JP2006166092A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット画像形成方式において、特に顔料インクの色材が沈降し濃度変動し易いインクを用いた場合でも画像形成時の画像処理を用いて濃度補正することにより攪拌等の装置の大型化、複雑化を回避し、インクを浪費したりせずに画像形成した後の画像上にて認識される濃度変動を抑制し安定化する。
【解決手段】 画像信号の入力手段と、画像形成に関わる履歴情報若しくは、前記画像形成に用いる使用条件に基づく使用情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により得た少なくとも1つの情報に基づいて前記変換手段に於ける変換方法を決定する画像変換制御手段と、且つ前記情報取得手段による取得情報に基づいて経時的に該画像変換制御手段を変更する第1の制御手段と前記補正手段により該第1の制御手段の制御状態を補正する第2の制御手段とを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は画像形成手段から記録媒体に対して色材を用いて画像形成を行う様々な画像形成方式の画像形成装置であり、特に色材が放置等によって沈降するなど予め予測できる濃度変動をし易いインクを用いた画像形成装置であり、更に前記濃度変動を特にインクジェット方式の濃度予測制御方法であり、そのような画像形成装置に関するものである。
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する画像形成装置、あるいはそれらの複合機、又コンピュータ、ワードプロセッサやワークステーション等の端末に対する出力機器として用いられる画像形成装置は、画像情報に基づいて用紙やプラスチック薄板(OHPなど)等の記録媒体(記録材)に画像(文字や記号なども含む)を画像形成していくように構成されている。これらは、何れも画像形成すべき画像信号に基づいて所定の画像形成手段を有している。
前記所謂汎用の画像形成装置において使用する画像形成方法の画像形成方式は、代表的なものとしてインクジェット方式、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、レーザービーム(電子写真)方式等に分けることができる。そのうち、インクジェット方式は、画像形成手段(記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して画像形成を行うものであり、画像形成手段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で画像形成することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに画像形成することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を画像形成するのが容易であるなどの利点を有している。
特に、電気熱変換素子、所謂ヒータを有して、インクを熱するエネルギーにて吐出させ、画像を形成するサーマルインクジェット式の画像形成手段(記録ヘッド)は、エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造することができ、一層のコンパクト化を図ることができる。また、IC技術やマイクロ加工技術の長所を活用することにより、画像形成手段の長尺化や面状化(2次元化)が容易であり、画像形成手段の長尺化および高密度化も容易という利点を有している。近年、このように長尺化されたり、高密度化されたりして多数の吐出口(又は画像形成素子)を具備したマルチノズルヘッドを用いた画像形成方式の高速、高画質という長所を生かした画像形成方式が広く用いられている。
また、これら画像形成手段によって出力される画像の濃度、色味などを安定化・最適化させるために従来から画像領域外(又は画像記録動作時以外)においてパッチ等を出力し、その画像を読み取り、その読み取った状態に応じて出力画像を補正する補正手段を設けることが従来から提案され、実施されている。このような構成には、大別して2通りある。まず機内にて読み取り手段を設け、自動的に該読み取り手段及び該第2の制御を施すことが出来る場合である。もう一つには、複写機や、システムに接続されたスキャナなど記録媒体の搬送路外に読み取り手段を有し、ユーザ等人間の手を介してのみ読み取り手段や第2の制御手段を施すことが出来る場合とがある。本発明の場合、特にどちらの場合とは限定するものではなく、該読み取り手段の状態によって第1の制御手段に補正をかけることが出来る第2の制御手段を有することが出来ればよい。但し、後者の場合、自動的に第3の制御手段を施すことが出来ないので、第2の制御手段の制御タイミングになった場合にユーザへ動作を促す表示手段を有することが好ましい。
さて、上述した画像形成方式の中でも広く用いられている方式について更に説明する。それは、前記インクジェット方式のうち、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交叉する方向を主走査方向とするシリアルタイプの画像形成方法である。この方式は、記録媒体を所定の画像形成位置にセットした後、記録媒体に沿って移動(主走査)するキャリッジ上に搭載した画像形成手段(記録ヘッド)によって画像(文字や記号等を含む)を画像形成し、1行分の画像形成を終了した後に所定量の紙送り(副走査)を行い、その後に次の行の画像を画像形成(主走査)するという動作を繰り返すことにより、記録媒体の所望範囲に画像が画像形成される。このうち、1行分の紙送りを施し、単位面積当りの印字を1回の走査において終了する所謂一般的なシリアルスキャンに対して、記録ヘッドに具備した複数の画像形成素子をN個のブロックに分割し、前記各ブロックの画像形成素子にて画像形成できる幅相当の長さに対して紙送りを行い、単位面積当たりN(N>1)回走査することで画像形成を終了する画像形成方法をマルチスキャンと称している。
又、シリアルスキャン方式の場合、記録ヘッドを記録媒体に対して記録媒体搬送方向に対し、垂直方向に走査する訳だが、その際、画像形成を開始する地点から走査し、全幅画像形成終了したら戻(バックスキャン)して再度画像形成を開始するように必ず決まった方向のみしか印字しない場合を片方向印字と称する。それに対してバックスキャン時も印字を行う場合を双方向印字(若しくは往復印字)と称する。
