JP2006171319A - 走査露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 走査露光装置において、fθ補正光学系を備えることなく、像面湾曲を補正できるようにする。
【解決手段】 レーザ光源30で形成される所定の光束径のレーザビーム30aを曲率可変ミラー20で反射してポリゴンスキャナ5で偏向し、露光面6を走査する。曲率可変ミラー制御手段51により曲率可変ミラー20の反射面21aの曲率をレーザビーム30aの走査位置に応じて可変し、露光面6上での像面湾曲を補正する。そして、露光制御手段8により、レーザビーム30aの露光面6上での主走査方向の露光位置および露光量を補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走査露光装置に関する。
従来、電子写真方式を用いた画像形成システム、例えば、プリンタ、デジタル複写機などにおいて、静電潜像を形成するための露光手段として、集光されたレーザビームをポリゴンミラーなどの光偏向器により走査する走査露光装置を用いることが知られている。
このような走査露光装置には、光偏向器により等角速度で走査されたレーザビームを露光面上で直線等速走査させるためのfθ特性を有するfθレンズを含む走査光学系を採用する場合が多い。しかしながらfθレンズは、広角走査を行うため大径となることが多く、副走査方向では面倒れ補正光学系を構成する必要があるため、例えばアナモフィックレンズなどの高価なレンズが必要となるという問題があった。
そのため、fθレンズを用いずに、主走査方向の点灯タイミングを走査速度に応じて補正するクロック補正を採用した走査露光装置が提案されている。
そのような装置として、例えば特許文献1には、fθ補正係数に基づいて補正クロック信号を発生し、画像データに基づいてPWM制御を行うことにより、走査位置と必要露光量の補正を行うため、fθレンズを用いることなく走査露光を行うことができる画像形成装置が記載されている。
また、これに関連する技術として、特許文献2には、光パワー制御回路、絞り径制御回路を備え、走査の画素ピッチを変更する際にレーザ光の光出力と像面スポット径を変更できるようにした画像形成装置が記載されている。
特開平10−96869号公報(第5−11頁、図1、5) 特開平5−142494号公報(第2−6頁、図1)
しかしながら、上記のような従来の走査露光装置には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、補正クロック信号により点灯タイミングを変えることにより、走査線上の走査速度の変化に応じて走査位置を補正し、それぞれの露光位置での走査速度に合わせて必要露光量を露光するためのPWM制御を行うので、走査位置と露光量とは補正されるものの、露光面のスポット径の変化を補正することができない。そのため、スポット径が大きくなる走査位置では、必要以上の領域に露光されるため、露光後の1ドット画像の形状が不安定となるという問題がある。また、隣接ライン間で露光領域が重なり合う結果、画像の濃度むらやゴーストが生じてしまうという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、PWM制御に加えてレーザ光のパワー制御を行うことができるので、露光面のスポット径が変化しても光出力を変えることで、露光範囲を可変することができる。ところが、レーザ光は略ガウスビームと見なすことができるので、光出力と露光後に形成される画像のドット径とは比例関係になく、特にビームウエスト径から大きくずれたドット径を形成することは難しい。
このため、fθレンズなどにより光学的に露光面上のスポット径を均一化する場合に比べて、露光後のドット径が不均一となってしまい画像品質が劣ったものになるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、fθ補正光学系を備えることなく、像面湾曲を補正できる走査露光装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、集光された光ビームを偏向して露光面上で走査させるとともに、前記露光面上の走査線に沿う所定ピッチの露光区間内に、それぞれの必要な露光量の照射を行う走査露光装置であって、所定の光束径の光ビームを形成するビーム光源と、該ビーム光源により形成された光ビームを一定方向に向けて反射するとともに反射面の曲率が可変とされた曲率可変ミラーと、該曲率可変ミラーで反射された光ビームを偏向して前記露光面上を走査させる光偏向器と、該光偏向器により走査される光ビームの光出力および点灯時間を前記露光区間ごとに制御可能な露光制御手段と、前記曲率可変ミラーの反射面の曲率を前記光ビームの走査位置に応じて制御する反射面曲率制御手段とを備え、前記露光制御手段により前記曲率可変ミラーの反射面の曲率を制御して、前記光ビームの像面湾曲を補正し、前記露光制御手段により前記光ビームの主走査方向の露光位置および露光量を補正する構成とする。
