JP2006168187A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、サテライトやインクミストの記録媒体への付着を防止して画像ノイズや濃度ムラによる画像品質低下を防止する記録装置を提供する。
【解決手段】 記録ヘッドの吐出口から複数のインク滴を吐出して、キャリッジの往復運動時に記録を行うインクジェット記録装置の構成として、キャリッジに設けられた、記録ヘッドフェース面とプラテンの間に風を送る風送り機構と、風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を、記録媒体上の同じ記録領域に対して、記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数によって切り替える切替手段と、を設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関し、詳しくは、キャリッジに設けた風送り機構より得られる風速あるいは風量を記録ヘッドのフェース面とプラテン間に送る風送りと、風送り手段からの風速あるいは風量を、記録媒体上の同じ記録領域に対して、記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数(以下、画像形成時のパス数と略す)によって切り替える切替手段とを設けたインクジェット記録装置に関するものである。
近年、インターネットの普及にともないプリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置が、オフィスや一般家庭等でコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションの出力機器として広く接続されている。記録装置としては、電子写真方式、インクジェット方式、サーマル方式等が普及しているが、中でもインクジェット方式の記録装置は、紙やOHP用シート、フィルムだけでなく、布、段ボール、陶器、金属等といった媒体にも記録することが可能である。
更に平面の媒体だけでなく、凹凸がある媒体や曲面、エッジ部にも印刷可能であることから、一般的に使用されているプリンタとしてだけでなく、業務用プリンタとしても幅広く活用されている。更に記録ヘッドのコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも多色のインクを使用してカラー画像を記録することが容易である等の利点を有している。
特に熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録方式の記録ヘッドは、エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て基板上に製膜された電気熱変換体、電極、液路壁、天板等を形成することにより、高密度の液路配置(吐出口配置)を有するものを製造することができ、一層のコンパクト化を図ることができる。
インクジェット方式の記録装置では、電気熱変換素子や電気機械変換素子を利用してノズルから液滴を吐出することで画像を形成する方式があるが、主滴の他にサテライトやインクミストといった、主滴よりも小さい霧状の液滴が同時に吐出される。これらのサテライトやインクミストは、画像品質を低下させる主要因であり、画像品質を向上させるためには、サテライトやインクミストを画像領域外に運ぶ必要がある。
これに対し、特開2001−113733号公報に開示されているように、キャリッジの移動にともないインク吐出口近傍の気圧よりも低い気圧を発生する手段を設けることで、前記インク吐出口の近傍から前記手段への気流を発生させ、記録ヘッド面とプラテン間に浮遊したサテライトやインクミストを画像領域外に流すキャリッジ構成を取っており、これにともない、サテライトやインクミストによる画像品質低下を防止することは既に公知である。
また、特開平7−25007号公報に開示されているように、キャリッジ本体に吸引ファンとフィルタを設けて、キャリッジの主走査方向の動作を利用してキャリッジと平行な方向へ大気を循環させることでインクミストを回収する手段も既に公知である。
更に、特開平6−166173号公報に開示されているように、キャリッジ本体に送風ファンを設けて、キャリッジの主走査方向に対して垂直方向に風を送風する手段も公知である。
特開2001−113733号公報 特開平7−25007号公報 特開平6−166173号公報
しかしながら、上記の特開2001−113733号公報に記載された技術は、キャリッジの移動に伴い発生する気圧差により記録ヘッドとプラテン間に浮遊したサテライトやインクミストを画像領域外に運ぶものであるが、その機能は十分ではなく、完全に除去することはできない。そのため、特に白地の部分に浮遊したサテライトやインクミストによる画像ノイズが発生したり、ハーフトーン画像においては、濃度ムラや色味に変化をもたらす等の課題がある。更に使用頻度が増えると気圧差により吸い出したサテライトやインクミストが流路の外壁に付着することで、その機能が低下するといった問題点もある。
また、特開平7−25007号公報に記載された技術は、インクミスト回収には効果があるもののキャリッジの双方向印字には対応しておらず、高速印字を達成することができないという問題点がある。
更に特開平6−166173号公報に記載された技術は、サテライトやインクミストを送風して、回収することで画像ムラは改善するものの画像形成時のパス数を変えることで、発生するサテライトやインクミストの量は異なるため、それぞれの条件に適した風を送る必要があるが、このことが考慮されていない。
本発明は上記の観点に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、キャリッジに設けられた風送り機構より得られた風速あるいは風量を記録ヘッドフェース面とプラテン間にキャリッジ移動方向に対して垂直方向に流すことで画像品質低下の主要因であるサテライトやインクミストを画像領域外に運ぶことである。
特にサテライトやインクミストが大量に発生する画像形成時のパス数が少ない場合においては、風送り機構からの風の風速あるいは風量を高めに切り替え、サテライトやインクミスとの発生が比較的少ない画像形成時のパス数の多い場合においては、風送り機構からの風速あるいは風量を低く切り換えることで画像ノイズや濃度ムラによる画像品質低下を防止する。
特にサテライトやインクミスト発生量が同程度の場合は、切り換えない場合もある。また、風送り機構から排出される風を回収する回収手段によりサテライトやインクミストを回収することで、機内の外壁やキャリッジ周辺部材にサテライトやインクミストが付着することはなく、使用頻度が増えた場合でも、その機能は低下せず、安定して高品位な画像を高速に形成することができる。
