JP2006144925A - 回転伝達装置 - Google Patents

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隆英 齋藤
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Abstract

【課題】 従来のような接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用することなく、ドアを任意の開度で停止・保持する時とそのドアを開閉する時との開閉トルクの差異を明確に維持する。
【解決手段】 入力軸31の軸端面に凹部36を設け、中間部材32を入力軸31と同軸的に配置すると共にハウジング33内に軸方向移動可能に収容し、その中間部材32の凹部36と対向する軸端面に凸部37を設け、中間部材32の外周に入力軸31の軸方向に縮径する円錐面38を同軸に形成すると共にその円錐面38と当接する逆円錐面39をハウジング33の内周に形成し、そのハウジング33と中間部材32との間に円錐面38と逆円錐面39が当接する方向に弾性力を付勢するばね40を介設し、入力軸31を自動車のドア30に連結すると共にハウジング33を自動車のボディに連結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車のボディとドアに連結されて、ドアを所定の開度位置に保持すべくドアの開閉トルクを制御する自動車用ドアチェッカ等として利用し得る回転伝達装置に関する。
自動車のドア開閉装置においては、ドアを所定の開度位置に保持すべくドアの開閉トルクを制御する自動車用ドアチェッカが組み込まれた構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に開示されたドアチェッカの要部拡大断面図(特許文献1の図5参照)である。この種のドアチェッカは、チェックプレート6と、シューホルダ21に保持されてチェックプレート6上を摺動し得るシュー20と、シューホルダ21をチェックプレート6側に弾発するチェックスプリング22とを備えた構造を具備する。
このドアチェッカでは、シュー20を、これがドアDの無負荷時にチェックプレート6に接する中立位置Nと、ドアDの開閉動作時にチェックプレート6に対する接触位置を変える揺動位置Rとの間で揺動し得るように、シューホルダ21に支承させ、シュー20の中立位置Nでのシュー20およびチェックプレート6間の摩擦力を、シュー20の揺動位置Rでのシュー20およびチェックプレート6間の摩擦力よりも大きく設定している。
ドアDが任意の開度で無負荷状態にある時は、図7(a)に示すようにチェックスプリング22の弾発作用により、シュー20は中立位置Nを占めるので、シュー20およびチェックプレート6の接触部に比較的大きな静摩擦力が発生し、これによりドアDを前述した任意の開度で停止・保持することができる。
一方、ドアDに開きまたは閉じ方向の一定値以上の操作力を加えた時は、図7(b)に示すようにシュー20が揺動位置Rに動くので、シュー20およびチェックプレート6の接触部の摩擦力が減少することで、シュー20はチェックプレート6の側面をスムーズに揺動することが可能となり、ドアDを軽快に開閉することができる。
特開2004−100279号公報
ところで、前述した従来の回転伝達装置であるドアチェッカでは、ドアDを任意の開度で停止・保持する時と、そのドアDを開閉する時との開閉トルクの差異は、シュー20がチェックプレート6と接触する部位の違いによる摩擦係数の差により実現していた。
つまり、シュー20が、平坦面20aをチェックプレート6の側面に接触させる中立位置Nにある時と、転がり面20bをチェックプレート6の側面に接触させる揺動位置Rとを比較すると、シュー20が中立位置Nにある時のシュー20およびチェックプレート6の接触部の摩擦力は、シュー20が揺動位置Rにある時のシュー20およびチェックプレート6の接触部の摩擦力よりも大きく設定されている。
このようにシュー20の接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用した場合、チェックプレート6の側面に形成された粗面17の磨耗や、シュー20が中立位置Nにある時の接触面である平坦面20aの磨耗等の経時的変化、シュー20が揺動位置Rにある時の接触面である転がり面20bの磨耗等の経時的変化に伴い、その特性を維持することが困難であった。
そこで、本発明は前述した問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、従来のような接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用することなく、ドアを任意の開度で停止・保持する時とそのドアを開閉する時との開閉トルクの差異を明確に維持し得る回転伝達装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、駆動側部材の軸端面に第一の推力カムを設け、従動側部材を前記駆動側部材と同軸的に配置すると共にハウジング内に軸方向移動可能に収容し、その従動側部材の前記第一の推力カムと対向する軸端面に第二の推力カムを設け、前記従動側部材の外周に駆動側部材の軸方向に縮径する円錐面を同軸に形成すると共にその円錐面と当接する逆円錐面を前記ハウジングの内周に形成し、そのハウジングと従動側部材との間に前記円錐面と逆円錐面が当接する方向に弾性力を付勢する弾性部材を介設し、前記駆動側部材あるいはハウジングのいずれか一方を静止部材に連結すると共に他方を可動部材に連結したことを特徴とする。
本発明に係る回転伝達装置は、駆動側部材の軸端面に第一の推力カムを設け、従動側部材を前記駆動側部材と同軸的に配置すると共にその従動側部材の前記第一の推力カムと対向する軸端面に第二の推力カムを設けた構造とすることにより、軸方向倍力機構としてのトルクカム機構を構成する。
また、従動側部材をハウジング内に軸方向移動可能に収容し、従動側部材の外周に駆動側部材の軸方向に縮径する円錐面を同軸に形成すると共にその円錐面と当接する逆円錐面を前記ハウジングの内周に形成し、そのハウジングと従動側部材との間に前記円錐面と逆円錐面が当接する方向に弾性力を付勢する弾性部材を介設した構造とすることにより、テーパクラッチ機構を構成する。
前述の構成における静止部材を自動車のボディとし、かつ、可動部材を自動車の開閉ドアとすることにより自動車用ドアチェッカとして適用した場合、本発明の回転伝達装置では、従来のような接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用することなく、テーパクラッチ機構による保持力とそれを容易に解除するトルクカム機構を採用することにより、ドアを任意の開度で停止・保持する時とそのドアを開閉する時との開閉トルクの差異を明確に維持することができる。
なお、前述の構成における第一の推力カムと第二の推力カムは、対向する凹凸部で構成することが望ましい。このようにすれば、テーパクラッチ機構による保持力を容易に解除し得るトルクカム機構を簡単な構造でもって実現することができる。なお、これら第一の推力カムと第二の推力カムは、対向する凹部とそれら凹部に挟持されたボールとで構成することも可能である。
