JP2006143525A - 複層ガラス - Google Patents

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大介 新井
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章 藤沢
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Abstract

【課 題】 可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、高遮熱性能を有する複層ガラス、特に、可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である複層ガラスの提供。
【解決手段】2枚のガラス板を、ガス層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、前記2枚のガラス板のうち室外側となるガラス板が、室外側の表面に反射防止膜を有し、室内側の表面に遮熱膜を有することを特徴とする複層ガラス。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の窓ガラス等に使用される複層ガラスに関する。
従来より、ガラス基板の表面に可視域での透明性を有する導電性の膜を形成し、赤外域における電子のフリーキャリア吸収を利用した高遮熱(或いは高断熱)・低放射ガラス(一般にLow−Eガラスと呼ばれる)が提案され、既に実用化されている。Low−Eガラスを建築物の窓ガラス等に用いることにより、夏季では冷房負荷を軽減し、冬季は暖房負荷を軽減することが可能となり、室内の温度調整に掛かる経費を削減できるのみならず、世界規模で問題となっている地球温暖化の防止にも貢献できる。
Low−Eガラスは、例えば、特許文献1に、ガラス基板表面で、シラン、ラジカルスカベンジャーガス(エチレン等)、酸素および不活性キャリアガス(窒素等)を反応させて得られたシリカ被膜付きガラスが記載されている。また、特許文献1には、具体的に、ガラス基板上から順次、酸化スズ層、シリカ被膜および酸化スズ層を積層したシリカ被膜付きガラスとして記載されている。この酸化スズ層を含むガラスは、特許文献1の表IIに示すように、放射率が低いことが特徴である。
また、特許文献2には、ガラス基板上に、順に、亜鉛とスズとからなる合金酸化物層、金、銀または銅からなる金属層、および亜鉛とスズとからなる合金酸化物層が設けられたガラス製品(Low−Eガラス)が記載されている。このガラス製品は、透過性の得られるほどの薄い金属層(主として銀層)を透明誘電体(ここでは合金酸化物)層で挟む構造を有している。
特許文献1に記載のLow−Eガラスと特許文献2に記載のLow−Eガラスとを比較した場合、特許文献2に記載のLow−Eガラスのうち、一般に比抵抗が低く、高い遮熱性を有する銀を金属層に用いたガラスの方がより薄い膜厚で高いLow−E性能を発現できることが知られている。
近年においては、市場からの要求により、従来に増した高遮熱性能を有し、ある程度の可視光透過率を有しつつ、可視光反射を低減したガラスが望まれている。特許文献2に記載の銀を金属層に用いたLow−Eガラスの場合、より優れた高遮熱性(或いは高断熱性)を得るために遮熱層である銀層を厚くする必要があり、銀層を厚くした場合、可視光反射率が増加し、可視光透過率が減少するといった問題が生ずる。また、銀は、高価な貴金属であり、銀層を厚くすると、コストが高くなり、さらに耐久性が悪くなるために、ガラスに銀を多量に使用することは望ましくなかった。
一方、特許文献3〜6には、遮熱層に、窒化チタン膜を用いたLow−Eガラスが記載されている。窒化チタンを主成分とする窒化チタン系材料もやはり導電性を有し、赤外域で反射・吸収性能を有することから、遮熱用に好都合である。遮熱層に窒化チタン膜を用いたLow−Eガラスの場合、銀を用いたLow−Eガラスと比較して低価格で高い耐久性や耐摩耗性が期待できる。しかしながら、市場からの要求により、より高い遮熱性能がLow−Eガラスに求められた場合には、遮熱層である窒化チタン膜を厚くする必要があり、窒化チタン膜を厚くすると、可視光反射率が増加し、可視光透過率が減少するといった問題が生じる。
また、特許文献5には、窒化チタンを遮熱膜として用いたLow−E複層ガラスが記載されているが、この複層ガラスもまた、より高い遮熱性能がLow−Eガラスに求められた場合には、遮熱層である窒化チタン膜を厚くする必要があり、窒化チタン膜を厚くすると、可視光反射率が増加し、可視光透過率が減少するといった問題が生じる。
高い可視光透過率は窓材として確保されるべき機能であるが、逆に高い可視光反射率は近隣住民や歩行者、車両運転者に対して反射光害となり得る。しかしながら、高遮熱性能を発現させるために遮熱層の膜厚を増加させると可視光反射率が増加し、可視光透過率が減少する傾向になる。
低反射機能を有する遮熱ガラスの公知文献は幾つか存在するが(特許文献7〜9参照)、いずれのガラスも、より優れた高遮熱性能を発現させるために遮熱層の膜厚を増加させると、可視光反射率が増加し、可視光透過率が減少する傾向になり、高い可視光透過率、低い可視光反射率および高遮熱性能の3つの条件を満足するものではなかった。
特表平10−506874号公報 特公平6−62319号公報 特表平2−504612号公報 特表平3−504120号公報 特開2000−233946号公報 特許第3352256号 特表2002−511048号公報 特開平2−149448号公報 特開平7−25647号公報
