JP2006151807A - ベンゾジアゼピン誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】経口投与可能で活性化血液凝固第X因子を良好かつ選択的に阻害する、出血リスクの少ない血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療に有用な化合物及び該化合物を含む医薬組成物を提供すること。
【解決手段】ベンゼン環にプロドラッグ化されたヒドロキシル基を有する下記のベンゾジアゼピン誘導体、その類縁体又はそれらの製薬的に許容しうる塩、及び該化合物を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】ベンゼン環にプロドラッグ化されたヒドロキシル基を有する下記のベンゾジアゼピン誘導体、その類縁体又はそれらの製薬的に許容しうる塩、及び該化合物を含む医薬組成物を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、特に活性化血液凝固第X因子阻害剤として有用で経口投与可能な新規ベンゾジアゼピン誘導体に関する。又、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤である該ベンゾジアゼピン誘導体を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活習慣の欧米化、人口の高齢化などに伴い、心筋梗塞、脳血栓症、末梢動脈血栓症をはじめとする血栓塞栓性疾患は年々増加する傾向にあり、その治療の社会的重要性はますます高まっている。抗血液凝固療法は、線溶療法及び抗血小板療法とともに血栓症の治療及び予防における内科的治療法の一端を担っている。従来、血栓形成抑制剤として抗トロンビン剤の開発が行われてきたが、トロンビンは凝固反応の最終段階であるフィブリノーゲンのフィブリンへの活性化を司るばかりでなく、血小板の活性化及び凝集にも深く関与していることから、その阻害は出血傾向をきたす危険のあることが知られていた。また、経口投与での生物学的利用率(bioavailability)が低く、現在のところ経口投与可能なトロンビン阻害剤は上市されていない。
一方、活性化血液凝固第X因子は外因系及び内因系凝固カスケード反応の合流点に位置し、トロンビンよりも上流に位置するため、本因子の阻害はトロンビン阻害よりも効率的に、かつ、特異的に凝固系を阻害できる可能性がある[ティドウェルら(Tidwell et al)著、 「トロンボシスリサーチ(THROMBOSIS RESEARCH)」、(米国)、1980年、第19巻、p.339−349(非特許文献1)]。このため、活性化血液凝固第X因子は、出血リスクの少ない、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として有用であると考えられる。これまでに数多くの活性化血液凝固第X因子阻害剤について研究がなされているが、現在のところ、経口投与可能な阻害剤は上市されていない。
【0003】
活性化血液凝固第X因子阻害活性を示すベンゾジアゼピン誘導体としては、WO02/26732号公報(特許文献1参照)に、下記式(X)で示される化合物、
【化4】
(式中、R1は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基等であり、
R1が置換基を有する場合の置換基は、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ピペリジルオキシ基、炭素数6〜10のアルキルピペリジルオキシ基、炭素数7〜10のイミノアルキルピペリジルオキシ基、ピロリジルオキシ基、炭素数6〜10のアルキルピロリジルオキシ基、炭素数7〜10のイミノアルキルピロリジルオキシ基、メチレンジオキシ基等であり、
R4,R5は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、メチレンジオキシ基等であり、その他の式中の記号は当該公報参照。)
が本出願人により報告されている。これらベンゾジアゼピン誘導体において、環Aの置換基として様々な基が挙げられているが、生体内で切れてヒドロキシル基に変換するプロドラッグ体については報告されていない。
【0004】
【特許文献1】
WO02/26732号公報
【非特許文献1】
ティドウェルら(Tidwell et al)著、 「トロンボシスリサーチ(THROMBOSIS RESEARCH)」、(米国)、1980年、第19巻、p.339−349
【非特許文献2】
橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161
【非特許文献3】
中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198
【非特許文献4】
原ら(Hara et al.)著、「トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」、(ドイツ)、1995年、第74巻、第2号、 p.635−639
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経口投与可能で活性化血液凝固第X因子を良好かつ選択的に阻害する、出血リスクの少ない血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療に有用な新規化合物を提供すること、及び、これらを含有する医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため、ベンゾジアゼピン誘導体の置換基を種々検討し鋭意研究を行った結果、A環にヒドロキシル基もしくはヒドロキシル基で置換されたアルキル基を有する、ある特定の新規ベンゾジアゼピン誘導体が、特に優れた活性化血液凝固第X因子阻害作用及び経口吸収性を有することを見出し、更に、そのヒドロキシル基のプロドラッグ体を合成した結果、下記一般式(1)で示される一連の化合物が、更に優れた経口吸収性を示し、経口投与においても、優れた抗血液凝固活性を示すことを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で示される新規なベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容される塩、並びにこれらを有効成分として含有する医薬に関する。
【化5】
【0007】
(式中、
環Aはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環のいずれかを表し、
R1は水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基で置換された炭素数1〜7のアルキル基のいずれかを表し、
R1が置換基を有する場合の置換基は、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていても良いヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基のいずれかを表し、
【0008】
環Bはベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかを表し、
R2は、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
R4は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかを表し、
環Cはベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかを表し、
R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかを表し、
【0009】
R3が置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル環基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
R5は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
Xは、炭素数1〜6のアルキレン基(鎖中に、-NH-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、-NHC(=O) NH - 、及び二重結合を含んでいてもよい)を表し、
nは0から2の整数を表し、
Pはプロドラッグ化されたヒドロキシル基を表す。)
本発明は、又、上記ベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容しうる塩を含有する活性化血液凝固第X因子阻害剤及び医薬組成物、特に血液凝固、血栓又は塞栓に起因する疾病の治療用医薬組成物を提供する。
【0010】
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書における各官能基の定義について、具体的に説明する。
「アリール基」は、好ましくは炭素数6〜10の単環〜2環式芳香族炭化水素基である。更に好ましくはフェニル又はナフチル基である。なお、フェニル基に5〜8員のシクロアルキル環が縮環し、例えばインダニル又はテトラヒドロナフチル基を形成してもよい。
【0011】
「ヘテロアリール基」とは、環原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する5〜8員の単環〜3環式の芳香族へテロ環基を示す。
なお、硫黄原子又は窒素原子が酸化されオキシドを形成してもよい。
好ましくは、
6員環基:「ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル(=ピリミジニル)、ピラジニル」、
5員環基:「フリル、チエニル、ピロリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾイル、テトラゾリル」、
6−5員環基:「ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンズオキサゾリル(=ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル(=ベンゾイミダゾリル)」
6−6員環基:「キノリル(=キノリニル)、イソキノリル」
等が挙げられる。このうち、ヘテロ原子を1〜2個含有する5〜6員の単環〜2環式の芳香族へテロ環基がより好ましく、ピリジル及びチエニル基が特に好ましい。
「シクロアルキル(環)基」は、
好ましくは炭素数3〜10個の単環〜2環式非芳香族炭化水素基である。
更に好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基である。
【0012】
「非芳香族へテロ環基」とは、
環原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子をヘテロ原子数1〜2個含有する4〜8員の単環〜3環式の非芳香族へテロ環基を示す。
なお、環原子である任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。
また、ベンゼン環と縮環していてもよい。
好ましくは、
5員環基:「ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル」
6員環基:「ピペリジニル(=ピペリジル)、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソラニル」
7員環基:「ホモピペリジニル(=ホモピペリジル)、ホモピペラジニル」
6−5員環基:「インドリニル、イソインドリニル」
等が挙げられる。
【0013】
また、本明細書における「非芳香族へテロ環基」としては、下式(4)で示される構造も挙げられる。なお、他の基との結合位置は特に限定されない。
【化6】
特に好ましくは、下式(5)で示される構造が挙げられる。
【0014】
【化7】
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基」等における「非芳香族へテロ環基」も上述の「非芳香族へテロ環基」と同義である。
【0015】
「含窒素非芳香族へテロ環基」とは、環原子として少なくとも1つの窒素原子を有し、更に酸素原子又は硫黄原子を1つ有してもよい4〜8員の単環〜2環式の非芳香族へテロ環基を示す。なお、環原子である任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。
好ましくは、
5員環基:「ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル」
6員環基:「ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル」6−5員環基:「インドリニル、イソインドリニル」
が挙げられる。
【0016】
また、本明細書における「含窒素非芳香族へテロ環基」としては、下式(6)で示される構造も挙げられる。なお、他の基との結合位置は特に限定されない。
【化8】
【0017】
「ヘテロ原子」とは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子をいう。
「ハロゲノ基」としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。このうち、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基が好ましい。フルオロ基、クロロ基が特に好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「ハロゲノアルキル基」、「ハロゲノアルコキシ基」等における「ハロゲノ」も上述のハロゲノと同義である。
【0018】
「アルキル基」とは、炭素数1〜6のアルキル基をいい、直鎖でも分岐鎖でもよい。このうち、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−及びtert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基及び2−ヘキシル基等があげられる。このうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルキルスルホニル基」、「アルキルチオ基」、「炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基」、「炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基」等における「アルキル」も上述のアルキルと同義である。
【0019】
「アルケニル基」とは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖を有するアルケニル基をいう。具体的には、ビニル基、プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基等があげられる
