JP2006166712A - 核酸修飾前の検体の前処理方法 - Google Patents

核酸修飾前の検体の前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、核酸修飾の前に検体から核酸を精製することなく、簡便に短時間で前処理する方法を提供する。
【解決手段】
核酸修飾前に、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする前記核酸の修飾前の検体の前処理方法による。本方法により、極めて簡便に、かつ飛躍的に短時間で核酸修飾処理に供するための試料を得ることができる。

Description

本発明は、検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、核酸の修飾に先だって行われる検体前処理方法に関するものであり、より詳細には、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする核酸の修飾前の検体の前処理方法に関する。
生体由来の検体に存在する遺伝子を解析することにより、感染症の診断や遺伝子診断が可能となってきた。例えば、ほ乳類の血液や糞便中のウイルス、腸内細菌叢や病原性細菌、又は消化管粘膜細胞、悪性新生物細胞、新生物細胞、及び分泌液に存在する遺伝子断片を用いて、各種類の疾患の原因探求や診断を行うことは、個体の健康状態の把握や悪性新生物の早期発見のために非常に有用である。
遺伝子解析方法として、検体からDNAを抽出・精製して、直接核酸増幅反応等により解析する方法や、DNAを人為的に修飾したものを核酸増幅反応させて解析する方法がある。核酸を人為的に修飾して解析する方法として、DNA中のメチル化検出が挙げられる。
DNA中のメチル化は、CpGジヌクレオチドのグアノシンの5'側に位置するシトシンでのみ起こる。通常メチル化されていないようなCpG島(CpGに富む領域)における異常なメチル化が遺伝子活性、細胞分化、腫瘍発生、X染色体の不活性化、遺伝子刷込み、及びその他の主要な生物学的プロセスにおいて重要な役割を担っていること、ヒトの腫瘍の種々の遺伝子のプロモーター領域で異常なメチル化が起きていることが報告されている(Razin, A., H., 及びRiggs, R. D. 編,DNA Methylation Biochemistry and Biological Significance, Springer-Verlag, New York, 1984、Jones, P. A. ら, Nat. Genet., 21: 163-167, 1999、Issaら, Ann. N. Y. Acad. Sci., 910: 140-153, 2000、Hermanら, N. Engl. J. Med., 349: 2042-2054, 2003)。
従来のメチル化シトシン検出方法は、メチル化感受性制限酵素又はメチル化反応性化学物質を用いて行われていた。しかし、この方法では、メチル化の可能性がある部位の限られた部分だけしか分析できないため、広く一般に適用できないという欠点がある。また、当該制限酵素により認識可能な配列中のCpG部位についてしか解析できないという欠点もある。メチル化感受性制限酵素と核酸増幅反応とを組合せた方法でも、制限酵素切断が不完全なこととメチル化対立遺伝子の数が少ないこととの区別が困難であるため、例えば少量の試料中における癌抑制遺伝子の高メチル化を検出する場合など、メチル化対立遺伝子が集団のほんの一部でしかない場合には信頼性がない。
上記メチル化感受性制限酵素又はメチル化反応性化学物質を用いずに、DNAのメチル化を感度よく検出する方法に、核酸増幅反応前にDNAを重亜硫酸塩(disulfite)処理する方法がある。DNAを重亜硫酸塩処理することによって、全てのメチル化されていない非メチル化シトシンをウラシルに修飾し、この修飾DNAを用いて遺伝子のメチル化を検出することができる。このような方法には、例えば、MSP法(特許文献1)やCOBRA法(非特許文献1)、Methylight法(特許文献2)等が挙げられる。しかしながら、これらの方法で行われるDNAの重亜硫酸塩処理は、重亜硫酸塩処理の前にDNAの抽出・精製をしなくてはならず、しかも比較的多くのDNAを必要とする。また、DNAを重亜硫酸塩処理した後、修飾DNAを解析に付すために再度精製を行う必要がある。