上記目的を達成するために、本発明は、記録ヘッドの吐出口から複数のインク滴を吐出して、キャリッジの往復運動時に記録を行うインクジェット記録装置において、前記キャリッジに設けられた、記録ヘッドフェース面とプラテンの間に風を送る風送り機構と、前記風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を、記録媒体上の同じ記録領域に対して、前記記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数によって切り替える切替手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、キャリッジに風送り機構を設け、排出ファンから排出される風をダクトを介して記録ヘッドのフェース面とプラテンの間に流すことによって、インクの主滴以外に発生するサテライトやインクミストといった画像品質を低下させる成分を画像領域外に運ぶことができ、その結果、優れた品質の画像を継続して出力することが可能となる。特に、高速印刷を達成するために記録ヘッドによって印刷するためのパス数を少なくした時には、サテライトやインクミストの発生量が多くなり、この時、排出ファンの風速を強めることで画像品質が向上する。また、高画質印刷を達成するためにパス数を多くした時には、サテライトやインクミストの発生量は少なくなり、この時、排出ファンの風速を弱めることで省エネルギーに貢献することができる。
(記録装置全体の構成)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。図1において、2は紙搬送系ユニットを含む装置本体を示し、本装置は比較的大判の記録用紙(記録媒体)に記録を行うものである。1はキャリッジを示し、12個の記録ヘッド5を搭載して移動し、これにより、記録ヘッド5の記録用紙に対する走査が可能となる。すなわち、キャリジ1は、ガイド軸33によりこれに沿って移動可能に案内支持されており、また、ベルト34を介して伝達される駆動力によって往復移動できるものである。なお、使用インクとしては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの他に、更に粒状間の低減を目的とした淡シアン、淡マゼンタを加えた計6色が採用されており、また、記録スピードの向上を目的として、1色のインクに対して2個の記録ヘッドが使用されている。
30A、30B、30Cおよび30Dは、キャップを備えて各記録ヘッド5の不図示のポンプを駆動源として吸引動作を行い、また、記録ヘッドの不使用時に記録ヘッドを保護する回復機構を示す。31は各記録ヘッド5の予備吐出動作によって吐出されるインクを受容する予備吐出インク受領箱を、32は、各記録ヘッド5の吐出口面のワイピング動作を行うためのワイピング機構をそれぞれ示す。
以上の装置構成において、キャリッジ1は、ホスト装置から記録データを受け取ると、図示しない紙搬送ユニットによって送られる記録用紙に記録すべく、ガイド軸33に沿った方向(主走査方向)に移動するように制御され、これにより、各記録ヘッド5の走査が行なわれ記録用紙に1バンド分の画像などが記録される。そして、記録用紙はキャリッジ1と直交する方向(副走査方向)に1バンド分、紙搬送ユニットによって搬送される。キャリッジ1の移動経路に沿ってそのキャリッジの移動位置を検出するためのエンコーダフィルム35が配設されており、キャリッジ1に搭載されたエンコーダセンサ(不図示)がこれを検出する信号に基づいてキャリッジの位置を知ることができる。また、このエンコーダの位置検出に基づいてキャリッジ1のホームポジションへの移動が制御される。
それぞれの記録ヘッド5には、上記の副走査方向に1200dpi(ドット/インチ)の密度で、1280個の吐出口が配列されており、各吐出口に連通したインク液路内には、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その圧力によってインクを吐出させるための電気熱変換体が設けられている。
図2は、この実施形態における制御系回路の構成を示すブロック図である。この実施形態において、300は主制御部であり、この主制御部300は演算、制御、判別、設定などの処理動作を実行するCPU301と、このCPU301によって実行すべき制御プログラム等を格納するROM302と、記録データのバッファやCPU301による処理のワークエリア等として用いられるRAM303、及び入出力ポート304などを備えるものとなっている。
そして、前記入出力ポート304には、前述の搬送モータ(LFモータ)312、キャリッジモータ(CRモータ)313、及び記録ヘッド5などの各駆動回路305,306,307が接続されると共に、記録ヘッドの温度を検出するヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)314、及びキャリッジ1のホームポジションを検出するホームポジションセンサ310などのセンサ類が接続されている。さらに、前記主制御部300はインターフェース回路311を介して不図時のホストコンピュータに接続されている。
主制御部300から印字に関する制御が入出力ポート304に入り、各駆動回路に信号がいくときに風送り機構6であるキャリッジ5に搭載された排出ファン7の駆動回路308が排出ファン7の風速及び風量を制御して所定の風を記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9(図4、図7参照)の間に送る。印刷を完了すると入出力ポート304から信号を受け、駆動回路308は排出ファン7を停止する。
更に、主制御部300から印字に関する制御が入出力ポート304に入り、各駆動回路に信号がいくときに回収手段10に搭載された回収ファン12の駆動回路309が回収ファン12を制御して記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9を通過した風を回収する。印刷を完了すると入出力ポート304から信号を受け、駆動回路309は回収ファン12を停止する。
(キャリッジの構成)
図3は、本発明の実施形態である風送り機構を具えたキャリッジの斜視図である。図3において、キャリッジ1には記録ヘッド5が2つ搭載されているツインヘッド構成になっている。キャリッジ1に設けられた風送り機構6(図4参照)には、回転エネルギーを風力に変換するための排出ファン7が搭載されており、ダクト8を介して送られる。