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシカルボニルアルケニル基」、「モノもしくはジアルキルカルバモイルアルケニル基」等における「アルケニル」も上述のアルケニルと同義である。
「アルキレン基」としては、炭素数1〜6のアルキレン基をいい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
【0020】
「アルコキシ基」とは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基を有するアルコキシル基、又は縮環していてもよい環状炭素鎖を有するアルコキシル基を示す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、4−フェニルブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等があげられる。このうち、メトキシ基、エトキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシアルキル基」、「アルコキシアルコキシ基」等における「アルコキシ」も上述のアルコキシと同義である。
【0021】
「アルコキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基及びtert−ブトキシカルボニル基等があげられる。このうち、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシカルボニルアルキル基」、「アルコキシカルボニルアルケニル基」等における「アルコキシカルボニル」も上述のアルコキシカルボニルと同義である。
「アシル基」としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基及びピバロイル基等があげられる。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アシルオキシアルキル基」等における「アシル」も上述のアシルと同義である。
【0022】
「モノもしくはジアルキルカルバモイル基」としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピルカルバモイル基及びi−プロピルカルバモイル基等のモノアルキルカルバモイル基、及びジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基及びジ(n−プロピル)カルバモイル基等のジアルキルカルバモイル基があげられる。ここで、ジアルキルカルバモイル基の二つのアルキル基の鎖長は同じでも異なっていても良い。
また、ジアルキルカルバモイル基の二つのアルキル基は結合して環を形成してもよく、不飽和炭化水素基を含んで環を形成してもよい。また、このとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。
具体的には、1−ピロリジンカルボニル基、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イルカルボニル基、1−ピペリジンカルボニル基、1−ピペラジンカルボニル基、(モルホリン−4−イル)カルボニル基及び(チオモルホリン−4−イル)カルボニル基等があげられる。このうち、ジメチルカルバモイル基、1−ピロリジンカルボニル基、(モルホリン−4−イル)カルボニル基、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イルカルボニル基及び(チオモルホリン−4−イル)カルボニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「モノもしくはジアルキルカルバモイルアルキル基」、「ジアルキルカルバモイルアルケニル基」等における「モノもしくはジアルキルカルバモイル」も上述のモノもしくはジアルキルカルバモイルと同義である。
【0023】
「モノもしくはジアルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基及びi−プロピルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、及びジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジ(n−プロピル)アミノ基等のジアルキルアミノ基があげられる。ここで、ジアルキルアミノ基の二つのアルキル基の鎖長は同じでも異なっていても良い。
また、ジアルキルアミノ基の二つのアルキル基は結合して環を形成してもよく、不飽和炭化水素基を含んで環を形成してもよい。またこのとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。具体的には、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、モルホリニル基及びチオモルホリニル基等があげられる。このうち、ピロリジニル基及びモルホリニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「モノもしくはジアルキルアミノスルホニル基」、「モノもしくはジアルキルアミノアルコキシ基」等における「モノもしくはジアルキルアミノ」も上述のモノもしくはジアルキルアミノと同義である。
【0024】
「モノもしくはジアルキルアミノアルキル基」としては、メチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、メチルアミノプロピル基、エチルアミノメチル基、n−プロピルアミノメチル基及びi−プロピルアミノメチル基等のモノアルキルアミノアルキル基、及びジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジ(n−プロピル)アミノメチル基及びジ(i−プロピル)アミノメチル基等のジアルキルアミノアルキル基があげられる。ここで、ジアルキルアミノアルキル基の三つのアルキル基の鎖長は同一でも異なっていても良い。
また、ジアルキルアミノアルキル基の二つのアルキル基が結合して環を形成してもよい。またこのとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。具体的には、(ピロリジン−1−イル)メチル基、(ピロリジン−1−イル)エチル基、(ピロリジン−1−イル)プロピル基、(ピペリジン−1−イル基)メチル基、(モルホリン−4−イル)メチル基及び(チオモルホリン−1−イル)メチル基等があげられる。
【0025】
「プロドラッグ化されたヒドロキシル基」とは、生体内の適当な部位で親化合物(元のヒドロキシ化合物)に復元される可逆的なプロドラッグ誘導体を形成した基であり、例えば、橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161(非特許文献2)や中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198(非特許文献3)に記載される基が挙げられる。
【0026】
「プロドラッグ化されたヒドロキシル基」としては、好ましくは一般式(2)で示される基である。
[2] 一般式(2)中、
【化9】
Tは単結合、−CH2−O−又はCH2−NR7−のいずれかを表し、
ここで、R7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、シアノ基、ホルミル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基又はヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
【0027】
Uは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いヘテロ原子数1〜2の含窒素非芳香族ヘテロ環基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数3〜9のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数3〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルキル基、炭素数4〜8のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
【0028】
Uが置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、ニトロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、メチレンジオキシ基、シアノ基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数2〜8のモノもしくはジアルキルアミノスルホニル基のいずれかを表す。
【0029】
本明細書における一般式(1)及び(2)における各記号の好ましい例について説明する。
環Aとしては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環が好ましい。中でも、ベンゼン環がより好ましい。
R1としては、水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基又は置換基を有していてもよいアミノ基で置換された炭素数1〜7のアルキル基がこのましい。中でも、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基がより好ましい。
【0030】
R1が置換基を有する場合の置換基としては、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていても良いヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基が好ましい。中でも、エトキシカルボニル基、ジメチルアミノ基、1−ピロリジルカルボニル基、1−モルホリンカルボニル基、アセチル基、メタンスルホニル基がより好ましい。
環Bとしては、ベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましい。中でも、ベンゼン環、チオフェン環がより好ましい。
【0031】
R2としては、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。中でも、クロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基がより好ましい。
環Cとしては、ベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環が好ましい。中でも、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環がより好ましい。
R3としては、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基が好ましい。中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、4−ピリジル基がより好ましい。
【0032】
R3が置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基が好ましい。中でも、フルオロ基、クロロ基、メトキシ基、ジメチルアミノメチル基がより好ましい。
R4、R5としては、水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。中でも、水素原子がより好ましい。
Xとしては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。中でも、エチレン基がより好ましい。
【0033】
nとしては、0、1の整数が好ましい。
Pとしては、一般式(2)で示される基が好ましい。
Tとしては、単結合、−CH2−O−が好ましい。
Uとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基が好ましい。中でも、i−プロピル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、3−ペンチル基、エトキシ基、t−ブチルオキシ基、2−メチル−1−プロペニル基、フェニル基、ピリジル基がより好ましい。
【0034】
[3] 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基である上記[1]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0035】
[4] 一般式(2)中、
Tが単結合、CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかである上記[2]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0036】
[5] 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
環Bがベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかであり、
【0037】
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
環Cがベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかであり、
R3が、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかであり、
R3が置換基を有する場合の置換基が、メチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジメチルカルバモイル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、フェニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基のいずれかであり、
【0038】
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基であり、
Tが単結合、−CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかであり、
nが0から2の整数を表す、
上記[2]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0039】
