JP2006165746A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

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【課題】水晶基板を用いたSAWデバイスにおいて、容量比γを小さくし、周波数制御性を高めたSAWデバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】圧電基板1は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°にした水晶平板であり、励振する弾性表面波はSH波である。また、IDT2及びグレーティング反射器3a、3bはAl又はAlを主成分とする合金からなり、弾性表面波の波長λで基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12に設定する。そして、前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65、又は0.55≦mr≦0.68に設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水晶基板を用いた弾性表面波デバイスにおいて、容量比を小さくし、周波数制御性を高めた弾性表面波デバイスに関する。
近年、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAW)デバイスは移動体通信用端末や車載用機器等の部品として幅広く利用され、小型であること、Q値が高いこと、周波数温度特性が優れていること等が強く要求されている。
これらの要求を実現するSAWデバイスとして、STカット水晶基板を用いたSAWデバイスがある。STカット水晶基板は結晶X軸を回転軸としてXZ面を結晶Z軸より反時計方向に42.75°回転した面(XZ'面)を持つ水晶板のカット名であり、結晶X軸方向に伝搬するレイリー波と呼ばれる(P+SV)波であるSAW(以下、STカット水晶SAWと称す)を利用する。STカット水晶SAWデバイスの用途は、発振素子として用いられるSAW共振子や、移動体通信端末のRF段とIC間に配置されるIF用フィルタなど幅広く存在する。
STカット水晶SAWデバイスが小型でQ値の高いデバイスを実現できる理由として、SAWの反射を効率良く利用できる点が挙げられる。以下、図11に示すSTカット水晶SAW共振子を例に説明する。該STカット水晶SAW共振子は、STカット水晶基板101上にそれぞれ互いに間挿し合う複数本の電極指を有するくし形電極(以下、IDTと称す)102を配置し、該IDT102の両側にSAWを反射する為のグレーティング反射器103a、103bを配置した構造である。STカット水晶SAWは圧電基板の表面に沿って伝搬する波であるので、グレーティング反射器103a、103bにより効率良く反射され、SAWのエネルギーをIDT102内に十分閉じ込めることができるので、小型で且つQ値の高いデバイスが得られる。
更に、SAWデバイスを使用する上で重要な要素に周波数温度特性がある。上述のSTカット水晶SAWにおいては、周波数温度特性の1次温度係数が零であり、その特性は2次曲線で表され、頂点温度を使用温度範囲の中心に位置するように調整すると周波数変動量が格段に小さくなるので周波数安定性に優れていることが一般的に知られている。
しかしながら、前記STカット水晶SAWデバイスは、1次温度係数は零であるが、2次温度係数は−0.034(ppm/℃)と比較的大きいので、使用温度範囲を拡大すると周波数変動量が極端に大きくなってしまうという問題があった。
前記問題を解決する手法として、Meirion Lewis,“Surface Skimming Bulk Wave,SSBW”, IEEE Ultrasonics Symp. Proc.,pp.744〜752 (1977)及び特公昭62−016050号に開示されたSAWデバイスがある。このSAWデバイスは、図12に示すように回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−50°回転した付近に設定し、且つ、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対して垂直方向(Z'軸方向)にしたことが特徴である。なお、前述のカット角をオイラー角で表示する場合は(0°,θ+90°,90°)=(0°,40°,90°)となる。このSAWデバイスは、圧電基板の表面直下を伝搬するSH波をIDTによって励起し、その振動エネルギーを電極直下に閉じ込めることを特徴としていて、周波数温度特性が3次曲線となり、使用温度範囲における周波数変動量が極めて少なくなるので良好な周波数温度特性が得られる。
しかしながら、前記SH波は基本的に基板内部に潜って進んでいく波である為、圧電基板表面に沿って伝搬するSTカット水晶SAWと比較してグレーティング反射器によるSAWの反射効率が悪い。従って、小型で高QなSAWデバイスを実現し難いという問題がある。また、前述の先行文献においてもSAWの反射を利用しない遅延線としての応用については開示されているものの、SAWの反射を利用したデバイスへの応用は提案されておらず、発振素子やフィルタ素子としての実用化は困難であると言われていた。
