JP2006169156A - 免疫調節剤としてのメシル酸ナファモスタット - Google Patents

免疫調節剤としてのメシル酸ナファモスタット Download PDF

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Abstract

【課題】ステロイド系薬剤等のような重篤な副作用を伴うことなく有意に免疫系の調節を行い、免疫系の異常が原因と考えられる各種疾患を予防または治療し得る非ステロイド系薬剤を提供することである。
【解決手段】本願発明は、メシル酸ナファモスタット(FUT)を有効成分として含有する免疫調節剤に関する。ここでいう免疫調節作用としては、炎症局所への炎症性細胞の浸潤抑制作用、炎症部位での炎症性サイトカイン産生抑制作用、NF-kB活性化の抑制作用、マクロファージ上の補助刺激分子の発現抑制作用等が含まれる。本願発明の免疫調節剤は、同じ蛋白分解酵素阻害剤として知られている他の薬剤と比較して、免疫調節作用において、約320倍という驚くべき効果を示し、その治療効果が極めて高いものである。
【選択図】なし

Description

本願発明は、6’-アミノジ-2’-ナフチル4-グアニジノベンゾエート又はその塩、特にそのメシル酸塩であるメシル酸ナファモスタット(一般名。「フサン」、「FUT」ともいう。;以下「FUT」という。)を有効成分として含有する免疫調節剤に関する。ここでいう免疫調節作用としては、炎症局所への炎症性細胞の浸潤抑制作用、炎症部位での炎症性サイトカイン産生抑制作用、NF-kB活性化の抑制作用、マクロファージ上の補助刺激分子の発現抑制作用等が含まれる。本願発明の免疫調節剤は、同じ蛋白分解酵素阻害剤として知られている他の薬剤と比較して、免疫調節作用において、約320倍という驚くべき効果を示し、その治療効果が極めて高いものである。少量の用量で免疫系の異常が原因と考えられる各種疾患の症状を緩和することが可能であって、ステロイド系薬剤を長期投与した場合に危惧される臓器損傷などの副作用等の恐れも軽減できるものである。
免疫調節剤の必要性:
生体防御機能の一連の反応は、外来抗原に対して、初期に白血球の一つである好中球、マクロファージ等が対応し、その後リンパ球が産生する特異的抗体が抗原に対して応答し、影響を受けたT細胞がサイトカインを放出し、それにより、さらにマクロファージやキラーT細胞が活性化され、相互に影響を受けながら進行する。
これらの細胞間相互作用においては、蛋白分解酵素を含む多くの蛋白質が複雑に関与している。これらの蛋白質の発現異常により、生態防御機能の一部が機能しないことや、過剰に反応することが原因となって、自己免疫疾患、アレルギー、炎症等の様々な疾患が発症すると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
したがって、そのような疾患の際に、原因となる蛋白質の活性を阻害することで、生態防御機能を正常な状態に戻すということは、有効な治療方法であると考えられている。例えば、疾患の原因となる蛋白質がある種の蛋白分解酵素である場合には、その蛋白分解酵素に対する阻害剤が有効な治療薬および予防薬となり得る。
炎症局所においては、好中球、好酸球、マクロファージ等の炎症性細胞の浸潤が見られ、通常であれば、外来抗原等の原因異物の処理が終了するとともに、これらの細胞浸潤も終息する。しかし、免疫系における何らかの異常のために、細胞浸潤が過剰となり、同時にそれらの細胞が産生する炎症性サイトカインが原因となって、さらに炎症反応が過剰となる場合がある(例えば、非特許文献2参照)。そのような場合には、細胞浸潤を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑制したり、リンパ球か関わるその後の免疫反応の引き金となり得る補助刺激分子の発現を制御したりすることが、有効な治療法となり得る。
また、アレルギーの発生の機序は未だ解明されない部分も多いが、近年免疫調節に重要なヘルパーT細胞にはTh1細胞(以下、Th1という。)とTh2細胞(以下、Th2という。)の2種があり、それらの細胞が産生するサイトカインのバランスによって細胞性免疫と体液性免疫が制御されていることが明らかになってきた(例えば、非特許文献3参照)。
Th1とTh2のバランスが崩れ、過剰なIgE抗体産生が起こればアトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー疾患を起こしやすくなると推測されている。実際にアトピー性皮膚炎患者でIgE抗体価が高値であり、特に食物(卵・牛乳・大豆・米・小麦)や環境(ダニ・ハウスダスト)等に対する特異的IgE抗体が認められることはよく知られている。したがって、Th1、Th2バランスを調節することや、Th1、Th2それぞれに特徴的なサイトカインの産生を選択的に抑制することができれば、治療効果を得られると考えられる。
ここで、免疫疾患、炎症等に関与する様々な蛋白、分子、細胞等について述べる。
(1)
IgE抗体
免疫グロブリンEと呼ばれるものであり、アレルギーに深く関与している。気道、消化管粘膜、リンパ節などの局所で分泌され、皮膚、白血球、肥満細胞との結合、その表面で侵入してきたアレルゲンと反応してアレルギー反応を引き起こす。
(2)
IgG抗体
最も多量に血液中に存在し、細菌やウイルスに対する生態防御で中心的な役割をなしている。
(3)
IL-4
IL-5、IL-6とともに免疫系のB細胞を抗体を産生する形質細胞に分化させるほか、胸腺T細胞の分化増殖をも刺激する。特に、B細胞に対してはIgG1型とIgE型を抗体特異的に産生させる。
(4)
IL-5
抗体を産生するリンパ球B細胞の増殖と分化を誘導する。IL-5反応性の細胞はヒトでは主に好酸球で、IL-5は好酸球を増殖させる因子であると考えられている。アレルギー疾患で引き起こされる好酸球増加にも強く関与しており、実際、喘息患者、アレルギー性鼻炎患者ではこれが増加している。
(5)
IL-6
B細胞を増殖せずに分化を誘導し、抗体の産生を促進するサイトカインである。IL-6の異常な発現は、自己免疫疾患、多発性骨髄腫、メサンギューム増殖性腎炎などと関係があるとされている。
(6) IL-12
IL-12は、NK細胞の活性化と細胞性免疫の活性化を解して、非特異的な免疫と抗原特異的な細胞免疫の両方を賦活化するサイトカインである。また、IL-12は、T細胞やNK細胞からIFNγの産生を誘導する作用に加え、NK細胞やサイトカインで活性化されたT細胞の接着を促進し、Th1細胞への分化を促進することで細胞性免疫を活性化する。
