けられている。
この複式クラッチ装置では、少なくとも1つのブッシュが設けられているため、筒状部材とバルブ部材とが相対回転する際に筒状部材の回転中心が安定する。これにより、この複式クラッチ装置では、筒状部材の外周側に配置されている部品の回転中心及び軸方向への動作が安定するため、第1及び第2クラッチの動作が安定する。
請求項21に記載の複式クラッチ装置は、請求項20において、ブッシュが筒状部材の軸方向両端部の内周側に配置されている。
この複式クラッチ装置では、筒状部材の軸方向両端にブッシュが設けられているため、筒状部材とバルブ部材とが相対回転する際に筒状部材の回転中心がより安定する。これにより、この複式クラッチ装置では、筒状部材の外周側に配置されている部品の回転中心及び軸方向への動作が安定するため、第1及び第2クラッチの動作がより安定する。
請求項22に記載の複式クラッチ装置は、請求項1から21のいずれかにおいて、クラッチカバーと入力軸との間に配置されクラッチカバーと入力軸とを回転方向に弾性的に連結するためのダンパー機構をさらに備えている。
この複式クラッチ装置では、ダンパー機構を備えているため、入力軸に入力されたエンジンからの回転変動を減衰及び吸収することができる。
本発明に係る複式クラッチ装置では、入力側の部材の形状を変更することで、複式クラッチ装置の軸方向寸法の短縮を図ることができる。
本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
1.AMTの構成
図1に本発明の一実施形態としての複式クラッチ装置を搭載したAMTの構成図を示す。図1では、エンジンは左側に配置されている。AMTは、主に、複式クラッチ装置1と、トランスミッション2と、図示しないケーシングとから構成されている。複式クラッチ装置1は、主に、入力軸10と、第1出力軸20と、第2出力軸30と、第1クラッチ100と、第2クラッチ200とから構成されている。入力軸10は、エンジンからのトルクが入力される部材であり、フレキシブルプレート50を介してエンジン(図示せず)側のフライホイール60(エンジン側の部材)に対して弾性的に連結されている。第1出力軸20は、入力軸10から入力されたトルクをトランスミッション2側へ出力するためのものである。第2出力軸30は、第1出力軸20と同様に入力軸10から入力されたトルクをトランスミッション2側へ出力するためのものである。第1クラッチ100は、入力軸10と第1出力軸20との間でトルクを伝達及び遮断するためのものである。第2クラッチ200は、入力軸10と第2出力軸30との間でトルクを伝達及び遮断するためのものである。第1及び第2クラッチ100、200は、ダンパー機構40を介して入力軸10からトルクが入力される。このような構成により、複式クラッチ装置1は、第1及び第2クラッチ100、200を選択的に作動させて第1出力軸20又は第2出力軸30にトルクを出力可能としている。複式クラッチ装置1の構造の詳細については後述する。
トランスミッション2は、複式クラッチ装置1を用いて前進6段及び後進2段を実現するためのもので、主に、第1入力軸300と、第2入力軸301と、副軸302と、出力軸304と、後進軸303と、第1歯車対310と、第2歯車対320と、第3歯車対330と、第4歯車対340と、第1切換機構350と、第2切換機構360と、後進切換機構370と、後進歯車380と、第1後進歯車対384と、第2後進歯車対385とから構成されている。
第1入力軸300は、複式クラッチ装置1からトルクが入力されるためのものであり、複式クラッチ装置1の第1出力軸20に対して相対回転不能に設けられている。第2入力軸301は、複式クラッチ装置1からトルクが入力されるためのものであり、複式クラッチ装置1の第2出力軸30に対して相対回転不能に設けられている。トランスミッション2の第1及び第2入力軸300、301は、第1及び第2出力軸50、60と一体の部材となっていてもよいし、別部材となっていてもよい。第2入力軸301は、第1入力軸300の外周側に同軸上に配置された筒状の部材である。副軸302は、第1入力軸300に対して並行に配置されており、図示しないケーシングに対して相対回転可能に支持されている。出力軸304は、トランスミッション2からトルクを出力するためのものであり、第1入力軸300に対して同軸上に配置されており、第1入力軸300及びケーシングに対して相対回転可能に支持されている。また、後進軸303は、第1入力軸300に対して並行に配置されている。後進軸303は、図示しないケーシングに直接挿入されており、ケーシングに対して相対回転不能に支持されている。
第1歯車対310は、第2入力軸301と副軸302とを連結するためのものであり、歯車311と、歯車312とから構成されている。歯車311は、第2入力軸301に固定されている。歯車312は、副軸302に固定されている。そして、歯車311と歯車312とは、互いに噛み合っている。第2歯車対320は、第1入力軸300と副軸302とを連結するためのものであり、歯車321と、歯車322とから構成されている。歯車321は、第1入力軸300に対して相対回転可能に配置されている。歯車322は、副軸302に固定されている。そして、歯車321と歯車322とは、互いに噛み合っている。第3歯車対330は、第1入力軸300と副軸302とを連結するためのものであり、歯車331と、歯車332とから構成されている。歯車331は、第1入力軸300に対して相対回転可能に配置されている。歯車332は、副軸302に固定されている。そして、歯車331と歯車332とは、互いに噛み合っている。第4歯車対340は、出力軸304と副軸302とを連結するためのものであり、歯車341と、歯車342とから構成されている。歯車341は、出力軸304に対して相対回転可能に配置されている。歯車342は、副軸302に固定されている。そして、歯車341と歯車342とは、互いに噛み合っている。
第1切換機構350は、第1入力軸300と副軸302とを第2歯車対320及び第3歯車対330のいずれか一方を介して選択的に連結及び連結解除可能とするためのものであり、切換機構351と、第1切換歯車S1と、第2切換歯車S2と、第1スリーブ352とから構成されている。切換機構351は、第1入力軸300の外周側に固定されており、複数の部材から構成されている。切換機構351は、例えば従来のシンクロ機構等と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。第1切換歯車S1は、第1入力軸300に対して相対回転可能にかつ歯車321に対して相対回転不能に設けられている。第2切換歯車S2は、第1入力軸300に対して相対回転可能にかつ歯車331に対して相対回転不能に設けられている。第1スリーブ352は、切換機構351の外周側に配置された筒状の部材であり、その内周側が切換機構351の外周側に形成された複数の歯と噛み合っている。第1スリーブ352は、第1入力軸300に対して軸方向に相対移動することで、第1切換歯車S1及び第2切換歯車S2のいずれか一方と切換機構351との連結及び連結解除を切換可能としている。第1スリーブ352の動作は、油圧等により自動的に行われる。
第2切換機構360は、第1入力軸300及び副軸302のいずれか一方と出力軸304とを選択的に連結及び連結解除するためのものであり、切換機構361と、第3切換歯車S3と、第4切換歯車S4と、第2スリーブ362とから構成されている。切換機構361は、出力軸304の外周側に固定されており、複数の部材から構成されている。切換機構361は、例えば従来のシンクロ機構等と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。第3切換歯車S3は、出力軸304に対して相対回転可能にかつ歯車341に対して相対回転不能に設けられている。第4切換歯車S4は、第1入力軸300に対して相対回転不能に設けられている。第2スリーブ362は、切換機構361の外周側に配置された筒状の部材であり、その内周側が切換機構361の外周側に形成された複数の歯と噛み合っている。第2スリーブ362は、出力軸304に対して軸方向に相対移動することで、第3切換歯車S3及び第4切換歯車S4のいずれか一方と切換機構361との連結及び連結解除を切換可能としている。第2スリーブ362の動作は、油圧等により自動的に行われる。
