JP2006159431A - 塗工紙タイプのプリンター用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速プリンターでの印字適性が良好で、かつ塗工層の強度が強い塗工紙タイプのプリンター用紙を提供すること。
【解決手段】 透気抵抗度が1000秒以下である。無機物または有機物の微粒子、バインダーおよびキトサンを含有する水系塗料からなる塗工層を基材の片面または両面に少なくとも1層有している。
【選択図】 なし

Description

本発明は塗工紙タイプのプリンター用紙に関する。さらに、詳しくは、高速プリンター(電子写真方式やインクジェット方式等)での印字適正が良好で、かつ塗工層の強度が強く、プリンターで印刷した後に折り加工、封入封緘、断裁、製本加工などの後加工を行う場合に、紙粉の発生や塗工層破壊などの加工不良が起こらない、後加工適正の優れた塗工紙タイプのプリンター用紙に関する。
版を作製して同じ内容の印刷物を短時間で大量に印刷するオフセット印刷機に代表される従来の印刷方式から、電子データを直接印刷物として出力するプリンターを使った印刷方式へと印刷の態様が変化している。その中で、プリンターの高速化、フルカラー化および高画質化により、各々が異なる内容の印刷物を比較的短時間で大量に印刷できるようになり、バリアブル印刷とかオンデマンド印刷と呼ばれる新しい印刷方式が注目されている。1990年代中頃に登場したオンデマンド印刷は、主にオフセット印刷機でプレ印刷した後にモノクロの高速プリンターでデータを印字する方式で、例えば、公共料金の請求書などを作成・郵送するようなデータ・プリント・サービス(DPS)事業の分野で普及してきた。また、商業印刷の分野においても、チラシやカタログなどの小ロット印刷物を従来の有版印刷機を使わないで比較的高速のフルカラープリンターで印刷することが行われている。
これまで高速プリンター用紙として使用されていたのは、DPS分野では非塗工のフォーム用紙や圧着メール用紙など、商業印刷分野では各プリンターに専用の微塗工紙または一般の微塗工紙などである。
今後は、外観や機能の面から塗工紙タイプのプリンター用紙の需要が増えてくると思われるが、オフセット印刷用の一般的なコート紙では高速プリンター適性がよくないので、高速プリンター専用の塗料設計が必要である。
ところで、高速プリンターの印字方式は、電子写真方式(トナー方式)とインクジェット方式が主流であるが、いずれの方式であっても、電子写真方式ではトナー定着性とプリンター搬送性の向上要求、インクジェット方式ではインク吸収性とインク乾燥性の向上要求が強く、この要求を満たすためには、透気度が高いポーラスな用紙設計にする必要がある。しかしながら、塗工紙で透気度が高いポーラスな用紙設計にすると、塗工層の強度が低くなる。塗工層の強度が低くなると、用紙表面に傷が入りやすく、紙粉が発生しやすいという不都合な点がある。それでも、印刷するだけなら、多少塗工層の強度が低くても大きな問題は発生しないが、オンデマンド印刷では、ほとんどの場合、印刷後に折り加工、封入封緘、断裁、製本加工などの後加工が行われるため、後加工に耐え得る程度の塗工層強度を備えていることが必要である。
強度を高める手段としては様々なものがあるが、例えば、異種素材間の混合物からなる複合材料(ハイブリッド材料)は複数素材を巨視的に混合した組成集合体であり、各素材のもつ特性を相補的に利用して、単独素材では実現できなかった特性発現が可能である。FRPやFRMやFRCはその一例である。本発明はハイブリッド材料の手法を利用し、塗工層に特別の物質(キトサン)および微粒子を配合することにより塗工層の強化を図ることを意図している。
このキトサンは、D−グルコサミンがβ−(1→4)結合した高分子であり、キチンの脱アセチル化物である。遊離のアミノ基を有するため、イオン交換体、重金属吸着剤などとして利用されているが、近年、医薬用途などにも応用されている生物由来の素材である。このキトサンを紙の素材として応用した先行技術としては、以下に説明する特許文献1ないし4に開示されているものが知られている。
特許文献1には、合成樹脂のエマルジョン又は水性ディスパージョンと、キトサンとを含有するコーティング剤が開示されている。
特許文献2には、紙の製造工程でキトサンを溶解する酸水溶液を添加する、印刷情報用紙の製造方法が開示されている。
特許文献3には、原紙に含浸させるカチオン性水溶性高分子としてキトサンを使用するインクジェット記録用クリーンペーパーが開示されている。
特許文献4には、繊維微粉体としてのキトサンをインクジェット被記録材のインク受容層の顔料成分として含有するものが開示されている。