(7) エオタキシン
エオタキシン(eotaxin)は、喘息発作を人工的に誘導したモルモットの肺洗浄液から最初に精製されたケモカインであり、IL-5とともに、好酸球を炎症部位に浸潤させ、活性化させ、アレルギー疾患の慢性化を引き起こすと考えられている。
(8) NO
生体内ではLアルギニンと酸素分子から生成される。感染や炎症時には体内で発生したNOが抗菌作用を示す。
(9) iNOS
誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS:inducible Nitric Oxide Synthase)はカルシウムイオン非依存型で、正常な神経系では通常みられないか、みられてもごく軽度であり、炎症などのストレス反応によってグリア細胞やマクロファージなどの細胞を介して誘導され、サイトカインの存在によってのみ発現する。
(10)CD86
細胞接着分子のひとつである。T細胞と抗原提示細胞の接着に関与する補助刺激分子(co-stimulatory molecule)のひとつである。
(11)好酸球
寄生虫感染の際、寄生虫を殺す作用を有している。このような生体防御作用のほか、アレルギー反応として、組織障害の原因となる場合もある。
(12)好中球
白血球の一つであり、細菌感染に対する防御と炎症形成の働きがある。免疫系によらない非特異的生体防御反応を司る。
(13)NF-kB
転写因子のひとつ。免疫反応、炎症反応、急性期反応の開始に必ず関与する因子である。
従来の免疫調節剤とその問題点:
免疫調節剤として用いられてきた様々な治療剤には、シクロスポリン、ステロイドホルモン、代謝拮抗剤(例えばメトトレキセートおよびアザチオプリン)、アルキル化剤(例えばシクロホスファミドおよびブスルファン)等がある。
シクロスポリンは、免疫抑制剤として、たとえば腎移植における拒絶反応の抑制や、難治性ネフローゼの治療薬として使用されているが、腎機能低下や高血圧などの腎障害を引き起こすため、血中濃度をモニタリングしながら投与する必要がある。このような状況の中、医療の立場からも優れた、副作用の少ない免疫抑制剤の開発が望まれている。
ステロイドホルモン剤は、広く炎症に用いられているが、骨粗鬆症,アナフィラキシー様症状、緑内障、後嚢白内障、感染症の誘発・増悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、膵炎、大腿骨・上腕骨などの骨頭無菌性壊死、ミオパチー,血栓症、成長障害その他の重篤な副作用が問題となっている。
メトトレキセートは抗腫瘍剤、抗炎症剤として使用されているが、骨髄抑制、間質性肺炎、薬剤性肺臓炎、催奇性といった副作用が問題となっている。アザチオプリンは免疫抑制剤として使用されているが、リンパ球だけでなく、その他の細胞にも広く作用するため、骨髄抑制や肝障害などの副作用がでやすいのが欠点である。
シクロフォスファミドは、抗腫瘍剤、全身性エリテマドーゼスの治療薬として使用されているが、汎血球減少、貧血,白血球減少、血小板減少、出血、出血性膀胱炎、排尿障害、イレウス、胃腸出血、間質性肺炎、肺線維症、心筋障害、心不全といった重篤な副作用が問題となっている。
以上のように、現在使用されている免疫調節剤には、重篤な副作用を引き起こすものが多く、このような副作用のない免疫調節剤の開発が切望されている。
従来技術としての蛋白分解酵素阻害剤:
本願発明者らは、全身性感作及び繰返しアレルゲンを曝露することによって、喘息の動物モデルを既に確立している。これら動物モデルは、気道炎症、IgEならびに気道内サイトカイン産生などの特徴を有しており、様々な免疫現象を調査するのに極めて適している。
一方、気道炎症の過程において、多種の炎症性細胞、例えば肥満細胞、好酸球、及びTリンパ球が関わっていることが知られている(例えば、非特許文献4)。これら炎症性細胞によって産生される各種のサイトカイン及び成長因子、例えばIL-4、IL-5、IL-10及びIL-12等は、気道炎症の発生過程において重要な役割を果たしている(例えば、非特許文献5及び6参照)。
したがって、このモデル動物を用いた実験を行い、各パラメータの増減を確認することによって、各種免疫反応におけるそれぞれの化合物の調節作用の有無、強弱等を判断することができると考えられる。
ところで、FUTは、本願出願人がすでに物質特許を有しているものであり(特許文献1参照)、現在急性膵炎の一般治療薬として使用され、安全性が確認されているものである。しかし、当該出願時には、FUTが免疫調節作用を有することは全く予想だにされないものであった。
また、FUTが、肥満細胞が脱顆粒を起こす際に放出する蛋白分解酵素であるトリプターゼ阻害活性を有し、全身アナフィラキシー疾患、アスピリン過敏性喘息、喘息、間質性肺疾患、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、アレルギー性疾患、アトピー性疾患、皮膚水疱症、知覚過敏症、疼痛、掻痒症、歯肉炎、浮腫、乾癬、肺繊維症、関節炎、歯周病、血液凝固障害、腎間質線維化、X線造影剤の副作用としての血管透過性亢進または肺浮腫、及び花粉症からなる群から選ばれる疾患の治療または予防に有効であることも知られている(特許文献2参照)。しかし、これらは、FUTがトリプターゼ阻害活性を有するという知見を基に、トリプターゼが関与していると思われる疾患を羅列的に対象としたに過ぎないものであり、その疾患に真に有効であることを示すような実験的あるいは理論的な裏づけは皆無である。したがってトリプターゼ以外の因子が主原因となっているような疾患にも有効であるか否かについてはまったく確認がなされていないし、不明である。
また、他にトリプターゼ阻害剤については、非常に多くの疾患の予防、治療に有効である旨の報告がなされている(特許文献3参照)。しかしながら、ここに記載される対象疾患の多くは単なる羅列記載に止まるものであって、その疾患に真に有効であることを示すような実験的あるいは理論的な裏づけは皆無である。また、FUTと同様にトリプターゼ以外の因子が主原因となっているような疾患にも有効であるか否かについてはまったく確認がなされていないし、不明である。
また、FUTは、最近の研究によれば、LPS誘発の一酸化窒素の産生及びヒト培養栄養膜におけるアポトーシスを抑制するとの報告もある(例えば、非特許文献7及び8参照)。
