JP2006167758A - 摩擦攪拌接合用の加工プローブ、摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の加工プローブでは、被接合材料同士の接合界面における温度分布にばらつきが生じ、これが接合強度の向上を阻む原因となっていた。
【解決手段】重合した被接合材料1,2に接触して回転させることにより、その摩擦熱で被接合材料1,2同士を接合する加工プローブPであって、被接合材料1,2同士の接合界面Aの温度分布を均一化させる温度均一化手段として、加工プローブ本体Paの回転軸に対して偏心配置され且つ加工プローブ本体Paに対して回転可能な接合用ピンPbを備えたものとし、接合界面Aの温度分布を均一にして接合強度の向上を実現した。
【選択図】 図1
【解決手段】重合した被接合材料1,2に接触して回転させることにより、その摩擦熱で被接合材料1,2同士を接合する加工プローブPであって、被接合材料1,2同士の接合界面Aの温度分布を均一化させる温度均一化手段として、加工プローブ本体Paの回転軸に対して偏心配置され且つ加工プローブ本体Paに対して回転可能な接合用ピンPbを備えたものとし、接合界面Aの温度分布を均一にして接合強度の向上を実現した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、本発明は、重合した被接合材料を摩擦攪拌接合により接合するのに用いられる加工プローブ、この加工プローブを用いた摩擦攪拌接合装置、及び摩擦攪拌接合方法に関するものである。
摩擦攪拌接合(FSW)では、図4に示すように、第1及び第2の被接合材料1,2を重合して、これらを図示しない拘束手段で保持し、次いで、第1の被接合材料1に加工プローブ100の摺接面を所定圧力で接触させると共に、その反対側を治具101で支持した後、加工プローブ100を回転させる。これにより、摺接面と被接合材料1との間で摩擦熱が生じ、この摩擦熱により被接合材料1,2が部分的に溶融し、最終的に図5(c)に示すように被接合材料1,2同士が接合する。
上記の摩擦攪拌接合は、同種金属の接合だけでなく、異種金属の接合にも用いることが可能である。ここで、異種金属の接合では、例えば、アルミニウム合金と鋼とを接合する場合、その接合界面には高硬度で脆弱なFe2Al5やFeAl3などの金属間化合物が生成されることから、充分な継手強度を確保するには、金属間化合物の生成を抑制するための制御が必要であった。
特開2003−170280公報
溶接学会全国大会講演概要第73集(2003−10)P66〜P67
ところで、上記したような摩擦攪拌接合において、回転する加工プローブの摺接面は、回転中心からの距離が増すにつれて回転速度〔(r;回転中心からの距離)×(ω;角速度)〕も大きくなり、回転速度が大きくなれば摩擦熱も高くなる。このため、従来の摩擦攪拌接合では、図5(a)(b)に接合界面Aの温度分布を示すように、加工プローブの回転中心からの距離rが大きくなるほど温度Tが高いものとなり、このような接合界面Aの温度分布のばらつきが接合強度の向上を阻む原因となっていた。なお、図5(b)は、接合界面Aにおける温度分布をハッチングの濃淡で示したものである。
また、例えば、アルミニウム合金と鋼との異種金属接合では、アルミニウム合金の表面には緻密で強固な酸化皮膜が形成されており、この酸化皮膜を除去するには接合時に大きな熱量を投入することが有効であるが、接合時に大きな熱量を投入すると、接合界面における金属間化合物が成長して接合強度が低下することが知られている。そして、このような異種金属の接合に従来の摩擦攪拌接合を適用すると、上記した接合界面の温度分布のばらつきに伴って接合界面での金属間化合物の生成状態にもばらつきが生じ、これによっても接合強度が低下するという問題点があった。
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一にし、これにより良好な接合状態を均一に有する接合領域を確保して接合強度の向上を実現することができ、また、異種金属の接合にも好適な摩擦攪拌接合用の加工プローブ、これを用いた摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供することを目的としている。
本発明の摩擦攪拌接合用の加工プローブは、重合した被接合材料に接触して回転させることにより、その摩擦熱で被接合材料同士を接合する摩擦攪拌接合用の加工プローブであって、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化させる温度均一化手段を備えたことを特徴としている。
