JP2006144112A - Ga系合金及びこれを用いた有機機能素子 - Google Patents

Ga系合金及びこれを用いた有機機能素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機機能素子の電極において、蒸着を用いること無く電極を形成でき、大型化が容易で製造コストが低減でき、また、撓みに対して電極断線することの無い高い信頼性を有する電極形成用の金属材料であるとともに、高い電子注入機能を有する電極形成用の金属材料、及びその金属材料を用いた有機機能素子を提供する。
【解決手段】 融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

発明の分野
本発明は、電極形成用の金属材料に関し、更に詳細には、蒸着を用いること無く電極を形成でき、大型化が容易で製造コストが低減でき、また、撓みに対して電極断線することの無い高い信頼性を有する電極形成用の金属材料であるとともに、高い電子注入機能を有する電極形成用の金属材料、及びその金属材料を用いた有機機能素子に関する。
有機半導体素子、有機薄膜トランジスタ素子(以下、有機TFT素子という)、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)等の有機機能素子では、より多くの電荷、特に電子を有機材料層に注入することが重要である。
仕事関数の低い物質は良好な電子注入効果を有するため、電子注入層として、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好適に使用される。従来、有機EL素子等の電子注入層としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とこれら以外の金属とを、一般的に蒸着等により積層させることにより形成されている(例えば、特許文献6、7、8参照)。
上記の特許文献に開示された技術は、真空蒸着により電極を形成するものである。例えば、多種類の金属を独立の蒸着源として、共蒸着によりアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する合金領域を発光層近傍に形成するものであり、また、他の技術は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と他の金属の合金を用いてはいるが、合金をターゲット材として蒸着法やスパッタ法により電極を形成するものである。
しかしながら、アルカリ金属やアルカリ土類金属は、大気中での酸化性、燃焼性が強く不安定であるといった性質を有するため、取り扱いが難しく、蒸着等による真空下での成膜のみによってしか電子注入層を形成することができなかった。このような問題は、有機EL素子だけに限られず、有機材料層と電極から構成される有機機能素子全般において同様の問題がある。
EL層の形成方法としては、一般に、EL層の材料として低分子材料を使う場合にはマスクを使った真空蒸着法が用いられ、高分子材料では溶液化してインクジェット法やスピン塗布法、印刷法、転写法等が用いられる。近年では塗布可能な低分子材料も報告されている。
このうち、低分子材料のマスク真空蒸着法では、真空装置及び蒸着マスクの大型化が難しいという制約から、大型化への対応及び大型基板を用いての多数枚作成が困難であるという問題がある。これは開発段階での試作程度の規模であれば問題が無いが、本格的な生産段階ではタクトやコストの面で市場競争力が弱いことを意味している。
一方、高分子材料や塗布可能な低分子材料では、インクジェット法、印刷法、キャスト法、交互吸着法、スピン塗布法、ディップ法等の湿式プロセスによる成膜ができるため、上記の大型基板対応への問題が少なく、有機EL素子の形成方法として塗布プロセスが有望である。例えば、透明電極上に、特許文献2に記載されている高分子有機EL材料であるPPV(ポリフェニレンビニレン)を有機溶媒に溶解させてスピン塗布することにより、EL層を形成することができる。
例えば、AlやAg等の低仕事関数金属を真空蒸着により成膜して陰電極とする。しかしながら、上記の製造方法では陰電極を蒸着成膜するため、特に陰電極の形成工程にだけ大掛かりな真空装置が必要となる。また、真空引きのために製造タクトが滞ったりするため、塗布成膜できる有機EL材料の特徴を十分に活かしきれていないという問題があった。
塗布膜から構成される有機ELの別の特徴として可撓性がある。樹脂やプラスチック等の可撓基材を用いて素子を構成すれば柔軟な、いわゆるフレキシブル素子を作製することができる。しかしながら、フレキシブル素子を作製する際においても、従来技術では陰電極が問題となっていた。すなわち、基板、有機材料層を柔軟性がある構造としても、従来の様に蒸着形成された金属薄膜を電極としたのでは、撓ませた時に断線することが避けられなかった。
液体金属であるGa及びGa合金を広義の意味での電極として利用したものとしては、電気的接続手段に用いた発明がある(特許文献3参照)。これは液体金属の接合容易性、剥離容易性に着目してコネクターピンの接点等に利用するものであり、有機機能素子の機能を発現させるために有機材料層に通電又は電界を作用させるための電極として利用することは記載されていない。
また、特許文献4にはGa系液体金属とAgやCuの金属粉を混合することで、加熱硬化するペースト金属が記載されている。当該硬化作用は拡散反応を利用するもので合金反応を生じる拡散領域は数ミクロンのオーダーであり、ペースト塗布厚を10μm以下にしなければならない(特許文献5の段落番号0024を参照)。本発明の製造方法であるスクリーン印刷、メタルマスク印刷、ディスペンサ塗布といった方法はいずれも簡便でコスト競争力のある成膜方法であるが、その様な薄い成膜を行うには適していない。また、ペーストを印刷する際に金属粉が有機EL層を傷つける問題も有る。特許文献4では2μm系のAg粉を用いているが、有機EL層は通常100nm以下の超薄膜であり、有機層剥離の問題は避けられない。これは対向電極間の電気接触であるショートという致命的な故障を引き起こす。また、当然の事ながら硬化させてしまっては断線の問題が避けられない。
近年、平面表示装置(フラットディスプレイ)が多くの分野、場所で使われており、情報化が進む中でますます重要性が高まっている。現在、フラットディスプレイの代表といえば液晶ディスプレイ(LCDとも称する)であるが、LCDとは異なる表示原理に基づくフラットディスプレイとして、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル(PDPとも称する)、ライトエミッティングダイオード表示装置(LEDとも称する)、蛍光表示管表示装置(VFDとも称する)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDとも称する)等の開発も活発に行なわれている。これらの新しいフラットディスプレイはいずれも自発光型と呼ばれるもので、LCDとは次の点で大きく異なりLCDには無い優れた特徴を有している。
LCDは受光型と呼ばれ、液晶は自身では発光することはなく、外光を透過、遮断するいわゆるシャッターとして動作し表示装置を構成する。このため光源を必要とし、一般にバックライトが必要である。これに対して自発光型は、装置自身が発光するため別光源が不要である。LCDのような受光型では、表示情報の様態にかかわらず常にバックライトが点灯し、全表示状態とほぼ変わらない電力を消費することになる。これに対して自発光型は、表示情報に応じて点灯する必要のある箇所だけが電力を消費するだけなので、受光型表示装置に比較して電力消費が少ないという利点が原理的にある。
同様にLCDでは、バックライト光源の光を遮断して暗状態を得るため少量であっても光漏れを完全に無くすことは困難であるのに対して、自発光型では発光しない状態がまさに暗状態であるので理想的な暗状態を容易に得ることができ、コントラストにおいても自発光型が圧倒的に優位である。
また、LCDは液晶の複屈折による偏光制御を利用しているため、観察する方向によって大きく表示状態が変わるいわゆる視野角依存性が強いが、自発光型ではこの問題がほとんど無い。
更に、LCDは有機弾性物質である液晶の誘電異方性に由来する配向変化を利用するため、原理的に電気信号に対する応答時間が1ms以上である。これに対して、開発が進められている上記自発光型の技術では電子/正孔といったいわゆるキャリア遷移、電子放出、プラズマ放電等を利用しているため、応答時間はns桁であり液晶と比べて飛躍的に高速であり、LCDの応答の遅さに由来する動画残像の問題が無い。
これらの中でも特に有機ELの研究が活発である。有機ELはOEL(Organic EL)又は有機ライトエミッティングダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれている。
OEL素子、OLED素子は陽極と陰極の一対の電極間に有機化合物を含む層(EL層)を挟持した構造となっており、タン氏等の「陽電極/正孔注入層/発光層/陰電極」の積層構造が基本になっている(例えば、特許文献1参照。)。また、タン氏等が低分子材料を用いているのに対して、ヘンリー氏等は高分子材料を用いている(例えば、特許文献2参照。)。
また、正孔注入層や電子注入層を用いて効率を向上させたり、発光層に蛍光色素等をドープして発光色を制御することも行なわれている。また、有機ELは10V以下の比較的低電圧駆動で高輝度発光が得られるため、水銀使用の問題がある蛍光灯に変わる照明装置としての応用も期待されている。
図7は、従来の有機EL素子101の基本的な断面構造を示す模式図である。有機EL素子101は、陽電極103と陰電極105の間に、少なくとも発光層(EL層)104を含む有機材料層を挟んだ基本構造を有し、両極間に電場を印加しEL層に電流を通じることで発光させる。発光層104は必要に応じて正孔注入層106又は電子注入層107などの補助的な層を備えた多層構造をとっていてもよい。
