JP2006175582A - ナノ構造体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 異方性をもつ結晶粒子と、該結晶粒子の特定の結晶面に一端側が結合する接続子と、該接続子の他端側に結合される他の粒子とを準備し、前記結晶粒子の特定の結晶面に前記接続子の一端側を結合し、それと同時又は前後のいずれかで前記他の粒子の表面に前記接続子の他端側を結合し、最密充填構造以外の三次元構造をもつナノ構造体を得ることを特徴とするナノ構造体の製造方法。
【選択図】 図3
Description
特許文献2には、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状構造体と該柱状構造体を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコン混合膜を形成する工程及び(c)該アルミニウムシリコン混合膜を陽極酸化して細孔を形成する工程を有するシリコン酸化物ナノ構造体の製造方法が開示されている。
これらの技術は、化学のみならず、医学、薬学、生物学などにも広く役立つと考えられる技術である。
しかしながら、これらの従来技術は製造コストが高く、歩留まりも悪い。また、これらの従来技術は二次元的な工作方法であり、三次元構造の材料を大量に生産する用途には不向きである。
しかしながら、通常の自己組織化では、粒子が等方的であるために、微粒子が最密に充填された構造体しか得られないことが問題となっている。
また本発明の製造方法によれば、最密充填構造以外の任意の三次元構造を持つ新規のナノ構造体を安価に大量に製造することができる。
すなわち、本発明によるナノ構造体の製造方法は、異方性をもつ結晶粒子と、該結晶粒子の特定の結晶面に一端側が結合する接続子と、該接続子の他端側に結合される他の粒子とを準備し、前記結晶粒子の特定の結晶面に前記接続子の一端側を結合し、それと同時又は前後いずれかで、前記他の粒子の表面に前記接続子の他端側を結合し、最密充填構造以外の三次元構造をもつナノ構造体を得ることを特徴としている。
結晶粒子は、属する結晶構造系に応じて四面体、六面体、八面体、十面体、十二面体などの形状をとる。これらの多面体の各面は化学的ポテンシャルが異なるため、ある反応基に対する各面の反応性が異なる。そのため、特定の反応基は結晶粒子の所定の面だけに優先的に作用する可能性が高い。
図1〜図3は本発明の製造方法の第1実施形態を説明する図であり、本実施形態では、異方性をもつ結晶粒子として、図1に示す六面体結晶粒子1を用い、他の粒子として図3(a)の下部に示す十面体結晶粒子7を用い、さらに接続子として、一端側に六面体結晶粒子1の所定の結晶面5に優先的に結合する第1の反応基3と、他端側に十面体結晶粒子7の所定の結晶面に優先的に結合する第2の反応基4をもった接続子2とを用い、この接続子2を介して六面体結晶粒子1と十面体結晶粒子7を結合し、図3(b)に示すような三次元構造のナノ粒子8を製造する場合を例示している。図1(a)は六面体結晶粒子1の結晶軸方向を示す斜視図、図1(b)は六面体結晶粒子1の各結晶面を示す斜視図、また図2(a)は接続子の構造を示す構成図、図2(b)は六面体結晶粒子1の所定の結晶面5に接続子2の第1の反応基4が結合された状態を示す構成図、図3(a)は各粒子1,7に接続子2が結合した状態を示す構成図、図3(b)は得られるナノ構造体8を例示する斜視図である。
また、この製造方法では、簡単な化学反応等によって結晶粒子同士又は結晶粒子と他の粒子とを結合することができるので、最密充填構造以外の任意の三次元構造を持つ新規のナノ構造体を安価に大量に製造することができる。
本実施形態では、異方性をもつ結晶粒子として十面体酸化チタン粒子を用い、他の粒子としてシリカ粒子を用い、また接続子として十面体酸化チタン粒子の所定の結晶面に析出させた金粒子とシランカップリング剤とを用いる。このシランカップリング剤としては、金に結合するメルカプト基とシリカ粒子表面に結合するメトキシ基とを両方もつ3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いる。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに詳細な検討を続け、より効果的に、任意の三次元構造をもつナノ構造体およびそれを大量に製造する方法を発明した。具体的には、異方性をもち、かつ光活性をもつ結晶粒子に、光照射をほどこすことにより、結晶粒子の特定の結晶面に金属、無機化合物、有機化合物などを析出させ、接続子又は接続子の一部とすることを特徴とする最密充填構造以外の三次元構造をもつナノ構造体の製造方法において、照射する光の強度と、光照射を行う際の結晶粒子を分散させる溶媒種と、結晶面に析出させる金属、無機化合物、有機化合物などの前駆体溶液の濃度とを最適化することにより、異方性をもつ結晶粒子の、特定の結晶面に対してのみ接続子を析出させる効果(接続子析出の面選択性)を著しく向上させることができることを見出した。接続子析出の面選択性を著しく向上させた結果、より、均一な構造のナノ構造体を形成することが可能となった。これにより、さらに特異で強力な電気的、光学的、化学的特性を示すナノ構造体を得ることができると予想される。
