JP2006144185A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪 Download PDF

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JP2006144185A JP2004338186A JP2004338186A JP2006144185A JP 2006144185 A JP2006144185 A JP 2006144185A JP 2004338186 A JP2004338186 A JP 2004338186A JP 2004338186 A JP2004338186 A JP 2004338186A JP 2006144185 A JP2006144185 A JP 2006144185A
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Abstract

【課題】 通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供する。
【解決手段】 ポリエステルに臭素含有難燃剤およびマイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルに臭素含有難燃剤およびマイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子を含んでなる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特長を生かしてモダクリルが多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不十分であった。近年になり、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、人工毛髪素材として使用するにあたっては、安全性の観点から難燃性付与が必要となってきている。従来のポリエステル繊維は、易燃性であるため、ポリエステル繊維の難燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を配合または共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4)。しかしながら、人工毛髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献5)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献6)などが提案されている。前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
また、難燃助剤としてアンチモン化合物を添加して、難燃性向上を図ることが提案されているが(特許文献7、8)、繊維において実施した場合、溶融粘度低下により紡糸加工性が不安定になったり、アンチモン粒子による糸切れなどが発生する。
このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、難燃性に優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報 特許第2693331号公報 特開2002−128998号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルに臭素含有難燃剤およびマイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素含有難燃剤(B)5〜30重量部、マイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子(C)0.5〜10重量部を溶融混練して得られる組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪であり、好ましくは、(A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである上記ポリエステル系人工毛髪、(B)成分が、臭素化芳香族系化合物、臭素含有リン酸エステル系化合物、臭素化ポリスチレン系化合物、臭素化ベンジルアクリレート系化合物、臭素化エポキシ系化合物、臭素化フェノキシ系化合物、臭素化ポリカーボネート系化合物、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である上記ポリエステル系人工毛髪、(C)成分が、熱硬化性樹脂および/または無機材料を用いてマイクロカプセル化されている上記ポリエステル系人工毛髪であり、さらには、(C)成分に含まれるアンチモン化合物微粒子が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である上記ポリエステル系人工毛髪、(C)成分に含まれる熱硬化性樹脂および/または無機材料が、(C)成分100重量%中、5〜30重量%である上記ポリエステル系人工毛髪に関する。
また、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪は、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましい。
ポリエステルとアンチモン化合物を溶融混練すると、エステル交換または加水分解が起こりやすく、分子量および溶融粘度が低下する。特に、三酸化アンチモンは、ポリエチレンテレフタレートの重縮合および解重合の触媒として使用されることもあり、その傾向は顕著である。このような分子量および溶融粘度の低下は、ポリエステルとアンチモン化合物が接触することにより、アンチモン化合物が触媒として作用して発生する。したがって、これらを抑制するためには、ポリエステルとアンチモン化合物が直接接触しないようにすることが有効である。本発明においては、アンチモン化合物微粒子をマイクロカプセル化することにより、アンチモン化合物微粒子表面がコーティングされた状態を作り、分子量および溶融粘度の低下を抑制することに成功した。
本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪が得られる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、臭素含有難燃剤(B)およびマイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子(C)を含んでなる組成物を溶融紡糸した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。
前記主体とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
(A)成分の固有粘度としては、0.5〜1.4、さらには0.6〜1.2であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられる臭素含有難燃剤(B)にはとくに限定はなく、一般に用いられている臭素含有難燃剤であれば使用することができる。
(B)成分の具体例としては、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダンなどの臭素化芳香族類、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル類、下記一般式(1)で表される臭素化ポリスチレン類、下記一般式(2)で表される臭素化ポリベンジルアクリレート類、下記一般式(3)で表される臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化フェノキシ樹脂、下記一般式(4)で表される臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2006144185