通常、有機EL素子101はガラス基板やプラスチック基板等の透光性の基板102上に、EL層のエネルギー準位に対するITO等の透明電極の仕事関数の関係から陽電極103として透明電極を形成してから、発光層104であるEL層、対向電極である陰電極105の順に形成して製造される。このような構成の有機EL素子101では、透明電極(陽電極103)側から発光108を確認することができる。
有機ELをはじめとする有機機能材料には酸素、水分に対する耐性が弱く図7の様な大気暴露した状態では素子特性が著しく劣化する物が多い。そこで、通常は図8に示す様に封止体109を設けて大気から遮断した素子構造としている。図8では封止体109を接着剤110で素子基板に固定して外気から遮断し、更に乾燥剤111を封止体内部に設置することで劣化を防止している。封止体の外部から端子電極を通じて駆動信号を印加できるように対向電極103、105のそれぞれを端子電極103、103’に接続している。
従来、有機EL素子は、一重項励起状態から基底状態に戻る際の蛍光発光のみを利用していたが、最近の研究により三重項励起状態から基底状態に戻る際の燐光発光を有効に利用することができるようになり効率が向上している。
透明電極は、透明基板にITOやIZOの透明導電膜をスパッタリングや真空蒸着することで、その後に行うEL層形成とは別に準備できる。
上記のように自発光型のフラットディスプレイは優れた特徴を有しているが、上記に記載したような大型化への対応及び大型基板を用いての多数枚作成が困難であるという問題や、撓ませた時に電極が断線するという問題などが生じやすい。
特許第1526026号公報 特許第3239991号公報 特開平5−74503号公報 特開2002−8443号公報 特開平6−326411号公報 特開平9−320763号公報 特開平10−12381号公報 特開平11−329746号公報
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、有機TFT素子に代表される有機半導体素子や有機EL素子等の有機機能素子の電極において、蒸着を用いること無く電極を形成でき、大型化が容易で製造コストが低減でき、また、撓みに対して電極断線することの無い高い信頼性を有する電極形成用の金属材料であるとともに、高い電子注入機能を有する電極形成用の金属材料、及びその金属材料を用いた有機機能素子を提供することを目的とするものである。
本発明によるGa系合金は、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有するものである。
また、本発明の別の態様としてのGa系合金の製造方法は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と、In又はSnとの合金を、常温で液体のGa系液体金属に溶解させて、ペースト状のGa系合金を形成するものである。
更に、本発明の別の態様としての有機機能素子は、少なくとも、複数の電極と有機材料層とから構成される有機機能素子であって、前記複数の電極の少なくとも一つが、上記Ga系合金からなるものである。
また、更に本発明の別の態様としての有機機能素子の製造方法は、Ga系合金をペースト状態になるまで加熱する工程と、
前記ペースト状態のGa系合金を、スクリーン印刷法、メタルマスク印刷法、又はディスペンサ塗布法により製膜して、少なくとも一つの電極を形成する工程と、
を含んでなり、
前記Ga系合金が、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有するものである。
本発明のGa系合金によれば、有機材料層上に蒸着等の真空成膜方法を用いることなく電極を形成して、有機機能素子、特に有機EL素子、有機TFT素子を作製することができる。
また、ペースト状態にある金属を用いて有機機能素子の電極を形成するので、蒸着等の気相プロセスによらず、常温又は緩和な加温下で印刷等の塗布法やその他の湿式プロセスによって任意の形状の電極に形成できる。従って、製造コストが安価であると共に、電極のサイズが蒸着装置のサイズに制約されないので、有機機能素子を大型化することができるとともに、製造コスト低減を実現することができる。
また、ペースト状態にある金属により形成された電極は、基板が撓んだ場合でもある程度までは柔軟に追従して変形することができる。従って、電極断線の発生し難い信頼性の高い有機機能素子が得られ、可撓性素子としても好適に利用できる。
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を電極に添加する際に、Ga系液体金属にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を混合したペースト状態にあるGa系合金を用いるため、湿式プロセスに用いて電極を形成することができるため、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の取り扱いが、非常に簡便になる。
また、本発明による有機機能素子によれば、スクリーン版、メタルマスク、ディスペンサによって電極を所定形状に形成することができるため、蒸着等の気相プロセスにおいてマスクを用いたり又は堆積後にエッチングを行うなどの方法と比べて、電極形状の制御が非常に容易である。
また、本発明の有機機能素子は、真空中もしくは不活性気体中で素子作製が出来るため、発光面の発光均一性をより向上させることができ、電極形状も上述したように任意に制御できるため、発光素子としての完成度を向上させることができる。
Ga系合金
本発明によるGa系合金は、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有するものである。
一般的に、「金属ペースト」は、一般的にバインダーとして樹脂を使用して、この樹脂中に金属粉を分散させてペースト(糊)化したものを意味するが、本願明細書における「ペースト状態」とは、樹脂を含有せず、金属のみでペースト状態にあるものを意味する。このように、このペースト状の金属から構成した電極は、樹脂等を含有しないため、優れた電子注入機能を有する。なお、本願明細書中の「電子注入機能」とは、電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能を意味する。
Ga系液体金属は、常温(目安としては5〜45℃)において液体状態であり、常温又は加熱するとしても金属温度50℃程度までの比較的低温で十分な流動性を示すものを意味する。その融点は50℃以下であることが好ましい。Ga系液体金属は、Ga、又は、GaとIn、Sn及びZnから選ばれる1種又は二種以上の金属との合金が好適に使用できる。
Ga系合金は常温での流動性及び毒性が少ない点から好ましく用いられる。本発明において合金とは、二種類以上の金属からなる外見上均一な金属であり、必ずしも異種金属間に金属結合が形成されていることを要しない。また、本発明においてGa系合金はGaを主成分とし、好ましくはGa系合金を構成する金属の40質量%、更に好ましくは50質量%をGaが占める。
Ga単体は融点が30℃、沸点が2400℃と室温から高温にわたり広い温度範囲で液体である。より低温で液体状態を維持し得る金属として、Gaと共に、In,Sn,Znのうちの少なくとも1種類の他金属を必須成分として含むGa系液体金属を使用することができる。本発明において使用可能なGa及びGa系液体金属の一例の組成比と融点を表1に例示する。
Figure 2006144112
なお、本発明のGa系合金を構成する各成分の組成は、予め秤量した各金属成分の仕込み質量か、又はX線回折法、XPS法もしくはその他の適切な方法により測定された組成を意味する。
本発明のGa系合金を構成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、Ca、Li、Na、K、Mg、Rb、Cs、Ba、Be、及びSrから選ばれる1種以上の金属であることが好ましい。
アルカリ金属やアルカリ土類金属は、その融点によって、低融点であるLi(180℃),Na(98℃),K(64℃),Rb(39℃),Cs(29℃)と、高融点であるCa(839℃),Mg(650℃),Ba(725℃),Be(1284℃),Sr(770℃)に大別される。アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属は大気中での酸化燃焼性が強く危険であるため、通常は不活性気体に置換したグローブボックス内で取り扱うことが好ましい。
上記の低融点グループは、比較的安全にグローブボックス内で加熱溶融することができるため、Ga系液体金属に秤量混合する事ができる。一方、高融点グループは、グローブボックス内であっても加熱溶融して直接Ga系液体金属に混合することは熱量が大きいため非常に危険である。このため、予め他の金属との合金を、燃焼を防ぐことができる真空溶融炉内で作製しておき、安定な状態にしてから取り扱う事が好ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、いずれも仕事関数が低く高い電子注入機能を発現させることができるので好ましく、Ca(仕事関数2.87eV)、Li(仕事関数2.4eV)、Na(仕事関数2.36eV)、K(仕事関数2.28eV)、Mg(仕事関数3.66eV)、Rb(仕事関数2.16eV)、Cs(仕事関数2.14eV)、Ba(仕事関数2.52eV)、Be(仕事関数2.45eV)、及び、Sr(仕事関数2.59eV)を好適に使用できる。なお、本発明において各元素の「仕事関数」の値は『J.Appl.Phys.第48巻』(1977年)の第4729頁に記載されているデータ、及びイオン化ポテンシャル測定装置の実測データに基づくものである。
これらの中でも、CaはGa系液体金属に容易に大量混合することができることから特に好ましい。Caは他の金属よりもモル体積が非常に大きく、Ga系液体金属に多量に溶け込むことができると考えられる。また、電力変換効率が高く、素子寿命も長い陰電極を容易に得ることができる。なお、各金属のモル体積の一例を以下に示す。