更に、風送り機構6に関して、図4を用いて詳細に説明する。図4は風送り機構のダクト部分を中心とした断面図である。風送り機構6から排出された風は、ダクト8を介して記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に送られる。送られる風向きは、キャリッジの移動方向に対して垂直方向に送られる構成になっている。また、送られる風速は、0.5m/secから7m/secが好ましい。更に、風送り機構6から排出される風の風速あるいは風量を調整するために排出ファン7に印加する電圧値を図示しない本体、コントローラ、プリンタドライバ等のいずれか1つ以上の手段により制御する。
風送り機構に用いられる排出ファン7は、図5のようなシロッコファンや図6のような軸流ファンでも問題なく機能する。特に排出ファン7の回転数が低い状況下においてサテライトやインクミストを移動させる時には、必要な風速を安定して形成できるシロッコファンを使用することが好ましい。
このように風送り機構6よりダクト8を介して記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に送られた風は、画像を形成する主滴の着弾精度には悪影響を与えず、画像品質を低下させる主要因であるサテライトやインクミストのみを画像領域外に吹き飛ばすことが可能となる。
(回収手段の構成)
図7は風送り機構6よりダクト8を介して記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に送られた風を回収する回収手段10の断面図である。記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に浮遊したサテライトやインクミストは、風送り機構6より排出された風によって回収手段10の開口部11へと運ばれる。回収手段10は、回転エネルギーを変換して風を吸引する構成を取っており、回収ファン12によって、矢印14の方向へと風が流れる気流を形成している。そのため回収手段10の開口部11へと運ばれたサテライトやインクミストは、回収手段10の気流にのって矢印14の方向へと運ばれ、途中に設けられたフィルタ13によって回収される。
回収ファン12には、図5のようなシロッコファンや図6のような軸流ファンでも問題なく機能する。特に回収ファン12の回転数が低い状況下でサテライトやインクミストを回収する時には、必要な風速を安定して形成できるシロッコファンを使用することが好ましい。
(実施例)
以下に実施例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されるものではない。実施例における画像の評価方法および実施条件に関して以下に簡単に記す。
(画像の評価方法)
画像の評価方法は、ドット面積率が10%から100%までの10段階の階調パターンのパッチをデータとして入力して、画像を形成する。出力した画像は、サテライトやインクミストの影響による画像ムラの発生度合いを次のように目視評価する。

○ :10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない
○から△ :10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される
△ :10段階の階調パターンのうち、2つのパッチにわずかな画像ムラが観察される
△から× :10段階の階調パターンのうち、3つのパッチに画像ムラが観察される
× :10段階の階調パターンのうち、4つ以上のパッチに画像ムラが観察される

なお、○から△レベル以上の画像であるならば、市場で一般的に出力される画像パターンにおいて、画像ムラがあるとは判別できないレベルであり、十分に満足できる画像が出力できる。
(実施条件)
キャリッジ線速:50 (inch/sec)
キャリッジ片道移動距離:36(inch)
画像形成方法:往復方向印刷
(実施例1〜3)
実施例1,2,3では、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離をそれぞれ2.0mm,1.5mm,1.0mmと可変させ、回収ファン12を駆動させない条件で記録ヘッド5の画像形成時のパス数を可変し画像を出力して評価した。下記の表1は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が2.0mm時の実施例1と比較例1を比較した結果である。
(実施例1)
実施例1では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス時には、風送り機構として用いる排出ファン7に12V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速3m/secを発生させる。また、3パス時には、排出ファン7に10V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速2.5m/secを発生させる。更に4パス以上では排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。すなわち、風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を、記録媒体上の同じ記録領域に対して、記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数によって切り替える切替手段を設けている。
その結果、1パス、2パス時には10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、3パス以上では10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。
(比較例1)
一方、比較例1では、キャリッジにファンを搭載していない条件で画像評価したときの結果であり、1パス、2パス時には、10段階の階調パターンのうち、4つ以上のパッチに画像ムラが観察される×レベルであり、3パス、4パス時には、10段階の階調パターンのうち、3つのパッチに画像ムラが観察される△から×レベルであり、6パス時には、10段階の階調パターンのうち、2つのパッチにわずかな画像ムラが観察される△レベルであり、8パス時には、10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、10パス時には、10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルである。
実施例1と比較例の結果から、風送り機構6である排出ファン7及びダクト8を搭載し、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風を送ることで、画像品質が飛躍的に向上することが確認された。