ここで、双方向印字を行う場合でも各スキャンの前毎に必ず1行分の副走査(紙送り)を行う双方向印字の一般的なシリアルスキャンもあるし、N個のブロックに対応した分だけ副走査を行う双方向のマルチスキャンもある。
本発明は、このようなスキャン方式に特に限定されている訳ではない。しかし、説明の都合上、最も簡素的な方式を例に挙げ、説明をする。
図5は、従来のプリンタで用いられるシリアルスキャン方式の代表的な構成である。
本図には、記録ヘッド1、インクタンク19、記録媒体50等の配置を模式的に示している。先ず、記録ヘッド1(Y,M,C,B)(以下、Y,M,C,Bは、各々、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク色を指しており、各色のインク液路構成は、説明簡易化の為、同一とし、Y,M,C,Bを説明に応じて省略する。)とインクタンク19とが内部ではインクの流路を確保した状態で連結されている。一方、搬送ローラ23は、紙送りモータ(不図示)により駆動され、紙等の連続紙またはカットシート形態で代表される記録媒体50を搬送する。そして画像形成動作領域では、この搬送ローラ23が所定の送り量(一般的には記録ヘッド1の画像形成幅に相当する量)を維持するように高精度で回転し、記録媒体50の移動量を支配する。そして、その画像形成の間は、記録媒体50が、上に持ち上がったりしないように、記録ヘッド1と図示しないプラテンとの間を他の拍車やコロ等の補助搬送ローラ(不図示)により抑えながら搬送される。記録ヘッド1はキャリッジ上に搭載され(不図示)、該キャリッジはガイドレール24aに沿ってゴムベルト24bの回動に従って矢印Sa および矢印Sb の方向に往復移動(シリアルスキャン可能)が可能なように案内支持されている。キャリッジおよび記録ヘッド1が矢印Sa 、Sb 方向にシリアルスキャン駆動される過程で記録媒体50に対する画像形成が行われ、その際、画像形成スキャン(主走査)方向の精度はエンコーダ24cを図示しないキャリッジ上の位置センサによって保持される。このように記録ヘッド1及びキャリッジは、プーリ28a、28bに張架されたゴムベルト24bに連結され、キャリッジモータ26によりモータ軸27に固定されたプーリ28bを回転駆動することにより駆動され、該キャリッジモータ26の回転に応じて矢印Sa または矢印Sb 方向の駆動が行われる。本実施例の記録ヘッド1は、カラー画像形成用であり、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の4色に対応する4個の記録ヘッドの集合体(ユニット)で構成されている。これらの記録ヘッド1Y、1M、1C、1Bのそれぞれに対しては、対応する色のインクが貯蔵されたインクタンク19Y、19M、19C、19Bから、インクが供給される。
また、記録ヘッド1Y、1M、1C、1Bは、それぞれ、増粘インクやインクの固着・乾燥を防止する為、キャップ31が具備され、図示しないモータ等の動力源により必要に応じて自動的に図中矢印M方向に上下することが可能になっている。このキャップは、以下に述べる回復動作の場合には、回復ポンプ30によって記録ヘッド1の吐出口面に密着されたキャップ31を介して負圧を発生され、インクが記録ヘッド1のノズル(不図示)を介して流れ出す。そして、前記流れ出しインクを密着したキャップ31が受け、パイプ32を介して廃インクタンク(不図示)にて回収できるように構成している。ここで、回復ポンプ30は、ギアポンプ、チューブポンプ、及びタービン、ロータ、ピストン、ベローズなどを使用した従来使用されている物でも、インクを廃インクタンクへ圧送又は負圧により吸引出来る構成であれば良い。そして、前記回復動作時に記録ヘッドからインクが漏れた場合、記録ヘッド1の吐出口付近にはインクが付着していることが多い。そこで、各色のヘッド毎に設けられた第1清掃部材41が記録ヘッド1の下部にて図中L方向にスキャンすることによって、付着しているインクを取り除く(清掃)動作を行う。また、この第1清掃部材41に付着したインクを払い除く第2清掃部材42を設けることによって第1清掃部材41の清掃効果を持続させることが出来る。
次にこのような汎用の画像形成装置に対する一般的なデータの入出力について説明する。
図6は、図5で説明したようなC,M,Y,K(以下、RGBのBとブラックのBを区別する為、ブラックをKと記載する。)、4色のインクによってカラー画像形成を行う画像形成装置に対して多値のRGB画像が入力された場合のデータ変換手段の一例である。RGB各3色分の多値データを有する画像データがホストPCなどから記録信号が送信されると、該画像形成装置が色再現を行える色空間に変換する必要がある。(ここでは、RGB信号をCMYKに変換した場合を示しているが、通常の場合、CMYK信号であってもその画像形成装置が持つ色変換用のデータへと変換する必要がある。(その各入力値に対して各出力値が存在するので、それを表に例えてテーブルと称し、以下簡素化の為、TBLと記載する。)その後、各インク色に対応した多値データを記録ヘッドがインク滴を吐出するか、否かというデータに画像データを変換する為に2値化変換処理を行う。その後紙送りや、キャリッジ送りのタイミング、及びスキャンする際のノズル数などにあわせて記録ヘッドへ送信可能とする為に、電気信号へと変換し、画像形成が行われる。
本例は、一般的且つ基本的な例であり、インク色が異なったり、多値から2値へと変換する前に様々な他の色変換や、データ変換を行ったりすることもあるが、ここでは画像データを画像形成行えるように変換する場合の一例を単に挙げただけで、後述するように特に変換手順に限定されるわけではない。
このような一般的な構成の画像形成装置において使用するインクに色材として顔料を用いた場合、その色材である顔料が沈降して濃度が濃くなるという現象が生じる。つまり、装置は、一般的に余り振動するわけではないので、通常インクタンク内のインクには攪拌力が生じない。強いて言えば、記録ヘッド1Y、1M、1C、1Bのそれぞれに対しては、対応するキャップ31が吐出口面に密着し、回復ポンプ30によってインクを吐出口から急激に排出するような清掃動作を行うと、インクタンク内に対流が生じ攪拌されることもある。しかし、あまり画像形成動作をしていない状態で頻繁にこの動作を繰り返すと画像形成動作を行っていないにも関わらずインクが消費され、無くなるという問題が生じる。また、電源などが切られている場合には、そのような動作が出来ないので、多少の清掃動作程度で攪拌効果が得られる以上に顔料の沈降・堆積が進む場合もある。
そこで、従来からその対策として様々な方法が提案されている。