[6] 上記一般式(1)のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩においては、プロドラッグ化されたヒドロキシル基が、ベンゼン環、ピリジン環及びチオフェン環からなる群から選ばれる芳香族環である環Aに存在し、環Bが上記特定の芳香族環、特にヘテロアリール環であり、環Cが非芳香族環であるのが好ましい。ここで、特に、環Bがチオフェン環、環Cが非芳香族ヘテロ環、例えばピペリジン環であるのが好ましい。
[7] 本発明の上記プロドラッグ化合物中、下記実施例1〜10記載の化合物が特に好ましい。
[8] 一般式(3)で示されるベンゾジアゼピン化合物は、上記プロドラッグ化合物の親化合物である活性本体として好ましい。
【化10】
[一般式(3)中、
lは0又は1を表し、
mは0〜2の整数を表し、
R6はクロロ基、ブロモ基を表し、
R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル環基、ピリジル基を表し、
Yは炭素原子、窒素原子のいずれかを表す。]
また、この活性本体化合物は、トロンビン阻害活性をほとんど示さないので、出血リスクが低くて好ましい。
[9] 活性本体として下記参考例1記載の本発明化合物が特に好ましい。
【0040】
本発明の化合物(1)の代表的な製造法を説明する。例えば、nが0であり、Tが単結合である場合は、次に示した方法を用いることにより製造できる。
すなわち、既に開示されたWO02/26732号公報に示される代表的な合成方法に従って得られるフェノール(2’)を出発原料とし、これに溶媒として例えばアセトニトリルを用い、例えば炭酸カリウム等の塩基存在下、例えばアセチルクロリド、ピバロイルクロリドなどのカルボニルハライド(3’)を作用させることにより(1’)を得ることが出来る。図中、Halは、ハロゲン原子を示す。
なお、カルボニルハライド(3’)を変えることにより、一般式(1’)におけるUがアルキル基以外のアリール基、アルコキシ基、アミノ基等である化合物を合成することもできる。
【0041】
【化11】
【0042】
また、例えば、nが0であり、Tが−CH2−O−である場合は、次に示した方法を用いることにより製造できる。
すなわち、フェノール(2’)に溶媒として例えばアセトンを用い、例えば炭酸カリウム等の塩基存在下、例えばブチル酸ヨードメチルなどのカルボニルオキシアルキルハライド(4’)を作用させることにより(1’)を得ることが出来る。図中、Halは、ハロゲン原子を示す。
【化12】
このようにして製造される一般式(1)で表される化合物およびその塩は、公知の分離精製手段、例えば抽出、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶析、再結晶、転溶、各種クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0043】
一般式(1)で示されるベンゾジアゼピン誘導体の塩は製薬的に許容しうるものであれば良く、式中の塩基性基に対しては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、マンデル酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、タンニン酸、リンゴ酸、トシル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との酸付加塩を挙げることができる。また、式中にカルボキシル基等の酸性基が存在する場合の酸性基に対しては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩基付加塩を挙げることができる。
【0044】
又、本発明の一般式(1)で示される化合物にはその溶媒和物、例えば水和物、アルコール付加物等も含んでいる。
又、本発明化合物は、互変異性体、幾何異性体が存在する場合があるが、本発明には、これら異性体を分離した物やこれらの混合物をも含んでいる。
又、本発明化合物は、不斉炭素原子が存在する場合があり、これに基づく光学異性体が存在する場合があるが、本発明には、これら光学異性体を分離した物やこれらの混合物をも含んでいる。
又、本発明化合物は、製薬的に許容し得るプロドラッグ体も含んでいる。ここで、製薬的に許容し得るプロドラッグ体とは、生体内で本発明のカルボキシル基、アミノ基、アミジノ基、グアニジノ基、ヒドロキシル基等に変換可能な基を有する化合物である。これらプロドラッグを構成する基としては、例えば、橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161(非特許文献2)や中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198(非特許文献3)に記載される基が挙げられる。
【0045】
一般式(1)で示される化合物またはその塩は、そのままあるいは各種の医薬組成物として投与される。一般式(1)で示される化合物またはその塩を有効成分として含有する医薬組成物は、当該分野で通常用いられる薬剤用担体、賦形剤を用いて、通常用いられる方法で調整される。このような医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、溶液剤、糖衣剤等にしてよく、普通の製剤助剤を用いて常法に従って製造することができる。
例えば錠剤は、本発明の有効成分であるベンゾジアゼピン誘導体を既知の補助物質、例えば乳糖、炭酸カルシウムまたは燐酸カルシウム等の賦形剤、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン等の結合剤、アルギン酸、コーンスターチまたは前ゼラチン化デンプン等の膨化剤、ショ糖、乳糖またはサッカリン等の甘味剤、ペパーミント、またはチェリー等の香味剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはカルボキシメチルセルロース等の滑沢剤と混合することによって得られる。
【0046】
一般式(1)で示されるベンゾジアゼピン誘導体を血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として使用する場合の投与経路は、経口、非経口のいずれであってもよく、投与量は患者の年齢、体重、状態、および投与法によって異なるが、成人への一日当りの投与量としては、通常、経口投与の場合で0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜50mgであり、非経口投与の場合で1μg〜100mg、好ましくは0.01〜10mgである。
【0047】
実施例
以下の実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。これらは本発明の好ましい実施態様でありこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明のプロドラッグ体を製造するために用いる活性本体化合物の製法を参考例に示す。
参考例1 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
工程1 エチル N−(t−ブトキシカルボニル)−N−(2−メトキシ−6−ニトロベンジル)グリシンの合成
2−メトキシ−6−ニトロトルエン51.9g(310mmol)、N−ブロモコハク酸イミド82.8g(465mmol)、触媒量の過酸化ベンゾイルをベンゼン1l中で一晩加熱還流した。室温に冷やし、沈殿物をろ過した後酢酸エチルで抽出し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。
【0048】
得られた残渣をエタノール1.2lに溶解し、グリシンエチルエステル塩酸塩219.5g(1.57mol)、炭酸水素ナトリウム132.1g(1.57mol)を加え60度で加熱攪拌した。不溶物をろ過し、溶媒を留去した。酢酸エチルで抽出し、水洗した後、有機相から3M塩酸で抽出した。水相を6M水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にして酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。
得られた残渣をテトラヒドロフラン1.2lに溶解し、0度でジ−t−ブチルジカーボネート100g(0.45mol)、トリエチルアミン65ml(0.47mol)を加え、室温に戻して一晩攪拌した。溶媒を留去し、酢酸エチルで抽出した。水、1M塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン 7:3)で精製し表題化合物を得た。
収量 64.4g(175mmol) 収率 56.5%
MS (ESI, m/z) 369(MH+)
【0049】
工程2 t−ブチル 6−メトキシ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4H−1,4−ベンゾジアゼピン−4−カルボキシレートの合成
エチル N−(t−ブトキシカルボニル)−N−(2−メトキシ−6−ニトロベンジル)グリシン64.4g(175mmol)をエタノール500mlに溶解し、10%パラジウム炭素(50%wet)6gを加え水素気流下1気圧室温で7時間攪拌した。セライトろ過し溶媒を留去した。
得られた残渣をエタノール100ml、テトラヒドロフラン200mlの混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム1水和物16.8g(400mmol)を水200mlに溶解して加え室温で攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、トルエンで共沸して水を除いた。
得られた残渣をジメチルホルムアミド1.5lに溶解しジメチルイミダゾリニウムクロリド44.3g(262mmol)、トリエチルアミン97ml(699mmol)を加え室温で30分攪拌した。溶媒を留去し、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。水、1M塩酸、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し表題化合物を得た。
収量 32.9g(112.5mmol) 収率 64%
MS (ESI, m/z) 293(MH+)
【0050】
工程3 4[(5−(2−クロロチエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
t−ブチル 6−メトキシ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4H−1,4−ベンゾジアゼピン−4−カルボキシレート17g(58.2mmol)に4M塩酸ジオキサン溶液200mlを加え室温で攪拌した。
溶媒を留去し得られた残渣をジメチルホルムアミド600mlに溶解し、トリエチルアミン49ml(352mmol)、5−クロロ−2−チオフェンカルボン酸11.4g(70.1mmol)、HOBT9.4g(69.6mmol)、WSC13.4g(69.9mmol)を加え室温で一晩攪拌した。溶媒を留去し、水を加えて精製した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄した。減圧乾燥して、表題化合物を得た。
収量 15.8g(46.9mmol) 収率 80.6%
MS (ESI, m/z) 337(MH+)
【0051】
工程4 t−ブチル 4−(2−{4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−1−イル}エチル)ピペリジン−1−カルボキシレートの合成
水素化ナトリウム(60% in oil)2.62g(65.6mmol)のオイルをヘキサンで洗浄し、ジメチルホルムアミド550mlに懸濁した。t−ブチル 4[(5−(2−クロロチエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン18.4g(54.6mmol)を0度で加え室温に戻して30分攪拌した。再び0度に冷却しt−ブチル 4−{2−[(メトキシスルフォニル)オキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボキシレート18.5g(60.1mmol)を加え70度で一晩攪拌した。溶媒を留去し水を加え精製した結晶をろ取し、酢酸エチルで洗浄した。さらに酢酸エチル相を1M塩酸、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去して得られた結晶を酢酸エチルで洗浄した。先の結晶と合わせ減圧乾燥し、表題化合物を得た。
収量22.6g(41.3mmol) 収率75.5%
MS (ESI, m/z) 548(MH+)
【0052】
工程5 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1−(2−ピペリジン−4−イルエチル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ペンゾジアゼピン−2−オン 塩酸塩の合成
t−ブチル 4−(2−{4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−1−イル}エチル)ピペリジン−1−カルボキシレート22.64g(41.3mmol)に4M塩酸ジオキサン溶液を加え室温で攪拌した。反応をHPLCで追跡し反応終了後、溶媒を留去し得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し表題化合物を得た。
収量20.4g (定量的)
MS (ESI, m/z) 448(MH+)
【0053】
工程6 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1−(2−ピペリジン−4−イルエチル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ペンゾジアゼピン−2−オン 塩酸塩8.8g(18.2mmol)をジメチルホルムアミド90mlに溶解し、炭酸カリウム5.0g(36.2mmol)、2−ヨードプロパン9.1ml(91.2mmol)を加え室温で一晩攪拌した。溶媒を留去し酢酸エチルで抽出した。水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去して得られた結晶を酢酸エチル:ヘキサン1:5の混合溶媒で洗浄し表題化合物を得た。
収量6.3g(12.8mmol) 収率70.3%
MS (ESI, m/z) 490(MH+)
【0054】
工程7 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン6.9g(14.1mmol)をジクロロメタン5mlに溶解し1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液50mlを加え室温で一晩攪拌した。精製した沈殿をろ取し、ジクロロメタンで洗浄した。沈殿に飽和重曹水を加えジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。これを酢酸エチルで洗浄し、表題化合物を得た。尚、表題化合物も本発明の化合物である。