この問題を解決すべく、特公平01−034411号では、図13に示すように回転Yカット水晶基板のカット角θを−50°付近に設定し、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対し垂直方向(Z'軸方向)にした圧電基板111上に800±200対もの多対のIDT112を形成することにより、グレーティング反射器を利用せずIDT112自体の反射だけでSAWエネルギーを閉じ込め高Q化を図った所謂多対IDT型SAW共振子が開示されている。
しかしながら、前記多対IDT型SAW共振子はグレーティング反射器を設けたSAW共振子と比較して効率的なエネルギー閉じ込め効果が得られず、高いQ値を得るのに必要なIDT対数が800±200対と非常に多くなってしまうので、STカット水晶SAW共振子よりもデバイスサイズが大きくなってしまい、近年の小型化の要求に応えることができないという問題があった。
また、前記特公平01−034411号に開示されているSAW共振子においては、IDTにて励振されたSAWの波長をλとした時、電極膜厚を2%λ以上、好ましくは4%λ以下にすることによりQ値を高めることができるとされており、共振周波数200MHzの場合、4%λ付近でQ値が飽和に達するが、その時のQ値は20000程度しか得られずSTカット水晶SAW共振子と比較してもほぼ同等のQ値しか得られない。この原因として、膜厚が2%λ以上4%λ以下の範囲ではSAWが圧電基板表面に十分集まっていないので反射が効率良く利用できないことが考えられる。
そこで、本発明者は特願2004−310452号にて、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板上に、Al又はAlを主成分とする合金からなるIDTを形成し、該IDTのSAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10としたSAWデバイスを発明した。当該発明によれば、本来、圧電基板内部に潜って進んでいく波を基板表面に集中させてグレーティング反射器等によりSAWの反射を効率良く利用することができるので、従来のSTカット水晶SAWデバイスと比較して小型でQ値が高く、且つ周波数温度特性に優れたSAWデバイスが実現できる。
特公昭62−016050号 特公平01−034411号 特願2004−310452号 Meirion Lewis,"Surface Skimming Bulk Wave,SSBW", IEEE Ultrasonics Symp. Proc.,pp.744〜752 (1977)
ところで、SAW共振子やSAWフィルタ等のSAWデバイスにおいて、特性を決定する重要なパラメータとして容量比γがある。図14はSAW共振子の等価回路を示しており、容量比γはγ=C0/C1で表すことができる。この容量比γが小さいほどSAW共振子を用いた発振回路においては発振が容易になり発振周波数の可変幅を大きくとれ、SAWフィルタにおいては実現可能な帯域幅を広げることができる等の利点がある。
前記容量比γは、IDTの電極ピッチ(電極指幅L+電極指間スペースS)に対する電極指幅Lの占める割合(以下、ライン占有率mrと称す)により大きく変動する場合がある。従って、IDTのライン占有率mrを適切に選択しないと容量比γが大きくなってしまい所望の特性が得られない虞がある。ところが、特許文献3では容量比γについては言及されておらず、容量比γとライン占有率mrの関係について詳細に検討する必要があった。
また、SAWデバイスの製造工程において、ライン占有率mrは正確に制御するのが難しく、電極形成の際の製造誤差や測定誤差によりばらつきが生じてしまう。ライン占有率mrがばらついてしまうと、周波数変動が生じ製造歩留まりが劣化する原因となる。従って、周波数制御性に優れたライン占有率mrを適切に選択する必要があるが、特許文献3には周波数制御性についても言及されておらず、ライン占有率mrと周波数制御性の関係についても詳細に検討する必要があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、圧電基板に水晶基板を用いSH波を利用したSAWデバイスにおいて、小型化、高Q化、及び優れた周波数温度特性を実現すると共に、容量比γを小さくし、周波数制御性を高めたSAWデバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係るSAWデバイスの請求項1に記載の発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波としたSAWデバイスであって、前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、励振するSAWの波