JP2006168107A - インクジェット記録方法および記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料インクを用いたインクジェット記録において、種々の被記録媒体上で形成される記録画像の表面光沢感の違和感を抑制し、自然で品質の優れた画像を高速、低コスト、簡便な方法で得ることのできるインクジェット記録方法及び記録物を提供する。
【解決手段】 有効画像領域と非記録領域との境界部分に少なくとも両領域とは異なる表面光沢度を有する透明パターンを設ける。例えば、表面光沢感の違和感を無くす場合、両領域の中間の表面光沢度を有する少なくとも1段の透明パターンを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、顔料インクを用いたインクジェット記録に関し、種々の被記録媒体上での記録画像における表面光沢感の違和感を抑制し、自然で品質の優れた画像を得ることのできるインクジェット記録方法、及び記録物に関する。
近年、インクジェット記録方法は、液状インクをヘッド部のノズルより吐出させ高画質な記録を比較的簡易な構成で行なうことが出来るものとして、ホーム分野を中心としたプリンター製品として広く普及されてきた。この中でインクジェット記録方法としては、更なる高画質化、高速化、高堅牢性化の要求が強いものとなってきている。
通常インクジェット記録に用いられるインクとしては、染料系あるいは、顔料系インクがそれぞれの特徴を生かしながら使用されている。染料系インクを用いた記録では、初期定着時間が短く、発色性は良好だが、記録画像における耐水性、耐擦過性、耐光性等の堅牢性に欠点を有していた。更に、にじみの抑制が難しく、画像の鮮明性に欠ける場合があり、これを解消しようとすると記録速度を充分遅くしなければならなかった。
これに対して、顔料系インクを用いた記録では、耐水性や耐光性などの堅牢性が優れており、かつ被記録媒体上でのにじみも比較的抑制できることから、近年インクジェット記録に多く用いられるようになってきた。
しかしながら、このような顔料インクを用いたインクジェット記録では、一般に画像部分の表面光沢性が顔料の凝集状態によって失われ、表面光沢性の高い被記録媒体を用いたときは被記録媒体よりも大幅に低くなり、また表面光沢性の低い被記録媒体上への記録時には逆にインクに含まれる樹脂の光沢感の影響で被記録媒体よりも高い光沢性を発現し、いずれにせよ有効画像領域と被記録媒体との境界部分において表面光沢度の段差が生じ、画像に対する違和感となって画像品質上劣るといった課題があった。
これに対し、例えば、特許文献1〜5では、有効画像領域を含む全面の表面光沢度を揃える様、非画像領域にクリアーインクの樹脂層を埋め込んだり、さらに着色印字デューティーの低いところにはそれぞれのデューティーに合せてクリアーインクを重ね塗りし、被記録媒体上の全ての領域を同じ表面光沢度に合せるといったことが開示されている。
しかしながら、この様な方法においては、記録領域以外の全ての領域に表面光沢度を揃える樹脂層を設けたり、またデューティーの低い領域の上にもそれぞれのデューティーに合せてクリアーインクを重ね塗りし樹脂層を補って表面光沢度を揃えている為、多量の樹脂付与が必要であり、コスト面で大きく課題が残るものであった。また、当然有効画像を形成する印字時間に加え、表面光沢度を揃えるためのクリアーインク印字時間も必要となり記録時間が増加し、さらにその分、記録後の定着・乾燥にも時間を要するといったこと等、印字の高速化が強く望まれる中、課題が残るものであった。さらに、デューティーの低い記録領域上に表面光沢度を補う樹脂層を重ね印字する際に既印字済みの着色画像の再溶解現象が起こり、画像のにじみや被記録媒体中への浸透が促進され、画像の不鮮明さが生じたりする場合もあった。
以上の様に従来例では、より簡便で低コスト、かつ高速性を重視した顔料インクを用いた記録で、表面光沢度の違和感の無い高品質な記録画像を得る上で充分な解決手段が提案されていなかった。
特開2003―266912号公報 特開2003―266913号公報 特開2003―266932号公報 特開2003―286428号公報 特開2003―191601号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、顔料インクを用いたインクジェット記録に関し、記録画像の表面光沢感の違和感を低コストで簡便な方法で抑制し、自然で品質の優れた画像を高速で得ることのできるインクジェット記録方法、及び記録物を提供する事を目的とする。
本発明者等は、鋭意研究した結果、有効画像領域を含む被記録媒体上全ての表面光沢度を必ずしも均一にしなくても、有効画像領域と非記録領域との境界部分の表面光沢度の段差を緩和する事のみで光沢性の違和感の無い自然で品質の優れた画像が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体上に顔料インクを用い、少なくとも相対的に表面光沢度の異なる有効画像領域が設けられたインクジェット記録方法において、該有効画像領域と非記録領域との間に少なくとも両領域とは異なる表面光沢度を有する透明パターンを設けた事を特徴とするものである。
また、前記インクジェット記録方法で、透明パターンが両領域の中間の表面光沢度を有する透明パターンからなる事を特徴とするものである。
また、前記インクジェット記録方法で、透明パターンが両領域の中間の表面光沢度で異なる光沢度の複数の透明パターンからなる事を特徴とするものである。