また、特開平6−192085号公報には、アプロチニン、ポテトプロテアーゼインヒビター、大豆トリプシンインヒビター、アンチパイン、ロイペプチン、グアニジノ脂肪酸誘導体、グアニジノ安息香酸誘導体,およびアミジノフェノール誘導体から選ばれる1種またはそれ以上の物質を有効成分として含有するダニアレルギー治療剤が報告されており、その具体例として多数挙げられている化合物の中に、グアニジノ安息香酸誘導体であるp-グアニジノ安息香酸・6-アミジノナフト-2-イルエステルおよびそれらの非毒性の酸付加塩が挙げられている。しかしながら、これは、蛋白分解酵素としての活性を有するダニ抗原自体の活性を、蛋白分解酵素阻害剤である上記有効成分が阻害するであろうという単なる予測に基づいて羅列記載されたもののひとつに止まるものであって、その疾患に真に有効であることを示すような実験的あるいは理論的な裏づけは皆無である。また、その作用メカニズムと免疫系の調節の関係を教示ないし示唆するような記載もない。(特許文献4参照)。
また、メシル酸ガベキサート(以下FOYという。)、ウリナスタチン (以下UTIという。)等の蛋白分解酵素阻害剤は、FUTと同様に、慢性膵炎の一般治療薬として使用されているものであり、さらにトリプターゼの活性を阻害することもすでに報告されている。FOYによるヒトトリプターゼの阻害は、皮膚及び粘膜の炎症、糜爛及び潰瘍化の抑制に関与しているとの報告もある(例えば、非特許文献9参照)。また、FOYは抗凝固活性を有し、敗血症合併のDIC治療に効果的であることが知られている。さらに、FOYは、ヒトトリプターゼのフィブリノーゲン分解活性を抑制するという報告もある。また、UTIは、白血球の活性を抑制するなど、様々な作用を有することが報告されている(例えば、非特許文献10参照)。
特許公報(B2)昭61−1063号 特開2003−246730号公報 WO97/37969号公報 特開平6−192085号公報 免疫、11/4、8月号、メディカルレビュー社、2001 免疫学コア講座、南山堂、2002 Maziak, W. 2003. The Th1-Th2 paradigm and asthma:how far should wego? J Asthma 40:201 2003. What you need to know about…asthma. Nurs Times 99:28 Kips, J. C. 2001. Cytokines in asthma. Eur Respir J Suppl34:24s Romagnani, S. 2002. Cytokines and chemoattractants in allergicinflammation. Mol Immunol 38:881 Minamiya, Y., S. Saito, M. Nakamura, K. Tozawa, H. Saito, I. Matsuzaki, and J. Ogawa. 2002. Nafamostat mesilateattenuates radical formation in the rat lung infused with endotoxin. Shock18:255 Nakatsuka, M., K. Asagiri, S. Noguchi, T. Habara, and T. Kudo. 2000.Nafamostat mesilate, a serine protease inhibitor, suppresseslipopolysaccharide-induced nitric oxide synthesis and apotosis in culturedhuman trophoblasts. Life Sci 67:1243 Fitzal, F., F. A. DeLano, C. Young, H. S. Rosario, and G. W. Schmid-Schonbein.2002. Pancreatic protease inhibition during shock attenuates cell activationand peripheral inflammation. J Vasc Res 39:320 Zaitsu, M., Y. Hamasaki, K. Tashiro, M. Matsuo, T. Ichimaru, I.Fujita, H. Tasaki, and S. Miyazaki. 2000.Ulinastatin, an elastase inhibitor, inhibits the increased mRNA expression ofprostaglandin H2 synthase-type 2 in Kawasakidisease. J Infect Dis 181:1101
従って、本願発明の目的は、ステロイド系薬剤等のような重篤な副作用を伴うことなく有意に免疫系の調節を行い、免疫系の異常が原因と考えられる各種疾患を予防または治療し得る非ステロイド系薬剤を提供することである。
本発明者らは、このような免疫調節作用を有する薬剤を見出すべく鋭意研究を進めた結果、膵炎治療剤、汎発性血管内血液凝固症(DIC)治療剤、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止剤としてその有用性と安全性がすでに確認されているFUTが免疫調節作用を有する薬剤として極めて有効であることを具体的に見出し、本発明を完成した。本願発明者らは、全身性感作及び繰返しアレルゲンを曝露することによって、様々な免疫反応を引き起こす動物モデルを確立し、これら動物モデルを用いることによって、FUTが極めて有効な免疫調節剤であることを見出した。
この動物モデルは、前述したとおり、気道炎症、IgEならびに気道内サイトカイン産生などの特徴を有しており、様々な免疫現象を調査するのに極めて適している。このモデル動物を用い、各パラメータの増減を確認することによって、各種免疫反応におけるそれぞれの化合物の調節作用の有無、強弱等を判断することに成功したのである。このモデル動物を使った実験により、急性膵炎の一般治療薬であり、トリプターゼ阻害剤である3化合物(FUT, FOY, UTI)の免疫調節剤としての効果を比較したところ、FUTが他と比較して約320倍という極めて強い治療効果を有することを確認した。これは、FUTには、トリプターゼ阻害活性のみでは説明し切れない、他の機能・作用が存在している可能性を示唆するものであり、驚くべき結果であった。