Ca 26.2×10(m/mol)、
Li 13.0×10−6(m/mol)
Na 23.8×10−3(m/mol)
K 45.9×10−3(m/mol)
Mg 14.0×10−3(m/mol)
Rb 55.8×10−6(m/mol)
Cs 70.9×10−3(m/mol)
Ba 38.2×10−3(m/mol)
Be 4.9×10−3(m/mol)
Sr 33.9×10−3(m/mol)
Caを5〜30質量%含有することにより、下記に説明するように適当なペースト性が得られるとともに、電子注入機能を発現させることができる。また、少量の他のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を混合することで更に高い電子注入機能を付与することができる。
アルカリ金属やアルカリ土類金属と合金を形成する他の金属としては、In又はSnが好ましい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属とIn又はSnとの合金は、大気中、室温でGa系液体金属に溶融するので容易に秤量混合することができる。また、In又はSnはGaに溶融しやすいため、上記の合金がGa系液体金属に溶解しても、In又はSnが固相として分離するとこはなく、均一なペースト状態のGa系合金を製造できる。
高融点グループのアルカリ金属やアルカリ土類金属であっても、直接、真空溶融炉でGa系液体金属と合金化することもできることはいうまでもないが、予め、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とIn又はSnとの合金を準備しておいて、Ga系液体金属にこの合金を混合する方が、濃度調整など条件変更が容易である。
このような方法により得られたGa系合金は、Ga単体よりも低温で液体状態となる(融点が低下する)ため、取り扱いが容易となる。
Ga系液体金属を粘性の強いペースト状にするためには、特に、Caを5〜30質量%含有することが好ましい。Ca濃度をこの範囲とすることで、各種印刷法に適した5〜100Pa・sの 粘度とすることができるとともに、電極として有機EL素子に必要な十分な電子注入機能を発現させることができる。粘度はCa濃度とともにGa系液体合金の種類によっても多少変動する。
ペースト状の金属は、電極を形成する材料として有効である。また、有機機能素子を構成する電極として利用することが特に好ましい。ペースト状の電極は、基板が撓んだ場合でもある程度までは柔軟に追従して変形するため断線に対して有利である反面、硬化していないので何らかの方法でしっかりと固定する必要がある。本発明の有機機能素子の一態様としては、図1に示すように、ペースト状態にあるGa系合金からなる電極を、接着層9で固定封止する素子構造とすることが好ましい。接着層の材料としては2液反応硬化性やUV硬化性等の樹脂接着剤が取り扱いが容易で好ましい。
本発明のGa系合金は、融点が300℃以下の金属を更に含んでなり、常温では固体であり、融点以上の温度でペースト状態となるものであることが好ましい。このように、上記のGa系合金に、融点が300℃以下の金属を更に含有することにより、常温では固体であり、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金を得られる。このようなGa系合金を電極形成に使用することにより、上記のような接着剤層を形成しなくてもよくなる。
上記の好ましい態様のGa系合金は、常温において固体である。加熱するとある温度で軟化し始め、更に加熱すると粘性を有するペースト状態を経て、液体状態に転移する。本願明細書中で「融点」とは、金属が液体状態に転移する温度ではなく、軟化し始める温度(軟化温度)を意味するものとする。
融点が300℃以下の金属を添加するには、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と、In又はSnとの合金を、常温で液体のGa系液体金属に溶解させてペースト状のGa系合金を形成した後、融点が300℃以下の金属が溶融する温度まで加熱し、そのペースト合金中に、前記融点が300℃以下の金属を混合させる。
融点が300℃以下の金属としては、In、Sn、Bi、又はこれらを主成分とする合金が挙げられが、これらの中でもInSnを好適に使用できる。なお、「合金」とは、二種類以上の金属からなる外見上均一な金属であり、必ずしも異種金属間に金属結合が形成されていることを要しない。
本発明のGa系合金に使用できる、融点が300℃以下の金属の一例を表2に示す。
Figure 2006144112
本発明のGa系合金は、その融点を更に超えるような高温においては完全な液体状態となる。従って、「ペースト状態」とは、液体状態と固体状態との中間の粘性領域にある状態と考えられる。本発明においては、ペースト状態にある温度範囲が5℃以上であることが好ましい。この程度の温度幅を有することにより、有機機能素子の製造を安定的に行うことができる。
また、本発明によるGa系合金は、融点50℃以上を有することが好ましい。融点が50℃よりも低温にあると、製造した有機機能素子の電極が、環境変化等により溶融剥離する場合がある。常温では固体であり融点以上の温度でペースト状態となり、上記のような温度特性を有するためには、Ga系合金にCaが5〜30質量%含有していることが好ましい。なお、ペーストの粘度は、Caの含有量だけでなく、融点300℃以下の金属の種類のよっても変化する。
本発明のGa系合金は、上記表1に示すようなGa系液体金属と、上記表2に示すような融点300℃以下の金属と、Ca等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属とを溶融混合することにより得られるが、Caを用いた場合には、Caの燃焼・爆発を防ぐために、真空溶融炉や不活性気体溶融炉内で溶融混合することが好ましい。
具体的には、Ga金属に溶融し易い金属であるInやSnとCaとの合金を予め真空溶融炉内で作製し、これらのCaIn又はCaSn合金をGa系液体金属に溶融させることが、安全面、取り扱い性の観点から好ましい。
Ga系液体金属に、CaInやCaSn合金を浸漬すると、溶解して常温でペースト状態にあるGa系合金を得ることができる。このGa系合金は良好な電子注入機能を有するので、例えば、有機EL層上に塗布すると良好な発光特性を示す。すなわち、有機EL素子やその他の有機機能素子においては、より大きな電流を制御し得るようにするために、電荷注入効率(陽電極では正孔注入効率、陰電極では電子注入効率)が良好な電極であることが好ましく、陰電極には電子を放出し易いという観点から仕事関数の低い金属が使用される。従来の陰電極では代表的な金属として仕事関数4.2eVのAlが好適に使用されている。本発明のGa系合金にあっては、Gaの仕事関数が4.3eVとAlに近いため、ペースト金属としての利点とともに、陰電極としてGa系合金を用いると、陰電極からEL層への電子注入が良好となる利点もある。
また、本発明のGa系合金を構成する、In、Sn、Bi、Ga等の各金属の仕事関数は、それぞれ4.1eV、4.4eV、4.3eV、4.3eVとAlの仕事関数に近いため、本発明のGa系合金は、上記のような電極形成の製造面の有利さだけでなく、電子注入機能の面から有利である。
本発明のGa系合金にあっては、必要に応じて他の金属が含まれていても良く、例えば、陰電極の電子注入効率を向上させるために、仕事関数が低い物質として、Ca以外のアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種類を陰電極に混合することができる。これらの中でも、Li、Na、K、Mg、Rb、Cs、Ba、Be、及びSrから選ばれる1種以上の金属が好ましい。また、添加量は、1質量%以下が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。この範囲の添加量であれば、Ga系合金のペースト性に影響を与えない。これら金属を添加する方法は、上記した通りである。
有機機能素子
少なくとも、複数の電極と有機材料層とから構成される有機機能素子であって、前記複数の電極の少なくとも一つが、上記のペースト状のGa系合金からなるものである。本発明において有機機能素子とは、有機材料層を通電するか又は有機材料層に電界を負荷することによって、有機材料層に発光やスイッチングなどの所定の機能を発揮させる素子であり、例えば、有機EL素子のほか、有機TFT素子などの有機半導体素子がある。有機材料層は、有機材料を含有する層を少なくとも一つ有する単層又は多層構造を有し、通電又は電界を負荷されることによって所定の機能を発揮する。
本発明の有機機能素子について、有機EL素子を一例として説明する。
図1は、本発明による有機EL素子1の積層構造の一例を模式的に示した断面図である。この有機EL素子1は、第一の基材2である透明基板の一面側に、陽電極3として透明電極、正孔注入層6、発光層(EL層)4、電子注入層7、陰電極5、陰極保護封止層9が、この順に積層した構造をもち、発光層4からの発光8は、透明な陽電極3と第一の基材2を通して視認できる。
この例では、陽電極3と陰電極5の2つの電極を有する。そのうち陰電極5は、電子注入層7上に塗布され、当該ペースト状の陰電極の保護と封止を兼ねた接着剤層9により覆われた構造となっている。
また、この例では、正孔注入層6、発光層4及び電子注入層7の3つの層からなる有機材料層を有する。有機EL素子の有機材料層は、発光層4に必要に応じて正孔注入層6、電子注入層7などの補助的な層を一つ以上付加した多層構造をとっていてもよく、これらの付加によって高効率化や長寿命化等の発光作用を向上させる効果が得られる。
