JP2006165078A - 電磁波吸収パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のような透湿防止材料や防水フィルム等を用いることなく、第1および第3誘電体層1202、1206の含水率が変動した場合でも良好な電波吸収性能を発揮する、一般建材を用いた電磁波吸収パネルを提供する。
【解決手段】
第1誘電体層12、第2誘電体層14、第3誘電体層16および電磁波反射層20を積層して電磁波吸収パネル10を構成する。スペーサ材14Aにより第1誘電体層12の背面と第3誘電体層16の前面との間に厚さd2の領域14Bを画成し、第1誘電体層12と第3誘電体材料16とを互いに平行に保持する第2誘電体層14を構成する。第1誘電体層12の厚さd1を第3誘電体層16厚さd3の85%以下にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電波障害を抑制するために建物の壁や天井等に使用される電磁波吸収パネルに関し、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する、いわゆる一般建材を用いて構成される電磁波吸収パネルに関する。
従来、無線通信に使用される電磁波を吸収し、電波障害を抑制する電磁波吸収パネルが知られている。この種の電磁波吸収パネルとしては、フェライト材料の層を使用したものや、誘電体材料の層の中に抵抗膜を埋設したものが使用されていきたが、これらの電磁波吸収パネルは高価であり、取り扱いにも注意を要した。
そこで、本出願人は、珪酸カルシウム板や、モルタル板、石膏ボード等の一般建材を使用した特許文献1の電磁波吸収パネルを提案した。この電磁波吸収パネル10は、電波整合層12と電磁波反射層14とから構成される。電波整合層12は、第1誘電体層1202と、第2誘電体層1204と、第3誘電体層1206とから構成される。第2誘電体層1204は、比誘電率がほぼ1である低誘電率材料から構成され、第1および第3誘電体層1202、1206は、比誘電率が従来の低誘電率材料よりも高い一般建材、例えば珪酸カルシウム板、モルタル板、石膏ボードから構成され、電磁波反射層14は、例えば金属箔で構成されている。
特開2003−283180号公報
しかしながら、上記特許文献1の一般建材を用いた電磁波吸収パネルでは、第1および第3誘電体層1202、1206の比誘電率が材料中の含水率に応じて変動し、電磁波吸収特性が変動するため、第2誘電体層1204を吸放湿性の小さい材料で構成する、各層の間に透湿防止材料16を設ける、全層を防水フィルム18で覆い密閉する等していた。このため、構成材料が増えて設計、性能検証および製造が複雑になり、高コストになるといった問題を残していた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、上記のような透湿防止材料や防水フィルム等を用いることなく、第1および第3誘電体層1202、1206の含水率が変動した場合でも良好な電波吸収性能を発揮する、一般建材を用いた電磁波吸収パネルを提供するにある。
上記目的を達成するため、本発明の電磁波吸収パネルは、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第1誘電体材料で形成された厚さd1の第1誘電体層と、前記第1の誘電体の背面に積層され、比誘電率が略1の第2誘電率を有する厚さd3の第2誘電体層と、前記第2誘電体層の背面に積層され、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第3誘電体材料で形成された厚さd3の第3誘電体層と、前記第3誘電体層の背面に積層され、前記第1、第2および第3誘電体層を通して入射される電磁波を反射する反射層とから構成される電磁波吸収パネルであって、前記厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd3の85%以下の厚さで構成されることを特徴とする。
また、本発明の電磁波吸収パネルは、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第1誘電体材料で形成された厚さd1の第1誘電体層と、前記第1の誘電体の背面に積層され、比誘電率が略1の第2誘電率を有する厚さd3の第2誘電体層と、前記第2誘電体層の背面に積層され、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第3誘電体材料で形成された厚さd3の第3誘電体層と、前記第3誘電体層の背面に積層され、前記第1、第2および第3誘電体層を通して入射される電磁波を反射する反射層とから構成される電磁波吸収パネルであって、前記厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd1、d2およびd3の合計値の45%以下の厚さで構成されることを特徴とする。
本発明の電磁波吸収パネルによれば、前記第1誘電体層の厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記第3誘電体層の厚さd3の85%以下の厚さで構成される。