後進歯車380は、第1後進歯車対384の第1後進歯車381と、第2後進歯車対385の第2後進歯車382及び第3後進歯車383と、パーキングギヤ390とから構成されており、ケーシングに固定された後進軸303上に相対回転可能に配置されている。第1後進歯車381、第2後進歯車382及びパーキングギヤ390は、一体の部材で形成されていてもよい。第1後進歯車対384は、後進歯車380と副軸302とを連結するためのものであり、第2歯車対320の歯車322と、第1後進歯車381とから構成されている。第1後進歯車381と歯車322とは、互いに噛み合っている。第2後進歯車対385は、第2後進歯車382と、第3後進歯車383とから構成されている。第2後進歯車382は、第1後進歯車381に対して相対回転不能に設けられている。第3後進歯車383は、第1入力軸300に対して相対回転可能に配置されている。そして、第2後進歯車382と第3後進歯車383とは、互いに噛み合っている。パーキングギヤ390は、図示しないパーキング機構により車両の駐車状態を保持するためのものであり、第1後進歯車381及び第2後進歯車382に対して相対回転不能に設けられている。
後進切換機構370は、第2後進歯車対385を介して第1入力軸300と後進軸303とを連結及び連結解除可能にするためのものであり、歯車371と、後進切換歯車S5と、後進スリーブ372とから構成されている。歯車371は、第1入力軸300の外周側に固定されている。後進切換歯車S5は、第1入力軸300に対して相対回転可能にかつ第3後進歯車383に対して相対回転不能に配置されている。後進スリーブ372は、歯車371の外周側に配置された筒状の部材であり、その内周側が歯車371の外周側と噛み合っている。後進スリーブ372は、第1入力軸300に対して軸方向に相対移動することで、後進切換歯車S5と歯車371とを連結及び連結解除可能としている。後進スリーブ372の動作は、油圧等により自動的に行われる。
2.複式クラッチ装置の構造
(1)全体構成
図2に本発明の一実施形態としての複式クラッチ装置1周辺の縦断面概略図を示す。図2及び図3では、エンジンは左側、トランスミッション2は右側に配置されている。また、図2及び図3のO−Oは、複式クラッチ装置1の回転中心を示す。
複式クラッチ装置1は、ケーシング70とバッフルプレート80との間に形成された空間75に配置されている。複式クラッチ装置1には、摩擦部分の潤滑及び冷却のために油が供給されるため、空間75内にはその潤滑油及び冷却油が飛散する。そのため、空間75はエンジン側とバッフルプレート80及びシール部材82によりシールされている。バッフルプレート80は後述する入力軸10の外周側に配置された環状のプレートであり、その外周側が複数のボルト81によりエンジン側からケーシング70に固定されている。シール部材82は、後述する入力軸10のフランジ部15とバッフルプレート80との間に設けられている。ケーシング70は、後述するフレキシブルプレート50の外周部に設けられたボルト51に対応する位置に、軸方向に貫通した少なくとも1つの窓孔71を有しており、トランスミッション2側から窓孔71を介してフレキシブルプレート50のボルト51の着脱が可能となっている。また、窓孔71には、蓋72が嵌め込まれている。バッフルプレート80は、窓孔71に対応する位置に切欠部83を有している。
図3に複式クラッチ装置1の部分縦断面概略図を示す。複式クラッチ装置1は、主に入力軸10と、ダンパー機構40と、クラッチカバー110と、入力部材160と、第1クラッチ100と、第2クラッチ200と、付勢力発生機構140と、第1出力軸20と、第2出力軸30とから構成されている。
(2)入力軸
入力軸10は、複式クラッチ装置1のエンジン側に配置されており、入力軸本体14と、フランジ部15とから構成されている。入力軸本体14は、フライホイール60の中心部に形成された孔部62にトランスミッション側から挿嵌されている。フランジ部15は、入力軸本体14のトランスミッション側であって外周側に形成されている。フランジ部15は、フレキシブルプレート50を介してクランクシャフト65に固定されたフライホイール60と連結されている。具体的には、フレキシブルプレート50の内周部は、フランジ部15に対して複数のボルト52により連結されている。また、フレキシブルプレート50の外周部は、フライホイール60の外周部に対して複数のボルト51により連結されている。フレキシブルプレート50は、例えば複数のプレートから構成されている。これらの構成により、入力軸10とフライホイール60とは、軸方向に弾性的に連結されている。
(3)ダンパー機構
図3に示すように、入力軸10は、ダンパー機構40を介して第1及び第2クラッチ100、200に対して回転方向に弾性的に連結されている。ダンパー機構40は、入力軸10の外周側に配置されており、第1入力プレート41と、第2入力プレート42と、出力プレート44と、複数のコイルスプリング43とから構成されている。第1入力プレート41は、入力軸10の外周側に配置された環状の部材であり、入力軸10の外周側にリベット13により相対回転不能に連結されている。第2入力プレート42は、第1入力プレート41のトランスミッション側に配置された環状の部材である。第1入力プレート41と第2入力プレート42とは、複数の連結部材45により相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動不能に連結されている。出力プレート44は、第1及び第2入力プレート41、42の間に相対回転可能に挟み込まれている。出力プレート44の外周側には、円周方向に配置され半径方向外方へ延びる複数の外歯44aが形成されている。出力プレート44は、外歯44aを介して、後述するクラッチカバー110と相対回転不能に係合している。複数のコイルスプリング43は、円周方向に配置されており、第1入力プレート41と第2入力プレート42との軸方向間に挟み込まれている。第1入力プレート41、第2入力プレート42及び出力プレート44は、コイルスプリング43を収容するための窓孔41a、42a及び44aを有している。これらの構成により、入力軸10とクラッチカバー110とは、回転方向に弾性的に連結されている。この複式クラッチ装置1では、ダンパー機構40を備えているため、第1及び第2クラッチ100、200連結及び連結解除時に発生する捩り振動を低減することができるとともに、入力軸10に入力されたエンジンからのトルク変動を減衰することができる。
(4)クラッチカバー
