JP2006144650A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 凍結等により滑りやすくなっているコーナーでの走行時に、過誤のアクセル操作等により車両がスリップを起こす不具合を回避する。
【解決手段】 車両走行中に前方にコーナーが現れた場合にこれをカーナビゲーションシステム等の道路情報検出手段により検出し、アクセル開度に対する不感帯設定または遅れフィルタ処理を施し、急激なアクセル操作が直接的に車両の駆動力に反映しないようにする。これにより、コーナー走行中に誤って過大なアクセル操作をした場合のスリップ発生の可能性を低減する。
【選択図】図14

Description

本発明は、車両のコーナー走行時のスリップを回避するための駆動力制御装置の改良に関する。
コーナー走行時の駆動力制御に関わる従来技術として、特許文献1に示したようなものが知られている。これは、コーナー進入前にドライバーの減速意思(アクセルオフ、ブレーキオン、ウィンカーオン)を検出してあらかじめ変速機をシフトダウンしておくというものである。
特開平9-280353公報
ところで、減速比が増大するほど運転者のアクセル操作に対する駆動力変化が大きくなるので、前記従来技術のようにコーナー進入時にシフトダウンを行うと、アクセル操作に対して運転者が想定した以上の駆動力が発生する。このため、特に路面が凍結等により摩擦力が低下していた場合にはスリップが誘発されるという問題が生じる。
また、コーナー進入時にシフトダウンを行わないものにおいても、コーナー走行中に運転者が誤って過大なアクセル操作をしてしまった場合には同様の問題が生じる。
本発明では、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記アクセル開度検出手段からのアクセル開度信号を用いて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標出力と変速機の目標変速比を設定して車両の駆動力配分を設定する駆動力配分設定手段とを備える。
さらに、車両前方のコーナーを判定する道路情報検出手段と、車両走行中に前方にコーナーがあることを判定したときに前記アクセル開度信号を補正するアクセル開度補正手段とを設ける。
前記アクセル開度補正手段は、前記コーナー判定後に、アクセル開度が所定の不感帯域内で変化しているときは、当該不感帯域内での変化前のアクセル開度信号を前記目標駆動トルク設定手段に付与するように構成する。
または、前記アクセル開度補正手段は、前記コーナー判定後に、アクセル開度信号を遅れ補正して前記目標駆動トルク設定手段に付与するように構成する。
本発明では、車両走行中に前方にコーナーが現れた場合に、アクセル開度に対し所定幅の不感帯を設定し、当該不感帯域内でのアクセル操作は車両の駆動力制御に影響しないようにしたことから、コーナー走行中に誤って過大なアクセル操作をした場合のスリップ発生の可能性を低減することができる。
または、本発明では、コーナー検出時にはアクセル開度信号を遅れ処理して駆動力制御するので、急激なアクセル操作をしたとしてもそのときのアクセル開度信号がなまされて目標トルク設定手段に付与され、これにより急激なアクセル操作にかかわらず駆動トルクは緩やかに変化することからスリップ発生の可能性が低減する。
このようにして、本発明によれば路面凍結時等の走行安定性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のシステム構成を示す図である。制御開始スイッチSWlは、車速制御を実行するか否かを検出する。スイッチSW1がオン状態の場合は車速制御実行可能、スイッチSW1がオフの場合は車速制御実行禁止とする。ブレーキスイッチSW2は、ドライバーがブレーキペダルを踏んでいるか否かを検出する。スイッチSW2は、ブレーキペダルを踏んでいる場合はオン状態、ブレーキペダルを離している場合はオフ状態となる。アクセル開度センサ3は、ドライバーのアクセルペダルの踏込み量APOを検出する。車速センサ4は、タイヤの回転数から車両の実車速aVSPを検出する。エンジン回転数センサ5は、エンジンの点火信号からエンジン回転数aNEを検出する。