そして、より好ましい実施形態として、温度均一化手段が、加工プローブ本体の先端部に設けた接合用ピンであって、接合用ピンは、被接合材料に接触する摺接面を有すると共に、加工プローブ本体の回転軸に対して偏心した状態に配置してあり、加工プローブ本体に対して回転可能であることを特徴としている。
本発明の摩擦攪拌接合装置は、上記の加工プローブを備えた摩擦攪拌接合装置であり、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重を検出する荷重検出手段、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け変位量を検出する変位量検出手段、及び被接合材料に接触した接合用ピンの発熱温度を検出する温度検出手段のうちの少なくとも一つを備えたことを特徴としている。
本発明の摩擦攪拌接合方法は、上記の加工プローブ又は摩擦攪拌接合装置を用いたものであって、重合した第1及び第2の被接合材料のいずれかに上記の加工プローブの摺接面を所定圧力で接触させ、この状態で加工プローブを回転させる。
この際、当該接合方法では、温度均一化手段を備えた加工プローブの使用により、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化し、また、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重、押し付け変位量及び接合用ピンの発熱温度のうちの少なくとも一つをモニタリングしながら、被接合材料を部分的に溶融して被接合材料同士を接合する。
さらに、本発明の摩擦攪拌接合方法は、第1の被接合材料と第2の被接合材料が、互いに異種金属であることを特徴とし、さらに、第1の被接合材料と第2の被接合材料の間にこれらの二種類の材料とは異なる第3の材料を介在させ、第1の被接合材料及び第2の被接合材料のうちの少なくともいずれか一方の材料と第3の材料との間の界面に共晶溶融を生じさせて第1の被接合材料と第2の被接合材料とを接合することを特徴としている。
本発明の摩擦攪拌接合用の加工プローブによれば、温度均一化手段の採用により、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化することで、良好な接合状態を均一に有する接合領域を確保して接合強度の向上を実現することができる。また、例えばアルミニウム合金と鋼といった異種金属の接合を行う場合には、接合界面での金属間化合物の生成状態を均一に抑制して、接合強度の向上を実現することができる。
本発明の摩擦攪拌接合溶接装置によれば、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化することで、良好な接合状態を均一に有する接合領域を確保して接合強度の向上を実現することができ、とくに、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重や押し付け変位量をモニタリングすることで、加工プローブと被接合材料との間における摩擦力とその摩擦による発熱量を検出し且つこれらの変化を予測することが可能になり、また、接合用ピンの発熱温度をモニタリングすることで、加工プローブと被接合材料との間における摩擦熱を検出し且つその変化を予測することが可能になり、これにより被接合材料同士の接合界面における温度分布のさらなる均一化、並びに接合強度のさらなる向上に貢献することができる。
本発明の摩擦攪拌接合方法によれば、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化することで、良好な接合状態を均一に有する接合領域を確保して接合強度の向上を実現することができ、とくに、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重、押し付け変位量及び接合用ピンの発熱温度のうちの少なくとも一つをモニタリングしながら、被接合材料同士を接合することで、少なくとも加工プローブと被接合材料との間における摩擦熱を検出し且つその変化を予測することが可能になり、これにより被接合材料同士の接合界面における温度分布のさらなる均一化を図ることができ、接合強度をより一層高めることができる。
さらに、上記の摩擦攪拌接合方法によれば、異種金属の接合に用いれば、接合界面での金属間化合物の生成状態を均一に抑制して、接合強度を向上させることができ、例えばアルミニウム合金と鋼の接合に用いれば、比較的低温状態で酸化皮膜を除去しつつ金属間化合物の生成を抑制して、アルミニウム合金と鋼の新生面同士の強固な接合強度を得ることができる。
以下、図面に基づいて、本発明に係わる摩擦攪拌接合用の加工プローブ、これを用いた摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の一実施例を説明する。なお、本発明の加工プローブや接合装置は、詳細な構成が以下の実施例に限定されるものではない。
