JP2006153239A - 可撓伸縮継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐熱性等のベローズ状金属管の特性を生かしながら、伸縮性や偏心特性に優れ、地中に埋設して使用した場合にも埋設土圧に耐え得るに十分な耐外圧性と高圧にて流体を通過させる場合の耐内圧性とを有し、更に耐久性や防振特性が改善された可撓伸縮継手を提供する。
【解決手段】配管の動きや振動を吸収するベローズ状金属管を用いた、撓み管継手および伸縮継手において、前記ベローズ状金属管の外周を被覆するゴム層と、このゴム層の内部または外周に配設され、該ゴム層を構成するゴム材に密着されているコイル状(螺旋状)補強線材と、を備えてなることを特徴とする。これによって、可撓伸縮継手の耐圧性が大幅に向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】配管の動きや振動を吸収するベローズ状金属管を用いた、撓み管継手および伸縮継手において、前記ベローズ状金属管の外周を被覆するゴム層と、このゴム層の内部または外周に配設され、該ゴム層を構成するゴム材に密着されているコイル状(螺旋状)補強線材と、を備えてなることを特徴とする。これによって、可撓伸縮継手の耐圧性が大幅に向上する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、配管を接続するための継手に関し、特にベローズ状金属管を使用した可撓伸縮継手に関する。
従来から建物や種々の施設に敷設される給水配管などにおいて、配管経路が屈曲している場合や設備への配管取付部などには、施工時の変位および地盤の不等沈下による変位の吸収用継手として、種々の可撓伸縮継手が用いられている。このような可撓伸縮継手としては、可撓伸縮部にベローズ状金属管やゴムホースを使用したものが知られているが、耐熱性、耐薬品性、耐油性等が要求される用途には前者のタイプが主に使用されてきた。
上記のベローズ状金属管を使用した金属性変位吸収管継手は、一般的にSUS製のベローズ管が使用され、内外圧補強などを目的として、SUS製のブレードを円筒状に織り上げた補強層がベローズ管の外周部に設けられた継手が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。この金属ベローズタイプの継手は、この補強層がSUS製のベローズ管の拡径と軸方向の伸びを拘束するものであり、ベローズ状金属管と補強層との間に介在する接着剤層または充填層などは存在していない。
丸善株式会社発行「空気調和・衛生工学会規格 HASS006」 実開昭63−195191号公報
実開昭63−82889号公報
丸善株式会社発行「空気調和・衛生工学会規格 HASS006」
しかしながら、上記のような金属ベローズタイプでは、補強層が金属ブレード等を織り上げたものであり、交差するブレード同士の角度を僅かに変えられる程度であるため補強層の伸縮量が小さく、配管の伸縮時や偏心時に継手に変形が生じにくく、このため接続配管やその接続部に破損が生じ易かった。
また、ベローズ状金属管の構造上、局部的に応力が集中し易く、その部分で金属疲労による破損が生じ易かった。更に、ベローズ状金属管と上記補強層との組合せでは、流体や接続配管を介して伝達される振動(特に周波数の高い振動)を減衰できないため、防振継手としては不適当であり、またポンプまわりに使用された継手が短期間で金属疲労を起こすなどの問題が生じ易いという不都合があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐熱性等のベローズ状金属管の特性を生かしながら、伸縮性や偏心特性に優れ、地中に埋設して使用した場合にも埋設土圧に耐え得るに十分な耐外圧性と高圧にて流体を通過させる場合の耐内圧性とを有し、更に耐久性や防振特性が改善された可撓伸縮継手を提供することにある。
より具体的には、本発明は次のような可撓伸縮継手を提供する。
(1) 配管の動きや振動を吸収するベローズ状金属管を用いた、撓み管継手および伸縮継手において、前記ベローズ状金属管の外周を被覆するゴム層と、該ゴム層の内部または外周に配設され、該ゴム層を構成するゴム材に密着されているコイル状(螺旋状)補強線材と、を備えてなることを特徴とする可撓伸縮継手。
