JP2006169701A - ウィルス不活化効果を有する繊維材料 - Google Patents

ウィルス不活化効果を有する繊維材料 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、従来にない優れたウィルス不活化効果を有し、とりわけSARS(重症急性呼吸器症候群)ウィルスに対して優れた不活化効果を発揮する繊維材料を提供する。
【解決手段】
本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料は、ウィルス不活化成分として、下記一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散してなることを特徴とするものであり、下記一般式[I]において、Mは、Na、Zn、Fe、CuおよびAgからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属であることが好ましい。
【化1】
Figure 2006169701

(式中、nは1〜4の整数であり、Mは金属を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、従来にない優れたウィルス不活化効果を有し、とりわけSARS(重症急性呼吸器症候群以下、SARSと称する。)ウィルスに対して優れた不活化効果を発揮する繊維材料に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、各種の繊維素材に対し高い洗濯耐久性と風合いを両立し、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の用途に最適な汎用性に優れた、とりわけSARSウィルス不活化効果を有する繊維材料に関するものである。
2003年初頭から中国をはじめとする東〜東南アジア地域において大流行し、多数の死者や感染者を出すとともに、広範囲にわたる経済活動にも大きな打撃を与えたSARSウィルスは、現在のところ有効な治療法やワクチンも開発されておらず、如何にその感染を予防するか、如何に感染の拡大を防ぐかが重要な課題となっている。SARSウィルスへの感染は、主として患者との直接接触や飛沫感染の他、間接接触でも起こりうるとされており、感染者と直接接触する可能性の高い医師や看護婦、救急隊員および検疫官のみならず、一般の市民も常に感染の危機にさらされていると言える。このような状況下においては、これまで行われてきたマスクや手袋および防護服の着用等により、物理的にSARS(重症急性呼吸器症候群)ウィルスとの接触を避けるという手段のみならず、根本的な対策として、感染者との接触で衣料や施設内の物品などに付着したSARSウィルスそのものを不活化してしまうことが望まれる。
かかる問題への対応として、溶菌酵素や光触媒物質を用いたマスクが提案されているのみであるが(特許文献1および特許文献2参照。)、何れもその効果の検証がなされておらず、いまだSARSウィルス不活化の有効性は不透明である。また、ウィルス不活化成分である溶菌酵素や光触媒物質の取り扱い性、一般繊維製品への適用性、汎用性および繰り返し洗濯時の機能の耐久性など、依然として多くの課題が未解決のままであった。
実用新案登録第3097786号公報 実用新案登録第3100929号公報
そこで本発明の目的は、かかる背景に鑑み、従来にない優れたウィルス不活化効果を有し、とりわけSARSウィルスに対して優れた不活化効果を発揮する繊維材料を提供することにある。さらに、本発明の目的は、各種の繊維素材に対して、高い洗濯耐久性と風合いを両立し、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の用途に最適な汎用性に優れたSARSウィルス不活化効果を有する繊維材料を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料は、下記一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散してなることを特徴とするウィルス不活化効果を有する繊維材料である。
Figure 2006169701
(式中、nは1〜4の整数であり、Mは金属を示す。)
本発明の繊維材料の好ましい実施態様によれば、上記のウィルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウィルスであり、上記一般式[I]において、Mは、Na、Zn、Fe、CuおよびAgからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属である。
また、本発明の繊維材料の好ましい実施態様によれば、上記の一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、バインダー樹脂を介することなく繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散していることである。
また、本発明の繊維材料の好ましい実施態様によれば、上記の一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、繊維材料の全重量に対して0.05〜5重量%の割合で繊維に含まれていることである。
また、本発明の繊維材料の好ましい実施態様によれば、上記の繊維材料は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維および綿から選ばれた少なくとも1つの繊維を30重量%以上含むことであり、繊維材料が、わた、トウ、糸、不織布、編物および織物から選ばれたいずれか1つの形態の繊維材料であることである。
本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料は、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルターからなる群から選ばれた繊維製品に好適である。