このように電磁波吸収パネルを構成すると、前記第1および第3の誘電体層の含水率が通常の設置環境、例えば室内環境下で変動した場合でも、必要な電磁波吸収性能を維持することができる。したがって、従来の透湿防止材料や防水フィルム等を用いることなく、良好な電波吸収性能を有する電磁波吸収パネルを提供することができる。
前記第1誘電体層の厚さd1が前記第3誘電体層の厚さd3の85%を超えると、前記第1および第3の誘電体層の含水率の変動が大きくなり、これらの比誘電率の変動も大きくなり、所望の電磁波吸収パネルの所望の周波数の電磁波の吸収性能が低下する。
また、本発明の電磁波吸収パネルによれば、前記第1誘電体層の厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記第1、第2および第3誘電体層の厚さd1、d3およびd3の合計値の45%以下の厚さで構成される。
このように電磁波吸収パネルを構成すると、前記第1および第3の誘電体層の含水率が通常の設置環境、例えば室内環境下で変動した場合でも、必要な電磁波吸収性能を維持することができる。したがって、従来の透湿防止材料や防水フィルム等を用いることなく、良好な電波吸収性能を有する電磁波吸収パネルを提供することができる。
前記第1誘電体層の厚さd1が前記第1、第2および第3誘電体層の厚さd1、d3およびd3の合計値の45%以下を超えると、前記第1および第3の誘電体層の含水率の変動が大きくなり、これらの比誘電率の変動も大きくなり、所望の電磁波吸収パネルの所望の周波数の電磁波の吸収性能が低下する。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態の電磁波吸収パネルの構成を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示される電磁波吸収パネルの断面図である。
図1および図2に示すように、この電磁波吸収パネル10は、第1誘電体層12、第2誘電体層14、第3誘電体層16および電磁波反射層20を積層して構成される。
第1誘電体層14は、第1誘電体材料で形成した厚さd1の板材から構成される。第3誘電体層16は、第3誘電体材料で形成した厚さd3の板材から構成される。
第1誘電体層12と第3誘電体材料16との間には、スペーサ材14Aが介装されている。スペーサ材14Aは、第1誘電体層12の背面と第3誘電体層16の前面との間に厚さd2の空気の領域14Bを画成し、第1誘電体層12と第3誘電体材料16とを互いに平行に保持している。スペーサ材14Aおよび領域14Bは、第2誘電体層14を構成する。
電磁波反射層20は、第3誘電体材料16の背面に設けられ、第1誘電体層12、第2誘電体層14および第3誘電体層16を通して入射された電磁波を良好に反射して電磁シールドとしての機能を果たすことのできる材料で形成される。その材料としては例えば、金属板、金属箔、金属メッシュ、導電性プラスチック板、導電性塗料の塗膜などをはじめとする様々な材料を使用することができる。
この電磁波吸収パネル10へ、その背面側(図2で見て右側)から入射する電波は、電磁波反射材20によって反射して戻され、その際の反射損失は僅かなものである。
一方、前面側(図2で見て左側)から入射する電波は、第1誘電体層12および第3誘電体層16により、反射して戻される電波が、後に入射された電波との干渉によりかなりの反射損失を伴って減衰される。反射損失の値は電波の周波数によって異なり、即ち周波数依存性を有しており、それについては後に詳述する。
第1誘電体層12を形成する第1誘電体材料および第3誘電体材料16を形成する第3誘電体材料は、入手容易で低価格の材料を使用することが望ましく、更に加工性に優れたものであることが望まれる。これら条件を満足する好適な材料としては、例えば、無機バインダーを主材料とする建材などがあり、具体的には、珪酸カルシウム板などが好ましい材料である。
また、セメント板、モルタル板、繊維セメント板、それに繊維モルタル板などのセメント系材料の板状建材なども好ましい材料であり、繊維セメント板の一種であるフレキシブルボードなどは、加工性に優れている点で特に好適な材料である。また、壁面用の電磁波吸収パネルにも使用可能であるが、特に天井用の電磁波吸収パネルに使用するのに適した材料として、石膏ボードや岩綿成型板(岩綿吸音板、岩綿保温板、等々)などの内装建材がある。
さらに、外観性や装飾性をも兼ね備えた好適な材料として、素焼タイル、陶器タイル、磁器タイルなどの内装用タイルや、テラコッタなどの内装用れんがをはじめとする種々の窯業系の板状材料がある。また、同じく外観性及び装飾性に優れた材料として、ガラスタイルや内装用板ガラスなどの様々なガラス内装材、それに人造大理石などの様々なプラスチック内装材も使用可能である。
本発明に係る電磁波吸収パネルの電磁波吸収特性については後に詳述するが、本発明を実施する上では、第1誘電体層12および第3誘電体材料16の材料としては、比誘電率の値が100以上のITOやBSTなどの高価な材料を使用する必要はなく、比誘電率の値が2〜50の誘電体材料を使用して好適な結果を得ることができ、更には、比誘電率の値が2〜15の誘電体材料を使用して良好な結果を得ることも可能である。
スペーサ材14Aは、図示したものはプラスチック製の枠状体(格子状体)であるが、ただしこれ以外の様々な形態のものとすることができる。スペーサ材14Aは、第2誘電体層14の特性インピーダンスが、自由空間の特性インピーダンス(377Ω)に略等しくなるように構成する。
