JP2006164899A - 燃料電池スタックの組み立て装置および組み立て方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数個の燃料電池セルを積層してなる積層体を形成するにあたって、燃料電池セルの位置決めを容易に行う。
【解決手段】 燃料電池スタックの組み立て装置30は、角部23を挟む2面21、22を基準面としてシール位置が設定された燃料電池セル20の2面に当接する2つの支持面41、42が形成された治具40を有し、治具の2つの支持面に2面を当接させながら燃料電池セルを積層して、複数個の燃料電池セルを積層してなる積層体11を形成するために用いられる。治具は、2つの支持面のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池スタックの組み立て装置および組み立て方法に関する。
燃料電池スタックは、複数個の燃料電池セルを積層した積層体を加圧し、コンプレッションが掛かった状態で当該積層体を締め付け保持している。燃料電池セルは、例えば、触媒反応層を有する一対の電極により高分子電解質膜を挟み込み、さらに、一方の電極側には燃料ガスを供給する導電性セパレータを配置し、他方の電極側には酸化剤ガスを供給する導電性セパレータを配置して構成されている(特許文献1、2参照)。
燃料電池スタックを組み立てる際には、燃料電池セルを積層するごとに位置を調整し、燃料電池セルが所定の位置において積層されていることを確認している。このような調整、確認が必要な理由は、燃料電池セル間に配置される例えばOリングなどのシール部材に位置ずれが生じると、積層体を加圧して締め付けた後に、各シール部材に作用する加圧力が配置位置によって異なり、シール性能にばらつきが生じ得るからである。
特開平10−55813号 特開2003−86230号
燃料電池セルを積層するごとに当該燃料電池セルの位置を正しい位置に調整しているため、積層位置の精度を確保する作業が煩雑であり、作業自体も困難である。
本発明の目的は、複数個の燃料電池セルを積層してなる積層体を形成するにあたって、燃料電池セルの位置決めを容易に行い得る燃料電池スタックの組み立て装置および組み立て方法を提供することにある。
上記目的は下記の手段により達成される。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、角部を挟む2面を基準面としてシール位置が設定された燃料電池セルの前記2面に当接する2つの支持面が形成された治具を有し、
前記治具の前記2つの支持面に前記2面を当接させながら前記燃料電池セルを積層し、複数個の前記燃料電池セルを積層してなる積層体を形成するために用いられる燃料電池スタックの組み立て装置である。
上記目的を達成するための請求項8に記載の発明は、角部を挟む2面を基準面としてシール位置が設定された燃料電池セルを、治具に設けられた2つの支持面に前記2面を当接させながら積層し、複数個の前記燃料電池セルを積層してなる積層体を形成する燃料電池スタックの組み立て方法である。
本発明によれば、燃料電池セルにおける角部を挟む2面を、治具に設けられた2つの支持面に当接させるという簡単な作業によって、角部を挟む2面を基準面として設定されている燃料電池セルのシール位置が正規位置にセットされる。したがって、複数個の燃料電池セルを積層してなる積層体を形成するにあたって、燃料電池セルの位置決めを容易に行い得る。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、燃料電池スタック10の一例を示す図、図2(A)(B)は、本発明に係る燃料電池スタック10の組み立て装置30を示す正面図および側面図、図3は、燃料電池スタック10の組み立て装置30の治具40を示す斜視図、図4は、燃料電池セル20の角部23を挟む2面21、22を基準面としてシール位置24を設定する説明に供する図である。
図1を参照して、前記燃料電池スタック10は、例えば電気自動車の動力源として使用され、複数個の燃料電池セル20を積層した積層体11と、積層体11を図中上下両端から挟み込む一対のエンドプレート12、13と、エンドプレート12、13同士を接近させて積層体11を締め付けるためのタイロッドボルト14と、を有している。燃料電池セル20間には、Oリングなどの図示しないシール部材が配置されている。積層体11を締め付けることによって、燃料電池セル20におけるシール部や電極に必要な面圧を付与している。タイロッドボルト14に代えて、スタックワイヤとも指称される線状部材によって積層体11を締め付けるタイプの燃料電池スタックもある。図示省略するが、燃料電池スタック10には、燃料である水素を供給するための燃料供給系、空気を供給するための空気供給系、冷却水を循環させて燃料電池スタック10を冷却する冷却水循環系などの公知の要素が接続されている。
燃料電池セル20は、触媒反応層を有する一対の電極により電解質膜を挟み込み、さらに、一方の電極側には燃料ガス(水素)を供給する導電性セパレータを配置し、他方の電極側には酸化剤ガス(空気)を供給する導電性セパレータを配置して構成されている。燃料極では、水素が水素イオンと電子に解離する。水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と水素イオンおよび電子が反応して水が生成し、外部に排出される。燃料電池スタック10の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化などを考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜などイオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによってイオン伝導性電解質として機能する。