図1(a)に示す第1の被接合材料1及び第2の被接合材料2は、互いに異種金属であって、第1の被接合材料1がアルミニウム合金であると共に、第2の被接合材料2が鋼であり、接合に際しては、双方の間にこれらの二種類の材料とは異なる第3の材料3を介在させる。
より具体的には、第1の被接合材料1は、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金であり、第2の被接合材料2は、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板であって、亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層を第3の材料3としている。この際、亜鉛めっき層は、共晶溶融が生じるのに必要な最低厚さを有している。
上記の第1及び第2の被接合材料1,2を接合する摩擦攪拌接合装置は、図1に示す加工プローブPを備えている。この加工プローブPは、概略円柱状を成すと共に、重合した被接合材料1,2の一方に接触して回転させることにより、その摩擦熱で被接合材料1,2同士を接合するものであって、被接合材料1,2同士の接合界面の温度分布を均一化させる温度均一化手段を備えている。
温度均一化手段は、加工プローブ本体Paの先端部に設けた接合用ピンPbである。この接合用ピンPbは、図1(b)(c)に示すように、加工プローブ本体Paの直径の約半分程度の直径を有する円柱状を成すと共に、加工プローブ本体Paに対してその回転軸Caに沿って挿設してあり、加工プローブ本体Paから突出した先端面(下端面)を被接合材料に接触する摺接面Sとしている。
このとき、接合用ピンPbは、加工プローブ本体Paの回転軸Caに対して偏心した状態に配置してあって、加工プローブ本体Paの回転軸Caと平行な回転軸Cbを中心にして、加工プローブ本体Paに対して回転可能である。
また、摩擦攪拌接合装置は、図1(a)に示すように、加工プローブ本体Paを駆動する昇降駆動機構11及びプローブ用回転駆動機構12と、接合用ピンPbを駆動するピン用回転駆動機構13を備えており、このほか、加工プローブPa及び各駆動機構11〜13を水平方向に移動させる手段を付加することができる。昇降駆動機構11は、例えば駆動源であるモータやシリンダ等のアクチュエータ及び動力伝達機構などで構成してあり、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbを一体的に昇降動作させる。
プローブ用回転駆動機構12は、例えば駆動源であるモータ及び減速装置などで構成してある。ピン用回転駆動機構13は、加工プローブ本体Paの回転に連動して接合用ピンPbを回転動作させるための動力伝達機構等で構成したもの、あるいは接合用ピンPbを完全に独立して回転動作させるための個別の駆動源や減速機構などで構成したものとすることができる。
さらに、摩擦攪拌接合装置は、被接合材料1に接触した接合用ピンPbの押し付け荷重を検出する荷重検出手段21と、被接合材料1に接触した接合用ピンPbの押し付け変位量を検出する変位量検出手段22と、被接合材料1に接触した接合用ピンPbの発熱温度を検出する温度検出手段23を備えている。
荷重検出手段21は、例えばロードセルであって、加工プローブ本体Paの昇降駆動機構11の一部あるいは加工プローブ本体Paと接合用ピンPbの間などにおいて、回転軸Caに沿う方向に作用する圧力を検出することで、被接合材料1に接触した接合用ピンPbの押し付け荷重を検出する。
変位量検出手段22は、例えば歪ゲージであって、加工プローブ本体Paと接合用ピンPbの間などにおいて、加工プローブ本体Paに対する接合用ピンPbの変位、とくに回転軸Cbに沿う方向の変位を検出することで、被接合材料1に接触した接合用ピンPbの押し付け変位量を検出する。
温度検出手段23は、例えば接触式又は非接触式の温度センサであって、とくに接合用ピンPbの先端部における発熱温度を検出する。
さらに、摩擦攪拌接合装置は、荷重検出手段21による検出値に基づいて接合用ピンPbの押し付け荷重を制御する荷重制御手段31と、変位量検出手段22による検出値に基づいて接合用ピンPbの押し付け変位量を制御する変位量制御手段32と、温度検出手段23による検出値に基づいて加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの少なくとも一方の回転数(単位時間あたりの回転数)を制御する回転数制御手段33を備えている。
荷重制御手段31は、荷重検出手段21による検出値に基づいて、昇降駆動手段11の動作制御すなわち加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの進退量を変化させることで、接合用ピンPbの押し付け荷重を制御する。