クラッチカバー110は、前述のようにダンパー機構40を介して入力軸10からトルクが入力される。図3に示すように、クラッチカバー110は、後述する第1及び第2クラッチ100、200を内周側に収容するよう環状に形成されている。図4にクラッチカバー110の立面図及び平面図を示す。図4に示すように、クラッチカバー110は、第1筒状部111と、第2筒状部112と、複数の取付孔113とを有している。第1筒状部111は、外周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分である。第1筒状部111のエンジン側の端部には、円周方向に配置され軸方向へ突出する複数の突起111aが形成されている。突起111aは、ダンパー機構40の外歯44aと噛み合っている。そして、図3に示すように、クラッチカバー110とダンパー機構40とは、スナップリング111bにより軸方向へ相対移動不能に固定されている。これにより、クラッチカバー110とダンパー機構40とは、相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動不能に連結されている。第2筒状部112は、軸方向へ延びる筒状の部分であり、第1筒状部111の内周側に形成されている。複数の取付孔113は、後述する入力部材160が貫通する部分であり、第2筒状部112の外周側に円周方向に配置されている。
また、図3に示すように、クラッチカバー110の内周側には、筒状部材170が固定されている。具体的には、図3に示すように、筒状部材170は、後述する付勢力発生機構140を支持するためのものであり、クラッチカバー110の内周側からエンジン側へ延びる筒状の部材である。筒状部材170の内周側には、トランスミッション2側からエンジン側へ延びる筒状のバルブ部材180が配置されている。筒状部材170は、バルブ部材180の外周側に相対回転可能に配置されている。筒状部材170とバルブ部材180との半径方向間には、軸方向に配置された2つの環状のブッシュ174a、174bが配置されている。また、筒状部材170とバルブ部材180との軸方向間には、第3スラスト軸受177が配置されている。これにより、筒状部材170、クラッチカバー110、入力部材160及び付勢力発生機構140は、バルブ部材180に対して相対回転可能に支持される。そして、各部材の回転中心が安定するため、第1及び第2クラッチ100、200の動作が安定する。
(5)入力部材
入力部材160は、クラッチカバー110に相対回転不能に連結されており、第1及び第2クラッチ100、200に対してトルクを入力するための環状、より詳細には筒状の部材である。図5に入力部材160の立面図及び平面図を示す。図5に示すように、入力部材160は、筒状部161と、複数の突出部162とから構成されている。筒状部161は、入力部材160の主要部を構成する筒状の部分である。複数の突出部162は、円周方向に配置されており、筒状部161から軸方向へ突出した部分である。突出部162の外周側には、複数の軸方向面168が形成されている。突出部162の外周側には、複数の溝部169が形成されている。入力部材160の外周側には、円周方向に配置され半径方向外方へ延びる複数の入力外歯163が形成されている。より具体的には、後述する複数の第1ドライブプレート131が相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合するために、入力部材160の外周部は歯車のような形状を有している。入力部材160の内周側には、円周方向に配置され半径方向内方へ延びる複数の入力内歯164が形成されている。より具体的には、後述する複数の第2ドライブプレート231が相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合するために、入力部材160の内周部は歯車のような形状を有している。また、入力部材160は、エンジン側に入力外歯163から半径方向外方へ突出する外周側突起部165を有している。入力部材160は、エンジン側に入力内歯164から半径方向内方へ突出する内周側突起部166を有している。
図3に示すように、突出部162は、クラッチカバー110の取付孔113にトランスミッション側へ挿嵌されている。そして、クラッチカバー110と軸方向面168とが当接した状態で溝部169にスナップリング167(環状部材)が嵌め込まれている。これらの構成により、入力部材160とクラッチカバー110とは、相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動不能に連結されている。
(6)第1クラッチ
図3に示すように、第1クラッチ100は、第1出力部材120と、第1摩擦連結部130とから構成されている。
1)第1出力部材
第1出力部材120は、後述の第1出力軸20に対して相対回転不能に連結された環状の部材である。具体的には、図3に示すように、第1出力部材120は、第9筒状部121と、第10筒状部122とを有している。第9筒状部121は、第1出力部材120の外周側に形成された軸方向へ延びる筒状の部分である。第9筒状部121は、クラッチカバー110の第1筒状部111と入力部材160との半径方向間に配置されている。第10筒状部122は、第1出力部材120の内周側に形成された軸方向へ延びる筒状の部分である。第10筒状部122は、第1出力軸20の外周側に配置されている。第10筒状部122の内周側には、第1スプライン部124が形成されており、第1スプライン部124は、後述する第1出力軸20のスプライン部22aとスプライン係合している。また、第1出力軸20の外周側には、環状の溝部24が形成されており、溝部24にはスナップリング23が嵌め込まれている。そして、スナップリング23と第1出力部材120との間には、中間部材25が挟み込まれている。これらの構成により、第1出力部材120は、第1出力軸20に対して相対回転不能にかつ軸方向エンジン側へ相対移動不能に連結されている。
2)第1摩擦連結部
第1摩擦連結部130は、入力部材160に入力されるトルクを摩擦係合により第1出力部材120へ伝達するためのもので、入力部材160の外周側に配置されている。具体的には、図3に示すように、第1摩擦連結部130は、入力部材160と第1出力部材120との半径方向間に配置されており、例えば2枚の第1ドライブプレート131と、1枚の第1ドリブンプレート133と、コーンスプリング135(第2弾性部材)とから構成されている。
第1ドライブプレート131は、軸方向に配置された環状のプレートである。第1ドライブプレート131は、入力部材160の外周側突起部165によりエンジン側への移動が規制されている。また、エンジン側の第1ドライブプレート131は、軸方向への付勢力に耐えられるよう他の第1ドライブプレート131よりも厚く形成されている。また、第1ドライブプレート131は、半径方向内方へ延びる複数の第1内歯132を有している。第1内歯132と入力部材160の入力外歯163とは、互いに噛み合っている。これにより、第1ドライブプレート131は、入力部材160に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合している。
第1ドリブンプレート133は、隣接する第1ドライブプレート131同士の間に配置された環状のプレートである。第1ドリブンプレート133は、半径方向内方へ延びる複数の第1外歯134を有している。第1外歯134と第1出力部材120の第1出力内歯123とは、互いに噛み合っている。これにより、第1ドリブンプレート133は、第1出力部材120に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合している。
3)コーンスプリング
コーンスプリング135は、第1ドライブプレート131のトランスミッション側へ配置された環状の弾性部材である。具体的には、コーンスプリング135は、入力部材160の外周側に軸方向へ弾性変形可能に配置されている。このコーンスプリング135により、第1クラッチ100の連結及び連結解除を滑らかにすることができ、第1クラッチ100連結及び連結解除時の衝撃を低減させることができる。これは、車両の発進が第1クラッチ100を連結させて行われる場合に特に有効である。
(7)第2クラッチ
図3に示すように、第2クラッチ200は、第2出力部材220と、第2摩擦連結部230とから構成されている。
1)第2出力部材