本発明によれば、ベローズ状金属管の外周がゴム層で被覆されているため、流体や接続配管を介してベローズ状金属管に伝達された振動を減衰することができるので、ベローズ状金属管には局部的に応力が集中し難く、局部的な金属疲労による破損が生じ難いことになる。また、ポンプ周りに使用された継手がポンプの振動等により短期間で金属疲労を起こすなどの問題が生じ難いことになる。このゴム層はその内周部がベローズ状金属管の外周面の凹部に充填されていてもよい。コイル状補強線材とゴム層が充填されていることで、ベローズ状金属管に生じる局部的な応力集中を分散させることができるのでより好ましい。また、ゴム層としては、天然ゴムまたは合成ゴムからなる公知のゴム管に使用されるゴム配合物で構成されていてもよい。更には、シリコーンゴム等の耐熱性を有するゴム材料で構成して、耐熱性を高めたものであってもよい。
また、ゴム層の内部または外周に配設され、ゴム層を構成するゴム材に密着されているコイル状(螺旋状)補強線材を備えているために、引張、圧縮、曲げ、剪断などの機械的強度が増加され、または、断面二次モ−メントが増加され、これによって、可撓伸縮継手の耐外内圧強度を向上させて土圧、地盤ひずみなどの外圧によるベローズ状金属管壁のへこみ(凹み)や内圧によるベローズ状金属管壁の膨れを防止することができる。また、大地震力による周辺地盤の相対変位、すなわち地盤の縦ずれ、横ずれなどの外力により埋設管の管軸方向への引張りまたは圧縮、あるいは管軸直角方向への変位または曲げなどの作用を受けても、ベローズ状金属管の外周に配置されたコイル状補強線材およびベローズ状金属管の伸長自由な蛇腹状胴壁とがこれらの作用に追随して自在に変位し、管軸方向に直線状または段差状に伸長し、あるいは管軸直角方向に変位または彎曲することができる。
このように、ベローズ状金属管の外周はコイル状補強線材で補強されているので、ベローズ状金属管のバックリング(挫屈)が発生し難い。また、高温状態になってゴム層の耐圧強度が低下してもコイル状補強線材で補強され耐久性に優れる。更には、可撓伸縮継手のサイズを大きくすることもできる。
また、このコイル状補強線材は線材またはその集束体を連続的にコイル状(螺旋状)に成形したものであるので、単独の補強リングを一個づつ嵌めて所定位置に配列するといった煩わしい作業を省くことができる。
このコイル状補強線材は、可撓伸縮継手に作用する屈曲、伸縮等に追従して変形できるものであれば特に限定されるものではないが、弾性限度の高い金属線材料を用いた小さいばね定数を有するコイルばねであるのが復元性、耐用性の点から好ましい。
ここで、ベローズ状金属管とは、軸方向、軸直角方向、曲がりなどの変位を、ベローズの伸縮・屈曲によって吸収する金属製の管であって、ジャバラ管、コルゲート管などと呼ばれる。これを構成する材料は、通過させる流体に応じて適宜選択されるが、硬鋼線(SW−A、SW−B、SW−C)、バネ鋼、ステンレス鋼、メッキした鉄、アルミニウム、真鍮等が使用可能であり、一般的にはステンレス鋼を使用することが耐蝕性の点で好適である。また、必要とされる耐圧力によって、その管壁を2層、3層等の複数層にしたものであってもよい。これによって、高圧力に対して破損することなく柔軟性を持たせることができるので、高い耐圧性が要求される場合には好ましい。
(2) 前記コイル補強線材は、弾性限度の高い金属線材料で形成されたものであることを特徴とする(1)に記載の可撓伸縮継手。
本発明によれば、コイル補強線材は弾性限度の高い金属線材料で形成されているので、復元性に優れ、大地震力による周辺地盤の相対変位、すなわち地盤の縦ずれ、横ずれなどの外力により埋設管の管軸方向への引張りまたは圧縮、あるいは管軸直角方向への変位または曲げなどの作用を受けて、これらの作用に追随して自在に変位し、管軸方向に直線状または段差状に伸長し、あるいは管軸直角方向に変位または彎曲しても、元の状態に戻ろうとする特性(復元性)を有することになる。このため、変位等が変った際、元の残留変位を残すことなく、それに対応して変形することができる。
(3) 前記コイル補強線材は、ピッチが20mm以下のものであることを特徴とする(1)に記載の可撓伸縮継手。
ピッチ間隔は外圧によるベローズ状金属管壁のへこみや内圧によるベローズ状金属管壁の膨れを防止するために20mm以下であるのが好ましい。
(4) 前記ベローズ状金属管は、インナーチューブとアウターチューブとの2層から構成され、これらチューブ間にゴムが充填されているものであることを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の可撓伸縮継手。