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65としたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波としたSAWデバイスであって、前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、励振するSAWの波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波としたSAWデバイスであって、前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、励振するSAWの波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.65としたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記カット角θが−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記電極膜厚H/λが0.05<H/λ<0.10の範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記電極膜厚H/λが0.04≦H/λ≦0.08の範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の弾性表面波デバイスを用いることを特徴としたモジュール装置、又は発振回路である。
本発明の請求項1によれば、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板上に、Al又はAlを主成分とする合金からなるIDTを形成し、該IDTのSAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12としたSAWデバイスにおいて、前記IDTのライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65としたので容量比γを小さくすることができる。その結果、小型化、高Q化、及び優れた周波数温度特性を実現できると共に、SAWフィルタでは実現可能な帯域幅を広げることができ、SAW共振子を用いた発振回路では発振が容易になり発振周波数の可変幅を大きくとれる等の効果を奏する。
本発明の請求項2によれば、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板上に、Al又はAlを主成分とする合金からなるIDTを形成し、該IDTのSAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12としたSAWデバイスにおいて、前記IDTのライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68としたので周波数制御性を高めることができる。その結果、SAWデバイスの製造時にライン占有率mrがばらついたとしても周波数変動量を抑圧できるので、SAWデバイスの製造難度及び製造コストを低減できる等の効果を奏する。
本発明の請求項3によれば、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板上に、Al又はAlを主成分とする合金からなるIDTを形成し、該IDTのSAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12としたSAWデバイスにおいて、前記IDTのライン占有率mrを0.55≦H/λ≦0.65としたので、最適な容量比γと周波数制御性の両方を兼ね備えたSAWデバイスを提供することできる。
本発明の請求項4によれば、前記SAWデバイスにおいてカット角θを−61.4<θ<−51.1の範囲に設定したので、頂点温度Tp(℃)を実用的な温度範囲内に設定することができる。
本発明の請求項5、6によれば、前記SAWデバイスにおいて電極膜厚H/λを0.05<H/λ<0.10、好ましくは0.04≦H/λ≦0.08の範囲に設定したので、Q値をより高めることができる。
本発明の請求項7によれば、前記SAWデバイスをモジュール装置、又は発振回路に用いたので、小型で高性能なモジュール装置、又は発振回路を提供することができる。
以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1(a)は本発明に係るSAW共振子の平面図を示しており、圧電基板1上に正電極指と負電極指とがそれぞれ互いに間挿し合うIDT2と、該IDT2の両側にSAWを反射する為のグレーティング反射器3a、3bとを配置する。そして、前記IDT2の入出力パッド4a、4bとパッケージ6の入出力用端子とを金属ワイヤ5a、5bにより電気的に導通し、パッケージ6の開口部を蓋(リッド)で気密封止する。圧電基板1は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−50°回転した付近に設定し、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対しほぼ垂直方向(90°±5°)にした水晶平板であって、励振するSAWはSH波である。なお、IDT2及びグレーティング反射器3a、3bの電極材料はAl又はAlを主成分とする合金である。また、図1(b)はIDT2の断面図を示しており、以下に示す実施例においてはIDT2上を励振するSAWの波長をλとした時に電極膜厚を波長で基準化した値H/λで表し、ライン占有率mrを電極指幅L/(電極指幅L+電極指間スペースS)で表す。