その一つとして、特許文献1に、沈降状態を検知してインクタンクから濃い部分を排出するという提案がなされている。又、他に沈降状態を検知したり、検知する前にインクタンク内のインクを攪拌したりする機構を設ける方式が提案されている。その中でも清掃シーケンスによって攪拌するもの(特許文献2)であったり、又外部からインクタンク内の攪拌力を与えるもの(特許文献3)であったり、タンク構成によって攪拌力を得られるようにするもの(特許文献4)、更にはインクタンク等の構成によって沈降しても濃度が高くならないような構成にするもの(特許文献5)のような提案がなされている。
これらの従来例で記載されているようにインクジェット方式を用いた画像形成方法に置いて、顔料インクを用いた場合、放置等によって顔料が沈降し、インクタンク内に深さ方向の濃度分布が発生することによって記録画像に際し濃度変動が発生することが、従来から問題になっていた。このような色材、(特に顔料)の沈降する原理等は、従来から数多く公に述べられていることであり、本件での詳細説明は省略する。また、上述した通り、本発明の説明では、説明簡素化の為に上記従来例方式を例に挙げ説明を進めるが、その画像形成方法に限定した訳ではない。つまり、放置状態等の履歴情報によって予測可能な濃度変動であれば、それらを予測して濃度の均一化を図ることが出来る。
特開2002−234196 特開2002−1992 特開2001−322297 特開2002−225304 特開2001−260377
しかしながら、上記提案のうち、沈降して濃度が上がったインクを吸引排出する手段だけで濃度の均一化を図ろうとする場合では上述したようにインクの浪費が著しい。
例えば、上述した画像形成装置に対して2ヶ月間放置して印字を続けるとどのように濃度が変化するか、一例を示したのが図4である。図4は、横軸に(A4サイズの)印字枚数、縦軸に初期の画像濃度に対する色差を示している。以降、説明に印字濃度(DUTY)、100%というのは、1200×1200dpiの全画素にドット(インク液滴)が1つづつ印字され、埋められている状態を表す。これに対し、このグラフでは、A4サイズ画像で平均濃度が200%で埋められるように上述した12パスのマルチスキャン方式で画像形成し、且つそのうち部分的に色差が測定可能なように各50%、100%の濃度のパッチを配置した。そして、使用インク中の顔料が沈降していない状態でそのパッチを測色しながら、画像形成を連続的に行い、5枚目が終了した状態でそのまま2ヶ月間放置を行った。その後、これまでと同様に画像形成を連続的に行い続け、130ccのインクタンクが無くなり、次の新しい(沈降していない)タンクに交換してからも暫く測色を続けた時の濃度推移をグラフにしたものである。
まず、通常使用している最初の状態で画像濃度の変動は、殆ど無い。(図4では、ΔE≒0.2程度である。)その後放置するといきなり100%パッチは、ΔE≒4.2にまで上がる。これは、図5で示したように、インクタンクの下方から基本的にインクが消費されていくので、顔料が沈降して、濃度が上がったものを吐出した為に始めは濃度が上昇し、濃い部分を消費し切ると略通常濃度に戻るという現象である。また、一般に最後は、画像濃度が下がりそうだが、インクを消費し続けると最後には、(最低面を全て使用している訳ではないので、)やはり沈降した濃いインクが残りやすくなり、その濃い部分と混ざる為に極端に低くならないという状態になることが多い。
(但し、本発明では、そのように低くなる場合にも濃度を高めに制御すれば良いので、この現象が必ず本発明に必須ではない。然しながら、以下、制御の説明を簡素化する為にこの初期の濃度が高くなる部分の制御という点を中心に言及する。)
このように、連続的に画像形成を続けているだけでこのように濃度・色が変動してしまうという問題があった。これに対し、従来の提案では、この濃くなっている部分のインクを清掃動作により廃棄してしまうということである。このグラフの場合には、約10枚分(10cc)のインクを廃棄すれば、それ程、濃度変動しないことになる。しかしながら、130枚弱の印字が可能なタンクのうち、10枚程度に相当するインク(約10cc)を浪費することにもなる。つまり、このような長期放置を繰り返しながら少し(数枚)づつ印字し、使用するような場合には、かなりの割合でインクが浪費されることになる。
また、インクタンクの攪拌機構を設けるには、装置や、インクタンクが大きくなったり、コストが高くなったりする。また、交換されるインクタンク自体のコストが高くなるということは、基本的にランニングコストも高くなるということで、それらは、使用頻度がかなり高く、顔料が沈降せずに使用してしまうようなユーザにも負担をかけることになる。
また、特公平3−48861等に開示されているようにインクタンク内の顔料が沈降する以前に、ヘッド吐出口付近にて顔料インクが固着したり、インクの液路内に残留気泡が滞留したりするので、上記従来例における回復ポンプ30を用いて清掃動作を行う必要があることは、かなり以前から提案・実施されていた。これは、画像形成に使用すると記録ヘッドなどの寿命や、信頼性に関わる程、高濃度化するまで印字動作されずに放置された場合にも共通して言える。そこで、本発明は、このように装置の放置状況が著しい場合には、状況に応じて清掃動作を併用し、それ以外では、画像形成時の制御を施すことで、更に良好な信頼性とコスト及び小型化を実現するように出来る。
しかしながら、上記手段だけでは、様々な状況を考えた場合、全ての場合に於いて好ましい濃度予測制御が出来るとは、限らない。例えば、放置時間を計測するタイマが誤差を有していたり、放置環境が、想定外の厳しい状況であったりして、色材の沈降状況が思いの他進んでしまうことが想定される。
このような場合、本発明のように状況に応じて機内若しくは機外(以降説明簡易化の為機内とは、インラインを前提として記載し、機外とは、記録動作に対してオフラインを前提として記載する。)にて(印字濃度などを代表とする)印字状態を測定することによって、沈降状態を予測し、且つその予測値を補正することでかなり好ましい状態を維持することが出来る。
このように、従来から提案されているように機内にて印字前(若しくは直後)に必ず濃度補正をするような場合でも本件の問題とする色材の沈降状況を測定し、濃度補正制御することが出来るが、このような発明の場合、出力速度や、インク等色材の消費量を犠牲にする等の問題点があり、あまり好ましくない。このような件に関しても本件によれば、極力上記犠牲を抑制しながら濃度の均一性維持という効果を得る事が出来る。よって、本発明の意図とする補正手段とは、少なくとも複数枚記録した毎に行うのが好ましい。(しかし、大きな産業用装置のように1枚という限定を行ってもその1枚が非常に長かったり大きかったりするような場合も想定される為、そのような場合には、記録中に濃度が変わることを予測しながら制御することも可能である。)