(式中、Yは1〜5、nは5〜200を示す)
Figure 2006144185
(式中、mは5〜100を示す)
Figure 2006144185
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、アリール基、アラルキル基、反応性基を含む炭化水素基、臭素含有アリール基、または臭素含有アラルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい、pは1〜80を示す)
Figure 2006144185
(式中、R2は水素または臭素原子であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい、qは1〜80を示す)
これらの中では、臭素含有リン酸エステル系化合物、臭素化ポリスチレン系化合物、臭素化ベンジルアクリレート系化合物、臭素化エポキシ系化合物、臭素化ポリカーボネート系化合物、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物が好ましい。
上記(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、5〜30重量部が好ましく、6〜25重量部がより好ましく、7〜20重量部がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が不十分となり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる。
(B)成分を配合することにより難燃性は発現されるが、シリコーン系の繊維処理剤を使用した場合や可燃性繊維と混合使用した場合には、十分な難燃性を得るには至らないが、(C)成分を配合することにより難燃効果が著しく向上し、十分な難燃性を得ることができる。
本発明の(C)成分に含まれるアンチモン化合物微粒子にはとくに限定はなく、一般に用いられているアンチモン化合物微粒子であれば使用することができる。
アンチモン化合物の具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。混合物の紡糸加工性の点から、アンチモン酸ナトリウムが好ましい。
アンチモン化合物微粒子の平均粒子径は12μm以下が好ましく、10μmがより好ましく、8μmがさらに好ましい。
本発明で用いられる(C)成分は、アンチモン化合物微粒子が、その表面を熱硬化性樹脂及び/または無機材料を用いてマイクロカプセル化されている。
マイクロカプセル化に使用される熱硬化性樹脂には特に限定はなく、一般に用いられているものであれば使用することができ、たとえば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール・ホルマリン系樹脂、尿素・ホルマリン系樹脂、メラミン・ホルマリン系樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
また、マイクロカプセル化に使用される無機材料には特に限定はなく、一般に用いられているものであれば使用することができ、たとえば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、水酸化スズ、水酸化セリウムなどが挙げられる。
さらに、無機材料で被覆されたものの上に、熱硬化性樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処理したものも使用できる。
マイクロカプセルの製造方法は、公知の方法で製造することができ、たとえば、「新版マイクロカプセルその製法・性質・応用(三共出版株式会社)」に記載されている方法等を採用することができ特に限定されるものではなく、アンチモン化合物の種類、熱硬化性樹脂、無機材料の種類に応じて適宜選択することができる。
本発明で用いられる(C)成分は、平均粒子径が2〜20μmが好ましく、2.5〜18μmがより好ましく、3〜15μmがさらに好ましい。平均粒子径が2μmより小さいと取り扱いが非常に悪く、20μmより大きいと強度、燃焼性、外観等が悪くなる。
(C)成分に含まれる熱硬化性樹脂および/または無機材料は、(C)成分100重量%中、5〜30重量%が好ましく、8〜25重量%がより好ましく、10〜20重量%がさらに好ましい。熱硬化性樹脂および/または無機材料の含有量が5重量%より小さいと取り扱いが非常に悪く、30重量%より大きいと強度、難燃性、外観等が悪くなる。
(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましく、0.6〜9重量部がより好ましく、0.7〜8重量部がさらに好ましい。使用量が0.5重量部より少ないと、難燃効果の向上が小さく、10重量部より多いと、加工安定性、外観性、透明性が損なわれる。
本発明に使用するポリエステル系組成物は、たとえば、(A)、(B)および(C)成分をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明のポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
このようにして得られる本発明のポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪に適している。また、人工毛髪としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有している。
本発明のポリエステル系人工毛髪が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、繊維表面の凹凸により、適度に艶消されており、人工毛髪として使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(紡糸加工性)
ポリエステル系組成物を溶融紡糸した時の紡出糸の状態を評価する。
○:糸切れ、繊度むらがなく、トウ性状が良好である。
△:糸切れはないが、若干の繊度むらがある。
×:糸切れが発生する。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重3.4×10-3N×繊度(dtex)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(透明性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、標準フィラメント(ポリエチレンテレフタレートからなる総繊度10万dtexのトウフィラメント)と比較評価する。
○:標準フィラメントと同レベルである。
△:標準フィラメントに比べ、わずかに濁りがある。
×:標準フィラメントに比べ、明らかに濁りがある。
(触感)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面のベタツキ感を評価する。
○:ベタツキ感なし。
△:若干ベタツキ感がある。
×:ベタツキ感がある。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価する。
−燃焼性−
◎:残炎時間が0秒(着火しない)。
○:残炎時間が3秒未満。
