JP2006160615A - アルブチンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
ンを確実に除去して高純度のアルブチンを簡便かつ経済的に製造すること。
【解決手段】 アルブチンを精製するにあたり、ハイドロキノンが混入している
粗アルブチンをアルブチンに対する良溶媒に溶解した溶液をハイドロキノンの
吸着剤と接触させてハイドロキノンを吸着させた後、該吸着剤を濾過・遠心分離
等の操作によってアルブチン溶液から取り除くことにより実質的にハイドロキ
ノンが含まれないアルブチン溶液を得、更に要すれば、アルブチンに対する貧溶
媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒とを混合して結晶化させることに
より上記課題を解決できる。
【選択図】なし
Description
品を得る方法、特に実質的にハイドロキノンを含まない高純度アルブチンの溶液、
結晶並びにそれらの製造方法に関する。
ウルシやコケモモ等の植物に含有されるハイドロキノン配糖体である。この化合
物は様々な生理活性を有し、とりわけ、メラニン産生抑制作用、即ち、美白作用
を有していることから、化粧品添加剤として広く使用されている。
が、含量が低い上に夾雑物が多いため、大量に高純度品を得ることが困難であっ
た。そこで、工業的に大量に得る方法として、酵素を用いてグルコースとハイド
ロキノンを縮合させる方法(例えば、特許文献1参照。)、及びグルコースのアセ
チル誘導体とハイドロキノンを化学的に縮合させ、次いで脱保護する方法(例え
ば、特許文献2参照。)が開発された。これらの方法は安価でしかも大量にアル
ブチンを得ることができることから工業的製法として有効であるが、いずれもハ
イドロキノンを原料化合物に用いるため、アルブチンの中にハイドロキノンの混
入が課題となっている。
受けやすい上に毒性の面でも問題があることから、アルブチンに混入しているハ
イドロキノンの除去が強く求められていた。
である。但し、結晶化操作やハイドロキノンの残存量について言及した文献はな
く、エタノール等の低級アルコールが結晶化溶媒として例示されているのみであ
る(例えば、特許文献3及び4参照。)。
媒が含まれることから、結晶化溶媒中のハイドロキノンがアルブチンの結晶に残
存するため、結晶化操作のみでハイドロキノンを除去することは困難である。従
って、ハイドロキノンの除去方法として結晶化操作以外の方法が求められた。
系ハイポーラスポリマー樹脂がハイドロキノンを吸着し、アルブチンはほとんど
吸着されないことを見出し、本発明を完成した。
(1)アルブチン中に混在するハイドロキノンを吸着剤で吸着除去させることを
特徴とする実質的にハイドロキノンを含まないアルブチンの精製方法、
(2)吸着剤が活性炭及び/又はポリスチレン系ハイポーラスポリマー樹脂であ
る(1)記載の精製方法、
(3)アルブチンに対する良溶媒に溶解したアルブチン溶液を吸着剤で混在する
ハイドロキノンを吸着除去させることを特徴とする実質的にハイドロキノンを
含まないアルブチン溶液の製造方法、
(4)(3)記載の製造方法でハイドロキノンを吸着除去させた後、アルブチン
に対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒で結晶化させ、実質
的にハイドロキノンを含まないアルブチン結晶の製造方法、
(5)アルブチンに対する良溶媒が水、メタノール及びエタノールの少なくとも
一種以上の溶媒である(3)又は(4)記載の製造方法、
(6)アルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒が
1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、tert−ブタノールから選ばれる少なくとも一種
以上の溶媒である(4)又は(5)記載の製造方法、
(7)アルブチンに対する良溶媒が水であり、混在するハイドロキノンの吸着剤
が活性炭であり、アルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和し
うる溶媒が2−プロパノールである(4)記載の製造方法、に関するものである。
ドロキノンを確実に除去して高純度のアルブチンを簡便かつ経済的に製造でき、
化粧品、医薬品原料に供することができる。
本発明の方法は、アルブチンを精製するにあたり、ハイドロキノンが混入して
いる粗アルブチンをアルブチンに対する良溶媒に溶解した溶液をハイドロキノ
ンの吸着剤と接触させてハイドロキノンを吸着させた後、該吸着剤を濾過・遠心
分離等の操作によってアルブチン溶液から取り除くことにより実質的にハイド
ロキノンが含まれないアルブチン溶液を得、更に要すれば、アルブチンに対する
貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒とを混合して結晶化させるこ
とにより実施することができる。
例えば、下記一般式
(式中、R1〜R5は水素原子又はアセチル基を示し、すべてが同時に水素原子
ではない。)で示されるアセチル化アルブチンを脱アセチル化して得られるもの、