特開20001−342435号公報 特開平11−174719号公報 特開平11−216948号公報 特開2002−166646号公報
特許文献1に開示されたものは、キトサンのもつ抗菌性を利用して、シート状基材にコーティング剤を塗布して抗菌性シートを得ようとするものである。
特許文献2に開示された方法は、紙の製造工程でキトサンを溶解する酸水溶液を添加することにより用紙自体の強度向上を図ることを目的としたものである。
特許文献3に開示されたものは、原紙にカチオン性水溶性高分子としてキトサンを含浸させることにより、ベタ印字部の濃淡ムラがないインクジェットプリンター用無塵紙を製造しようというものである。
特許文献4に開示されたものは、顔料成分としてキトサンを含有することにより表面活性の高いシリカの使用量を低減し、印字の変褪色を改善することを目的としたものである。
以上の説明で明らかなように、紙・パルプおよび関連分野において、キトサンを利用する技術は知られているが、塗工層の強度向上を意図したものはない。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、高速プリンターでの印字適性が良好で、かつ塗工層の強度が強い塗工紙タイプのプリンター用紙を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の塗工紙タイプのプリンター用紙は、透気抵抗度が1000秒以下である塗工紙タイプのプリンター用紙において、無機物または有機物の微粒子、バインダーおよびキトサンを含有する水系塗料からなる塗工層を基材の片面または両面に少なくとも1層有することを特徴としている。
キトサンは水に不溶であるが、希酸に可溶であり、優れた凝集性を示す。そこで、塗工層形成用水系塗料中にキトサンを溶解した酸水溶液を含有することにより、塗料構成材料の特定原子間にキトサン分子による橋かけを形成し、あたかも、架橋に類似した三次元の網状構造を塗工層に形成できるので、塗工層の強度を向上することができるのである。
しかしながら、塗工層の強度を高めただけでは、高速プリンターにおける印字適性を確保することはできない。そこで、印字適性(プリンター搬送性、トナー定着性、インク定着性、インク乾燥性など)を確保するために、無機物または有機物の微粒子を塗料中に含有することが好ましい。
そして、優れた印字適性を確保するためには、無機物または有機物の微粒子として、炭酸カルシウム、合成シリカまたはアルミナのうち少なくとも1種類を塗料の顔料中に60重量%以上含有することが好ましい。
また、インク定着性を向上するためには、塗料中にカチオン性重合体を配合することが好ましい。
本発明は上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
(1)請求項1記載の発明によれば、高速プリンターでの優れた印字適性を備えるとともに、透気度が高くポーラスな塗工層であっても(透気抵抗度が1000秒以下であっても)、塗工層の強度が強いので、プリンターで印刷した後に、折り加工、封入封緘、断裁、製本加工などの後加工を行う場合に、紙粉が発生せず、塗工層破壊などの加工不良が起こらず、後加工適性が優れている。また、キトサンを含有するので、プリンター内部の熱に伴って紙から発生する臭気をキトサンの脱臭効果により低減することができる。さらに、キトサンのもつ抗菌作用をプリンター用紙に付与することができる。そして、塗工層の強度が高いので、オフセット印刷も可能である。
しかも、無機物または有機物の微粒子を含有するので、所定の印字適性を備えることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、高速プリンターとして優れた印字適性を確保することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、インク定着性を向上することができる。
本発明の塗工紙タイプのプリンター用紙は、透気抵抗度が1000秒以下である塗工紙タイプのプリンター用紙において、無機物または有機物の微粒子、バインダーおよびキトサンを含有する水系塗料からなる塗工層を基材の片面または両面に少なくとも1層有することを特徴としているが、以下に、本発明の好ましい実施形態を具体的に説明する。
基材としては、限定されるものではないが、古紙パルプ(DIP)、化学パルプ(例えば、広葉樹クラフトパルプ:LBKP、針葉樹クラフトパルプ:NBKP等)、機械パルプ(例えば、サーモメカニカルパルプ:TMP、プレッシャライズドグランドパルプ:PGP、リファイナーグランドパルプ:RGP、グランドパルプ:GP等)などの木材パルプに必要に応じて顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙装置で製造された原紙や、さらにこの原紙に澱粉、ポリビニルアルコールなどによるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙などを挙げることができる。このような原紙に、そのまま塗工層を設けてもよいし、平坦度を制御する目的で、カレンダー処理を施すこともできる。