更に上記のように濃度補正手段が、機内でなく、機外に設けている場合で、ユーザが機外の読み取り手段に読み込ませ、濃度補正可能な手段を設けている画像形成装置もしくは、そのシステムであった場合、頻繁にユーザに濃度補正を強要することは、好ましくなく、現実的な方法にはならない。このような場合にも本発明を適応することでその頻度を極力低減出来るだけでなく、機内に自動濃度補正機構である読み取り手段を有するよりも機外に設ける方が小型化を必須としない為、安価にであったり、他の複写機のような機能を兼用させたりするメリットがある。更にユーザに濃度補正タイミングを表示することによって現在の使用状況がプリンタの濃度出力状況に対して好ましい状態でないことを告げることが出来、ユーザが微妙な色出力を必要とする場合には、回復動作や、インク交換手段など、他の抜本的な対策を講じる可能性を投げ掛ける事が可能となり、又、その頻度も(放置後直ぐに表示するよりも)抑えることが出来る。
本提案の第1の発明は、以上のような問題点を解決するものであり、画像信号の入力手段と、該画像信号を出力信号へと変換する変換手段と、該出力信号に応じて画像形成する画像形成手段と該画像形成手段により任意の画像を出力し、該画像の状態を読み取る読み取り手段と該読み取った状態に応じて前記変換手段の変換条件を変える補正手段とを具備する画像形成装置において、前記画像形成に関わる履歴情報若しくは、該画像形成に用いる使用条件に基づく使用情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段により得た少なくとも1つの情報に基づいて該変換手段に於ける変換方法を決定する画像変換制御手段と、且つ該情報取得手段による取得情報に基づいて経時的に該画像変換制御手段を変更する第1の制御手段と前記補正手段により該第1の制御手段の制御状態を補正する第2の制御手段とを有したことによって、前記補正手段時からの経時変化があってもそれを前記履歴情報などによる情報に基づいて予測し、変動を抑制することを実現した画像形成装置である。
また、本提案第2の発明は、前記履歴情報とは、一つには使用履歴であり、それは、画像形成時に用いる色材の使用頻度や残量であり、また一つにはデバイスの構成条件であり、それは、インク、記録ヘッドなど画像形成に関わるデバイスの製造時情報、及び設置、交換の日時であり、更に一つには、放置条件であり、それは、前回画像形成してから今回画像形成を開始するに至る時間、又は電源の切られていた時間、放置された温湿度等の環境履歴などであり、一方、使用情報とは、インクや記録ヘッド、使用される記録媒体等画像形成に関わるデバイスの色や種類等若しくは、印字する際の時間、画質等に関わる印字条件、更に印字される時点の温湿度などの環境条件であることを特徴とした特許請求項第1項記載の画像形成装置であり、このように経時変化が想定し得る条件の情報によって制御することによって具体的な制御を可能とするものである。
本提案第3、第4の発明は、複数の種類のインクを用い、該各々のインクのうち少なくとも1つ以上に色材を有し、該インクを静置放置すると該色材が沈降し、該色材の濃度が、深さ方向に分布を持つようなインクを用いた特許請求項第1項記載の画像形成装置であることによって色材を含んだインクの沈降を補正することができ、その中でも特に発生が顕著である顔料インクなどに適応させることにより、他の構成より効果的に色材の沈降による濃度変動を補正するようにしたものである。
本提案第5の発明は、該情報取得手段により取得した放置条件が、任意の所定条件以上放置されたか、または、画像形成動作を行わなかったことを取得した場合には、所定のインクを廃棄する清掃手段を具備したことによって濃度の安定制御だけでなく、動作の安定性をも実現するようにしたものである。
本提案第6の発明は、第1の制御手段によって予測した状態と該読み取り手段により取得した濃度との差異状態によって変換手段の変更条件を変える第2の制御手段と、更に該差異状態によって該第2の制御手段を施す間隔を制御する第3の制御手段とを具備したことによって予測補正値が実際の変化と異なっても、該異なった量が次第に大きくなることを抑制し、予測補正値も次第に収束させることを実現するものである。
本提案第7の発明は、該第3の制御手段によって決定した該第2の制御手段を施す前に所定のタイミングにて該動作を促す表示を行う表示手段を該画像形成装置若しくは該画像形成装置を動作させる端末類に具備したことによって、該画像形成装置本体が(例えば長期間に渡るなど)動作させていない間の履歴でも動作を開始した際にどの位動作が停止していたかを予測することによって、前記補正量をより現実的にすることが出来るものである。
以上説明したように本発明によれば、特にインクを用いたインクジェット画像形成方式において顔料等の色材が沈降し濃度変動し易いインクを用いた場合でも画像形成時の画像処理を用いて濃度補正することにより攪拌等の装置の大型化、複雑化したり、インクを浪費したりせずに画像形成した後の画像上にて認識される濃度変動を抑制し、安定化出来るという効果がある。
また、本発明は、上記攪拌機構を設けたり、上述したような沈降インクの廃棄シーケンスを設けたりする場合においても併用が可能であり、例えばそれらのものと補完関係を構成することによってより濃度の安定化を図り、より良い信頼性を得られるという利点も備えている。
更に濃度読み取り手段と組合せ予測濃度値との比較制御を行うことによって更に濃度均一化の効果を持続させるだけでなく、ユーザにとっても安価で使用し易い等の有益な記録装置となる。
(実施例1)