図2および図3を参照して、燃料電池スタック10の組み立て装置30は、概説すれば、角部23を挟む2面21、22(第1面21および第2面22)を基準面としてシール位置24が設定された燃料電池セル20の前記2面21、22に当接する2つの支持面41、42(第1支持面41および第2支持面42)が形成された治具40を有している。この組み立て装置30は、治具40の2つの支持面41、42に基準面である2面21、22を当接させながら燃料電池セル20を積層して、複数個の燃料電池セル20を積層してなる積層体11を形成するために用いられる。
治具40は、第1支持面41および第2支持面42のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されている。このため、複数個の燃料電池セル20は、水平方向に沿って治具40上に順次積層される。
本実施形態の組み立て装置30はさらに、積層される燃料電池セル20に振動を加える加振手段50を有している。加振手段50は、治具40とベース51との間に配置され、治具40に振動を加えることによって、積層される燃料電池セル20に振動を加える。加振手段50には、例えば、偏心体を回転させることにより所定の振幅、周波数の振動を加える加振装置や、超音波振動を利用した加振装置などが用いられる。
組み立て装置30はさらに、複数個の燃料電池セル20を治具40上において積層した積層体11を、治具40上において積層方向つまり水平方向に沿って加圧する加圧手段60を有している。加圧手段60は、押圧板61と、油圧などにより駆動され押圧板61を進退駆動するための流体圧シリンダ62と、を含んでいる。
治具40は、支持面41、42における燃料電池セル20の積層方向に沿う長さL(図3参照)が、燃料電池セル20の積層すべき個数に対応する長さであることが好ましい。燃料電池セル20の積層枚数を間違うことがないようにするためである。
治具40は、支持面41、42における燃料電池セル20の積層方向つまり水平方向に沿う端部に、エンドプレート12、13が配置されている。積層体11を締め付ける作業を続けて行うことができるからである。図2(B)の符号43は、支持面41、42の端部に形成されエンドプレート12、13を保持するための凹部を示している。
図4を参照して、本実施形態で用いる燃料電池セル20は、外周面を形成する4面のうち角部23を挟む2面21、22を基準面としてシール位置24が設定されている。すなわち、燃料電池セル20を構成するセパレータにおける角部23を挟む第1面21および第2面22を基準面とし、これら基準面からの距離d1、d2、d3、およびd4により、Oリングなどのシール部材によってシールする位置が定められている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、角部23を挟む第1面21および第2面22を基準面としてシール位置24が設定された燃料電池セル20を準備する。
この燃料電池セル20を、角部23を挟む第1面21および第2面22を下にして、治具40上に載置する。治具40は、第1支持面41および第2支持面42のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されている。このため、治具40上に載置した燃料電池セル20は、重力によって下に向けて落ち、第1面21が治具40の第1支持面41に当接し、第2面22が第2支持面42に当接する。すなわち、燃料電池セル20を、治具40に設けられた2つの支持面41、42に2面21、22を当接させながら載置する。
治具40の2つの支持面41、42に基準面である2面21、22を当接させながら燃料電池セル20を載置することにより、シール部材は、治具40の2つの支持面41、42から距離d1、d2、d3、およびd4によって定まる位置、すなわち、正規のシール位置24にずれることなく配置される。このように重力を利用して、位置決め精度を高めることができる。また、セパレータの外周面は精度よく加工できるため、第1面21および第2面22を位置決めするための部位とすることにより、位置精度を簡単に高めることができる。
治具40は、2つの支持面41、42のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されている。このため、複数個の燃料電池セル20を治具40に水平方向に積層していく。燃料電池セル20を所定枚数積層すると、複数個の燃料電池セル20を積層してなる積層体11が形成される。治具40の2つの支持面41、42に基準面である2面21、22を当接させながら燃料電池セル20を積層することにより、すべてのシール部材は、正規のシール位置24にずれることなく配置される。
燃料電池セル20を積層する際には、加振手段50によって燃料電池セル20に振動を加える。燃料電池セル20は、重力によって下に向けて落ちるのに加えて、振動が加えられることによって、その2面21、22が治具40の2つの支持面41、42に確実に当接する。これにより、燃料電池セル20を積層するごとに位置合わせを行う必要がなく、高い位置精度を安定して保つことができる。
次いで、複数個の燃料電池セル20を治具40上において積層した積層体11を、加圧手段60によって、治具40上において積層方向つまり水平方向に沿って加圧する。個々の燃料電池セル20が正しい位置において積層されているため、積層体11を加圧しても、積層体11の曲がりや、燃料電池セル20の位置ずれが生じる虞がない。
加圧状態を維持したまま、タイロッドボルト14によってエンドプレート12、13同士を接近させて積層体11を締め付ければ、燃料電池スタック10の組み立てが完了する。この燃料電池スタック10にあっては、燃料電池セル20間に配置されるシール部材に位置ずれが生じないため、各シール部材に作用する加圧力は配置位置に拘わらず均一になり、シール性能にばらつきが生じない。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック10の組み立て装置30および組み立て方法によれば、燃料電池セル20における角部23を挟む2面21、22を、治具40に設けられた2つの支持面41、42に当接させるという簡単な作業によって、角部23を挟む2面21、22を基準面として設定されている燃料電池セル20のシール位置24が正規位置にセットされる。したがって、複数個の燃料電池セル20を積層してなる積層体11を形成するにあたって、燃料電池セル20の位置決めを容易に行い得る。