第2誘電体層14は、その体積の大部分が空気から成り、空気の特性インピーダンスは自由空間の特性インピーダンスに略等しい。しかもスペーサ材14Aの材料が、第2層14の特性インピーダンスに大きな影響を及ぼさないプラスチック材料であることから、第2誘電体層14の特性インピーダンスが、自由空間の特性インピーダンスに略等しくなっている。
スペーサ材14Aの形状は、桟状としてもよく、また、第1誘電体層12と第3誘電体層16との間に多数の駒状体を配列してスペーサ材とすることも可能である。それらの場合にも、第2誘電体層14に占めるスペーサ材14Aの体積の割合を充分に小さくすることで、第2誘電体層14の特性インピーダンスを自由空間の特性インピーダンスに略等しくすることができる。
スペーサ材14Aを金属材料製とした場合には、第2層14の特性インピーダンスに比較的大きな影響を及ぼすことになるため、金属材料を使用することはあまり好ましくないが、ただし、金属材料は一般的に高強度であるため、第2誘電体層14に占めるスペーサ材の体積の割合を極めて小さくできる可能性があり、それが可能であるならば、金属材料の使用も排除されるものではない。
なお、プラスチック材料以外にも、特性インピーダンスに比較的小さな影響しか及ぼさない公知の材料が幾つも存在しており、それら材料は、スペーサ材14Aの好適な材料である。
スペーサ材14Aの更に別の好適な形態として、例えば発泡ウレタン板や発泡スチロール板などの、発泡材料で形成した板材を使用してもよい。この場合、その発泡材料の空孔率を充分に大きくすることによって、第2誘電体層14の特性インピーダンスを自由空間の特性インピーダンスに略等しくすることができる。発泡ウレタン板や発泡スチロール板は一般的な建材であり、入手容易で低価格である上、特に加工性において群を抜いて優れているため、スペーサ材14Aの材料として非常に好ましいものである。
図3は、電磁波吸収パネルの変形例である。
変形例の電磁波吸収パネル100は、図1及び図2に示される電磁波吸収パネル10の電磁波反射層20の背面側に第3誘電体層16、第2誘電体層14、第1誘電体層12を積層し、電磁波吸収パネル100の両面のいずれの側から入射した電磁波をも減衰させて反射させるようした両面型の電磁波吸収パネルである。
なお、図1および図2に示される電磁波吸収パネル10の各構成要素と同一の構成には、同じ参照番号が付されている。
図1および図2に示される電磁波吸収パネル10は、主として無線LANシステムなどの運用空間を囲繞している壁面や天井などに用いて好適である。これに対し、図3に示される変形例の両面型の電磁波吸収パネル100は、例えば、個別に無線LANシステムを運用している互いに隣接する空間どうしを区画して、それら無線LANシステムどうしの相互干渉を防止するためなどに用いて好適である。
前述のように、電磁波吸収パネル10は、電磁シールド機能を提供するとともに、前面側から入射して反射する電波を減衰させる機能を提供するものであり、その電磁波吸収能力は、周波数依存性を有するものである。そして、本発明においては、この周波数依存性を適切に設定して、電磁波吸収パネル10に所望の吸収周波数特性を持たせるようにしている。
電磁波吸収パネル10の吸収周波数特性を決定する要因には、第1誘電体層12の比誘電率ε、第3誘電体層16の比誘電率ε、第1誘電体層12の厚さd1、第2誘電体層14の厚さd2、第3誘電体層16の厚さd3があり、さらに、第2誘電体層14の特性インピーダンスZcが自由空間の特性インピーダンスから比較的大きく偏位している場合には、第2誘電体層14の特性インピーダンスZcないし比誘電率εも考慮することになる。
以下に、電磁波吸収パネル10の吸収周波数特性が、それら要因によってどのように定まるかについて説明する。
以下の説明においては、第1誘電体層12、第2誘電体層14および第3誘電体層16をそれぞれ単に第1層12、第2層14およびを第3層16ともいう。また、自由空間の特性インピーダンスをZ、電磁波吸収パネル10の表面(前面)に対する電波の入射角をθ、電波の波長をλで表すことにする。
前述のように、電磁波吸収パネル10は、電波の入射側から順に第1層12、第2層14、及び第2層を有しており、入射角θを考慮に入れたそれら各層の特性インピーダンスをそれぞれZc(θ)、Zc(θ)、Zc(θ)で表すことにする(前述のように、第2層14の特性インピーダンスは自由空間の特性インピーダンスZに略々等しくしてあるため、Zc(0)≒Zである)。入射角θの関数としての特性インピーダンスZc(θ)、Zc(θ)、Zc(θ)の値は、各層の比誘電率の値ε、ε、εと、自由空間の特性インピーダンスの値Zとから求めることができ、入射電波がTE波の場合には以下の式1で表され、TM波の場合には以下の式2で表される。
Figure 2006165078
Figure 2006165078
また、入射角θを考慮に入れた第1層12、第2層14および第3層16の伝播定数をγ(λ,θ)、γ(λ,θ)、γ(λ,θ)で表すことにする。これら伝播定数の値は入射電波の周波数の関数であるとともに入射角θの関数でもあり、ここでは入射電波の波長λ及び入射角θの関数の形で表している。γ(λ,θ)、γ(λ,θ)、γ(λ,θ)の値は以下の式3で表される。
Figure 2006165078
