JP2006169418A - 食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 - Google Patents

食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】光重合性に優れ、かつ衛生性に優れた食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキの提供。
【解決手段】顔料、顔料分散剤、エチレン性二重結合含有化合物、光重合開始剤、増感剤からなる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、該増感剤が4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸であることを特徴とする食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。

Description

本発明は、光重合性に優れ、かつ衛生性に優れた食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
従来、耐水性の良好なインクジェットインキとしては、油溶性染料を高沸点溶剤に分散ないし溶解したもの、油溶性染料を揮発性の溶剤に溶解したものがあるが、染料は耐光性等の諸耐性で顔料に劣るため、着色剤として顔料を用いたインキが望まれている。しかしながら、顔料を安定して有機溶剤に分散することは困難であり、安定な分散性および吐出性を確保することも難しい。
一方、高沸点溶剤を用いたインキは、非吸収性の受像体においては、インキ中の溶剤が揮発せず、溶剤の蒸発による乾燥は困難なので、非吸収性の基材への印字は不可能である。
揮発性の有機溶剤を用いたインキにおいては、使用する樹脂の密着性および溶剤の揮発によって非吸収性の基材においても良好な印字を形成することができる。しかしながら、揮発性の溶剤がインキの主成分となるためヘッドのノズル面において溶剤の揮発による乾燥が非常に早く、頻繁なメンテナンスを必要とする。また、インキは本質的に溶剤に対する再溶解性が必要とされるため、溶剤に対する耐性が十分得られないことがある。
このような特性を満足させるため、揮発性のないモノマー類を使用して、ヘッドでの乾燥を防ぎ、その一方、活性エネルギー線を与えることで硬化させる型のインキの利用もおこなわれている。これらのインキは、主に、コンティニュアスタイプのプリンターにて使用されるものであり、インキの粘度としては、3〜5mPa・s程度のものである。また、このプリンターは、インキを連続的に吐出するため揮発性の溶剤を多量に併用することができ、インキの粘度調整、揮発性の付与も比較的用意に調整できる。
しかしながら、ピエゾ素子によるオンデマンド方式のプリンターにおいては、揮発性の溶剤を多量に使用することはメンテナンスの頻度を増やしてしまう。また、不揮発性の溶剤を使用することは、インキが活性エネルギー線で重合する際に重合しない成分となってしまうため重合阻害を起こしてしまう。そのため、ピエゾ素子を用いるオンデマンドタイププリンターにおいて活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは無溶剤であることが好ましい。無溶剤型の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキとしては、特許文献1、特許文献2において記載されているが、何れのインキも硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量が非常に多いため衛生性が悪く、食品パッケージの印刷には適していなかった。
特開平5−214280号公報 特開平9−183929号公報
本発明による活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、光重合性に優れ、硬化性がよく、インキとしての安定性が良好で、かつ衛生性に優れた食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することにある。
すなわち、本発明は、顔料、顔料分散剤、エチレン性二重結合含有化合物、光重合開始剤、増感剤からなる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、該増感剤が4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸であることを特徴とする食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
又、本発明は、更に、該開始剤が、α−アミノケトンとチオキサントンとアシルホスフィンオキサイドからなることを特徴とする上記食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
又、本発明は、更に、上記活性エネルギー線硬化型インクジェットインキで印刷した後、該インキを活性エネルギー線で硬化して得られた印刷物に関するに関する。
本発明により、光重合性に優れ、かつ衛生性に優れた食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキができた。
本発明のインクジェットインキに含まれる顔料は、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
上記顔料の中で、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
有機顔料は、レーザー散乱による測定値で平均粒径10〜150nmの微細顔料であることが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、150nmを越える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じやすくなる。
有機顔料の微細化は下記の方法で行うことができる。すなわち、有機顔料、有機顔料の3重量倍以上の水溶性の無機塩および水溶性の溶剤の少なくとも3つの成分からなる混合物を粘土状の混合物とし、ニーダー等で強く練りこんで微細化したのち水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を除去する。微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。
水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は、有機顔料の3重量倍以上、好ましくは20重量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が3重量倍よりも少ないと、所望の大きさの処理顔料が得られない。また、20重量倍よりも多いと、後の工程における洗浄処理が多大であり、有機顔料の実質的な処理量が少なくなる。
水溶性の溶剤は、有機顔料と破砕助剤として用いられる水溶性の無機塩との適度な粘土状態をつくり、充分な破砕を効率よく行うために用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好ましい。水溶性溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
本発明において顔料は、十分な濃度および十分な耐光性を得るため、インクジェットインキ中に3〜15重量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明のエチレン性二重結合含有化合物としては、プレポリマー、オリゴマー等と称されているものを含み、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等が挙げられる。これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
本発明の顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000、41000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
本発明の顔料分散剤はインキ中に0.1〜10重量%の範囲で分散剤を含有させることが好ましい。
本発明で用いる光重合開始剤としては、α−アミノケトンとチオキサントンとアシルホスフィンオキサイドの組合せが好適である。α−アミノケトンの具体例としては、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1が挙げられる。また、チオキサントンの具体例としては、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントンが挙げられる。また、アシルホスフィンオキサイドの具体例としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。この中でも、過マンガン酸カリウム2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オンとジエチルチオキサントンと2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドの組合せが最適である。
本発明において光重合開始剤は、UV硬化性を良好にし、かつ硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量を少なくするため、α−アミノケトンとチオキサントンとアシルホスフィンオキサイドはインキジェットインキ中それぞれ4重量部、2重量部、1重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が表記未満の場合UV硬化性が悪く、表記を超えて添加した場合、硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量を増加させてしまい衛生性が悪くなってしまう。