DNAの抽出・精製方法は、フェノール、クロロホルム等の有機溶媒が用いられる方法が一般的であり、市販のキットも数多く販売されている。また、有機溶媒を用いないものとして、MagExtractor(東洋紡製)やQIAamp Stool DNA Isolation Kit(QIAGEN製)が販売されている。前者はビーズで膜を破砕した後、ビーズに吸着したDNAを磁気ビーズで回収するものであり、後者は加熱により膜蛋白を変性させ、DNAを単離するものである。後者のキットを利用してヒト糞便よりDNAを抽出・精製し、その後DNAの重亜硫酸塩(disulfite)処理を行い、新生物に特徴的なメチル化異常を検出して、大腸癌の診断を試みようとする報告(非特許文献2)がある。この方法では、DNAの抽出・精製にキットを使用しているが、経済的でない。
有機溶媒を用いずにDNA抽出できる試薬キットとして、タンパク質分解酵素と、タンパク質変性剤、界面活性剤、キレート剤、及びタンパク質変性剤のうち少なくとも1種を含む水溶液と、塩及び共沈剤と、タンパク質変性溶解剤を組合せ核酸抽出キット(特許文献3)、タンパク質変性剤と、共沈剤と、タンパク質変性剤を含む核酸抽出キット(特許文献4)が開示されている。これらのキットではタンパク質分解酵素やタンパク質変性剤を必須のものとし、PCR等に使用可能な精製度の核酸を得ることを目的としている。
上述の通り、DNAメチル化検出のように、核酸増幅反応等の解析の前に人為的に核酸を修飾する工程が必要な場合においては、複数回のDNA精製が行われるため、操作が煩雑で、時間を要するという問題点があった。またこれまで、核酸修飾前の抽出・精製にも、核酸増幅反応前と同様の高純度DNAを得るための精製方法を用いていた。
Xiongら, Nucleioc Acids Res :2532-2534 Mullerら, The lancet, vol 363, 1283-1285, 2004 特表2000-511776号公表公報 特表2002-543852号公表公報 特開平7-236499号公開公報 特開2001-17173号公開公報
本発明は、核酸修飾前の抽出・精製方法を見直し、簡便かつ短時間で核酸を抽出する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意研究を重ねた結果、検体からDNAを精製しなくても、検体にグリコーゲンを添加して、タンパク質変性剤を添加せずに処理することによって、検体中の核酸を修飾できることを見出し、本発明の核酸の修飾前の検体の前処理方法を完成した。
すなわち本発明は、以下からなる。
1.検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする前記核酸の修飾前の検体の前処理方法。
2.検体に存在する特定の核酸が非メチル化シトシンであり、該核酸の人為的な修飾が重亜硫酸塩を用いた非メチル化シトシンのウラシルへの修飾である前項1に記載の前処理方法。
3.前記検体が、哺乳類の糞便である前項1又は2に記載の前処理方法。
4.検体を含有させた溶液1 μLに対し、0.2〜2 μgのグリコーゲンを添加する前項1〜3のいずれか一に記載の前処理方法。
5.前項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法による検体の前処理工程を含む、目的遺伝子の解析方法。
6.以下の工程を含む、検体に存在する非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法:
(a)検体を溶解液に溶解又は希釈して検体含有溶液を調製する工程;
(b)前記溶液にグリコーゲンを添加する工程;
(c)前記溶液にアルカリ溶液を添加する工程;
(d)前記溶液に重亜硫酸塩を添加する工程。
7.前項6に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法により、目的とする遺伝子を解析する方法。
8.核酸の修飾前に使用する試薬であって、グリコーゲンを含み、タンパク質変性剤を含まないことを特徴とする、前項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法に用いる検体前処理用試薬。