この発明によれば、露光制御手段により、所定ピッチの露光区間内で、ビーム光源により出射される光ビームの光出力および点灯時間を制御することができるので、光ビームがそれぞれ光偏向器により露光面を走査する際、各露光区間の走査速度が変化する場合であっても、それに応じて光出力および点灯時間を制御して各露光区間で必要な露光量が得られるように露光位置および露光量が補正される。
そして、反射面曲率制御手段により、光ビームの走査位置に応じて反射面の曲率を制御することにより、像面を動的に移動することにより、光ビームの像面湾曲を補正することができる。それにより、fθ補正光学系を用いることなく露光面上のスポット径のバラツキを低減し、各露光区間に略均一な走査露光を行うことができる。
ここで光ビームの像面湾曲の補正量は、露光面上のスポット径が、露光面に必要な大きさのドット画像を形成できるスポット径となる量に補正する。したがって、許容範囲内であれば、像面湾曲が残されていてもよい。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の走査露光装置において、前記曲率可変ミラーが、可撓性を有する金属膜からなる反射面と、該反射面を静電吸引力により変形せしめる複数の電極とを備える構成とする。
この発明によれば、複数の電極の静電吸引力をそれら電極の位置に応じて可変することにより、可撓性を有する金属膜からなる反射面を適宜の曲面に変形することができる。そのため、主走査方向および副走査方向にそれぞれ曲率を有する自由曲面を容易に得ることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の走査露光装置において、前記曲率可変ミラーが、可撓性を有する金属膜からなる反射面と、該反射面の裏面側を変位可能に支持する複数の変位素子とを備える構成とする。
この発明によれば、可撓性を有する金属膜からなる反射面の裏面側を支持する複数の変位素子の変位量を、それら変位素子の位置に応じて可変することにより、反射面を適宜の曲面に変形することができる。そのため、主走査方向および副走査方向にそれぞれ曲率を有する自由曲面を容易に得ることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の走査露光装置において、前記曲率可変ミラーと前記光偏向器との間の光路に、前記光ビームを副走査方向に集光して前記光偏向器の偏向反射面上に結像する第1結像素子を配置し、前記光偏向器と前記露光面との間に、前記光偏向器で反射された前記光ビームを副走査方向に集光し、前記露光面に結像する第2結像素子を配置した構成とする。
この発明によれば、第1結像素子と第2結像素子とにより、副走査方向において偏向反射面と露光面とが共役となるので、偏向反射面の面倒れ補正を行うことができる。
本発明の走査露光装置によれば、曲率可変ミラーにより像面湾曲を補正でき、露光制御手段により、露光位置および露光量を補正することができるので、fθ補正光学系を用いることなく、各露光区間で略均一な走査露光を行うことができ、簡素かつ高品質の走査露光を行うことができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る走査露光装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の概略構成および走査平面内の光路について説明するための模式説明図である。図2は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の走査平面に直交する方向の光路について説明するための光路説明図である。図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の曲率可変ミラーの概略構成について説明するため平面説明図およびそのa−a断面図である。
本実施形態の走査露光装置1は、所定の露光面6上において、画素密度により決まる所定ピッチで設けられた露光区間内に、画像信号に応じて変調された光ビームを走査し、露光面上に画像信号に応じて露光する装置であり、露光部を顕像化することにより、ドット画像による画像パタンを形成する画像形成システムに好適に用いることができるものである。例えば、電子写真方式のプリンタ、デジタル複写機などの画像形成システムの走査露光装置として好適に用いることができるものである。