本発明は、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、高遮熱性能を有する複層ガラス、特に、可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である複層ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、複層ガラスの室外側となるガラス板が、反射防止膜を有し、室内側の表面に遮熱膜を有することによって、複層ガラスが、高い可視光透過率、低い可視光反射率および高遮熱性能の3つの条件を満足することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 2枚のガラス板を、ガス層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、前記2枚のガラス板のうち室外側となるガラス板が、室外側の表面に反射防止膜を有し、室内側の表面に遮熱膜を有することを特徴とする複層ガラス、
〔2〕 反射防止膜が、無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔3〕 無機シリコン化合物が酸化ケイ素である前記〔2〕記載の複層ガラス、
〔4〕 遮熱膜が、銀を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の複層ガラス、
〔5〕 遮熱膜が、チタンの窒化物もしくは酸窒化物を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の複層ガラス、
〔6〕 遮熱膜が、銀を主成分とする層と、チタンの窒化物もしくは酸窒化物を主成分とする層とを含む多層膜であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の複層ガラス、
〔7〕 反射防止膜が、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなり、遮熱膜が、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔8〕 反射防止膜が、酸化ケイ素層、酸化スズ層、酸化チタン層、窒化チタン層および酸窒化チタン層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなり、遮熱膜が、酸化スズ層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、酸化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および銀層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔9〕 反射防止膜が、酸化ケイ素層、酸化スズ層、酸化チタン層、窒化チタン層および酸窒化チタン層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔10〕 反射防止膜が、ガラス板表面から順次、(1)窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、(2)酸窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、または(3)酸化スズ層、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔11〕 遮熱膜が、酸化スズ層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、酸化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および銀層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔12〕 遮熱膜が、ガラス板表面から順次、(1)酸化スズ層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および酸化スズ層、(2)窒化チタン層、酸窒化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層およびアルミニウム添加酸化亜鉛層、または(3)窒化チタン層、酸化チタン層および酸化スズ層を積層した3層または5層からなることを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔13〕 室内側となるガラス板が、室内側の表面に(1)無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または(2)無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜(2a)もしくは2種以上の金属酸化物層を積層した多層膜(2b)を有することを特徴とする前記〔1〕記載の複層ガラス、
〔14〕 室内側ガラス板の室内側表面の多層膜が、ガラス板表面から順次、酸化スズ層、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなることを特徴とする前記〔13〕記載の複層ガラス、
〔15〕 反射防止膜の膜厚が50〜1000nmであり、遮熱膜の膜厚が50〜1000nmである前記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の複層ガラス、および
〔16〕 可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である前記〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の複層ガラス、
に関する。
本発明の複層ガラスは、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、高遮熱性能を有し、特に、可視光透過率45%以上、可視光反射率15%以下および日射透過率35%以下を満足できる。