本発明の回転伝達装置を自動車用ドアチェッカに適用した場合、従来のような接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用することなく、テーパクラッチ機構による保持力とそれを容易に解除するトルクカム機構を採用することにより、ドアを無負荷時には任意の開度で停止・保持し、開閉操作時には軽快に開閉可能とする、つまり、ドア開閉時のトルク特性を経時的変化の影響を受けることなく、確実に維持することができるので、ドアチェッカの信頼性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る回転伝達装置を自動車用ドアチェッカに適用した実施形態を以下に詳述する。図1および図2は回転伝達装置の全体構成で、図1はドアを任意の開度で停止・保持する時の状態、図2はドアを開閉する時の状態をそれぞれ示す。図3(a)(b)はトルクカム機構の一部を構成する凹部が形成された駆動側部材、図4(a)(b)はトルクカム機構の一部を構成する凸部が形成され、テーパクラッチ機構の円錐面が形成された従動側部材を示す。なお、以下の実施形態では、自動車用ドアチェッカに適用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1および図2に示す実施形態の回転伝達装置は、自動車のドア30が連結された駆動側部材である入力軸31と、その入力軸31と同軸的に配置された従動側部材である中間部材32と、その中間部材32と入力軸31の一部を収容したハウジング33とで主要部が構成されている。このハウジング33は、自動車のボディ(図示せず)に固定されている。
入力軸31は、ハウジング33に転がり軸受34を介して回転自在に取り付けられている。なお、その転がり軸受34は、止め輪35によりハウジング33に対して抜け止めされている。この入力軸31の軸端面に第一の推力カムを設けている。この第一の推力カムは、図3(a)(b)に示すように円周方向に深さが変化する凹部36で構成されている。この凹部36は、例えばV溝形状を有し、円周方向に沿って三箇所設けられている。
一方、中間部材32の第一の推力カム、すなわち凹部36と対向する軸端面に第二の推力カムを設けている。この第二の推力カムは、図4(a)(b)に示すように入力軸31の凹部36と嵌合する凸部37が一体に形成されている。この凸部37は、凹部36と対応させて山形状を有し、円周方向に沿って三箇所設けられている。これら入力軸31の凹部36と中間部材32の凸部37とでトルクカム機構を構成している。
この中間部材32は、ハウジング33内に軸方向移動可能に収容され、その外周に入力軸31の軸方向に縮径する円錐面38が同軸に形成されている。一方、ハウジング33の内周には、中間部材32の円錐面38と当接する逆円錐面39が形成されている。また、ハウジング33と中間部材32との間に、円錐面38と逆円錐面39が当接する方向(図中上方)に弾性力を付勢する弾性部材であるばね40を介設している。このばね40は、止め輪41で抜け止めされたプレート42を介してハウジング33に取り付けられている。このようにして、中間部材32の円錐面38、ハウジング33の逆円錐面39およびばね40によりテーパクラッチ機構を構成している。
次に、この実施形態におけるドアチェッカとしての回転伝達装置の動作例を以下に説明する。
まず、ドア30を任意の開度で停止・保持した状態では、図1に示すように中間部材32とハウジング33間に配されたばね40による弾性力でもって、自動車ボディ側のハウジング33に対して軸方向力が中間部材32に付与される。この軸方向力の付与により、中間部材32は、入力軸31側に押圧され、その円錐面38がハウジング33の逆円錐面39に当接する。
この時、中間部材32の円錐面38とハウジング33の逆円錐面39からなるテーパクラッチ機構では、図5に示すような力学的なつり合いとなりる。同図において、中間部材32の円錐面38(テーパ面)での摩擦係数をμ、テーパクラッチ機構の有効半径をR、中間部材32の円錐面38が軸中心線となす角度(テーパ角度)をθ、ばね40が中間部材32を押圧する弾性力をFとすると、トルクT=μRF/(μcosθ+sinθ)でもって、中間部材32はハウジング33に対して保持される。トルクカム機構では、中間部材32の凸部37に入力軸31の凹部36が噛み合わされた状態にあるため、ドア30を前述の任意の開度で停止・保持することができる。
このドア30の停止・保持状態から、ドア30を開閉しようとすると、図1に示すようにそのドア30の開閉によりドア30に連結された入力軸31が回転する。この時、中間部材32は、その円錐面38がハウジング33の逆円錐面39と当接していることから、その円錐面38と逆円錐面39との間で摺動抵抗が付与されており、また、プレート42を介して間接的にハウジング33との間に配置されたばね40との間で摺動抵抗が付与されている。これらの摺動抵抗により、中間部材32は、入力軸31との間で位相ずれが生じる。
この入力軸31と中間部材32との位相ずれにより、トルクカム機構では、中間部材32の凸部37に入力軸31の凹部36が噛み合わされた状態(図1参照)から、入力軸31の凹部36が中間部材32の凸部37から離脱しようとすることにより、中間部材32は、図2に示すようにばね40の弾性力に抗して入力軸31から離間する方向(図中下方)に移動するため、テーパクラッチ機構が解除される。つまり、中間部材32の円錐面38と逆円錐面39とが離間することからその両者間での摺動抵抗がなくなり、中間部材32とばね40との間での摺動抵抗のみとなる。その結果、ドア30は比較的低いトルクでもって開閉可能となる。
一方、ドア30の開閉が停止して保持される状態に移行すると、ばね40の弾性力により入力軸31の凹部36と中間部材32の凸部37の位相が図1の状態に戻されると同時に、その中間部材32は、入力軸31側に押し戻され、中間部材32の円錐面38とハウジング33の逆円錐面39が当接し、テーパクラッチ機構が係合することになる。その結果、ドア30を任意の開度で停止・保持することができる。
以上のようにして、中間部材32の円錐面38とハウジング33の逆円錐面39からなるテーパクラッチ機構による保持力と、それを容易に解除するための入力軸31の凹部36と中間部材32の凸部37からなるトルクカム機構を採用することにより、従来のような接触部位の違いによる摩擦係数の差を利用することなく、ドア30を任意の開度で停止・保持する時とそのドア30を開閉する時との開閉トルクの差異を明確に維持することができる。
なお、前述の実施形態では、トルクカム機構として、入力軸31の凹部36と中間部材32の凸部37とを対向させたフェースカム機構を例示したが、本発明はこれに限定されることなく、入力軸31と中間部材32にそれぞれ凹部を設け、それら対向する凹部にボールを介在させたボールカム機構を採用することも可能である。
本発明の実施形態であって、回転伝達装置を適用した自動車用ドアチェッカの全体構成で、ドアを任意の開度で停止・保持する時の状態を示す断面図である。 本発明の実施形態であって、回転伝達装置を適用した自動車用ドアチェッカの全体構成で、ドアを開閉する時の状態を示す断面図である。 (a)はトルクカム機構の一部を構成する凹部が形成された駆動側部材を示す平面図、(b)はその正面図である。 (a)はトルクカム機構の一部を構成する凸部が形成され、テーパクラッチ機構の円錐面が形成された中間部材を示す平面図、(b)はその正面図である。 テーパクラッチ機構での力学的つり合いを説明するための図である。 回転伝達装置の従来例として、自動車用ドアチェッカを示す要部拡大断面図である。 図6の自動車用ドアチェッカの動作説明で、(a)はシューが中立位置にある状態を示す部分拡大断面図、(b)はシューが揺動位置にある状態を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
30 ドア
31 駆動側部材(入力軸)
32 従動側部材(中間部材)
33 ハウジング
36 第一の推力カム(凹部)
37 第二の推力カム(凸部)
38 円錐面
39 逆円錐面
40 弾性部材(ばね)