本発明においては、従来の欠点を鑑みて電極膜厚H/λを従来より大きく設定することで、SAWを圧電基板表面に集中させて、グレーティング反射器によりSAWの反射を効率良く利用できるようにし、少ないIDT対数やグレーティング反射器本数でもSAWエネルギーをIDT内に閉じ込めるようにしてデバイスサイズの小型化を図った。
一般的にSAW共振子における最適設計とは、周波数温度特性が優れており、Qが高く且つ容量比γの小さいもの、即ちfigure of merit(Q/γ)が大きいことが重要である。ここで、本発明のSAW共振子の諸特性について調べた。図2は、図1に示すSAW共振子において、圧電基板1に−51°回転Yカット90°X伝搬水晶基板(オイラー角表示では(0°,39°,90°))を用い、共振周波数を315MHz、電極膜厚H/λを0.06、IDT2の対数を100対、グレーティング反射器3a、3bの本数を各々100本とした場合の共振子の諸特性を表している。また、(a)にQ値、figure of merit、2次温度係数を、(b)に周波数温度特性を実際の試作結果に基づき示している。なお、比較の為に圧電基板のサイズを同じにしたSTカット水晶SAW共振子の諸特性を従来品として併記している。
図2より本発明のSAW共振子と従来のSTカット水晶SAW共振子とを比較すると、Q値が1.8倍強、figure of meritが約2倍と大きい値が得られている。また、周波数温度特性については、頂点温度Tpは常温である約+25℃が得られ、2次温度係数は従来の約0.6倍程度に小さくなるという非常に優れた効果が確認された。
更に、本発明のSAW共振子は従来のSTカット水晶SAW共振子よりも良好なQ値を保ちながら圧電基板のサイズを小型化できる。これは、本発明のSAW共振子の電極膜厚H/λの増加に対するIDT又はグレーティング反射器でのSAWの反射量の増加分が、STカット水晶SAW共振子と比較して著しく大きいことに起因する。即ち、本発明のSAW共振子は電極膜厚H/λを大きくすることで、STカット水晶SAW共振子よりも少ないIDT対数又はグレーティング反射器本数で高いQ値を実現可能である。
図3(a)は本発明のSAW共振子における電極膜厚H/λとQ値の関係を示したものであり、共振子設計条件は前述と同等である。同図より、0.04<H/λ<0.12の範囲においてSTカット水晶SAW共振子のQ値(=15000)を上回る値が得られることが分かる。更に、0.05<H/λ<0.10の範囲に設定することにより20000以上もの高いQ値が得られる。
また、特公平01−034411号にある多対IDT型SAW共振子と本発明のSAW共振子のQ値を比較すると、特公平01−034411号で得られているQ値は共振周波数が207.561(MHz)における値であり、これを本実施例で適用している共振周波数315(MHz)に換算するとQ値は15000程度となるから、STカット水晶SAW共振子とほぼ同等である。また、共振子のサイズを比較すると、特公平01−034411号の多対IDT型SAW共振子は800±200対もの対数が必要なのに対し、本発明ではIDTとグレーティング反射器の両方で200対分の大きさで十分であるので格段に小型化できる。従って、電極膜厚を0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10の範囲に設定し、グレーティング反射器を設けて効率良くSAWを反射することで、特公平01−034411号に開示されている多対IDT型SAW共振子よりも小型で且つQ値が高いSAWデバイスを実現できる。
また、図3(b)は本発明のSAW共振子における電極膜厚H/λと2次温度係数の関係を示しており、共振子設計条件は前述と同等である。同図より、高いQ値が得られる0.04<H/λ<0.12の範囲においてSTカット水晶SAW共振子の2次温度係数−0.034(ppm/℃)よりも良好な値が得られることが分かる。
以上より、電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12の範囲に設定することで、STカット水晶SAWデバイス及び特公平01−034411号に開示されているSAWデバイスよりも小型でQ値が高く、且つ周波数安定性に優れたSAWデバイスを提供できることが確認された。
また、これまでカット角θを−51°とした場合についてのみ示してきたが、本発明のSAW共振子においてはカット角θを変えても膜厚依存性は大きく変化せず、−51°から数度ずれたカット角においても電極膜厚を0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10の範囲に設定することで、良好なQ値と2次温度係数が得られることを確認した。