本発明は、2枚のガラス板を、ガス層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、前記2枚のガラス板のうち室外側となるガラス板表面に反射防止膜を有し、室内側となるガラス板表面に遮熱膜を有することを特徴とする。
以下、図1および3を参照して本発明の構成を説明する。図1は、本発明の複層ガラスの角部断面を模式的に示した図であって、本発明の主要な構成を説明する図である。また、図3は、本発明の複層ガラスの主要な断面構成を模式的に示した図である。
(ガラス板)
ガラス板(1、2)は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知のガラス板であってよい。このようなガラス板としては、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入板ガラス、線入板ガラス、熱線吸収板ガラス、それらを用いた合わせガラス等が挙げられる。
(ガス層)
ガス層99は、本発明の目的を阻害しない限り、空気層、不活性ガス層、減圧層および真空層のいずれであってもよい。
(反射防止膜)
反射防止膜19は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜であり、該無機シリコン化合物は、好ましくは酸化ケイ素である。
また、反射防止膜19は、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなるのも好ましい。金属酸化物層の好適な具体例としては、酸化ケイ素(SiO)層、酸化チタン(TiO)層または酸化スズ(SnO)層が挙げられる。金属窒化物層の好適な例としては、窒化チタン(TiN)層が挙げられる。金属酸窒化物層の好適な例としては、酸窒化チタン層(TiON)が挙げられる。
また、反射防止膜19は、酸化ケイ素層、酸化スズ層、酸化チタン層、窒化チタン層および酸窒化チタン層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなるのがより好ましく、ガラス板1表面から順次、(1)窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、(2)酸窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、または(3)酸化スズ層、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなるのが最も好ましい。
反射防止膜の膜厚は、積層される膜の種類により適宜選択されるが、好ましくは、50〜1000nmであり、より好ましくは100〜700nmである。膜厚が50〜1000nmの範囲内であれば、反射防止膜が優れた光の干渉効果を発現させ、複層ガラスの可視光透過率、反射率および色調調整に該効果を最もよく反映させることができる。
(遮熱膜)
遮熱膜29は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、(イ)銀を主成分とする層を含む多層膜、(ロ)チタンの窒化物もしくは酸窒化物を主成分とする層を含む多層膜、または(ハ)銀を主成分とする層と、チタンの窒化物もしくは酸化物を主成分とする層とを含む多層膜である。また、遮熱膜29は、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなるのも好ましい。金属層の好適な例としては銀層が挙げられる。金属酸化物層の好適な例としては、酸化スズ層、酸化チタン層またはアルミニウム添加酸化亜鉛層が挙げられる。金属窒化物層の好適な例としては窒化チタン層が挙げられる。金属酸窒化物層の好適な例としては酸窒化チタン層が挙げられる。
また、遮熱膜29は、酸化スズ層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、酸化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および銀層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなるのがより好ましく、ガラス板表面から順次、(1)酸化スズ層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および酸化スズ層、(2)窒化チタン層、酸窒化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層およびアルミニウム添加酸化亜鉛層、または(3)窒化チタン層、酸化チタン層および酸化スズ層を積層した3層または5層からなるのが最も好ましい。
遮熱膜の膜厚は、積層される膜の種類により適宜選択されるが、通常、50〜1000nmであり、好ましくは60〜600nmである。
また、本発明の複層ガラスには、図2に示すように、室内側となるガラス板2が、室内側の表面に単層膜または多層膜3を有するのが好ましい。単層膜3や多層膜3は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、上記した反射防止膜と同様の膜であってよい。好ましくは、無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜である。
また、多層膜3は、2種以上の金属酸化物層を積層した多層膜であるのも好ましい。金属酸化物層の好ましい例としては酸化スズ層、酸化チタン層、酸化ケイ素層が挙げられる。
またさらに、多層膜3は、ガラス板表面から順次、酸化スズ、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなるのがより好ましい。