変位量制御手段32は、変位量検出手段22による検出値に基づいて、同じく昇降駆動手段11の動作制御すなわち加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの進退量を変化させることで、接合用ピンPbの押し付け変位量を制御する。
回転数制御手段33は、温度検出手段23による検出値に基づいて、プローブ用回転駆動手段12及びピン用回転駆動機構13の動作制御を行うことで、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの回転数を制御する。このとき、回転数制御手段33は、接合用ピンPbが加工プローブ本体Paと連動する構成である場合には、プローブ用回転駆動手段12の動作制御を行うことで、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの回転数を制御することとなり、また、接合用ピンPbが個別の駆動源を備えた構成である場合には、プローブ用回転駆動手段12及びピン用回転駆動機構13の少なくとも一方の動作制御を行うことで、加工プローブ本体Paや接合用ピンPbの回転数を制御する。
上記の荷重制御手段31、変位量制御手段32及び回転数制御手段33は、駆動制御手段41に含まれる。駆動制御手段41は、荷重検出手段21、変位量検出手段22及び温度検出手段23からの検出値に基づいて、接合用ピンPbの押し付け荷重、接合用ピンPbの押し付け変位量、加工プローブ本体Paの回転数及び接合用ピンPbの回転数のうちの少なくとも一つを制御するものであって、荷重制御手段31、変位量制御手段32及び回転数制御手段33を選択的に働かせることができる。
なお、駆動制御手段は、上記構成のほか、加工プローブ本体Pa及び各駆動機構11〜13を水平方向に駆動する手段の制御や、各種検出データの表示なども行う。
次に、接合過程を示す図3のフローチャートに基づいて、上記の加工プローブ及び摩擦攪拌接合装置の動作とともに摩擦攪拌接合方法を説明する。
はじめに、図1(a)に示すように、先述した第1の被接合材料(アルミニウム合金)1と第2の被接合材料(亜鉛めっき鋼板)2とを重合して、これらを図示しない拘束手段で保持し、続いて、第1の被接合材料1に加工プローブPにおける接合用ピンPbの摺接面Sを所定圧力で接触させると共に、その反対側を治具Jで支持する。
また、図3に示すステップS1において、第1及び第2の被接合材料1,2の各板厚と材料の組み合わせから、初期接合条件として、接合用ピンPbの押し付け荷重、押し付け変位量、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの回転数を決定する。接合用ピンPbの押し付け荷重や押し付け変位量は、荷重検出手段21及び変位量検出手段22の検出値をモニタリングすることができるので、その検出値が設定値となるように加工プローブPを位置決めすることで調整し得る。
次に、ステップS2において、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbを夫々回転させることで接合を開始する。ここで、従来の加工プローブ(図4参照)では、その回転中心からの距離が大きくなるほど回転速度が増して温度(摩擦熱)が高くなり、図5に示すように、被接合材料同士の接合界面の温度分布に明らかなばらつきが生じていた。これに対して、この実施例の加工プローブPでは、回転中心からの距離に対する回転速度の差が解消されて、被接合材料1,2同士の接合界面の温度分布が均一なものになる。
すなわち、加工プローブPは、加工プローブ本体Paの回転軸Caに対して偏心した位置に接合用ピンPbを備えると共に、加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbが夫々の回転軸Ca,Cbを中心に回転するので、接合用ピンPbが、自己の回転軸Cbを中心に回転しながら、加工プローブ本体Paの回転軸Ca回りにも回動することとなる。したがって、加工プローブPは、加工プローブ本体Paの回転軸Caを中心とした接合用ピンPbの摺接面Sの回動範囲において被接合材料1と摺動接触する。
つまり、摩擦攪拌接合装置では、上記した接合用ピンPbの回転及び回動によって、加工プローブ本体Paの回転中心からの距離に対する回転速度の差を解消し、これにより摺接面Sの回動範囲において摩擦熱を均一に発生させることで、図2に示すように、被接合材料1,2同士の接合界面Aの温度分布を均一化する。なお、図2(a)は、加工プローブ本体Paの回転中心からの距離rに対する接合界面Aの温度Tを示すグラフであり、図2(b)は、接合界面Aの温度分布をハッチングの濃淡で示す図である。