なお、本願明細書において、特にことわらない限り、正孔注入層単独、正孔輸送層単独、正孔注入層と正孔輸送層の組み合わせ、及び正孔注入作用と正孔輸送作用の両方を持つ層を総称して正孔注入層と記し、また、電子注入層単独、電子輸送層単独、電子注入層と電子輸送層の組み合わせ、及び電子注入作用と電子輸送作用の両方を持つ層を総称して電子注入層と記すことにする。
本発明の有機機能素子を構成する電極の形成方法について説明する。上記のGa系合金を、図2に示すスクリーン印刷法、図3に示すメタルマスク印刷法、図4に示すディスペンサ塗布法のいずれかで塗布して成膜することにより電極を形成する。
スクリーン印刷法は、多数の微細な孔によってパターン形成されたスクリーン版11を用いてペースト5’を対象物に転写する方法で、簡略なパターンから100μm以下の幅の細線パターンまで任意のパターンを精度良く塗布することに向いている。メタルマスク印刷法は型抜きしたメタルマスク13の形状をそのまま利用するもので、簡略なパターンを低コストで塗布することに向いている。ディスペンサ塗布法はスクリーンやマスクを作製する必要がなくプログラム修正のみでパターン変更できる利点を有する反面、大量生産には不向きである。
適当なペースト粘度はこれらの製造方法で異なり、また、各成膜方法においてもパターン形状等に粘度が依存するため、Ga系合金のCa濃度を5〜30質量%の範囲で調整するとともに、Ga系液体金属に添加する化合物の種類を選択することで、5〜100Pa・sの範囲での最適なペースト粘度に調整することができる。
本発明においては、製膜工程が、不活性雰囲気内又は真空内で行われることが好ましい。前述した有機機能材料の劣化の問題を解消することができる。
前記不活性気体としては、窒素、アルゴン、又は、窒素とアルゴンの混合気体を用いることが好ましい。
上記のごとき本発明に係る有機機能素子及びその製造方法は、有機EL素子、有機TFT素子、及び有機半導体素子に適用可能である。以下、有機機能素子の各構成部分について説明する。
(1)ペースト金属からなる電極(陰電極)
本発明においては、有機機能素子に含まれる電極の少なくとも一つが、上記Ga系合金で形成されてなるものである。例えば、図1の有機EL素子1においては、陰電極5がGa系合金で形成されている。但し、本発明においては陰電極だけでなく、陽電極もGa系合金で形成してもよい。
このようなペースト金属は、常温又は弱い加熱下で湿式プロセスにより膜状に形成することが可能であり、蒸着等の気相プロセスによらず、印刷等の塗布法又はその他の湿式プロセスによって任意の形状の電極に形成できる。従って、製造コストは気相プロセスと比べて安価であり、また、製造過程において電極のサイズが蒸着装置のサイズに制約されないので、機能素子の大型化、製造コスト低減を実現することができる。
Ga系合金からなる電極は、基板が撓んだ場合でもある程度までは柔軟に追従して変形するため断線に対して有利である。しかし、硬化していないので何らかの方法でしっかりと固定する必要がある。本発明では、図1に示すようにペースト状のGa系合金からなる電極を接着層9で固定封止する素子構造とする。接着層の材料としては、2液反応硬化性やUV硬化性等の樹脂接着剤が、取扱い性の点で好ましい。これにより電極断線の発生し難い信頼性の高い有機機能素子が得られ、プラスチック等の柔軟性材料からなる可撓性基材を用いる場合には可撓性素子としても好適に利用できる。
従来、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は酸化性及び燃焼性が強く、不安定で取り扱いが難しいため、真空下での製膜プロセスでしか用いられなかった。これに対し本発明においては、ペースト金属にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を混合し、湿式プロセスに用いて電極を形成することができるため、非常に取り扱い易い。
なお、本発明において、ペースト状のGa系合金で形成された電極は、有機機能素子の有機材料層を通電するか又は電界を付加するために有機機能素子の内部又は表面に配置される電極であり、素子と外部を電気的接続するものではない。
本発明によるGa系合金で形成された電極の形状は、素子により様々であるが、例えば、薄層状やストライプ状等の二次元的広がりを有する形状や、TFT素子のような場合にはスポット形状などを例示することができる。また、その大きさ及び厚さも素子により様々であるが、厚さは一般的には、0.1〜100μm程度である。
(2)ペースト金属からなる電極以外の層又は部分
本発明においては、Ga系合金からなる電極以外の層又は部分は、有機機能素子の構成に応じて従来公知のものを用いることができ、特に限定されないが、以下に、図1に示した有機EL素子1に用い得る材料を一例として説明する。
<基材>
基材は、有機機能素子の支持体又は有機EL素子を封止するために必要に応じて用いられる。
有機EL素子の基材としては、基材の生産性、コストを考慮するとガラス、樹脂、金属、セラミックのいずれか1種類から選択されるものか、或いは二種類以上の材料を混合又は積層した複合材料で形成されるものであることが好ましい。
基材側を光取り出し面とする場合には、基材には透明基材を用いる。透明基材は、発光層からの発光(EL光)に対して高い透過性(概ね80%以上)を与える物質から構成されていれば良く、その具体例としては、アルカリガラス,無アルカリガス等の透明ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニル、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、非晶質ポリオレフィン、フッ素系樹脂等の透明樹脂、又は石英等からなる板状物やシート状物あるいはフィルム状物が挙げられる。どのような透明基材を用いるかは、目的とする有機EL素子の用途等に応じて適宜選択可能である。
一方、基材を光取り出し面としない場合には、上述した透明基材以外のものについても基材として利用することができる。
<有機材料層>
本発明の有機機能素子の一例としての有機EL素子において、有機材料層の層構成は特に限定されるものではない。有機EL素子の層構成としては種々のものがある。透明基板上に形成され、かつ、その透明基板側を光取り出し面とするタイプの有機EL素子の層構成の具体例としては、透明基板上に設けられる各層の積層順が下記(i)〜(iv)のものが挙げられる。なお、基板を光取り出し面としない場合には、基板上の積層順を下記(i)〜(iv)の逆とすることもできる。
(i) 陽極/発光層/陰極
(ii) 陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(iv) 陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
上記(i)のタイプの有機EL素子及び上記(i)とは積層順が逆のタイプの有機EL素子では、発光層が単層構造の有機材料層に相当する。上記(ii)のタイプの有機EL素子及び上記(ii)とは積層順が逆のタイプの有機EL素子では、正孔注入層及び発光層が多層構造の有機材料層に相当する。上記(iii)のタイプの有機EL素子及び上記(3)とは積層順が逆のタイプの有機EL素子では、発光層及び電子注入層が多層構造の有機材料層に相当する。また、上記(iv)のタイプの有機EL素子及び上記(iv)とは積層順が逆のタイプの有機EL素子では、正孔注入層,発光層及び電子注入層が多層構造の有機材料層に相当する。
本発明においては、素子の大型化及び製造コストの低減の効果をより大きなものとする観点から、電極だけでなく有機材料層も湿式プロセスで形成することが好ましい。有機材料層を湿式プロセスで形成するには、発光層材料、正孔注入層材料、電子注入層材料等の有機材料を必要に応じてバインダーや分散剤を用いて溶剤に溶解したものを、スピンコーティングなどの公知の塗布方法により所定の塗布面に塗布すればよい。
以下に発光層材料、正孔注入層材料、及び電子注入層材料について説明する。
(a)発光層
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極あるいは正孔注入層から正孔を注入することができ、陰極あるいは電子注入層から電子を注入することができる機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能、の3つの機能を併せもつものであればよいが、上記(a)〜(c)の各機能それぞれについて十分な性能を併せもつことは必ずしも必要ではなく、例えば正孔の注入輸送性が電子の注入輸送性よりも大きく優れているものの中にも有機発光材料として好適なものがある。
有機発光材料としては、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物等を用いることができる。
上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−a,a−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられ、ベンゾチアゾール系では2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
また、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.vol 58,18P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、下記一般式(I)で表される化合物等も、有機発光材料として用いることができる。
(R−Q)−Al−O−L ・・・(I)
(式中、Lはフェニル部分を含んでなる炭素数6〜24の炭化水素を表し、O−Lはフェノラート配位子を表し、Qは置換8−キノリノラート配位子を表し、Rはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回って結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表す。)