本発明によれば、ベローズ状金属管の肉厚を厚くすることなく、耐圧性を高くすることができる。すなわち、耐圧力を高くしたい場合には、ベローズ状金属管の肉厚を厚くしないと圧力に負けて破損してしまうが、これを2層にすることで、耐圧性を低下させることなく肉厚を薄くでき、軽量化が図れると共に、柔軟性が損なわれないことになる。また、インナーチューブとアウターチューブとの間にゴムを充填することにより、インナーチューブに生じる局部的な応力集中を分散させることができる。また、制振、防振、防音効果も有する。尚、ベローズ状金属管の層数は単層あるいは3層以上であってもよく、要求される耐圧力等によって適宜設定すればよい。
(5) 前記ゴム層は、耐熱性ゴムで形成されていることを特徴とする(1)から(4)いずれか記載の可撓伸縮継手。
本発明によれば、ゴム層は、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリルゴム(AR)等の耐熱性ゴムで形成されているので、他のゴム材料に比べて耐熱性が格段と高く、特に耐熱性に優れることになる。このため、高温で使用される衛生設備、給湯設備等の可撓伸縮継手等に特に有用となる。
(6) 前記ゴム層の内周部は、前記ベローズ状金属管の外周面の凹部に充填されていることを特徴とする(1)から(5)いずれか記載の可撓伸縮継手。
本発明によれば、ベローズ状金属管の外周面の凹部に充填されているゴムが、ベローズ状金属管に生じる局部的な応力集中を分散させるため、金属疲労による破損が起こり難くなり、より耐久性を高めることができる。
(7) (1)から(6)いずれか記載の可撓伸縮継手が取り付けられた建造物。
本発明によれば、建造物の給排水設備などにおいて、配管径路が屈曲している場合や空調等の設備への配管取り付け部分などに可撓伸縮継手を使用してそれぞれを接続しているので、地震等による外部からの荷重による配管の継手部分や取り付け部分での破損が起こり難いため、建造物の耐用性や防振性が向上することになる。また、破損による継手の取り換え等の作業が抑制され、費用の発生等が低減される。
本発明の可撓伸縮管によると、ベローズ状金属管の外周をゴム層で被覆してあるため、ベローズ状金属管に生じる振動を減衰することができる。また、コイル状補強線材がゴム層の内部または外周に配設され、ゴム層を構成するゴム材に密着されているので、ベローズ状金属管の内外圧補強を行いつつ十分な伸縮や偏心が可能となる。そして、このように補強されたゴム層が、ベローズ状金属管を外周から拘束するため、バックリングが生じ難く耐久性を向上させることができる。また、高温状態になってゴム層が柔らかくなって耐圧強度が低下しても、コイル状補強線材により可撓伸縮継手の耐圧強度の低下を防止することができる。その結果、優れた耐熱性等のベローズ状金属管の特性を生かしながら、伸縮性や偏心特性に優れ、更に耐久性や防振特性が改善された可撓伸縮管を提供することができる。
また、コイル状補強線材は、弾性限界の高い金属線材からなる、いわゆるコイルばねであるので、復元性に優れ、大地震力による周辺地盤の相対変位、すなわち地盤の縦ずれ、横ずれなどの外力により埋設管の管軸方向への引張りまたは圧縮、あるいは管軸直角方向への変位または曲げなどの作用を受けて、これらの作用に追随して自在に変位し、管軸方向に直線状または段差状に伸長し、あるいは管軸直角方向に変位または彎曲しても、元の状態に戻ろうとする特性(復元性)を有することになる。このため、変位等が変った際、元の残留変位を残すことなく、それに対応して変形することができる。
また、ゴム層がシリコーンゴムで形成されている場合、シリコーンゴムは他のゴム材料に比べて耐熱性が格段に高いため、耐熱性をより向上させることができる。このため、200℃以上での使用が可能であり、高温(70〜120℃)で使用される衛生設備、給湯設備等の可撓伸縮継手等に特に有用となる。しかも、シリコーンゴムは、それ程高価でなく、また、液状から固形状のものまで種々の原料が入手でき、製造上も有利な面が多い。
また、ゴム層の内周部が、ベローズ状金属管の外周面の凹部に充填されている場合、ベローズ状金属管の外周面の凹部に存在するゴムが、ベローズ状金属管に生じる局部的な応力集中を分散させるため、金属疲労による破損を起こり難くして、より耐久性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ、より詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態の可撓伸縮継手の構成を示す縦断面図であり、図2は図1のA部拡大図であり、図3(a)はコイル状補強線材を配置した場合を示す要部側面図であり、図3(b)は連続したコイルを所定長さで切断した形のコイル状補強線材を配置した場合を示す要部側面図である。尚、これらの図では、判りやすくするために、寸法を適宜調整してある。