また、前記インクジェット記録方法で、透明パターンが有効画像領域から非記録領域の間で表面光沢度の順に設けられた事を特徴とする有効画像領域から非記録領域の間で表面光沢度の順に設けられた複数の透明パターンからなる事を特徴とするものである。
さらに、前記インクジェット記録方法で、透明パターンが少なくとも透明樹脂と透明微粒子とを含み、該透明樹脂と透明微粒子との配合比率によって表面光沢度を制御した事を特徴とするものである。
また、本発明の記録物は、前記インクジェット記録方法にて形成された事を特徴とするものである。
有効画像領域と非記録領域との間に表面光沢度の段差を緩和する中間の表面光沢度を有し、かつ有効画像に対して影響を及ぼさない透明な中間光沢パターン領域を少なくとも1段階設ける事により、画質上の光沢感に最も影響を及ぼしていた光沢度の段差を和らげ、違和感の無い自然な画像品質を高速に得ることが可能となる。
以上の様に、本発明によれば、顔料インクを用いたインクジェット記録方法において、有効画像領域と非記録領域との間に両領域の表面光沢度の中間の値を有する少なくとも1段階の透明パターンを形成することで、両領域の境界部分により強調され視認されていた表面光沢性での違和感を低コスト、簡便な方法で抑制し、自然で品質の優れた画像を高速で得ることができる。また、着色インク層の上に重ね印字する領域も無いので、再溶解に伴なう画像品位の低下も抑えられる。さらに、この記録方法によれば、画像の表面光沢感に違和感の無い記録物を得ることができる。
以下、本発明を好ましい実施の形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明に用いられる有効画像領域と非記録領域の間に設ける表面光沢度の透明パターンは、両領域の中間の表面光沢度を有するパターンで、有効画像領域の外周部に沿ったある幅を持った形状、すなわち輪郭状に設けられる。有効画像領域の表面光沢度と被記録媒体の表面光沢度との差の大きさに応じては、複数段の透明パターンを形成してもよい。複数段の透明パターンを形成する場合は、有効画像領域と非記録領域との表面光沢度の間にその値の序列になるように配置形成する。各透明パターンの表面光沢度の値は、概ねその両領域のパターンの表面光沢度の間であれば限定されるものではないが、好ましくは、その両領域の中間の値にするのが良い。透明パターンは、顔料インクと同様のインクジェット記録により有効画像領域を形成するのと同時に各領域を記録する。
なお、有効画像領域と非記録領域の間に設ける表面光沢度の透明パターンは、必要に応じて両領域の間以外の表面光沢度を有するパターンを用いることにより、有効画像領域を強調させることもできる。
本発明に用いられる有効画像領域と非記録領域の間に設ける中間表面光沢度の透明パターンは、透明樹脂、透明微粒子、必要に応じて添加剤、そしてこれらを溶解・分散する溶媒等から構成されている。
本発明に用いられる透明樹脂としては、被記録媒体上で画像が形成された後、このポリマーの造膜平坦化作用により光沢性の発現する樹脂が用いられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル系、スチレン系、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、オレフィン系およびアミノ基、アミド基、カルボキシル基、水酸基などの親水性官能基を有するモノマーなどのホモポリマー、または複数の成分によるランダム、グラフト、ブロック共重合体等、あるいは、水溶性樹脂としては、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステルなど、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体などから選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体などのアルカリ中和物を用いてもよい。
次に本発明で用いられる表面光沢度を制御する透明微粒子としては,勇気粒子,向き粒子など,特に限られるものではないが、水に対して不溶性であり安定に分散するものであればあればよい。また、粒子形についても特に限られるものではないが、極力球状のものが好ましく用いられる。
具体的には有機粒子としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、フッソ樹脂、α,β−不飽和エチレン性単量体のエマルジョン重合等により得られる重合体等を、また、無機粒子としては、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等酸化物の微粒子を用いることができる。
本発明においては、透明樹脂及び透明微粒子の材料種、透明微粒子の粒子径と透明樹脂との混合比率、及び透明パタ−ンの全固形分量、さらに印字時のデューティーを制御することによって表面光沢度の制御を行なう。
本発明における透明微粒子の平均粒子径としては、10nmから500nm、好ましくは20nmから200nm程度がよい。また透明樹脂に対する混合量としては、0.1wt%から10wt%、好ましくは0.5wt%から5wt%程度がよい。さらに全固形分量は、透明パターン形成液中で1wt%から10wt%、好ましくは1wt%から5wt%程度がよい。透明パターンを形成する液は、以下に記載した顔料インクに調整する添加剤、溶媒を同様に用いることでインクジェット用透明インクとする。なお透明パターンを形成する液は、予め着色インクの顔料平均粒径、分散樹脂に対する混合量、さらに着色インクの全固形分濃度とほぼ同等のものを調製する。これによって、印字デューティーの制御のみで表面光沢度を制御した透明パターンを形成することができる。
