JP2006147755A - 多接合型光電変換素子の特性測定方法 - Google Patents

多接合型光電変換素子の特性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 製造ラインで製造された構成する要素セルの相対分光感度に変動を有する一群の多接合太陽電池の基準状態での光電変換特性を正確に測定する方法を提供することである。
【解決手段】 複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの基準状態での出力特性を近似太陽光光源下で測定する多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法であって、前記試験セルと同等の構成を有する複数の基準セルの基準状態での特性である基準特性を取得する工程、前記複数の基準セルの基準特性が得られるように前記近似太陽光光源の条件を設定する工程、前記条件設定後の前記近似太陽光光源下で前記試験セルの出力特性を測定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法とすることである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの特性測定方法に関する。
近年では薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池に加えて結晶質薄膜太陽電池も開発されている。薄膜太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニット(以下要素セルと呼ぶ)を積層して多接合型(またはタンデム型とも呼ぶ)にする方法がある。この方法においては、薄膜太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方要素セルを配置し、その後方に順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む後方要素セルを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。このような多接合型光電変換素子は、複数の半導体接合からなる要素セルが積層した構造を有するものである。積層した要素セルは、直列接続あるいは並列接続を形成してなる。多接合型光電変換素子としては、太陽電池、フォトダイオード、センサー等が挙げられる。半導体接合の種類としては、pn接合、pin接合、MIS接合等が挙げられる。半導体材料としては、結晶質、多結晶質、微結晶質、非晶質のものが挙げられる。また、半導体物質としては、Si、SiGe、Ge、SiC、Cなどの4族あるいは化合物、GaAs、GaAlAs、InP、などの3−5族化合物、CdTe、CdS、Cu2S、Cu2O、ZnO、ZnSeなどの2−6族化合物、CuIn(S,Se)2、Cu(Ga,In)(S,Se)2、InGaNなどの化合物、有機半導体など、あるいは上記の化合物が挙げられる。
ところで、このような、多接合型の光電変換素子の最大出力を正確に測定することは以下の理由から非常に重要である。例えば、光電変換素子の出荷時の出力検査の際には、最大出力が性能上最も重要となるので、例えば、最大出力が規格値に満たない場合、規格外品とされることになる。しかし、出荷しようとする光電変換素子の最大出力自体が正確に測定できなければ、保証すべき規格値を満たしているのかどうかを明確にすることができない。また、最大出力の測定誤差が大きく、測定装置の状態によって測定結果が変化する状況においては、同等の性能の光電変換素子を製造しても、規格値を満足する光電変換素子の収率が変化し、安定製造がなされている場合であっても見掛けの歩留まりが安定していないような誤解を製造従事者に与える可能性がある。つまり、こうした状態においては、製造工程の変化に起因する収率変化と測定装置の状態に起因する収率変化との分離が不十分となりがちで、製品の最大出力の変化や歩留まりの変化が製造工程の指標として曖昧なものとなるため、製造工程の安定化が困難となる。
また、生産量を増加させる際に複数の測定装置にて出力検査を実施する必要があるが、測定装置間の測定誤差が大きいと、測定装置全体の状態を一定に保つこと困難となる。さらに、出荷する光電変換素子の最大出力を保証するために、規格出力に対するしきい値に測定誤差を安全率として含めれば、結果的に製造の歩留まりが低下する事になる。
光電変換装置においては、上述したような規格値として、基準状態の特性を用いることが一般に行われている。基準状態とは、以下の条件で規定される状態である。
(1)セル温度 25℃
(2)分光分布 AM1.5全天日射基準太陽光
(3)放射照度 100mW/cm2