本発明の可撓伸縮継手1は、図1に示すように、ベローズ状金属管2と、その外周を被覆するゴム層3と、そのゴム層3の内部に埋設されゴム層3を構成するゴム材に密着されて配設されたコイル状補強線材4とを備える可撓伸縮部5と、該可撓伸縮部5の両端部に設けられた接続部6,6とからなる。
ベローズ状金属管2は、ジャバラ管、コルゲート管などと呼ばれ、径の細い部分(凹部2a)と太い部分(凸部2b)が長手方向に交互に設けられた金属管である。図1に示すように形成されたものの他、凹部2aが螺旋状に形成されたもの等が使用可能である。
また、ベローズ状金属管2は、図2に示すように、内面側のインナーチューブ2cと外面側のアウターチューブ2dとからなる2層構造のものであって、インナーチューブ2cとアウターチューブ2dとの間の空間部2eにはゴムが充填されている。尚、ベローズ状金属管2の層数は本実施形態では2層としているが、要求される耐圧力によっては1層または3層以上の多層のものを使用してもよい。
このベローズ状金属管2を構成する材料は、通過させる流体に応じて適宜選択されるが、ステンレス鋼、メッキした鉄、アルミニウム、真鍮等が使用可能であり、一般的にはステンレス鋼を使用することが耐蝕性の点で好適である。また、インナーチューブ2cとアウターチューブ2dとの間の空間部2eに充填されるゴムを構成する材料は、耐熱性を高めるためにシリコーンゴムを使用している。尚、この他に天然ゴムまたは合成ゴムからなる公知のゴム管に使用されるゴム配合物も使用可能であり、一般的には耐熱性の点からシリコーンゴムが使用されている。
ベローズ状金属管2の厚さは、内圧や層数等を考慮して適宜選定されるが、0.2〜0.6mm(ここではインナーチューブ2c、アウターチューブ2dいずれも0.3mm)のものが好適に使用される。
ゴム層3は、ベローズ状金属管2の外周を被覆するものであり、コイル状補強線材4の内側(軸心側)の内側ゴム層3aと、コイル状補強線材4を覆う外側ゴム層3bとからなり、内側ゴム層3aの内周部がベローズ状金属管2の外周面の凹部2aに充填されている。この充填は必ずしも必要ではないが、前述の理由により充填されていることが好ましい。また、実施形態では、ゴム層3は内側ゴム層3aと外側ゴム層3bとで構成され、コイル状補強線材4がゴム層3の内部に埋設されているが、外側ゴム層3bを省略してコイル状補強線材4が露出した状態のものであってもよい。また、ゴム層3外表面の形状は、これに限定されるものでなく、例えば、ベローズ状金属管2の波形に沿った波形状としてもよい。
ゴム層3を構成する材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムからなる公知のゴム管に使用されるゴム配合物であれば使用可能であるが、可撓伸縮継手1の耐熱性を高める意味で、シリコーンゴム(フッ化シリコーンゴムを含む)、フッ素ゴムなどが好ましく、特に作業性等の点からシリコーンゴムが最も好ましい。また、ゴム層3の硬度は、JIS A硬度で約50〜60程度が好ましい。また、その厚みは、耐圧力やベローズ状金属管2の外径等を考慮して適宜選定されるが、3〜40mmであるのが好適である。
シリコーンゴムの原料としては、液状から固形状のものまで種々の原料が市販されており、これを加熱加硫してゴム層3を形成することができる。その際、シート状の原料を用いると、可撓伸縮継手1の製造が容易になる。なお、液状または液状に近い原料を使用して、適当な金型(外型)を用いて、原料を注入することも可能である。
