JP2006160185A - 車両用懸架装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 制御装置30は、車両の四輪モデルにおいて、各車輪WFL,WFR,WRR,WRLに対応した各ばね下部材(例えば、ナックル12およびサスペンションアーム13等)の上下方向に沿った振動に係る運動と、ばね上部材(例えば、車体11)の上下方向に沿った振動に係る運動と、ばね上部材のローリングに係る運動と、ばね上部材のピッチングに係る運動とに対する合計7自由度の運動方程式に基づき、ばね上部材と各ばね下部材とを連結するダンパー14の減衰係数を非線形H∞制御則により制御する。
【選択図】 図2
Description
つまり、単一の車輪に対する上下方向に沿った運動のみを制御対象とするだけでは、例えば車両の旋回時等に生じるローリングや、例えば車両の加速あるいは減速時等に生じるピッチング等の車両挙動に対してダンパーで適切な減衰力を発生させることができないという問題が生じる。
しかも、このような問題に対して、例えば車両の定速直進走行時や旋回時や加速あるいは減速時等の各車両挙動に応じて制御内容を切り換えるように設定すると、この切り換えの前後で車両の乗員が予期しない車両挙動の変動が生じてしまい、車両の乗員が違和感を感じてしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の各種の走行状態に応じた適切な減衰力をダンパーにより発生させることが可能な車両用懸架装置の制御装置を提供することを目的としている。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両用懸架装置の制御装置によれば、状態量取得手段により検知または推定された状態量に応じて、車両の多様な運動状態に対する制御ゲインを最適化することによって車両の乗り心地を向上させることができる。
本実施の形態に係る車両用懸架装置10は、例えば図1および図2に示すように、四輪車両の各車輪WFL,WFR,WRL,WRRを懸架するサスペンション装置であって、車体11に対してナックル12を上下動可能に支持するサスペンションアーム13と、車体11とサスペンションアーム13とを接続する可変減衰力のダンパー14およびコイルばね15とを備えて構成されている。
そして、第1流体室25および第2流体室26および各流体流路22a内には、例えばオイル等の粘性流体に鉄粉等の磁性体微粒子を分散配置させてなる磁気粘性流体が封入されており、この磁気粘性流体は、外部から印加される磁界に応じて磁性体微粒子が整列することで、見かけ上の粘度が変化するようになっている。
そして、ピストン22の内部には、後述する制御装置30により通電制御されるコイル28が備えられ、このコイル28への通電により発生する磁束が各流体流路28aを通過することで、磁気粘性流体の粘度が変化するようになっている。
そして、流体通路22a,…,22aを通過する磁気粘性流体の粘性抵抗により減衰力が発生することになる。このとき、コイル28への通電を制御することで、通電により発生する磁束が通過する各流体流路28a内に存在する磁気粘性流体の見かけ上の粘度が変化し、コイル28への通電量に応じてダンパー14により発生する減衰力の大きさが適宜に変更されるようになっている。
さらに、ピストン22が下降してシリンダ21内に収容されるピストンロッド23の容積が増大した場合には、この容積の増大分を吸収するようにしてフリーピストン24が下降するようになっている。
なお、空間座標(x,y,z)は、前後方向前方がx方向正方向とされ、左右方向左方がy方向正方向とされ、上下方向下方がz方向の正方向とされている。
また、各可変減衰係数Cf1,Cf2,Cr3,Cr4は、例えば下記数式(10)に示すように、適宜の各定数項Cfn,Crnと各変数項Cu1,Cu2,Cu3,Cu4との和とされている。