道路情報検出手段llは、地図データ装置又は道路に沿って設置された道路情報用のビーコン等からの道路情報のうち、車両前方のコーナーまでの距離やコーナー半径情報を取得する。同様の機能はカーナビゲーションシステムから利用することもできる。車外気温センサ12は、サーミスター等を使用して車外の温度tempを検出する。車外明るさセンサ13は、フォトダイオード等を使用して車外の明るさillumを検出する。センサ13を用いる代わりに、車両のライト点灯スイッチで代用することも可能である。操舵角センサ14は、運転者によるステアリングホイールの操舵角度aSTRを検出する。
車速制御装置10は、この実施形態において本発明に係る目標駆動トルク設定手段、駆動力配分設定手段、アクセル開度補正手段としての機能を有するもので、マイクロコンピューターとその周辺装置により構成され、制御周期(例えば約10ms)毎に制御開始スイッチSWl、ブレーキスイッチSW2、アクセル開度センサ3、車速センサ4、エンジン回転数センサ5、道路情報検出手段ll、車外気温センサ12、車外明るさセンサ13、操舵角センサ14からの信号を取込んで、エンジン制御装置6、トランスミッション制御装置7に指令値を出力する。
車速制御装置lOは、図1に示すように、マイクロコンピューターのソフトウェア形態により構成される制御開始判定部20、目標車速算出部30、車速制御部40、実変速比算出部50、駆動力分配部60、アクセル開度補正部70を備えている。車速制御装置lOは、スロットル開度とトランスミッションの変速比を操作することによって車速を制御する。
エンジン制御装置6は、車速制御装置lOから出力されたエンジントルク指令値cTEをもとにスロットル開度を算出し、スロットルアクチュエータ8にスロットル開度信号を出力する。スロットルアクチュエータ8は、スロットル開度信号に従ってエンジンのスロットルバルブ開度を調整する。トランスミッション制御装置7は、車速制御装置lOから出力された変速比指令値cRATIOをもとに変速機の変速比を調整する。
前記制御開始判定部20の動作を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の各フローチャートおよび説明において符号Sを付して示した数字により処理ステップ番号を表すこととする。
まず制御開始スイッチSW1からの信号を取込んで、スイッチSW1がオフ状態の場合、制御実行フラグfSTARTを0として処理を終了する(S1〜2)。フラグが0の場合、本制御は停止される。制御開始スイッチSW1がオン状態の場合は、ブレーキスイッチSW2からの信号を取込む(S3)。ブレーキスイッチSW2がオフ状態の場合は、制御実行フラグfSTARTを1とする(S4)。フラグが1の場合、制御実行となる。ブレーキスイッチSW2がオン状態の場合は、制御実行フラグfSTARTを0とする。
運転者がブレーキペダルを踏んでいる場合は、スロットル開度と変速比では目標車速tVSPに実車両の速度aVSPを追従させることができないため、フラグを0とし、制御を停止する。制御実行フラグfSTARTは、車速制御装置10からエンジン制御装置6、トランスミッション制御装置7に出力され、エンジン制御装置6、トランスミッション制御装置7はフラグに従って以下のように制御される。制御実行フラグfSTARTが1の場合、エンジン制御装置6は車速制御実行状態と判定し、車速制御装置10から出力されたスロットル開度指令値cTVOに基づいたスロットル開度となるようにスロットルアクチュエータ8を制御する。制御実行フラグfSTARTが0の場合、エンジン制御装置6は車速制御停止状態と判定し、アクセル踏込み量APOに応じたスロットル開度を出力するようにスロットルアクチュエータ8を制御する。
同様に、制御実行フラグfSTARTが1の場合、トランスミッション制御装置7は車速制御実行状態と判定し、車速制御装置10から出力された変速比指令値cRATIOに変速比を設定する。制御実行フラグfSTARTが0の場合、トランスミッション制御装置7は車速制御停止状態と判定し、アクセル踏込み量APOと実車速aVSPに応じた変速比を設定する。
アクセル開度補正部70は、図3に示すように路面状況判断部71、不感帯及びフィルタ処理部72より構成され、アクセル踏込み量APを取込み、アクセル開度フィルタ処理値APO'を算出する。