本発明に用いられる顔料インクは、顔料、分散樹脂、必要に応じて添加剤、そしてこれらを溶解・分散する溶媒等から構成されている。
本発明で使用される顔料としては、一般的な無機顔料および有機顔料であり、例えば、無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、チャネル法、ファーネス法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
具体的な顔料としては、例えばイエロー顔料としては、ピグメントイエロー1、2、3、12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー180などを、マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57(Sr)、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202などを、シアン顔料としては、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントプルー60、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、バットブルー4、バットブルー60などを、ブラック顔料としては、所望の表面特性に処理されたカーボンブラック、チタンブラックなどを挙げることができる。
また、これらの顔料を分散させるための分散樹脂としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステルなど、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体などから選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体、あるいはランダム共重合体、またはこれらの塩などが挙げられる。これらの分散樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、インクジェット用インクに用いた場合には分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。また、上記透明パターンを形成する透明樹脂と全く同じものを使用しても構わない。
また、本発明においては、必要に応じて種々の添加剤を用いることができる。例えば、分散剤、界面活性剤、PH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリルおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
さらに両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
本発明の水性顔料インクは単色でもよく、また、複数色のインクからなるインクセットでもよい。
本発明の透明微粒子インクは上記した透明微粒子および透明樹脂と、これらを分散させるための水系溶媒とを少なくとも有し、また顔料インクは上記した顔料および分散樹脂と、これらを分散させるための水系溶媒とを少なくとも有するが、この際に使用する好適な水系溶媒としては、水、または水と水溶性有機溶剤の混合溶媒を使用することが好ましい。本発明において使用するインクの、インク中における水の含有量は、通常20 〜90 重量%、好ましくは30 〜70 重量%の範囲である。
また、本発明において水と混合して使用し得る水溶性有機溶剤としては、下記の如き3つの群に分けることができる。すなわち、保湿性が高く、蒸発しにくく、親水性に優れる第1群の溶剤、次に有機性があり疎水性の表面への濡れ性がよく、蒸発乾燥性も良好な第2群の溶剤、さらに適度の濡れ性を有し低粘性に優れた第3群の溶剤である。本発明においてはこれらの3つの溶剤群の中から目的に応じて適宜に選択して使用すればよい。
第1群に属する溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1 ,2 ,4 −ブタントリオール、1 ,2 ,6 −へキサントリオール、1 ,2 ,5 −ペンタントリオール、1 ,2 −ブタンジオール、1 ,3 −ブタンジオール、1 ,4 −ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリ10ドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
第2群に属する溶媒としては、へキシレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−へキセン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−へキサンジオールなどが挙げられる。
第3群に属する溶媒としては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどが挙げられる。
以上の如き水溶性有機溶媒の総量は、概ねインク全体に対して5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