以上において、電磁波吸収パネル10の反射損失を求めるには、先ず、電磁波吸収パネル10の表面、即ち第1層12の前面を境界面と見たときのその背面インピーダンスZ(λ,θ)の値を求める。この背面インピーダンスの値は入射電波の周波数及び入射角θの関数であり、ここでは波長λ及び入射角θの関数の形で表している。
この背面インピーダンスZ1(λ,θ)の値は、上述した各層の特性インピーダンスZc(θ)、Zc(θ)、Zc(θ)の値と、伝播定数γ(λ,θ)、γ(λ,θ)、γ(λ,θ)の値と、厚さd1、d2、d3の値とから、以下の式4、式5、式6に従って求めることができる。
これらの式においてZ(λ,θ)は、第1層12と第2層14との境界面(すなわち、第1層12の背面)の背面インピーダンスの値であり、Z(λ,θ)は、第2層14と第3層16との境界面(すなわち、第3層16の前面)の背面インピーダンスの値である。
Figure 2006165078
Figure 2006165078
Figure 2006165078
電磁波吸収パネル10の反射損失は、式6によって示された電磁波吸収パネル10の表面の背面インピーダンスZ(λ,θ)の値から求めることができ、入射電波がTE波の場合の反射損失Ste(λ,θ)は以下の式7によって、またTM波の場合の反射損失Stm(λ,θ)は以下の式8によって表される。
Figure 2006165078
Figure 2006165078
本発明に係る電磁波吸収パネルの典型的な用途は、例えば、多数の人々が働いている単一オフィス空間において、各人が使用しているパーソナル・コンピュータや、サーバ、共用プリンタなどの機器を相互接続する無線LANシステムを運用する際に、それら多数の機器が夫々に送出する電波がEMIを生じないようにするために、そのオフィス空間の壁面や天井を電磁波吸収パネルで覆うというものである。このような場合には、電磁波吸収パネルへ入射する電波の入射角は一定せず、様々な方向から様々な入射角度で電波が入射するため、電磁波吸収パネルの吸収周波数特性を考える上で、入射角を考慮することには大きな意味はなく、また、電波の反射の影響が強く現れるのは、電波が垂直に近い角度で入射した場合であるため、式7及び式8においてθ=0とすることができる。その場合には、電磁波吸収パネルの反射損失S(θ)は、次の式9で表される。
Figure 2006165078
電磁波吸収パネル10の吸収周波数特性に関する以上の解析は、第1層12の比誘電率ε、第3層の比誘電率ε、第1層の厚さd1、第2層の厚さd2、第3層の厚さd3が既に定められている場合に、電磁波吸収パネル10がいかなる吸収周波数特性を呈するものとなるかを示したものである。
本発明においては、これとは逆に、電磁波吸収パネル10に所望の吸収周波数特性を付与することができるように、第1層12の比誘電率ε、第2層の比誘電率ε、第3層16の比誘電率ε、第1層12の厚さd1、第2層14の厚さd2、第3層16の厚さd3を適切に定めるようにしている。これは、以下の方法に従って行う。
先ず、第1層12を形成する第1誘電体材料を選定して、その第1誘電体材料の比誘電率εを求め、また、第3層16を形成する第3誘電体材料を選定して、その第3誘電体材料の比誘電率εを求める。第1誘電体材料と第2誘電体材料とは同一材料でもよく、異種材料でもよい。
ただし、それらを同一材料とすれば、定尺に形成した電磁波吸収パネルを設置個所の寸法に合わせて切断加工する際に、その加工が容易であるという利点が得られる。両者の材質が大きく異なると、切断工具が良好に対応できないことがあるからである。また、それら材料が一般的なものであって、それらの比誘電率を示したデータが既に存在する場合には、そのデータを参照することでそれらの比誘電率を求めることができる。そのようなデータが入手できない場合には、公知の誘電率測定方法を用いて、測定によって比誘電率を求めればよい。
次に、その電磁波吸収パネルの吸収周波数特性を、第1比誘電率εと、第3比誘電率εと、厚さd1と、厚さd2と、厚さd3とに基づいて計算により算出する。このとき、その電磁波吸収パネルを使用する状況に応じて、電波の入射角が電磁波吸収パネルに垂直であると見なしてよければ、上掲の式9を用いて計算をする。一方、斜めに入射する電波を考慮することが妥当であると考えられる場合には、上掲の式7ないし式8を用いる。
次に、算出したその吸収周波数特性が、所望の周波数帯をカバーするピークを有するという条件(以下、周波数特性条件という)を満足しているか否かを判定する。
本発明に係る電磁波吸収パネルは、後に実施例として例示するように、第1層12及び第3層16の材料を、珪酸カルシウム板やモルタル板などの無機バインダーを主材料とする一般建材とし、且つ、第1層12の厚さd1、第2層14の厚さd2、第3層16の厚さd3を3mm〜45mmの範囲内の値としたとき、その吸収周波数特性が1GHz〜10GHzの周波数領域において複数のピークを持つように設計することができる。そして、それらピークの位置は、3つの厚さd1、d2、d3の値に応じて変化する。そこで、算出した吸収周波数特性が、上述の周波数特性条件を満足していなかった場合には、それら3つの厚さd1、d2、d3の値を変えて上述の計算を反復することによって、上述の周波数特性条件を満足する3つの厚さd1、d2、d3の値の組合せ(d1、d2、d3)を求める。