本発明の代表例を以下詳細に説明する。まず、本発明は、画像形成方法及び制御方法に特徴があり、その本件を適用する装置構成としては、特別な構成を基本的には必要としない。但し、上記説明してきた通り、インクジェット記録方式で記録した記録媒体上若しくは、それを代用する被記録媒体上に対して濃度若しくはインクの濃さを測定するパッチ(又は画像)を印字する手段と前記パッチを読み取る読み取り手段、読み取り手段による読み取り信号に応じて濃度補正を行うことの出来る濃度補正手段を有していることを特徴としている。つまり、従来例にて説明した画像形成装置に対して前記読み取り手段が追加されたことになる。この読み取り手段も、従来から提案されているもので良く、例えば、特開平5−124221のように装置内に読み取り手段があることが、一般的である。また、特開平6−95474で提案されているように、記録媒体を担持・搬送するベルト上に記録し、読み取るような構成でも構わない。そこで、このような例について図を用いて説明しておく。先ず、図7には、特開平4−18357(の図3にて)で記載されたフルマルチヘッドを用いた複写機(及びマルチファンクション)形態の画像形成装置である。このようにスキャナを有している装置形態の場合は、上述してきたよう出力された記録媒体を専用スキャナにて読み込ませることが可能である。このような場合は、濃度補正が必要になった場合に本体に液晶などを有していれば、そこに「ノウドホセイ シテクダサイ」等と表示する場合や、エラーランプ、ブザーなどで警告する方式、更にはプリンタドライバや、専用ユーティリティを介して操作警告表示をすることなどで濃度補正を促すことが効果的であった。また、次に本体内部に(インラインにて)読み取りセンサを設ける場合も例外ではない。その一例を図8に示した。この図は、特開平6−95474(の図21を用いて)実施例中に説明した同じくフルラインタイプの記録装置であるが、本例の場合は、搬送ベルト上に読み取りセンサを設けていて、記録後インラインにて読み取る構成である。また、この場合、記録媒体上に印字するのではなく、搬送ベルト上にパッチを印字するので、記録媒体の種類選択などに煩わされることも無く、更に用紙を無駄にしないですむというメリットがある。
また、シリアルスキャンの一例として図9に示した。この例は、特開平5−124221(の図16)にて説明されていた例であり、画像出力用の記録用紙外の専用記録媒体を有している例である。
このように様々な形態の従来例が提案されているが、本発明は、これらの構成に関るものではなく、あくまでも制御方法に関るものである。
更には、広く用いられているパーソナルコンピュータなどに接続出来る汎用のフラットベット方式等で代表されるスキャナや、更には複写機の読み取り部で構わない。
そこで、本実施例では、説明簡素化の為に前記従来例にて図5を用いて説明した記録部を有する画像形成装置を例に挙げ、読み取り部は、印字後の排紙部にCCDラインセンサを有した場合について説明を進める。
まず、本発明で重要な、履歴情報及び使用情報の取得手段について説明する。前述してきたように、履歴情報とは、使用履歴、構成情報、放置条件などがある。使用履歴の一つには、画像形成手段の使用頻度、つまりは、画像形成している、又は過去に行った画像濃度及びその累積情報等がある。今まで、顔料の沈降度合いを説明する上で、2ヶ月間放置などと全く使用しないような状態を記載していたが、殆ど白紙のような画像を1ヶ月に1枚印字した6ヵ月後と、6ヶ月間全く印字を行わなかった場合とでは、殆ど沈降レベルには大差が出てこない。従って、上述のように放置された時間だけでなく、画像形成している際の印字濃度も加味して顔料の沈降程度を予測することが好ましい。また、インクの残量が非常に少ない場合と殆ど使用されていない場合とでは、沈降した際の沈降レベルも異なるし、各々の状況に応じて対策を同一にする必要は無い。例えば、インク残量が少ない場合には、残り僅かなインクを騙しながら使用するよりは、インク交換してしまった方が、記録ヘッドなどの寿命の観点から見ても好ましい場合もある。そこで、インク残量がどの程度かという情報も加味し、各々の対策を選択する一つの材料にすることで、より好ましい制御を行うことが出来る。
次に構成情報については、先ず挙げられるのが、インクの色である。どのインク色が沈降し易い色であるかが、同じ画像形成装置で用いられるインクだとしても差が出てしかるべきである。また、沈降程度の差だけでなく、前述したインク色によって印字濃度情報も異なるし、交換してからの時間などにしても異なってくる訳である。そこで、各々どのインク色が、どの程度放置されたかをなるべく正確に把握する為にもより正確な情報が必要となる。
次に放置条件である。この放置条件とは、一般的に言うと、電源を前回落としてから、次に入れる迄の時間を内蔵している電池を用いたタイマや、ホストPCによる内部クロックによるものなどでも良い。また、電源が入っていても画像形成が行われない状態であれば、(何もしなければ、)電源を入れずに放置しておいても同じである。そこで、前回画像形成動作を行ってから次にまた画像形成動作を行うまでの時間間隔を測定することも有効な場合がある。更には、放置された環境の履歴なども放置情報に入れた方が良い場合がある。例えば、顔料の単純な沈降であれば、多少放置された温湿度が常温環境内で振れても差が出難いが、極端に氷点以下、以上を繰り返した場合には、沈降及び溶媒との分離が促進される場合もある。従って、使用するインクなどの種類によっては、このような情報を加味するとより好ましい場合もある。
一方、使用情報としては、画像形成に係わるデバイス(記録ヘッド、インク、紙等)の種類、又は速度優先・画質優先などの画像形成モード、更には画像形成動作を行う際の温湿度などの環境条件等、入力データに対する出力データへ変換する変換条件を左右するような画像形成時の条件を示している。
以上挙げた様々な条件は、入力画像データに対し、出力画像データへと変換する際に該変換TBLを選択するパラメータとして、使用可能なものの一例を列記した。本発明は、これらの情報を全て取り入れなければならない訳ではなく、少なくとも1つの情報から装置及びそれに用いるインクの状態変化を予測し、適正な状態で出力できるように前記変換TBLを最適化することで効果を得られるようにするもので、特に条件や、条件の内容を特定するものではない。
そして、このような情報取得手段があるなかで、単に画像形成しようとする時点での状態に対して良好な吐出条件を決定するだけでは図4にて説明したような放置後の沈降状態は、防止することが出来ない。例えば、図4に示したように、放置後、濃度が高くなるので2ヶ月後に印字開始する際に放置前と同じ濃度になるような変換を施すと、15枚目位から濃度が極端に薄い画像が出力されつづけることになる。従って、上記情報取得手段によって最適な変換TBLを導き出しても、更に印字が続けば、そのインクの消費状態によって変換TBLの最適解は、変化することになる。本発明の特徴でもあるようにそれを予測し、先んじて濃度が安定化するように変換する必要がある。