下記の表2は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が1.5mm時の実施例2と比較例2を比較した結果である。
(実施例2)
実施例2では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス、3パス時には、排出ファン7に10V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速2.5m/secを発生させる。また、4パス時には、排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。更に6パス以上では排出ファン7に6V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.0m/secを発生させる。その結果、1パス時には10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、2パス以上では10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。
(比較例2)
一方、比較例2では、キャリッジにファンを搭載していない条件で画像評価したときの結果であり、1パス、2パス時には、10段階の階調パターンのうち、4つ以上のパッチに画像ムラが観察される×レベルであり、3パス、4パス時には、10段階の階調パターンのうち、2つのパッチに画像ムラが観察される△レベルであり、6パス、8パス時には、10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、10パス以上では、10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであり、風送り機構6である排出ファン7及びダクト8を搭載し、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風を送ることで、画像品質が飛躍的に向上することが確認された。
下記の表3は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が1.0mm時の実施例3と比較例3を比較した結果である。
(実施例3)
実施例3では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス、3パス時には、排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。また、4パス以上では排出ファン7に6V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.0m/secを発生させる。その結果、1パス以上で10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。
(比較例3)
一方、比較例3では、キャリッジにファンを搭載していない条件で画像評価したときの結果であり、1パス時には、10段階の階調パターンのうち、3つのパッチに画像ムラが観察される△から×レベルであり、2パス、3パス時には、10段階の階調パターンのうち、2つのパッチに画像ムラが観察される△レベルであり、4パス、6パス時には、10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、8パス以上では、10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであり、風送り機構6である排出ファン7及びダクト8を搭載し、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風を送ることで、画像品質が飛躍的に向上することが確認された。
(実施例4〜6)
実施例4,5,6では、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離をそれぞれ2.0mm,1.5mm,1.0mmと可変させ、回収ファン12に12V印加することで回収手段の開口部11の風速を3m/secとした条件で画像形成時の記録ヘッド5のパス数を可変し画像を出力して評価した。
(実施例4)
下記の表4は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が2.0mm時の実施例4の結果である。
実施例4では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス時には、排出ファン7に12V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速3m/secを発生させる。また、3パス時には、排出ファン7に10V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速2.5m/secを発生させる。更に4パス以上では排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。その結果、1パス時には10段階の階調パターンのうち、1つのパッチのみごくわずかに画像ムラが観察される○から△レベルであり、2パス以上では10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。
回収手段10を設け、回収ファン12に駆動させることで更に画像品質が向上することが確認された。
(実施例5)
下記の表5は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が1.5mm時の実施例5の結果である。
実施例5では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス、3パス時には、排出ファン7に10V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速2.5m/secを発生させる。また、4パス時には、排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。更に6パス以上では排出ファン7に6V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.0m/secを発生させる。その結果、1パス以上で10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。回収手段10を設け、回収ファン12に駆動させることで更に画像品質が向上することが確認された。
(実施例6)
下記の表6は記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が1.0mm時の実施例6の結果である。
