JP2006176386A - 気体透過性材料及びその製造方法、並びにそれを用いた気体透過膜用支持体 - Google Patents

気体透過性材料及びその製造方法、並びにそれを用いた気体透過膜用支持体 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガスの透過性に優れるにも関わらず高い機械的強度を有し、かつ、ガス透過性の制御が容易な、機械的特性を有する実用性の高い気体透過性材料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 カーボン構造体、あるいは前期カーボン構造体に金属を被覆してなる期待透過性材料であり、前記カーボン構造体のカーボンとカーボンの間に空隙が形成され、ヘリウムリーク量が1×10−6Pa・m3/sec以上であり、かつ曲げ強さが10MPa以上である気体透過性材料である。カーボン構造体を作製する工程と、金属を被覆してなるカーボン構造体の場合は、カーボン構造体へ金属を被覆する工程よりなる気体透過性材料の製造方法である。

Description

本発明は、気体の透過性に優れた気体透過性材料及びその製造方法に関する。
従来、空気等の混合ガスから単体ガスあるいはその濃度を高めたガスを分離し、各種分野に用いることが行われている。例えば燃焼炉、加熱炉、ボイラー、鍛造炉、ガラス溶解炉、金属処理炉、セラミック焼成炉、焼却炉等の各種高温炉には空気中から分離した酸素あるいはその濃度を高めたガスがその高温を得るために用いられ、また、医療用、健康用等にも吸入用に酸素が用いられ、さらには排水処理を行う際の曝気にも酸素が用いられている。一方、空気中の窒素等の不活性ガスは防曝用、シール用、食品貯蔵用等に用いられている。このように空気等の混合ガスから単体ガスあるいはその濃度を高めたガスを分離するには、例えば液化空気から酸素と窒素を分離する冷却凝集蒸留法、吸着体に混合ガスを吸着させその吸着能の弱いものから順次脱着させ分離する吸着分離法、溶媒に混合ガスを通してその単体ガスの溶解性の違いにより分離する溶媒抽出分離法など種々の方法が知られているが、これらの方法においては複雑な設備と多大のエネルギーを必要とし、大規模なものにならざるを得ず、手軽にどこでも利用できるといえるものではない。
そこで、近年、高分子素材からなる膜に混合ガスを通すことによりその単体ガスを分離する方法を用い、エネルギー消費を低減しようとする試みが盛んに行われるようになってきている。このような高分子素材からなる膜を用いて混合ガスからその単体ガスを分離する方法としては、気体の選択的透過性,特に酸素分子の選択的透過性に優れるポリオルガノシロキサン膜を利用する方法があるが、その膜単独では混合ガスを透過させる圧力に耐える強度を有しないので、その膜強度を高めるために、他の高分子化合物、例えばポリカーボネートやポリウレタン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキシドなどとブレンドした膜、あるいはこれらの高分子化合物をそれぞれの原料モノマーの共重(縮)合により得る際にポリオルガノシロキサンの原料の各種モノマーを併用して共重(縮)合させた高分子化合物を得、その膜を利用するもの(特開昭48−64193号公報、特開昭48−163403号公報、特開昭58−14926号公報など)、発泡処理等による多孔性の高分子素材からなる膜を利用するもの、セラミック等の多孔質の支持体の表面に上記のポリオルガノシロキサン膜等を設けた透過膜複合体を利用するもの(特公昭58−3201号公報など)、上記の膜の細孔にオルガノシロキサン系重合体を含浸させた材料を利用するものなどが知られている。
特開昭48−64193号公報 特開昭48−163403号公報 特開昭58−14926号公報 特公昭58−3201号公報
しかしながら、上記の方法は、分離しようとするガスの透過性が十分ではなく、その透過量を上げるためにはその透過圧力を高くするか、透過時間を長くしなければならず、前者はエネルギー消費が多くなる点、後者は作業能率が良くない点でいずれもコスト高になるという問題がある。
そこで、本発明の第1の目的は、ガスの透過性が良い気体透過性材料あるいは気体透過膜用の支持体に用いる気体透過性材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、機械的強度が大きく、混合ガスを分離する際のガスの加圧エネルギー損失の少ない実用性の高い気体透過性材料あるいは気体透過膜用支持体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記の材料を用いて製造の容易な低コストの実用性の高い気体透過性材料あるいは気体透過膜用支持体を提供することにある。
本発明の材料そのものにも気体透過性としての機能があるが、本材料で気体透過性としての機能が満足できない場合は、本材料が高い強度を有しているので、本材料表面に所望の気体透過性有機膜を形成し、気体透過性複合体として使用することができる気体透過膜の支持体としての機能がある。つまり、本材料表面に種々の気体透過性膜を形成することにより、容易にかつ安価に様々な気体透過性を有する複合体を得ることができる。