9.前項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法に使用する試薬キットであって、グリコーゲンを含み、タンパク質変性剤を含まないことを特徴とする、検体前処理試薬キット。
10.前項6に記載の方法に用いる、核酸修飾試薬キット。
本発明の前処理方法により、極めて簡便に、かつ飛躍的に短時間で核酸修飾処理に供するための試料を得ることができる。また、本発明の前処理方法は、操作が簡便であるため、試料の汚染や試料の損失を防ぐことができ、大量に前処理された核酸を得ることができる。よって、微量しか採取できない検体を用いることや、大量の核酸を必要とする解析方法等に適用することが可能となる。
本発明は、検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する一連の方法において、核酸修飾の前に有効に用いられる検体の前処理方法である。
(検体からの試料の調製)
本発明において「検体」とは、ヒトを含む動物等の生体より採取したもので、一切処理を施していないものを表す。本発明ではこれを「試料」とは区別して用いている。「試料」とは上記検体に何らかの処理、例えば検体を適当な溶液に溶解するなどの処理を施して得られたものを表す。また、「検体」は、該検体中に存在する遺伝子に関して解析する対象となるものであれば良く、特に限定はされない。例えば「検体」には、動物から採取した組織、血液、血清、糞便、射出精液、喀痰、唾液、脳脊髄等が含まれる。また本発明は、検体が糞便である場合に好適に用いることができる。糞便中には、腸粘膜細胞、血液細胞、腸内細胞叢、病原微生物(例えば細菌やウイルス)、腸内新生組織(大腸癌やポリープを含む)などが存在する。糞便は各種疾患関連遺伝子や微生物関連遺伝子、例えば遺伝病等の原因遺伝子、大腸癌組織由来遺伝子、又は細菌由来遺伝子等の解析を行うための非侵襲DNA材料として有効である。
まず、生体より採取した検体を、適当な溶液に懸濁・溶解させて、適宜希釈をして、検体含有溶液を作製することが好ましい。溶液は、タンパク質変性剤を含まない公知の溶液から、検体の種類や量を考慮して適宜選択して用いることができる。タンパク質変性剤とは、尿素、グアニジン塩酸、グアニン硫酸塩、グアニジンチオシアン酸塩などを示す。また当該溶液には、プロテイナーゼK、プロナーゼ、ズブチリシン等の非特異的タンパク質分解酵素を予め含有させておくこともできる。
例えば検体が糞便の場合、前記溶液は糞便に含まれる固形物を溶解することができ、タンパク質変性剤を含まないものであれば特に限定されないが、Tris-EDTAバッファーを含むpH値が 9前後の溶液が好ましい。該溶液を糞便1 mgに対し、0.1〜100 μL、好ましくは1〜30 μL、より好ましくは3〜7 μL前後で添加して糞便含有溶液を調製することができる。例えば、1.5 mLチューブに糞便を100 mg取り、溶解バッファーを500 μL入れ、糞便を溶解することができる。
糞便中の腸内細菌等の微生物の遺伝子を目的とする場合は、微生物の膜タンパクを変性させるために、検体含有溶液を加熱処理(例えば60〜95 ℃、10 分間〜10 時間)してもよい。
上記のようにして得られた検体含有溶液は、適宜遠心分離を行うことができる。遠心分離は、3,000〜8,000 rpm、好ましくは4,000〜6,000 rpm、より好ましくは5,000 rpm前後の回転数で1〜5分間行うことができる。検体が糞便の場合は、不必要な固形物等を除去するために遠心分離することが好ましい。
(前処理方法)
上記のようにして得られた検体含有溶液中にグリコーゲンを共存させることにより本発明の前処理方法を行う。グリコーゲンの添加時期は、核酸修飾工程の前であれば特に限定されない。
グリコーゲンはDNAキャリアとして作用するため、該作用をするような量でグリコーゲンを添加する必要がある。遠心分離していない検体含有溶液、又は遠心分離後であれば上澄み液10 〜100 μLに対して、グリコーゲンとして2 〜200 μg加えることができる。例えば、上記遠心分離して得られた上澄み液42 μLにグリコーゲンを45 μg加え、溶液を合計45 μLとすることができる。グリコーゲンは市販のものを用いることができる。グリコーゲンは粉末を該上澄み液に直接添加して溶解させてもよいが、グリコーゲン溶液として添加することが好ましい。グリコーゲン溶液の濃度は、試料の量等によって適宜調整することができるが、例えば15 〜20 mg/mLとすることができる。グリコーゲンが試料中に存在する状態で、15 〜30 分間、37 ℃でインキュベーションする。