コイル状補強線材4は、単線材またはその複数条配列構成体が所定ピッチで連続的に螺旋状に巻かれたコイルばねであって、小さいばね定数を有していて、可撓伸縮継手1のベローズ状金属管2の伸びとともに可撓伸縮継手1の軸方向(長手方向)、または軸直角方向に容易に変位するものである。このコイル状補強線材4は、地震時の地盤ひずみから可撓伸縮継手1の変位量を予測し、ベローズ状金属管2の外径に応じて、好ましい横弾性係数そのほかの機械的特性を有する線材を適宜に選択し、線径、ピッチ間隔等を決定し、所定のばね定数が得られるように設計し、製作される。線径としては0.7〜10mm、ピッチ間隔は2〜20mm、より好ましくは線径が0.7〜10mm、ピッチ間隔が2〜20mmのものが材質、管の外径等に応じて選択される(ここでは、線径2mm、ピッチ間隔10mm)。そして、このコイル状補強線材4を形成する線材としては、弾性限度の高い金属線材料、例えば、ばね鋼線、ピアノ線などのばね用炭素鋼線、ステンレス鋼線などのばね用合金鋼線、またはりん青銅線などのばね用銅合金線などの単線あるいはその複数条配列構成体を用いることができる。このコイル状補強線材4は、製造時には形成されたゴム層3の内部にその端部から軸方向に嵌め通されて長手方向全体にわたって配置される。尚、コイル状補強線材4の配置は、これに限定されるものでなく、例えば、ゴム層3の外周面に露出した状態であってもよい。また、コイル状補強線材4は、その両端部をフランジ部材7に固定してもよいし、固定しなくてもよい。
可撓伸縮継手1の両端の相手管と接続する接続部6,6は、図2に示すように、フランジ部材7とベローズ状金属管2の末端部2hを接合した止めリング8とで構成されている。すなわち、ベローズ状金属管2のインナーチューブ2cおよびアウターチューブ2dの末端部2hは平坦化され、その先端部分が上方に折り曲げられて止めリング8に溶接または接着等にて接合されている。また、この止めリング8はフランジ部材7に形成された段部7bに嵌装され、ベローズ状金属管2がフランジ部材7に固定されている。
フランジ部材7は、略円形状の金属製の板材であって、その中央部にはベローズ状金属管2の内径と略同じ径の開口部7aが形成されており、この開口部7aの周縁に沿って、止めリング8を嵌装するための段部7bが同心円状に形成されている。また、外縁近傍には外周縁に沿って所定間隔でボルト穴7cが複数個形成されている。
本発明の可撓伸縮継手1の可撓伸縮部5は、次のようにして製造される。まず、ベローズ状金属管2の外周にシート状の原料ゴム(例えばEPDMなど)を巻き付け、必要によりテープ等で外周を締め付けることにより、ゴム層3の内側ゴム層3aをベローズ状金属管2の外周に形成する。その際、原料ゴムを加熱すると凹部2aへの充填が容易になる。次に、内側ゴム層3aの外径と略同じ内径を有し、所定ピッチPを有するコイル状補強線材4を内側ゴム層3aの一端からその表面を滑らすようにして嵌め込んで、図3(a)に示すように長手方向全体にわたって配置する。この場合、内側ゴム層3aの表面、またはコイル状補強線材4に接着剤処理を施してもよい。コイル状補強線材4のピッチPは一定としているが、端部はピッチを変えてもよい。また、コイル状補強線材4の端部を溶接、カシメ、接着等によってフランジ部材7に固定してもよい。尚、コイル状補強線材4は図3(b)に示すように、連続したコイルを所定長さで切断した形のものであってもよい。
更に、コイル状補強線材4を嵌め込んだ内側ゴム層3aの表面に、シート状の原料ゴムをコイル状補強線材4のピッチ間を埋めるように巻付けてゴム層3の外側ゴム層3bを形成する。その後、布テープ等を用いて外周部から十分な締め付けを行うことにより、コイル状補強線材4のピッチ間に原料ゴムを充填することができる。これを必要により分割可能な外型内に入れて、水蒸気加硫や高温での空気加硫を行う。尚、シリコーンゴムを使用する場合、比較的低温(例えば140〜160℃)での一次加硫と、比較的高温(例えば220〜260℃)での二次加硫を行うことで、諸物性を向上させることができる。
本発明の可撓伸縮継手1の耐圧性については、可撓伸縮継手1を構成するコイル状補強材を巻き込んだゴム層3の耐圧性により検証した。
以下、下記に示す内圧試験でコイル状補強材を巻き込んだゴム層3の変形(胴壁の膨れ)を測定した結果について説明する。
試験体として、図4(a)に示すように、本発明の可撓伸縮継手を構成するコイル状補強材を巻き込んだゴム層3を両端部に密閉用フランジ9をボルト11で結合して固定して、該ゴム層3の両端の開口を密閉用フランジ9で閉じてゴム層3の内部を密閉状態にしたもの(この試験体を面間フリーと称する)と、図4(b)に示すように、図4(a)の試験体においてフランジ部材7および密閉用フランジ9間をボルト11で連結して面間距離Lを略一定に維持できるように固定したもの(この試験体を面間固定と称する)に2形態とした。尚、密閉用フランジ9はゴム層3の開口部分を塞ぐためのもので、一方の密閉用フランジ9にはゴム層3内に空気を導入するための空気圧入口10が設けられている。また、ゴム層3のフランジ部材7と密閉用フランジ9との間にはゴム等のパッキング部材12の介在で密封されている。