本具体例では、異方性をもつ結晶粒子として十面体酸化チタン粒子を用い、他の粒子としてシリカ粒子を用い、接続子として十面体酸化チタン粒子の所定の結晶面に析出させた金粒子とシランカップリング剤とを用いる。このシランカップリング剤としては、金に結合するメルカプト基とシリカ粒子表面に結合するメトキシ基とを両方もつ、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いる。
四塩化チタンを原料とするCVD法により、図4に示すような十面体形状の酸化チタン結晶粒子を合成した。酸化チタンは正方晶系に属しており、十面体を形成する面は、(001)を反映した正方形の面と(101)を反映した台形の面からなっている。この十面体酸化チタン粒子の粒径は平均で100nmであった。
次に、この十面体酸化チタン粒子を塩化金酸を含む2−プロパノール溶液中に分散させ、高圧水銀灯の光を照射することにより、十面体酸化チタン結晶粒子表面に金粒子を約20質量%光析出させた。溶液をスライドガラス上に数滴たらし乾燥させた後、観察したSEM像を図5に示す。
観察の結果、金粒子は主に十面体酸化チタン粒子の(101)面に光析出していることがわかった。これは、光反応の一部である還元反応が十面体酸化チタン粒子の(101)面で優先的に起きていることを示している。
粒径約500nmの市販の球状シリカ粒子をシランカップリング剤(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)で表面修飾した。このとき、シランカップリング剤のメトキシ基側がシリカ粒子と接続すると考えられるため、修飾後のシリカ粒子はメルカプト基が表面に出ていることになる。
次に、このシリカ粒子を、実施例1において調製した金担持十面体酸化チタン粒子を分散させた溶液に加えて撹拌し、ナノ構造体を形成した。撹拌後のナノ構造体のSEM像を図6に示す。
観察の結果、球状シリカ粒子が十面体酸化チタン粒子の(101)面に結合していることが確認できた。これは、メルカプト基が十面体酸化チタン粒子の(101)面に光析出した金粒子とのみ結合してナノ構造体が形成されたものと考えられる。また、直鎖構造のナノ構造体のみが形成されていた。これはシリカ粒子のサイズが十面体酸化チタン粒子と比べて非常に大きいため、立体的な反発により、十面体酸化チタン粒子の隣り合う(101)面に二つのシリカ粒子が結合できないためと考えられる。
実施例1で用いた十面体酸化チタン粒子と、実施例2で用いた球状シリカ粒子とを、2−プロパノール溶液中に分散させた。溶液をスライドガラス上に数滴たらし乾燥させた後、SEMにて観察したところ、十面体酸化チタン粒子と球状シリカ粒子がそれぞれ別々に凝集していた。球状シリカ粒子は最密充填に凝集していたが、十面体酸化チタン粒子はランダムに凝集した。
本実施例では、酸化チタン微粒子に結晶面特異的に析出させた金属と球状シリカ粒子を架橋させることにより、特定方向に結合をもつ新規ナノ構造体の調製を試みた。
四塩化チタンを原料とするCVD法で図7に示すような十面体形状の酸化チタン結晶粒子を合成した。酸化チタンは正方晶系に属しており、十面体を形成する面は、(001)を反映した正方形の面と(101)を反映した台形の面からなっている。この十面体酸化チタン粒子の粒径は、平均で100nmであった。これを2−プロパノールに20mg/Lの濃度で混合し、超音波処理を施して分散させた。ここに1g/10mLの塩化金酸水溶液を、水溶液中に含まれる金の質量で換算し、2−プロパノール中に分散する十面体酸化チタン粒子に対して20質量%になるように秤量して加え、よく混合した。これに、365nmの波長を発する高圧水銀灯の光を、10mW/cm2の強度で照射することにより、十面体酸化チタン粒子の表面に光析出させた。溶液をスライドガラス状に数滴たらし乾燥させた後、観察したSEM像を図10に示す。観察の結果、金粒子の殆どは十面体酸化チタン粒子の(101)面に光析出していることがわかった。SEM観察により金粒子の体積を計測した結果、十面体酸化チタン粒子表面に析出した金の総量のうち、97%が(101)面に析出していることがわかった。