収量4.2g(8.8mmol) 収率 62.6%
MS (ESI, m/z) 476(MH+)
【0055】
実施例1 4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンの合成
参考例1で得られた4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン140mg(0.24mmol)と炭酸カリウム131mg(0.95mmol)をアセトニトリル3mLに溶解し、2,2−ジメチルプロピオニル クロリド58μL(0.47mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。析出物を濾取し、表題化合物を得た。
収量 109mg 収率 81%
MS (ESI, m/z) 560(MH+)
【0056】
実施例2〜9
実施例1と同様の操作により、種々のカルボニルクロリドを用い、下記表1に示す実施例2〜9の化合物をそれぞれ得た。
実施例10
4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−(ブタノイルオキシメトキシ)−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンの合成
参考例1で得られた4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン 100mg(0.17mmol)と炭酸カリウム23mg(0.17mmol)をアセトニトリル2mLに溶解し、ヨードメチル ブチレート 21μL(0.17mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。析出物を濾取し、表題化合物を得た。
収量 8mg 収率 8%
MS (ESI, m/z) 576(MH+)
【0057】
実施例1〜10の化合物の構造及び物理化学的データを表1に示す。
【化13】
【0058】
【表1】 表1
表中*は、酸素原子への結合位置を示す。
【0059】
【発明の効果】
本発明の化合物は医薬製剤の活性成分として有用である。特に、活性化血液凝固第X因子阻害作用を有するため、活性化血液凝固第X因子の関与する、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病である、脳血管障害における疾病(例えば、一過性脳虚血発作、脳血栓、脳梗塞、脳塞栓、脳卒中、くも膜下出血における血管れん縮等)、虚血性心疾患における疾病(例えば、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、不安定狭心症等)、肺血管障害における疾病(例えば、肺梗塞、肺塞栓等)、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群、冠動脈バイパス術後における再閉塞及び再狭窄、経皮的経管式冠動脈形成術(PTCA)の冠動脈インターベンション及び冠動脈血栓溶解療法(PTCR)後の再閉塞及び再狭窄、人工血管術及び人工弁置換後の血栓形成、末梢動脈閉塞症、体外循環時の血栓形成等の治療剤として有用である。さらに本発明の化合物は上記疾病の予防剤としても利用できる。
本発明化合物の作用は、以下の薬理試験により確認された。
【0060】
試験例1
ラット経口投与時の生物学的利用率及び体内動態評価試験( in vivo )
SD(IGS)ラットを前日より絶食し、実験に用いた。参考例1の化合物およびそのプロドラッグ化合物である実施例1、2の化合物を SD(IGS)ラットに30mg/kg強制経口投与した。薬物投与前、および投与後30、60、120、240、360、480分に、エーテル麻酔下630ul採血し3.8%クエン酸三ナトリウム70ulと混合した。得られた血液を4℃で15分、3000回転の遠心操作により血漿を得た。得られた血漿は除タンパク処理を行った後、HPLCを用い参考例1の化合物濃度として定量した。
(結果)
経口投与後の血漿中濃度推移を図1に示す。
参考例1の化合物投与群では最大血漿中濃度は0.24μg/ml、生物学的利用率は13%であったが、そのプロドラッグ体である本発明の実施例1および実施例2の化合物では血漿中濃度推移が上昇し、それぞれ最大血漿中濃度は0.81μg/ml、0.64μg/ml、生物学的利用率は35%、27%に改善された。
以上より、実施例1および実施例2は、高い経口吸収性を示し、体内では速やかに活性本体化合物に変換されることが確認できた。
【0061】
試験例2
プロトロンビン時間測定試験( ex vivo )
抗血液凝固活性はプロトロンビン時間(PT)測定法を用いて決定した。PT測定は以下に示す通りに行った。すなわち、試験例1で得られた血漿50μLを含む試験管をSysmex CA-3000全自動血液凝固測定装置(東亜医用電子社)に設置後、37℃で3分間インキュベートし、Sysmex PT II(東亜医用電子社、ウサギ脳組織トロンボプラスチン、13.2mM塩化カルシウム)100μlを加えた。PTは同装置により自動測定した。評価化合物投与前の採血により得られた血漿のPT時間をコントロールとし、コントロールに対するPT延長率を求め、抗血液凝固活性の指標とした。
(結果)
参考例1の化合物は、最大血漿中濃度時においてコントロールに対し112%プロトロンビン時間を延長したのに対し、実施例1及び実施例2の化合物は、コントロールに対しそれぞれ129%、123%プロトロンビン時間を延長した。なお、プロトロンビン時間は、抗血液凝固、抗血栓、抗塞栓作用と相関があることが、原ら(Hara et al.)著、「トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」、(ドイツ)、1995年、第74巻、第2号、p.635−639(非特許文献4参照)で報告されている。本文献の表2より、文献記載の化合物のプロトロンビン時間(ラット7.8mg経口投与時)は18.6秒で、ビヒクルのプロトロンビン時間は17.8秒であることから、文献記載の化合物はプロトロンビン時間を110%延長していることがわかる。一方、本文献の図3より、この化合物は、ラット7.8mg経口投与時に、血栓重量を有意に減少させていることもわかる。
以上より、実施例1及び実施例2の化合物は、抗血液凝固活性の指標であるプロトロンビン時間を有意に延長させ、高い抗血液凝固活性を示したことから、抗血栓、抗塞栓作用を十分発揮することが可能である。
【0062】
試験例3
活性化血液凝固第X因子阻害活性の測定試験( in vitro )
評価化合物の水溶液10μlにpH8.4に調製した100mMトリス−塩酸緩衝液130μlを加え、次いでヒト活性化血液凝固第X因子(Enzyme Research社製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.5ユニット/mlに調製した溶液10μlを加え、室温で10分間インキュベートした。次いで、N−ベンゾイル−L−イソロイシル−L−グルタミル−グリシル−L−アルギニル−P−ニトロアニリド塩酸塩((株)ペプチド研究所 製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.8mMに調製した溶液50μlを加え、吸光度を測定し、反応初速度を求めた。評価化合物の溶液の代わりにpH8.4に調製したトリス−塩酸緩衝液10μlを加えたものをコントロールとした。吸光度の測定はMICROPLATE READER Model 3550-UV(BIO RAD)を用い、405nmの波長で15秒間隔で16分間測定した。評価化合物無添加の時の活性化血液凝固第X因子の活性(初速度)を50%阻害するときの評価化合物の濃度の負の対数値を求め(pIC50と略す)、活性化血液凝固第X因子阻害活性の指標とした。
(結果)
本発明のプロドラッグ体に対する活性本体である参考例1の化合物のpIC50値は、7.7であり、非常に高い活性化血液凝固第X因子阻害活性を示した。したがって、参考例1は、活性本体として有用である。
【0063】
試験例4
トロンビン阻害活性の測定試験( in vitro )
評価化合物の水溶液10μlにpH8.4に調製した100mMトリス−塩酸緩衝液130μlを加え、次いでヒトのトロンビン(SIGMA社製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で2ユニット/mlに調製した溶液10μlを加え、室温で10分間インキュベートした。次いで、D−フェニルアラニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−P−ニトロアニリド二塩酸塩(第一化学薬品、S−2238)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.4mMに調製した溶液50μlを加え、吸光度を測定し、反応初速度を求めた。評価化合物の溶液の代わりにpH8.4に調製したトリス−塩酸緩衝液10μlを加えたものをコントロールとした。吸光度の測定はMICROPLATE READER Model 3550-UV(BIO RAD)を用い、405nmの波長で15秒間隔で16分間測定した。評価化合物無添加の時のトロンビンの活性(初速度)を50%阻害するときの評価化合物の濃度の負の対数値を求め(pIC50と略す)、トロンビン阻害活性の指標とした。
(結果)
本発明のプロドラッグ体に対する活性本体である参考例1の化合物のpIC50値は、4.6であり、トロンビン阻害活性はほとんど示さないことが確認できた。したがって、参考例1の化合物は、出血リスクの低い化合物の活性本体として有用である。
【0064】
上記試験例1〜4の実験結果より、本発明のベンゾジアゼピン誘導体は、高い経口吸収性を示し、体内では速やかに変換されて、活性化血液凝固第X因子に特異的な高い阻害活性を示し、これに基づく高い抗凝固活性を示すことが確認された。従って、本発明のベンゾジアゼピン誘導体は、活性化血液凝固第X因子の関与する血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として有用であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1、2及び参考例1の化合物に関する、ラット経口投与後の血漿中薬物濃度推移を表す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、特に活性化血液凝固第X因子阻害剤として有用で経口投与可能な新規ベンゾジアゼピン誘導体に関する。又、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤である該ベンゾジアゼピン誘導体を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活習慣の欧米化、人口の高齢化などに伴い、心筋梗塞、脳血栓症、末梢動脈血栓症をはじめとする血栓塞栓性疾患は年々増加する傾向にあり、その治療の社会的重要性はますます高まっている。抗血液凝固療法は、線溶療法及び抗血小板療法とともに血栓症の治療及び予防における内科的治療法の一端を担っている。従来、血栓形成抑制剤として抗トロンビン剤の開発が行われてきたが、トロンビンは凝固反応の最終段階であるフィブリノーゲンのフィブリンへの活性化を司るばかりでなく、血小板の活性化及び凝集にも深く関与していることから、その阻害は出血傾向をきたす危険のあることが知られていた。また、経口投与での生物学的利用率(bioavailability)が低く、現在のところ経口投与可能なトロンビン阻害剤は上市されていない。
一方、活性化血液凝固第X因子は外因系及び内因系凝固カスケード反応の合流点に位置し、トロンビンよりも上流に位置するため、本因子の阻害はトロンビン阻害よりも効率的に、かつ、特異的に凝固系を阻害できる可能性がある[ティドウェルら(Tidwell et al)著、 「トロンボシスリサーチ(THROMBOSIS RESEARCH)」、(米国)、1980年、第19巻、p.339−349(非特許文献1)]。このため、活性化血液凝固第X因子は、出血リスクの少ない、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として有用であると考えられる。これまでに数多くの活性化血液凝固第X因子阻害剤について研究がなされているが、現在のところ、経口投与可能な阻害剤は上市されていない。
【0003】
活性化血液凝固第X因子阻害活性を示すベンゾジアゼピン誘導体としては、WO02/26732号公報(特許文献1参照)に、下記式(X)で示される化合物、
【化4】
(式中、R1は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基等であり、
R1が置換基を有する場合の置換基は、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ピペリジルオキシ基、炭素数6〜10のアルキルピペリジルオキシ基、炭素数7〜10のイミノアルキルピペリジルオキシ基、ピロリジルオキシ基、炭素数6〜10のアルキルピロリジルオキシ基、炭素数7〜10のイミノアルキルピロリジルオキシ基、メチレンジオキシ基等であり、
R4,R5は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、メチレンジオキシ基等であり、その他の式中の記号は当該公報参照。)
が本出願人により報告されている。これらベンゾジアゼピン誘導体において、環Aの置換基として様々な基が挙げられているが、生体内で切れてヒドロキシル基に変換するプロドラッグ体については報告されていない。
【0004】
【特許文献1】
WO02/26732号公報
【非特許文献1】
ティドウェルら(Tidwell et al)著、 「トロンボシスリサーチ(THROMBOSIS RESEARCH)」、(米国)、1980年、第19巻、p.339−349
【非特許文献2】
橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161
【非特許文献3】
中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198
【非特許文献4】
原ら(Hara et al.)著、「トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」、(ドイツ)、1995年、第74巻、第2号、 p.635−639