ここで、スペクトル依存性を有する多接合太陽電池の評価において、特に重要となるのが分光分布である。上記分光分布である基準スペクトルは、エアマス、大気混濁度、及び可降水量等が一定の大気条件の場合のスペクトルとして定義されており、屋外太陽光から基準スペクトルを得る機会は非常に限定されている。つまり、屋外太陽光から基準スペクトルを得る機会は非常に限定される。また、近似太陽光光源のスペクトルは、入手可能なランプの分光放射スペクトルに光学フィルタによる修正を行って基準スペクトルに近似させているに過ぎないので、基準スペクトルそのものを得ることは不可能である。
従って、多接合型の光電変換素子の出力特性を正確に測定することには技術的な困難性が伴う。多接合太陽電池の出力電流及び最大出力電力は、出力電流が最も小さくなる光電変換ユニット(以下単に要素セルと記す)で制限される事が、最も大きな理由である。例えば、二つの要素セルを積層し直列に接続したタンデム型の太陽電池では、各要素セルの波長感度帯域が異なるため、光源の分光放射スペクトルの変化により、電流制限を受ける要素セルがいずれかに変化する。さらに、電流制限の程度によって、太陽電池の出力特性は変化する。電流制限の程度は、光源の分光放射スペクトルの変化の影響を直接受けるので、これが多接合太陽電池の出力特性のスペクトル依存性として現れる。
これに対して、単一の接合からなる単接合型の太陽電池の場合は、光源スペクトルの差異により実質的に変化する出力特性は短絡電流であり、曲線因子や開放電圧にはほとんど影響しないので、基準状態として定義された基準スペクトルと、測定に用いられた光源の分光放射スペクトルとの差異を補正する事により、ほぼ正確な短絡電流値を得ることが可能である。具体的には、試験セルとして単接合型太陽電池の出力特性を測定する場合、基準セルの基準状態下で得られる短絡電流値(校正値)を用いて、近似太陽光光源下で基準セルの校正値が再現されるようにランプの放射照度の調整を行い、その光照射条件で試験セルの測定を実施することで、試験セルの基準状態下での短絡電流値、さらには、その他の特性をほぼ正確に測定することが可能であるう。その際、単接合型太陽電池の基準セルの分光感度としては、試験セルの相対分光感度と実質的に同等である必要がある。
このような基準セルの選別法は、JISC8911、及びJISC8931に規定されている。これらの規格には、二次基準太陽電池用セルの選別方法が記載されており、詳細には、擬似要素セルを用いた基準セルの選別法が規定されている。ここで、疑似要素セルとは、単接合の光電変換素子と実質的に同等の相対分光感度を有する近似太陽光光源の放射強度の調整に用いられる基準セルのことである。
そして、これらの規格の目的は、スペクトルミスマッチによる測定誤差が±2%以内である標準的な太陽電池を基準セルとして選別する事を目的としている。ここで言う標準的とは、実質的に一群の太陽電池セルを代表する分光感度スペクトルを有する事を意味する。一群の太陽電池セルからの具体的な選別方法として、二光源を用いた手順が示されている。異なる分光放射スペクトル下での短絡電流の比は、太陽電池セルの分光感度の差異の影響を受けるため、一群の太陽電池セルの中で平準的な分光感度を有する太陽電池セルの短絡電流の比は平均に近いと言う考え方に基づく。前記短絡電流の比を用いる手法により一群の太陽電池セルの中から平均的な分光感度を代表する太陽電池セルが基準セルとして選別される。
単接合型太陽電池のスペクトル依存性は、実質的に光源のスペクトル合致度の差異や太陽電池セル間の分光感度スペクトルの差異に基づいた見掛けの相違として、短絡電流に現れる。見掛けの相違はスペクトルミスマッチ因子を求める事により、補正する事が可能であるが、分光感度スペクトルの合致度に優れた基準セルを選別する事により、光源のスペクトル合致度の誤差を抑制する事が可能となる。
具体的には、単接合型太陽電池の場合、基準セルの基準状態下で得られる短絡電流(校正値)を用いて、近似太陽光光源下で基準セルの校正値が再現されるようにランプの放射照度の調整を行う。単接合型太陽電池の基準セルの分光感度は、試験セルの相対分光感度と実質的に同等であれば、標準スペクトルと異なる分光放射スペクトルを有する近似太陽光光源下でも、基準セルを用いて放射照度を調整する事により、試験セルの標準条件下での短絡電流の測定が可能となる。基準セルと試験セルの相対分光感度が異なる場合は、IEC60904−7に記載されたミスマッチ誤差因子の計算により、近似太陽光光源下での測定された短絡電流を補正する事が可能である。
上述したように、単接合太陽電池においては測定は比較的容易である。しかしながら、多接合太陽電池では要素セル間の電流制限の状態の程度により、短絡電流のみならず曲線因子、開放電圧も同時に影響を受けるので測定には困難が伴う。つまり、基準状態下での多接合太陽電池の正確な出力特性を取得するためには、各要素セルが基準スペクトル下で出力するはずであろう電流値並びに電流制限の状態を正確に再現させる必要がある。しかし、単接合型太陽電池で正確な短絡電流値を取得するために有効であった基準スペクトルに対する測定光源スペクトルのミスマッチ、及び基準セルに対する測定セルの分光感度スペクトルのミスマッチを含むスペクトルミスマッチ因子による補正を、多接合太陽電池の各要素セルの電流に対して同時に実施するは困難であるため、出来るだけ基準スペクトルに合致した分光放射スペクトルを有する測定光源下で出力特性を測定する必要がある。