ここで、上記芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。また、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる。)を高効率で得ることができる。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは例えば4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリーレン(特に好ましくは例えばN,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼン)や4,4’−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜設定されるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
(b)正孔注入層
必要に応じて設けられる正孔注入層の材料(以下「正孔注入材料」という。)は、正孔の注入性あるいは電子の障壁性を有しているものであればよく、例えば、従来より電子感光体の正孔注入材料として用いられているものを適宜選択して用いることができ、正孔の移動度が10cm/V・s(電界強度10〜10V/cm)以上であるものが好ましい。正孔注入材料は、有機物及び無機物のどちらでもよい。
具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、有機発光材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物、p型−Siやp−型SiC等の無機半導体等を挙げることができる。
正孔注入材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物又はスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
上記ポルフィリン化合物の具体例としては、ポルフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、シリコンフタロシアニンオキシド、アルミニウムフタロシアニンクロリド、フタロシアニン(無金属)、ジリチウムフタロシアニン、銅テトラメチルフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキシド、マグネシウムフタロシアニン、銅オクタメチルフタロシアニン等が挙げられる。
また、前記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、N−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルのように2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等が挙げられる。
正孔注入層材料のなかで溶液化して湿式プロセスで用いるのに適した材料としては、水溶性のPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート)混合樹脂が知られている。
正孔注入層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜設定されるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
(c)電子注入層
必要に応じて設けられる電子注入層の材料(以下「電子注入材料」という。)は、陰極から注入された電子を発光層に伝達する機能を有しているものであればよい。一般には、電子親和力が有機発光材料の電子親和力に比して大きく陰極の仕事関数(陰極が多成分の場合には最小のもの)に比して小さいものが望ましい。ただし、エネルギーレベルの差が極端に大きいところは、そこに大きな電子注入障壁が存在することになり、好ましくない。電子注入材料の電子親和力は、陰極の仕事関数あるいは有機発光材料の電子親和力と同程度の大きさであることが好ましい。電子注入材料は、有機物及び無機物のどちらでもよい。
具体例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、特開昭59−194393号公報において発光層の材料として開示されている一連の電子伝達性化合物、オキサジアゾール環の酸素原子がイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体(例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム及びビス(8−キノリノール)亜鉛等や、これらの金属錯体の中心金属がIn,Mg,Cu,Ca,Sn,Ga又はPbに置き代わった金属錯体等)、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン又はこれらの末端がアルキル基,スルホン基等で置換されているもの、有機発光材料として示した前述のジスチリルピラジン誘導体、n型−Siやn型−SiC等の無機半導体等が挙げられる。
電子注入層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜設定されるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
<陽電極>
陽電極の材料としては、仕事関数の大きい(例えば、4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物が好ましく用いられる。具体例としてはAu等の金属、CuI、ITO、錫酸化物、亜鉛酸化物等の導電性透明材料が挙げられる。陽電極は、蒸着法やスパッタ法等の方法で上記材料の薄膜を形成することにより作製することができる。発光層からの発光(EL光)を陽電極側から取り出す場合、陽電極における前記EL光の透過率は10%以上であることが好ましい。また、陽電極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽電極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
ペースト金属からなる電極を形成するためには、通常インキペーストを印刷する方法を利用することができる。以下において、有機EL素子1の製造方法を例にして、幾つかの方法を説明する。
以下に説明する製造方法においては、発光層4及びこれに隣接する正孔注入層や電子注入層を含む有機材料層をすべて塗布等の湿式プロセスで形成し、更に陰電極5も蒸着を用いることなくペースト金属を用いる塗布等の湿式プロセスで形成し、高性能な有機EL素子を作製することができる。
ただし、以下に説明する製造方法においては、有機材料層を蒸着等の気相プロセスで形成してもよい。その場合であっても、ペースト金属を用いて形成された陰電極によって電極断線防止効果が得られる。
図2は、有機EL素子1を形成する第一の製造方法でありいわゆるスクリーン印刷によりペースト金属を塗布するものである。ペースト金属5’をスキージ12で延圧することにより、スクリーン枠10に張力を掛けて貼られたスクリーン版11の微細な孔を透過させ、基板上に微細孔の集合である任意の形状に塗布することができる。スクリーン版はステンレスやアクリルを材料として用いることができ、孔の大きさは、ペースト金属の粘度に応じて調整する。
電極形状がより単純な場合には、図3に示す第2の方法である、必要な形状に金属板等を型抜きしたメタルマスク13を用いる方法も有効である。加工の容易さや堅牢さから型抜きマスクは金属が一般的であるがこれに限られない。別の第3の方法として図4に示すディスペンサ法によっても有機EL素子1を形成することができる。
スクリーン印刷法は、簡略なパターンから100μm以下の幅の細線パターンまで任意のパターンを精度良く塗布することに向いている。メタルマスク印刷法は簡略なパターンを低コストで塗布することに向いている。ディスペンサ塗布法はスクリーンやマスクを作製する必要がなくプログラム修正のみでパターン変更できる利点を有する反面、生産時間の点で大量生産には不向きである。これらの製造方法で適当なペースト粘度は異なるため状況にあわせてのペースト金属の組成により粘度を調整することが好ましい。必要に応じて加熱しながらペースト金属を塗布する事も有効である。この場合には、スクリーン版やディスペンサノズルをステンレス製として熱伝導し易くすることが好ましい。
これら第一から第三の製造方法によって大気中で形成された有機EL素子は電圧、輝度といった発光特性は優れているが、発光均一性が必ずしも十分ではない。ある程度の面積の電極では面内で発光むらが発生し易く、発光層に接する電極面に酸化膜が形成されていると推測される。発光均一性を改善するためには窒素、アルゴン、窒素とアルゴンの混合気体等の不活性気体置換した環境下、例えば、いわゆるグローブボックス内で電極形成を行う事が望ましい。
これらの製造方法によってストライプ形状に電極形成することで、いわゆる表示装置を構成するための画素電極を形成することができ有効である。
上記方法により作成される有機EL素子を用いた表示装置は、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)タイプの端末、PC(Personal Computer)、テレビ受像機、ビデオカメラ、デジタルカメラ等、様々な電子機器に搭載され、表示部を構成する。
図5に、有機EL素子を用いた表示装置を搭載した表示部を有する電子機器を例示する。図5(a)は携帯電話、図5(b)はPDA、及び、図5(c)はPCであり、いずれも、その前面に表示部20と、ボタンを配列した操作部21が設けられている。図5(d)はデジタルカメラであり、その背面に表示部20が設けられ、前面にレンズ23が設けられている。