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経口投与可能で活性化血液凝固第X因子を良好かつ選択的に阻害する、出血リスクの少ない血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療に有用な新規化合物を提供すること、及び、これらを含有する医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため、ベンゾジアゼピン誘導体の置換基を種々検討し鋭意研究を行った結果、A環にヒドロキシル基もしくはヒドロキシル基で置換されたアルキル基を有する、ある特定の新規ベンゾジアゼピン誘導体が、特に優れた活性化血液凝固第X因子阻害作用及び経口吸収性を有することを見出し、更に、そのヒドロキシル基のプロドラッグ体を合成した結果、下記一般式(1)で示される一連の化合物が、更に優れた経口吸収性を示し、経口投与においても、優れた抗血液凝固活性を示すことを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で示される新規なベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容される塩、並びにこれらを有効成分として含有する医薬に関する。
【化5】
【0007】
(式中、
環Aはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環のいずれかを表し、
R1は水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基で置換された炭素数1〜7のアルキル基のいずれかを表し、
R1が置換基を有する場合の置換基は、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていても良いヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基のいずれかを表し、
【0008】
環Bはベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかを表し、
R2は、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
R4は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかを表し、
環Cはベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかを表し、
R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかを表し、
【0009】
R3が置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル環基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
R5は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
Xは、炭素数1〜6のアルキレン基(鎖中に、-NH-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、-NHC(=O) NH - 、及び二重結合を含んでいてもよい)を表し、
nは0から2の整数を表し、
Pはプロドラッグ化されたヒドロキシル基を表す。)
本発明は、又、上記ベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容しうる塩を含有する活性化血液凝固第X因子阻害剤及び医薬組成物、特に血液凝固、血栓又は塞栓に起因する疾病の治療用医薬組成物を提供する。
【0010】
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書における各官能基の定義について、具体的に説明する。
「アリール基」は、好ましくは炭素数6〜10の単環〜2環式芳香族炭化水素基である。更に好ましくはフェニル又はナフチル基である。なお、フェニル基に5〜8員のシクロアルキル環が縮環し、例えばインダニル又はテトラヒドロナフチル基を形成してもよい。
【0011】
「ヘテロアリール基」とは、環原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する5〜8員の単環〜3環式の芳香族へテロ環基を示す。
なお、硫黄原子又は窒素原子が酸化されオキシドを形成してもよい。
好ましくは、
6員環基:「ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル(=ピリミジニル)、ピラジニル」、
5員環基:「フリル、チエニル、ピロリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾイル、テトラゾリル」、
6−5員環基:「ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンズオキサゾリル(=ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル(=ベンゾイミダゾリル)」
6−6員環基:「キノリル(=キノリニル)、イソキノリル」
等が挙げられる。このうち、ヘテロ原子を1〜2個含有する5〜6員の単環〜2環式の芳香族へテロ環基がより好ましく、ピリジル及びチエニル基が特に好ましい。
「シクロアルキル(環)基」は、
好ましくは炭素数3〜10個の単環〜2環式非芳香族炭化水素基である。
更に好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基である。
【0012】
「非芳香族へテロ環基」とは、
環原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子をヘテロ原子数1〜2個含有する4〜8員の単環〜3環式の非芳香族へテロ環基を示す。
なお、環原子である任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。
また、ベンゼン環と縮環していてもよい。
好ましくは、
5員環基:「ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル」
6員環基:「ピペリジニル(=ピペリジル)、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソラニル」
7員環基:「ホモピペリジニル(=ホモピペリジル)、ホモピペラジニル」
6−5員環基:「インドリニル、イソインドリニル」
等が挙げられる。
【0013】
また、本明細書における「非芳香族へテロ環基」としては、下式(4)で示される構造も挙げられる。なお、他の基との結合位置は特に限定されない。
【化6】
特に好ましくは、下式(5)で示される構造が挙げられる。
【0014】
【化7】
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基」等における「非芳香族へテロ環基」も上述の「非芳香族へテロ環基」と同義である。
【0015】
「含窒素非芳香族へテロ環基」とは、環原子として少なくとも1つの窒素原子を有し、更に酸素原子又は硫黄原子を1つ有してもよい4〜8員の単環〜2環式の非芳香族へテロ環基を示す。なお、環原子である任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。
好ましくは、
5員環基:「ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル」
6員環基:「ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル」6−5員環基:「インドリニル、イソインドリニル」
が挙げられる。
【0016】
また、本明細書における「含窒素非芳香族へテロ環基」としては、下式(6)で示される構造も挙げられる。なお、他の基との結合位置は特に限定されない。
【化8】
【0017】
「ヘテロ原子」とは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子をいう。
「ハロゲノ基」としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。このうち、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基が好ましい。フルオロ基、クロロ基が特に好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「ハロゲノアルキル基」、「ハロゲノアルコキシ基」等における「ハロゲノ」も上述のハロゲノと同義である。
【0018】
「アルキル基」とは、炭素数1〜6のアルキル基をいい、直鎖でも分岐鎖でもよい。このうち、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−及びtert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基及び2−ヘキシル基等があげられる。このうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルキルスルホニル基」、「アルキルチオ基」、「炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基」、「炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基」等における「アルキル」も上述のアルキルと同義である。
【0019】
「アルケニル基」とは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖を有するアルケニル基をいう。具体的には、ビニル基、プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基等があげられる
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシカルボニルアルケニル基」、「モノもしくはジアルキルカルバモイルアルケニル基」等における「アルケニル」も上述のアルケニルと同義である。
「アルキレン基」としては、炭素数1〜6のアルキレン基をいい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
【0020】
「アルコキシ基」とは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基を有するアルコキシル基、又は縮環していてもよい環状炭素鎖を有するアルコキシル基を示す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、4−フェニルブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等があげられる。このうち、メトキシ基、エトキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシアルキル基」、「アルコキシアルコキシ基」等における「アルコキシ」も上述のアルコキシと同義である。
【0021】
「アルコキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基及びtert−ブトキシカルボニル基等があげられる。このうち、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アルコキシカルボニルアルキル基」、「アルコキシカルボニルアルケニル基」等における「アルコキシカルボニル」も上述のアルコキシカルボニルと同義である。
「アシル基」としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基及びピバロイル基等があげられる。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「アシルオキシアルキル基」等における「アシル」も上述のアシルと同義である。
【0022】
「モノもしくはジアルキルカルバモイル基」としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピルカルバモイル基及びi−プロピルカルバモイル基等のモノアルキルカルバモイル基、及びジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基及びジ(n−プロピル)カルバモイル基等のジアルキルカルバモイル基があげられる。ここで、ジアルキルカルバモイル基の二つのアルキル基の鎖長は同じでも異なっていても良い。
また、ジアルキルカルバモイル基の二つのアルキル基は結合して環を形成してもよく、不飽和炭化水素基を含んで環を形成してもよい。また、このとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。
具体的には、1−ピロリジンカルボニル基、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イルカルボニル基、1−ピペリジンカルボニル基、1−ピペラジンカルボニル基、(モルホリン−4−イル)カルボニル基及び(チオモルホリン−4−イル)カルボニル基等があげられる。このうち、ジメチルカルバモイル基、1−ピロリジンカルボニル基、(モルホリン−4−イル)カルボニル基、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イルカルボニル基及び(チオモルホリン−4−イル)カルボニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「モノもしくはジアルキルカルバモイルアルキル基」、「ジアルキルカルバモイルアルケニル基」等における「モノもしくはジアルキルカルバモイル」も上述のモノもしくはジアルキルカルバモイルと同義である。
【0023】
「モノもしくはジアルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基及びi−プロピルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、及びジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジ(n−プロピル)アミノ基等のジアルキルアミノ基があげられる。ここで、ジアルキルアミノ基の二つのアルキル基の鎖長は同じでも異なっていても良い。
また、ジアルキルアミノ基の二つのアルキル基は結合して環を形成してもよく、不飽和炭化水素基を含んで環を形成してもよい。またこのとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。具体的には、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、モルホリニル基及びチオモルホリニル基等があげられる。このうち、ピロリジニル基及びモルホリニル基が好ましい。
なお、他に特に記載がない限り、本明細書に記載した「モノもしくはジアルキルアミノスルホニル基」、「モノもしくはジアルキルアミノアルコキシ基」等における「モノもしくはジアルキルアミノ」も上述のモノもしくはジアルキルアミノと同義である。
【0024】