本発明において使用するキトサンは、例えば、キチンをアルカリ中で加水分解し、キチン中のアセチル基を脱離することにより得られるものである。キトサンの脱アセチル化度は特に限定されるものではないが、水系塗料中における分散性を考慮すると、脱アセチル化度は、水溶性キトサンが得られる75〜100%が好ましい。
キトサンを溶解した酸水溶液の凝集力を利用するためには、キトサンの分子量は5万以上であることが好ましい。一方、キトサンの分子量が150万を超えると、粘度が非常に高くなり、塗工液の調製作業が困難になるとともに、極度に凝集性が高くなるためにフロックが発生しやすいという不都合な点がある。
キトサンを溶解する酸としては、希塩酸や希硝酸などの無機酸でもよいが、有機酸の方が溶解性がよい。特に、キトサンは、0.1〜1.0%程度の有機酸によく溶解する。有機酸としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、乳酸、アジピン酸、スルファミン酸、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
キトサンの酸水溶液の添加量は、溶解しているキトサン量が顔料固形分重量の0.5〜10%の範囲が好ましい。キトサン添加量が0.5重量%未満では、キトサンの凝集性が低く、所定の塗工層強度を確保することができない。一方、キトサン添加量が10重量%を超えると、キトサンの凝集効果が高くなりすぎ、分散性が低下するため、結果として必要な塗工層強度を確保することができなくなる。
塗工層に含まれる顔料としては、例えば、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、過硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナとシリカの複合体、ゼオライト、珪藻土、水酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、マイカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸鉛等を挙げることができる。中でも、高速プリンターでの印字適性を向上するために、炭酸カルシウム、合成非晶質シリカまたはアルミナが好ましく、印字適性と塗工層の強度のバランスを保つためには、炭酸カルシウム、合成非晶質シリカまたはアルミナのうち少なくとも1種類を顔料中に60重量%以上含有することが好ましい。一般の塗工紙の塗料には、光沢を改善する目的で板状の粒子が主体のクレーが添加されることが多いが、このクレーは通気度を低下させ、プリンター搬送性やインク吸収性を低下させるので、クレーの含有量は必要最低限に留め、炭酸カルシウム、合成非晶質シリカまたはアルミナを極力多く含有するのが好ましい。顔料はその平均粒径が0.4〜10.0μmのものが好ましく、1.0〜8.0μmのものがさらに好ましい。また、その吸油量は40〜350ml/100gであることが好ましく、150〜350ml/100gであることがさらに好ましい。上記顔料は単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
塗工層にはバインダーが含有されていることが好ましくい。このバインダーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸またはその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類の樹脂類等を挙げることができる。上記バインダーは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のカチオン性重合体の例としては、例えば、ジメチルジアニルアンモニウムクロライド(DMDAAC)重合物、アリルアミン酸塩重合物、ジアリルアミン塩酸塩重合物、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ジメチルジアニルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合物、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン重縮合物、メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物などを挙げることができる。これらのカチオン性重合体は、単独あるいは混合して用いることができ、さらには他のカチオン性重合体を複数混合して用いることができる。