ところで、SAW共振子の周波数温度特性の頂点温度Tpは電極膜厚H/λや圧電基板のカット角θによって変化する。従って、いくら周波数温度特性が優れていても頂点温度Tpが使用温度範囲外となってしまうと周波数安定性は著しく劣化してしまうので、実用的な使用温度範囲において優れた周波数安定性を実現するには、2次温度係数だけでなく頂点温度Tpについても詳細に検討する必要がある。
図4は、上述した種々の試作実験結果に基づき、前記SAW共振子において頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時の水晶基板のカット角θと電極膜厚H/λの関係を算出したシミュレーション結果を示すものであり、各Tp特性の近似式は以下の通りである。
Tp=−50(℃):H/λ≒−1.02586×10−4×θ3 −1.73238×10−2×θ2−0.977607×θ−18.3420
Tp=0(℃):H/λ≒−9.87591×10−5×θ3−1.70304×10−2×θ2−0.981173×θ−18.7946
Tp=+70(℃):H/λ≒−1.44605×10−4×θ3−2.50690×10−2×θ2−1.45086×θ−27.9464
Tp=+125(℃):H/λ≒−1.34082×10−4×θ3−2.34969×10−2×θ2−1.37506×θ−26.7895
図4から、頂点温度Tp(℃)を実用的な範囲である−50≦Tp≦+125に設定するには、Tp=−50℃及びTp=+125℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−1.34082×10−4×θ3−2.34969×10−2×θ2−1.37506×θ−26.7895<H/λ<−1.02586×10−4×θ3 −1.73238×10−2×θ2−0.977607×θ−18.3420となるようにカット角θ及び電極膜厚H/λを設定すれば良いことが分かる。なお、この時の電極膜厚H/λの範囲は、従来のSTカット水晶デバイスより優れた特性が得られる0.04<H/λ<0.12とし、カット角θの範囲は図4の点Aから点Bに示す範囲の−64.0<θ<−49.3とすることを前提としている。
更に、より最適な条件について検討すると、頂点温度Tp(℃)はより実用的な使用温度範囲である0≦Tp≦+70に設定するのが望ましい。Tp(℃)を前述の範囲に設定するには、図4に示すTp=0℃及びTp=+70℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−1.44605×10−4×θ3−2.50690×10−2×θ2−1.45086×θ−27.9464<H/λ<−9.87591×10−5×θ3−1.70304×10−2×θ2−0.981173×θ−18.7946となるようにカット角θ及び電極膜厚H/λを設定すれば良い。また、電極膜厚H/λはQ値が20000以上得られる0.05<H/λ<0.10の範囲にするのが望ましく、電極膜厚を前述の範囲とし、頂点温度Tp(℃)を0≦Tp≦+70の範囲内に設定するには、カット角θを図4の点Cから点Dに示す範囲の−61.4<θ<−51.1に設定すれば良い。
以上、詳細に検討した結果、カット角θが−64.0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°の範囲にある回転Yカット水晶基板を用い、SAWの伝搬方向がX軸に対してほぼ垂直方向として励振されるSH波を用い、IDTやグレーティング反射器の電極材料をAlまたはAlを主とした合金にて構成し、その電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10とすることで、STカット水晶SAWデバイスよりQ値が大きく優れた温度特性が得られると共に、頂点温度Tpを実用的な使用温度範囲内に設定できることが確認された。
次に、前記SAW共振子のライン占有率mrと容量比γの関係について検討した。前述のように、容量比γは小さいほどデバイスの高性能化が可能となるが、この容量比γはIDTのライン占有率mrの値により変動する。従って、最適な容量比γが得られるようにIDTのライン占有率mrを選択する必要がある。
図5(a)は前記SAW共振子のライン占有率mrと容量比γとの関係を示している。同図は実験値であり、実験では水晶基板のカット角θを−52.0°とし、電極膜厚H/λを0.04から0.08まで0.01刻みで変化させ、IDTのライン占有率mrを0.4から0.8まで0.1刻みで変化させた。なお、この時のグレーティング反射器のライン占有率はIDTと同様に変化させている。同図より容量比γはライン占有率mrに対して下に凸の2次曲線的な傾向を示すことが分かる。