そこで、本願発明者らは更に鋭意研究を重ねた末、FUTがトリプターゼ阻害活性以外の機能として、免疫調節作用(好中球浸潤抑制作用、好酸球浸潤抑制作用、炎症性サイトカイン産生抑制作用、Th2サイトカイン産生抑制作用、NF-kB活性化抑制作用、補助刺激分子発現抑制作用、iNOS抑制作用等)を有することを見出し、本願発明を完成するに至った。
即ち、本願発明は、メシル酸ナファモスタット(FUT)を有効成分として含有する免疫調節剤に関する。より詳しくは、少量の有効成分を投与することで、ステロイド系薬剤の長期使用による臓器損傷などの副作用を招くことなく、免疫系の異常を原因とする各種疾患を沈静化する方向に効果を示す、新規な非ステロイド系の予防または治療用薬剤に関するものである。
より具体的には、本願発明は、メシル酸ナファモスタットを有効成分とする免疫調節剤に関するものであり、以下の通りである。
(1) 下記式で表される6’-アミノジ-2’-ナフチル4-グアニジノベンゾエート又はその薬理学上許容される塩を有効成分として含有してなる免疫調節剤。

(2)塩がメシル酸塩である上記(1)に記載の免疫調節剤。
(3)免疫調節作用が好中球浸潤抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(4)免疫調節作用が好酸球浸潤抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(5)免疫調節作用が炎症性細胞浸潤抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(6)免疫調節作用がTh2サイトカイン産生抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(7)免疫調節作用が転写因子NF-kB活性化抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(8)免疫調節作用がIgE産生抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(9)免疫調節作用が炎症性サイトカイン産生抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
(10)免疫調節作用が補助刺激分子発現抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(11)免疫調節作用が誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)抑制作用である上記(1)または(2)に記載の薬剤。
本願発明にかかるFUTは、モデルマウスの実験(実施例)から明らかなとおり、好中球・好酸球の炎症部位への浸潤の抑制、Th2細胞からのサイトカイン産生の抑制、転写因子であるNF-kBの活性化抑制、IgE産生抑制、TNFα産生抑制、TGFβ・IL-10・IL-12の産生亢進、補助刺激分子であるCD86の発現抑制、iNOSの抑制という非常に広範な免疫調節作用を有していた。
このようなFUTの免疫調節作用は、これまで、作用メカニズムが同じだと考えられていた、FOT、UTIといったトリプターゼ阻害剤である他の化合物と比較して、約320倍にも及ぶものであり、この事実は誰しもが予想し得なかったことであり、驚くべきことである。同時に、この結果は、FUTがFOY等の他のトリプターゼ阻害化合物にはない別の作用メカニズム・作用効果を有していることを示唆するものである。その効果を発現するのに必要な容量は低く、既存のステロイド系薬剤の長期使用による他の臓器損傷などの副作用を軽減することも可能である。
本明細書において、「メシル酸ナファモスタット(FUT)」とは、下記式で表される6−アミジノ−2−ナフチル p−グアニジノベンゾエート ジメタンスルホネート(6-Amidino-2-naphthyl p-guanidinobenzoate dimethanesulfonate)を意味する。
メシル酸ナファモスタット(FUT)は、すでに本邦において承認されており、その効能効果は、
1)膵炎の急性症状(急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪、術後の急性膵炎、膵管造影後の急性膵炎、外傷性膵炎)の改善:
2)汎発性血管内血液凝固症(DIC):
3)出血性病変または出血傾向を有する患者の血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析及びプラスマフェレーシス):
である。
本願発明に係るメシル酸ナファモスタット(FUT)の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、例えば患者に経口投与する場合、1日あたり、2.8mg/kg乃至9.6mg/kgで投与するのが望ましい。非経口投与の場合、その投与形態(例えば注射剤、外用剤、坐剤等)によっても異なるが一日投与量は、1.4mg/kg乃至4.8mg/kgが望ましい。
本願発明の薬剤は、経口投与のための固体組成物、液体組成物及びその他の組成物、あるいは非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、経皮吸収性製剤、吸入剤等の形態を取ることができ、その使用形態については特に限定されるものではない。経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセル及びソフトカプセルが含まれる。
このような固体組成物においては、FUTからなる活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、マンニット、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液体組成物においては、FUTからなる活性物質が、一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば精製水、エタノール)中に溶解される。これら液体組成物は、不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤を含有していてもよい。