そこで、その変換方法の一例について、これから図を用いて説明する。先ず、図4で示したように1、2ヶ月間インクを放置すると、顔料が沈降し、最下層が最もインク濃度が高くなるということは、説明した。その最も高くなった(最下層)のインクの濃度を測定し、そのインクについて打ち込み量に対する反射濃度の関係を測定し、示したものが図2である。より正確に言うと、前記測定結果に基づき、それらのについて光学反射濃度とインク打ち込み量データとの近似式を求めたものである。(本実施例では、説明簡素化の為、1次式にて近似したが、より高次な近時などでも構わない。)また、使用したインクは、シアンインクであり、紙は、光沢紙を使用し、非記録時の反射濃度が0.08であった。
ここで、図2に示した通り、通常濃度=0.0157×(打ち込み率)+0.08、これを1ヶ月放置すると1ヶ月放置濃度=0.0163×(打ち込み率)+0.08、更に2ヶ月放置すると2ヶ月放置濃度=0.0174×(打ち込み率)+0.08、となり、各々の放置した際の打ち込み率を各々x、y、zと代用した。ここから、1ヵ月後には、放置前と同じ濃度にする為には、xとyの関係式を求めればよい。それによると、y=(0.0157/0.0163)×x≒0.963xとなる。同様に2ヵ月後にはz≒0.902xとなる。従って、1ヵ月放置して濃度が最も濃くなっている状態では、通常出力しようとするデータに対して96.3%に濃度を下げた出力データへと変換すれば、通常に近い画像になる。同様に2ヶ月放置した場合には、90.2%となる。
このような変換TBLの調整量を各色毎に算出し、各々パラメータを決定すればよいが、本実施例では、シアンの場合が最も多く、多色では沈降量がかなり少なかったので、シアンにのみこの制御を適用した。本発明は、このように、特定の1色でも沈降し易いものがあれば、その特定色にのみ制御を掛ける等、色毎の設定に自由度が設けられるという利点がある。一方、吸引で廃棄したりすると、色毎に吸引動作を行うようにする為、動作を別々にして時間を掛けたり、色毎に別々の動作を同時に行えるようにする為に構成が複雑になる。同様にタンクに仕組みを設けるようにすると、タンクの構成が色毎に異なり、共通化出来ずにコストが上がってしまうなどの問題点もある。これらのような問題点は、本発明にはないという利点がある。
さて、変換方法の制御概要を説明したところで、次に入力から出力に至るデータの変換及び制御方法について、図3を用いて説明する。本図は、従来例にて説明した図6に対比して記載したものである。入力データとして先に述べたのと同様にRGB多値画像が用意されたとする。その時、プリンタ色再現用の色変換TBLによって、CMYK、多値画像形式に変換されるまでは、同じとする。その後、各々の色に分解されたデータは、多値のグレースケール形式であり、この状態で先ほどのように情報取得手段によって決定された最適な変換TBLが掛けられる。上述した本例の場合に2ヶ月放置したばかりの初期印字と検知した場合には、90.2%へと画像データを薄くする。この情報取得手段は、図示したように印字前に分かっている履歴情報と、インクの吐出数から濃度変換TBLを決定している様子を示している。
ここで、本例では、前述したように放置時間の場合について説明している。一方、長期放置又は単に前回印字からの時間を検知してから、印字した各色毎の吐出数(先ほど述べた放置直後に印字する例では、略0という数字になる。ここで、略というのは、放置後印字をしていなくても前述のように清掃動作と組み合わせることが有り、その際に消費するインク量を加算していると、印字していなくても0ではなくなる。)情報があり、これらの情報を元に、先ほど述べた濃度補正用濃度変換TBLを決定する訳である。この後、ドット(液滴)出力できるように2値化及び信号変換を行い、画像形成動作へと進められる。
以上説明したように本発明では、放置時間(沈降量)に応じてインク消費量と濃度補正量を決定することが、重要となる。
そこで、その決定方法の一例について説明する。本実施例では、画像形成装置本体に内蔵電池を設け、これによる時間計測を行い、1ヶ月以上放置された場合にこの補正動作を掛けることとする。その場合、1ヶ月から2ヶ月の間では、殆ど顔料沈降時の最大顔料濃度が線形推移している。また、沈降し、変動するインク量としても略倍であるので、この間は、各々線形近似できる。そこで、図1にその一例を示している。本図では、各々1ヶ月から2ヶ月の間放置した(若しくは、そのように情報取得手段が検知した)時にインク消費量に対してどの位通常濃度に対して変換する濃度の割合を表に記したものである。この表で100%とは、通常の画像形成時と同じ状態。つまり、制御的には働いていない状態であり、表中の空欄は、全て100%ということを示している。
また、実際にこの表に対する画像形成時の制御は、インク消費量(cc)ではなく、インク吐出量から換算した各色あたりの吐出ドット数であり、図2において説明した「ドットカウント」が、その算出に相当する。この図で説明したように制御する為には、画像変換時に濃度変換を掛けてから印字に関するドット数を算出することになる。つまり制御の切り替えは、ページ毎にカウントし、入力された画像を変換する際にドットカウント数を比較し、所定のドット数であれば、総じて濃度を下げるように濃度変換するということである。このような制御では、ページの間でカウントがオーバーした際に制御が働かないことになる。しかし、上述したような、単色200%で埋め尽くされた場合を想定して数枚分という制御でも、実際の使用方法でそのような画像が連続通紙されるような場合は無いので、実用上問題になることは、殆ど無い。
また、このような例として、更に1ページ毎ではなく、1動作毎(つまり連続10枚であれば、10枚印字後)に制御(濃度変換TBLの変更)を行うという(リアルタイムでない)簡易な制御の場合、スループット時間を無闇に延ばすことが無く実現出来る。このような方法では、1枚の印字量が少ない(カードサイズや、L版専用機等)には、適している制御方法である。
さて、基本的には上述してきたように濃度変動を予測制御し、均一化を図れば良い訳であり、この制御が本発明の提案する第1の制御手段に当たる。本発明のもう一つの特徴は、この第1の制御手段を補正する第2の制御手段を有するところである。
次にこの第2の制御手段について説明する。上記説明したように例えば記録装置が2ヶ月の放置を検知したとする。すると図1から、消費量に従って濃度補正していく訳である。しかし、ここで10cc消費したところでインク濃度を測色したところ、想定していた程インク濃度が高くなっておらず、約95%濃度で標準値となる程度であったとする。このような場合、想定より沈降が進んでいなかったことになる。その為以降の制御値としては、11.3cc消費した際には96.69%濃度とするように1.75ヶ月相当の制御値として補正を掛ければ良い事になる。このように、本発明第2の制御手段とは、上述した濃度制御に対して時々濃度補正制御を行い、その予測値から相違する分を補正しながら以降の予測制御をしていくことによって、より正確に濃度予測制御を行うことを目的としている。