また、図5(b)は各電極膜厚H/λの条件において容量比γが最小となるライン占有率mrの値を示しており、電極膜厚H/λを0.04≦H/λ≦0.08とした時に、ライン占有率mrを0.58≦mr≦0.60に設定することにより容量比γがほぼ最小値となることが確認された。なお、図5(a)の曲線から実際にはライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65の範囲に設定すれば充分に容量比γを小さくすることが可能である。
以上より、本発明のSAWデバイスにおいてIDTのライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65とすることにより、小型で高いQ値と優れた周波数温度特性を実現できると共に、容量比γを小さくできることが確認された。
ところで、ライン占有率mrは製造誤差等が生じるので正確に制御するのが難しい。ライン占有率mrがばらつくと周波数変動が生じるので、製造歩留まりが劣化してしまう問題がある。従って、ライン占有率mrがばらついても周波数変動量の少ない、即ち周波数制御性に優れたライン占有率mrを選択することが望ましい。以下、ライン占有率mrと周波数制御性について検討した。
図6(a)は前記SAW共振子のライン占有率mrと共振周波数fの関係を示している。同図は実験値であり、水晶基板のカット角θを−52.0°とし、電極膜厚H/λを0.04から0.08まで0.01刻みで変化させ、IDTのライン占有率mrを0.4から0.8まで0.1刻みで変化させている。なお、この時のグレーティング反射器のライン占有率はIDTと同様に変化させている。図6(a)より、共振周波数fはライン占有率mrに対して下に凸の2次曲線的な傾向を示すことが分かる。
また、図6(b)は各電極膜厚H/λの条件において共振周波数fの極小値をとるライン占有率mrの値を示しており、電極膜厚H/λを0.04≦H/λ≦0.08とした時に、0.60≦mr≦0.63のライン占有率mrの範囲において共振周波数fの極小値が存在することが確認された。なお、図6(a)の曲線から実際にはライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68の範囲内に設定すれば周波数変動量を抑圧でき、ライン占有率mrがばらついても共振周波数fは然程変動しないので周波数制御性に優れたSAWデバイスを提供することができる。
以上から、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°とした水晶基板を用いて、SAWの伝搬方向をX軸に対して垂直方向とし、励振されるSAWは基板表面付近を伝搬するSH波であるSAWデバイスを構成し、そのIDTはAlまたはAlを主とする合金からなり、SAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10、又は0.04≦H/λ≦0.08とすることにより高いQ値と良好な周波数温度特性が得られ、更に、ライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65の範囲に設定することにより容量比γを小さくでき、ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68の範囲に設定することにより優れた周波数制御性が得られることが確認された。
また、容量比γを小さくできるライン占有率mrの範囲0.53≦mr≦0.65と、優れた周波数制御性が得られるライン占有率mrの範囲0.55≦mr≦0.68とが重複する範囲、0.55≦mr≦0.65にライン占有率mrを設定すれば、最適な容量比γと優れた周波数制御性を両方兼ね備えたSAWデバイスを実現できる。
なお、SAWデバイスを実際に製造する上でライン占有率mrは正確に一致させることが困難であり、製造誤差や測定誤差を考慮すると±0.05程度のばらつきが生じてしまうことが考えられるが、本発明のSAWデバイスにおいてはこの程度のばらつきであれば上述と同等の効果が得られる。
これまで、図1に示すような1ポートのSAW共振子についてのみ言及してきたが、それ以外のSAWデバイスにおいても本発明を適用できる。以下、種々のSAWデバイスの構造について説明する。
図7は圧電基板31上にSAWの伝搬方向に沿ってIDT32、33を配置し、その両側にグレーティング反射器34a、34bを配置した2ポートSAW共振子を示しており、1ポートSAW共振子と同じく高いQ値を実現できる。
図8は、共振子フィルタの1つの方式としてSAW共振子の音響結合を利用した2重モードSAW(DMS)フィルタを示しており、(a)は圧電基板41上にSAW共振子42を伝搬方向に対して平行に近接配置した横結合型DMSフィルタ、(b)は圧電基板51上にIDT52からなるSAW共振子をSAWの伝搬方向に沿って配置した2ポートの縦結合型DMSフィルタである。前記横結合型DMSフィルタは伝搬方向に対し垂直方向の音響結合を利用し、前記縦結合型DMSフィルタは伝搬方向に対し水平方向の音響結合を利用している。これらDMSフィルタは平坦な通過帯域と良好な帯域外抑圧度が得られる特徴がある。なお、前記縦結合型DMSフィルタは、通過域近傍を高減衰にするためにSAW共振子を接続する場合がある。また、更に高次のモードを利用した多重モードSAWフィルタや、伝搬方向に対し垂直方向と水平方向の双方で音響結合させた多重モードSAWフィルタにも応用できる。