経口投与のためのその他の組成物としては、FUTからなる活性物質を含み、それ自体公知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。この組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような安定化剤、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。
本願発明による非経口投与のための液剤、例えば注射剤としては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(登録商標)等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。
非経口投与のためのその他の組成物としては、メシル酸ナファモスタット(FUT)を有効成分として含み、常法により処方される注腸剤、外溶液剤、軟膏、塗布剤、坐剤等が含まれる。
吸入剤、エアゾール剤として使用するには、活性成分を溶液、懸濁液または微小粉体の形で、気体または液体噴射剤と共に、且つ所望により湿潤剤または分散剤のような通常の補助剤と共にエアゾール容器内に充填する。本願発明化合物は、ネブライザーまたはアトマイザーのような非加圧型の剤形にしてもよい。
以下、本願発明を実施例により詳しく説明するが、これは例示的なものであり、本願発明はこれに限定されるものではない。
本実施例で用いた実験材料及び試験方法は以下のとおりである。
(1)マウス;
SPF、6週〜8週齢のメスのBALB/cマウス(National Cheng Kung
University、
Tainan、 Taiwan、 Republic of China所在のLaboratory Animal Centerより入手)を用いた。これら動物には滅菌の飲食と水を任意に与えた。すべての実験動物は動物介護利用団体の委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)が設定したガイドラインに従って管理した。
(2)試薬;
Der p(エーテル抽出の凍結乾燥物1g;Allergon、 Engelholm、 Sweden)[Liou、 H. C. 2002. Regulation of
the immune system by NF-kappaB and IkappaB. J Biochem Mol Biol 35:537参照]を発熱性物質フリーの等張性食塩水(pyrogenic-free
isotonic saline)に溶解させ、0.22μmのフィルターを通してろ過した後、使用するまでに−70℃で保管した。
Der p製剤のLPS濃度はDer p 1.96 EU/mgである(Limulus amebocyte lysate test; E-Toxate; Sigma-Aldrich社製品)。
メシル酸ナファモスタット(Nafamost mesilate;FUT)、メシル酸ガベキサート(Gabexate mesilate;FOY)、 ウリナスタチン(Ulinastatin ;UTI) は、それぞれ使用前にPBS液に溶解させる。本実験においては、FUT、FOY、及びUTIは、それぞれ0.0625 mg/Kg、 20 mg/Kg 及び 10000U/Kgの量で投与した。FUTとFOYの濃度比は、1:320である。
(3)気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar Lavage Fluid ;BALF )測定;
ペントバービトンナトリウム(sodium pentobarbitone、50mg/Kg、腹腔内投与、Rhone Merieux、Pinkenba、Australia)を過剰投与にてマウスを屠殺した。小動脈鉗子で固定されたポリエチレンチューブカニューレを気管内に挿入し、食塩水1mlでBALFの採取を行った。
(4)BALF細胞数カウント;
肺を1mlの食塩水で3回洗浄することにより、約1.8〜1.9mlのBALFを回収し、総細胞数を血球計でカウントした。各種細胞毎の数は、スライドグラス上に細胞標本を作製し、Liu’s染色薬(Taiwan所在の Biotech社製)で染色した後に、形態により識別を行い計数した。回収されたBALF容量、総細胞数、及び各種細胞の存在比から各種細胞(好中球、リンパ球、マクロファージ、及び好酸球)の絶対数を算定した。
(5)実験プロトコール;
本願発明の実施例では、マウス1匹に対して、抗原であるDer p 40 mgの混合物を含む不完全フロイントアジュバント(Incomplete Freund’s adjuvant; IFA; Difco社製、 Detroit、 Mich所在)を、1週間間隔で2回皮下投与して感作した。最終感作から7日経過後、50μLのDer p(0.5mg/ml)を気管内投与した。対照群としては抗原刺激を行わないナイーブマウスを用いた。化合物の投与は、1回目と2回目の抗原皮下投与の間に行った。FUT、FOY、及びUTIは、それぞれ0.0625 mg/Kg、 20 mg/Kg 及び 10000U/Kgの量で腹腔内投与した。
(6)総IgE及びDer f特異IgG1及びIgG2a/2b;
血清サンプル中の総IgE量は、IgE特異ELISA法により(R35-72及びR35-92; BD PharMingen社製)測定した。
Der f特異抗体の定量は次の方法によって行った。Der
f(0.1M NaHCO3中の2μg/ml、pH8.3)を被覆したELISAプレートに、血清サンプルを2回添加し、4℃で一晩中培養した後、プレートを洗浄し、ビオチン標識ラット抗マウスIgG1抗体(2μg/ml;
A85-1, BD PharMingen社製)またはビオチン標識ラット抗マウスIgG2a/2b抗体(2μg/ml;
R2-40,BD PharMingen社製)とともに1時間培養した後、洗浄し、HRP標識ストレプトアビジン (1/1000 ;BD PharMingen社製)を添加した。そのプレートを洗浄し、テトラメチルベンジジン ミクロウェルペロキシダーゼ基質(tetramethylbenzidine microwell peroxidase substrate system;Kirkegaard & Perry
Laboratories社製、 Gaithersburg、 MD所在)を添加し、発色後、サンプルの吸光度を450nmで測定した。
(7)サイトカイン濃度の測定;
