JP2006152040A - ヒドラゾン化合物および電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
Description
次に、式(I)で表される化合物の合成方法について説明する。
本発明の電子写真感光体は、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤およびバインダ樹脂を含有した感光層を導電性基体上に備えており、上記式(I)に示す化合物を正孔輸送剤として含有している。感光層には単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明にはいずれの感光層も適用可能である。
本発明において使用する正孔輸送剤は、前記式(I)で表される化合物である。本発明では、上記式(I)で表される化合物のみを感光層に含有させてもよいが、さらに公知の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。ここでいう公知の正孔輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’‐テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’‐テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’‐テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’‐テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5‐ジ(4−メチルアミノフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などの含窒素環式化合物や、縮合多環指揮化合物が挙げられる。
電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α−チタニルフタロシアニン、Y−チタニルフタロシアニン、V−ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミニウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。
電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの、電子受容性を有する化合物が挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
導電性基体としては、導電性を有する各種の材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、上記金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、さらにヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラスなどが挙げられる。導電性基体は、使用する画像形成装置の構造に合わせてドラム状、シート状などの形態で使用される。この導電性基体は充分な機械的強度を有しているのが好ましい。
単層型感光層は、電荷発生剤、電子輸送剤、バインダ樹脂、必要に応じて正孔輸送剤や他の添加剤を適当な溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmであるのがよい。
積層型感光層は、電荷発生剤および電荷輸送剤をそれぞれ適当なバインダ樹脂および溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の各層の厚さは、電荷発生層で0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μmであり、電荷輸送層で2〜100μm、好ましくは5〜50μmであるのがよい。
HT−1の合成方法を、下記式にしたがって説明する。
1Lのフラスコに、炭酸カリウム(K2CO3、160g、1.16mol)と、銅(Cu、7.37g、0.116mol)とを加えて、減圧下(約5mmHg)で攪拌しながら2時間加熱(約200℃)した。次に、化合物1(45g、0.483mol)と、化合物2(252.8g、1.16mol)とを加えて、240℃で8時間反応させた。その後、冷却して、500mlのトルエンを加えた。
1Lのフラスコに、化合物3(65g、0.238mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF、200ml)と、塩化ホスホリル(POCl3、54.8g、0.357mol)のDMF100ml溶液とを加えて、攪拌下で反応(0.5時間、70℃)させた。次に、イオン交換水(600ml)およびトルエン(300ml)の混合液に、上記反応液を滴下して、トルエン層をイオン交換水にて水洗した。次に、トルエン層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加えて、乾燥及び吸着処理した。その後、トルエンを減圧留去して、残渣を得た。さらに、残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)にて精製して、黄色結晶(収量57.3g、収率79.9%)の化合物4を得た。
500mlの2口フラスコに、化合物4(32g、0.106mol)と、トルエン(200ml)と、塩化亜鉛(2.17g、0.0159mol)と、化合物5(1,1−ジフェニルヒドラジン塩酸塩、28g、0.127mol)のトルエン100ml溶液とを加えて、2時間還流させることにより反応させた。その後、冷却して、イオン交換水(400ml)に反応液を滴下して、トルエン層をイオン交換水にて水洗した。さらに、トルエン層に無水硫酸ナトリウム及び活性白土を加え、乾燥及び吸着処理した。次に、トルエンを減圧留去して、残渣を得た。そして、その残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)にて精製して、化合物6(収量38.6g、収率77.9%)を得た。
500mLのフラスコに、化合物6(25g、0.0535mol)と、DMF(100ml)と、POCl3(12.3g、0.0802mol)のDMF40ml溶液とを加えて、攪拌下で反応(2時間、85℃)させた。次に、イオン交換水(400ml)およびトルエン(200ml)の混合液に、上記反応液を滴下して、トルエン層をイオン交換水にて水洗した。次に、トルエン層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加えて、乾燥及び吸着処理した。その後、トルエンを減圧留去して、残渣を得た。さらに、残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)にて精製して、化合物7(収量20.6g、収率77.7%)を得た。
500mLのフラスコに、化合物8(50g、0.286mol)と、亜リン酸トリエチル(142g、0.858mol)とを加えた。そして、180℃で8時間加熱することにより、反応を行った。冷却後、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去して、化合物9(収量88.7g、収率82%)を得た。
0℃の環境下で、200mlの2口フラスコに、化合物9(5.92g、0.0156mol)と、テトラヒドロフラン(dryTHF、50ml)と、28%ナトリウムメトキシド(7.25g、0.0376mol)とを加えて、30分間攪拌した。次に、化合物7(15.5g、0.0313mol)のTHF200ml溶液を加えて、25℃で12時間反応させた。次に、反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエンにて抽出を行った。次に、有機相をイオン交換水にて5回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去して、残渣を得た。さらに、その残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)にて精製して、黄色の結晶(収量9.75g、収率58.9%)のHT−1を得た。
(化合物3’の合成)
実施例1の化合物3に代えて化合物3’を合成した。2Lのフラスコに、炭酸カリウム(K2CO3、320g、2.32mol)と、銅(Cu、14.74g、0.232mol)とを加えて、減圧下(約5mmHg)で2時間加熱(約200℃)および攪拌した。次に、化合物1(90g、0.963mol)と、化合物2(253g、1.16mol)と、化合物2’(285g、1.16mol)とを加えて、240℃で8時間反応させた。その後、冷却して、10000mlのトルエンを加えた。次に、濾過を行い、さらに濾液からトルエンと化合物2および2’とを減圧留去した。次に、濾液から得られた残渣をクロロホルムに溶解して、活性白土で処理した。その後、クロロホルムを減圧留去した。その減圧留去で得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)にて精製し、化合物3’(収量79.2g、収率54.4%)を得た。
化合物9に代えて下記化合物9’’(5.9g、0.0156mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でHT−3(収量9.3g、収率56.2%)を合成した。なお、化合物9’’は、化合物8に代えて化合物8’’(50g、0.286mol)を用いて、上記化合物9の合成方法と同様の方法で合成した。
化合物9に代えて下記化合物9’’’(6g、0.0156mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でHT−4(収量8.6g、収率51.6%)を合成した。なお、化合物9’’’は、化合物8に代えて化合物8’’’(51.8g、0.286mol)を用いて、上記化合物9の合成方法と同様の方法で合成した。
<単層型感光体の作製>
次に示す方法にて単層型感光体を作製した。電荷発生剤(X型無金属フタロシアニン)を5重量部、正孔輸送剤60重量部、電子輸送剤20重量部およびバインダ樹脂(ポリカーボネイト)100重量部を、溶剤(テトラヒドロフラン)800重量部と共にボールミルにて50時間混合分散させて、単層感光層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液を導電性基材(アルミニウム素管)上にデップコート法にて塗布し、100℃で30分間熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光体を作製した。なお、ここで用いた正孔輸送剤および電子輸送剤の種類は、下記表1に示す。表1中における、HT−1〜4は前記した化合物であり、HT−5〜6およびET−1〜3は下記に示す化合物である。
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、表面電位を+700V(V0)に帯電させた状態で、波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.5μJ/m2)を感光体表面に照射(照射時間1.5秒)し、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を残留電位(VL)として測定した。つまり、残留電位の値が小さいほど、感度が高いことを示す。なお、波長780nmの単色は、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出したものである。結果を表1に示す。
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