次いで、検体中のDNAをアルカリ変性させて、二本鎖から一本鎖DNAにする反応を行うことが好ましい。アルカリ変性は、公知の方法によって行うことができるが、例えば水酸化ナトリウム溶液の添加により行うことができる。インキュベーションは、15分間〜30分間、37 ℃で行えばよい。以後の解析に市販のキットを用いる場合は、該キットにアルカリ変性を行う試薬が含まれていることがある。この場合は、該試薬を用いて、キットの方法に従ってアルカリ変性を行えばよい。
例えば、糞便を溶解した溶液を遠心分離して得られた上澄み液43 μLに、グリコーゲン溶液(15〜20 mg/mL)を2 μL、水酸化ナトリウム溶液(下記のDNA methylation Kit使用の場合はM-Dilution Buffer)を5 μLを加え、合計50 μLとする。この場合インキュベーションは、グリコーゲンと水酸化ナトリウム溶液を添加後に一度行えばよい。具体的には、15〜30 分間、35〜40 ℃、好ましくは37 ℃で行えばよい。
(特定の核酸の修飾方法)
本発明は、上記前処理方法を適用した検体中の特定の核酸を人為的に修飾する方法にも及ぶ。本明細書において「特定の核酸」とは、以後の解析方法に応じて「人為的な修飾」が必要な核酸を意味する。例えば、遺伝子中のメチル化の有無の検出を目的とする解析方法において、「特定の核酸」とは遺伝子中の非メチル化シトシン(メチル化シトシンではない)を示し、「人為的な修飾」とは、好ましくは重亜硫酸塩による該非メチル化シトシンのウラシルへの変換をいう。
本修飾方法では、前処理した検体含有溶液に、修飾試薬を直接接触させることにより、特定の核酸の修飾を達成することができる。例えば、上述の方法により前処理した糞便含有溶液に、重亜硫酸塩を直接接触させることにより遺伝子中の非メチル化シトシンをウラシルに変換することができる。
本発明の修飾方法は、前記の前処理方法に、解析の目的に応じた種々の公知のキットによる方法を組合せることができる。例えば、非メチル化シトシンのウラシルへの変換は、DNAメチル化検出用キットの市販品、例えばDNA methylation Kit, EZ(ZYMO RESEARCH)、MethylEasy(Human Genetic Signatures)、CpGenome DNA Modification Kit(CHEMICON)等を用いて行うことができる。
(遺伝子の解析方法)
本発明は、上記修飾方法により核酸を修飾して、目的とする遺伝子を解析する方法にも及ぶ。本発明の解析方法には、種々の公知の方法を用いることができる。遺伝子中のメチル化の有無を検出を目的とする場合は、MSP法、COBRA法、Methylight法等に当該修飾DNAを用いることができる。
(試薬及びキット)
本発明は、核酸の修飾前に使用する試薬であって、グリコーゲンを含み、タンパク質変性剤を含まないことを特徴とする検体前処理試薬、上記の前処理方法に用いるグリコーゲンを含みタンパク質変性剤を含まない検体前処理試薬キット、及び上記の核酸修飾方法に用いる核酸修飾試薬キットにも及ぶ。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではないことは明らかであろう。なお、本実施例では、実験例でAPC遺伝子のメチル化検出を行うことを目的とし、検体に糞便、核酸修飾工程にはDNAメチル化キット(DNA methylation Kit, EZ:ZYMO RESEARCH製)を用いた。
(実施例1)
糞便を溶解するための溶液として、500 mmol/L Tris-HCl、16 mmol/L EDTA、10 mmol/L NaCl、pH 9.0の組成の溶液(溶解バッファー)を調製した。1.5 mLチューブにサンプルナンバー9の糞便78 mg、サンプルナンバー12の糞便117 mg、サンプルナンバー45の糞便162 mg、及びサンプルナンバー51の糞便146 mgを入れて溶解バッファー 1,000 μLに糞便を溶解した。次に、該溶解溶液を95 ℃で10 分間加熱処理した。