サイトカイン濃度は、サンドイッチELISA法により測定した。その際に、それぞれのサイトカインに対する市販された2抗体を使用した。(IL-6;MP5-20F3及びMP5-32C11、IL-12;C15.6及びC17.8、IL-4; 11B11及びBVD6-24G2、すべてBD PharMingen社製)検出は上記(6)と同様に行った。検出限界はIL-6、IL-4の場合、7.5pg/mlであり、IL-12の場合、15pg/mlであった。
(8)肺組織染色;
肺をホルマリン(Sigma-Aldrich社製)0.5mlで膨らませたあと、気管を結紮する。次に、肺を胸腔から摘出してホルマリン中、4℃で一晩中放置する。組織をパラフィンに包埋し、5μmの切片に切断したあと、ヘマトキシリン・エオジン染色および periodic acid-Schiff(PAS)染色を行った。光学顕微鏡を用いて炎症細胞の浸潤及び肺組織の状態を観察した。
(9)半定量的RT-PCR;
RT-PCRを行い、サイトカインと誘導性NO合成酵素(以下iNOs)のmRNA発現を評価した。回収した肺胞マクロファージ(以下AMs)サンプルからRNase Total RNA kit(Qiagen社製、 Hilden、 Germany所在)を用いて、総細胞RNAを抽出した。ストラタスクリプト(StrataScript
)H-逆伝写酵素(Stratagene社製、 La Jolla、 CA所在)でcDNAに転写させた。それぞれ1μlの cDNAを用いてPCR反応を行った。PCR産物を2%アガロース上で電気泳動し、臭化エチジウムで染色した。サンプル間の変動を調節するために、GAPDHによる補正を行った。
(10)本願発明の実施例において用いられた遺伝子特異プライマー対(sense 及びanti-sense、それぞれ)は次に示すものであり、具体的には下記の配列表に記載の通りである。
TNF-α:配列番号1及び2
IL-1β:配列番号3及び4
IL-6:配列番号5及び6
IL-12:配列番号7及び8
RANTES:配列番号9及び10
TGF-β1:配列番号11及び12
iNOs:配列番号13及び14
eotaxin:配列番号15及び16
GAPDH:配列番号17及び18
PCR産物は、2%アガロース上で電気泳動して、臭化エチジウムで染色した。また、バンドは、密度測定分析(Bio-1D; Vilber Lourmat社製、 Marne La Vallee、 France所在)により定量した。
(11)核抽出物及びEMSA;
Fen and Loの方法により24時間Der fに暴露されたAMs(1 x 106)から核抽出物を調製した。NF-κBのオリゴヌクレオチド(配列番号19、Promega社製、 Madison、 WI所在)をT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(Promega社製)及び[γ―32P]ATP(Amersham Life
Science社製)で5‘末端を標識した。10μgの核抽出物及び0.5ngのDNAプローブを反応させた。
NF-κBのp65またはp50(Santa Cruz
Biotechnology社製、 Santa Cruz、 CA所在)に対するポリクロナール性抗体を用いて超転移実験(Supershift experiments)を行った。競合アッセイは、放射線標識オリゴヌクレオチドに対して標識してないオリゴヌクレオチドとの量比100モル過量で実施した。
(12)免疫組織化学;
ポリLリジン(Sigma-Aldrich社製)で被覆したスライドグラスにAMsを付着させ、氷冷アセトン中で固定したあと、NOSII(FITC-conjugated、Serotec社製、 Atlantic、 USA所在)及びCD86(FITC
conjugated、
GL1、BD
PharMingen社製、
San Diego、 CA所在)に対する抗体を反応させた。陽性の染色細胞の数を、蛍光顕微鏡(x400、Leica DM IRE 2 及びTRB; Leica社製、 Wetzlar、 Germany所在)下で数えた。1サンプルにつき2枚のスライドを作成し、合計20領域について計数した。
(13)統計的分析;
培養液の上澄み中の伝達物質含量及び抗体産生値を一方行ANOVA試験により分析した後、群間のpost hoc comparisonを行った。BALF液中の総細胞数及びサイトカイン含量および血清中の抗体力価は、t検定により分析した。結果は平均値±SEMとして換算した。P値<0.05を有意として判定した。正規分布以外のデータの比較については、Kruskal-Wallist検定の後、Mann-Whitney U 検定を行った。
炎症性細胞(好中球、好酸球)の炎症局所への浸潤に対するFUT、FOY、UTI投与の効果;
前記した実験プロトコールにしたがって試験を行った。
マウス1匹に対して、抗原であるDer p 40 mgの混合物を含む不完全フロイントアジュバント(Incomplete
Freund’s adjuvant; IFA; Difco社製、 Detroit、 Mich所在)を、1週間間隔で2回皮下投与して感作した。最終感作から7日経過後、50μLのDer p(0.5mg/ml)を気管内投与した。対照群としては抗原刺激を行わないナイーブマウスを用いた。化合物の投与は、1回目と2回目の抗原皮下投与の間に行った。FUT、FOY、及びUTIは、それぞれ0.0625 mg/Kg、 20 mg/Kg 及び 10000U/Kgの量で腹腔内投与した。Der p抗原の気管内投与後24時間後、BALFを回収し、総細胞数および各種細胞数を計数した。その結果を図1に示す。
本試験では、化合物無投与の感作マウス、または抗原非感作ナイーブ(na&iuml;ve)マウスを対照群として用いた。ナイーブマウスでは、BALF中の細胞がほとんどマクロファージ(16.7±1.9 x 104/ml)及びリンパ球(0.09±0.01 x 104/ml)であり、好酸球は殆ど検出されなかった。しかしながら、Der p感作した後に何の投与もしなかったマウスでは、BALF中の細胞、好中球、及び好酸球の総数(88.7±2.3、 49.3± 1.1及び 6.9±1.5 x104/ml)が、ナイーブマウスでのそれぞれに比べて顕著に増加した。FUT投与のマウスは、BALF中の細胞、好中球、及び好酸球の総数(68.7±5.7、 9.3± 5.5及び 2.7±0.2 x104個、P<0.05)が、化合物非投与の感作マウスでのそれぞれに比べて顕著な減少を現した。FOY投与のマウスは、FUT投与のマウスと同様に、BALFへの好中球、及び好酸球の浸潤(非処理感作マウスと比較したとき、23.1± 1.2及び 2.5±1.0 x104個、P<0.05)に対して同等の阻害効果を有し、さらにFOY投与マウスでのBALF中のリンパ球は、また化合物非投与の感作マウスと比べて顕著に増加した。UTI投与のマウスでは、化合物非投与の感作マウスのそれぞれと比べて、BALF中の細胞総数と分画細胞数において顕著な変化は見られなかった。