「モノもしくはジアルキルアミノアルキル基」としては、メチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、メチルアミノプロピル基、エチルアミノメチル基、n−プロピルアミノメチル基及びi−プロピルアミノメチル基等のモノアルキルアミノアルキル基、及びジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジ(n−プロピル)アミノメチル基及びジ(i−プロピル)アミノメチル基等のジアルキルアミノアルキル基があげられる。ここで、ジアルキルアミノアルキル基の三つのアルキル基の鎖長は同一でも異なっていても良い。
また、ジアルキルアミノアルキル基の二つのアルキル基が結合して環を形成してもよい。またこのとき-CH2-基の一つがO、NH又はSで置換されていてもよい。具体的には、(ピロリジン−1−イル)メチル基、(ピロリジン−1−イル)エチル基、(ピロリジン−1−イル)プロピル基、(ピペリジン−1−イル基)メチル基、(モルホリン−4−イル)メチル基及び(チオモルホリン−1−イル)メチル基等があげられる。
【0025】
「プロドラッグ化されたヒドロキシル基」とは、生体内の適当な部位で親化合物(元のヒドロキシ化合物)に復元される可逆的なプロドラッグ誘導体を形成した基であり、例えば、橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161(非特許文献2)や中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198(非特許文献3)に記載される基が挙げられる。
【0026】
「プロドラッグ化されたヒドロキシル基」としては、好ましくは一般式(2)で示される基である。
[2] 一般式(2)中、
【化9】
Tは単結合、−CH2−O−又はCH2−NR7−のいずれかを表し、
ここで、R7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、シアノ基、ホルミル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基又はヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
【0027】
Uは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いヘテロ原子数1〜2の含窒素非芳香族ヘテロ環基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数3〜9のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数3〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルキル基、炭素数4〜8のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
【0028】
Uが置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、ニトロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、メチレンジオキシ基、シアノ基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数2〜8のモノもしくはジアルキルアミノスルホニル基のいずれかを表す。
【0029】
本明細書における一般式(1)及び(2)における各記号の好ましい例について説明する。
環Aとしては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環が好ましい。中でも、ベンゼン環がより好ましい。
R1としては、水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基又は置換基を有していてもよいアミノ基で置換された炭素数1〜7のアルキル基がこのましい。中でも、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基がより好ましい。
【0030】
R1が置換基を有する場合の置換基としては、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていても良いヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基が好ましい。中でも、エトキシカルボニル基、ジメチルアミノ基、1−ピロリジルカルボニル基、1−モルホリンカルボニル基、アセチル基、メタンスルホニル基がより好ましい。
環Bとしては、ベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましい。中でも、ベンゼン環、チオフェン環がより好ましい。
【0031】
R2としては、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。中でも、クロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基がより好ましい。
環Cとしては、ベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環が好ましい。中でも、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環がより好ましい。
R3としては、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基が好ましい。中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、4−ピリジル基がより好ましい。
【0032】
R3が置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基が好ましい。中でも、フルオロ基、クロロ基、メトキシ基、ジメチルアミノメチル基がより好ましい。
R4、R5としては、水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。中でも、水素原子がより好ましい。
Xとしては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。中でも、エチレン基がより好ましい。
【0033】
nとしては、0、1の整数が好ましい。
Pとしては、一般式(2)で示される基が好ましい。
Tとしては、単結合、−CH2−O−が好ましい。
Uとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基が好ましい。中でも、i−プロピル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、3−ペンチル基、エトキシ基、t−ブチルオキシ基、2−メチル−1−プロペニル基、フェニル基、ピリジル基がより好ましい。
【0034】
[3] 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基である上記[1]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0035】
[4] 一般式(2)中、
Tが単結合、CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかである上記[2]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0036】
[5] 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
環Bがベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかであり、
【0037】
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
環Cがベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかであり、
R3が、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかであり、
R3が置換基を有する場合の置換基が、メチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジメチルカルバモイル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、フェニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基のいずれかであり、
【0038】
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基であり、
Tが単結合、−CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかであり、
nが0から2の整数を表す、
上記[2]記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0039】
[6] 上記一般式(1)のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩においては、プロドラッグ化されたヒドロキシル基が、ベンゼン環、ピリジン環及びチオフェン環からなる群から選ばれる芳香族環である環Aに存在し、環Bが上記特定の芳香族環、特にヘテロアリール環であり、環Cが非芳香族環であるのが好ましい。ここで、特に、環Bがチオフェン環、環Cが非芳香族ヘテロ環、例えばピペリジン環であるのが好ましい。
[7] 本発明の上記プロドラッグ化合物中、下記実施例1〜10記載の化合物が特に好ましい。
[8] 一般式(3)で示されるベンゾジアゼピン化合物は、上記プロドラッグ化合物の親化合物である活性本体として好ましい。
【化10】
[一般式(3)中、
lは0又は1を表し、
mは0〜2の整数を表し、
R6はクロロ基、ブロモ基を表し、
R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル環基、ピリジル基を表し、
Yは炭素原子、窒素原子のいずれかを表す。]
また、この活性本体化合物は、トロンビン阻害活性をほとんど示さないので、出血リスクが低くて好ましい。
[9] 活性本体として下記参考例1記載の本発明化合物が特に好ましい。
【0040】
本発明の化合物(1)の代表的な製造法を説明する。例えば、nが0であり、Tが単結合である場合は、次に示した方法を用いることにより製造できる。
すなわち、既に開示されたWO02/26732号公報に示される代表的な合成方法に従って得られるフェノール(2’)を出発原料とし、これに溶媒として例えばアセトニトリルを用い、例えば炭酸カリウム等の塩基存在下、例えばアセチルクロリド、ピバロイルクロリドなどのカルボニルハライド(3’)を作用させることにより(1’)を得ることが出来る。図中、Halは、ハロゲン原子を示す。
なお、カルボニルハライド(3’)を変えることにより、一般式(1’)におけるUがアルキル基以外のアリール基、アルコキシ基、アミノ基等である化合物を合成することもできる。
【0041】
【化11】
【0042】
また、例えば、nが0であり、Tが−CH2−O−である場合は、次に示した方法を用いることにより製造できる。
すなわち、フェノール(2’)に溶媒として例えばアセトンを用い、例えば炭酸カリウム等の塩基存在下、例えばブチル酸ヨードメチルなどのカルボニルオキシアルキルハライド(4’)を作用させることにより(1’)を得ることが出来る。図中、Halは、ハロゲン原子を示す。
【化12】
このようにして製造される一般式(1)で表される化合物およびその塩は、公知の分離精製手段、例えば抽出、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶析、再結晶、転溶、各種クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0043】
一般式(1)で示されるベンゾジアゼピン誘導体の塩は製薬的に許容しうるものであれば良く、式中の塩基性基に対しては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、マンデル酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、タンニン酸、リンゴ酸、トシル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との酸付加塩を挙げることができる。また、式中にカルボキシル基等の酸性基が存在する場合の酸性基に対しては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩基付加塩を挙げることができる。
【0044】
又、本発明の一般式(1)で示される化合物にはその溶媒和物、例えば水和物、アルコール付加物等も含んでいる。
又、本発明化合物は、互変異性体、幾何異性体が存在する場合があるが、本発明には、これら異性体を分離した物やこれらの混合物をも含んでいる。
又、本発明化合物は、不斉炭素原子が存在する場合があり、これに基づく光学異性体が存在する場合があるが、本発明には、これら光学異性体を分離した物やこれらの混合物をも含んでいる。
又、本発明化合物は、製薬的に許容し得るプロドラッグ体も含んでいる。ここで、製薬的に許容し得るプロドラッグ体とは、生体内で本発明のカルボキシル基、アミノ基、アミジノ基、グアニジノ基、ヒドロキシル基等に変換可能な基を有する化合物である。これらプロドラッグを構成する基としては、例えば、橋田充(Hashida Mitsuru)著、「プログレス イン メディスン(Progress in Medicine)」、1985年、第5巻、第7号、p.2157−2161(非特許文献2)や中尾英雄(Nakao Hideo)著、「医薬品の開発(廣川書店)」、1990年、第7巻、p.163−198(非特許文献3)に記載される基が挙げられる。
【0045】
一般式(1)で示される化合物またはその塩は、そのままあるいは各種の医薬組成物として投与される。一般式(1)で示される化合物またはその塩を有効成分として含有する医薬組成物は、当該分野で通常用いられる薬剤用担体、賦形剤を用いて、通常用いられる方法で調整される。このような医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、溶液剤、糖衣剤等にしてよく、普通の製剤助剤を用いて常法に従って製造することができる。
例えば錠剤は、本発明の有効成分であるベンゾジアゼピン誘導体を既知の補助物質、例えば乳糖、炭酸カルシウムまたは燐酸カルシウム等の賦形剤、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン等の結合剤、アルギン酸、コーンスターチまたは前ゼラチン化デンプン等の膨化剤、ショ糖、乳糖またはサッカリン等の甘味剤、ペパーミント、またはチェリー等の香味剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはカルボキシメチルセルロース等の滑沢剤と混合することによって得られる。
