JP2006156714A - 電磁信号伝送装置用コアの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 センサー信号を伝送する電磁信号伝送装置に用いるコアについて、簡単な成型装置によって低コストで簡単に製造できるようにする。
【解決手段】 第1の工程では、少なくとも重量比にして1%以下の液状バインダー用合成樹脂と99%以上の磁性粉末を混合したスラリー状コア材料13を用意する。第2の工程では、そのスラリー状コア材料13を所定の成形型17に入れる。第3の工程では、70℃の低温加熱雰囲気中でそのスラリー状コア材料13に4MPa程度の低い圧力を加えてそれを固化させ、コア5、7を成形する。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1の工程では、少なくとも重量比にして1%以下の液状バインダー用合成樹脂と99%以上の磁性粉末を混合したスラリー状コア材料13を用意する。第2の工程では、そのスラリー状コア材料13を所定の成形型17に入れる。第3の工程では、70℃の低温加熱雰囲気中でそのスラリー状コア材料13に4MPa程度の低い圧力を加えてそれを固化させ、コア5、7を成形する。
【選択図】 図1
Description
本発明は電磁信号伝送装置用コアの製造方法に係り、例えば、スイッチのオンオフ動作や被検出物の検出等によって得られたセンサー信号を電磁的にリモート伝送する高周波形リモートセンサー装置において、これを構成する電磁信号伝送装置に用いるコア(コア磁心)の製造方法の改良に関する。
従来、被検出物等の接近有無を検出してこれをワイヤレスで電磁的にリモート伝送する高周波形リモートセンサー装置としては、例えば図3に示すような概略構成が知られている。
この高周波形リモートセンサー装置は、出力部3と、これからコイルL2、L1の電磁結合によって供給された第1の高周波信号に基づく駆動電源で動作するセンサー部1とを具備して構成され、センサー部1にてスイッチSWで検出されたセンサー信号に基づきその第1の高周波信号とは異なる第2の高周波信号をオン・オフしてこれを電磁的に出力部3へ伝送させ、出力部3にてその第2の高周波信号のオン・オフからそのセンサー信号を検出して発光ダイオードDなどで出力表示する構成となっている。
このような高周波形リモートセンサー装置では、センサー部1と出力部3の間で電源電力やセンサー信号を電磁的にリモート伝送できる一方、出力部3側から伝送する電源電力を大きくしても、センサー部1からのセンサ信号を確実に出力部3側へ伝送可能となっている。特開平7−334783号公報(特許文献1)はこの種のものである。
そして、センサー部1と出力部3間における駆動電源やセンサー信号の伝送は、図4に示すような電磁信号伝送装置A、Bを用いて行われる。
すなわち、予め、例えば縦断面E型に成形加工されたフェライト磁心や圧粉磁心からなるコア5、7内の突柱5a、7aの周りに、導線をリング筒状に巻いたコイルL1、L2をはめ込み、合成樹脂でカップ状に成形した本体ケース9、11内底に対し、そのコア5、7の突柱5a、7a先端やコイルL1、L2が対面するようにそのコア5、7を収納固定して構成されたものである。
図4中の符号L1a、L2aはコイルL1、L2から延びる外部接続用のリード線である。
電磁信号伝送装置Aを構成するコア5、コイルL1および本体ケース9と、電磁信号伝送装置Bを構成するコア7、コイルL2および本体ケース11とは、対をなすものであって同形状又は異なる形状となっており、例えばそれら電磁信号伝送装置A、Bは本体ケース9、11の外底面側、すなわちコイルL1、L2を所定の間隔で対面させて使用される。
従来、それらのコア5、7としては、例えば、アモルファス磁性粉体とエポキシ樹脂などのバインダー用合成樹脂粉体とを混合して加圧成型して製造され、30〜40μといった高透磁率で一般的に流通販売される通信用の圧粉磁心が流用されている。
また、それらコア5、7として、金属酸化物粉体と添加物粉体とを混合して加圧成型・焼成したフェライト磁心が用いられる場合もあり、この場合でも高透磁率で一般的に流通販売される通信用のものが同様に流用されている。
前者の例としては、例えば特開平5−299232号公報(特許文献2)のように、平均粒径の大きい磁性粉末と小さい磁性粉末とを混合して樹脂成形した樹脂成形磁性材料がある。