上記試験体の空気圧入口10からエアポンプ等で空気をゴム層3内に圧入させて、各圧力(内圧)においてゴム層3の外径Dを測定した。尚、面間フリーの試験体(図4(a)に示すもの)については、面間距離Lも測定した。尚、面間フリーとした本発明品の試験体については、圧力(内圧)が5Kgf/cm2まで測定した。測定結果について、コイル状補強線材を使用していないゴム層(比較品)と対比して表1に示した。
尚、コイル状補強線材としては、線径2mmの硬鋼線(SW−C)の線材を、ピッチ間隔10mmで螺旋状に成形したものを使用した。
表1より本発明の可撓伸縮継手を構成するコイル状補強材を巻き込んだゴム層3は、面間固定、面間フリーいずれにおいても、圧力(内圧)を高くしても、胴壁は異常が認められずに外径Dの変化はなかった。また、面間フリーの場合、更に内圧5Kgf/cm2までと高くしても、胴壁は異常が認められずに外径Dの変化はなく、また、面間距離Lも殆ど変化していない結果であった。一方、コイル状補強線材を使用していないゴム層(比較品)は、面間固定の場合、内圧の増加と共に胴壁に膨らみが生じて外径Dが大きくなり、圧力(内圧)が1.4Kgf/cm2では長手方向の略中間部分の外径Dが約3割程度大きくなった。また、面間フリーの場合も同様に、内圧が増加すると共に胴壁に膨らみが生じて外径Dが大きくなり、圧力(内圧)が1.4Kgf/cm2では長手方向の略中間部分の外径Dが約4割程度大きくなった。また、面間距離Lも内圧の増加と共に僅かづつであるが短くなり、圧力(内圧)が1.4Kgf/cm2では約7%程度短くなった。このように、比較品のゴム層は内圧の増加と共に胴壁が膨らみを生じて外径Dが大きくなり、面間距離Lが短くなる結果であったが、本発明の可撓伸縮継手を構成するコイル状補強材を巻き込んだゴム層3は変化が認められなかった。これらの結果より、コイル状補強材が耐圧性を増強させる効果があることが確認され、本発明の可撓伸縮継手1も耐圧性に優れることになる。
以上のように本発明に係る可撓伸縮継手に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前述の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、前述の実施形態では、相手管との接続部がフランジタイプの可撓伸縮継手の例を示したが、相手管の接続部としては、ベベルタイプ、メカニカルタイプ、ビクトリップタイプ、ニップルタイプ、雌ねじタイプなど、公知の接続部が何れも使用可能である。
1 可撓伸縮継手
2 べローズ状金属管
2a 凹部
2c インナーチューブ
2d アウターチューブ
3 ゴム層
4 コイル状補強線材
2 べローズ状金属管
2a 凹部
2c インナーチューブ
2d アウターチューブ
3 ゴム層
4 コイル状補強線材
Claims (7)
- 配管の動きや振動を吸収するベローズ状金属管を用いた、撓み管継手および伸縮継手において、
前記ベローズ状金属管の外周を被覆するゴム層と、該ゴム層の内部または外周に配設され、該ゴム層を構成するゴム材に密着されているコイル状(螺旋状)補強線材と、を備えてなることを特徴とする可撓伸縮継手。 - 前記コイル補強線材は、弾性限度の高い金属線材料で形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の可撓伸縮継手。
- 前記コイル補強線材は、ピッチが20mm以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の可撓伸縮継手。
- 前記ベローズ状金属管は、インナーチューブとアウターチューブとの2層から構成され、これらチューブ間にゴムが充填されているものであることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の可撓伸縮継手。
- 前記ゴム層は、耐熱性ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の可撓伸縮継手。
- 前記ゴム層の内周部は、前記ベローズ状金属管の外周面の凹部に充填されていることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の可撓伸縮継手。
- 請求項1から6いずれか記載の可撓伸縮継手が取り付けられた建造物。
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