本発明は、カーボン構造体あるいは、当該カーボン構造体に金属を被覆してなる金属被覆カーボン構造体であり、前記カーボン構造体とは、人造黒鉛材料、ガラス状炭素、炭素繊維、炭素複合体材料である。原料となるカーボンは非晶質カーボン、結晶質カーボンのことである。非晶質カーボンとは、コークス、ピッチ等を炭素化した状態のもの、カーボンブラック、炭素繊維などが含まれる、結晶質カーボンとは、天然黒鉛、人造黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ、黒鉛化した炭素繊維などである。非晶質カーボン、結晶質カーボンの密度は1.5以上2.3以下程度である。
本発明の気体透過性材料において、前記カーボン構造体はカーボンとカーボンの空隙に気孔を形成して構成されているが、この空隙の程度はカーボン構造体によって示され、かさ比重が1.4以上2.0以下にあることが好ましい。より好ましくは1.6以上、1.9以下である。かさ比重が2.0より大きい場合は、気体透過性が得られず、1.4より小さいと空隙が大きくなりすぎて気体透過性材料としての強度が得られない。
本発明の気体透過性材料において、前記カーボン構造体の表面粗さRaが2.0μm以下であることが好ましい。2.0μmより大きいと、有機化合物による気体透過膜を形成した場合に、気体透過膜が破損してしまう。
本発明の気体透過性材料は、ヘリウムリーク量が1×10−6Pa・m3/sec以上である。ヘリウムリーク量が1×10−6Pa・m3/secより少ない場合、ヘリウム以外の気体透過性が得られない。また、ヘリウムの透過量としても充分ではない。
本発明の気体透過性材料は、曲げ強さが10MPa以上である。曲げ強さが10MPaより小さいと気体透過膜としての機能は有しているが、強度が低く気体透過膜用支持体としての使用ができない。
本発明の気体透過性材料は、窒素ガス透過度が1×10−7mol/m2・s・Pa以下である。1×10−7mol/m2・s・Pa以上になると、気体のみならず液体まで透過してしまい、ガスのみの透過ではなくなってしまう。
本発明は、カーボン構造体を製造する工程と、当該カーボン構造体に金属を被覆してなる場合は、前記カーボン構造体に金属を被覆する工程を有する製造方法であり、前記カーボン構造体のカーボンとカーボンの空隙に気孔を形成してなる気体透過性材料である。金属被覆は、めっき法、CVD法、PVD法等のいずれでも良いが、構造体前面に被覆する場合はめっき法が低コスト化が可能で好ましい。さらに、均一な被覆を行う場合は、無電解めっきがより好ましい。
また、本発明の上記気体透過性材料は、その表面に気体透過性膜中でも有機皮膜を形成して気体透過性複合体とするのに適した気体透過膜用支持体として用いることができる。
本発明によれば、カーボン構造体のカーボンとカーボンの空隙に微少細孔、気孔を均等に分布させることができるので、透過しようとするガスの透過性が良い気体透過性複合材料を提供することができる。更に、カーボン構造体への金属被覆により気体透過性を容易に制御することができる。また、強度が確保されているので気体透過膜を形成した支持体としての利用ができる。さらに、安価な材料であるので低コストで実用性の高い気体透過性材料を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、カーボン構造体を作製する工程、およびまたは、カーボン構造体へ金属を被覆する工程とからなり、簡単な製造方法により容易に気体透過性材料を提供することができ、かつカーボン構造体への金属被覆だけで気体透過性の制御が可能で、この点からも低コストの気体透過膜及びその支持体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
カーボン構造体を構成するカーボンとしては、非晶質カーボン、結晶質カーボンを用いるのがよい。非晶質カーボンとしては、カーボンブラック、炭素繊維など、結晶質カーボンとしては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化した気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブや炭素繊維などである。カーボン構造体を製造する際には、これらを粒状、短繊維状とするのが好ましい。例えば、カーボン構造体は、前記カーボンやコークスなどのフィラーとコールタールピッチなどのバインダを混合し、成形、焼成、黒鉛化を行って得られる。ただし、ガス透過性能を満足すれば黒鉛化は行わなくても良い。
カーボン構造体は、主に成形方法で分類される。押し出し成形体は、熱可塑性の混捏物を横押しプレスでノズルから押し出して成形される。成形方向とこれに対し垂直な垂直方向(以下、垂直方向という)では物性に異方性が生じ、成形方向は垂直方向に比べ空隙が少なく、強度が高い。