更に、求める3つの厚さの値の組合せ(d1、d2、d3)は、周波数特性条件を満足することに加えて、強度条件及び寸法条件も満足するものでなければならない。
ここでいう強度条件とは、第1層12の厚さd1及び第3層16の厚さd3が、実用上充分な強度を備えるために必要な最小厚さ(材料強度や、スペーサ材14Aの形態などによって異なるが、例えば3mm程度)以上でなければならないという条件である。
また、寸法条件とは、最終的に完成したときの電磁波吸収パネル10の厚さが、実用上許容される最大厚さ(電磁波吸収パネルの設計者が任意に設定することのできる厚さであり、例えば90mm程度、好ましくは45mm程度)以下でなければならないという条件である。
これら周波数特性条件、強度条件、及び寸法条件のすべてを満足する3つの厚さの値の組合せ(d1、d2、d3)は、通常幾つも見出すことができ、それらのうちから総合的に判断して最適と思われる組合せを選択するようにする。
また、周波数特性条件における所望の周波数帯は、電磁波吸収パネルの具体的な使用目的に応じて決められるものである。例えば、事業所内PHSシステムの通信品質を確保するためにオフィスの壁面及び天井に電磁波吸収パネルを装備するのであれば、吸収周波数特性のピークが(複数のピークがある場合には、そのうちの1つが)PHSの周波数帯である1.88〜1.92GHzをカバーすることのできる位置にくるようにする。
ここで、ピークが周波数帯をカバーするというのは、そのピークが存在することによって、カバーしようとする周波数帯の全域において損失反射の値が目標レベル以上になることを意味する。
損失反射の目標レベルは、必要とする通信品質に応じて決められる。従来は、20dBが損失反射の目標レベルとされることが多かったが、近年は通信機器の性能が向上したこともあり、損失反射の目標レベルは6dB程度でも充分なことがある。本発明に係る電磁波吸収パネルは、損失反射の目標レベルを、6dBより充分に高い15dBに設定した場合でも、その目標レベルを容易に達成することができる。
電磁波吸収パネルの使用目的の別の具体例として、例えば、無線LANシステムの通信品質を確保するためにオフィスの壁面及び天井に電磁波吸収パネルを装備するのであれば、吸収周波数特性のピークが、その無線LANの周波数帯をカバーすることのできる位置にくるようにする。
無線LANの周波数帯としては、2.4〜2.5GHzと、5.15〜5.25GHzとの、2つの周波数帯が割り当てられている。そこで、電磁波吸収パネルの吸収周波数特性が、少なくとも2つのピークを持ち、それらのうちの1つのピークが2.4〜2.5GHzの周波数帯をカバーし、もう1つのピークが5.15〜5.25GHzの周波数帯をカバーするようにすれば、それら両方の周波数帯に対応した電磁波吸収パネルを構成することができる。
そのためには、算出した吸収周波数特性が、それら2つの所望の周波数帯を各々カバーする2つのピークを有するという条件を満足しているか否かを判定し、もし満足していなければ、3つの厚さd1、d2、d3の値を変えて計算を反復することで、この条件を満足するそれら3つの厚さの値の組合せ(d1、d2、d3)を求め、こうして求めた値の組合せを用いて電磁波吸収パネルを製作するようにすればよい。
本発明に係る電磁波吸収パネルによれば、このような吸収周波数特性条件を満足する値の組合せ(d1、d2、d3)を求める。
さらに別の例として、事業所内PHSシステムと無線LANシステムとのいずれにも対応できるようにするには、電磁波吸収パネルの吸収周波数特性が少なくとも3つのピーク
を持ち、それらピークがPHSの1つの周波数帯と無線LANの2つの周波数帯とをカバーするようにすればよい。
ただし、この条件を満足する3つの厚さの値の組合せ(d1、d2、d3)を見出すことは、1つないし2つだけの周波数帯をカバーすればよい場合と比べて、一層困難度が増大することになる。
そこで、この条件を満足する適当な値の組合せ(d1、d2、d3)を見出すには、各値の値域(電磁波吸収パネルの設計者が任意に設定することのできる範囲であり、例えば5mm〜40mm程度)と、各値の増分(例えば1mm)とを設定し、その範囲内の全ての値の組合せによって得られるそれぞれの吸収周波数特性を網羅的に算出した上、それら算出した吸収周波数特性の評価までを行うコンピュータ・プラグラムを作成し、コンピュータに計算処理を行わせるのがよい。
上述した条件を満足する3つの厚さの値の組合せ(d1、d2、d3)を求めたならば、それら求めた値に従って、第1層12を厚さd1に形成し、第3層16を厚さd3に形成し、それらの間にスペーサ材14Aを介装することで第2層14を厚さd2に画成して第1層12と第3層16とを互いに平行に保持し、更に、第3層16の背面に電磁波反射材20を設けることで、電磁波吸収パネル10を製作する。
更に、以上のようにして製作する電磁波吸収パネル10は、以下の点を考慮することで、その吸収周波数特性を更に改善することができる。
第1は、電磁波吸収パネル10を製作する過程で算出した吸収周波数特性におけるピーク(以下、算出ピークという)の位置と、実際に製作した電磁波吸収パネル10の吸収周波数特性におけるピーク(以下、実ピークという)の位置とのずれを小さくする。
第2は、電磁波吸収パネル10の使用中に発生する実ピーク位置の変動を小さくする。
第3は、含水率の変動により吸収周波数特性が大きく劣化しない条件を見出す。本発明は、この条件として、特に、第1層12および第3層16の厚さd1およびd3に注目した。