本発明の透明微粒子インク及び顔料インクは、上記した各材料を分散機によって微分散して作製されるが、この際の分散機としては、一般に使用される分散機なら如何なるものも使用し得る。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミルなどミル系分散機やナノマイザーなどの様な衝突型分散機を用いてもよい。但し、分散効率及び生産性等を考慮すると、これらの中でも高速度のサンドミルが好ましい。例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)などを好ましく使用できる。
本発明において、所望の平均粒径は、及び粒径分布を有する透明微粒子の分散液及び顔料の分散液あるいはインクを得る方法としては、以下の方法を用いることができる。例えば、分散機に用いる粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、あるいは粉砕処理時間を長くする、粉砕速度を遅くするなどの方法や粉砕後、フィルターや遠心分離機などで分級するなどの手法を用いることができる。勿論、これらの手法を適宜組合わせてもよい。
本発明で使用する被記録媒体としては、特に限定されるものではなく、通常の紙、コート紙、アート紙等や、これらの紙に種々の受容層を形成した紙等の種々の表面光沢度ものを用いることができる。
また、本発明で用いられるインクジェット記録方式は、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、あるいは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等、所定のエネルギーで液滴を吐出させて記録を行なうものであれば何れの方式でもよいが、好ましい方式として記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方式が挙げられる。
本発明に用いられる顔料インクは、以上の様な顔料や分散樹脂、添加剤、溶剤等を用い、インクジェット吐出方法に合せた最適な配合に調整し、使用する。好ましい配合例としては、インク100重量部に対して、色材は0.5〜10.0重量%の範囲から、分散樹脂の配合としては1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の範囲で、さらに添加剤類は0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で、そして水溶性溶剤は5〜40重量%の範囲からそれぞれ任意に選択することができる。
なお、透明微粒子インク及び顔料インクはインクジェットヘッドから正確に吐出可能な特性を有するとともに、記録媒体に着弾したときに、インクが記録媒体上で適度なサイズのドット形状を維持する様に特性を調整する必要がある。
この観点から顔料インクの特性としては、例えば粘度を1〜15cpsの範囲で、表面張力が25dyn/cm以上、より好ましくは、粘度を1〜5cpsの範囲で、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好適である。
まず以下に示した配合の透明微粒子インク及び各色顔料インクを調整した。
すなわち、予めスチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体の酸価量に合せた水酸化カリウムにて処理した水溶液と他の配合材料をインク中での配合比率がそれぞれ下記の様になるように所定量混合し、100μmのジルコニアビーズを用いたビーズミルにて分散処理を行ない、その後遠心分離処理により粗大粒子を除去して、透明微粒子あるいは、各色顔料が均一、安定に分散されたインクを調製した。
得られた各インクにおける微粒子の平均粒径は、110nmから200nm程度になった。また、調製された各インクを用いて単色毎に100%デューティーでPR−101上にベタパターンを形成し、その部分の60°鏡面光沢度をグロスメーター(村上色彩研究所製)にて計測、確認したところ、イエローで40.1、マゼンタで39.5、シアンで38.7、ブラックで39.0、透明微粒子インクで43.5、また被記録媒体上の表面光沢度は49.0であった。
[透明微粒子インク]
(1)透明微粒子 : 2重量部
(スチレン−アクリル共重合体,平均粒径:〜200nm)
(2)透明樹脂 : 5重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
[イエロー顔料インク]
(1)PY−74 顔料 : 3重量部
(2)透明樹脂 : 3重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
[マゼンタ顔料インク]
(1)PR−122 顔料 : 3重量部
(2)透明樹脂 : 3重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
[シアン顔料インク]
(1)PB−15:3 顔料 : 3重量部
(2)透明樹脂 : 3重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
[ブラック顔料インク]
(1)カーボンブラック顔料 : 3重量部
(2)透明樹脂 : 3重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
次に図1及び図2に示す様に、バブルジェット(登録商標)プリンター PIXUS F900(キャノン社製)に上記各インクをセットし、フォト光沢紙PR−101(キャノン社製)上に各色顔料インクを用いた印字を行ない、有効画像領域(11及び21)を形成した。