2)糞便溶解溶液の遠心分離
得られた糞便溶解溶液を、5,000 rpm、3 分間で遠心分離を行った。
3)溶液へのグリコーゲンの添加
上記遠心分離して得られた上澄み液(サンプルナンバー45−1、51−1)(図2)43 μLにグリコーゲン溶液(15 mg/mL)2 μLを加え、撹拌した。また、糞便溶解溶液の上澄み液100 μLを溶解バッファー 500 μLにて希釈し(サンプルナンバー45−2、51−2)(図2)、得られた希釈溶液43 μLにグリコーゲン溶液(15 mg/mL)2 μLを加え、攪拌した。
4)DNAの一本鎖への変性
以下の工程は、DNAメチル化キット(DNA methylation Kit, EZ:ZYMO RESEARCH製)の手順に従って行った。キットに含まれるM-Dilution Buffer(水酸化ナトリウム溶液)を各サンプルに5 μL加えて、15 分間、37 ℃にてインキュベートを行った。
5)非メチル化シトシンのウラシルへの変換
キットを用いて非メチル化シトシンをウラシルに変換させた。キットに含まれるCT Conversion reagent(重亜硫酸ナトリウム溶液)を上記サンプルナンバー9、12、45−1、51−1、45−2、51−2の溶液に添加してインキュベートし、全ての非メチル化シトシンをウラシルに変換した。
以上により、糞便に存在する核酸の全ての非メチル化シトシンをウラシルに変換した。
6)核酸の精製
得られた修飾核酸をキットに含まれるZymo-Spin I Columnを用いて、高純度にまで精製し、以下の実験例1に用いた。
(実験例1)
上記修飾核酸を用いて、糞便中に存在する遺伝子におけるシトシンのメチル化有無、具体的には、APC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンのメチル化の有無について、MSSP法(特願2003-435631号、又は特願2003-209838号参照)を用いて検出を行った。APC遺伝子は細胞の増殖分裂を抑制調節し、APC遺伝子がメチル化されていると細胞分裂が抑制されないと考えられている。
APC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンのメチル化の有無の検出には、以下3つのプライマーセットを用いた。
APC1A-NS: 5'ATATTTTYGAGGGGTAYGGGGTTA(配列番号1)
APC1A-MS: 5'TATTGCGGAGTGCGGGTC(配列番号2)
APC1A-NAS: 5'ACRAAAATAAAAAACRCCCTAATC(配列番号3)
APC1A-NSとAPC1A-NASはメチル化シトシンの存在するアレルにも非メチル化シトシンの存在するアレルにもハイブリダイズするように設計されており、このプライマーセットにより、メチル化シトシンの有無にかかわらず、148bpの増幅産物が得られる。一方、APC1A-MSはメチル化シトシンの存在するアレルのみにハイブリダイズするように設計されており、メチル化シトシンが存在するならばAPC1A-MSとAPC1A-NASのプライマーセットにより、84bpの増幅産物が得られる。つまり、APC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンにメチル化が存在する場合は、148bpと84bpの2つの遺伝子増幅産物が認められることとなり、一方、APC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンにメチル化が存在しない場合は148bpの1つのみの遺伝子増幅産物が認められることになる。
上記実施例1で得られた精製溶液(9、12、45−1、51−1、45−2、51−2)と上記プライマーを用いて、APC遺伝子のプロモーター領域のメチル化の有無について検討した。
図3に示されるように、サンプルナンバー12、サンプルナンバー51−1、51−2には、148bpと84bpの2つの遺伝子増幅産物が認められたので、これらのAPC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンには、メチル化が認められることが分かった。一方、サンプルナンバー9、サンプルナンバー45−1、45−2には、148bpの遺伝子増幅産物しか認められなかったので、これらのAPC遺伝子のプロモーター領域に存在するCpG領域のシトシンには、メチル化が認められないことが分かった。