本発明のカチオン性重合体は、塗工層の全顔料100重量部に対して、3〜20重量部含有することが好ましい。カチオン性重合体の含有量が20重量部を超えると、カチオン性重合体を含有することによるインク定着性改善効果は飽和し、むしろ、コストアップまたはインクの乾き不良が発生する場合があるという不都合な点がある。また、カチオン性重合体の含有量が3重量部未満では、カチオン性重合体を含有することによるインク定着性改善効果が充分に発揮されなくなる。
上記塗工層は、上記顔料、バインダーおよびキトサンならびに必要に応じてカチオン性重合体を含有する塗工液を基材上に塗布し、乾燥して用いることができる。
塗工層を形成するための塗工液中の顔料およびバインダーの配合量は、顔料100重量部に対してバインダー5〜30重量部程度が好ましい。バインダーの割合が5重量部未満であると、塗工層強度が確保できない場合がある。一方、バインダーが30重量部より多いと、キャスト方式で処理する際、キャストドラム上での乾燥性が悪化し、光沢層上にピンホールが発生する場合がある。
塗工層形成用塗工液には、必要に応じて、種々の助剤を添加することができる。助剤としては、例えば、分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、染料、耐水化剤、蛍光染料、保存剤、紫外線吸収剤、離型剤、潤滑剤および有機カチオン剤等を挙げることができる。
塗工層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工することができる。この塗工液の塗布量は、固形分換算で、好ましくは、5〜40g/m2 である。塗工液の塗布量が5g/m2 未満であると、後述する鏡面仕上げを施しても高光沢を得られない場合があり、一方、塗工液の塗布量が40g/m2 を超えると、塗工層強度が不足し、キャスト方式で光沢処理する際、金属ロール上での乾燥性が悪化し、最表層にピンホールが発生することがある。
塗工層形成用塗工液は、通常は水性塗工液として調製される。塗工液を塗布した後、乾燥して塗工層とするが、この乾燥工程における乾燥方式に特に制限はなく、例えば、赤外線乾燥、熱風乾燥、常温乾燥等を挙げることができる。
本発明のプリンター用紙に設けられる塗工層を少なくとも2層とし、最表層を高光沢の鏡面仕上げとすることができる。鏡面仕上げに形成する方法としては、乾燥させた塗工層の下層の上に塗工層上層用塗工液を塗工して乾燥させた後に、スーパーカレンダー等によって平滑化処理を施す方法を採用することができる。また、塗工層上層用塗工液が湿潤状態にある間に加熱された金属ロールに圧着して乾燥することにより仕上げる方法(ウエットキャスト方式)、または、塗工層上層用塗工液を一旦乾燥させた後、再湿潤し、加熱された金属ロールに圧着して乾燥することにより仕上げる方法(リウエットキャスト方式)を採用することもできる。さらに、加熱された金属ロールに光沢層用塗工液を直接塗工して、その塗工液がある程度湿潤状態にある間に塗工層に圧着して乾燥することにより仕上げる方法(プレキャスト方式)を採用することもできる。なお、カレンダー処理時やキャスト処理時の塗工層に対する押圧力が強すぎると、透気度が低下し、プリンターでの搬送不良が発生する場合があるので、カレンダー処理時の押圧条件やキャスト処理時の押圧条件はその点を考慮して設定することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
1.基材の製造と塗工層の形成
(1)基材の製造
広葉樹クラフトパルプ原料100重量部に対して、硫酸バンド3重量部、サイズ剤10重量部およびタルク10重量部を配合し、長網抄紙機にて抄造し、サイズプレスにて紙面に澱粉を塗布し、米坪81.4g/m2 の中性上質紙(基材)を得た。
(2)塗工層の形成
上記のようにして得られた基材の両面に、顔料、バインダー、キトサンの酸水溶液、カチオン性重合体としてそれぞれ以下に説明するものを含有する塗料を、ロッド・バーコーターを用いて固形分換算で片面に8g/m2 づつ塗工し、スキャッフドライヤーにて乾燥することにより塗工層を形成し、表1に示すように、実施例1〜6および比較例1〜6の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルを得た。
《顔料》