また、摩擦攪拌接合装置は、ステップS3において、接合用ピンPbの押し付け荷重、押し付け変位量及び発熱温度、すなわち荷重検出手段21、変位量検出手段22及び温度検出手段23の各検出値をモニタリングしている。このモニタリングにより、現在の摩擦力とその摩擦による発熱量だけでなく、これらの変化を予測することも可能となる。
そして、摩擦攪拌接合装置は、ステップS4において、上記の各検出値に基づいて、接合用ピンPbの押し付け荷重及び押し付け変位量、並びに加工プローブ本体Pa及び接合用ピンPbの回転数の制御が必要であるか否かを判定し、制御不要の場合(No)には、ステップS6の終了判定に移行し、制御要の場合(Yes)には、ステップS5に移行して、接合用ピンPbの押し付け荷重、接合用ピンPbの押し付け変位量、加工プローブ本体Paの回転数及び接合用ピンPbの回転数のうちの少なくとも一つを制御する。
具体的には、駆動制御手段41における荷重制御手段31、変位量制御手段32及び回転数制御手段33により、昇降駆動手段11、プローブ用回転駆動手段12及びピン用回転駆動手段13の動作制御を行う。
上記の如く接合用ピンPbの押し付け荷重、接合用ピンPbの押し付け変位量、加工プローブ本体Paの回転数及び接合用ピンPbの回転数を選択して制御すれば、接合過程における摩擦力とその摩擦による発熱量を良好に維持することができ、被接合材料1,2同士の接合界面における温度分布のさらなる均一化を図ることができるほか、加工プローブ本体Paに対して偏心配置された接合用ピン10の折れを未然に防ぐことができるなどの利点がある。
その後、摩擦攪拌接合装置は、ステップS6において接合の終了判定を行い、終了しない場合(No)には、ステップS3に戻って接合作業を継続し、終了する場合(Yes)には、加工プローブPの回転停止や加工プローブPの後退を行う。
このように、上記実施例の加工プローブP、これを用いた摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法では、温度均一化手段である接合用ピンPbを備えたことで、被接合材料1,2同士の接合界面における温度分布を均一化し、さらに、接合用ピンPbの押し付け荷重、押し付け変位量及び発熱温度をモニタリングして、押し付け荷重、押し付け変位量、加工プローブ本体Paの回転数、及び接合用ピンPbの回転数を制御することで、接合界面における温度分布のさらなる均一化を実現し、良好な接合状態を均一に有する接合領域を確保して接合強度の向上を実現することができる。
また、第1の被接合材料1がアルミニウム合金であり、第2の被接合材料2が亜鉛めっき鋼板であって、第2の被接合材料2の亜鉛めっき層を第3の材料3として摩擦攪拌接合を行うと、接合用ピンPbの摺動接触で発生した摩擦熱によって両被接合材料1,2の界面で共晶溶融が生じ、この共晶溶融とともに第1の被接合材料(アルミニウム合金)の表面における酸化皮膜が除去され、さらに、接合界面の温度分布の均一化により金属間化合物の生成状態を均一に抑制して、アルミニウム合金と鋼の新生面同士の強固な接合強度を得ることができる。
そして、実際に上記の摩擦攪拌接合装置を使用し、第1及び第2の被接合材料1,2に対して、加工プローブPの水平移動を伴わない点接合、及び加工プローブPの水平移動を伴う線接合を行ったところ、いずれも被接合材料1,2同士の接合界面における温度分布が均一化され、充分な接合強度を得ることができた。
なお、上記実施例では、アルミニウム合金と鋼(亜鉛めっき鋼板)との接合を例示したが、それ以外の金属同士の接合にも適用可能である。また、第1の被接合材料をアルミニウム合金とし、第2の被接合材料を鋼とした場合、第3の材料としては、アルミニウム合金と低融点共晶を形成する材料を用いることが望ましく、例えば、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、スズ(Sn)、銀(Ag)及びニッケル(Ni)などが挙げられる。
1 第1の被接合材料
2 第2の被接合材料
3 第3の材料
21 荷重検出手段
22 変位量検出手段
23 温度検出手段
31 荷重制御手段
32 変位量制御手段
33 回転数制御手段
41 駆動制御手段
A 接合界面
P 加工プローブ
Pa 加工プローブ本体
Pb 接合用ピン(温度均一化手段)
S 摺接面
2 第2の被接合材料
3 第3の材料
21 荷重検出手段
22 変位量検出手段
23 温度検出手段
31 荷重制御手段
32 変位量制御手段
33 回転数制御手段
41 駆動制御手段
A 接合界面
P 加工プローブ
Pa 加工プローブ本体
Pb 接合用ピン(温度均一化手段)
S 摺接面
Claims (13)