植物等から抽出したものであってもよい。また、アセチル化アルブチンをアルコ
ラート−アルコール(例えば、ナトリウムメチラート−メタノール等)を用いて
脱アセチル化して得られる粗アルブチンには、反応により生じる酢酸エステル
(例えば、酢酸メチル等)やアルコール(例えば、メタノール等)が残存しても
かまわない。
ルの少なくとも一種以上の溶媒であるが、より具体的には水、メタノール或いは
エタノールの単独溶媒、水とメタノール或いは水とエタノールの混合溶媒が挙げ
られ、好ましくは水である。
媒に不溶で、アルブチンと化学反応を起こさず、しかもアルブチンをほとんど吸
着しない性質をもつ必要がある。これらの条件を満たすものとしては、活性炭、
ダイヤイオンHP20(三菱化学社製)、アンバーライトXAD−2(ローム・
アンド・ハース社製)等のポリスチレン系ハイポーラスポリマー樹脂等が挙げら
れ、好ましくは活性炭である。とりわけ、活性炭は、他の不純物(アセチル化ア
ルブチンの脱アセチル化反応の際に生ずる副反応物等)も同時に吸着除去できる
利点も有している。
状、破砕状、棒状等の形態のものでもよい。また、中性、アルカリ性及び酸洗浄
されたものでもよい。
て異なるが、通常、アルブチンに対して0.1〜50%(w/w)の範囲であり、
好ましくは、0.5〜5%(w/w)の範囲である。
ン溶液という。)に当該吸着剤を接触させる方法としては、粗アルブチン溶液に
当該吸着剤を添加して撹拌する方法が挙げられる。撹拌下で接触させる場合、撹
拌装置及び操作条件が好適に使用される。この方法による撹拌時間は、吸着剤の
添加量や使用する溶媒によって異なるが、通常、10分〜5時間の範囲であり、
好ましくは、30分〜1時間程度である。また、撹拌時の温度は吸着剤や溶媒の
種類によって異なるが、通常、0℃〜溶媒の沸点の範囲で、好ましくは、20℃
〜60℃の範囲である。当該吸着剤は濾過、遠心分離等によって除くことができ
るが、濾過する場合、要すればソルカフロック(水沢化学社製)等の濾過助剤を
加えて濾過してもよい。
したカラムに粗アルブチン溶液を通過させ、要すればアルブチンに対する良溶媒
でカラムから溶出させる方法を用いてもよい。
キノンを含まないアルブチン溶液(以下、アルブチン溶液という。)をアルブチ
ンに対して貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒を混合することに
よって、実質的にハイドロキノンを含まないアルブチンの結晶を得ることができ
る。
溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒(以下、晶出溶媒という。)は、
メタノール及びエタノール以外のアルカノールから選ばれる少なくとも一種以
上の溶媒であるが、より具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、2
−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブ
タノールの単独或いはこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは、2−プロパノ
ールである。
対して容積比で0.1倍〜20倍の範囲であり、好ましくは、0.3倍〜10倍
の範囲であり、より好ましくは、0.5〜5倍の範囲である。
の範囲が好ましく、より好ましくは、300g/L〜400g/Lの範囲であり、
この範囲内の濃度にするため、アルブチン溶液を適宜良溶媒で希釈或いは濃縮し
てもよい。
撹拌で行っても、また、特に撹拌を行わなくてもよい。混合する順序は、晶出溶
媒にアルブチン溶液或いはその希釈液又はその濃縮液を添加してもよいし、その
逆であってもよい。混合するときの温度は、特に限定はなく、冷却下〜晶出溶媒
の沸点の範囲から作業上問題のない温度条件を適宜選べばよいが、通常、10℃
〜100℃の範囲であり、好ましくは、30℃〜70℃の範囲である。
過等)により、混合液から分離・採取することができる。
るため、アルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒
(以下、洗浄溶媒という。)で洗浄してもよい。
くとも一種以上の溶媒であるが、より具体的には、1−プロパノール、2−プロ
パノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、
tert−ブタノールの単独或いはこれらの混合溶媒が挙げられ、晶出溶媒と異
なってもよいが、回収のしやすさから、同一であることが好ましい。
に限定はなく、常法(たとえば、減圧乾燥、加熱乾燥、風乾等)により、適宜実
施すればよい。
ハイドロキノンが検出できない程度のものをいう。
実施例
限定されるものではない。
粗アルブチンの合成例
D−グルコピラノシド20gにメタノール100mL及び28%ナトリウムメ
トキシド−メタノール溶液0.2mLを加え、撹拌しながら4時間加熱還流した。
反応液を室温に冷却し、0.1N塩酸を滴下してpH6に調節後、減圧濃縮した。
残留物にエタノール25mLを加え、一夜冷蔵庫中に放置して粗アルブチン9.