炭酸カルシウムA(白石カルシウム社製の商品名カルライトSA、粒径3.3μm、吸油量95ml/100g)、炭酸カルシウムB(白石カルシウム社製の商品名ブリリアント15、粒径0.55μm、吸油量43.5ml/100g)、合成シリカ(テグサ・ジャパン社製の商品名カープレックス80D、粒径4.6μm、吸油量234ml/100g)、またはクレー(米国Huber 社製の商品名HG−90、粒径0.4μm、吸油量43ml/100g)を、それぞれ以下の表1に示すように配合した(重量部)。
《バインダー》
ポリビニルアルコール(クラレ社製の商品名PVA117,ガラス転移温度=0℃)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製の商品名Nipol LX407F)を、それぞれ以下の表1に示すように配合した(重量部)。
《キトサンの酸水溶液》
キトサン(大日精化社製の商品名ダイキトサン、キトサン分子量=約8万〜10万)を濃度5〜6%の乳酸水溶液に溶解させたものを以下の表1に示すように配合した(重量部)。
《カチオン性重合体》
ポリアミン系カチオン樹脂(星光PMC社製の商品名DK6850)を以下の表1に示すように配合した(重量部)。
(3)スーパーカレンダー処理
一部の実施例および比較例のプリンター用紙サンプルには、乾燥した塗工層に対してスーパーカレンダー処理を施した。
(4)透気度
一定条件下で空気が紙を通過する度合を示す透気度を測定する試験方法には、JIS−P−8117において、「一定時間に試験片を通過する空気の量(ml)を測定する方法」であるISO透気度と、「一定量の空気が試験片を通過するのに要する時間(秒)を測定する方法」である透気抵抗度の2種類が規定されているが、実施例1〜6および比較例1〜6のプリンター用紙サンプルについては、「面積642mm2 のプリンター用紙サンプ ルを空気100mlが通過する時間」を測定する方法である透気抵抗度をJIS−P−8117に従って測定した。この透気抵抗度(秒)の数値が小さいほど、プリンター用紙サンプルはポーラスであり、空気が通りやすいことを示し、逆に、透気抵抗度(秒)の数値が大きいほど、プリンター用紙サンプルは密であり、空気が通りにくいことを示す。この透気抵抗度は、原紙自体の透気性、顔料やバインダーの種類や配合比、カレンダー処理条件などによって制御することができる。
Figure 2006159431
2.実施例1〜6および比較例1〜6の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルの特性の評価方法
(1)インクジェット方式高速プリンター適性
各プリンター用紙サンプルに、インクジェットプリンター(CANON社製の商品名BJC−455)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件で、サイテックス社製の高速インクジェットプリンター用の3色のインク(ブラック1069、シアン1068、マゼンタ1076)をそれぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、インク定着性とインク乾燥性を以下の方法にて評価した。その結果を表2に示す。
1) インク定着性 インク定着性については、印字したプリンター用紙サンプルを印字が安定する印字30分経過後に水に浸してインクが流れるかどうかを観察し、さらに、水に浸漬した後のプリンター用紙サンプルの印字部に濾紙を押し付けてインクが濾紙へ転写されるかどうかを観察し、以下の基準で評価した。
◎=すべての色が水に全く流れず、インクが濾紙へ転写されることもなかった。
○=一部の色が水に流れたが、インクが濾紙へ転写されることはなく、実用は可能である。
×=インクが水に流れるとともに、インクが濾紙へ転写され、実用上問題である。
2) インク乾燥性 インク乾燥性については、黒インクのベタ印字部の印字後、表面が乾燥するまでの時間について、以下の基準で評価した。
◎=40秒以内に乾燥した。
○=60秒以内に乾燥した。実用的には乾燥時間は60秒以内であることが好ましい。
△=80秒以内に乾燥した。
×=乾燥するのに80秒を超えた。
(2)電子写真方式高速プリンター適性
各プリンター用紙サンプルに、電子写真方式を用いたプリンターであるカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム(富士ゼロックス社製の商品名Docucolor1250cp)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件で100枚連続印字を行い、プリンター搬送性とトナー定着性を以下の方法にて評価した。その結果を表2に示す。