△:残炎時間が3〜10秒。
×:残炎時間が10秒以上。
−限界酸素指数−
16cm/0.25gのフィラメントを秤量し、端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかける。十分に撚りがかかったら、試料の真中を二つに折り2本を撚り合わせる。端をセロテープで止め、全長7cmになるようにする。105℃で60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥する。乾燥したサンプルを所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で上部より着火し、着火後点火器を離す。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数(LOI)とする。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
−融着−
○:なし。
△:若干あり。
×:あり。
−縮れ/糸切れ−
○:なし。
△:若干あり。
×:あり。
−ロッドアウト−
○:アイロンロッドが抵抗なく抜ける。
△:若干抵抗がある。
×:抵抗があり、抜け難い。
−セット性−
○:セットが付きやすく、カールが安定している。
△:セットは付く安いが、若干カールが崩れる。
×:セットが付き難い、または、カールが崩れる。
次に、本実施例に使用する(C)成分の製造例1〜3を示す。
(製造例1)
三酸化アンチモン(PATOX−U、平均粒子径0.02μm、日本精鉱(株)製)100gと、フェノール樹脂(レジトップPGA−2165、群栄化学(株)製)10gを表面改質装置(ハイブリタイザーNHS−1型、(株)奈良機械製作所製)に投入して、窒素雰囲気下、5000rpm×5分間の処理を行い、フェノール樹脂でマイクロカプセル化された平均粒子径4.5μmの三酸化アンチモン微粒子(C−1)を得た。
(製造例2)
三酸化アンチモン(PATOX−P、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製)500gを5リッターの蓋付きビーカーにとり、トルエン3リッターを加えて攪拌する。この該溶液にエポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)50gを添加して、常温で30分間攪拌する。次いで、予めトルエン50ccに無水系硬化剤(エピキュア306、ジャパンエポキシレジン(株)製)30gを溶解した溶液を添加して、100℃で5時間攪拌を行った。反応終了後、減圧乾燥によりトルエンを回収してエポキシ樹脂でマイクロカプセル化された平均粒子径9.0μmの三酸化アンチモン微粒子(C−2)を得た。
(製造例3)
アンチモン酸ナトリウム(NA−1070L、平均粒子径3.5μm、日産化学工業(株)製)500gを5リッターの蓋付きビーカーにとり、クロロホルム3リッターを加えて攪拌する。この該溶液に不飽和ポリエステル(エポラックG−753PTW、日本触媒(株)製)50gを添加して、常温で30分間攪拌する。次いで、予めクロロホルム50ccに硬化触媒メチルエチルケトンパーオキサイド(Cat−M、日本触媒(株)製)0.5gを溶解した溶液を添加して、常温で60分間攪拌を行った。反応終了後、減圧乾燥によりクロロホルムを回収して不飽和ポリエステルでマイクロカプセル化された平均粒子径11.5μmのアンチモン酸ナトリウム微粒子(C−3)を得た。
(実施例1〜7)
表1に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006144185
*1:ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製
*2:トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、大八化学工業(株)製
*3:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製
*4:臭素化ポリカーボネート系難燃剤、帝人化成(株)製
*5:三酸化アンチモン、平均粒子径0.02μm、日本精鉱(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2006144185
(比較例1〜3)
表1に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、実施例と同様にして、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2006144185
表2、表3に示したように、比較例に対し、実施例では、マイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子を使用することで、紡糸加工性、透明性、触感、アイロンセット性などの低下がなく、高い難燃性を示すことが確認された。従って今回のマイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子を含む組成物を使用した人工毛髪用繊維は、従来の人工毛髪用繊維に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、紡糸加工性、透明性、触感、セット性、難燃性が改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることを確認した。

Claims (8)

  1. ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素含有難燃剤(B)5〜30重量部、マイクロカプセル化されたアンチモン化合物微粒子(C)0.5〜10重量部を溶融混練して得られる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  2. (A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  3. (B)成分が、臭素化芳香族系化合物、臭素含有リン酸エステル系化合物、臭素化ポリスチレン系化合物、臭素化ベンジルアクリレート系化合物、臭素化エポキシ系化合物、臭素化フェノキシ系化合物、臭素化ポリカーボネート系化合物、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  4. (C)成分が、熱硬化性樹脂および/または無機材料を用いてマイクロカプセル化されている請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  5. (C)成分に含まれるアンチモン化合物微粒子が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  6. (C)成分に含まれる熱硬化性樹脂および/または無機材料が、(C)成分100重量%中、5〜30重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  7. (C)成分のマイクロカプセルの平均粒子径が2〜20μmである請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  8. 単繊維繊度が10〜100dtexである請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
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