以上の結果からわかるように、FUT処理マウスとFOY処理マウスは、好中球、好酸球といった炎症性細胞の局所浸潤に対してほぼ同等の抑制効果を表した。
しかし、ここで注意すべき点は、FOYの濃度が20 mg/Kgであったのに対してFUTの濃度がそれの約320分の1の0.0625 mg/Kgという極めて低濃度であったことである。この試験結果から明らかなとおり、同じトリプターゼ阻害剤でありながら、FUTはFOYの約320倍の抑制効果を示したのである。
FUT、FOY、UTIの炎症性及びTh2サイトカイン産生の抑制作用;
前記実験材料及び試験方法の欄で述べた方法に従って、Der p感作マウスについて、ELISAを用いて抗原刺激後のBALF中のIL-4、 IL-6及びIL-12サイトカイン産生に対するFUT、 FOY、及びUTIの投与効果を調べた。その結果を図2に示す。FUT及びFOYは、化合物非投与感作マウスに比べて、Der pにより誘発されたIL-4(138.7±14から75.7±8.7、 90.2±10.2 pg/mlに減少)、IL-6(1168±39から812±45.9、 944±44.3 pg/mlに減少)を顕著に減少させたが、IL-12産生を311.5±32から596±20、
511±19.1 pg/mlにそれぞれ増加させた。他方、UTIはDer pにより誘発されたIL-4、 IL-6及びIL-12産生に対して何の影響も及ぼさなかった。
Th2によって産生されるIL-4等のサイトカインが、IgEの産生を促進させることを考慮すると、上記試験結果は、FUT及びFOYが炎症を効果的に抑制することを裏づけるものである。さらにここでまた注意すべき点は、FOYの濃度が20 mg/Kgであったのに対してFUTの濃度がそれの約320分の1の0.0625 mg/Kgという極めて低濃度であったことである。この試験結果から明らかなとおり、同じトリプターゼ阻害剤でありながら、FUTはFOYの約320倍の抑制効果を示したのである。
NFκBの活性化について;
NFκB(Nuclear factor-κB)は、サイトカインや接着因子などの免疫反応に関する遺伝子の発現を調節する役割を持つ転写因子であり、NFκBがゲノム上の結合部位に結合すると免疫反応に関する遺伝子が過剰に発現する。このためNFκBは免疫反応が原因となる疾患への関与が指摘されている。このように、NFκBは、単球におけるTNF-α、Interleukin-6及び IL-1βのような炎症誘発性サイトカインの産生の制御と非常に関係していると考えられている。
そこで、前記実験材料及び試験方法の欄で述べた方法(EMSA、 Electrophoretic Mobility Shift Assay)を用いて、FUT,FOY,UTI投与、及び非投与Der p感作マウスの全肺中のNFκB活性化を測定した。
その結果を図3に示す。
これら試験結果は、FUT及びFOY投与マウスの両方において、NFκB活性化が抑制されたことを示しており、炎症誘発性サイトカイン産生を抑制した上記の結果と同様に、FUTおよびFOYがNFκBの視点からみても免疫調節作用を有し、炎症等に対して有効であることが確認された。
FUT及びFOYの血清IgE、Der p特異的IgG1及び IgG2a/2b抗体に対する影響;
FUT、FOY、UTIを投与したDer p感作マウスの血清を採取し、血清IgE、IgG1及び IgG2a/2b抗体を調べた。試験方法は、上記の実験材料及び試験方法の欄で述べたとおりである。結果を図4aに示す。
化合物非投与の感作マウスにおいては、抗原非感作の対照マウス(ナイーブ)より、血清IgEの値は顕著な増加が認められた(261±15.3対66.4±4.3pg/ml)。
FUT、FOY、及びUTIそれぞれ投与後の感作マウスについては、FUT及びFOY投与後の血清IgE濃度が非投与の感作マウスより顕著に減少した(43.2±3.3、 87.8±6.6、 P<0.05)。ここでまた注意すべき点は、FOYの濃度が20 mg/Kgであったのに対してFUTの濃度がそれの約320分の1の0.0625 mg/Kgという極めて低濃度であったことである。この試験結果から明らかなとおり、同じトリプターゼ阻害剤でありながら、FUTはFOYの約320倍の抑制効果を示したのである。
これと同時に、FUT、FOY、及びUTIを投与した後、感作マウスにおけるIgGの血清濃度についても測定した。その結果を図4bに示す。この試験結果によれば、FUT,FOY,UTIを投与した感作マウスと,化合物非投与の感作マウスにおけるDer p特異的IgG1及び IgG2a/2b抗体の値は大差が見られず、FUT、FOY、UTIがIgG2a/2b抗体には影響を及ぼさないことが明らかになった。
Der p誘発肺胞マクロファージにおけるの炎症性サイトカイン及びケモカインのmRNA発現に対するFUT、FOYの影響;
肺胞マクロファージ(AMs)はアレルゲン誘発の気道炎症の病態に関与すると推測されいわれている。そこで、Der p誘発の炎症性サイトカイン及びケモカインのmRNA発現に対するFUT、FOYの影響について試験を行った。試験方法は、前記実験材料と試験方法の欄に記載した方法に従った。
その結果、化合物非投与の感作マウスにおけるAMs中のTNF-α、IL-6、 IL-1β、RANTES、iNOs及びeotaxinのmRNA合成が、抗原非感作のマウスと比べ、それぞれ2から11倍に達していた。IL-10及びIL-12のmRNAは、ナイーブマウスより若干増加しただけであった。
化合物非投与の感作マウスからのAMsをFUT、FOY、UTIと共培養し、炎症性サイトカイン及びケモカインの産生に対する効果を分析した。
化合物非投与の感作マウスのAMsをFUTと共培養することによって、TNF-αとサイトカインの産生が減少し、IL-10、TGFβ及びIL-12の産生が(基準値に対してそれぞれ、3.5倍、 13倍、 及び5.5倍)顕著に増加した(図5参照)。
