JP2006070405A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪 Download PDF

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JP2006070405A JP2004257765A JP2004257765A JP2006070405A JP 2006070405 A JP2006070405 A JP 2006070405A JP 2004257765 A JP2004257765 A JP 2004257765A JP 2004257765 A JP2004257765 A JP 2004257765A JP 2006070405 A JP2006070405 A JP 2006070405A
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Toshiyuki Masuda
増田  敏幸
Hiroyuki Shinbayashi
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Abstract

【課題】
通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供する。
【解決手段】
ポリエステルと、臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物とからなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルに臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物を含んでなる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特長を生かしてモダクリルが多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不十分であった。近年になり、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、人工毛髪素材として使用するにあたっては、安全性の観点から難燃性付与が必要となってきている。従来のポリエステル繊維は、易燃性であるため、ポリエステル繊維の難燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を配合または共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4)。しかしながら、人工毛髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献5)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献6)などが提案されている。前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、難燃性に優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルに臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物(B)5〜30重量部からなる組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪であり、好ましくは、(A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである上記ポリエステル系人工毛髪、(B)成分の臭素含有難燃剤とアンチモン化合物の混合重量比が、98/2〜70/30である上記ポリエステル系人工毛髪、(B)成分で用いられる臭素含有難燃剤が、臭素化芳香族系難燃剤、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である上記ポリエステル系人工毛髪、(B)成分で用いられる臭素含有難燃剤が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアンチモン化合物である上記ポリエステル系人工毛髪に関する。
また、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪は非捲縮生糸状であり、原着されており、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましい。
ポリエステルとアンチモン化合物を溶融混練すると、エステル交換または加水分解が起こりやすく、分子量および溶融粘度が低下する。特に、三酸化アンチモンは、ポリエチレンテレフタレートの重縮合および解重合の触媒として使用されることもあり、その傾向は顕著である。このような分子量および溶融粘度の低下は、ポリエステルとアンチモン化合物が接触することにより、アンチモン化合物が触媒として作用して発生する。したがって、これらを抑制するためには、ポリエステルとアンチモン化合物が直接接触しないようにすることが有効である。本発明においては、臭素含有難燃剤中にアンチモン化合物を分散させることにより、アンチモン化合物表面がコーティングされた状況を作り、分子量および溶融粘度の低下を抑制することに成功した。また、アンチモン化合物を臭素含有難燃剤中に分散させることにより、接炎時に臭素含有難燃剤の分解を促進し、極めて高い難燃性の発現を可能としている。したがって、本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、加工安定性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪が得られる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物(B)を含んでなる組成物を溶融紡糸した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。
前記主成分とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
(A)成分の固有粘度としては、0.5〜1.4、さらには0.6〜1.2であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられる臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物(B)は、臭素系難燃剤とアンチモン化合物を予め混練したものであれば、その方法は特に限定なく、公知の方法で混練することができる。たとえば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて予め混練して調製することができる。また、臭素含有難燃剤を溶剤に溶解させ、その中にアンチモン化合物を混練することもできる。これらの方法の中では、混練工程の簡便さ、コスト、有機溶剤などの揮発分を含まない物が得られるなどの点から、溶融混練することが好ましい。
(B)成分で用いられる臭素含有難燃剤には、とくに限定はなく、一般に用いられており、溶融混練可能な臭素含有難燃剤であれば使用することができる。
臭素含有難燃剤の具体例としては、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル類、一般式(1)で表される臭素化ポリスチレン類、一般式(2)で表される臭素化ポリベンジルアクリレート類、一般式(3)で表される臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化フェノキシ樹脂、一般式(4)で表される臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2006070405
(式中、Yは1〜5、nは5〜200を示す)
Figure 2006070405
(式中、mは5〜100を示す)
Figure 2006070405
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、アリール基、アラルキル基、反応性基を含む炭化水素基、臭素含有アリール基、または臭素含有アラルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい、pは1〜80を示す)
Figure 2006070405
(式中、R2は水素または臭素原子であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい、qは1〜80を示す)
これらの中では、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物が好ましい。
(B)成分で用いられるアンチモン化合物には、とくに限定はなく、一般に用いられているアンチモン化合物であれば使用することができる。