【0046】
一般式(1)で示されるベンゾジアゼピン誘導体を血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として使用する場合の投与経路は、経口、非経口のいずれであってもよく、投与量は患者の年齢、体重、状態、および投与法によって異なるが、成人への一日当りの投与量としては、通常、経口投与の場合で0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜50mgであり、非経口投与の場合で1μg〜100mg、好ましくは0.01〜10mgである。
【0047】
実施例
以下の実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。これらは本発明の好ましい実施態様でありこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明のプロドラッグ体を製造するために用いる活性本体化合物の製法を参考例に示す。
参考例1 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
工程1 エチル N−(t−ブトキシカルボニル)−N−(2−メトキシ−6−ニトロベンジル)グリシンの合成
2−メトキシ−6−ニトロトルエン51.9g(310mmol)、N−ブロモコハク酸イミド82.8g(465mmol)、触媒量の過酸化ベンゾイルをベンゼン1l中で一晩加熱還流した。室温に冷やし、沈殿物をろ過した後酢酸エチルで抽出し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。
【0048】
得られた残渣をエタノール1.2lに溶解し、グリシンエチルエステル塩酸塩219.5g(1.57mol)、炭酸水素ナトリウム132.1g(1.57mol)を加え60度で加熱攪拌した。不溶物をろ過し、溶媒を留去した。酢酸エチルで抽出し、水洗した後、有機相から3M塩酸で抽出した。水相を6M水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にして酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。
得られた残渣をテトラヒドロフラン1.2lに溶解し、0度でジ−t−ブチルジカーボネート100g(0.45mol)、トリエチルアミン65ml(0.47mol)を加え、室温に戻して一晩攪拌した。溶媒を留去し、酢酸エチルで抽出した。水、1M塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン 7:3)で精製し表題化合物を得た。
収量 64.4g(175mmol) 収率 56.5%
MS (ESI, m/z) 369(MH+)
【0049】
工程2 t−ブチル 6−メトキシ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4H−1,4−ベンゾジアゼピン−4−カルボキシレートの合成
エチル N−(t−ブトキシカルボニル)−N−(2−メトキシ−6−ニトロベンジル)グリシン64.4g(175mmol)をエタノール500mlに溶解し、10%パラジウム炭素(50%wet)6gを加え水素気流下1気圧室温で7時間攪拌した。セライトろ過し溶媒を留去した。
得られた残渣をエタノール100ml、テトラヒドロフラン200mlの混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム1水和物16.8g(400mmol)を水200mlに溶解して加え室温で攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、トルエンで共沸して水を除いた。
得られた残渣をジメチルホルムアミド1.5lに溶解しジメチルイミダゾリニウムクロリド44.3g(262mmol)、トリエチルアミン97ml(699mmol)を加え室温で30分攪拌した。溶媒を留去し、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。水、1M塩酸、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し表題化合物を得た。
収量 32.9g(112.5mmol) 収率 64%
MS (ESI, m/z) 293(MH+)
【0050】
工程3 4[(5−(2−クロロチエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
t−ブチル 6−メトキシ−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4H−1,4−ベンゾジアゼピン−4−カルボキシレート17g(58.2mmol)に4M塩酸ジオキサン溶液200mlを加え室温で攪拌した。
溶媒を留去し得られた残渣をジメチルホルムアミド600mlに溶解し、トリエチルアミン49ml(352mmol)、5−クロロ−2−チオフェンカルボン酸11.4g(70.1mmol)、HOBT9.4g(69.6mmol)、WSC13.4g(69.9mmol)を加え室温で一晩攪拌した。溶媒を留去し、水を加えて精製した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄した。減圧乾燥して、表題化合物を得た。
収量 15.8g(46.9mmol) 収率 80.6%
MS (ESI, m/z) 337(MH+)
【0051】
工程4 t−ブチル 4−(2−{4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−1−イル}エチル)ピペリジン−1−カルボキシレートの合成
水素化ナトリウム(60% in oil)2.62g(65.6mmol)のオイルをヘキサンで洗浄し、ジメチルホルムアミド550mlに懸濁した。t−ブチル 4[(5−(2−クロロチエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン18.4g(54.6mmol)を0度で加え室温に戻して30分攪拌した。再び0度に冷却しt−ブチル 4−{2−[(メトキシスルフォニル)オキシ]エチル}ピペリジン−1−カルボキシレート18.5g(60.1mmol)を加え70度で一晩攪拌した。溶媒を留去し水を加え精製した結晶をろ取し、酢酸エチルで洗浄した。さらに酢酸エチル相を1M塩酸、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去して得られた結晶を酢酸エチルで洗浄した。先の結晶と合わせ減圧乾燥し、表題化合物を得た。
収量22.6g(41.3mmol) 収率75.5%
MS (ESI, m/z) 548(MH+)
【0052】
工程5 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1−(2−ピペリジン−4−イルエチル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ペンゾジアゼピン−2−オン 塩酸塩の合成
t−ブチル 4−(2−{4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−1−イル}エチル)ピペリジン−1−カルボキシレート22.64g(41.3mmol)に4M塩酸ジオキサン溶液を加え室温で攪拌した。反応をHPLCで追跡し反応終了後、溶媒を留去し得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し表題化合物を得た。
収量20.4g (定量的)
MS (ESI, m/z) 448(MH+)
【0053】
工程6 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−メトキシ−1−(2−ピペリジン−4−イルエチル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ペンゾジアゼピン−2−オン 塩酸塩8.8g(18.2mmol)をジメチルホルムアミド90mlに溶解し、炭酸カリウム5.0g(36.2mmol)、2−ヨードプロパン9.1ml(91.2mmol)を加え室温で一晩攪拌した。溶媒を留去し酢酸エチルで抽出した。水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去して得られた結晶を酢酸エチル:ヘキサン1:5の混合溶媒で洗浄し表題化合物を得た。
収量6.3g(12.8mmol) 収率70.3%
MS (ESI, m/z) 490(MH+)
【0054】
工程7 4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンの合成
4−[(5−クロロ(2−チエニル))カルボニル]−1−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)エチル]−6−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン6.9g(14.1mmol)をジクロロメタン5mlに溶解し1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液50mlを加え室温で一晩攪拌した。精製した沈殿をろ取し、ジクロロメタンで洗浄した。沈殿に飽和重曹水を加えジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。これを酢酸エチルで洗浄し、表題化合物を得た。尚、表題化合物も本発明の化合物である。
収量4.2g(8.8mmol) 収率 62.6%
MS (ESI, m/z) 476(MH+)
【0055】
実施例1 4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンの合成
参考例1で得られた4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン140mg(0.24mmol)と炭酸カリウム131mg(0.95mmol)をアセトニトリル3mLに溶解し、2,2−ジメチルプロピオニル クロリド58μL(0.47mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。析出物を濾取し、表題化合物を得た。
収量 109mg 収率 81%
MS (ESI, m/z) 560(MH+)
【0056】
実施例2〜9
実施例1と同様の操作により、種々のカルボニルクロリドを用い、下記表1に示す実施例2〜9の化合物をそれぞれ得た。
実施例10
4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−(ブタノイルオキシメトキシ)−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンの合成
参考例1で得られた4−(5−クロロ−2−チオフェンカルボニル)−6−ヒドロキシ−1−[2−(1−イソプロピル−4−ピペリジニル)エチル]−1,3,4,5テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン 100mg(0.17mmol)と炭酸カリウム23mg(0.17mmol)をアセトニトリル2mLに溶解し、ヨードメチル ブチレート 21μL(0.17mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。析出物を濾取し、表題化合物を得た。
収量 8mg 収率 8%
MS (ESI, m/z) 576(MH+)
【0057】
実施例1〜10の化合物の構造及び物理化学的データを表1に示す。
【化13】
【0058】
【表1】 表1
表中*は、酸素原子への結合位置を示す。
【0059】
【発明の効果】
本発明の化合物は医薬製剤の活性成分として有用である。特に、活性化血液凝固第X因子阻害作用を有するため、活性化血液凝固第X因子の関与する、血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病である、脳血管障害における疾病(例えば、一過性脳虚血発作、脳血栓、脳梗塞、脳塞栓、脳卒中、くも膜下出血における血管れん縮等)、虚血性心疾患における疾病(例えば、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、不安定狭心症等)、肺血管障害における疾病(例えば、肺梗塞、肺塞栓等)、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群、冠動脈バイパス術後における再閉塞及び再狭窄、経皮的経管式冠動脈形成術(PTCA)の冠動脈インターベンション及び冠動脈血栓溶解療法(PTCR)後の再閉塞及び再狭窄、人工血管術及び人工弁置換後の血栓形成、末梢動脈閉塞症、体外循環時の血栓形成等の治療剤として有用である。さらに本発明の化合物は上記疾病の予防剤としても利用できる。
本発明化合物の作用は、以下の薬理試験により確認された。
【0060】
試験例1
ラット経口投与時の生物学的利用率及び体内動態評価試験( in vivo )
SD(IGS)ラットを前日より絶食し、実験に用いた。参考例1の化合物およびそのプロドラッグ化合物である実施例1、2の化合物を SD(IGS)ラットに30mg/kg強制経口投与した。薬物投与前、および投与後30、60、120、240、360、480分に、エーテル麻酔下630ul採血し3.8%クエン酸三ナトリウム70ulと混合した。得られた血液を4℃で15分、3000回転の遠心操作により血漿を得た。得られた血漿は除タンパク処理を行った後、HPLCを用い参考例1の化合物濃度として定量した。
(結果)
経口投与後の血漿中濃度推移を図1に示す。
参考例1の化合物投与群では最大血漿中濃度は0.24μg/ml、生物学的利用率は13%であったが、そのプロドラッグ体である本発明の実施例1および実施例2の化合物では血漿中濃度推移が上昇し、それぞれ最大血漿中濃度は0.81μg/ml、0.64μg/ml、生物学的利用率は35%、27%に改善された。
以上より、実施例1および実施例2は、高い経口吸収性を示し、体内では速やかに活性本体化合物に変換されることが確認できた。
【0061】
試験例2
プロトロンビン時間測定試験( ex vivo )
抗血液凝固活性はプロトロンビン時間(PT)測定法を用いて決定した。PT測定は以下に示す通りに行った。すなわち、試験例1で得られた血漿50μLを含む試験管をSysmex CA-3000全自動血液凝固測定装置(東亜医用電子社)に設置後、37℃で3分間インキュベートし、Sysmex PT II(東亜医用電子社、ウサギ脳組織トロンボプラスチン、13.2mM塩化カルシウム)100μlを加えた。PTは同装置により自動測定した。評価化合物投与前の採血により得られた血漿のPT時間をコントロールとし、コントロールに対するPT延長率を求め、抗血液凝固活性の指標とした。