本発明によれば、従来にない優れたウィルス不活化効果を有し、とりわけSARS(重症急性呼吸器症候群)ウィルスに対して優れた不活化効果を発揮する繊維材料を提供することができる。さらには、各種の繊維素材に対し高い洗濯耐久性と風合いを両立し、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスク、エアフィルター等の用途へ使用するのに最適な汎用性に優れたSARSウィルス不活化効果を有する繊維材料を提供することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維材料は、ウィルス、とりわけSARSウィルスに対して、優れた不活化効果を発揮するとともに、各種の繊維素材および用途に対しての高い洗濯耐久性と風合いを両立するために、ウィルス不活化成分として、金属ピリチオン系化合物を含んでいることが必須条件であり、かかる金属ピリチオン化合物は、下記一般式[I]で示されるものである。
Figure 2006169701
(式中、nは1〜4の整数であり、Mは金属を示す。)
上記一般式[I]で示される金属ピリチオン化合物のSARSウィルス不活化メカニズムは、現段階では定かではないが、特にSARSウィルスを含めエンベロープをもつウィルスは、そのエンベロープが何らかの手段で分解されると宿主となるヒト等の細胞に侵入することが出来なくなり、実質的にウィルスとしての機能を失う(=不活化)ことが知られており、上記本発明の金属ピリチオン化合物もウィルスのエンベロープに何らかの形で作用することで不活化効果を発揮するものと推定される。
かかる金属ピリチオン化合物としては、取り扱いの容易性や工業的な生産性の面からは、上記一般式[I]において、Mが、Na、Zn、Fe、CuおよびAgからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属であるものが好ましく、より好ましい化合物としては、Mが、Na(n=1)である(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムや、Mが、Zn(n=2)であるビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛などを例示することができる。中でも、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛は、化粧品やシャンプーなどの分野で広く使用されている実績もあり、ヒトへの安全性が高いという点で、人体への接触機会が多い本発明の繊維材料においては特に好ましく用いられる。
また、上記一般式[I]で示される金属ピリチオン化合物は、ウィルス不活化効果が謳われている銀ゼオライト系抗菌剤や酸化チタン系光触媒などに比べて、各種の繊維素材に対する吸着性や吸尽性が高く、特に、平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜1μmの微粒子とした場合、バインダー樹脂を用いなくても繊維素材に固着可能であり、高い耐洗濯性を付与することが可能である。
バインダー樹脂の併用は、繊維素材そのものの持つ風合いを著しく損なうばかりでなく、かかる金属ピリチオン化合物のウィルス不活化効果を阻害する要因ともなりうるので、バインダー樹脂は用いないことが好ましい。従って、本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料は、ウィルス不活化成分がバインダー樹脂を介することなく、繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散していることが好ましい。
本発明において、ウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物は、繊維材料を構成する繊維素材の全重量に対して0.05〜5重量%の割合で繊維に含まれていることが好ましい。含有量が0.05重量%未満となるとウィルス不活化効果が不安定となり、一方、含有量が5重量%を超えてもそれ以上のウィルス不活化効果は得られにくく、得られた繊維材料の堅牢度など諸物性に悪い影響を及ぼす場合がある。
かかるウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物を繊維素材に付与する方法としては、繊維の加工方法として用いられている各種の方法が適用可能であるが、中でも、パディング法、スプレー法、コーティング法や浴中吸着・吸尽法が好ましく用いられる。さらに、通常の生産工程を考慮した場合、繊維素材の形態が織物、編物および不織布など布帛の場合には、パディング法もしくはスプレー法が好ましく、繊維素材が、カセ、チーズ及びビーム糸等からなる縫製品の形態の場合には、中吸着・吸尽法が好ましく用いられ、わたやトウの場合にはスプレー法が好ましく用いられる。
パディング法、スプレー法およびコーティング法によりウィルス不活化成分を付与する場合は、予備乾燥後、さらに130℃以上、好ましくは170℃以上の温度で乾熱処理することが好ましい。また、浴中吸着・吸尽法を用いる場合は、染色条件と同条件、好ましくは100℃以上の温度で高圧染色条件で同時・同浴処理または2段・別浴処理をすることが好ましい。かかる条件の処理を行うことで、ウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物がバインダー樹脂を介することなく繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散し、得られるウィルス不活化効果の洗濯耐久性が飛躍的に向上する。
かかるウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物を繊維素材に付与するに際し、予め金属ピリチオン化合物の平均粒径を好ましくは2μm以下とし、より好ましくは0.1〜1μmの微粒子とし、汎用のアニオン系分散剤および/またはノニオン系分散剤とともに水中に分散しておくことも、加工性、洗濯耐久性およびウィルス不活化効果の向上等の面から好ましく行われる。また、ウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物を繊維素材に付与するのに先立ち、該繊維素材を糊抜、精練あるいは漂白等の前処理しておくことも均一な加工を施す上で好ましく行われる。特に、綿など天然繊維の場合は元来、油脂分を多く含みウィルス不活化成分の吸尽を阻害する傾向があるので、これらの前処理を行うことでウィルス不活化効果の耐久性を更に向上させることができる。
次に、本発明において該繊維材料を構成する繊維素材について説明する。繊維素材の種類は特に限定されるものではなく、合成繊維、再生繊維および天然繊維等、特に限定されることなく使用することができ、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン、塩化ビニルおよびポリプロピレン等の合成繊維、ジアセテートやトリアセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラおよびテンセル等の再生繊維、綿、麻、ケナフ、パルプ、羊毛および絹等の天然繊維を使用することができる。また、これらを任意の割合で2種以上、混練、混繊、混紡あるいは交編織して用いても何ら問題はない。
また、本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料を、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の用途に用いる場合、実用上の面からはポリエステル、ポリアミド、アクリル、レーヨンおよび綿から選ばれた少なくとも1つの繊維を30重量%以上含むことが好ましく、特に繰り返し過酷な条件下で洗濯を繰り返されるような場合には、ポリエステル繊維100%もしくはポリエステル繊維と綿の混用素材であることが更に好ましい。これらの繊維を用いた場合には、ウィルス不活化成分である金属ピリチオン化合物の吸着、吸尽性および洗濯耐久性が特に優れている。
また、本発明で用いられる繊維素材の形態としては、織物、編物および不織布等、如何なる形態のものであっても差し支えないが、上述の用途に用いる場合、実用上の面からはわた、トウ、糸、不織布、編物および織物から選ばれたいずれか1つの形態であることが好ましい。
以上から明らかなように、本発明の繊維材料は、従来にない優れたウィルス不活化効果を有し、とりわけSARSウィルスに対して優れた不活化効果を発揮する繊維材料であり、さらには各種の繊維素材に対し高い洗濯耐久性と風合いを両立したものである。したがって、本発明の繊維材料は、SARSウィルス感染者もしくはSARSウィルスそのものと直接的、間接的に接触し、非感染者への感染を媒介する恐れのある白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の用途に使用し、感染の拡大を防止するのに非常に効果的である。特に過酷な条件で繰り返し洗濯し使用されることの多い病院用の白衣、手術衣、看護衣、寝間着およびシーツ等は、本発明の繊維材料の非常に好ましい用途である。
以下、実施例に基づき、本発明のウィルス不活化効果を有する繊維材料について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<繊維材料の作製>
ウィルス不活化成分として、アーチケミカルズ社製のビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(商品名:ジンクオマダイン(登録商標))を用い、これを予め水、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ノニオン系分散剤)と共にボールミルに仕込み湿式粉砕処理して有効成分濃度20重量%のコロイド溶液としておいた。
一方、上記のウィルス不活化成分を付与する繊維素材として、経糸に167dtex/2−48fのポリエステル繊維100%加工糸を用い、緯糸に45番手/2のポリエステル繊維65%綿35%紡績糸を用い、織上密度タテ66本/インチ×ヨコ54本/インチで製織した病院白衣用のポリエステル綿混平織物を用いた。このポリエステル綿混平織物を、常法にて糊抜、精練、漂白、マーセライズ、ヒートセット、染色および乾燥し、次いで、上記で得られたビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛20重量%コロイド溶液の10重量%加工液に浸漬し、絞り率約60重量%のマングルで均一に絞った後、120℃の温度の乾燥機内で2分間予備乾燥し、さらに180℃の温度に設定したテンターで30秒間熱処理して、ウィルス不活化成分の含有量が1.0重量%の繊維材料を得た。この際、比較対照として、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛20重量%コロイド溶液による加工を行わない未加工の繊維素材も準備しておいた。
このようにして得られた繊維材料を用いて病院用の白衣を縫製するとともに、得られた繊維材料を走査型電子顕微鏡(SEM)およびX線マイクロアナライザーにより分析した結果、該ウィルス不活化成分は主として繊維材料を構成するポリエステル単繊維および綿繊維の表層部にリング状に分布していた。
<洗濯試験>
上記で得られた繊維材料の洗濯試験は、病院用白衣などに通常適用される高温の工業洗濯条件にて行った。すなわち、小型ドラム染色機を用い、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20の条件下で15分間洗濯し、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、脱水するというサイクルを工業洗濯試験1回とし、この試験を50回繰り返し行ったものを、工業洗濯50回後のサンプルとして評価に供した。