また、多接合太陽電池においては、太陽電池を構成する各要素セルの相対分光感度が分かったとしても、前述したIEC60904−7のミスマッチ誤差因子の計算によって、近似太陽光光源下で得られる短絡電流と形状因子、最大出力を基準状態下で得られるべき値に補正する事は不可能である。
このような技術的困難さを伴う多接合太陽電池の光電変換特性を正確に測定する方法として、以下の技術が提案されている。
非特許文献1には、擬似要素セルを基準セルとして光源の放射照度を調整する手法が記載されている。具体的には、分光放射スペクトルを調整可能な近似太陽光光源を用いて、多接合太陽電池を構成する各要素セルが、基準状態下で生じるであろう電流値を得るために、擬似要素セルから同時に校正値が得られるように分光放射スペクトルを調整する事によって、多接合太陽電池の基準状態下での光電変換特性を正確に測定しようとする手法が提案されている。すなわち、多接合太陽電池を構成する要素セルと実質的に同等の相対分光感度を有する単接合型の擬似要素セルを用いて、近似太陽光光源の各波長帯域の放射照度を調整する事により、各要素セルが基準状態で発生する電流値を同時に得るための分光放射スペクトルを得ようとするものである。
上記の多接合太陽電池の測定技術において、前提となるのは分光放射照度を調整可能な近似太陽光光源を用いることである。非特許文献1においては各擬似要素セルから基準スペクトル下で得られる電流値を得るために、エアマスフィルタが付与されたキセノンランプの照射面に補助的なスペクトルを有するランプの照射光を重積し、各ランプの照度を変更することで、分光放射スペクトルを調整する。具体的には、また大面積多接合太陽電池の測定の場合には、複数のキセノンランプと複数のハロゲンランプを組み合わせて、各ランプの照度を変更することで、照射面での分光放射スペクトルと照度むらの調整を行う。
しかしながら、上記のような複数ランプを用いるスペクトル可変型の近似太陽光光源においては、その分光放射スペクトルを基準スペクトルと十分に合致させるために、ランプの種類としてキセノンランプやハロゲンランプ等を用いる必要がある。また、基準状態の放射照度である1000W/m2を照射面位置で得るには、高い定格出力のランプを組み合わせる必要がある。
R. Shimokawa, F. Nagamine, M. Nakata, K. Fujisawa and Y. Hamakawa: Jpn. J. Appl. Phys. 28 (1989) L845
本発明は、上述の問題を個々にあるいは包括的に解決するためのもので、技術的困難さを伴う多接合光電変換素子の光電変換特性を正確に測定する方法を提供することを目的とする。
また、製造ラインで作製される様な、要素セルの相対分光感度に変動を有する一群の多接合太陽電池に対して、共通の基準スペクトル条件を提供することによって、光電変換特性を正確に測定することを目的とする。
本発明にかかる測定方法は、複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの基準状態での出力特性を近似太陽光光源下で測定する多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法であって、前記試験セルと同等の構成を有する複数の基準セルの基準状態での特性である基準特性を取得する工程、前記複数の基準セルの基準特性が得られるように前記近似太陽光光源の条件を設定する工程、前記条件設定後の前記近似太陽光光源下で前記試験セルの出力特性を測定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法である。これにより、高い近似度を有するスペクトル可変型の多灯式近似太陽光光源を用いなくても、製造条件の変動等により若干異なるスペクトル依存性を有する多数の多接合型光電変換素子の基準状態下での光電変換特性を正確に測定することが可能となる。
前記条件設定は前記近似太陽光光源のエアマスフィルタ、光学フィルタ、補助光源光量、光源数、及び光源パルス幅から選ばれる少なくとも1つの条件を調整する事により実施される。
また、スペクトル依存性が異なる複数の基準セルを用いて近似光源の分光放射スペクトルを最適化する事により、製造ラインの条件変化で出現する、要素セルの異なる相対分光感度、或いは、要素セル間の異なる電流ミスマッチを有する、多接合型光電変換素子に対して、正確に基準状態下での光電変換特性を測定する方法を提供する。
本発明の測定方法は、スペクトル調整が可能な多灯式光源を用いて、要素セルの相対分光感度に変移が生じるような製造ラインで作製された多数の多接合太陽電池の基準状態での光電変換特性を正確に測定する事が出来る。