(結果)
参考例1の化合物は、最大血漿中濃度時においてコントロールに対し112%プロトロンビン時間を延長したのに対し、実施例1及び実施例2の化合物は、コントロールに対しそれぞれ129%、123%プロトロンビン時間を延長した。なお、プロトロンビン時間は、抗血液凝固、抗血栓、抗塞栓作用と相関があることが、原ら(Hara et al.)著、「トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」、(ドイツ)、1995年、第74巻、第2号、p.635−639(非特許文献4参照)で報告されている。本文献の表2より、文献記載の化合物のプロトロンビン時間(ラット7.8mg経口投与時)は18.6秒で、ビヒクルのプロトロンビン時間は17.8秒であることから、文献記載の化合物はプロトロンビン時間を110%延長していることがわかる。一方、本文献の図3より、この化合物は、ラット7.8mg経口投与時に、血栓重量を有意に減少させていることもわかる。
以上より、実施例1及び実施例2の化合物は、抗血液凝固活性の指標であるプロトロンビン時間を有意に延長させ、高い抗血液凝固活性を示したことから、抗血栓、抗塞栓作用を十分発揮することが可能である。
【0062】
試験例3
活性化血液凝固第X因子阻害活性の測定試験( in vitro )
評価化合物の水溶液10μlにpH8.4に調製した100mMトリス−塩酸緩衝液130μlを加え、次いでヒト活性化血液凝固第X因子(Enzyme Research社製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.5ユニット/mlに調製した溶液10μlを加え、室温で10分間インキュベートした。次いで、N−ベンゾイル−L−イソロイシル−L−グルタミル−グリシル−L−アルギニル−P−ニトロアニリド塩酸塩((株)ペプチド研究所 製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.8mMに調製した溶液50μlを加え、吸光度を測定し、反応初速度を求めた。評価化合物の溶液の代わりにpH8.4に調製したトリス−塩酸緩衝液10μlを加えたものをコントロールとした。吸光度の測定はMICROPLATE READER Model 3550-UV(BIO RAD)を用い、405nmの波長で15秒間隔で16分間測定した。評価化合物無添加の時の活性化血液凝固第X因子の活性(初速度)を50%阻害するときの評価化合物の濃度の負の対数値を求め(pIC50と略す)、活性化血液凝固第X因子阻害活性の指標とした。
(結果)
本発明のプロドラッグ体に対する活性本体である参考例1の化合物のpIC50値は、7.7であり、非常に高い活性化血液凝固第X因子阻害活性を示した。したがって、参考例1は、活性本体として有用である。
【0063】
試験例4
トロンビン阻害活性の測定試験( in vitro )
評価化合物の水溶液10μlにpH8.4に調製した100mMトリス−塩酸緩衝液130μlを加え、次いでヒトのトロンビン(SIGMA社製)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で2ユニット/mlに調製した溶液10μlを加え、室温で10分間インキュベートした。次いで、D−フェニルアラニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−P−ニトロアニリド二塩酸塩(第一化学薬品、S−2238)をpH8.4トリス−塩酸緩衝液で0.4mMに調製した溶液50μlを加え、吸光度を測定し、反応初速度を求めた。評価化合物の溶液の代わりにpH8.4に調製したトリス−塩酸緩衝液10μlを加えたものをコントロールとした。吸光度の測定はMICROPLATE READER Model 3550-UV(BIO RAD)を用い、405nmの波長で15秒間隔で16分間測定した。評価化合物無添加の時のトロンビンの活性(初速度)を50%阻害するときの評価化合物の濃度の負の対数値を求め(pIC50と略す)、トロンビン阻害活性の指標とした。
(結果)
本発明のプロドラッグ体に対する活性本体である参考例1の化合物のpIC50値は、4.6であり、トロンビン阻害活性はほとんど示さないことが確認できた。したがって、参考例1の化合物は、出血リスクの低い化合物の活性本体として有用である。
【0064】
上記試験例1〜4の実験結果より、本発明のベンゾジアゼピン誘導体は、高い経口吸収性を示し、体内では速やかに変換されて、活性化血液凝固第X因子に特異的な高い阻害活性を示し、これに基づく高い抗凝固活性を示すことが確認された。従って、本発明のベンゾジアゼピン誘導体は、活性化血液凝固第X因子の関与する血液凝固、血栓、塞栓に起因する疾病の治療剤として有用であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1、2及び参考例1の化合物に関する、ラット経口投与後の血漿中薬物濃度推移を表す。
Claims (9)
- 一般式(1)で表されるベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容しうる塩。
環Aはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環のいずれかを表し、
R1は水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基で置換された炭素数1〜7のアルキル基のいずれかを表し、
R1が置換基を有する場合の置換基は、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていても良いヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基のいずれかを表し、
環Bはベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかを表し、
R2は、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
R4は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかを表し、
環Cはベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかを表し、
R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族へテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかを表し、
R3が置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル環基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数1〜6のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
R5は水素原子、ハロゲノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれかを表し、
Xは、炭素数1〜6のアルキレン基(鎖中に、-NH-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、-NHC(=O) NH - 、及び二重結合を含んでいてもよい)を表し、
nは0から2の整数を表し、
Pはプロドラッグ化されたヒドロキシル基を表す。] - 一般式(1)中、
Pが下記一般式(2)で表される請求項1記載のベンゾジアゼピン誘導体又はその製薬的に許容しうる塩。
Tは単結合、−CH2−O−、CH2−NR7−のいずれかを表し、
ここで、R7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、シアノ基、ホルミル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
Uは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル環基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のモノもしくはジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いヘテロ原子数1〜2の含窒素非芳香族へテロ環基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルキル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルアミノアルコキシ基、ホルミル基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数3〜9のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシカルボニルアルケニル基、炭素数2〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、炭素数3〜9のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルキル基、炭素数4〜8のモノもしくはジアルキルカルバモイルアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基のいずれかを表し、
Uが置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲノ基、オキソ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、ニトロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のモノもしくはジアルキルアミノ基、メチレンジオキシ基、シアノ基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数2〜8のモノもしくはジアルキルアミノスルホニル基のいずれかを表す。] - 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基である請求項1記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩。 - 一般式(2)中、
Tが単結合、CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかである請求項2記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩。 - 一般式(1)中、
環Aがベンゼン環であり、
R1が、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルエチル基、メチルチオ基、メチルスルホニル基、モルホリンメチル基、ピロリジンメチル基、ピペリジンメチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンメチル基、モルホリンプロピル基、ピロリジンプロピル基、ピペリジンプロピル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンプロピル基、モルホリンカルボニルエチル基、ピロリジンカルボニルエチル基、ピペリジンカルボニルエチル基、炭素数1〜6のアルキルピペラジンカルボニルエチル基、アセトアミドメチル基、アセトアミドプロピル基、メタンスルホニルアミノメチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基のいずれかであり、
環Bがベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環のいずれかであり、
R2がクロロ基、ブロモ基、メチル基、メトキシ基のいずれかであり、
環Cがベンゼン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環のいずれかであり、
R3が、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル環基、炭素数2〜7のモノもしくはジアルキルカルバモイル基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子数1〜4のヘテロアリール基、置換基を有するヒドロキシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の非芳香族ヘテロ環基で置換されたカルボニル基のいずれかであり、
R3が置換基を有する場合の置換基が、メチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジメチルカルバモイル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヘテロ原子数1〜2の非芳香族ヘテロ環基、フェニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基のいずれかであり、
R4及びR5が共に水素原子であり、
Xが炭素数1〜3のアルキレン基であり、
Tが単結合、−CH2−O−のいずれかであり、
Uがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、メトキシメチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−2−プロピル基、アセトキシメチル基、2−アセトキシ−2−プロピル基、メトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエテニル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、ジメチルカルバモイルエテニル基、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基のいずれかであり、
nが0から2の整数を表す、
請求項2記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩。 - 請求項6記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩を含有する活性化血液凝固第X因子阻害剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩及び、製薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のベンゾジアゼピン誘導体またはその製薬的に許容しうる塩を含有する血液凝固、血栓又は塞栓に起因する疾病の治療用医薬組成物。
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