特開平7−334783号
特開平5−299232号
しかしながら、上述した従来の電磁信号伝送装置A、Bに用いるコア5、7は、圧粉磁心の場合、アモルファス磁性粉体とバインダー用合成樹脂粉体を90%と10%前後の重量比で混合したものを鉄製の成形型に入れ、300℃〜400℃の高温雰囲気中で50MPa〜1000MPaの高圧力を加えて成型固化して製造されている。
そのため、高温、高圧に耐える高価な成形型や、高温、高圧下で使用可能な加圧成型装置等の製造設備を必要とし、コア5、7の製造コストの低減が困難となり、電磁信号電送装置A、Bのコスト低減を実現できない欠点があった。特に、小数ロットのコア5、7を製造する場合、その欠点が顕著であった。
コア5、7としてフェライト磁心を用いる場合も、金属酸化物粉体と添加物粉体とを90%と10%前後の重量比で混合し、170℃の雰囲気下で18MPaの圧力を加えて成形物を作り、その後この成形物を1200℃の雰囲気下で60分間熱処理して樹脂分を焼失させる等して製造するから、同様に、高温、高圧に耐える高価な成形型や、高温、高圧下で使用可能な焼成装置等の製造設備を必要とする難点があった。
そこで、本発明者は、高周波形リモートセンサー装置に用いる電磁信号伝送装置A、Bについて鋭意観察検討を加えた結果、高周波形リモートセンサー装置の出力部3とセンサー部1間で電源電力やセンサ信号を電磁的に伝送するには、電磁信号伝送装置A、Bに用いるコア5、7は、組成が緻密で透磁率が高く、しかも耐久性の良好な従来の圧粉磁心やフェライト磁心を用いる必要がない点に気づき、本発明を完成させた。
本発明はこのような状況の下になされたもので、高周波形リモートセンサー装置を構成する電磁信号伝送装置に用いるコアにおいて、電磁信号の実用的な伝送の確保が可能で、簡単な成型装置によってその形成が可能で、小数ロットでも安価、簡単に製造できる方法の提供を目的とする。
そのような課題を解決するために本発明は、コイルの周囲に所定の形状に成形されたコアを配置し、センサー信号に基づく高周波電気信号をそのコイルに印加して外部へ電磁信号を送出するか又は外来する電磁信号を当該コイルで高周波電気信号に変換して上記センサー信号を伝送する電磁信号伝送装置に用いるそのコアの製造方法であり、少なくとも重量比にして1%以下のバインダー用合成樹脂と99%以上の磁性粉末を混合したコア材料を用意する第1の工程と、そのコア材料を所定の成形型に入れる第2の工程と、常温より高く150℃より低い低温加熱雰囲気中でその成形型内のそのコア材料に低い圧力を加えてそれを固化させ上記コアを成形する第3の工程とを具備している。
そして、本発明では、上記第3の工程におけるその低い圧力として、0.5MPa〜5MPaの範囲で選定可能である。
また、本発明では、上記第1の工程を、バインダー用合成樹脂として液状合成樹脂を用いてスラリー状の上記コア材料を用意する工程とすることが可能である。
さらに、本発明では、上記低温加熱雰囲気中で変形し難い合成樹脂から上記成形型を形成することが可能である。
そのような本発明に係るコアの製造方法では、少なくとも重量比にして1%以下のバインダー用合成樹脂と99%以上の磁性粉末を混合したコア材料を用意し、そのコア材料を所定の成形型に入れ、常温より高く150℃より低い低温加熱雰囲気中で低い圧力を加えてそのコア材料を固化させて上記コアを成形するから、高温、高圧用の成形型や、高温、高圧下で使用可能で、複雑かつ高価な加圧成型装置、焼成装置等の製造設備が不要となり、簡単な成型装置によって小数ロットでも安価、簡単に製造できるし、そのようなコアを用いても電磁信号の実用的伝送の確保が可能である。
そして、上記第3の工程における低い圧力を、0.5MPa〜5MPaの範囲で選定すれば、より簡単、安価な成形型の使用が可能となり、確実に安価、簡単に製造できる。
さらに、本発明では、上記第1の工程を、バインダー用合成樹脂として液状合成樹脂を用いてスラリー状の上記コア材料を用意する工程とすることにより、コア材料がある程度の塊となり易くて、その取扱いが容易となる。
また、上記低温加熱雰囲気中で変形し難い合成樹脂から上記成形型を形成する方法では、より簡単、安価な成形型を用いることが可能となり、より一層安価かつ簡単に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来例と共通する部分には同一の符号を付す。