一方、FOYは、AM中のIL-1β、TNF-α、IL-6及び eotaxinの産生を顕著に抑制し(基準値に対してそれぞれ、1.2倍、 2.4倍、 2.2倍、 及び2.4倍。図5参照)、IL-10、TGFβ及びIL-12については、これをプラス方向に調節した(基準値に対してそれぞれ、3.5倍、 13倍、 及び5.5倍)。また、UTIは、TGFβの発現を増加(5.2倍)させたが、他の前炎症性サイトカイン及びケモカインの発現において変化はなかった。
FUTによるB7.2(CD86)及び NO過剰発現抑制試験;
本発明者らの以前の研究で、Der pにより刺激されたAMsの二次的な増加はTh2反応の進行に必須と思われるB7.2の刺激に依存すると報告した。
さらに、NOはアレルゲン誘発の気道炎症でのAMsから産生され、サイトカイン遺伝子発現及び免疫炎症反応にも影響を与えると考えられており、特に誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOs)は、一酸化窒素(フリーラジカル)を産生し、炎症を増幅すると言われている。
そこで、上記実験材料及び試験方法の欄で述べた方法に従って、AMs中のiNOs及びT細胞と抗原提示細胞の接着に関与するCD86の発現について上記した免疫組織化学法(immunohistochemistry)を用いて、Der p感作マウスにおいてAMs中のiNOs及びCD86の発現に対するFUT,FOY,UTIの作用をさらに検討した。その結果を図6に示す。
その結果、興味深いことに、また、驚くべきことに、Der p(10 μg/ml)により刺激されたAMsにおいてFUTはiNOsの過剰発現及びCD86発現を顕著に抑制できたが、FOY及びUTI投与では同様な条件下では何の変化も見られなかった。
このことは、同じ蛋白分解酵素阻害剤であるにもかかわらず、炎症抑制の観点からすると、FOYに比べてFUTの方が圧倒的に優れていることを示唆するものである。
上記試験の結果から明らかなとおり、FUT投与群では、
・ BALF中の総細胞、好中球、及び好酸球の数が、非投与の感作マウスでのそれぞれに比べて顕著に減少し、
・ IL-4、IL-6産生が抑制された一方、IL-12サイトカイン産生は増加し、
・ NFκB活性化を減退させ、
・ 血清IgE濃度を非投与の感作マウスより顕著に減少させ、
・ TNF-αの産生を減少させるとともに、IL-10、TGFβ及びIL-12の産生を顕著に増加させ、
・ iNOsの過剰発現及びCD86発現を顕著に抑制した。
上記試験結果によって、蛋白分解酵素阻害剤の中でFUTが顕著な免疫調節作用を有していることが立証できた。炎症局所への好中球、好酸球の浸潤に対する阻害は治療効果に繋がる重要な要素と思われる。今回の試験により、FUTが、同じトリプターゼ阻害剤であるFOYに比べて320倍もの効果を発揮することが初めて明らかにされた。このことは、FUTがFOYにはない別の作用メカニズムによって、免疫調節能を発揮していることを示唆するものである。従って、FUTは、副作用のない新規な非ステロイド系の免疫調節剤として大いに期待されるものである。
本願発明の免疫調節剤は、極めて少量の有効成分で効果を発揮し、しかも承認済みの薬剤なのでその安全性も確認されており、さらには従来の治療薬と異なって非ステロイド系であるために副作用の恐れもないため、安全な免疫調節剤としてその実用化が期待される。
FUT、FOY、またはUTIを投与後のDer p感作マウスに対するBAL細胞の総細胞数及び分画細胞数を示すグラフである。(実施例1) Der p感作マウスに対するBALF中のIL-4、 IL-6及びIL-12サイトカイン産生に対するFUT、 FOY、及びUTIの投与効果を示すグラフである。(実施例2) Der p感作マウスの全肺中のNFκB活性化に対するFUT、 FOY、及びUTIの投与効果を示すグラフである。(実施例3) FUT及びFOYの血清IgE、Der p特異的IgG1及び IgG2a/2b抗体に対する影響を示すグラフである。(実施例4) 感作マウスにおけるAMs中のTNF-α、IL-6、 IL-1β、RANTES、iNOs及びeotaxinのmRNA発現を示すグラフである。(実施例5) Der p処理肺胞マクロファージにおけるFUT等によるB7.2(CD86)及び NOS過剰発現抑制効果を示すグラフである。(実施例6)

Claims (11)

  1. 下記式で表される6’-アミノジ-2’-ナフチル4-グアニジノベンゾエート又はその薬理学上許容される塩を有効成分として含有してなる免疫調節剤。
  2. 塩がメシル酸塩である請求項1に記載の免疫調節剤。
  3. 免疫調節作用が好中球浸潤抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  4. 免疫調節作用が好酸球浸潤抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  5. 免疫調節作用が炎症性細胞浸潤抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  6. 免疫調節作用がTh2サイトカイン産生抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  7. 免疫調節作用が転写因子NF-kB活性化抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  8. 免疫調節作用がIgE産生抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  9. 免疫調節作用が炎症性サイトカイン産生抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  10. 免疫調節作用が補助刺激分子発現抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
  11. 免疫調節作用が誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)抑制作用である請求項1または2に記載の薬剤
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