所望の周波数帯をカバーする実ピークの傾斜をなだらかにして、その実ピークの形状を「幅広」のものにすれば、所望の周波数帯の両側に充分余裕を持って広い領域をカバーすることができるため、ピーク位置のずれ及び変動に対処する必要はなくなる。しかしながら、そのような形状のピークは高さが減じるため、反射損失レベルの低下をもたらす。一方、ピーク位置のずれ及び変動を抑えるようにすれば、より急峻で「幅狭」のピークによって、所望の周波数帯をカバーすることができるようになるため、ピークの高さを増して、吸収能力を高めることができる。
実ピークと算出ピークとの間のピーク位置のずれをもたらす最大要因は、第2層14の特性インピーダンスである。上に例示した方法においては、算出ピーク位置を求める上で、第2層14の特性インピーダンスが自由空間のインピーダンスに完全に等しいものとして、そのピーク位置を求めているのに対して、実際の第2層14の特性インピーダンスは自由空間の特性インピーダンスから多少なりとも偏位しているため、実ピーク位置が算出ピークの位置からずれるのである。
このピーク位置のずれを減少させるには、実際にスペーサ材14Aによって画成される第2層14の特性インピーダンスの値を予め計測等によって求め、その求めた特性インピーダンスの値を用いて、前掲の式1及び式2の中のZc(θ)の値に補正を加えればよい。これによって算出ピーク位置が実ピーク位置に近付くため、より急峻なピークによって所望の周波数帯をカバーすることが可能になり、反射損失レベルを高めることができる。
実ピーク位置の変動をもたらす最大要因は、第1層12及び第3層16の比誘電率ε、εの変動である。前述のように、第1層12および第3層16の好適材料のうちには、珪酸カルシウム板、セメント板、モルタル板、繊維セメント板、繊維モルタル板、石膏ボード、岩綿吸音板、岩綿保温板、素焼タイル、それに内装用れんがなどのように、結露や室内湿度の影響を受けて含水率が変化しやすい材料が少なからず含まれている。
第1層12および第3層16をこの種の材料で形成した場合には、電磁波吸収パネル10の供用中に第1層12および第3層16の含水率が変化することによって、その比誘電率ε、εが変動し、その結果、実ピーク位置が変動する。
上述したように、ピークの形状をなだらかなものとしておけば、実ピーク位置が変動しても所望の周波数帯をカバーし続けることができるが、そのためには反射損失レベルの低下を甘受しなければならず、従って、実ピーク位置の変動を抑制することが望まれる。
ところで、第1層12及び第3層16の比誘電率ε、εと第1層12及び第3層16の含水率WC、WCとの間には、一定範囲内での線形性が認められ、上記式7および8は、各層の厚さ(d1、d2、d3)と含水率(WC、WC)との5つの変数により計算ができることになる。
そこで、一般建材として珪酸カルシウム板、モルタル板、繊維強化セメント板(以下、それぞれCS板、MO板、LFともいう)の実験レベルの検討を行った。
ここで、電磁波吸収パネル10の目標吸収性能値を−12dBとした。
また、厚さ(d1、d2、d3)の合計値Aで表すものとする。
珪酸カルシウム板、モルタル板、繊維強化セメント板の理論検討を行った。
まず、珪酸カルシウム板およびモルタル板について、第1層12及び第3層16が同材料で含水率変動も同じであると仮定し、各層の厚さ(d1、d2、d3)と含水率(WC)との4つの変数により電磁波吸収パネル10の吸収性能を計算した。
ここで、2.4〜2.5GHzと、5.15〜5.25GHzの電磁波を良好に吸収する4つの変数を求めた。この結果を表1に示す。
Figure 2006165078
表1から、次のことが判明した。
MO板の場合には、厚さd1は、厚さd3の8%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの6%以下が好ましい。
CS板の場合には、厚さd1は、厚さd3の27%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの9%以下が好ましい。
次に、珪酸カルシウム板およびモルタル板について、第1層12及び第3層16が異なる材料、または、同じ材料でも異なる含水率を有すると仮定し、各層の厚さ(d1、d2、d3)と含水率(WC、WC)との5つの変数により電磁波吸収パネル10の吸収性能を計算した。
ここで、2.4〜2.5GHzと、5.15〜5.25GHzの電磁波を良好に吸収する5つの変数を求めた。この結果を表2に示す。
表2において、例えば、第1層12がCS板、第3層16がMO板のときには、電磁波吸収パネル10をCSMO板(Absorber)で表している。
Figure 2006165078
表2から、次のことが判明した。
MOMO板の場合には、厚さd1は、厚さd3の15%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの12%以下が好ましい。
MOCS板の場合には、厚さd1は、厚さd3の87%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの44%以下が好ましい。
CSMO板の場合には、厚さd1は、厚さd3の42%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの29%以下が好ましい。