路面状況判断部71は、車両の外部環境から路面状況(凍結等)を検出するものである。その動作を、図4に示したフローチャートに基づいて説明する。まずS1にて本制御の可否を示すスリップフラグSlipFlagの状態を判定する。SlipFlagが0のときは制御禁止、1のときは制御許可を表す。当初はSlipFlagが0であるので、次いでS2以降の、制御を実施すべき走行環境か否かの判定処理に移る。S2では車外気温センサーからの温度検出値tempが所定値以下であるか否か、S3では車外明るさセンサーからの明るさ検出値illumが所定値以下(またはヘッドランプ点灯時)であるか否かを判定する。両者ともに所定値以下であれば、路面凍結の可能性が高いと推定されるので、次いでS4以下のコーナー判定処理に移る。
S4〜S5では、道路情報検出手段11から入手した自車からコーナー入口までの距離とそのコーナーの曲率半径の情報に基づき、前記距離が所定値よりも小さいか否か、コーナーの曲率半径(R)が所定値よりも小さいか否かを判定する。両者とも所定値以下の場合にS6にてスリップフラグSlipFlagを1に設定して本制御を許可する。
前記S2からS5の何れかでも条件が満たされなかった場合は、何もせずに今回の処理は終了する。最初の判定S1にてスリップフラグSlipFlagが1であった場合は、本制御の実行中であるので、終了判定処理として、S7にて車両情報検出手段11からの情報に基づき、車両がコーナーを通過したか否かを判定し、通過していなければスリップフラグSlipFlagを1のまま維持して本制御を継続させ、通過していればS8にてSlipFlagを0に設定して本制御を終了させる。
なお、前記S2,S3での外気温度と明るさの所定値としては、たとえばそれぞれ0℃、0.2ルクスとする。前記明るさの基準値は、山間部など道路照明が整備されていない状況下で運転者が目視で路面凍結状態の有無を判定することが困難な場合を想定しており、必ずしも固定された値ではない。なお凍結状態を判定する手段としては、前記以外にも、路面に光を照射し、その反射光および路面温度等から凍結状態を検出するようにしてもよい。また、交通情報から入手した凍結情報を用いてもよい。
アクセル開度補正部の不感帯及びフィルタ処理部72は、アクセル踏み込み量APOから、不感帯処理を施したアクセル開度補正値APOhysを求め、ローパスフィルタ処理を行い、アクセル開度フィルタ処理値APO'を求める。不感帯処理は、図5-1に例示するように、アクセル開度がヒステリシス幅内で変動している場合は、一定値を出力し(下記(c))、ヒステリシス幅を逸脱した時だけ、その逸脱分だけ値が変化するようにする(下記(a)(b))。
(a)(APO-APOhys)≧HYSの場合 APOhys=APO-HYS
(b)(APO-APOhys)<-HYSの場合 APOhys=APO+HYS
(c)上記条件以外の場合 APOhys=前回値
ただし、APO:処理前のアクセル開度
APOhys:ヒステリシス処理後のアクセル開度
HYS:ヒステリシスの大きさ
ヒステリシス幅は、コーナーからの距離または、コーナーの半径の大きさ、操舵角の大きさに応じて切り替えてもよい。すなわち、車両からコーナーまでの距離が小であるほど、またはコーナーの半径が小であるほど、または車両の操舵角が大であるほど、前記不感帯の幅を大きく設定するものとすれば、スリップしやすい条件であるほど不感帯の幅が大きくなるので、それだけスリップの発生を抑制しやすくなる。図5-2は操舵角に応じて不感帯幅を設定するようにした例である。
フィルタ処理は、図6-1に示すように、不感帯処理を施したアクセル開度補正値APOhysに対してローパスフィルタ処理を行う。一次遅れのローパスフィルタでは、最初の立ち上がり時の傾斜が急になる傾向があるので、二次遅れ以上のローパスフィルタが望ましい。ローパスフィルタの時定数、固有角周波数、減衰率は、前記と同様の理由から、コーナーからの距離または、コーナーの半径の大きさ、操舵角の大きさに応じて切り替えてもよい。図6-2、図6-3は、それぞれコーナーの半径に応じて固有角周波数と減衰率を設定するようにした例である。
目標車速算出部30は、図7に示すように目標加速度決定部31、積分処理部32より構成され、制御実行フラグfSTART、実車速aVSP、アクセル開度フィルタ処理値APO'を取り込み、目標車速tVSPを算出する。