<SARSウィルス不活化効果の確認>
上記で得られた工業洗濯試験前後のサンプルのSARSウィルス不活化効果確認試験は、中国政府系ウィルス研究機関にて以下の条件で行った。
・試験期間:2004年2月から同年4月
・試験機関:中国疾病予防制御センターウィルス病予防制御所
・試験方法:ウィルス細胞形態変化(CPE)法を用いて本発明の繊維材料の体外でのSARSコロナウィルスに対する不活化効果を測定
・検 体:上記で得られた繊維材料から7cm×7cm/枚に切り出した工業洗濯50回前後のサンプルおよび同サイズに切り出した比較対照のサンプル
・ウィルス:SARS−COV−P5コロナウィルス株(中国薬品生物製品検定所検定SH200400010)
・ウィルス:SARS−COV−P11コロナウィルス株(中国薬品生物製品検定所検定SH200400017)
・細 胞:アフリカミドリザル腎継代細胞VERO E6
・希 釈:Eagle’s培養維持液(北京宝芝林生物技術有限公司提供)
上記の検体は、ステンレス容器内で30分間高圧消毒したのち試験に供した。この検体4〜8枚をそれぞれ容器に入れ、そこに100TCID50/ml濃度(TCID50:ウィルス半数組織培養感染量)のSARS−COV−P5コロナウィルス希釈液7mlまたはSARS−COV−P11コロナウィルス希釈液7mlを注ぎ、室温で4〜8時間作用させた後、ウィルス細胞形態変化(CPE)法により該検体のSARSコロナウィルスに対する不活化効果を測定した。すなわち、40万個/mlの濃度のアフリカミドリザル腎継代細胞VERO E6を培養プレートに接種し温度37℃、5%COで24時間培養して単層細胞化し、そこに検体4〜8枚と4〜8時間作用させた上述の溶液100μlを注入後、さらに温度37℃、5%COで7日間培養して細胞形態変化(CPE)を顕微鏡で観察した。以上の操作を3回繰り返して行い平均値を算出し、該ウィルスによるCPEが陰性のものを「−」、25%以下のものを「+」、26〜50%のものを「++」、51〜75%のものを「+++」、76〜100%のものを「++++」と表記した(CPEが少ないものほどSARSコロナウィルスに対する不活化効果が高い)。試験結果を表1に纏める。
Figure 2006169701
表1から明らかなように、本発明の繊維材料は、SARSウィルスに対して優れた不活化効果を有しており、その効果は、工業洗濯50回後も維持される。したがって、本発明の繊維材料を少なくともその一部に用いて白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の製品を作製することにより、これらの製品にも同種の効果が期待できる。
本発明の繊維材料は、ウィルス感染者もしくはウィルスそのものと直接的、間接的に接触し、非感染者への感染を媒介する恐れのある白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルター等の用途に使用し、感染の拡大を防止するのに非常に効果的である。

Claims (9)

  1. 下記一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散してなることを特徴とするウィルス不活化効果を有する繊維材料。
    Figure 2006169701
    (式中、nは1〜4の整数であり、Mは金属を表す。)
  2. ウィルスが、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウィルスであることを特徴とする請求項1記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  3. 一般式[I]において、Mが、Na、Zn、Fe、CuおよびAgからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属であることを特徴とする請求項1または2記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  4. 一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、バインダー樹脂を介することなく繊維表面に固着および/または繊維内部に拡散してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  5. 一般式[I]で示される金属ピリチオン系化合物が、繊維材料を構成する繊維素材の全重量に対して0.05〜5重量%の割合で繊維に固着および/または拡散してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  6. 繊維材料が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維および綿から選ばれた少なくとも1つの繊維を30重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  7. 繊維材料が、わた、トウ、糸、不織布、編物および織物から選ばれたいずれか1つの形態の繊維材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のウィルス不活化効果を有する繊維材料を、少なくともその一部に用いてなる繊維製品。
  9. 繊維製品が、白衣、手術衣、看護衣、介護衣、寝間着、防護服、ユニフォーム、肌着、シーツ、布団、カーテン、カーペット、マット、タオル、帽子、マスクおよびエアフィルターからなる群から選ばれたものである請求項8記載の繊維製品。
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