CSCS板の場合には、厚さd1は、厚さd3の83%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの36%以下が好ましい。
次に、繊維強化セメント板(FL板)について、第1層12及び第3層16が同じ材料で、同じ材料でも異なる含水率を有すると仮定し、各層の厚さ(d1、d2、d3)と含水率(WC、WC)との5つの変数により電磁波吸収パネル10の吸収性能を計算した。
ここで、2.4〜2.5GHzと、5.15〜5.25GHzの電磁波を良好に吸収する5つの変数を求めた。この結果を表3に示す。
Figure 2006165078
表3から、次のことが判明した。
FLFL板の場合には、厚さd1は、厚さd3の21%以下が好ましく、または、厚さの合計値Aの16%以下が好ましい。
次に、第2層14の厚さd2を変えた場合の目標吸収性能値を−12dBを満足する含水率(WC、WC)の分布の例を示す。
図4は、表2のMOMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。
図4において、d1=2mm、d3=27mmである。
図5は、表2のCSMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。
図5において、d1=4mm、d3=28mmである。
図6は、表2のCSMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。
図6において、d1=26mm、d3=10mmである。
図7は、表2のCSCS板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。
図7において、d1=26mm、d3=12mmである。
図8は、表3のFLFL板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。
図8において、d1=3mm、d3=29mm、31mmおよび33mmである。
図4および図5は、厚さd1が厚さd3より大きい場合の例である。この場合、厚さd1を厚さd3との相対的な大きさで設定する。
図6〜図8は、厚さd1が厚さd3より小さい場合の例である。この場合、厚さd1を厚さd1、d2およびd3の合計値Aとの相対的な大きさで設定する。
図4〜図8から理解されるように、含水率がある程度変動した場合でも、各層の適切な厚さを設定することにより、材料によらず目標吸収性能値を−12dBを満足する電磁波吸収パネル10を構成することができる。
また、表1〜表3および図4〜図8の結果に基づいて、第1層12および第3層16として用いられる上述の一般建材の特性を勘案すると、厚さd1が、強度上必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd3の85%以下の厚さで構成されることが好ましく、または、前記厚さd1が、強度上必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd1、d2およびd3の合計値Aの45%以下の厚さで構成されることが好ましい。
ただし、第3層16がセメント系材料から構成される場合には、上述の一般的なセメント材料の特性を勘案すると、厚さd1が厚さd3の50%以下の厚さで構成されることが好ましく、または、厚さd1が前記合計値Aの30%以下の厚さで構成されることが好ましい。
さらに、第1層12および第3層16がセメント系材料から構成される場合には、上述の一般的なセメント材料の特性を勘案すると、厚さd1が厚さd3の25%以下の厚さで構成されることが好ましく、または、厚さd1は、前記合計値の17%以下の厚さで構成されることが好ましい。
これらの場合、前記第1および第3の誘電体層の含水率が通常の設置環境、例えば室内環境下で変動した場合でも、必要な電磁波吸収性能を維持するとするのが妥当である。厚さd1がこれらの条件を超えた場合には、第1層12および第3層16の含水率の変動の影響が大きくなり、所望の電磁波吸収パネルの所望の周波数の電磁波の吸収性能が低下する。
次に、上記の計算性能に基づいて構成される電磁波吸収パネルの実験を行った。
その代表例を図9〜図11に示す。
図9は、CSCS板の一実験例を示す図である。
図9において、Cal.は計算値、Exp.は実験値である。
また、電磁波パネル10は、200mm角とし、厚さd1=15.6mm、厚さd2=9mm、厚さd3=17.9mmとした。含水率WCの平均値は5.6%に、含水率WCの平均値は12.8%になるようにした。
この結果、計算値と実験値とは、ピーク部分の絶対値部に相違があるものの、ほぼ一致した良好な吸収性能が得られた。
図10は、CSMO板の一実験例を示す図である。
図10において、Cal.は計算値、Exp.は実験値である。
また、電磁波吸収パネル10は、200mm角とし、厚さd1=23.5mm、厚さd2=30mm、厚さd3=9mmとした。含水率WCの平均値は5.6%に、含水率WCの平均値は6.5%になるようにした。
この結果、計算値と実験値とは、周波数の低いピーク値と2番目のピーク値の位置がずれているものの、ほぼ一致した良好な吸収性能が得られた。
図11は、FLFL板の一実験例を示す図である。
図11において、Cal.は計算値、Mea.1およびMea.2は実験値である。