目標加速度決定部31は、アクセル開度フィルタ処理値APO'と積分処理部32で算出された目標車速tVSPから図8に示すマップをもとに目標加速度tACCを決定する。図8に示されるように目標加速度tACCは、アクセル踏込み量が大きいほど大きくなる。また車速が高くなるほど走行抵抗は大きくなり、実現可能な加速度は小さくなることに対応するため、図8では同じアクセル踏込み量であれば、車速が高いほど、目標加速度は小さくなるように設定されている。
積分処理部32は、制御実行フラグfSTART、実車速aVSP、目標加速度tACCをもとに目標車速tVSPを算出する。図9に積分処理部32の処理内容を示す。制御実行フラグfSTARTが0の場合、つまり制御開始スイッチSW1がオフ状態、またはブレーキペダルが踏まれている場合は、目標車速tVSPと、前回値を実車速aVSPで初期化する(S1〜S2)。制御実行フラグfSTARTが1の場合、つまり制御開始スイッチSWlオンかつブレーキペダルが踏まれていない場合は、tVSPの前回値に目標加速度tACCを加算して目標車速aVSPとする(S1〜S3)。
目標車速tVSP算出後、tVSP前回値を目標車速tVSPで更新する。目標車速tVSPは車速制御部40に出力される。
図10に車速制御部40の構成を示す。車速制御部40はフィードフォワード制御部(以下F/F制御部と表す)とフィードバック制御部(以下F/B制御部と表す)からなる2自由度制御系で構成されている。車速制御部40は、目標車速tVSPを入力とし出力を自車速aVSPとした場合の伝達特性が図10の規範モデル42の伝達特性となるようにF/F制御部とF/B制御部を用いて制御を行う。規範モデル42の伝達関数GT(s)は、次式(1)で表される。
Figure 2006144650
すなわち、規範モデル42の伝達特性GT(s)は時定数τHの1次のローパスフィルタと無駄時間LYからなる。ここでsはラプラス演算子を表す。
制御対象の車両モデルは、駆動トルク指令値を操作量とし、車速を制御量としてモデル化することによって、車両のパワートレインの挙動は図11に示す簡易非線形モデルで表すことができ、次式(2)で表される。
Figure 2006144650
ここで、Mは車両質量、Rtはタイヤ動半径、Lpは無駄時間を表す。駆動トルク指令値を入力とし、車速を出力とする車両モデルは積分特性となる。ただし、制御対象の特性にはパワートレイン系の遅れにより無駄時間も含まれることになり、使用するアクチュエータやエンジンによって無駄時間Lpは変化する。
F/F制御部は位相補償器41で構成され、F/F指令値は目標車速tVSPを入力とし実車速aVSPを出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた1次遅れと無駄時間要素を持つ所定の伝達特性GT(s)の特性に一致させる。制御対象の無駄時間を無視して、規範モデル42の伝達特性GT(s)を時定数τHの1次のローパスフィルタとすると、位相補償器41の伝達特性Gc(s)は、次式(3)で表される。
Figure 2006144650
F/B制御部は規範モデル42とフィードバック補償器43より構成される。規範モデル42から出力される規範応答Vrefと自車速aVSPとの差をフィードバック補償器43の入力とし、F/B指令値を算出する。F/B指令値により外乱やモデル化誤差による影響を抑える。フィードバック補償器の一例として図10に示されるように比例ゲインKPと積分ゲインKIからなるPI補償器がある。
実変速比算出部50は、自車速aVSPとエンジン回転数aNEより次式(4)に従って実変速比aRATIOを算出する。Gfは車両のファイナルギヤ比、Rtはタイヤの動半径である。
Figure 2006144650
駆動力分配部60について図12をもとに説明する。駆動力分配部60では、車速aVSP、駆動トルク指令値cTDR、実変速比aRATIOを入力として変速比指令値cRATIOとエンジントルク指令値cTEを算出する。
変速比指令値cRATIOについては、変速比指令値設定部61にて算出される。変速比指令値設定部61では、図13に示されるマップを用いて駆動トルク指令値cTDRと自車速aVSPから変速比指令値cRATIOを決定する。なお、図13は無段変速機を用いた場合のマップを示している。