第2出力部材220は、後述の第1出力軸20に対して相対回転不能に連結された環状の部材である。具体的には、図3に示すように、第2出力部材220は、第11筒状部221と、第12筒状部222とを有している。第11筒状部221は、第2出力部材220の外周側に形成された軸方向へ延びる筒状の部分である。第11筒状部221は、入力部材160の内周側に形成されている。第12筒状部222は、第2出力部材220の内周側に形成された軸方向へ延びる筒状の部分である。第12筒状部222は、第1出力軸20の外周側に配置されている。第12筒状部222の内周側には、第2スプライン部224が形成されており、第2スプライン部224は、後述する第2出力軸30のスプライン部30aとスプライン係合している。これにより、第2出力部材220は、第2出力軸30に対して相対回転不能に連結される。また、第1出力部材120と第2出力部材220との軸方向間には、第1スラスト軸受175が配置されている。さらに、第2出力部材220と筒状部材170との軸方向間には、第2スラスト軸受176が配置されている。これらの構成により、第1及び第2出力部材120、220は、筒状部材170に対して相対回転可能にかつ軸方向へ相対移動不能に配置されている。
2)第2摩擦連結部
第2摩擦連結部230は、入力部材160に入力されるトルクを摩擦係合により第2出力部材220へ伝達するためのもので、入力部材160の内周側に配置されている。具体的には、図3に示すように、第2摩擦連結部230は、入力部材160と第2出力部材220との半径方向間に配置されており、例えば3枚の第2ドライブプレート231と、2枚の第2ドリブンプレート233とから構成されている。
第2ドライブプレート231は、軸方向に配置された環状のプレートである。第2ドライブプレート231は、入力部材160の軸方向エンジン側に形成された内周側突起部166により軸方向エンジン側への移動が規制されている。また、軸方向エンジン側の第2ドライブプレート231は、軸方向への付勢力に耐えられるよう他の第2ドライブプレート231よりも厚く形成されている。また、第2ドライブプレート231は、半径方向外方へ延びる複数の第2外歯232を有している。第2外歯232と入力部材160の入力内歯164とは、互いに噛み合っている。これにより、第2ドライブプレート231は、入力部材160に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合している。
第2ドリブンプレート233は、隣接する第2ドライブプレート231同士の間に配置された環状のプレートである。第2ドリブンプレート233は、半径方向外方へ延びる複数の第2内歯234を有している。第2内歯234と第2出力部材220の第2外歯232とは、互いに噛み合っている。これにより、第2ドリブンプレート233は、第2出力部材220に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合している。なお、本実施形態の第2摩擦連結部230には、第1摩擦連結部130のようにコーンスプリングが設けられていないが、第1摩擦連結部130と同様にコーンスプリングを設けてもよい。
(8)付勢力発生機構
付勢力発生機構140は、油圧により第1及び第2摩擦連結部130、230に対して選択的に付勢力を与えて摩擦係合させるためのものであり、クラッチカバー110の第2筒状部112の内周側に配置されている。具体的には、図3に示すように、付勢力発生機構140は、主に、第1ピストン部材141(第1付勢部材)と、第2ピストン部材151(第2付勢部材)と、支持部材157と、複数のコイルスプリング155と、第1油圧室146と、第2油圧室156と、第3油圧室159とから構成されている。
第1ピストン部材141は、第1摩擦連結部130に対して油圧により軸方向の付勢力を与えるための部材である。第1ピストン部材141は、第1筒状部111と筒状部材170との半径方向間に軸方向へ相対移動可能に配置されており、第1摩擦連結部130と接触及び離反可能となっている。図6に第1ピストン部材141の立面図及び平面図を示す。図6に示すように、第1ピストン部材141は、第3筒状部142と、第4筒状部143と、第5筒状部144とを有している。第3筒状部142は、第1摩擦連結部130を軸方向へ付勢するためのもので、第1ピストン部材141の外周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分である。第3筒状部142は、入力部材160の外周側に配置されている。第4筒状部143は、第2筒状部112の内周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分である。第5筒状部144は、第1ピストン部材141の内周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分であり、筒状部材170の外周側に挿嵌されている。
第2ピストン部材151は、第2摩擦連結部230に対して油圧により軸方向の付勢力を与えるための部材である。第2ピストン部材151は、第2筒状部112と筒状部材170との半径方向間に軸方向へ相対移動可能に配置されており、第2摩擦連結部230と接触及び離反可能となっている。具体的には、図3に示すように、第2ピストン部材151は、第6筒状部152と、第7筒状部153と、第8筒状部154とを有している。第6筒状部152は、第2摩擦連結部230を付勢するためのもので、第2ピストン部材151の外周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分である。第6筒状部152は、入力部材160の内周側、より詳細には第2筒状部112の内周側に配置されている。第7筒状部153は、第5筒状部144をかわすように、第5筒状部144の外周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分である。第8筒状部154は、第2ピストン部材151の内周側に配置された軸方向へ延びる筒状の部分であり、筒状部材170の外周側に挿嵌されている。
支持部材157は、第2ピストン部材151との間に後述する第3油圧室159を形成するための環状の部材であり、第2ピストン部材151と第2出力部材220との間に配置されている。図3に示すように、支持部材157は、軸方向へ延びる筒状の第13筒状部158を有している。第13筒状部158は、第11筒状部221の内周側に配置されている。支持部材157は、内周側に設けられたスナップリング154aにより筒状部材170に対する軸方向エンジン側への移動が規制されている。
第1油圧室146は、第1ピストン部材141を介して第1摩擦連結部130に対して油圧により付勢力を与えるためのものである。具体的には、図3に示すように、第1油圧室146は、クラッチカバー110と第1ピストン部材141との軸方向間であって、第2筒状部112の内周側に環状に形成されている。第1ピストン部材141は、トランスミッション2側に突起141aを有しており、第1ピストン部材141が軸方向トランスミッション2側へ付勢されても、第1油圧室146が確保されるようになっている。また、第1ピストン部材141は、第2筒状部112と第4筒状部143との間に環状のシール部材143aを有している。筒状部材170は、第5筒状部144と摺動する部分に、第1摺動部171を有している。第1摺動部171には、環状のシール部材171aが設けられている。第1油圧室146は、シール部材143a及び171aによりシールされている。第1油圧室146には、筒状部材170に設けられた油路173aを介して油圧が供給される。