また、本発明の測定方法は、高コストな多灯式光源を用いて、光源の分光放射スペクトルの基準スペクトルへの高近似化を行わなくても、スペクトル依存性が異なる複数の基準セルを用いて、スペクトル調整を行う事により、正確に多接合太陽電池光電変換特性を測定する事が出来る。
また、本発明の基準セルは、光電変換特性のスペクトル依存性が被測定セルと実質的に同等であることが確認されるので、基準セルの基準状態下での光電変換特性を用いて補正する事で、種々の分光放射スペクトル下で正確に光電変換特性を測定する事が出来る。
また、本発明の基準セルは、製造工程で生じる製品間のスペクトル依存性の差異に対して、従来技術では都度擬似要素セルを作製する必要があったが、要素セルの相対分光感度の変移に基づくスペクトル依存性を有する基準セルを用いる事で、スペクトル依存性が異なる一群の多接合太陽電池に対しても正確に光電変換特性を測定する事が出来る。
本発明によれば、基準スペクトルに対して高い近似度を有するスペクトル可変型の多灯式近似太陽光光源を用いなくても、製造条件の変動等により若干異なるスペクトル依存性を有する多数の多接合型光電変換素子の基準状態下での光電変換特性を正確、かつ簡便に測定することが可能となる。
本発明者は、上述した従来技術を多接合光電変換素子の測定に適用した結果、以下に述べる問題があることを発見し、本発明を考案するに到った。
(1)まず、前述した非特許文献1の方法は、多接合太陽電池を構成する要素セルと実質的に同等の相対分光感度を有する単接合型の擬似要素セルを用いて、近似太陽光光源の各波長帯域の放射照度を調整する事により、各要素セルが基準状態で発生する電流値を同時に得るための分光放射スペクトルを得て、その分光放射スペクトル下で測定する方法である。
しかし、製造ラインで作製される多接合太陽電池素子は、製造条件の変化により、要素セルの膜厚や膜質等が規定の条件から変動することで、相対分光感度に一定の変移を有する。スペクトル可変型近似太陽光光源は、要素セル間の電流ミスマッチを基準状態下で得られるものと同等とする事は可能であるが、要素セルの相対分光感度に変移が生じた場合には、要素セルの出力電流には、スペクトルミスマッチ誤差に基づく差異が現れる。前記スペクトルミスマッチ誤差は、相対分光感度の変移と、近似太陽光光源の分光放射スペクトルの基準スペクトルに対する差異に基づく。
また、多接合太陽電池素子の要素セルは、一般的な単接合型太陽電池素子に比べ、狭い波長帯域に感度を有する。従って、スペクトルミスマッチ誤差は近似太陽光光源の局所的な不一致度の影響を受ける。さらに、多接合太陽電池素子の接合数や素子材料により、要素セルが最も感度を有する中心波長が変化するので、相対分光感度が異なるあらゆる種類の多接合太陽電池素子に対して有効な近似太陽光光源は、従来のJISクラスA(JISC8917)に比べて、非常に高いスペクトル合致度が要求される。スペクトル可変型の近似太陽光光源に対して、光源種類や光源数や光学フィルタの数を増加させて、スペクトル合致度を高めることは出来るが、複雑な光学系となるため、研究室で開発される小面積の多接合太陽電池に用いられることが主であり、大面積太陽電池モジュール用の光源としては、非常に高コストなものとなってしまう。
さらに、多接合太陽電池の要素セルとして用いられる、アモルファス系太陽電池(a−Si太陽電池及びa−SiGe太陽電池等)及び微結晶シリコン(μc−Si太陽電池)は光源の放射照度に対する非線形性が大きな太陽電池として知られている。多接合太陽電池の擬似要素セルの分光感度は、多接合太陽電池のカラーバイアス下での各要素セルの分光感度スペクトルを元にして設計されるが、分光感度測定の際の単色光の放射照度は5〜100μW/nm/cm2の範囲で測定されることが多い。太陽電池の基準状態の放射用度は100mW/cm2の高い照度が必要とされるため、放射照度に対する非線形性が顕著な太陽電池では、低照度での分光感度スペクトルに基づいて作製した基準セルを用いて、基準状態下での太陽電池の光電変換特性を測定した場合、正確さを維持できない。単接合型太陽電池の分光感度測定では、単色光に実質的に100mW/cm2の放射照度の白色光を重積させるので、高照度での分光感度スペクトルを得る事が可能であるが、多接合太陽電池では、技術的に高照度での分光感度スペクトルを得る事は困難である。従って、各要素セルの擬似要素セルを用いた多接合太陽電池の出力評価法は、本質的に要素セルの非線形性に基づく不確からしさに影響される事になる。特に、基準スペクトルからずれた近似太陽光光源下での測定の場合、不確からしさは増大する事になる。
(2)また、屋外太陽光を用いて多接合太陽電池を測定するための基準スペクトルを得るために、上述の擬似要素セルを用いて、いずれの擬似要素セルからも同時に基準スペクトル下で得られる電流値を再現するスペクトル条件を待つと言う方法が考えられる。