アンチモン化合物の具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、必要に応じてエポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
(B)成分は、臭素系難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物であり、その混合重量比は、98/2〜70/30が好ましく、95/5〜75/25がより好ましく、90/10〜80/20がさらに好ましい。混合重量比が98/2を超えると、臭素含有量に対しアンチモン化合物含有量が少なくなるため、難燃効果の向上が小さく、70/30を超えると、臭素含有量に対し過剰にアンチモン化合物が含まれることになり、機械的特性などの物性低下を引起す傾向がある。
本発明で用いられる(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、5〜30重量部が好ましく、6〜28重量部がより好ましく、7〜25重量部がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が不十分となり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる。
本発明に使用するポリエステル系組成物は、たとえば、(A)成分と、予め混練した(B)成分をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明のポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
このようにして得られる本発明のポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪に適している。ドールヘアーに用いる場合には、10〜30dtex、さらには10〜20dtexであるのが好ましく、繊維断面形状が扁平、ドッグボーン形、メガネ形、リボン形などの場合には、触感や腰の強さ(弾力性)などを得るためには、70〜100dtex、さらには70〜90dtexであるのが好ましい。
また、人工毛髪としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、繊維表面の凹凸により、適度に艶消されており、人工毛髪として使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重1/30gF×繊度(デニール)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価する。
−燃焼性−
◎:残炎時間が0秒(着火しない)
○:残炎時間が3秒未満
△:残炎時間が3〜10秒
×:残炎時間が10秒以上
−耐ドリップ性−
◎:ドリップ数が0
○:ドリップ数が5以下
△:ドリップ数が6〜10秒
×:ドリップ数が11以上
(限界酸素指数)
16cm/0.25gのフィラメントを秤量し、端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかける。十分に撚りがかかったら、試料の真中を二つに折り2本を撚り合わせる。端をセロテープ(登録商標)で止め、全長7cmになるようにする。105℃で60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥する。乾燥したサンプルを所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で上部より着火し、着火後点火器を離す。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数とする。
(カールセット性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、120℃、相対湿度100%で60分間のスチーム加工条件でカールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、カールの状態を目視評価する。これをカールの付きやすさの指標とし、長さが短く、形良くカールが付いているものが好ましい。
○:形良くカールが付いている
△:若干カールが伸びている
×:カールが伸びて、形が崩れている。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、櫛通り、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
(製造例1〜7)
表1に示す比率の組成物を水分量100ppm以下に乾燥し、ドライブレンドし、二軸押出機に供給し、250℃で溶融混練し、ペレット化して、組成物(B)を得た。
Figure 2006070405
*1:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製
*2:臭素化フェノキシ樹脂難燃剤、東都化成(株)製
*3:三酸化アンチモン、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製
*4:三酸化アンチモン、平均粒子径0.02μm、日本精鉱(株)製
(実施例1〜10)
表2に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルは(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006070405
*5:ポリエチレンテレフタレート、日本ユニペット(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2006070405
(比較例1〜3)
表5に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、実施例と同様にして、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
*5:ポリエチレンテレフタレート、日本ユニペット(株)製
*2:臭素化フェノキシ樹脂難燃剤、東都化成(株)製
*4:三酸化アンチモン、平均粒子径0.02μm、日本精鉱(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表4に示す。
Figure 2006070405

Figure 2006070405
表3および4に示したように、比較例に対し、実施例では、臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物を使用することにより、セット性、触感、透明性、加工安定性の低下がなく、極めて高い難燃性を示すことが確認された。従って今回の臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を溶融混練して得られる組成物を使用した人工毛髪用繊維は、従来の人工毛髪用繊維に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、透明性、触感、セット性、難燃性が改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることを確認した。

Claims (6)

  1. ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素含有難燃剤とアンチモン化合物を予め混練して得られる組成物(B)5〜30重量部からなる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  2. (A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  3. (B)成分の臭素含有難燃剤とアンチモン化合物の混合重量比が、98/2〜70/30である請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  4. (B)成分で用いられる臭素含有難燃剤が、臭素化芳香族系難燃剤、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  5. (B)成分で用いられる臭素含有難燃剤が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアンチモン化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  6. 単繊維繊度が10〜100dtexである請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100714782B1 (ko) 2006-06-29 2007-05-04 (주)우노파이버 난연성 열가소성 폴리에스테르 가발 원사의 제조 방법
CN112617334A (zh) * 2020-12-21 2021-04-09 安徽帝发发制品有限公司 一种假发的生产装置及方法

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