実施例6では画像形成時の記録ヘッド5のパス数が1パス、2パス、3パス時には、排出ファン7に8V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させる。また、4パス以上では排出ファン7に6V印加することで、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.0m/secを発生させる。その結果、1パス以上で10段階の階調パターンすべての階調パッチにおいて画像ムラが発生しない○レベルであることを確認した。回収手段10を設け、回収ファン12に駆動させることで更に画像品質が向上することが確認された。
下記の表7は排出ファンの風速を画像形成時のパス数によって変えなかった場合の実施例6で、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9との距離が2.0mm時の結果である。
表1の比較例と比較すると、記録ヘッド5のフェース面15とプラテン9の間に風速1.5m/secを発生させることで、画像品質が向上しているが、パス数によって風速を切り換えた実施例1と比較すると1,2,3パス時の画像品質が低下していることがわかる。
なお、以上の実施例1から7及び比較例1から3の説明から明らかなように、複数のインク吐出口を備える記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であれば、同一又は異なる色彩のインクを用いて記録するカラー記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する階調記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に本発明を適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
さらに、本発明は、記録手段とインクタンクを一体化した交換可能なインクジェットカートリッジを用いる構成、記録手段とインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録手段とインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
また、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置において優れた効果をもたらすものである。
本発明の実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。 本発明の実施形態に係わる制御系回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係わる風送り機構を具えたキャリッジの斜視図である。 本発明の実施形態に係わる風送り機構を具えたキャリッジの断面図である。 本発明の実施形態に係わる風送り機構に備えられるシロッコファンの斜視図である。 本発明の実施形態に係わる風送り機構に備えられる軸流ファンの斜視図である。 風送り機構よりダクトを介して記録ヘッドのフェース面とプラテンの間に送られた風を回収する回収手段の断面図である。
符号の説明
1 キャリッジ
2 装置本体(搬送系ユニットを含む)
5 記録ヘッド
6 風送り機構
7 排出ファン
8 ダクト
9 プラテン
10 回収手段
11 回収手段の開口部
12 回収ファン
13 フィルタ
14 回収手段の風の流れの方向
15 記録ヘッドフェース面
30A、30B、30C、30D 回復機構
31 予備吐出インク受領箱
32 ワイピング機構
33 ガイド軸
34 ベルト
35 エンコーダフィルム

Claims (6)

  1. 記録ヘッドの吐出口から複数のインク滴を吐出して、キャリッジの往復運動時に記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジに設けられた、記録ヘッドフェース面とプラテンの間に風を送る風送り機構と、
    前記風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を、記録媒体上の同じ記録領域に対して、前記記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数によって切り替える切替手段と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 記録媒体上の同じ記録領域に対して、前記記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数を増やした条件での画像形成時には、前記風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を同じか、あるいは低下させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 記録媒体上の同じ記録領域に対して、前記記録ヘッドを主走査方向にスキャンさせる回数を少なくした条件での画像形成時には、前記風送り機構から排出される風の風速あるいは風量を同じか、あるいは増加させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記風送り機構から排出される風向きが、前記キャリッジの移動方向に対して垂直方向であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記風送り機構から排出される風を回収するための回収手段を設けることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記風送り機構から排出される風を発生させる手段が、回転エネルギーから風力に変換させる機構であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009137282A (ja) * 2007-11-13 2009-06-25 Canon Inc インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置の制御方法
US8657393B2 (en) 2007-11-13 2014-02-25 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet printing apparatus and method of controlling ink jet printing apparatus

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