図9は、共振子フィルタの別の方式として、圧電基板61上に複数の1ポートSAW共振子62を直列、並列、直列と梯子(ラダー)状に配置してフィルタを構成したラダー型SAWフィルタを示している。ラダー型SAWフィルタは前記DMSフィルタと比較して通過域近傍の減衰傾度が急峻なフィルタ特性が得られる。
図10は、トランスバーサルSAWフィルタを示しており、(a)は圧電基板71上にSAWの伝搬方向に沿って入力用IDT72と出力用IDT73を所定の間隙をあけて配置したトランスバーサルSAWフィルタである。なお、前記IDT72、73は双方向にSAWを伝搬させる。また、入出力端子間の直達波の影響を防ぐためにシールド電極74を設けたり、基板端面からの不要な反射波を抑圧するために圧電基板71の両端に吸音材75を塗布する場合がある。トランスバーサルSAWフィルタは、振幅特性と位相特性を別々に設計可能であり、帯域外抑圧度が高いためIF用フィルタとして多用されている。
前記トランスバーサルSAWフィルタにおいて、SAWは伝搬方向に沿って左右に等しく伝搬するためフィルタの挿入損失が大きくなってしまうという問題がある。この問題を解決する手法として、図10(b)に示すように電極指配列や電極指幅を変化させることによりSAWの励振及び反射に重み付けを施してSAWの励振を一方向性にした所謂単相一方向性電極(Single Phase Uni-Directional Transducer:SPUDT)82、83を配置したトランスバーサルSAWフィルタがある。SAWの励振が一方向性となるので低損失なフィルタ特性が得られる。また、他の構造として、IDTの励振電極間にグレーティング反射器を配置した所謂反射バンク型トランスバーサルSAWフィルタ等がある。
以上の種々のSAWデバイスにおいて、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64..0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°とした水晶基板を用いて、SAWの伝搬方向をX軸に対して垂直方向とし、励振されるSAWは基板表面付近を伝搬するSH波であるSAWデバイスを構成し、そのIDTはAlまたはAlを主とする合金からなり、SAWの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10とすることにより高いQ値と良好な周波数温度特性が得られ、更に、IDTのライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65の範囲に設定することにより容量比γを小さくでき、ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68の範囲に設定することにより優れた周波数制御性が得られることは明らかである。
また、上述のSAWデバイスにおいて、IDTやグレーティング反射器上にSiO等の保護膜やAlを陽極酸化した保護膜等を形成したり、Al電極の上部あるいは下部に密着層あるいは耐電力向上等の目的で別の金属薄膜を形成した場合においても、本発明と同様の効果を得られることは明らかである。また、センサ装置やモジュール装置、発振回路等に本発明のSAWデバイスが適用できることは言うまでもない。また、電圧制御SAW発振器(VCSO)等に本発明のSAWデバイスを用いれば、容量比γを小さくできるので周波数可変幅を大きくとれる。
また、本発明のSAWデバイスは、図1に示すようなSAWチップとパッケージをワイヤボンディングした構造以外でも良く、SAWチップの電極パッドとパッケージの端子とを金属バンプで接続したフリップチップボンディング(FCB)構造や、配線基板上にSAWチップをフリップチップボンディングしSAWチップの周囲を樹脂封止したCSP(Chip Size Package)構造、或いは、SAWチップ上に金属膜や樹脂層を形成することによりパッケージや配線基板を不要としたWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)構造等にしても良い。更には、水晶デバイスを水晶又はガラス基板で挟んで積層封止したAQP(All Quartz Package)構造としても良い。前記AQP構造は、水晶又はガラス基板で挟んだだけの構造であるのでパッケージが不要で薄型化が可能であり、低融点ガラス封止や直接接合とすれば接着剤によるアウトガスが少なくなりエージング特性に優れた効果を奏する。