第2油圧室156は、第2ピストン部材151を介して第2摩擦連結部230に対して油圧により付勢力を与えるためのものである。具体的には、図3に示すように、第2油圧室156は、第1ピストン部材141と第2ピストン部材151との軸方向間であって、第4筒状部143の内周側に環状に形成されている。第2ピストン部材151は、トランスミッション2側に突起151aを有しており、第2ピストン部材151が軸方向トランスミッション2側へ付勢されても、第2油圧室156が確保されるようになっている。また、第2ピストン部材151は、第4筒状部143と第6筒状部152との間に環状のシール部材152aを有している。筒状部材170は、第8筒状部154と摺動する部分に、外周側に環状に突出した第2摺動部172を有している。第2摺動部172には、環状のシール部材172aが設けられている。第2油圧室156は、シール部材152a及び172aによりシールされている。第2油圧室156には、筒状部材170に設けられた油路173bを介して油圧が供給される。
第3油圧室159は、第1及び第2ピストン部材141、151に対して第1及び第2摩擦連結部130、230から離反する方向へ付勢力を与えるためのものである。図3に示すように、第3油圧室159は、第2ピストン部材151と支持部材157との間に環状に形成されている。第3油圧室159内には、複数のコイルスプリング155が円周方向に配置されている。複数のコイルスプリング155は、第2ピストン部材151と支持部材157との軸方向間に圧縮された状態で挟み込まれている。また、コイルスプリング155の支持状態が安定するよう、各コイルスプリング155の両端には一対のシート部材155aが設けられている。
作動油には遠心力が作用するため、第1及び第2油圧室146、156内には遠心力により油圧が発生する。第3油圧室159がない場合、第1及び第2油圧室146、156内において遠心力により発生する油圧により、第1及び第2ピストン部材141、151が自動的に軸方向エンジン側へ移動し第1及び第2摩擦連結部130、230を付勢してしまう。しかし、第3油圧室159を設けることで、第3油圧室159内にも遠心力により油圧が発生するため、各油圧室で発生する油圧を互いに相殺させることができ、第1及び第2ピストン部材141、151が自動的に第1及び第2摩擦連結部130、230を付勢するのを防止できるとともに、回転速度に関わらず第1及び第2油圧室146、156への制御圧に比例した付勢力を得ることができる。
(9)出力軸
第1出力軸20は、入力軸10から入力されたトルクを第1クラッチ100を介してトランスミッション2へ出力するためのものである。具体的には、図3に示すように、第1出力軸20は、入力軸10と同軸上に配置されており、大径部22と、小径部21とから構成されている。大径部22は、トランスミッション2側に配置されており、前述のように内周側が第1出力部材120とスプライン係合している。小径部21は、大径部22からエンジン側に突出した部分であり、入力軸10の孔部11内に設けられたニードルベアリング12に挿嵌されている。これにより、入力軸10は、第1出力軸20に相対回転可能に支持されている。
第2出力軸30は、入力軸10から入力されたトルクを第2クラッチ200を介してトランスミッション2へ出力するためのものである。具体的には、図3に示すように、第2出力軸30は、第1出力軸20の外周側に同軸上に配置された筒状の部材であり、前述のように内周側が第2出力部材220とスプライン係合している。
以上の構成から明らかなように、この複式クラッチ装置1は、付勢力発生機構140が第1及び第2クラッチ100、200に対してトランスミッション側に配置されているため、入力軸10から第1及び第2出力軸20、30までの部材を全てトランスミッション側に取り付けることができる。これにより、この複式クラッチ装置1では、エンジン側から曲げ振動が伝達されるのを防止することが容易となる。
3.動作
(1)複式クラッチ装置の動作
以上に述べた複式クラッチ装置1の動作について図3を参照しながら説明する。第1及び第2クラッチ100、200は、付勢力発生機構140により選択的に連結可能となっている。第1クラッチ100を連結状態にする場合、第1油圧室146に油路173aを介して油圧が供給される。油圧の供給は、例えばバルブ部材180内に設けられた図示しないソレノイドバルブを電子制御装置等により操作することで行われる。第1ピストン部材141は、油圧により発生した付勢力により、コイルスプリング155を圧縮しながら軸方向エンジン側へ移動する。このとき、第1ピストン部材141に押されて第2ピストン部材151も軸方向へ移動する。第3筒状部142が第1摩擦連結部130を軸方向へ付勢する。このとき、第3筒状部142とコーンスプリング135との間の距離は、第6筒状部152と第2ドライブプレート231との間の距離より短く設定しているため、第1ピストン部材141が第1摩擦連結部130を付勢する前に、第2ピストン部材151が第2ドライブプレート231を付勢することはない。この結果、第1ドライブプレート131及び第1ドリブンプレート133は、第1ピストン部材141と外周側突起部165との間に狭持される。そして、各プレート131、133同士の間に発生する摩擦力により、入力部材160、第1出力部材120及び第1摩擦連結部130が一体となって回転する。これにより、入力軸10からクラッチカバー110に入力されたトルクが、第1クラッチ100を介して第1出力軸20に伝達される。第1クラッチ100を連結解除状態にする場合、第1油圧室146への油圧の供給を停止する。この結果、第1ピストン部材141は、コイルスプリング155の弾性力により軸方向トランスミッション側へ付勢される。これにより、第1摩擦連結部130の摩擦連結が解除され、第1出力軸20へのトルク伝達は遮断される。
一方、第2クラッチ200を連結状態にする場合、第2油圧室156に油路173bを介して油圧が供給される。第2ピストン部材151は、油圧により発生した付勢力により、コイルスプリング155を圧縮しながら軸方向エンジン側へ移動する。このとき、第1ピストン部材141は第2油圧室156の油圧により軸方向トランスミッション側へ付勢されているため、軸方向エンジン側へ移動することはない。この結果、第2ドライブプレート231及び第2ドリブンプレート233は、第2ピストン部材151と内周側突起部166との間に狭持される。そして、各プレート231、233同士の間に発生する摩擦力により、入力部材160、第2出力部材220及び第2摩擦連結部230が一体となって回転する。これにより、入力軸10からクラッチカバー110に入力されたトルクが、第2クラッチ200を介して第2出力軸30に伝達される。第2クラッチ200を連結解除状態にする場合、第2油圧室156への油圧の供給を停止する。この結果、第2ピストン部材151は、コイルスプリング155の弾性力により軸方向トランスミッション側へ付勢される。これにより、第2摩擦連結部230の摩擦連結が解除され、第2出力軸30へのトルク伝達は遮断される。
(2)トランスミッションの動作
次に図1、図7及び図8を参照しながらトランスミッション2の動作について説明する。図7に本発明の複式クラッチ装置1を用いたトランスミッション2のトルク伝達経路の模式図を示す。また、図8に本発明の複式クラッチ装置1を用いたトランスミッション2の各変速段における締結要素の制御及び減速比の式を示す。ここでは、第1速から第6速までのシフトアップ時及び後進時の動作について説明する。図7では、各軸が点線で、各変速段におけるトルク伝達経路が実線で、それぞれ示されている。そして、図7の左側には、作動するクラッチが「C1」又は「C2」により示されている。また、図8では、各変速段において連結されているクラッチ及び切換歯車が「○」で、シフトアップ及びシフトダウンに備えて連結される切換歯車が「(○)」でそれぞれ示されている。