また、APC遺伝子のプロモーター領域において、サンプルナンバー45−1、45−2には共にメチル化は認められず、サンプルナンバー51−1、51−2には共にメチル化が認められた。従って、本発明の方法によると、糞便溶解溶液中の糞便の濃度が異なっていても、メチル化の有無の検出が可能であることが示された。
サンプルナンバー9及び45を採取した被験者には、大腸内視鏡により大腸腺腫や大腸癌がないことが確認された。一方、サンプルナンバー12を採取した被験者には上行結腸癌が認められ、サンプルナンバー51を採取した被験者には横行結腸腺腫が、各々大腸内視鏡により認められた。
以上説明したように、本発明の方法を用いることにより検体からDNAを精製することなく、極めて簡便に、目的とする遺伝子の解析、例えばメチル化の有無の検討が可能となる。また、該メチル化の検出結果は、内視鏡による上行結腸癌、及び横行結腸線種の診断結果と一致しており、本方法を用いたメチル化検出方法が癌の予測に有用であることを示唆している。これにより、極めて容易かつ確実に、検体からの遺伝子メチル化診断を行うことができる。例えば、実施例で示されたように、特有の情報を有する糞便試料が非侵襲DNA材料として実用的に利用可能となったことは各種疾患の診断上有用であるばかりではなく、操作的に多数検体の処理が可能なり、正常集団を対象とした大腸癌等の各種検診への応用も可能である。従って近年、益々重要性が高まっている予防医学への貢献が期待できる。
糞便を用いた、本発明の前処理方法を含む一連の操作を示す図である(実施例1) 糞便溶解溶液の希釈例を示す図である。(実施例1) APC遺伝子のプロモーター領域のメチル化の有無の検討結果を示す図である。SMはサイズマーカー、各番号は検体番号、Mcはメチル化のコントロールを示す。Mはメチル化が検出されたことを示し、Uはメチル化が検出されなかったことを示す。(実験例1)

Claims (10)

  1. 検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする前記核酸の修飾前の検体の前処理方法。
  2. 検体に存在する特定の核酸が非メチル化シトシンであり、該核酸の人為的な修飾が重亜硫酸塩を用いた非メチル化シトシンのウラシルへの修飾である請求項1に記載の前処理方法。
  3. 前記検体が、哺乳類の糞便である請求項1又は2に記載の前処理方法。
  4. 検体を含有させた溶液1 μLに対し、0.2〜2 μgのグリコーゲンを添加する請求項1〜3のいずれか一に記載の前処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法による検体の前処理工程を含む、目的遺伝子の解析方法。
  6. 以下の工程を含む、検体に存在する非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法:
    (a)検体を溶解液に溶解又は希釈して検体含有溶液を調製する工程;
    (b)前記溶液にグリコーゲンを添加する工程;
    (c)前記溶液にアルカリ溶液を添加する工程;
    (d)前記溶液に重亜硫酸塩を添加する工程。
  7. 請求項6に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法により、目的とする遺伝子を解析する方法。
  8. 核酸の修飾前に使用する試薬であって、グリコーゲンを含み、タンパク質変性剤を含まないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法に用いる検体前処理用試薬。
  9. 請求項1〜4のいずれか一に記載の前処理方法に使用する試薬キットであって、グリコーゲンを含み、タンパク質変性剤を含まないことを特徴とする、検体前処理試薬キット。
  10. 請求項6に記載の方法に用いる、核酸修飾試薬キット。
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