本実施形態では、光路中にミラーなどを配置して光路を折り畳むことも可能であるが、説明の簡単のため折り畳まない場合の光路で説明する。
また、誤解の恐れがないかぎり、主走査方向および副走査方向を広義の意味に用い、露光面に限らず、各光路に直交する断面の2方向を参照する場合にも用いることにする。
走査露光装置1の概略構成は、図1に示すように、レーザ光源30(ビーム光源)、曲率可変ミラー20、曲率可変ミラー制御手段51(反射面曲率制御手段)、露光制御手段8、ポリゴンスキャナ5(光偏向器)、ポリゴンスキャナ駆動手段7、および同期検知手段15からなる。
レーザ光源30は、略平行光束とされたレーザビーム(光ビーム)を発生する光源である。
本実施形態では、変調信号に応じて変調駆動可能とされたレーザダイオードからなるLD2、コリメートレンズ4、および開口絞り3から構成され、レーザビーム30aを光軸10aに沿って出射できるようになっている。
コリメートレンズ4は、LD2から放射された発散光を略平行光束とするための光学素子である。
開口絞り3は、所定の絞り形状、例えば楕円、円、矩形、長円形などの開口を備え、コリメートレンズ4から出射された略平行光束の光束径の大きさを規制するための光量規制部材である。
開口絞り3の開口形状は、像面のスポット形状の必要に応じた大きさ、形状に設定される。例えば、像面でのスポット形状が、副走査方向を長径とする略楕円スポットとするには、開口絞り3の主走査方向の開口幅を副走査方向の開口幅よりも大きく設定する。
露光制御手段8は、走査露光装置1に入力される画像信号に応じてLD2を変調する変調信号を生成し、レーザ光源30から出射されるレーザビーム30aをパワー変調(PM変調)およびパルス幅変調(PWM変調)するための手段である。PM変調は、LDチップ22の駆動電流のピーク値を制御して光出力を制御する変調方式である。PWM変調は、駆動電流のオンオフタイミングを制御して、適宜のタイミングで適宜の点灯時間設定する可変幅パルス信号を用いる変調方式である。
PWM変調は、後述するライン同期信号を基準信号とすることにより、1走査内で任意のタイミングによりレーザビームの点灯および消灯を制御することができる。そのため、像高により走査速度が変化しても、後述するfθ補正を行うことができるようになっている。
曲率可変ミラー20は、光軸10aに沿って入射する略平行光束のレーザビーム30aを集光するとともに後述するポリゴンスキャナ5に向かう光軸10bの方向に偏向するパワーを有する反射光学素子であり、反射面21aを変形することによりその曲率が可変でき、レーザビーム30aを露光面6上に結像できるようになっている。その概略構成は、図3(a)、(b)に示すように、弾性金属膜21(可撓性を有する金属膜)、ミラー保持部23、支持基板24および静電吸引電極22…(電極)からなる。
ここで、曲率は、必要な結像性能が得られればよく、球面に限定されないことは言うまでもない。特に、主走査方向と副走査方向との曲率はそれぞれ独立に可変できることが好ましい。本実施形態では、反射面上の位置により曲率が変化する自由曲面を形成できるようになっている。
弾性金属膜21は、表面に適宜の反射率を有する反射面21aが形成された可撓性を有する金属膜である。金属膜としては、例えばニッケル電鋳薄膜などを採用できる。
反射面21aは、金属膜の表面自体により形成してもよいが、必要に応じて反射膜コーティングを施すことにより高反射率を得ることができる。また、例えば酸化防止など適宜の保護膜コーティングを施すことができる。
反射面21aは、初期状態(図示の実線)が平面として構成され、変形状態(図示の2点鎖線)で適宜の曲率が付与される構成としてもよいし、初期状態で適宜の曲率が付与されて、変形することによりその曲率が可変されるように構成してもよい。
ミラー保持部23は、弾性金属膜21の周辺部を挟持して、略同一平面に保持するための枠状部材である。そして、弾性金属膜21を所定の電位の状態で支持基板24上に保持できるようになっている。
ミラー保持部23の平面視の形状は、図3(a)に示すように、例えば円形の開口を有する形状とされ、反射面21a側でレーザ光源30から出射されたレーザビーム30aが蹴られることなく反射できるようになっている。
なお、ミラー保持部23の平面視の開口形状は、円形とは限らず、レーザビーム30aの光束の形状や、反射面21aの曲率を可変しやすい形状などを考慮して適宜の形状に設定することができる。
例えば、主走査方向と副走査方向との曲率を変える場合には、径方向を主走査方向、副走査方向にそれぞれ合わせた楕円状の開口とすると好都合である。
支持基板24は、ミラー保持部23および静電吸引電極22…を固定するためのベース部材である。