更に上記の例のように2ヶ月放置の予測値から1.75ヶ月相当の沈降制御へと相違していることが分かった場合、次回11.3cc印字した場合にその補正が正しいとは必ずしも限らない。その場合、通常では、11.3cc(つまり、10ccから1.3cc程度消費した後にも)濃度補正制御を行うように、制御間隔も制御する。この場合、機外に読み取り手段を設けたオフライン機の場合には、ユーザに対して濃度補正制御を促す警告を表示する(濃度がずれる可能性を知らせる)ことも有効である。
また、上記述べてきた実施例の場合には、特色インクや、濃淡インクなど、インク色数が多くとも各色毎の制御が(後述するように色変換時に制御するよりも)容易に可能である。
さらに加えて、本発明の実施例に関して上述したインクジェット画像形成方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、画像形成装置において優れた効果をもたらすものである。上述したように係る方式によれば画像形成の高密度化、高精細化が達成できるからである。
上述したように本発明は、あまり濃度(色味)変動を問わないような低解像度のグラフィックや、文字、細線用途の画像形成装置の場合よりも、高画質・高品質を得られる記録画像が出力可能な画像形成方法に対して適用することにより、より効果が得られるからである。
更に本発明で言う履歴情報とは、一つには使用履歴であり、それは、画像形成時に用いる色材の使用頻度や残量であり、上述したようにインク消費量が少ない状態が続いているかという情報の他にインクタンク内の残量が多いか、少ないかという場合等もそれにあたる。例えば、少ない場合には、沈降による濃い量が少ない為に、吸引・廃棄する量を減少させたり、インクタンクの交換を表示したりする制御を施すことが良好である。また使用履歴の他にはデバイスの構成条件がある。それは、インク、記録ヘッドなど画像形成に関わるデバイスの製造時情報、及び設置、交換の日時である。インクタンクを設置してから、新品状態で印字が殆ど成されない場合には、上述したインクが殆ど消費されていない為、沈降状況が進みやすい等の理由で制御を大きめにするなども効果的である。又インクタンクの製造日時が古いと、沈降し易いので制御を変えたり、或いは警告を表示したりする等も効果的である。更に使用履歴の一つには、放置条件がある。それは、前回画像形成してから今回画像形成を開始するに至る時間、又は電源の切られていた時間、放置された温湿度等の環境履歴などであり、これは、上述した例が代表的なものである。一方、使用情報とは、インクや記録ヘッド、使用される記録媒体等画像形成に関わるデバイスの色や種類等若しくは、印字する際の時間、画質等に関わる印字条件があることは、上述した。その他には印字される時点の温湿度などの環境条件であり、例えば、高温低湿の場合は、乾燥が進み、上澄みの低濃度域が無くなるとか、進行が早くなるなど、インクの性質に応じて最適化することが好ましい。この一例としては、極度の低湿状態から、常温になるように凍結、解凍を繰り返すと水系インクでは濃度が偏りやすい。つまり、静置状態における色材の沈降以外にこのような場合でも本発明は、比較的安価に良好な状態に近づけることが出来る。
(実施例2)
本発明におけるインクジェット画像形成装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。よって上述してきたように複写機の読み取り部であったり、市販のフラットベットスキャナをプリンタにダイレクト若しくは、端末経由でシステム化したりする等でも構わない。このような場合は、濃度読み取り手段だけでなく、原稿の読み取り等も兼用することが出来、ユーザにとっては、コストパフォーマンスに優れる構成である。但し欠点としては、濃度の補正手段をユーザの手を煩わせるところであり、自動的に濃度補正を行うことが一般の構成では、無理である。このような場合、一度読み取った際の補正方法は、上記実施例と全く同様で構わないが、読み取り動作を極力減少させる工夫を行うことが重要になってくる。そこで、本発明の第3の制御手段を適応することが、望ましい。この第3の制御手段とは、制御間隔の制御である。つまり予測した濃度補正値と、読み取った濃度補正値の値が任意の値以内であれば、読み取り間隔を伸ばすように制御する訳である。例えば、1ヶ月の長期放置で濃度補正を掛けた場合、予測した濃度補正値とパッチ読み取りによる濃度補正値の差がΔOD<0.2以内(OD;光学反射濃度)であれば、再度前記長期放置に対する濃度補正作業は、要求しない。という具合である。また、これが3ヶ月以上の放置である場合には、前記ΔOD<0.2なら、50枚後若しくは、標準濃度(例えばA4、1枚当たり20%、50枚相当)の印字吐出動作超の印字動作終了後に補正作業を要求、0.2<ΔOD<0.6なら20枚相当、というように制御間隔を変更制御すると余計な補正作業を要求せずにすむので、ユーザとしても使い勝手が良好になる。上記のようにΔOD(若しくは、CCDなどの光学センサの電圧信号値等でもよく、濃度、輝度等インクの濃さの物理量を想定出来る物)を測定する対象となる色が複数ある場合には、最も差の大きいものに、次回補正制御要求間隔を決定する方法が一般的と思われるが、装置によっては、任意の色だけが読み取り誤差が大きい傾向にあったり、黒等は、濃度が上がっても自然画印字には色味が変化し難いなどの使用用途的に色的な重み付けがあったりする場合には、特定色を排除したり、重み付けを行ったりすることも本発明の例外ではない。
ここで、ΔODの値と補正制御要求間隔とは、本発明を適応する記録装置の用途や、仕向けなど設計事項によって決定されるものであり、上記記載は、ほんの一例に過ぎない。要は、予測値に近い必要補正値であれば、制御間隔を広げ、予測値が実際に必要とされる補正値から掛け離れていたら制御間隔を広げるというように作用することが望ましい。
(実施例3)
上記実施例では、記録装置にて使用する記録媒体、所謂紙については、言及しなかった。しかし、広く使用されている記録装置の殆どが、複数種類の記録媒体を使用していて、その記録媒体毎に異なる記録特性を有している。濃度読み取り手段が、記録媒体上の濃度を読み取る場合、一般的に好ましいのは推奨紙にて必ず濃度補正を行うことである。しかしながら必ずしもユーザが推奨紙を使用しているとは限らない。では、濃度補正手段時に様々な記録媒体を使用された場合の対処方法にて一例をあげる。このような場合、基本的には、記録媒体の種類の判別作業を行い、その後濃度変換作業を行う。