本発明で用いる増感剤の4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸は、光重合性に優れ、硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量が非常に少ないため衛生性が良く、食品パッケージ印刷に適している。また該増感剤の添加量は、UV硬化性を良好にし、かつ硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量を少なくするためインクジェットインキ中3重量部であることが好ましい。該増感剤の添加量が2重量部未満の場合はUV硬化性が悪く、4重量部を超えて含有させてもさらなる硬化性の向上効果はなく、かつ硬化塗膜からのレトルト抽出水の過マンガン酸カリウム消費量を増加させてしまうだけになってしまう。
本発明のインクジェットインキは、活性エネルギー線硬化性化合物、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め顔料高濃度の濃縮液を作成しておいて活性エネルギー線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーがかからず、多大な分散時間を必要としないため、インキ成分の分散時の変質を招きにくく、安定性に優れたインキが調製される。インキは、孔径3μm以下さらには、1μ以下のフィルターにて濾過することが好ましい。
本発明のインクジェットインキは、25℃での粘度が5〜50mPa・sと高めに調整することが好ましい。25℃での粘度が5〜50mPa・sのインキは、特に通常の4〜10KHzの周波数を有するヘッドから、10〜50KHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示す。
粘度が5mPa・s未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められ、50mPa・sを越える場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても吐出そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となり、全く吐出できなくなる。
また、本発明のインクジェットインキは、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインキとすることが好ましい。また、コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には、0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
本発明のインクジェットインキを使用するには、まずこのインクジェットインキをインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドから基材上に吐出し、その後紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより印刷媒体上の組成物は速やかに硬化する。
なお、活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、および太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eV以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
まず、下記のような配合で顔料分散体Aを作成した。この分散体は有機溶剤中に顔料および分散剤を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
・LIONOL BLUE FG−7400G(東洋インキ製造社製 フタロシアニン顔料) 30.0部
・ソルスパーズ32000(アビシア社製 顔料分散剤) 9.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート 61.0部
更に、下記のような配合で顔料分散体Bを作成した。この分散体は有機溶剤中に顔料および分散剤を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1.5時間分散して作成した。
・Fanchon Fast Yellow Y−5688(バイエル社製 ニッケル錯体アゾ顔料) 35.0部
・ソルスパーズ24000(アビシア社製 顔料分散剤) 7.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート 58.0部
更に、下記のような配合で顔料分散体Cを作成した。この分散体は有機溶剤中に顔料および分散剤を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約2時間分散して作成した。
・Hostaperm Red E5B02(クラリアント社製 キナクリドン顔料) 20.0部
・ソルスパーズ24000(アビシア社製 顔料分散剤) 6.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート 74.0部
上記顔料分散体を下記配合処方にてインキ化し、インクジェットインキを得た。
・顔料分散体A 11.4部
・BYK−361N(BYK Chemie社製 アクリル樹脂) 0.1部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 50.5部
・エトキシ化トリメチロ−ルプロパントリアクリレート 28.0部
・2―メチル−1[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン 4.0部
・2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド 1.0部
・ジエチルチオキサントン 2.0部
・4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸 3.0部
上記顔料分散体を下記配合処方にてインキ化し、インクジェットインキを得た。
・顔料分散体B 8.6部
・BYK−361N(BYK Chemie社製 アクリル樹脂) 0.1部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 53.3部
・プロポキシレートグリセリルトリアクリレート 28.0部
・2―メチル−1[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン 4.0部
・2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド 1.0部
・ジエチルチオキサントン 2.0部
・4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸 3.0部
上記顔料分散体を下記配合処方にてインキ化し、インクジェットインキを得た。
・顔料分散体C 16.5部
・BYK−361N(BYK Chemie社製 アクリル樹脂) 0.1部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 58.4部
・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート 15.0部
・2―メチル−1[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン 4.0部
・2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド 1.0部
・ジエチルチオキサントン 2.0部
・4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸 3.0部
(比較例1)
実施例1の配合組成から4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸を除き、不足分を2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オンで補った以外は同様の方法でインキ化した。
(比較例2)
実施例2の配合組成から4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸をp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルに変えた以外は同様の方法でインキ化した。
(比較例3)
実施例3の配合組成から4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸をp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル以外は同様の方法でインキ化した。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られたインクジェットインキをUVIJプリンターにてPETフィルム(三菱化学社製「ダイヤホイル」)に印刷し、硬化塗膜のレトルト抽出による過マンガン酸カリウム消費量を測定した。
その結果、実施例1〜3の硬化塗膜のレトルト抽出による過マンガン酸カリウム消費量は10ppm以下となり衛生性が良好であったが、比較例1〜3の硬化塗膜のレトルト抽出による過マンガン酸カリウム消費量は20ppm以上となり衛生性が悪く食品パッケージ印刷には適さないものとなった。

Claims (3)

  1. 顔料、顔料分散剤、エチレン性二重結合含有化合物、光重合開始剤、増感剤からなる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、該増感剤が4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシルエステル安息香酸であることを特徴とする食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  2. 該開始剤が、α−アミノケトンとチオキサントンとアシルホスフィンオキサイドからなることを特徴とする請求項1記載の食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  3. 請求項1ないし2記載の食品パッケージ用活性エネルギー線硬化型インクジェットインキで印刷した後、該インキを活性エネルギー線で硬化して得られた印刷物。
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