静電吸引電極22は、支持基板24上で弾性金属膜21のうち反射面21aの裏面側に弾性金属膜21と対向して配置された電極である。その大きさは反射面21aの大きさに比べて小さく、図3(a)に示すように、平面視で、それぞれの間でわずかの隙間を設けて多数設けられている。
それぞれの静電吸引電極22は、不図示の配線により曲率可変ミラー制御手段51と電気的に接続されており、曲率可変ミラー制御手段51により、それぞれ選択的に電圧が印加され、所定電位に設定された弾性金属膜21との間に静電吸引力を発生させるものである。
曲率可変ミラー制御手段51は、静電吸引電極22…のそれぞれに適宜の電圧を選択的に印加することにより、弾性金属膜21に対する適宜の吸引力分布を形成するための手段である。そして、レーザビーム30aの走査時に、後述するライン同期信号を基準として、走査画角に応じて吸引力分布を可変できるようになっている。
ポリゴンスキャナ5は、ミラー面5a…が多角形状に配置されたポリゴンミラーを多角形の中心を回転軸として主走査方向に高速回転できるようにした光偏向器である。本実施形態では、図1に示すように、6面のポリゴンミラーを、紙面内で時計まわり方向に等角速度で回転できるような構成とされる。
ポリゴンスキャナ5は、曲率可変ミラー20で反射され光軸10b上を進んで入射されるレーザビーム30aを、偏向点Pで角度φ方向に偏向し露光面6上の像高0(点B)に向かう光軸10cを中心に走査することができるようになっている。
偏向点Pから露光面6までの距離は、L(=PB)とされる。
有効走査画角は、走査開始方向から角度(θ+θ)の画角(ただし、θ>θ)より若干広い範囲とされる。画角θは、同期検知位置である。
ここで画角θは、露光面6上の最大像高であり、有効露光幅をWとすると、
W/2=tanθ ・・・(1)
の関係にある。
ポリゴンスキャナ駆動手段7は、ポリゴンスキャナ5を所定速度で回転させるための駆動手段である。ポリゴンスキャナ5の回転速度は、所望の画像密度で露光するために、露光面の副走査方向の走査速度と露光面6上の副走査方向の必要露光ピッチとから決定される。
同期検知手段15は、画角θの光路上に配置された同期検知センサを備え、レーザビーム30aを受光して、それが画角θで規定される所定位置に到来したことを検出し、走査開始位置の同期制御を行うためのライン同期信号を出力するものである。
折り返しミラー16は、画角θを進むレーザビームの光路を、同期検知手段15の受光面に向けて偏向するためのものである。
次に走査露光装置1の動作および作用について説明する。
図4は、本発明に実施形態に係る走査露光装置の曲率可変ミラーの曲率と走査速度との関係について説明するための模式グラフである。横軸(図5〜7も同様)は像高で表した走査位置を示し、縦軸は曲率可変ミラーの反射面の曲率を示す。図5は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面での走査位置と走査速度との関係について説明するための模式グラフである。縦軸は露光面上の走査速度を示す。図6は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面上の走査位置と単位画素を形成するための1ドットクロック時間を示す。図7は、本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面上の走査位置と光ビームの光出力との関係について説明するための模式グラフである。縦軸は光ビームの光出力のピーク値を示す。
走査露光装置1によれば、図1に示すように、LD2からレーザビーム30aが発散光として出射され、コリメートレンズ4により略平行光束とされ、開口絞り3によりの所定の光束径に整形され、光軸10a上を進む。
そして、曲率可変ミラー制御手段51により所定曲率に制御された曲率可変ミラー20の反射面21aにより、集光されて光軸10bの方向に反射される。
反射面21aの曲率は、曲率可変ミラー制御手段51により静電吸引電極22…のそれぞれに適宜の電圧を印加して、弾性金属膜21に対する吸引力分布を反射面21aの裏面側で2次元的に変えて弾性金属膜21を弾性変形させることにより行う。
吸引力分布と曲率との関係は、例えば、シミュレーションや実験などにより予め求めておく。
そして、ポリゴンスキャナ駆動手段7により一定の回転速度で回転するミラー面5aに入射し、ミラー面5aの回転角に応じて偏向される。
画角θで偏向されたレーザビーム30aは、折り返しミラー16で偏向され、同期検知手段15で同期検知される。そして、ライン同期信号が生成され、露光制御手段8に伝送される。
ライン同期信号は、画角θからの光ビームの走査位置を参照可能とするもので、露光制御手段8および曲率可変ミラー制御手段51が走査位置に応じた制御を行う際の基準信号となっている。例えば、書き出し開始位置制御、露光位置補正制御、露光量補正制御、像面湾曲制御などに用いられる。