Claims (4)

  1. 駆動側部材の軸端面に第一の推力カムを設け、従動側部材を前記駆動側部材と同軸的に配置すると共にハウジング内に軸方向移動可能に収容し、その従動側部材の前記第一の推力カムと対向する軸端面に第二の推力カムを設け、前記従動側部材の外周に駆動側部材の軸方向に縮径する円錐面を同軸に形成すると共にその円錐面と当接する逆円錐面を前記ハウジングの内周に形成し、そのハウジングと従動側部材との間に前記円錐面と逆円錐面が当接する方向に弾性力を付勢する弾性部材を介設し、前記駆動側部材あるいはハウジングのいずれか一方を静止部材に連結すると共に他方を可動部材に連結したことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記第一の推力カムと第二の推力カムは、対向する凹凸部で構成されている請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記第一の推力カムと第二の推力カムは、対向する凹部とそれら凹部に挟持されたボールとで構成されている請求項1に記載の回転伝達装置。
  4. 前記静止部材が自動車のボディであり、可動部材が自動車の開閉ドアである請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009022684A1 (ja) * 2007-08-15 2009-02-19 Nhk Spring Co., Ltd. スライドロック装置
KR20200058203A (ko) * 2018-11-19 2020-05-27 (주)오리엔탈정공 전기함 도어용 잠금장치

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