四塩化チタンを原料とするCVD法で十面体形状の酸化チタン結晶粒子を合成した。この十面体酸化チタン粒子の粒径は、平均で100nmであった。これを2−プロパノールに50mg/Lの濃度で混合し、超音波処理を施して分散させた。ここに1g/10mLの塩化金酸水溶液を、水溶液中に含まれる金の質量で換算し、2−プロパノール中に分散する十面体酸化チタン粒子に対して40質量%になるように秤量して加え、よく混合した。これに、365nmの波長を発する高圧水銀灯の光を、60mW/cm2の強度で照射することにより、十面体酸化チタン粒子の表面に光析出させた。溶液をスライドガラス状に数滴たらし乾燥させた後、観察した結果、金粒子は十面体酸化チタン粒子の表面に析出したが、(101)面、(001)面の両方に、ほぼ同じ割合で析出していた。
Claims (16)
- 異方性をもつ結晶粒子と、該結晶粒子の特定の結晶面に一端側が結合する接続子と、該接続子の他端側に結合される他の粒子とを準備し、前記結晶粒子の特定の結晶面に前記接続子の一端側を結合し、それと同時又は前後いずれかで、前記他の粒子の表面に前記接続子の他端側を結合し、最密充填構造以外の三次元構造をもつナノ構造体を得ることを特徴とするナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ2種類以上の結晶粒子を前記接続子を介して結合させることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ結晶粒子の特定面と非結晶粒子を前記接続子を介して結合させることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ結晶粒子に結合される接続子がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ結晶粒子の特定面に金属粒子を付着させ、該金属粒子を接続子又は接続子の一部として用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ結晶粒子が十面体酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のナノ構造体の製造方法。
- 十面体酸化チタン粒子を金属塩溶液に懸濁し、紫外光を照射することにより、十面体酸化チタン粒子の特定の結晶面に金属を析出させ、該金属を接続子又は接続子の一部とすることを特徴とする請求項6に記載のナノ構造体の製造方法。
- 金属塩溶液に含まれる金属が、金又は白金であることを特徴とする請求項7に記載のナノ構造体の製造方法。
- 十面体酸化チタン粒子の結晶面のうち、(101)面を反映した結晶面に金又は白金を析出させることを特徴とする請求項8に記載のナノ構造体の製造方法。
- 十面体酸化チタン粒子の(101)面を反映した結晶面に金を析出させ、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを接続子に用い、該接続子の一端と前記金とを結合するとともに、接続子の他端側を他の粒子として用いるシリカ粒子の表面に結合し、十面体酸化チタン粒子とシリカ粒子とを接続子を介して直鎖状に結合したナノ構造体を得ることを特徴とする請求項9に記載のナノ構造体の製造方法。
- 異方性をもつ結晶粒子と、該結晶粒子の特定の結晶面に一端側が結合した接続子と、該接続子の他端側が結合した他の粒子とを有してなり、最密充填構造以外の三次元構造をもつことを特徴とするナノ構造体。
- 異方性をもつ2種類以上の結晶粒子を前記接続子を介して結合させた構造であることを特徴とする請求項11に記載のナノ構造体。
- 異方性をもつ結晶粒子の特定面と非結晶粒子を前記接続子を介して結合させた構造であることを特徴とする請求項11に記載のナノ構造体。
- 前記接続子がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のナノ構造体。
- 異方性をもつ結晶粒子の特定面に金属粒子が付着され、該金属粒子を接続子又は接続子の一部として用いていることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のナノ構造体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のナノ構造体の製造方法により得られたことを特徴とするナノ構造体。
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