画角±θの範囲では、偏向されたレーザビーム30aは、露光面6を等角走査するようになっている。
このとき、反射面21aの曲率が一定であると、レーザビーム30aの像面は、偏向点Pの近傍を回転中心とする略円弧状の像面湾曲となる。
例えば、光軸10bから画角θの位置にあるレーザビームPQにおいて、像高yと、露光面6までの光路長Lは、
y(θ)=BQ=L・tanθ ・・・(2)
L(θ)=PQ=L/cosθ>L ・・・(3)
である。そのため、像面湾曲を補正するには、結像位置を、
Δ(θ)=L・(1/cosθ−1) ・・・(4)
だけ後側ずらす必要がある。すなわち、反射面21aの焦点距離がΔ(θ)だけ延びるように弾性金属膜21の曲率を設定する。例えば、θ=θの場合、レーザビーム30aは、図1、2に2点鎖線で示したレーザビーム30bのように結像位置がずらされ、露光面6上に結像される。
したがって、像高で表した走査位置と反射面21aの曲率の関係は、図4上で上に凸の曲線100で示されるように、像高0を中心として高像高に向かうほど曲率が下がるという関係になる。この関係は、例えばビームウエスト径の設定により絶対値は異なるが、主走査方向、副走査方向のいずれにも共通である。
曲率可変ミラー制御手段51には、例えば、走査位置(像高)と主走査方向、副走査方向の必要な曲率との関係がテーブル、もしくは条件式などの形で記憶されている。そして曲率可変ミラー制御手段51は、ライン同期信号を基準として、走査位置を検出し、走査位置に応じて反射面21aの曲率を変える制御を行う。
また、走査位置については、式(2)の関係があるため、画角θが等角速度で変わる場合、露光面6上の走査速度は、図5上で下に凸の曲線101で示されるように、像高が高い側で相対的に速く、像高0で最小となるような変化を示す。
次に、走査露光装置1のfθ補正について簡単に説明する。
fθ補正は、図5に示す走査速度の変化に応じて、露光制御手段8により、1ドットクロック時間、点灯時間、および光出力とを像高ごとに変えることにより行う。
1ドットクロック時間は、画素密度に応じて決まる単位画素を露光面6上で等ピッチに形成するための補正クロック周期である。例えば、図7に上に凸の曲線102で示すように、走査速度が大きい像高の高い領域では1ドットクロック時間を短くし、像高0で最も長くするように変化させる。
このような制御は、露光制御手段8のPWM変調により実現される。
このように1ドットクロック時間を変化させると、像高の高い領域で露光量が不足するので、それを補うために、例えば、図7に下に凸の曲線103で示すように、像高の高い領域での光出力を像高0の光出力に比べて相対的に大きくする。ここで、光出力は、1ドットを形成するための光出力である。
このような制御は、露光制御手段8のPM変調により実現される。
点灯時間は、本実施形態の場合、像面湾曲が補正され、主走査方向の露光面6上のスポット径が略均一化されているので、露光後の主走査方向の画素径を適切とするには、1ドットクロック時間内の点灯デューティが一定となるように制御する。そのため、1ドットクロック時間に変化に応じて可変される。
以上に説明したように、走査露光装置1によれば、曲率可変ミラー20により像面湾曲補正を行い、露光制御手段8によりクロック補正、点灯時間補正、光出力補正を行うことにより、主走査方向の露光位置および露光量を補正するので、fθ補正光学系を設けることなく、露光面6上を略均一のスポット径を有するレーザビーム30aによる等速走査することができる。
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。
本変形例は、上記実施形態の曲率可変ミラーに関する変形例である。
図8は、本発明の実施形態の第1変形例の曲率可変ミラーの概略構成について説明するための平面説明図およびそのb−b断面図である。
本変形例の曲率可変ミラー25は、上記実施形態の曲率可変ミラー20の静電吸引電極22に代えてピエゾ素子26(変位素子)を設けたものである。以下、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ピエゾ素子26は、圧電効果を利用して一定方向に伸縮可能とされたアクチュエータであり、例えば、適宜のセラミックを所定形状に成形して電圧を印加できるようにしたものである。本実施形態では、反射面21aの大きさに比べて小さい断面積を有するような柱状に成形され、一方の端面が反射面21aの裏面側で弾性金属膜21と固定され、他方の端面が支持基板24上に固定されている。そして、これらが適宜間隔をおいて多数設けられ、曲率可変ミラー制御手段51によりそれぞれが独立に制御電圧を印加できるようになっている。