ここで、各歯車対の減速比について説明する。減速比とは、一般的に従動側の歯車の歯数を駆動側の歯車の歯数で除したものを意味する。しかし、この実施形態においては、各歯車対は従動側と駆動側とが入れ替わる。ここでは便宜上、第1入力軸300及び第2入力軸301側の歯車を駆動側の歯車とする。また、第4歯車対340に関しては、駆動側と従動側が入れ替わらないため、出力軸304側の歯車を従動側の歯車とする。また、第1後進歯車対384に関しては、第1後進歯車381を駆動側の歯車とする。この実施形態では、各減速比を以下のように設定する(図7参照)。
第1歯車対310(歯車311→歯車312):α1
第2歯車対320(歯車321→歯車322):α2
第3歯車対330(歯車331→歯車332):α3
第4歯車対340(歯車342→歯車341):α4
第1後進歯車対384(第1後進歯車381→歯車322):αb1
第2後進歯車対385(第3後進歯車383→第2後進歯車382):αb2
<停止〜前進第1速>
車両の停止状態では、第1及び第2クラッチ100、200は遮断されている。その状態で、図8に示すように、第1切換機構350の第1スリーブ352により切換機構351と第1切換歯車S1とが連結されるとともに、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第3切換歯車S3とが連結される。そして、第1クラッチ100が徐々に連結される。このとき、前述のように第1摩擦連結部130がコーンスプリング135を有しているため、第1クラッチ100の連結が滑らかになる。これにより、第1クラッチ100連結時の衝撃を低減させることができる。これは、第1クラッチ100の連結解除時においても同様である。図7に示すように、これらの動作により、第1クラッチ100を介して第1入力軸300に入力されたトルクは、第2歯車対320、副軸302及び第4歯車対340を介して出力軸304に伝達され、車両は第1速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α2×α4となる。
<前進第1速〜前進第2速>
図8に示すように、第1速走行時に、第1クラッチ100の連結が解除されるとともに、第2クラッチ200が連結される。このとき、第1速と同様に、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第3切換歯車S3との連結は保持しておく。これにより、図7に示すように、第2クラッチ200を介して第2入力軸301に入力されたトルクは、第1歯車対310、副軸302及び第4歯車対340を介して出力軸304に伝達され、車両は第2速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α1×α4となる。
<前進第2速〜前進第3速>
図8に示すように、第2速走行時に、第1切換機構350の第1スリーブ352により切換機構351と第2切換歯車S2とが連結される。そして、第2クラッチ200の連結が解除されるとともに、第1クラッチ100が連結される。このとき、第2速と同様に、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第3切換歯車S3との連結は保持しておく。これにより、図7に示すように、第1クラッチ100を介して第1入力軸300に入力されたトルクは、第3歯車対330、副軸302及び第4歯車対340を介して出力軸304に伝達され、車両は第3速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α3×α4となる。
<前進第3速〜前進第4速>
図8に示すように、第3速走行時に、第1クラッチ100の連結を解除するとともに、第2切換機構360での連結部分を第3切換歯車S3から第4切換歯車S4へ切り換える。その後、第2クラッチ200が連結される。このとき、第3速と同様に、第1切換機構350の第1スリーブ352により切換機構351と第2切換歯車S2との連結は保持しておく。これにより、図7に示すように、第2クラッチ200を介して第2入力軸301に入力されたトルクは、第1歯車対310、副軸302、第3歯車対330及び第1入力軸300を介して出力軸304に伝達され、車両は第4速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α1/α3となる。
<前進第4速〜前進第5速>
図8に示すように、第4速走行時に、第2クラッチ200の連結が解除されるとともに、第1クラッチ100が連結される。このとき、第4速と同様に、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第4切換歯車S4との連結は保持しておく。これにより、図7に示すように、第1クラッチ100を介して第1入力軸300に入力されたトルクは、第2切換機構360を介して出力軸304に伝達され、車両は第5速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=1.00となる。
<前進第5速〜前進第6速>
図8に示すように、第5速走行時に、第1切換機構350の第1スリーブ352により切換機構351と第1切換歯車S1とが連結される。そして、第1クラッチ100の連結が解除されるとともに、第2クラッチ200が連結される。このとき、第5速と同様に、第2切換機構360の第4切換歯車S4の連結は保持しておく。これにより、図7に示すように、第2クラッチ200を介して第2入力軸301に入力されたトルクは、第1歯車対310、副軸302及び第2歯車対320を介して出力軸304に伝達され、車両は第6速で走行する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α1/α2となる。
<停止〜後進1>
車両の停止状態では、第1及び第2クラッチ100、200は遮断されている。その状態で、図8に示すように、後進切換機構370の後進スリーブ372により歯車371と後進切換歯車S5とが連結されるとともに、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第3切換歯車S3とが連結される。そして、第1クラッチ100が徐々に連結される。これにより、図7に示すように、第1クラッチ100を介して第1入力軸300に入力されたトルクは、第1入力軸300、第2後進歯車対385、第1後進歯車対384、副軸302及び第4歯車対340を介して出力軸304に伝達され、車両は後進する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=αb2×αb1×α3となる。
<停止〜後進2>
歯車対を切り換えることで、後進1以外にも後進2による後進が可能となる。具体的には、車両の停止状態では、第1及び第2クラッチ100、200は遮断されている。その状態で、図8に示すように、後進切換機構370の後進スリーブ372により歯車371と後進切換歯車S5とが連結されるとともに、第2切換機構360の第2スリーブ362により切換機構361と第4切換歯車S4とが連結される。そして、第1クラッチ100が徐々に連結される。これにより、図7に示すように、第2クラッチ200を介して第2入力軸301に入力されたトルクは、第2入力軸301、第1歯車対310、副軸302、第1後進歯車対384、第2後進歯車対385及び第1入力軸300を介して出力軸304に伝達され、車両は後進する。この場合、トランスミッション2全体の減速比α0は、α0=α1/αb1/αb2となる。
以上に述べたように、トランスミッション2は複式クラッチ装置1によりトルク切れのないスムーズな変速動作が可能となる。
4.作用効果