図1は、本発明に係る電磁信号伝送装置用コアの製造方法の実施の形態を示す概略工程図である。
まず、図1Aに示すように、上述したコア5、7の元となるコア材料13を用意する(第1の工程)。図中符号15は容器である。
このコア材料13は、少なくとも、重量比にして1%以下の液状バインダー合成樹脂と99%以上の磁性粉末を容器15内で3分間程度、均一になるよう混合練成してスラリー状(粘土状)コア材料にしたものである。
なお、目的に応じてバインダー合成樹脂および磁性粉末以外の粉末材料を少量混入させることは差し支えない。
磁性粉末としては、例えば所望の使用周波数が100KHzより高いときは平均粒径45μm程度で、周波数が低いときは150μm程度のアモルファス軟磁性材料が好適する。
バインダー合成樹脂は、液状エポキシ合成樹脂や、更に、エポキシ合成樹脂粉末を例えばメチルエチルケトン(MEK)のような溶剤に入れたものである。
一方、コア材料13を入れる所定の成形型17を用意し、コア材料を成形型17内に充填する(第2の工程)。
この成形型17は、図1Bおよび図2に示すように、金属材料例えばアルミニウムから円筒カップ状に形成されるとともに、その内底部から開口部に向けて同軸状に円筒部17aを一体的に立設されて構成されている。円筒部17aは、成形型17の開口部から1/3程度内底に寄って低く形成されている。
成形型17に入れるコア材料13の充填量は目的に応じて任意であるが、図1Cに示すように、円筒部17aの先端が十分隠れ、円筒部17aの内外空間部分のコア材料13が一体化されるように充填する。
その後、図1Dのように成形型17の内側に円板状の加圧板19をはめ込み、この加圧板19に3MPa〜4MPaの圧力を加えてコア材料13を加圧しながら、約70℃程度の低温雰囲気中で成形型17ごと1時間程度放置してコア材料13を固化させ(第3の工程)、成形型17から取り出し、同図Eのようにコア5、7を得る。
第3の工程では、加圧しながら70℃程度の低温雰囲気中で放置する他、加圧した後、低温雰囲気中で放置することも可能である。
このようなコア5、7は、図5に示したように、外形が円筒状で縦断面E型になっており、コア5、7内の突柱5a、7aの周りに、導線を巻いてリング筒状に形成したコイルL1、L2をはめ込み、カップ状の本体ケース9、11内底に対し、そのコア5、7の突柱5a、7a先端やコイルL1、L2が対面するようにそのコア5、7を収納固定して電磁信号伝送装置A、Bが構成される点は、従来例と同様である。
このような本発明で製造されたコア5、7は、低温、低圧下で成形固化されたので、従来の圧粉磁心やフェライト磁心に比べて、組成的には密度が低くあまり緻密ではなく、硬くもない。
しかも、コア5、7の透磁率μも7〜8程度であるが、高周波形リモートセンサー装置の出力部3やセンサー部1を構成する電磁信号伝送装置A、Bに用いても、センサ信号を確実に伝送可能であり、十分実用に供し得る。
さらに、何らかの理由で、コア5、7にヒビが入いるなどして損傷を受けても、センサ信号の伝送を確保できる。
ところで、本発明のコアの製造方法に用いるコア材料13は、アモルファス軟磁性材料や液状エポキシ合成樹脂材料の組合せに限定されず、コイルL1、L2の磁束集中を向上させることの可能な任意の粉末磁性材料、例えば成分が鉄、シリコン、アルミニウムからなるダスト粉末、更にはフェライト粉末と、低い温度、低い圧力の下でその粉末磁性材料の固化を助けるバインダー用合成樹脂、例えばシリコン樹脂との組合せで実施可能である。
しかも、バインダー用合成樹脂は液状に限らず粉末状でも良いが、液状のものを用いると、コア材料13がスラリー状すなわち粘土状となって塊となるから、移動や持ち運びに容器などが不要となり、充填作業も容易となる。
また、実用的な透磁率μ(5〜15)を確保する観点から、バインダー用合成樹脂および粉末磁性材料の平均粒径は、周波数が100KHzより高いときは45μmで、周波数が低いときは150μmで、重量比にして1%以下の合成樹脂粉末と99%以上の磁性粉末を混合したものが好ましい。なお、固化確保の観点から0.1%程度は必要であろう。
なお、粉末状磁性材料の個々の粒についてバインダー用合成樹脂でコーティングしたものを、全体の重量比にして1%以下にして用いることも可能である。