しかしながら、太陽の放射照度スペクトルは、エアマス(大気圧と太陽高度、高度)及び大気混濁度、下降水量、オゾン、アルベド等の影響を受けて変化する。一日の太陽の放射照度スペクトル範囲においても、基準スペクトル条件が得られるのは2回程度であり、測定も数分以内に完了する必要がある。さらに、季節によっては一日中基準スペクトル条件が得られないことがある。したがって、太陽光スペクトルを用いて正確に基準状態の太陽電池の出力特性を測定することは、非常に困難である。
(測定方法)
そこで、本発明の測定方法は、試験セルとスペクトル依存性が実質的に同等の複数の多接合型太陽電池を基準セルに用いて、基準セルの基準状態下で得られる出力特性(基準特性)を元に、近似太陽光光源の放射照度を調整後、試験セルの出力特性を測定することを特徴としている。この際に、基準特性は疑似要素セルによって基準状態に近似された近似太陽光光源下で各基準セルを測定することにより得られる。
つまり、本発明においては、製造工程で大量に生産される一群の多接合太陽電池の要素セルの相対分光感度の変移を反映したスペクトル依存性を有する複数の多接合太陽電池を基準セルとして用いる測定方法であって、各要素セルの膜厚変化や膜質変化等を反映した複数の基準セルを用いて近似太陽光光源の分光放射照度スペクトルを調整しているため、製造条件の変化により多接合太陽電池のスペクトル依存性が変化した場合においても、試験セルの基準状態下での光電変換特性を正確に測定するものである。また、基準セルの最大出力は、放射照度100mW/cm2の基準状態下で得られたものであるため、前述の擬似要素セルの様な要素セルの非線形に基づく不確からしさが測定結果に含まれない、正確な測定を可能とするものである。
(スペクトル依存性)
ここでまず具体的に、多接合太陽電池のスペクトル依存性について実際の例に基づいて説明する。要素セルが直列に接続された場合、多接合太陽電池の出力特性は電流を制限する要素セルにより制限される。図2、3、及び4はトップ層としてアモルファスシリコン太陽電池とボトム層として微結晶シリコン太陽電池を直列に接続し、910mm×455mmサイズのガラス基板上に100段の集積構造を形成したタンデム型太陽電池モジュールの各々短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)、及び開放端電圧(Voc)のスペクトル依存性を示している。
これら図2〜4はキセノンランプ、ハロゲンランプ、及び光学フィルタ等からなる近似太陽光光源下においてランプ光量等の調整により放射スペクトルを変化させたときの太陽電池の各出力の測定結果(縦軸)である。そして横軸は、タンデム型太陽電池の各要素セルであるトップ層、及びボトム層の分光感度と相対的に一致した分光感度を有する各擬似要素セルの各々の放射スペクトル条件下での短絡電流から求まる値である。
ここで、トップ用の擬似要素セルとしては単接合型アモルファスシリコン太陽電池に、複数の色ガラスフィルターを付与したものを用い、タンデム型太陽電池のトップ層の相対分光感度と実質的に一致させている。また、ボトム用の擬似要素セルとしては単接合型微結晶シリコン太陽電池に色ガラスフィルターを付与し、タンデム型太陽電池のボトム層の相対分光感度と実質的に一致させている。
そして、図2〜4の横軸のIb/Itは基準状態において各要素セルの光電流がバランスしているタンデム型太陽電池の電流ミスマッチ比に該当し、光源の基準状態からのズレを表し、1の時には基準状態である。つまり、基準状態において各要素セルの光電流がバランスしているタンデム型太陽電池に対しては、光源スペクトルの基準状態からの差異により、1より小さいときにはスペクトルによるトップ層電流過多、1より大きいときはスペクトルによるボトム電流過多の状態を反映している状態である。
ここで、It、及びIbの具体的な値としてはそれぞれ、近似太陽光光源下で各擬似要素セルが出力する短絡電流値を、基準状態下での各疑似要素セルの短絡電流地(校正値)で除算したものであり、具体的な短絡電流値としてItm、及びIbmが以下の式が成り立つように近似太陽光光源のスペクトルはランプ照度が調整される。
Figure 2006147755
つまり、ItmとIbmは基準状態に近い但し青赤比があっていない状態の近似太陽光光源下でのトップ擬似要素セルとボトム擬似要素セルの短絡電流値である。It0とIb0は基準状態に近く青赤比があっている状態のトップ擬似要素セルとボトム擬似要素セルの短絡電流値であって一般に校正値と呼ばれる。δは基準状態からの変化率を表す。
上式に基づくスペクトル依存性の評価方法は、多接合太陽電池の基準状態からの変化率として出力特性のスペクトル依存性を評価する手法であるため、高精度で再現良くスペクトル依存性を提供する手法である。
また、3層以上の半導体接合を有する多接合太陽電池についても、最もスペクトル依存性が大きく現れる2つの擬似要素セルを用いて電流ミスマッチ比を定める事により、高い精度で再現良くスペクトル依存性の評価が可能となる。
以下、太陽電池を例として、実施の最良の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