また、曲率可変ミラー制御手段51は、ピエゾ素子26…のそれぞれに適宜の電圧を選択的に印加することができる。そのため、弾性金属膜21を反射面21aと略直交する方向に変位させることにより、反射面21aの曲率を可変できる。
本変形例は、ピエゾ素子26により弾性金属膜21を直接的に変位させるので、印加電圧と曲率との関係を容易に求めることができるという利点がある。
次に、本実施形態の第2変形例について説明する。
図9は、本発明の実施形態の第2変形例の走査露光装置の概略構成および走査平面内の光路について説明するための模式説明図である。図10は、本発明の実施形態の第2変形例の走査露光装置の走査平面に直交する方向の光路について説明するための光路説明図である。
本変形例の走査露光装置40は、走査露光装置1に面倒れ補正光学系を追加した場合の例となっており、上記の実施形態の走査露光装置1に加えて、シリンドリカルレンズ13(第1結像素子)、結像素子14(第2結像素子)を備える。以下、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
シリンドリカルレンズ13は、一方向のみに正のパワーを有する光学素子であり、コリメートレンズ4、開口絞り3と曲率可変ミラー20との間に配置され、開口絞り3から出射された略平行光束のレーザビーム30aを曲率可変ミラー20の副走査方向のパワーとの合成パワーによりミラー面5a上で、主走査方向に延びる略線状に結像するように配置される。
結像素子14は、一方向のみに正のパワーを有する光学面が長手方向に延された長尺状の光学素子であり、ポリゴンスキャナ5と露光面6との間の有効走査範囲にわたって配置される。結像素子14のパワーは、透過するレーザビーム30aが露光面6の近傍で結像されるようになっている。このため、結像素子14の形状は長手方向に湾曲されていてもよく、副走査方向のパワーは長手方向にわたって変化する構成としてもよい。
このような構成によれば、シリンドリカルレンズ13、結像素子14は主走査方向にはパワーを有しないので、主走査方向には上記実施形態と同様の動作を行うことができる。
一方、副走査方向には、シリンドリカルレンズ13、曲率可変ミラー20、結像素子14のパワーにより、ミラー面5aと像面6と共役になるので、面倒れ補正光学系となっている。
したがって、ポリゴンスキャナ5の面倒れが比較的大きい場合でも、副走査方向の露光ピッチが良好な走査を行うことができる。
なお、上記の説明では、曲率可変ミラー20の電極として、弾性金属膜21を静電吸引するものとして説明したが、適宜の曲率を得るために必要であれば、静電反発力を利用する構成としてもよい。
また、上記の説明では、曲率可変ミラーに略平行な光ビームを入射させる例で説明したが、コリメートレンズ4とLD2との間の距離を変えるか、コリメートレンズ4を適宜の集光素子に代えるかして、収束光を形成し、収束光ビームを入射する構成としてもよい。その場合、コリメートレンズ4または集光素子のパワーにより円弧状の像面湾曲を形成し、曲率可変ミラー20は、そのような円弧状の像面湾曲を補正するようにしてもよい。その場合、反射面21aのパワーを正負いずれにも可変できるようにすることで、露光面にまたがった像面湾曲を補正できるような構成とすることができる。
このような構成によれば、コリメートレンズ4または集光素子と曲率可変ミラー20との間で結像に要するパワーを配分した構成となるので、反射面21aのパワー分担を低減することができる。
また、上記の説明では、1ドットクロック時間を可変するのに応じて光出力をPM変調により可変することで、各露光区間の必要露光量が得られるようにした例で説明したが、PWM変調によって同等の露光量が得られるようにしてもよい。また、PWM変調とPM変調とを適宜併用してもよい。
また、上記の説明では、像高ごとの光出力の制御を図7に示すように像高0を中心として対称な変化をさせる例で説明したが、例えば、ミラー面5aに偏向角に依存したシェーディング特性が存在する場合、各像高の光出力をそのようなシェーディング特性を補正できるように可変してもよい。