本発明は、複数個の燃料電池スタック10を鉛直方向に積層する場合においても、適用可能である。すなわち、各支持面41、42が鉛直方向に沿うように治具40を立てておき、燃料電池セル20における角部23を挟む2面21、22を、治具40に設けられた2つの支持面41、42に当接させるという簡単な作業によって、燃料電池セル20の位置決めを容易に行い得る。
但し、燃料電池セル20を鉛直方向に積層する場合には、多数の燃料電池セル20を積層していく間に僅かな誤差が積み重なって、積層完了時において、積層体11に曲がりや、燃料電池セル20の位置ずれが生じる虞がある。また、加圧時においても同様に、積層体11に曲がりや、燃料電池セル20の位置ずれが生じる虞がある。さらに、燃料電池セル20を積層した後においては、各燃料電池セル20の位置を正しい位置に合わせる修正を行うことも困難である。
これに対して、本実施形態のように、2つの支持面41、42のそれぞれを上方に向け、かつ、水平面に対して傾斜するように治具40を配置すれば、各燃料電池セル20における外周の2面21、22を位置決めのために用いていることができ、多数の燃料電池セル20を水平方向に積層しても、誤差が積み重なる虞がない。したがって、積層完了時において、積層体11に曲がりや、燃料電池セル20の位置ずれが生じる虞はない。また、加圧時においても同様に、積層体11に曲がりや、燃料電池セル20の位置ずれが生じる虞はない。さらに、燃料電池セル20を積層した後においても、個々の燃料電池セル20を支持面41、42から簡単に取り出すことができる。したがって、何らかの原因で燃料電池セル20の位置が大きくずれた場合であっても、その燃料電池セル20のみを取り出して、正しい位置に合わせる修正を簡単に行うことができる。
燃料電池スタックの一例を示す図である。 図2(A)(B)は、本発明に係る燃料電池スタックの組み立て装置を示す正面図および側面図である。 燃料電池スタックの組み立て装置の治具を示す斜視図である。 燃料電池セルの角部を挟む2面を基準面としてシール位置を設定する説明に供する図である。
符号の説明
10 燃料電池スタック、
11 積層体、
12、13 エンドプレート、
14 タイロッドボルト、
20 燃料電池セル、
21、22 第1面、第2面(角部を挟む2面)、
23 角部、
24 シール位置、
30 燃料電池スタックの組み立て装置、
40 治具、
41、42 第1支持面、第2支持面(2つの支持面)、
50 加振手段、
60 加圧手段、
61 押圧板、
62 流体圧シリンダ、
L 支持面における燃料電池セルの積層方向に沿う長さ。

Claims (12)

  1. 角部を挟む2面を基準面としてシール位置が設定された燃料電池セルの前記2面に当接する2つの支持面が形成された治具を有し、
    前記治具の前記2つの支持面に前記2面を当接させながら前記燃料電池セルを積層して、複数個の前記燃料電池セルを積層してなる積層体を形成するために用いられる燃料電池スタックの組み立て装置。
  2. 前記治具は、前記2つの支持面のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  3. 複数個の前記燃料電池セルを水平方向に沿って前記治具上に積層していくことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  4. 積層される前記燃料電池セルに振動を加える加振手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  5. 複数個の前記燃料電池セルを前記治具上において積層した積層体を、前記治具上において積層方向に沿って加圧する加圧手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  6. 前記治具は、前記支持面における前記燃料電池セルの積層方向に沿う長さが、前記燃料電池セルの積層すべき個数に対応する長さであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  7. 前記治具は、前記支持面における前記燃料電池セルの積層方向に沿う端部に、エンドプレートが配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃料電池スタックの組み立て装置。
  8. 角部を挟む2面を基準面としてシール位置が設定された燃料電池セルを、治具に設けられた2つの支持面に前記2面を当接させながら積層して、複数個の前記燃料電池セルを積層してなる積層体を形成する燃料電池スタックの組み立て方法。
  9. 前記治具は、前記2つの支持面のそれぞれが上方に向けられ、かつ、水平面に対して傾斜して配置されていることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池スタックの組み立て方法。
  10. 複数個の前記燃料電池セルを水平方向に沿って前記治具上に積層していくことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池スタックの組み立て方法。
  11. 前記燃料電池セルに振動を加えながら積層していくことを特徴とする請求項10に記載の燃料電池スタックの組み立て方法。
  12. 複数個の前記燃料電池セルを前記治具上において積層した積層体を、前記治具上において積層方向に沿って加圧することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池スタックの組み立て方法。
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