本発明は、複数の電極と有機材料層を組み合わせた基本構成を有する有機機能素子であれば、有機EL素子に限られず様々なものに適用でき、例えば、本発明の構成を有機半導体素子に適用して有機TFT素子を作製し利用することができる。
図6に、本発明を適用可能な有機TFT素子を例示する。図6(a)は平面電極構造TFT素子の構成例であり、基材2上の所定位置にゲート電極30が配置され、該ゲート電極30を覆う絶縁層34と有機半導体層33がこの順で積層され、更に該有機半導体層33上の所定位置にソース電極31とドレイン電極32が配置されている。
図6(b)は静電誘導型(SIT)TFT素子の構成例であり、基板2上に、ドレイン電極32と、有機半導体層33及びソース電極31がこの順で積層され、更に有機半導体層33内の所定位置にゲート電極30が配置されている。
図6(c)はトップアンドボトムコンタクト型TFT素子の構成例であり、基板2上に、ゲート電極30と絶縁層34及び有機半導体層33がこの順で積層され、更に有機半導体層33内の所定位置に絶縁層と接触するドレイン電極32と有機半導体層を介して絶縁層に隣接するソース電極31が配置されている。
以上、本発明について説明したが、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
(1)有機EL層形成用塗布液の調製
下記組成の有機EL層形成用塗布液を調製した。塗布液の組成中、蛍光色素を変えて、発光色が異なる3種類の塗布液を調製した。蛍光色素がクマリン6の場合は501nmにピークを持つ緑色発光、ペリレンの場合は460〜470nmにピークを持つ青色発光、DCM(ジシアノメチレンピラン誘導体)の場合は570nmにピークを持つ赤色発光が得られ。これらを各色の発光材料として用いた。
<有機EL層形成用塗布液(緑、青又は赤)の組成>
・ポリビニルカルバゾール 70質量部
・オキサジアゾール化合物 30質量部
・蛍光色素(クマリン6、ペリレン又はDCM) 1質量部
・モノクロルベンゼン(溶媒) 4900質量部
(2)電極形成用金属の調整
CaとInをモル比で1:2とした合金を真空溶融炉を用いて作製した。融点839℃のCaが十分溶融するように加熱温度1000℃とした。秤量が容易となるように1〜5mmの搗砕粉とした。作製したCaIn合金の融点は835℃であり通常では室温で分解することはなく安定なものであった。
Gaを40℃に加熱して溶融させた中に、上記で得られたCaInを5質量%浸漬して2時間放置したところ、CaInが膨潤、軟化しており、これを攪拌すると粘性を有するペースト状の金属を得ることができた。
CaIn合金はモル比では1:2であるが、Caのモル体積の大きさのため質量比では、Ca:In=1.76×10:1とほぼCaで構成されている。このためCaInの質量%はCaの質量%に相当する。
モル体積に比重を乗じると1モルあたりの質量となる。
Caのモル体積26.20×10(m/mol)、比重1.55(g/cm
Inのモル体積15.76×10−3(m/mol)、比重7.31(g/cm
このペースト金属の粘度を回転粘度計で測定したところ5Pa・sであった。
(3)有機EL素子の作製
図1に示す積層構造を持つ有機EL素子を、上記第一の方法に従って作製した。正方形(縦50mm×横50mm×厚さ0.7mm)のガラス基板(第一の基材2)の一面に200nm厚のITO透明電極(陽電極3)を形成し、基板を洗浄した後、PEDOT/PSS(Bayer CH8000、バイエル製)をスピン塗布により80nmの厚さ(焼成後の膜厚)に塗布し、160℃で焼成してPEDOT層(正孔注入層6)を形成した。
以下は、窒素置換したグローブボックス内で行った。
次に、上記の赤色有機EL層形成用塗布液をPEDOT層上にスピン塗布により80nmの厚さ(焼成後の膜厚)に塗布し、130℃で焼成して赤色発光層(発光層4)を形成した。
上記ペースト状のGa系合金を1インチあたり100メッシュ、開口率52%のステンレススクリーン版を用いて正方形(縦10mm×横10mm×厚さ100μm)の形状に印刷した。続いて、2液性のエポキシ接着剤9によりペースト金属を覆って固定するとともに図8の封止体101を設置して封止して完成した。
このようにして形成した有機EL素子1に、ITOを陽極、ペースト金属電極を陰極として直流駆動したところ、2.0〜2.2Vで発光開始し、4.2〜4.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.8〜6.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度を1000cd/mとして輝度が50%になるいわゆる半減時間を測定したところ100時間であった。
比較例1
陰電極として8nmのCa、200nmのAlを発光層上に連続して真空蒸着した以外は実施例1と同様の層構成を有する図8に示す通常の素子を作製した。この場合は接着剤9は用いていない。この比較例の有機EL素子は、2.1Vで発光開始し、4.3Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.9Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度1000cd/mでの半減時間は100時間であった。
以上の結果から、実施例1及び比較例1の素子は発光特性及び安定性がほぼ同等であった。従って、実施例1によるEL表示素子が、蒸着法と同等の発光素子特性を有することが確認された。
実施例2
実施例1で用いたGa系合金のCa濃度を30質量%とした以外は実施例1と同様に素子を作製した。このGa系合金の粘度を回転粘度計で測定したところ100Pa・sであった。しかしながら、実施例1で用いたGa系合金よりも、本実施例で使用したGa系合金の粘度が高かったため、スクリーン印刷法ではメッシュ孔にペースト状のGa系合金が詰まってしまい、陰極を形成することができなかった。そのため、実施例1と同様の電極パターンをステンレスのメタルマスクを用いて印刷形成したところ、陰極を形成することができた。次いで、実施例1と同様にして、接着剤によりGa系合金からなる電極を覆って固定するとともに封止することにより有機EL素子を作製した。
このようにして得られた有機EL素子に、ITOを陽極、Ga系合金からなる電極を陰極として直流駆動したところ、2.0〜2.2Vで発光開始し、4.2〜4.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.8〜6.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度を1000cd/mとして輝度が50%になるいわゆる半減時間を測定したところ100時間であった。
以上の結果から、実施例1及び比較例1の素子は発光特性及び安定性がほぼ同等であった。
実施例3
実施例1及び実施例2で用いたそれぞれのGa系合金を、ディスペンサ法で塗布して陰極を形成した以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、それぞれ素子を作製した。ディスペンサ法ではノズルの開口径、吐出の空気圧、温度調整により幅広い濃度のペースト金属を塗布することができ陰極を形成することができた。
このようにして得られたそれぞれの有機EL素子に、ITOを陽極、Ga系合金からなる電極を陰極として直流駆動したところ、いずれも2.0〜2.2Vで発光開始し、4.2〜4.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.8Vから6.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度を1000cd/mとして輝度が50%になるいわゆる半減時間を測定したところ100時間であった。
以上の結果から、実施例3で得られた各有機EL素子は、実施例1及び実施例2と同等の発光特性、安定性を有するものであった。また、Ca濃度を30質量%よりも高くすると、Gaに溶けきらず、飽和濃度であることが判明した。
実施例4
陰電極に用いるGa系合金を調製する際に用いるGa系液体金属を、下記表3に示すものを使用した以外は、実施例1〜3と同様にして、各有機EL素子を作製した。
Figure 2006144112
得られたいずれもの素子も2.0〜2.2Vで発光開始し、4.2〜4.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.8Vから6.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度を1000cd/mとして輝度が50%になるいわゆる半減時間を測定したところ100時間であった。
以上の結果から、実施例4で得られた各有機EL素子は、実施例1〜3の素子と同等の発光特性、安定性を有するものであった。Ga系合金を構成するGa系液体金属はいずれも融点がGa純金属よりも低く、Ga系合金をより簡単に調製することができることが判明した。
実施例5
Ga系合金に添加したCaIn合金をCaSn合金とした以外は実施例1〜4と同様にしてそれぞれの有機EL素子を作製した。CaSn合金は、CaとSnとのモル比が1:3となるようにして真空溶融炉を用いて作製した。融点839℃のCaが十分溶融するように加熱温度1000℃とした。秤量が容易となるように1〜5mmの搗砕粉とした。作製したCaSn合金の融点は627℃であり通常では室温で分解することはなく安定なものであった。
Ga及び上記表3に示されたGa系液体金属中に、CaSnを浸漬して放置するとCaInを用いた場合と同様にしてGa系合金を得ることができた。ペースト状の金属として実用的なCa濃度は、CaInと同様5〜30質量%であった。粘度も同様に5〜100Pa・sであった。得られたペースト状の金属(Ga系合金)を用いて、実施例1〜4と同様に、それぞれのGa系合金のペースト粘度に応じた製造方法で陰極を形成し、有機EL素子を作製した。得られた各素子の発光特性は、いずれも実施例1〜4の有機EL素子とほぼ同等であった。以上の結果から、Inに代えてSnを使用することで電極材料の製造コストを低減することができることが判明した。