- 重合した被接合材料に接触して回転させることにより、その摩擦熱で被接合材料同士を接合する摩擦攪拌接合用の加工プローブであって、被接合材料同士の接合界面の温度分布を均一化させる温度均一化手段を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合用の加工プローブ。
- 温度均一化手段が、加工プローブ本体の先端部に設けた接合用ピンであって、接合用ピンは、被接合材料に接触する摺接面を有すると共に、加工プローブ本体の回転軸に対して偏心した状態に配置してあり、加工プローブ本体に対して回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合用の加工プローブ。
- 請求項2に記載の加工プローブを備えた摩擦攪拌接合装置であって、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重を検出する荷重検出手段を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
- 荷重検出手段による検出値に基づいて、接合用ピンの押し付け荷重を制御する荷重制御手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の摩擦攪拌接合装置。
- 請求項2に記載の加工プローブを備えた摩擦攪拌接合装置であって、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け変位量を検出する変位量検出手段を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
- 変位量検出手段による検出値に基づいて、接合用ピンの押し付け変位量を制御する変位量制御手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の摩擦攪拌接合装置。
- 請求項2に記載の加工プローブを備えた摩擦攪拌接合装置であって、被接合材料に接触した接合用ピンの発熱温度を検出する温度検出手段を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
- 温度検出手段による検出値に基づいて、加工プローブ本体及び接合用ピンの少なくとも一方の回転数を制御する回転数制御手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の摩擦攪拌接合装置。
- 請求項2に記載の加工プローブを備えた摩擦攪拌接合装置であって、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け荷重を検出する荷重検出手段と、被接合材料に接触した接合用ピンの押し付け変位量を検出する変位量検出手段と、被接合材料に接触した接合用ピンの発熱温度を検出する温度検出手段を備え、これらの検出手段からの検出値に基づいて、接合用ピンの押し付け荷重、接合用ピンの押し付け変位量、加工プローブ本体の回転数、及び接合用ピンの回転数のうちの少なくとも一つを制御する駆動制御手段を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
- 第1の被接合材料と第2の被接合材料とを摩擦攪拌接合により接合するに際し、請求項1又は2に記載の加工プローブを用いたことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
- 第1の被接合材料と第2の被接合材料とを摩擦攪拌接合により接合するに際し、請求項3〜9のいずれかに記載の摩擦攪拌接合装置を用いたことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
- 第1の被接合材料と第2の被接合材料が、互いに異種金属であることを特徴とする請求項10又は11に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 第1の被接合材料と第2の被接合材料の間にこれらの二種類の材料とは異なる第3の材料を介在させ、第1の被接合材料及び第2の被接合材料のうちの少なくともいずれか一方の材料と第3の材料との間の界面に共晶溶融を生じさせて第1の被接合材料と第2の被接合材料とを接合することを特徴とする請求項12に記載の摩擦攪拌接合方法。
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2004
- 2004-12-16 JP JP2004363984A patent/JP2006167758A/ja active Pending
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