また、電磁波パネル10は、200mm角とし、厚さd1=3.1mm、厚さd2=3.2mm、厚さd3=29.3mmとした。
Mea.1は、含水率WCの平均値は5.9%に、含水率WCの平均値は9.5%になるようにした。Mea.2は、Mea.1に対し含水率WCの平均値を1%上げて6.9%にした。
この結果、実験値Mea.2は、実験値Mea.1に比べ、やや吸収性能が低下するものの、計算値と実験値とは、3つのピーク値を含め、ほぼ一致した良好な吸収性能が得られた。
図12は、FL板の含水率の変動例を示す図である。
200mm角、3mm厚の繊維強化セメント板(FL板)に対し、18℃50%、23℃70%、15℃20%、30℃65%の環境下におけるその20℃60%の基準環境下からの重量変化を測定した。
図12に示すように、含水率の変動はほぼ1%の範囲内にある。すなわち、室内の湿度は、20%〜40%が変化した場合、FL板の含水率の変動は1%の範囲内にあることがわかる。したがって、電磁波吸収パネル10は、含水率の1%程度の変動に対し、良好な電磁波吸収性能を発揮すればよい。表1〜3から導出される各層の厚さ(d1、d2、d3)の電磁波吸収パネル10は、含水率の1%程度の変動に対し、十分な電磁波吸収性能を発揮する。
実施の形態の電磁波吸収パネルの構成を示す分解斜視図である。 図1に示される電磁波吸収パネルの断面図である。 電磁波吸収パネルの変形例である。 表2のMOMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。 表2のCSMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。 表2のCSMO板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。 表2のCSCS板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。 表3のFLFL板の含水率(WC、WC)の分布の一例を示す図である。 CSCS板の一実験例を示す図である。 CSMO板の一実験例を示す図である。 FLFL板の一実験例を示す図である。 FL板の含水率の変動例を示す図である。
符号の説明
12……第1誘電体層、14……第2誘電体層、14A……スペーサ材、14B……領域、16……第3誘電体層、20……電磁波反射層。

Claims (6)

  1. 比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第1誘電体材料で形成された厚さd1の第1誘電体層と、
    前記第1の誘電体の背面に積層され、比誘電率が略1の第2誘電率を有する厚さd2の第2誘電体層と、
    前記第2誘電体層の背面に積層され、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第3誘電体材料で形成された厚さd3の第3誘電体層と、
    前記第3誘電体層の背面に積層された電磁波反射層とから構成される電磁波吸収パネルであって、
    前記厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd3の85%以下の厚さで構成される、
    ことを特徴とする電磁波吸収パネル。
  2. 前記第3誘電体材料は、セメント系材料から構成され、
    前記厚さd1は、前記厚さd3の50%以下の厚さで構成されることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収パネル。
  3. 前記第1および第3誘電体材料は、セメント系材料から構成され、
    前記厚さd1は、前記厚さd3の25%以下の厚さで構成されることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収パネル。
  4. 比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第1誘電体材料で形成された厚さd1の第1誘電体層と、
    前記第1の誘電体の背面に積層され、比誘電率が略1の第2誘電率を有する厚さd3の第2誘電体層と、
    前記第2誘電体層の背面に積層され、比誘電率が材料中の含水率に応じて変動する第3誘電体材料で形成された厚さd3の第3誘電体層と、
    前記第3誘電体層の背面に積層され、前記第1、第2および第3誘電体層を通して入射される電磁波を反射する反射層とから構成される電磁波吸収パネルであって、
    前記厚さd1は、前記第1誘電体層の強度を維持するために必要な厚さ以上で、かつ、前記厚さd1、d2およびd3の合計値の45%以下の厚さで構成される、
    ことを特徴とする電磁波吸収パネル。
  5. 前記第3誘電体材料は、セメント系材料から構成され、
    前記厚さd1は、前記合計値の30%以下の厚さで構成されることを特徴とする請求項5記載の電磁波吸収パネル。
  6. 前記第1および第3誘電体材料は、セメント系材料から構成され、
    前記厚さd1は、前記合計値の17%以下の厚さで構成されることを特徴とする請求項5記載の電磁波吸収パネル。
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