本発明に係る複式クラッチ装置1の作用効果を以下にまとめる。
(1)入力部材160
この複式クラッチ装置1では、入力部材160が軸方向に延びる筒状の部材であるため、軸方向の付勢力が作用しても変形を抑えることができ、入力部材160が折り曲げ部を有している場合に比べて強度を確保するために入力部材160の厚み等を大きくする必要がない。また、入力部材160が折り曲げ部を有していないため、第1及び第2クラッチ100、200周辺の部材を両クラッチ100、200に対して近接して配置することができる。これにより、複式クラッチ装置1の軸方向寸法の短縮を図ることができる。
また、入力部材160に対する折り曲げ加工が不要となるため、従来に比べて複式クラッチ装置1の製造コストを低減することができる。
また、この複式クラッチ装置1では、入力部材160が軸方向面168とスナップリング167とを有しているため、クラッチカバー110と入力部材160とを確実に軸方向へ相対移動不能に連結することができる。これにより、第1及び第2クラッチ100、200に対して軸方向に付勢力を与えた場合にでも、第1及び第2クラッチ100、200の動作が安定する。
(2)付勢力発生機構140
この複式クラッチ装置1では、第1及び第2クラッチ100、200の付勢力発生機構140が一体となっているため、それぞれのクラッチに対して付勢力発生機構を別個に設ける必要がない。また、第1油圧室146がクラッチカバー110と第1ピストン部材141との間に形成され、第2油圧室156が第1ピストン部材141と第2ピストン部材151との間に形成されているため、2つの油圧室が軸方向に配置された3つの部材により形成されることになる。また、第1及び第2油圧室146、156が入力部材160の内周側に配置されているため、各油圧室内において遠心力により発生する油圧を小さくすることができ、遠心力により発生する油圧に対抗するための機構を小さくすることができる。さらに、クラッチカバー110、第1及び第2ピストン部材141、151の間にそれぞれ第1及び第2油圧室146、156が形成されているため、第1及び第2ピストン部材141、151を第1及び第2摩擦連結部130、230に対して離反させるための機構を共通のものとすることができる。以上より、この複式クラッチ装置1では、付勢力発生機構140を構成する部品点数を削減することができるため、構造がシンプルになるとともに設置スペースを削減することができ、製造コストを低減することができる。
また、この複式クラッチ装置1では、第1ピストン部材141が突出部162が貫通する取付孔113を有しているため、第1ピストン部材141の第3筒状部142を入力部材160の外周側に配置することができる。これにより、第1及び第2油圧室146、156が入力部材160の内周側に配置されていても、入力部材160の外周側に配置された第1摩擦連結部130に付勢力を与えることができるため、付勢力発生機構140をコンパクトにすることができ、製造コストを低減することができる。
5.他の実施形態
本発明はかかる上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(1)スナップリング167
前述の実施形態では、スナップリング167と軸方向面168とにより入力部材160のクラッチカバー110に対する軸方向の相対移動を規制しているが、図9に示すように固定部材167aを用いてもよい。具体的には、固定部材167aは、クラッチカバー110のトランスミッション2側に配置された環状の部材である。固定部材167aは、円周方向に配置された複数のねじ167bによりクラッチカバー110に対して固定されている。固定部材167aは、環状突起部167cを有している。そして、スナップリング167は、環状突起部167cとクラッチカバー110との間に挟み込まれている。これにより、スナップリング167の固定をより確実に行うことができ、入力部材160の固定もより確実に行うことができる。また、この固定部材167aを設けることで、入力部材160の軸方向面168が不要になり、入力部材160の形状を簡素化することができる。
本発明の一実施形態としての複式クラッチ装置を搭載したAMTの構成図。 本発明の一実施形態としての複式クラッチ装置1周辺の縦断面概略図。 本発明の一実施形態としての複式クラッチ装置1の部分縦断面概略図。 クラッチカバー110の立面図及び平面図。 入力部材160の立面図及び平面図。 第1ピストン部材141の立面図及び平面図。 本発明の複式クラッチ装置1を用いたトランスミッション2のトルク伝達経路の模式図。 本発明の複式クラッチ装置1を用いたトランスミッション2の各変速段における締結要素の制御及び減速比の式。 本発明の他の実施形態としての複式クラッチ装置1の縦断面概略図。
符号の説明
1 複式クラッチ装置
2 トランスミッション
10 入力軸
20 第1出力軸
30 第2出力軸
40 ダンパー機構
50 フレキシブルプレート
60 フライホイール
70 ケーシング
100 第1クラッチ
110 クラッチカバー
120 第1出力部材
130 第1摩擦連結部
135 コーンスプリング(第2弾性部材)
140 付勢力発生機構
141 第1ピストン部材(第1付勢部材)
146 第1油圧室
151 第2ピストン部材(第2付勢部材)
155 コイルスプリング(第2弾性部材)
156 第2油圧室
160 入力部材
200 第2クラッチ
220 第2出力部材
230 第2摩擦連結部
111 第1筒状部
112 第2筒状部
142 第3筒状部
143 第4筒状部
144 第5筒状部
152 第6筒状部
153 第7筒状部
154 第8筒状部
121 第9筒状部
122 第10筒状部
221 第11筒状部
222 第12筒状部
158 第13筒状部

Claims (22)

  1. エンジン側の部材から入力されるトルクをトランスミッション側へ出力するための複式クラッチ装置であって、
    前記エンジン側の部材からトルクが入力される入力軸と、
    前記入力軸と同軸上に配置された第1出力軸と、
    前記第1出力軸の外周側に同軸上に配置された筒状の第2出力軸と、
    前記第1出力軸の外周側に配置され、前記入力軸に入力されるトルクを前記第1出力軸へ伝達及び遮断可能な第1クラッチと、
    前記第1クラッチの内周側に配置され、前記入力軸に入力されるトルクを前記第2出力軸へ伝達及び遮断可能な第2クラッチと、
    前記第1及び第2クラッチを内周側に収容し、前記入力軸からトルクが入力されるクラッチカバーと、
    前記クラッチカバーに相対回転不能に連結され、前記第1及び第2クラッチに対してトルクを入力するための入力部材とを備え、
    前記入力部材は、前記クラッチカバーから軸方向に延びる筒状の部材である、複式クラッチ装置。
  2. 前記入力部材は、前記クラッチカバーに対して軸方向に相対移動不能に連結される、
    請求項1に記載の複式クラッチ装置。
  3. 前記クラッチカバーは、円周方向に配置された複数の取付孔を有し、
    前記入力部材は、前記取付孔に軸方向へ挿嵌される複数の突出部を有する、
    請求項1又は2に記載の複式クラッチ装置。
  4. 前記入力部材は、前記突出部に形成され前記クラッチカバーと軸方向に当接する複数の軸方向面と、前記軸方向面との間に前記クラッチカバーを挟み込むよう前記突出部に固定された環状部材とを有する、
    請求項3に記載の複式クラッチ装置。
  5. 前記入力部材は、前記突出部に固定された環状部材と、前記クラッチカバーとの間に前記環状部材を軸方向に挟み込むよう前記クラッチカバーに固定された固定部材とを有する、
    請求項3に記載の複式クラッチ装置。
  6. 前記第1及び第2クラッチに対して前記トランスミッション側に配置され、前記第1及び第2クラッチを連結及び解除するための付勢力発生機構をさらに備えている、