5gを得た。
得られた粗アルブチンの組成をHPLC(UV280nm)で分析するとアル
ブチン:97.8面積%、ハイドロキノン:0.32面積%であった。
実施例1
日本エンバイロケミカルズ社製)130mgを加え、40℃で30分間撹拌した
後、活性炭を濾過し、水20mLで洗浄した。濾液と洗液を合わせ、約20mL
まで減圧濃縮後、濃縮液に2−プロパノール50mLを加えて50℃に加熱しな
がら4時間撹拌した。更に室温で一夜撹拌し、析出した結晶を濾過し、2−プロ
パノール20mLで洗浄後、乾燥してアルブチンの白色結晶7.8g(融点19
9℃)を得た。
結晶の純度をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.9
面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
実施例2
D−グルコピラノシド120gにメタノール500mL及び28%ナトリウム
メトキシドメタノール溶液1.2mLを加え、撹拌しながら4時間加熱還流した。
反応液を室温に冷却し、0.1N塩酸を滴下してpH6に調節後、活性炭(強力
白鷺)1.8gを加えて40〜45℃に加熱しながら1時間撹拌した。活性炭を
濾過し、濾液を約200mLまで減圧濃縮した。濃縮液に2−プロパノール30
0mLを加え、50℃で3時間撹拌後、室温で一夜撹拌した。析出した結晶を濾
過し、2−プロパノール100mLで洗浄後、乾燥してアルブチンの白色結晶5
6.8g(融点199℃)を得た。
結晶の純度をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.9
面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
実施例3
0℃に過熱して溶解させた後、活性炭(強力白鷺)150mgを加え、同温度で
30分間撹拌した。活性炭を濾過し、50%エタノール水10mLで洗浄した。
濾液と洗液を合わせ、約15mLまで減圧濃縮後、濃縮液に2−プロパノール5
0mLを加えて50℃に加熱しながら4時間撹拌した。更に室温で一夜撹拌し、
析出した結晶を濾過し、2−プロパノール20mLで洗浄後、乾燥してアルブチ
ンの白色結晶7.3g(融点199℃)を得た。
結晶の純度をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.9
面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
実施例4
20樹脂3mLを加え、室温で30分間撹拌した後、樹脂を濾過し、水10mL
で洗浄した。濾液と洗液を合わせ、約20mLまで減圧濃縮した。濃縮液に2−
プロパノール50mLを加えて50℃に加熱しながら4時間撹拌後、室温で一夜
撹拌した。析出した結晶を濾過し、2−プロパノール20mLで洗浄後、乾燥し
てアルブチンの白色結晶7.8g(融点199℃)を得た。
結晶の純度をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.9
面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
実施例5
イヤイオンHP20を充填したカラム25mLに1時間かけて通過させた後、カ
ラムを水50mLで洗浄した。通過液と洗液を合わせ、約100mLまで減圧濃
縮後、濃縮液に2−プロパノール500mLを加えて50℃に加熱しながら4時
間撹拌した。更に室温で一夜撹拌し、析出した結晶を濾過し、2−プロパノール
100mLで洗浄後、乾燥してアルブチンの白色結晶42.8g(融点199℃)
を得た。
結晶の純度をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.9
面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
実施例6
鷺)130mgを加え、40℃で30分間撹拌した後、活性炭を濾過し、水20
mLで洗浄してアルブチンの水溶液を得た。
水溶液中の成分をHPLC(UV280nm)で分析するとアルブチン:99.
8面積%、ハイドロキノン:未検出で0.001面積%以下であった。
ロキノンを確実に除去して高純度のアルブチンを簡便かつ経済的に提供できる。
Claims (7)
- アルブチン中に混在するハイドロキノンを吸着剤で吸着除去させる
ことを特徴とする実質的にハイドロキノンを含まないアルブチンの精製方法。 - 吸着剤が活性炭及び/又はポリスチレン系ハイポーラスポリマー樹
脂である請求項1記載の精製方法。 - アルブチンに対する良溶媒に溶解したアルブチン溶液を吸着剤で混
在するハイドロキノンを吸着除去させることを特徴とする実質的にハイドロキ
ノンを含まないアルブチン溶液の製造方法。 - 請求項3記載の製造方法でハイドロキノンを吸着除去させた後、ア
ルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる溶媒で結晶化さ
せ、実質的にハイドロキノンを含まないアルブチン結晶の製造方法。 - アルブチンに対する良溶媒が水、メタノール及びエタノールの少な
くとも一種以上の溶媒である請求項3又は4記載の製造方法。 - アルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と混和しうる
溶媒が1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、
1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールから選ばれる少なくと
も一種以上の溶媒である請求項4又は5記載の製造方法。 - アルブチンに対する良溶媒が水であり、混在するハイドロキノンの
吸着剤が活性炭であり、アルブチンに対する貧溶媒であって、かつ当該良溶媒と
混和しうる溶媒が2−プロパノールである請求項4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004349936A JP2006160615A (ja) | 2004-12-02 | 2004-12-02 | アルブチンの精製方法 |
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ID=36663038
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JP2004349936A Pending JP2006160615A (ja) | 2004-12-02 | 2004-12-02 | アルブチンの精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006160615A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114044797A (zh) * | 2021-09-30 | 2022-02-15 | 安徽华恒生物科技股份有限公司 | 一种α-熊果苷的提取方法和应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05176785A (ja) * | 1992-01-08 | 1993-07-20 | Showa Denko Kk | アルブチンの製造法 |
JP2006111581A (ja) * | 2004-10-15 | 2006-04-27 | Nitto Best Kk | アルブチンの分離精製方法 |
-
2004
- 2004-12-02 JP JP2004349936A patent/JP2006160615A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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