冷間等方加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)成形体は、粉砕、分級された混捏物を変形しやすいゴム質のケースに充填し、気密シールした後、高圧容器内の圧力媒体中に入れ、常温で加圧する。この時、圧力媒体を通し、あらゆる方向からケースに均一な圧力を加えることが出来るので、フィラー粒子をランダムな方向に配列することができる。
型込め成形体は、混捏物を金型に入れて一軸方向に加圧する。よって、フィラー粒子は加圧方向に垂直に配向するので、加圧方向に比べ垂直方向の方が強度は高く空隙率は低い。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例における特に記述のないパーセントはいずれも体積%である。また、ヘリウムリーク量の測定は、ヘリウムリークディテクタによって行った。すなわち真空脱気後、ヘリウムを測定試料に吹き付けて、リークメーターの指示がある一定値に停止して、次に吹き付けをやめたときのメーターの指示値からリーク量を評価した。
また、窒素ガス透過度の測定は、JIS K7126法に準拠し、GTRテック(株)・ヤナコテクニカルサイエンス(株)製、等圧式・蒸気透過率測定装置(GTR−20XFフロー式)にて行った。曲げ強さはJIS R1601法に準拠して測定した。
(実施例1)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとして押し出し法により成形された押し出し成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に10μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体のヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(実施例2)
CIP成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に20μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体のヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(実施例3)
型込め成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に5μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体のヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(実施例4)
ピッチを原料にした炭素繊維にフェノール樹脂を添加し、熱圧着することで成形体とした後、1000℃にて熱処理した厚さ300μmのフェルト状構造体表面に5μmの無電解銅めっきを施した。得られた金属被覆カーボン複合体のヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(実施例5)
CIP成形体を焼成、黒鉛化してかさ比重1.7、曲げ強さ40MPa、固有抵抗10μΩmのカーボン構造体を作製した。得られたカーボン構造体のヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(比較例1)
型込め成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体をそのまま用いてヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを表1に示す。
(比較例2)
プロピレン系樹脂組成物からなり、一軸方向に延伸した厚さ300μmの延伸ポリプロピレンフィルムを気体透過膜としたもののヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
(比較例3)
抄紙に架橋性オルガノシロキサン系重合体を架橋化し、不十分な架橋体を溶剤により除去し、空隙を形成し厚さ200μmの気体透過膜としたもののヘリウムリーク量と曲げ強さを測定した。それを、表1に示す。
Figure 2006176386
*1:測定不可とは、測定のため試料をヘリウムリークディテクタに取り付け、真空脱気した際に破損してしまい、リーク量の測定に至らなかったことを示す。
以上のように、カーボン構造体あるいは、カーボン構造体に金属を被覆した気体透過性材料は、リーク量測定の際に破損することなくHeリーク量の測定が可能であった。そのヘリウムリーク量も1×10−6Pa・m3/secを十分上まわるものであった。一方、有機物系の透過膜はリーク量の測定時に膜が破損していまいリーク量の測定ができなかった。
(比較例4)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとして押し出し成形法にて成形された押し出し成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体のかさ比重と窒素ガス透過度、表面粗さを測定した。それを、表2に示す。また、有機皮膜の形成状況を表3に示す。