先ず記録媒体の判別作業の一例をあげる。濃度読み取り手段にて記録媒体の白地を測定し、その白地の測定値と各色の濃さから、紙を判別する。ここで、各色の濃さと記載したが、一般に沈降でインク濃度が濃くなっても光沢紙や、コート紙と普通紙との大別は、大抵の場合行うことが出来る。このように大別したデータと白地によってその判別した紙種を特定するのである。また、記録媒体がロール紙形状の記録装置などでは、ロール紙の芯に特定の切り込みを入れて置き、それを検知し、判別するなどもある。また、紙厚センサを有していたり、専用の光学センサを用いるなどでも良い。このように記録媒体を判別した後には、その各々専用の色変換TBLを有している場合は、その記録媒体専用の色変換TBLが所定値になるように濃度補正値を計算しても良い。しかし、全ての記録媒体に対して全ての色変換TBLを準備することは、中々難しい。その為、2次色なども含めた全色の色変換TBLを準備出来ない(所謂推奨紙外)の場合には、せめて1次色の補正値対応TBLだけでも用意することで、メモリ容量は、多少軽減することが出来る。このように記録媒体を判別し、濃度補正を行ってもその記録媒体の種類によって補正値の確度がかなり変わってしまう事が分かる。そこで、上記実施例にて述べたように記録媒体が推奨紙の場合には、上記実施例のように濃度補正間隔を制御するが、推奨紙以外を検知した場合には、(記録媒体の誤検知も含めて)予測補正濃度値との差異に関らず、濃度補正間隔を伸ばさない、若しくは、縮めるように制御することが望ましい。
本発明の第1の実施例にて用いた沈降量と消費量に対応した濃度変換説明図である。 本発明の第1の実施例で用いたインクタンクの沈降状態を示すグラフである。 発明の第1の実施例にて用いた代表的なデータ入出力の説明図である。 使用するインクタンクが沈降した場合の印字枚数と色変化を示すグラフである。 インクジェット方式の代表的な画像画像形成装置の概略図である。 インクジェット方式の代表的なデータ入出力の説明図である。 複写機タイプの読み取り手段を設けた画像形成装置の一例。 ベルト搬送路中に読み取りセンサを設けた画像形成装置の一例。 シリアルスキャン方式の専用記録媒体を設けた画像形成装置の一例。
符号の説明
1 記録ヘッド
1Y、M、C、B 記録ヘッド(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)
11 カートリッジ
19Y、M、C、B インクタンク(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)
23 搬送ローラ
24a ガイドレール
24b ゴムベルト
24c エンコーダ
26 キャリッジモータ
27 モータ軸
28a、b プーリ
30 回復ポンプ
31 キャップ
32 パイプ
41 第1清掃部材
42 第2清掃部材
50 記録媒体

Claims (8)

  1. 画像信号の入力手段と、前記画像信号を出力信号へと変換する変換手段と、前記出力信号に応じて画像形成する画像形成手段と前記画像形成手段により任意の画像を出力し、前記画像の状態を読み取る読み取り手段と前記読み取った状態に応じて前記変換手段の変換条件を変える補正手段とを具備する画像形成装置において、前記画像形成に関わる履歴情報若しくは、前記画像形成に用いる使用条件に基づく使用情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により得た少なくとも1つの情報に基づいて前記変換手段に於ける変換方法を決定する画像変換制御手段と、且つ前記情報取得手段による取得情報に基づいて経時的に前記画像変換制御手段を変更する第1の制御手段と前記補正手段により該第1の制御手段の制御状態を補正する第2の制御手段とを有したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記履歴情報とは、使用履歴、画像形成時に用いる色材の使用頻度または残量、デバイスの構成条件、インクまたは記録ヘッドなど画像形成に関わるデバイスの製造時情報、画像形成に関わるデバイスの設置または交換の日時、放置条件、前回画像形成してから今回画像形成を開始するに至る時間、電源の切られていた時間、前記画像形成装置の放置された温湿度等の環境履歴の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 使用情報とは、インクまたは記録ヘッド、使用される記録媒体等画像形成に関わるデバイスの色や種類、印字時間、画質等に関わる印字条件、印字される時点の温湿度のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 複数種類のインクを用い、該各々のインクのうち少なくとも1つ以上に色材を有し、該インクを静置放置すると該色材が沈降し、該色材の濃度が、深さ方向に分布を持つようなインクを用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 該インクに用いる色材が顔料系であることを特徴とする請求項1乃至4項に記載の画像形成装置。
  6. 該情報取得手段により取得した放置条件が、任意の所定条件以上放置されたか、または、画像形成動作を行わなかったことを取得した場合には、所定のインクを廃棄する清掃手段を具備したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成装置。
  7. 前記第1の制御手段によって予測した状態と該読み取り手段により取得した濃度との差異状態によって変換手段の変更条件を変える第2の制御手段と、更に該差異状態によって該第2の制御手段を施す間隔を制御する第3の制御手段とを具備したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 前記第3の制御手段によって決定した前記第2の制御手段を施す前に所定のタイミングにて該動作を促す表示を行う表示手段を該画像形成装置若しくは該画像形成装置を動作させる端末類に具備したことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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