(近似太陽光光源)
まず、本発明の測定方法で使用する近似太陽光光源について説明する。本発明で用いる近似太陽光光源は、エアマスフィルタまたは光学フィルタ、補助光源、複数光源、光源パルス幅等を調整する事により、分光放射スペクトルが可変とされている必要がある。スペクトル可変な近似太陽光光源であれば、JISC8912やJISC8933、IEC60904−9で規定された、照度むら及び時間的な安定性を有する近似太陽光光源であれば、本発明の測定方法を用いて正確に多接合太陽電池の出力測定を行うことが可能である。つまり、本発明の測定方法においては、全ての波長帯域において高いスペクトル合致度を有する高コストな多灯式スペクトル可変型近似太陽光光源を必要としない。より具体的には、単接合型太陽電池の基準状態の測定において、相対分光感度が試験セルと実質的に同等の基準セルを用いる事により、近似太陽光光源のスペクトル合致度の差異に基づくスペクトルミスマッチ誤差を低減する事が可能であったように、スペクトル依存性が実質的に同等の多接合太陽電池を基準セルとして用い、さらに複数の基準セルを用いる事により、高い近似度を有するスペクトル可変型の多灯式近似太陽光光源を用いなくても、正確に多接合太陽電池の試験セルの出力測定を行う事が出来る。
(基準セル)
次に、本発明の測定方法で使用する基準セルについて説明する。本発明における、基準セルは、試験セルと実質的に同等のスペクトル依存性を有するものである。対象となる多接合太陽電池の各要素セルの相対分光感度が実質的に一致しており、各要素セルのバイアス電圧化での電流電圧特性に影響する、シャント成分やダイオード因子、直列抵抗成分が実質的に一致し、放射照度に対する線形性も実質的に同等であることが望ましい。基準セルは、製造条件の変動により変化する各要素セルの相対分光感度の変移量に応じて、複数種類だけ準備されることが好ましい。さらに好ましくは、対象となる一群の多接合太陽電池のスペクトル依存性の変移を代表する複数の試験セルそのものから、分割、分離されたものであっても良い。
基準セルの基準状態下の光電変換特性である基準特性は、前記の基準状態が確認された条件下で測定されて得られたものでなければならない。前期の近似太陽光光源分光放射スペクトルは、複数の基準セルの基準状態下での最大出力(Pmax)、Isc、FF、Vocの全てを同時に再現されるように調整される必要がある。
ところで、高照度下での多接合太陽電池の要素セルの相対分光感度が精度良く得られれば、前期相対分光感度と実質的に合致した擬似要素セルを用いる事で、多接合太陽電池の要素セルと擬似要素セルの分光感度の差異は無視できるようになるので、基準スペクトルと差異のある近似太陽光光源下でも擬似要素セルとその校正値を用いて照度調整する事により、基準セルの基準特性を測定するための基準状態を有する疑似太陽光光源を得る事が可能となる。
(疑似要素セル)
本発明の疑似要素セルとしては、各擬似要素セルに要素セルと同じ非線形性を有する単接合型太陽電池を用いる事が考えられる。例えば、図1のタンデム型太陽電池ではトップ層としてアモルファスシリコンを用いているので、トップ用の擬似要素セルとして同等の照度非線形性を有する単接合型アモルファスシリコンセルを用いる事が好ましい。また、ボトム用の擬似要素セルとして同等の非線形性を有する単接合型微結晶シリコン太陽電池を用いる事が好ましい。前記擬似要素セル用単接合セルの白色バイアス光下での分光感度特性の差異に基づき擬似要素セルの相対分光感度を設計する事により、要素セルの基準状態下での相対分光感度との合致度を向上させることが可能となる。
以下に本発明の測定方法である、分光感度スペクトルが製造条件の変動などにより若干異なる複数の多接合太陽電池を基準セルとして用いる事により、多接合太陽電池試験セルの光電変換特性を測定する方法(実施例)について説明する。
以下では、従来の擬似要素セルを用いて基準状態(STC)を確認して得られた多接合太陽電池の変換効率(比較例2)と、STCでの変換効率が分かっている多接合太陽電池を基準セルとして異なる放射照度スペクトル下で取得された変換効率(実施例)との誤差を検証する事により本測定法の優位性を確認した。
(疑似要素セルの作製)
ガラス基板上にトップ層(アモルファスシリコンセル)とボトム層(薄膜微結晶シリコンセル)の積層構造を有するタンデム型太陽電池を作製した。得られたタンデム型太陽電池について、カラーバイアス光を重責しながら単色光を照射することで、図1の実線に示したトップ層とボトム層の相対分光感度特性を得た。
トップ層の分光感度と相対的に一致する擬似要素セルを作製するために、ガラス基板上に単接合アモルファスシリコン太陽電池を作製し、CAW500(HOYA製)のガラスフィルターをセル上面に取り付けた。相対分光感度の合致度を向上させるために、アモルファスシリコンi層の膜厚について3000Aを中心に変化させた。