この際、各有効画像周辺の非記録領域(13及び23)との境界部には有効画像領域の画像デューティーと同じ透明インクのパターン領域(12及び22)を同時に設けた。
得られた画像を詳細に評価したところ、有効画像領域と非記録領域との間にある表面光沢度の差の違和感は無く、画像全体としては、高品位な記録を得ることができた。
実施例1と同様の各インクを用い、図3及び図4に示す様に、有効画素領域(31及び41)の外周部の外側に向かって順にデューティーを上げて印字した2段階の透明パターン(32及び42)及びより表面光沢度の高い第二の透明パターン(34及び44)を形成した。これにより、有効画像領域(31及び41)から非記録領域(33及び43)に向かって順に表面光沢度が上がっていく様にパターン形成された。
実施例1と同様に得られた画像を詳細に評価したところ、有効画像領域と非記録領域との間にある表面光沢度の差の違和感はさらに無くなり、画像全体としてより高品位な記録を得ることができた。
実施例1の各インクの他に単色で用いた場合に実施例1で用いた透明パターン用インクと異なる表面光沢度を得ることができる以下の配合の第二の透明パターン用インクを調整した。
[第二の透明微粒子インク]
(1)透明微粒子 : 2重量部
(スチレン−アクリル共重合体,平均粒径:〜100nm)
(2)透明樹脂 : 5重量部
(スチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体)
(3)グリセリン : 7重量部
(4)ジエチレングリコール : 5重量部
(5)トリメチロールプロパン : 7重量部
(6)水 : 残量
インクにおける微粒子の平均粒径は、100nm程度になった。
また、調製されたインクを用いて単色で100%デューティーのベタパターンを形成し、その部分の60°鏡面光沢度をグロスメーター(村上色彩研究所製)にて計測、確認したところ、第二の微粒子インク部は、46.6であった。
実施例1の各種インクと上記第二の透明微粒子インクを用い、実施例2と同様に、有効画素領域の外周部の外側に向かって順に透明微粒子インク、第二の透明微粒子インクを同じデューティーで印字した2段階の透明輪郭パターンを形成した記録を行なった。これにより、有効画像領域から被記録媒体に向かって順に表面光沢度が上がっていく様にパターン形成された。
実施例1と同様に得られた画像を詳細に評価したところ、有効画像領域と非記録領域との間にある表面光沢度の差の違和感は同様に無くなり、画像全体として高品位な記録を得ることができた。
(比較例1)
前記透明微粒子インクによる有効画像領域と非記録領域との間の中間表面光沢度を有する透明パターンを設けない以外は、実施例1と同様に画像形成を行なった。
実施例1と同様に記録した画像を詳細に評価したところ、有効画像領域と非記録領域との境界部に生じる表面光沢度の段差が協調され、画像全体の光沢感の違和感が生じ、画質上劣る印象を与えるものであった。
(比較例2)
実施例1と同様の各インクを用い、有効画素領域の外周部の外側に向かって順にデューティーを下げて印字した2段階の透明輪郭パターンを形成した記録を行なった。これによって、表面光沢度は、有効画素領域から外側に順に低、高、低、高という画像状態が得られた。
実施例1と同様に得られた画像を詳細に評価したところ、透明輪郭パターンの何も無い比較例1の状態よりは表面光沢度の違和感が少なかったが、表面光沢度の順に透明パターンを形成した実施例2の画像に比べると画質上劣る印象を与えるものであった。
本発明における第1の実施例を説明する平面概略図。 本発明における第1の実施例を説明する断面概略図。 本発明における第2の実施例を説明する平面概略図。 本発明における第2の実施例を説明する断面概略図。
符号の説明
11,21,31,41 有効画像領域
12,22,32,42 透明パターン
13,23,33,43 非記録領域
34,44 第二の透明パターン

Claims (6)

  1. 被記録媒体上に顔料インクを用い、少なくとも相対的に表面光沢度の異なる有効画像領域が設けられたインクジェット記録方法において、該有効画像領域と非記録領域との間に少なくとも両領域とは異なる表面光沢度を有する透明パターンを設けた事を特徴としたインクジェット記録方法。
  2. 前記透明パターンが両領域の中間の表面光沢度を有する透明パターンからなる事を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記両領域の中間の表面光沢度を有する透明パターンが異なる光沢度の複数の透明パターンからなる事を特徴とする請求項1、2いずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記異なる光沢度の複数の透明パターンが有効画像領域から非記録領域の間で表面光沢度の順に設けられた事を特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記透明パターンが少なくとも透明樹脂と透明微粒子とを含み、該透明樹脂と透明微粒子との配合比率によって表面光沢度を制御した事を特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載のインクジェット記録方法によって非記録媒体上に記録画像が形成されてなる事を特徴とする記録物。
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