    請求項1から5のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  7. 前記第1クラッチは、
    前記第1出力軸に対して相対回転不能に連結された環状の第1出力部材と、
    前記入力部材の外周側に配置され、前記入力部材に入力されるトルクを摩擦係合により前記第1出力部材へ伝達するための第1摩擦連結部とを有し、
    前記第2クラッチは、
    前記第2出力軸に対して相対回転不能に連結された環状の第2出力部材と、
    前記入力部材の内周側に配置され、前記入力部材に入力されるトルクを摩擦係合により前記第2出力部材へ伝達するための第2摩擦連結部とを有し、
    前記付勢力発生機構は、前記第1及び第2摩擦連結部に対して選択的に付勢力を与えて摩擦係合させる、
    請求項6に記載の複式クラッチ装置。
  8. 前記付勢力発生機構は、
    前記クラッチカバーに対して軸方向に相対移動可能に配置され、前記第1摩擦連結部と接触及び離反可能である第1付勢部材と、
    前記クラッチカバーに対して軸方向に相対移動可能に配置され、前記第2摩擦連結部と接触及び離反可能である第2付勢部材と、
    前記クラッチカバーと前記第1付勢部材との間に環状に形成され、前記第1付勢部材を介して第1摩擦連結部に対して油圧により付勢力を与えるための第1油圧室と、
    前記第1付勢部材と前記第2付勢部材との間に環状に形成され、前記第2付勢部材を介して第2摩擦連結部に対して油圧により付勢力を与えるための第2油圧室とを有する、
    請求項6又は7に記載の複式クラッチ装置。
  9. 前記第1及び第2油圧室は、前記入力部材の内周側に配置され、
    前記第1付勢部材は、前記入力部材の外周側に配置され前記第1摩擦連結部を付勢可能な第3筒状部を有する、
    請求項8に記載の複式クラッチ装置。
  10. 前記第1付勢部材は、前記入力部材の前記突出部が軸方向に貫通する複数の取付孔を有する、
    請求項8又は9に記載の複式クラッチ装置。
  11. 前記第2付勢部材と前記第2クラッチとの間に配置された支持部材と、
    前記第2付勢部材と前記支持部材との間に環状に形成された第3油圧室と、
    前記第2付勢部材と前記支持部材との間に配置され、前記第1及び第2付勢部材に対して前記離反する方向へ付勢力を与えるための第1弾性部材とを有する、
    請求項8から10のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  12. 前記付勢力発生機構の内周側に配置され、前記クラッチカバーと相対回転不能に連結される筒状部材をさらに備え、
    前記第1及び第2付勢部材は、前記筒状部材の外周側に挿嵌される、
    請求項8から11のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  13. 前記クラッチカバーは、前記第1クラッチの外周側に筒状に形成された第1筒状部と、前記入力部材の内周側に筒状に形成された第2筒状部とを有し、
    前記第1付勢部材は、前記第2筒状部の内周側に筒状に形成された第4筒状部を有し、
    前記第2付勢部材は、前記第4筒状部の内周側に筒状に形成された第6筒状部を有する、
    請求項8から12のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  14. 前記第1油圧室は、前記第2筒状部の内周側に形成され、
    前記第2油圧室は、前記第4筒状部の内周側に形成され、
    前記第3油圧室は、前記第6筒状部の内周側に形成される、
    請求項13に記載の複式クラッチ装置。
  15. 前記クラッチカバーと前記第1付勢部材とは、前記第2筒状部の内周側で一部が軸方向に当接し、
    前記第1付勢部材と前記第2付勢部材とは、前記第4筒状部の内周側で一部が軸方向に当接し、
    前記第1弾性部材は、前記第1及び第2付勢部材を前記クラッチカバーに対して付勢する、
    請求項13又は14に記載の複式クラッチ装置。
  16. 前記第1摩擦連結部は、
    軸方向に配置され、前記入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する複数の環状の第1ドライブプレートと、
    隣接する前記第1ドライブプレート同士の間に配置され、前記第1出力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する少なくとも1つの環状の第1ドリブンプレートとを有し、
    前記第2摩擦連結部は、
    軸方向に配置され、前記入力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する複数の環状の第2ドライブプレートと、
    隣接する前記第2ドライブプレート同士の間に配置され、前記第2出力部材に対して相対回転不能にかつ軸方向へ相対移動可能に係合する少なくとも1つの環状の第2ドリブンプレートとを有し、
    前記入力部材は、前記第1及び第2ドライブプレートの軸方向の移動を規制するための複数の突起を端部に有する、
    請求項7から15のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  17. 前記第1摩擦連結部は、前記第1ドライブプレートと前記第1付勢部材の前記第3筒状部との間に環状の第2弾性部材をさらに有する、
    請求項16に記載の複式クラッチ装置。
  18. 前記入力部材は、半径方向外方へ突出する複数の外歯と、半径方向内方へ突出する複数の内歯とを有し、
    前記第1ドライブプレートは、半径方向内方へ突出し前記外歯と係合する複数の第1内歯を有し、
    前記第2ドライブプレートは、半径方向外方へ突出し前記内歯と係合する複数の第2外歯とを有し、
    前記第1出力部材は、前記第1摩擦連結部の外周側に配置され軸方向へ延びる第9筒状部と、前記第9筒状部から半径方向内方へ突出する複数の第1出力内歯とを有し、
    前記第2出力部材は、前記第2摩擦連結部の内周側に配置され軸方向へ延びる第11筒状部と、前記第11筒状部から半径方向外方へ突出する複数の第2出力外歯とを有し、
    前記第1ドリブンプレートは、半径方向外方へ突出し前記第1出力内歯と係合する複数の第1外歯を有し、
    前記第2ドリブンプレートは、半径方向内方へ突出し前記第2出力内歯と係合する複数の第2内歯を有する、
    請求項16又は17に記載の複式クラッチ装置。
  19. 前記第2出力軸の外周側に筒状に設けられ、前記各油圧室へ油圧を供給するためのバルブ部材をさらに備え、
    前記筒状部材は、前記バルブ部材の外周側に相対回転可能に配置された、
    請求項12から18のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
  20. 前記筒状部材と前記バルブ部材とは、半径方向間に設けられた少なくとも1つの環状のブッシュと摺動可能に設けられている、
    請求項19に記載の複式クラッチ装置。
  21. 前記ブッシュは、前記筒状部材の軸方向両端部の内周側に配置される、
    請求項20に記載の複式クラッチ装置。
  22. 前記クラッチカバーと前記入力軸との間に配置され、前記クラッチカバーと前記入力軸とを回転方向に弾性的に連結するためのダンパー機構をさらに備えた、
    請求項1から21のいずれかに記載の複式クラッチ装置。
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