(実施例6)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとしてCIP法により成形されたCIP成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体のかさ比重と窒素ガス透過度、表面粗さを測定した。それを、表2に示す。また、有機皮膜の形成状況を表3に示す。
(実施例7)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとしてCIP法により成形されたCIP成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に2μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体の窒素ガス透過度、表面粗さを測定した。それを、表2に示す。また、有機皮膜の形成状況を表3に示す。
(実施例8)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとして押し出し法にて成形された押し出し成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に5μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体の窒素ガス透過度、表面粗さを測定した。それを、表2に示す。また、有機皮膜の形成状況を表3に示す。
(実施例9)
コークスをフィラーとし、ピッチをバインダとしてCIP法により成形されたCIP成形体を焼成、黒鉛化して作製されたカーボン構造体に20μmの無電解ニッケルめっきを施した。得られた金属被覆カーボン構造体の窒素ガス透過度を測定した。それを、表2に示す。
Figure 2006176386
表2より、カーボンのかさ比重が1.4以上であれば、窒素ガス透過度が1×10−7mol/m2・s・Pa以下となるが、1.4より小さくなると窒素ガス透過度が1×10−7mol/m2・s・Pa以上になってしまう。
Figure 2006176386
表3より、
表面粗さRaが2.0以下の場合は、良好な有機皮膜が形成できるが、2.0より大きくなると、形成時に有機皮膜が破損してしまい、良好な皮膜が得られない。
以上の実施例によれば、カーボン構造体には微少空隙、細孔が均等に分布形成できており、適度なリーク量を備えて透過しようとするガスの透過性が良い気体透過性材料とすることができている。さらに、気体透過性の制御は、カーボン構造体に金属被覆を形成するだけでよく、気体透過性の制御が容易である。
また、強度が確保されているので気体透過膜を形成した支持体としての利用ができる。
本発明の気体透過性材料及びそれを用いた気体透過膜用支持体は、例えば燃料電池において、燃料となる水素ガスを高純度で効率よく製造する際のガス分利膜あるいはガス分離フィルタ等へ利用できる。

Claims (8)

  1. カーボン構造体あるいは、当該カーボン構造体に金属を被覆してなる金属被覆カーボン構造体であり、前記カーボン構造体が人造黒鉛材料、ガラス状炭素、炭素繊維、炭素複合材料からなることを特徴とする気体透過性材料。
  2. 前記カーボン構造体のかさ比重が1.4以上2.0以下であることを特徴とする請求項1記載の気体透過性材料。
  3. 前記カーボン構造体の表面粗さRaが2.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体透過性材料。
  4. ヘリウムリーク量が1×10−6Pa・m3/sec以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の気体透過性材料。
  5. 窒素ガス透過度が1×10−7mol/m2・s・Pa以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の気体透過性材料。
  6. 曲げ強さが10MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の気体透過性複合材料。
  7. カーボン構造体を製造する工程と、当該カーボン構造体に金属を被覆してなる材料の場合は、前記カーボン構造体に金属を被覆する工程を有し、前記カーボンとカーボンの間に空隙を形成してなることを特徴とする気体透過性材料の製造方法。
  8. 請求項1〜6の何れかの気体透過性材料の表面に気体透過性膜を形成してなる気体透過性複合体に適した気体透過膜用支持体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016501293A (ja) * 2012-11-26 2016-01-18 コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション 混合マトリックスポリマー組成物

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