また、ボトム層の分光感度と相対的に一致する擬似要素セルを作製するために、ガラス基板上に単接合型薄膜微結晶シリコン太陽電池を作製し、A71(ATG製)とM30(HOYA製)のガラスフィルターをセル上面に取り付けた。相対分光感度の合致度を向上させるために、薄膜微結晶シリコンi層の膜厚について2μmを中心に変化させた。
(疑似要素セルの値付け)
トップ層とボトム層の擬似要素セルは、光照射により安定化させた後に(財)日本品質機構(JQA)にて、基準状態における校正値としての短絡電流の値付けを行った。
(2灯式光源の光量調整)
キセノンランプとハロゲンランプで構成し、高いスペクトル合致度を提供する光源下で、トップ層用擬似要素セルとボトム層用擬似要素セルからJQAで値付けされた校正値が得られるように、キセノンランプとハロゲンランプの照度を調整した。
(基準セルの基準特性の測定)
まず、図1の実線で示した分光感度を有するタンデム型太陽電池2を、調整済みの光源下でセル温度が25℃になるように水冷しながら最大出力を測定すると、Pmax551mW、Isc77mA、FF62%、Voc11.55Vであった。これを基準セル2とする。この基準セル2は、基準状態で前記特性で表される基準特性2を有すると考える。
また、同様にして、基準セル2よりボトム層の厚さが厚いタンデム型太陽電池1である基準セル1について基準特性1を測定結果として得た。なお、この基準セル1は図1の破線の相対分光感度を有する。
さらに、同様にして、基準セル2よりボトム層の厚さが薄いタンデム型太陽電池3である基準セル3について基準特性3を測定結果として得た。
(基準セルの評価)
前記各基準セルの出力特性のスペクトル依存性を評価するために、2灯式光源のキセノンランプとハロゲンランプの照度を変化させ測定を実施した。
つまり、例えば、電流ミスマッチ比(Ib/It)が0.818となる放射照度条件となるように、トップ層用擬似要素セルから校正値の1.1倍の短絡電流が、ボトム層用擬似要素セルから校正値の0.9倍の短絡電流が同時に得られるように調整し、タンデム型太陽電池2の出力特性を測定した。
電流ミスマッチ比が0.8から1.2の範囲で2灯式光源の分光放射スペクトルを変化させる事により、基準セル2においては、図2〜図5の白丸で示したスペクトル依存性がえられた。
ここで、電流ミスマッチ比の範囲は、各要素セルの電流値の変化の範囲が約±10%である事を前提としている。これは、電流ミスマッチ比が0.8より小さいか、または1.2より大きい範囲では要素セルの出力電流が基準状態で得られる電流値に対して10%以上変化するため、要素セルの放射照度に対する線形性が保証されなくなる事が理由である。
その結果、前記基準セル2においてPmaxが最大となる時の、各疑似要素セルの短絡電流から計算される電流ミスマッチ比は1.0であった。
同様にして、基準セル1について、スペクトル依存性を測定すると、図2〜図4の黒丸(●)で示したスペクトル依存性が得られ、また、基準セル3について、スペクトル依存性を測定すると、図2〜図4のプラス(+)印で示したスペクトル依存性が得られた。
(スペクトル可変型近似太陽光光源の調整方法)
試験セルの基準状態での特性近似値を測定により得るために使用する大面積スペクトル可変型近似太陽光光源の調整方法について以下説明する。具体的には、エアマスフィルタ選択含むキセノンランプ条件、及び光学フィルタ選択を含むハロゲンランプ条件を、基準スペクトル条件が得られるように調整した。
ここで、エアマスフィルタと光学フィルタは、照射面と各ランプの間に配置され、照射面での分光放射スペクトルの調整に用いられる。
キセノンランプ及びハロゲンランプの照度調整の際には、個別にランプを点灯し、光照射面と同一面に配置した結晶シリコンセルの短絡電流の測定し、要素セルの電流を見積もった。要素セルの出力電流の見積もりには、結晶シリコンセルの相対分光感度と要素セルの相対分光感度に基づきスペクトルミスマッチ因子を求めて、結晶シリコンセルから得られる電流値で補正を行った。
キセノンランプは350nmから900nmの分光放射スペクトルの調整に用いられる。その際、分光分布に影響するパルス幅として1m秒、2m秒、5m秒、10m秒の何れかを選択し、透過率の異なる3種類のエアマスフィルタの何れかを選択した。これらの12通りの組み合わせの中からランプ動作条件を選んだ。
ハロゲンランプは500nmから1200nmの分光放射スペクトルの調製に用いられる。その際、照射されるハロゲンランプの数を6個、8個、10個の何れかから選択し、分光放射スペクトルに影響する3通りのランプ電圧と、透過率の異なる3種類の光学フィルタの何れかの選択した。これらの27通りの組み合わせの中からランプ動作条件を選んだ。
また、基準セルの基準状態下での光電変換特性である基準特性を得るための微調整は、個々のランプの放射照度をランプに印加する電圧を微小に変化させる事により行った。
(比較例1)
まず、比較例1として、タンデム型太陽電池2のみを基準セルとして用いて、基準セル2から基準特性2が得られるように、近似太陽光光源の分光放射スペクトルの調整を行った。