そして、例えば下記数式(19)に示すように、各可変減衰係数Cf1,Cf2,Cr3,Cr4の各変数項Cu1,Cu2,Cu3,Cu4を制御入力uとし、変位zgおよびロール角φおよびピッチ角θおよび各変位z11,z12,z13,z14の時間tに関する各1回微分(dzg/dt),(dφ/dt),(dθ/dt),(dz11/dt),(dz12/dt),(dz13/dt),(dz14/dt)と、変位zgおよびロール角φおよびピッチ角θおよび各変位z11,z12,z13,z14とを状態ベクトルxpとし、変位zgおよびロール角φおよびピッチ角θの時間tに関する各2回微分(d2zg/dt2),(d2φ/dt2),(d2θ/dt2)と、各1回微分(dzg/dt),(dφ/dt),(dθ/dt)と、各相対速度(dxR1/dt),(dxR2/dt),(dxR3/dt)、(dxR4/dt)とを評価出力zpとし、各変位z01,z02,z03,z04を路面外乱w1として、車両用懸架装置10の状態空間表現は、例えば下記数式(20)および(21)に示すように記述される。
また、上記数式(21)において、係数行列Cp1は、例えば下記数式(24)に示すように記述され、係数行列Dp12(xp)は、例えば下記数式(25)に示すように記述される。
この一般化プラントでは、各周波数重みWs(S),Wu(S)が乗算された評価出力zpと制御入力uとに対して、さらに、例えば下記数式(26)に示すような、非線形な重み関数として状態量xの関数a1(x),a2(x)が乗算される。
なお、下記数式(29)において、状態量xと、各係数行列A,B1,B2(x),C11,D121(x),C12,D122(x)は、例えば下記数式30に示すように記述される。
例えば、制御装置30は、ばね上加速度センサ31から出力される検出信号の周波数分布と実効値に応じて走行路の路面状態を推定し、推定した路面状態に応じて各運動に対する制御ゲインを変更可能とされている。この場合、ばね上加速度センサ31から出力される検出信号は、先ず、複数(例えば、3つ)の異なる周波数帯域を抽出する第1〜第3バンドパスフィルタにより処理される。
そして、各第1〜第3バンドパスフィルタ毎に抽出された振動成分に対して、絶対値化および高周波成分を除去するローパスフィルタリングの処理が実行された後に、各振動成分の実効値が算出される。
この変形例において、例えば、四輪車両の運動モデルを、左右の前輪WFL,WFRに対する二輪モデルと、左右の後輪WRL,WRRに対する二輪モデルとにより構成した場合には、各二輪モデルにおいて、左右の各車輪WL,WRに対応した各ばね下部材41,41の上下方向に沿った運動と、ばね上部材42の上下方向に沿った運動と、ばね上部材42のローリングに係る運動とに対する合計4自由度の運動方程式に基づき、ダンパー14の減衰係数を非線形H∞制御則により制御する。
また、各可変減衰係数C1,C2は、例えば下記数式(45)に示すように、適宜の各定数項Cn1,Cn2と各変数項Cu1,Cu2との和とされている。
また、上記数式(21)において、係数行列Cp1は、例えば下記数式(53)に示すように記述され、係数行列Dp12(xp)は、例えば下記数式(54)に示すように記述される。
また、例えば、四輪車両の運動モデルを、車両の軸距を無視して左右の各前後輪が等価的に単一の仮想的な車軸上の各点にそれぞれ集中していると仮定する二輪モデル、あるいは、車両の輪距を無視して前後の各左右輪が等価的に車両の前後軸と各車軸との交点にそれぞれ集中していると仮定する二輪モデルとしてもよい。
30 制御装置(減衰力制御手段)
31 ばね上加速度センサ(状態量取得手段)
32 ロールレートセンサ(状態量取得手段)
33 ピッチレートセンサ(状態量取得手段)
34,35,36,37 ばね下加速度センサ(状態量取得手段)
Claims (2)
- 車両のばね上部材およびばね下部材を弾性的に支持すると共に減衰力を変更可能なダンパーを具備する車両用懸架装置の制御装置であって、
前記ばね上部材の振動に係る運動と、車両の複数の車輪毎に対応した前記ばね下部材の振動に係る運動と、前記ばね上部材の少なくともローリングまたはピッチングの何れかに係る運動との各運動状態に基づき、前記減衰力を制御する減衰力制御手段を備えることを特徴とする車両用懸架装置の制御装置。 - 前記各運動状態に係る状態量を検知あるいは推定する状態量取得手段を備え、
前記減衰力制御手段は、前記状態量取得手段により取得された各前記状態量に基づき、前記減衰力を制御する際の制御ゲインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置の制御装置。
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