エンジントルク指令値算出部62では、駆動トルク指令値cTDRと実変速比aRATIOより次式(5)に従ってエンジントルク指令値cTEを算出する。
Figure 2006144650
駆動力分配部60にて算出された変速比指令値cRATIOは、図1に示されるとおり、トランスミッション制御装置7へ出力される。エンジントルク指令値cTEは、エンジン制御装置6へ出力される。
図14は、この実施形態による車両の制御特性を示している。図に記載されていない車外気温、明るさは、前述した路面凍結と推定される条件を満たしているとする。道路のコーナー部の半径は、便宜上その曲率で表現してある。道路半径(1/R)が所定値を超えると、スリップを誘発しやすいコーナーに侵入したと判断し、スリップフラグSlipFlagが1にセットされる。スリップフラグSlipFlagがセットされている間は、アクセル開度の変化量がヒステリシス値より小さければ、アクセル開度フィルタ値にはその変化は反映されない。その後、ステアリング操作による操舵角が所定値を下回ったら、コーナーを通過したと判断しスリップフラグSlipFlagを0にクリアし、アクセル開度に対する不感帯処理およびフィルタ処理を終了する。ただし、アクセル開度フィルタ値が急変しないように、操舵角に応じてヒステリシス値を切り替え、不感帯処理を終了する時にはヒステリシス値がゼロになるようにしている。スリップフラグSIipFlagのクリア後はアクセル開度に応じてアクセル開度フィルタ値も同じように変化する。これにより、路面が滑りやすい危険性が高い時に、運転者の操作ミス等によりアクセルを踏みすぎても目標エンジントルクが変化しないので、車両が不意にスリップする事態を防ぐことができる。
前記実施形態では、コーナー進入時のアクセル操作に対してヒステリシスを設けた不感帯設定によりアクセル開度信号を部分的に無効にする処理と、フィルタ処理によりアクセル開度信号をなます処理とを併用しているが、これらのうち何れか一方のみを適用するようにしてもよい。
また、従来技術の課題として説明したようにコーナー進入時に予め変速機をシフトダウンしておくもの、たとえば前記実施形態の構成において、コーナー判定時に、目標変速比をダウンシフト側に補正する変速比補正手段を設けた場合には、ダウンシフトによりアクセル操作に対する駆動力変化および応答が敏感になるためスリップが誘発されやすく、したがって本発明の適用によりスリップを抑制する効果が顕著である。
また、たとえば高出力エンジンを搭載した車両では、コーナー走行時にラフなアクセル操作を行うと凍結時でなくともスリップが発生しうるので、そのような車両の場合には、凍結の有無を判定することなく(図4のS2,S3の処理を行うことなく)、コーナー判定のみでアクセル開度の補正を行うようにしてもよい。
本発明の一実施形態のシステム構成図。 実施形態の制御開始判定部の動作を示すフローチャート。 実施形態のアクセル開度補正部の論理構成図。 実施形態のアクセル開度補正部の動作を説明するフローチャート。 実施形態の制御において、不感帯幅の設定による制御特性を示す特性図。 実施形態の制御において、不感帯幅を操舵角に応じて設定するためのマップの特性図。 実施形態の制御において、フィルタ処理による制御特性を示す特性図。 実施形態の制御において、フィルタの固有角周波数をコーナーの半径に応じて設定するためのマップの特性図。 実施形態の制御において、フィルタの減衰率をコーナーの半径に応じて設定するためのマップの特性図。 実施形態の目標車速算出部の論理構成図。 実施形態の制御において、実車速とアクセル踏み込み量とから目標加速度tACCを与えるマップの特性図。 実施形態の積分処理部の動作を示すフローチャート。 実施形態の車速制御部の論理構成図。 駆動トルク指令値を操作量、車速を制御量として車両のパワートレインの挙動を示す簡易非線形モデルの説明図。 実施形態の駆動力分配部の論理構成図。 実施形態の制御において、駆動トルク指定値と実車速とから変速比指令値を付与するマップの特性図。 実施形態による制御特性を示したタイミングチャート。
符号の説明