比較例2
上記の青色有機EL層形成用塗布液を用いて青色発光層を形成し、比較例1と同様にして、図8に示す通常の有機EL素子を作製した。この素子は、2.2Vで発光開始し、4.2Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.5Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度1000cd/mでの半減時間は10時間であった。
比較例3
CaAlの代わりにLiAlを連続で真空蒸着することにより陰電極を形成した以外は、比較例2と同様にして図8に示す通常の有機EL素子を作製した。この素子は、2.2Vで発光開始し、3.6Vで輝度100cd/mの発光強度となり、4.7Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度1000cd/mでの半減時間は30時間であった。得られた結果からも明らかなように、青色発光層を有する有機EL素子においては、CaよりもLiを用いた方が、発光効率が良好であることが判明した。なお、この理由は定かではないが、青色発光層は、一般的にエネルギーバンド構造における最低被占分子軌道(LUMO)が赤色発光層よりも高く、十分な電子を注入するためには仕事関数がより小さい電子注入層が必要であるためと考えられる。
実施例6
実施例1〜5の有機EL素子において、青色有機EL層形成用塗布液を用いて青色発光層を形成し、更に、Ga系合金に、Li、Na、K、Rb、Cs、Ba、及びBeをそれぞれ0.05〜2質量%混合して、実施例1〜5と同様にして有機EL素子を作製した。得られた各有機EL素子は、いずれも、2.2〜2.4Vで発光開始し、3.5から3.7Vで輝度100cd/mの発光強度となり、4.6〜4.8Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。初期輝度1000cd/mでの半減時間は25時間から30時間であった。これらの有機EL素子の発光強度は、青色発光層を有する比較例3の有機EL素子と同等であった。
実施例7
実施例1〜6に準じて、通常の平面電極構造TFT素子(図6(a))、静電誘導型(SIT)TFT素子(図6(b))、トップアンドボトムコンタクト型TFT素子(図6(c))を作製した。
第一の基材2はガラス基板、ゲート電極30はCr、ゲート絶縁層34はSiOを用い、有機半導体層33として導電性高分子材料であるポリチオフェンを塗布した。
ソース電極31は実施例1から実施例6の材料でそれぞれ形成し、ドレイン電極32はアルミニウム(Al)、白金(Pt)及び金(Au)でそれぞれ形成し、様々な組み合わせを設定した。
いずれの構造のTFT素子も、ゲート電圧の増減に応じてソース電極−ドレイン電極間に流れる電流が変化し、トランジスタ動作を確認した。
実施例8
実施例1〜7で得られた有機EL素子及びTFT素子の基材及び封止体として用いたガラス基板をプラスチック基板に代えた以外は、実施例1〜7と同様にして有機EL素子及びTFT素子を作製した。
得られた各素子を撓曲させて動作を確認したが、基材の割れによる動作不良に至るまでは不良は発生しなかった。
比較例4
比較例1〜3で得られた有機EL素子の基材及び封止体を、実施例8と同様に基材をともにプラスチック基板にしたこと以外は同様の構成をもつ素子を作製した。
素子を撓曲させて動作を確認したが、基材の割れによる動作不良に至る以前に電極断線による不良が多発した。上記実施例8とこの比較例4の対比から、実施例8ではペースト金属を電極としたため断線が発生しないことが確認された。
実施例9
(1)有機EL層形成用塗布液の調製
下記組成の有機EL層形成用塗布液を調製した。
<赤発光層形成用材料>
ポリフェニレンビニレン誘導体(ADS100RE、ADS製) 1重量部
キシレン(ELグレード、関東化学製) 99重量部
<青発光層形成用材料>
ポリビフェニレン誘導体(ADS251BE、ADS製) 1重量部
キシレン(ELグレード、関東化学製) 99重量部
(2)電極形成用金属の調整
CaとInをモル比で1:2とした合金を真空溶融炉を用いて作製した。融点839℃のCaが十分溶融するように加熱温度1000℃とした。秤量が容易となるように1〜5mmの搗砕粉とした。作製したCaIn合金の融点は835℃であり通常では室温で分解することはなく安定なものであった。
GaInSn(質量比でGa:In:Snが62:25:13)の液体合金中に上記で得られたCaInを20質量%浸漬して4時間放置したところ、CaInが膨潤、軟化しており、これを攪拌すると粘性を有するペースト状の金属を得ることができた。
次に、このようにして得られたペースト状の金属を加熱しながらInを溶融混合させてGa系合金を得た。Inを加えた合金の軟化温度は、ペースト状の金属の含有割合が多くなるに従って低下した。In濃度による軟化温度の依存性を図9に示す。上記で得られたGa系合金は、Ca濃度5質量%の組成において軟化温度が80℃であり、90〜130℃でペースト状態を示した。また、Ca濃度が10質量%の組成においては、軟化温度が70℃であり、85〜120℃でペースト状態を示した。
次に、InをSnに代えて上記と同様にしてGa系合金を作製した。Snを加えた合金の軟化温度は、ペースト状の金属の含有割合が多くなるに従って低下した。Sn濃度による軟化温度の依存性を図10に示す。上記で得られたGa系合金は、Ca濃度7質量%の組成において軟化温度が110℃であり、120〜150℃でペースト状態を示した。また、Ca濃度が9.5質量%の組成においては、軟化温度が75℃であり、80〜120℃でペースト状態を示した。回転粘度系で測定したペースト状態にある上記Ga系合金の粘度は、5〜100Pa・sであった。
(3)有機EL素子の作製
図1に示す積層構造を持つ有機EL素子を、上記第一の方法に従って作製した。正方形(縦50mm×横50mm×厚さ0.7mm)のガラス基板(第一の基材2)の中央に10nm幅の帯状にパターニングされたITO電極付ガラス基板に、中性洗剤、超音波洗浄、UVオゾン洗浄を、それぞれ15分間行い、ITO電極付ガラスのITO電極(陽電極3)上に、PEDOT/PSS(Bayer CH8000、バイエル製)をスピン塗布により80nmの厚さ(焼成後の膜厚)に塗布し、160℃で焼成してPEDOT層(正孔注入層6)を形成した。
以下の工程は、窒素置換したグローブボックス内で行った。
次に、上記の赤色有機EL層形成用塗布液をPEDOT層上にスピン塗布により80nmの厚さ(焼成後の膜厚)に塗布し、130℃で焼成して赤色発光層(発光層4)を形成した。
上記で得られたCa濃度が5質量%のGa系合金を100℃に加熱しながら、100インチあたり100メッシュ、開口率52%のステンレススクリーン版を用いて、10mm幅の帯状にパターニングされたITO電極と直交するように、10mm幅の形状に印刷した。
このようにして得られた有機EL素子に、ITOを陽極、金属電極を陰極として直流駆動したところ、3.0〜3.2Vで発光開始し、5.2〜5.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、7.8〜8.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。
比較例5
陰電極として8nmのCa、200nmのAlを発光層上に連続して真空蒸着した以外は実施例9と同様の層構成を有する図8に示す通常の素子を作製した。比較例5の有機EL素子は、3.1Vで発光開始し、5Vで輝度100cd/mの発光強度となり、8Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。
以上の結果から、実施例9及び比較例5の素子は発光特性がほぼ同等であった。従って、実施例9によるEL表示素子が、蒸着法と同等の発光素子特性を有することが確認された。
実施例10
実施例9で用いたGa系合金のCa濃度を10質量%とした以外は実施例9と同様に素子を作製した。しかしながら、実施例9で用いたGa系合金よりも、本実施例で使用したGa系合金の粘度が高かったため、スクリーン印刷法ではメッシュ孔にペースト状のGa系合金が詰まってしまい、陰極を形成することができなかった。そのため、実施例9と同様の電極パターンをステンレスのメタルマスクを用いて印刷形成したところ、陰極を形成することができた。
このようにして得られた有機EL素子に、ITOを陽極、金属電極を陰極として直流駆動したところ、3.0〜3.2Vで発光開始し、5.2〜5.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、7.8〜8.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。
以上の結果から、実施例10で得られた有機EL素子は、実施例9と同等の発光特性を有するものであった。
実施例11
実施例9及び実施例10で用いたそれぞれのGa系合金を、ディスペンサ法で塗布して陰極を形成した以外は、実施例9及び実施例10と同様にして、それぞれ素子を作製した。ディスペンサ法ではノズルの開口径、吐出の空気圧、温度調整により幅広い濃度のペースト金属を塗布することができ陰極を形成することができた。
このようにして得られたそれぞれの有機EL素子に、ITOを陽極、金属電極を陰極として直流駆動したところ、いずれも3.0〜3.2Vで発光開始し、5.2〜5.4Vで輝度100cd/mの発光強度となり、7.8〜8.0Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。
以上の結果から、実施例11で得られた各有機EL素子は、実施例9及び実施例10と同等の発光特性を有するものであった。
実施例12