1) プリンター搬送性 プリンター搬送性については、100枚連続印字時の重送と紙詰まりの有無について、以下の基準で評価した。
◎=重送も紙詰まりも発生しなかった。
△=重送または紙詰まりが、1回発生した。
×=重送または紙詰まりが、2回以上発生した。
2) トナー定着性 トナー定着性については、印字部分に粘着テープを貼って粘着テープを剥離したときの粘着テープへのトナーの転写状態および爪で印字部分を擦ったときのトナーの剥がれ具合について、以下の基準で評価した。
◎=爪でトナーは剥がれず、粘着テープにもほとんどトナーが転写することはなかった。
○=爪でトナーは剥がれなかったが、粘着テープがトナーで少し汚れた。粘着テープがトナーで少し汚れる程度では実用上問題ない。
△=爪でトナーは剥がれなかったが、粘着テープがトナーで汚れた。
×=爪でトナーが剥がれた。
(3)塗工層の強度
塗工層の強度については、各プリンター用紙サンプルのテープピックと粉落ちを以下の方法にて評価した。その結果を表2に示す。
1) テープピック
テープピックについては、塗工層に粘着テープを貼って急激に粘着テープを剥離したときの塗工層の剥がれ具合について、以下の基準で評価した。
◎=塗工層が、ほとんど剥がれることはなかった。
○=塗工層が、少し剥がれた。
△=塗工層が剥がれた。
×=実用不可能な程度に塗工層が剥がれた。
2) 粉落ち
粉落ちについては、各プリンター用紙サンプルを100枚重ねて断裁するとき及び定規で各プリンター用紙サンプルに折り目を入れたときの粉落ちと塗工層の崩れの程度について、以下の基準で評価した。
◎=塗工層の崩れもなく、全く粉落ちしなかった。
○=塗工層の崩れはなかったが、少し粉落ちした。
△=塗工層の崩れはなかったが、粉落ちが見られた。
×=実用不可能な程度の粉落ちが見られた。
Figure 2006159431
3.実施例1〜6および比較例1〜6の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルの特性の評価結果
(1)実施例1〜6の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルの特性について
実施例1〜5の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルは、インク定着性に関する問題はなく、インク乾燥時間は60秒以内と良好であり、重送も紙詰まりも発生せず、トナー定着性は良好で、塗工層強度に関しても問題はない。
なお、実施例6のプリンター用紙サンプルは、顔料中のクレー量が50重量%と多いので、重送が1回発生した。
特に、顔料中の炭酸カルシウムが50重量%以上である実施例1、実施例3、実施例5および実施例6の各プリンター用紙サンプルは、顔料がすべて合成シリカである実施例2および実施例4より塗工層強度が向上している。
特に、実施例3および実施例4のプリンター用紙サンプルは、ポリアミン系カチオン樹脂を含有しているので、インク定着性が良好である。
実施例2および実施例4の評価結果から、インク乾燥性に関しては、顔料として炭酸カルシウムより合成シリカを用いる方が乾燥時間が短縮されることが分かる。
(2)比較例1〜6の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルの特性について
比較例1〜5の塗工紙タイプのプリンター用紙サンプルは、キトサンの乳酸水溶液を含有していないので、塗工層強度に問題がある。
特に、比較例1、比較例2、比較例4および比較例5の各プリンター用紙サンプルは、ポリアミン系カチオン樹脂を含有していないので、インク定着性に問題がある。
特に、比較例6のプリンター用紙サンプルは、キトサンの乳酸水溶液を含有しているが、透気抵抗度が高いので(ポーラスではないので)、インク乾燥性、プリンター搬送性およびトナー定着性に問題がある。

Claims (3)

  1. 透気抵抗度が1000秒以下である塗工紙タイプのプリンター用紙において、無機物または有機物の微粒子、バインダーおよびキトサンを含有する水系塗料からなる塗工層を基材の片面または両面に少なくとも1層有することを特徴とする塗工紙タイプのプリンター用紙。
  2. 無機物または有機物の微粒子として、炭酸カルシウム、合成シリカまたはアルミナのうち少なくとも1種類を塗料の顔料中に60重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の塗工紙タイプのプリンター用紙。
  3. 塗料中にカチオン性重合体を配合したことを特徴とする請求項1または2記載の塗工紙タイプのプリンター用紙。
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