その状態の光源を用いて、製造ラインで作製されたタンデム型太陽電池の中から無作為に抽出した20個の太陽電池について光電変換特性の測定を行った。
これらの測定結果と、前記20個のタンデム型太陽電池を、太陽光下で大気混濁度及び可降水量、エアマスが基準スペクトル条件を満たしている事を確認した上でSTC(基準状態)で測定した結果とを比較した。
その結果、Pmaxで3%、Isc及びFFで6%、Vocで0.3%の平均誤差が認められた。誤差の原因は、20個のタンデム型太陽電池の中で相対分光感度が変異したものが含まれたため、前記近似太陽光光源の調整では相対分光感度が変異したタンデム型太陽電池に対して基準スペクトル条件とならなかった事である。
(実施例)
次に、実施例として、異なるスペクトル依存性を有する複数の多接合太陽電池を基準セルとして用いてより基準スペクトルに近い分光放射スペクトルを得て、その光源により試験セルの測定を実施した。つまり、前記大面積スペクトル可変型近似太陽光光源について、図2〜図4で示した多接合太陽電池1及び2、3の基準状態(Ib/It=1)での光電変換特性である基準特性1、2、及び3が各々同時に得られるように、近似太陽光源のフィルタ及びランプ動作条件を調整した。その状態の光源を用いて、前記無作為に抽出した20個の太陽電池について光電変換測定の測定を行った。
これらの測定結果と、前記屋外太陽光の基準スペクトル条件が確認された元で、STCで得られた結果と比較した結果、Pmaxで1%、Iscで1.1%、FFで1.5%、Vocで0.3%の誤差で一致した。スペクトル可変型近似太陽光光源の分光放射スペクトルの調整において、要素セルの分光感度の変移に対しても、スペクトルミスマッチ誤差が小さくなったため測定誤差が改善された。
以上から、本発明による測定方法により、異なるスペクトル依存性を有する複数の多接合太陽電池を基準セルとして用いることにより、より基準スペクトルに近い分光放射スペクトルを得る事が可能となり、正確な光電変換特性を測定する事が出来ることが判った。
(比較例2)
さらに、比較例2として、非特許文献1に示される従来の照度調整法により、前記トップ用擬似要素セルと前期ボトム用擬似要素セルから直接校正値が得られるように、前記大面積スペクトル可変型近似太陽光光源のエアマスフィルタ及び光学フィルタ、キセノンランプ、ハロゲンランプを、基準スペクトル条件が得られるように調整した。製造ラインで作製されたタンデム型太陽電池の中から無作為に抽出した20個の太陽電池について、調整済みの近似太陽光光源にて光電変換特性の測定を行った。前記20個のタンデム型太陽電池を、太陽光下で大気混濁度及び可降水量、エアマスが基準スペクトル条件を満たしている事を確認した上で、STCでの光電変換特性を取得した。屋外太陽光下で得られた結果と前記近似太陽光光源によって測定した結果と比較した。その結果、Pmaxで3.5%、Isc及びFFで7%、Vocで0.3%の平均誤差が認められた。
誤差の原因は、20個のタンデム型太陽電池の中で相対分光感度が変異したものが含まれたため、前記近似太陽光光源の調整では相対分光感度が変異したタンデム型太陽電池に対して基準スペクトル条件とならなかったためである。
異なる膜厚構成を有するタンデム型太陽電池の分光感度スペクトルの一例である。 ボトム層膜厚が異なるタンデム型太陽電池のIscのスペクトル依存性の一例である。 ボトム層膜厚が異なるタンデム型太陽電池のFFのスペクトル依存性の一例である。 ボトム層膜厚が異なるタンデム型太陽電池のVocのスペクトル依存性の一例である。
符号の説明
1 ボトム層厚が2のものより薄いタンデム型太陽電池1
2 基準状態で電流マッチングが得られるタンデム型太陽電池2
3 ボトム層厚が2のものより厚いタンデム型太陽電池3

Claims (2)

  1. 複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの基準状態での出力特性を近似太陽光光源下で測定する多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法であって、
    前記試験セルと同等の構成を有する複数の基準セルの基準状態での特性である基準特性を取得する工程、
    前記複数の基準セルの基準特性が得られるように前記近似太陽光光源の条件を設定する工程、
    前記条件設定後の前記近似太陽光光源下で前記試験セルの出力特性を測定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法。
  2. 前記条件設定は前記近似太陽光光源のエアマスフィルタ、光学フィルタ、補助光源光量、光源数、及び光源パルス幅から選ばれる少なくとも1つの条件を調整する事により実施されることを特徴とする請求項1に記載の多接合光電変換素子試験セルの特性測定方法。
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