3 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)
6 エンジン制御装置
7 トランスミッション制御装置
10 車速制御装置
11 道路情報検出手段
12 外気温度センサ(気温検出手段)
20 エンジン制御装置
30 目標車速算出部
40 車速制御部
50 実変速比算出部
60 駆動力分配部
70 アクセル開度補正部

Claims (7)

  1. アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記アクセル開度検出手段からのアクセル開度信号を用いて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標出力と変速機の目標変速比を設定して車両の駆動力配分を設定する駆動力配分設定手段とを備えた車両の駆動力制御装置において、
    車両前方のコーナーを判定する道路情報検出手段と、
    車両走行中に前方にコーナーがあることを判定したときに前記アクセル開度信号を補正するアクセル開度補正手段とを設け、
    前記アクセル開度補正手段は、前記コーナー判定後に、アクセル開度が所定の不感帯域内で変化しているときは、当該不感帯域内での変化前のアクセル開度信号を前記目標駆動トルク設定手段に付与するように構成されていることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記アクセル開度を用いて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標出力と変速機の目標変速比を設定して車両の駆動力配分を設定する駆動力配分設定手段とを備えた車両の駆動力制御装置において、
    車両前方のコーナーを判定する道路情報検出手段と、
    車両走行中に前方にコーナーがあることを判定したときに前記アクセル開度信号を補正するアクセル開度補正手段とを設け、
    前記アクセル開度補正手段は、前記コーナー判定後に、アクセル開度信号を遅れ補正して前記目標駆動トルク設定手段に付与するように構成されていることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  3. 前記駆動力配分設定手段は、コーナー判定時に、前記目標変速比をダウンシフト側に補正する変速比補正手段を備える請求項1または請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記アクセル開度補正手段は、路面の凍結状態を推定する凍結推定手段を備え、路面凍結を推定したときに前記アクセル開度の補正を行う請求項1または請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記凍結推定手段は、車外の気温と明るさを検出する手段を備え、外気温度と明るさが共に所定値以下のときに凍結の発生を推定するように構成されている請求項4に記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記アクセル開度補正手段は、車両からコーナーまでの距離が小であるほど、またはコーナーの半径が小であるほど、または車両の操舵角が大であるほど、前記不感帯の幅を大きく設定するように構成されている請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  7. 前記アクセル開度補正手段は、車両からコーナーまでの距離が小であるほど、またはコーナーの半径が小であるほど、または車両の操舵角が大であるほど、前記遅れ補正量を大きく設定するように構成されている請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010112397A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Nissan Motor Co Ltd 無段変速機の変速制御装置
JP2010255718A (ja) * 2009-04-23 2010-11-11 Toyota Motor Corp 車両用駆動力制御装置
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