本発明に係るSAW共振子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はIDTの断面図である。 本発明に係るSAW共振子と従来品の比較を示したものであり、(a)はQ値及びFigure of merit及び2次温度係数の比較、(b)は周波数温度特性の比較である。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λとQ値との関係を(a)に、電極膜厚H/λと2次温度係数の関係を(b)に示す。 本発明に係るSAW共振子の頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時のカット角θと電極膜厚H/λの関係を示す。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λを変化させた時のライン占有率mrと容量比γの関係を(a)に、各電極膜厚H/λの条件において容量比γが最小となるライン占有率mrの値を(b)に示す。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λを変化させた時のライン占有率mrと共振周波数fの関係を(a)に、各電極膜厚H/λの条件において共振周波数fの極小値をとるライン占有率mrの値を(b)に示す。 本発明に係る2ポートSAW共振子を説明する図である。 本発明に係るDMSフィルタを説明する図であり、(a)に横結合型DMSフィルタ、(b)に縦結合型DMSフィルタを示す。 本発明に係るラダー型SAWフィルタを説明する図である。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタを説明する図であり、(a)に双方向にSAWを励振させるIDTを配置したトランスバーサルSAWフィルタ、(b)に一方向にSAWを励振させるIDTを配置したトランスバーサルSAWフィルタを示す。 従来のSTカット水晶SAW共振子を説明する図である。 −50°回転Yカット90°X伝搬水晶基板を説明する図である。 従来の多対IDT型SAW共振子を説明する図である。 SAW共振子の等価回路図を示す。
符号の説明
1 圧電基板
2 IDT
3a、3b グレーティング反射器
4a、4b 入出力用パッド
5a、5b 金属ワイヤ
6 パッケージ
31 圧電基板
32、33 IDT
34a、34b グレーティング反射器
41 圧電基板
42 SAW共振子
51 圧電基板
52 IDT
61 圧電基板
62 1ポートSAW共振子
71 圧電基板
72 入力用IDT
73 出力用IDT
74 シールド電極
75 吸音材
82、83 一方向性電極

Claims (7)

  1. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、
    前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、
    励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、
    前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.53≦mr≦0.65とすることを特徴とした弾性表面波デバイス。
  2. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、
    前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、
    励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、
    前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.68とすることを特徴とした弾性表面波デバイス。
  3. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、
    前記圧電基板は、回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板であり、
    励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、
    前記IDTを構成する電極指のライン占有率mrを電極指幅/(電極指幅+電極指間スペース)とした時に、前記ライン占有率mrを0.55≦mr≦0.65とすることを特徴とした弾性表面波デバイス。
  4. 前記カット角θが−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定されていることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  5. 前記電極膜厚H/λが0.05<H/λ<0.10の範囲に設定されていることを特徴とした請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  6. 前記電極膜厚H/λが0.04≦H/λ≦0.08の範囲に設定されていることを特徴とした請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の弾性表面波デバイスを用いることを特徴としたモジュール装置、又は発振回路。
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