さらに、成形に用いる成形型17も、内底部から同軸状に円筒部17aを立設させたカップ状に限定されず、目的の構成に合わせて任意の形状、例えばトロイダル状その他で実施可能である。
そして、成形型17に入れたコア材料13に加える圧力も、一定の成形形が保てる圧力であれば良く、0.5MPa〜5MPaの低い圧力であれば任意である。
また、固化雰囲気温度も70℃より高ければ固化放置時間が短縮され、例えば140℃程度であれば約10分で実用上差し支えない程度に固化できる。もっとも、150℃を超える温度では、使用に好ましくない合成樹脂があったり、成形型17や固化雰囲気温度を得る装置(図示せず。)に高温対策が必要となり好ましくない。
従って、本発明においてコア材料13を固化させる低温加熱温度は、常温より高く150℃より低い加熱温度が適することとなる。
さらにまた、本発明の製造方法では、150℃より低い低温雰囲気中で固化させないから、成形型17は、上述したように金属材料に限らず、低温加熱雰囲気中で変形し難い耐熱性の合成樹脂、例えば熱硬化型エポキシ樹脂やシリコン樹脂で形成することが可能であり、樹脂製型を用いれば、金属材料の成形型に比べ、より簡単、安価に製造することができる。
さらに、コア材料13を固化させる第3の工程では、成形型17に充填したコア材料13全体を固化させる必要はなく、少なくとも表面すなわち成形型17に接する面近傍が固化されていれば、実用に供し得る。
本発明に係る製造方法によって製造されたコア5、7を用いる電磁信号伝送装置A、Bで構成する高周波形リモートセンサー装置は、例えば上述した図3に示すように、センサー部1および出力部3からなる構成以外で実施可能である。
要は、出力部又はメイン部と、このメイン部から電磁的にワイヤレス伝送された電源信号によって動作して検出センサー信号をその出力部へ電磁的にワイヤレス伝送するセンサー部又はリモート部とを有し、このリモート部からの検出センサー信号を出力部で出力する高周波形リモートセンサー装置に用いて好適する。
1 センサー部
3 出力部
5、7 コア
5a、7a 突柱
9、11 本体ケース
13 コア材料(スラリー状コア材料)
15 容器
17 成形型
17a 円筒部
19 加圧板
A、B 電磁信号伝送装置
D ダイオード
L1、L2 コイル
L1a、L2a リード線
SW スイッチ
3 出力部
5、7 コア
5a、7a 突柱
9、11 本体ケース
13 コア材料(スラリー状コア材料)
15 容器
17 成形型
17a 円筒部
19 加圧板
A、B 電磁信号伝送装置
D ダイオード
L1、L2 コイル
L1a、L2a リード線
SW スイッチ
Claims (4)
- コイルの周囲に所定の形状に成形されたコアを配置し、センサー信号に基づく高周波電気信号を前記コイルに印加して外部へ電磁信号を送出するか又は外来する電磁信号を当該コイルで高周波電気信号に変換して前記センサー信号を伝送する電磁信号伝送装置に用いる前記コアの製造方法において、
少なくとも重量比にして1%以下のバインダー用合成樹脂と99%以上の磁性粉末を混合したコア材料を用意する第1の工程と、
前記コア材料を所定の成形型に入れる第2の工程と、
常温より高く150℃より低い低温加熱雰囲気中で前記成形型内の前記コア材料に低い圧力を加えてこれを固化させ前記コアを成形する第3の工程と、
を具備することを特徴とする電磁信号伝送装置用コアの製造方法。 - 前記第3の工程における前記低い圧力は、0.5MPa〜5MPaである請求項1記載の電磁信号伝送装置用コアの製造方法。
- 前記第1の工程は、前記バインダー用合成樹脂として液状合成樹脂を用いてスラリー状の前記コア材料を用意するものである請求項1又は2記載の電磁信号伝送装置用コアの製造方法。
- 前記成形型は、前記低温加熱雰囲気中で変形し難い合成樹脂から形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項記載の電磁信号伝送装置用コアの製造方法。
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- 2004-11-30 JP JP2004345340A patent/JP2006156714A/ja active Pending
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