また、上記の説明では、光ビームとして1ビームの場合で説明したが、複数ビームの場合にも適用できることは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る走査露光装置の概略構成および走査平面内の光路について説明するための模式説明図である。 本発明の実施形態に係る走査露光装置の走査平面に直交する方向の光路について説明するための光路説明図である。 本発明の実施形態に係る走査露光装置の曲率可変ミラーの概略構成について説明するため平面説明図およびそのa−a断面図である。 本発明に実施形態に係る走査露光装置の曲率可変ミラーの曲率と走査速度との関係について説明するための模式グラフである。 本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面での走査位置と走査速度との関係について説明するための模式グラフである。縦軸は露光面上の走査速度を示す。 本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面上の走査位置と単位画素を形成するための1ドットクロック時間を示す。 本発明の実施形態に係る走査露光装置の露光面上の走査位置と光ビームの光出力との関係について説明するための模式グラフである。 本発明の実施形態の第1変形例の曲率可変ミラーの概略構成について説明するための平面説明図およびそのb−b断面図である。 本発明の実施形態の第2変形例の走査露光装置の概略構成および走査平面内の光路について説明するための模式説明図である。 本発明の実施形態の第2変形例の走査露光装置の走査平面に直交する方向の光路について説明するための光路説明図である。
符号の説明
1、40 走査露光装置
2 LD
3 開口絞り
4 コリメートレンズ
5 ポリゴンスキャナ(光偏向器)
5a ミラー面(偏向反射面)
6 露光面
7 ポリゴンスキャナ駆動手段
8 露光制御手段
10a、10b、10c 光軸
13 シリンドリカルレンズ(第1結像素子)
14 結像素子(第2結像素子)
20、25 曲率可変ミラー
21 弾性金属膜(可撓性を有する金属膜)
21a 反射面
22 静電吸引電極(電極)
26 ピエゾ素子(変位素子)
30 レーザ光源(ビーム光源)
30a、30b レーザビーム(光ビーム)
51 曲率可変ミラー制御手段

Claims (4)

  1. 集光された光ビームを偏向して露光面上で走査させるとともに、前記露光面上の走査線に沿う所定ピッチの露光区間内に、それぞれの必要な露光量の照射を行う走査露光装置であって、
    所定の光束径の光ビームを形成するビーム光源と、
    該ビーム光源により形成された光ビームを一定方向に向けて反射するとともに反射面の曲率が可変とされた曲率可変ミラーと、
    該曲率可変ミラーで反射された光ビームを偏向して前記露光面上を走査させる光偏向器と、
    該光偏向器により走査される光ビームの光出力および点灯時間を前記露光区間ごとに制御可能な露光制御手段と、
    前記曲率可変ミラーの反射面の曲率を前記光ビームの走査位置に応じて制御する反射面曲率制御手段とを備え、
    前記露光制御手段により前記曲率可変ミラーの反射面の曲率を制御して、前記光ビームの像面湾曲を補正し、
    前記露光制御手段により前記光ビームの主走査方向の露光位置および露光量を補正することを特徴とする走査露光装置。
  2. 前記曲率可変ミラーが、
    可撓性を有する金属膜からなる反射面と、
    該反射面を静電吸引力により変形せしめる複数の電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載の走査露光装置。
  3. 前記曲率可変ミラーが、
    可撓性を有する金属膜からなる反射面と、
    該反射面の裏面側を変位可能に支持する複数の変位素子とを備えることを特徴とする請求項1に記載の走査露光装置。
  4. 前記曲率可変ミラーと前記光偏向器との間の光路に、前記光ビームを副走査方向に集光して前記光偏向器の偏向反射面上に結像する第1結像素子を配置し、
    前記光偏向器と前記露光面との間に、前記光偏向器で反射された前記光ビームを副走査方向に集光し、前記露光面に結像する第2結像素子を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の走査露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7635191B2 (en) 2006-08-09 2009-12-22 Funai Electric Co., Ltd. Manufacturing method for variable shape mirror
JP2012113277A (ja) * 2010-11-24 2012-06-14 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 露光波長調節装置及びそれを利用した露光機
JP2016150581A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 キヤノン株式会社 画像形成装置

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