実施例9〜11で用いたGa系金属に含まれるInをSnに代えた以外は、実施例9〜11と同様にして、それぞれの有機EL素子を作製した。得られたそれぞれの素子の発光特性は、実施例9〜11と同様であり、InとSnとの差は観測されなかった。
実施例13
Ga系合金に添加したCaIn合金をCaSn合金とした以外は実施例9〜12と同様にしてそれぞれの有機EL素子を作製した。CaSn合金は、CaとSnとのモル比が1:3となるようにして真空溶融炉を用いて作製した。融点839℃のCaが十分溶融するように加熱温度1000℃とした。秤量が容易となるように1〜5mmの搗砕粉とした。作製したCaSn合金の融点は627℃であり通常では室温で分解することはなく安定なものであった。
GaInSn(質量比でGa:In:Snが62:25:13)の液体合金中に上記で得られたCaSnを浸漬して放置すると、実施例1でのCaInの場合と同様に、粘性を有するペースト状の金属を得ることができた。ペースト状の金属として実用的なCa濃度は、CaInと同様5〜30質量%であった。粘度も同様に5〜100Pa・sであった。
得られたペースト状の金属(Ga系合金)を用いて、実施例9〜12と同様に、それぞれのGa系合金のペースト粘度に応じた製造方法で陰極を形成し、有機EL素子を作製した。得られた各素子の発光特性は、いずれも実施例9〜12の有機EL素子とほぼ同等であった。以上の結果から、Inに代えてSnを使用することで電極材料の製造コストを低減することができることが判明した。
比較例6
上記の青色有機EL層形成用塗布液を用いて青色発光層を形成し、比較例5と同様にして、図8に示す通常の有機EL素子を作製した。この素子は、3.2Vで発光開始し、5.2Vで輝度100cd/mの発光強度となり、7.5Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。
比較例7
比較例6において、CaAlの代わりにLiAlを連続で真空蒸着することにより陰電極を形成した以外は、比較例6と同様にして図8に示す通常の有機EL素子を作製した。この素子は、3.2Vで発光開始し、4.6Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.7Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。得られた結果からも明らかなように、青色発光層を有する有機EL素子においては、CaよりもLiを用いた方が発光効率が良好であることが判明した。なお、この理由は定かではないが、上述のとおり、青色発光層は、一般的にエネルギーバンド構造における最低被占分子軌道(LUMO)が赤色発光層よりも高く、十分な電子を注入するためには仕事関数がより小さい電子注入層が必要であるためと考えられる。
実施例14
実施例9〜13の有機EL素子において、青色有機EL層形成用塗布液を用いて青色発光層を形成し、更に、Ga系合金に、Li、Na、K、Rb、Cs、Ba、及びBeをそれぞれ0.05〜2質量%混合して、実施例9〜13と同様にして有機EL素子を作製した。得られた各有機EL素子は、いずれも、3.2〜3.4Vで発光開始し、4.5〜4.7Vで輝度100cd/mの発光強度となり、5.6〜5.8Vで輝度1000cd/mの発光強度となった。これらの有機EL素子の発光強度は、青色発光層を有する比較例7の有機EL素子と同等であった。
実施例15
実施例9〜14に準じて、通常の平面電極構造TFT素子(図6(a))、静電誘導型(SIT)TFT素子(図6(b))、トップアンドボトムコンタクト型TFT素子(図6(c))を作製した。
第一の基材2はガラス基板、ゲート電極30はCr、ゲート絶縁層34はSiOを用い、有機半導体層33として導電性高分子材料であるポリチオフェンを塗布した。
ソース電極31は実施例9〜14の材料でそれぞれ形成し、ドレイン電極32はアルミニウム(Al)、白金(Pt)及び金(Au)でそれぞれ形成し、様々な組み合わせを設定した。
いずれの構造のTFT素子も、ゲート電圧の増減に応じてソース電極−ドレイン電極間に流れる電流が変化し、トランジスタ動作を確認した。
本発明の有機EL素子の実施形態の断面構造を示す模式図である。 本発明の有機EL素子の製造工程を示す説明図である。 本発明の有機EL素子の他の製造方法を示す説明図である。 本発明の有機EL素子の他の製造方法を示す説明図である。 本発明の有機EL素子を利用した表示装置を搭載した電子機器の例である。 本発明の有機TFT素子の実施形態の断面構造を示す模式図である。 従来の有機EL素子の断面構造を示す模式図である。 従来の有機EL素子の断面構造を示す模式図である。 本発明の実施例であるGa系金属の組成比と物性との関係を示す図である。 本発明の他の実施例であるGa系金属の組成比と物性との関係を示す図である。
符号の説明
1 有機EL素子
2 第一の基材
3 陽電極
3’接続端子
4 発光層(EL層)
5 陰電極
5’ペースト金属
6 正孔注入層
7 電子注入層
8 発光
9 接着剤
10 スクリーン枠
11 スクリーン
12 スキージー
13 メタルマスク
14 ディスペンサ
20 表示部
21 操作部
22 機器
23 レンズ部
30 ゲート電極
31 ソース電極
32 ドレイン電極
33 有機半導体層
34 絶縁層

Claims (19)

  1. 融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有することを特徴とする、Ga系合金。
  2. 融点が300℃以下の金属を更に含んでなり、常温では固体であり、融点以上の温度でペースト状態となる、請求項1に記載のGa系合金。
  3. 前記ペースト状態にある温度範囲が5℃以上である、請求項2に記載のGa系合金。
  4. 融点50℃以上を有する、請求項2又は3に記載のGa系合金。
  5. 前記Ga系液体金属が、Ga、又は、GaとIn、Sn及びZnから選ばれる1種又は二種以上の金属との合金である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のGa系合金。
  6. 前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、Ca、Li、Na、K、Mg、Rb、Cs、Ba、Be、及びSrから選ばれる1種以上の金属である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGa系合金。
  7. 前記融点が300℃以下の金属が、In、Sn、Bi、又はこれらを主成分とする合金である、請求項2〜6のいずれか一項に記載のGa系合金。
  8. 前記Caを5〜30質量%含んでなる、請求項6に記載のGa系合金。
  9. Li、Na、K、Mg、Rb、Cs、Ba、Be、及びSrから選ばれる1種以上の金属を、更に0.05〜2質量%含んでなる、請求項8に記載のGa系合金。
  10. 前記ペースト状態での粘度が、5〜100Pa・sである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のGa系合金。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のGa系合金を製造する方法であって、
    アルカリ金属又はアルカリ土類金属と、In又はSnとの合金を、常温で液体のGa系液体金属に溶解させて、ペースト状のGa系合金を形成する、ことを特徴とする方法。
  12. 前記ペースト状の合金を、融点が300℃以下の金属が溶融する温度まで加熱し、そのペースト合金中に、前記融点が300℃以下の金属を混合させる、請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも、複数の電極と有機材料層とから構成される有機機能素子であって、前記複数の電極の少なくとも一つが、請求項1〜10のいずれか一項に記載のGa系合金からなることを特徴とする、有機機能素子。
  14. 前記Ga系合金からなる電極が接着層で固定封止されてなる、請求項13に記載の有機機能素子。
  15. 請求項13又は14に記載の有機機能素子を製造する方法であって、
    Ga系合金をペースト状態になるまで加熱する工程と、
    前記ペースト状態のGa系合金を、スクリーン印刷法、メタルマスク印刷法、又はディスペンサ塗布法により製膜して、少なくとも一つの電極を形成する工程と、
    を含んでなり、
    前記Ga系合金が、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有するものである、ことを特徴とする方法。
  16. 前記製膜工程が、不活性雰囲気内又は真空内で行われる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記有機機能素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機半導体素子、又は有機薄膜トランジスタ素子である、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 請求項13又は14に記載の有機機能素子の、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機半導体素子、又は有機薄膜トランジスタ素子としての使用。
  19. 請求項13又は14に記載の有機機能素子を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    陰電極がGa系合金からなり、前記Ga系合金が、融点以上の温度でペースト状態となるGa系合金であって、常温で液体のGa系液体金属と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とを少なくとも含んでなり、電子注入機能を有するものである、ことを特徴とする有機EL素子。
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