多層膜3の膜厚は、積層される膜の種類により適宜選択されるが、通常、50〜500nmであり、好ましくは150〜300nmである。
(製造方法)
本発明の複層ガラス100は、ガラス板1の一方の面に反射防止膜19を設ける工程(工程A)、ガラス板1の他方の面に遮熱膜29を設ける工程(B)、および反射防止膜19および遮熱膜29をそれぞれの表面に有するガラス板1と、ガラス板2とを用いて常法に従い複層ガラス100を形成する工程(工程C)を経て製造される。なお、各工程の実施順序は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、順に工程A、工程Bおよび工程Cであってもよいし、順に工程B、工程Aおよび工程Cであってもよい。
(工程A)
工程Aでは、常法に従い、ガラス板1表面に反射防止膜19を設ける。例えば、反射防止膜19の各層を一層ごとガラス板1表面上に積層することにより、ガラス板1表面に反射防止膜19を設けることができる。かかる積層手段は、特に限定されないが、化学気相成長(CVD)法などの熱的成膜法が、化学的耐久性や耐摩耗性の高い膜が容易に得られる点で好ましく、常圧熱CVD法が大面積に均一に成膜できる点でより好ましい。
(工程B)
工程Bでは、常法に従い、ガラス板1表面に遮熱膜29を設ける。例えば、遮熱膜29の各層を一層ごとガラス板1表面上に積層することにより、ガラス板1表面に遮熱膜29を設けることができる。かかる積層手段は、特に限定されないが、物理的気相成長(PVD)法等の真空成膜法が、特に銀層の高精度な膜厚制御性が得られ、銀層の酸化を高度に抑制可能な点で好ましく、スパッタリング法が、大面積に均一に成膜できる点でより好ましい。
(工程C)
工程Cでは、反射防止膜19および遮熱膜29をそれぞれの表面に有するガラス板1と、ガラス板2とを用いて常法に従い複層ガラス100を形成する。例えば、反射防止膜19および遮熱膜29をそれぞれの表面に有するガラス板1と、ガラス板2とを、一様の間げきをおいて互いに対向するように並置し、その間げきにガス(例えば乾燥空気、不活性ガス等)を充填するか、または充填しないで、その間げき周辺を常法に従い封止することにより、複層ガラス100を形成できる。この複層ガラスの形成については、従来十分に確立された技術であるので、本工程においてもこれら技術を適宜採用することができる。
本工程では、図1および2に示すように、ガラス板1およびガラス板2を、乾燥剤入りスペーサー4を介して周辺を接着剤(例えば合成ゴム系シール材など)でシールして、シール部5を形成するのが好ましく、この際、所望により、ガス層99に乾燥空気などを封入してもよい。
なお、本発明の複層ガラス100が、ガラス板2の室内側の表面に単層膜または多層膜3を有している場合には、ガラス板2の室内側の表面に単層膜または多層膜3を設ける工程(工程D)が工程A〜Cに付加される。各工程の実施順序は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
(工程D)
工程Dでは、常法に従い、ガラス板2の室内側の表面に単層膜または多層膜3を設ける。例えば、単層膜3をガラス板2の表面上に製膜するか、または多層膜3の各層を一層ごとガラス板2の表面上に積層することにより、ガラス板2表面に単層膜または多層膜3を設けることができる。かかる製膜手段や積層手段は、特に限定されないが、化学気相成長(CVD)法などの熱的成膜法が、化学的耐久性や耐摩耗性の高い膜が容易に得られる点で好ましく、常圧熱CVD法が大面積に均一に成膜できる点でより好ましい。このようなCVD法を採用する場合には、工程Dは、通常、工程Cの前に実施される。
上記のようにして製造された複層ガラス100は、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、高遮熱性能を有する。好ましい構成を具備する複層ガラス100では、可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である。また、好ましい構成を具備する複層ガラス100では、光学干渉を利用して所望の光学特性を得ることができる。特に外観上重視される室外側反射色調については、赤色〜黄色の暖色系色調よりは、青色〜緑色の寒色系色調または無色が好まれ、クロマティクス指数(JIS Z8729−1980)が、a*≦3、b*≦3であるのが好ましい。
以下、実施例および図を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、「第1面」は、ガラス板1の室外側の表面を表し、「第2面」は、ガラス板1の室内側の表面を表し、「第3面」は、ガラス板2の室内側の表面を表す。
図4は、実施例1〜7の複層ガラスの断面を模式的に示したものである。
(実施例1)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
一辺が10cmの正方形となるように切断した厚さ6mmのフロートガラス(ソーダラムガラス)板(ガラス板1)を洗浄した後に乾燥させた。このガラス板1の第1面に、常圧CVDの搬送炉を用い、CVD法により各膜材料を順次成膜・積層した。尚、ガラス板1はメッシュベルトを用いて搬送し、炉内で約650℃まで加熱してから成膜した。
1)CVD法による窒化チタン膜の成膜
四塩化チタン(蒸気)、アンモニア(ガス)、窒素からなる混合ガスを供給し、ガラス板1の第1面上に膜厚が8nmの窒化チタン膜を成膜した。
2)CVD法による酸化スズ膜の成膜
四塩化スズ(蒸気)、純水(蒸気)、窒素、酸素、塩化水素からなる混合ガスを供給し、窒化チタン膜上に膜厚が70nmの酸化スズ膜を成膜した。
3)CVD法による酸化ケイ素膜の成膜
モノシラン、エチレン、酸素、窒素からなる混合ガスを供給し、酸化スズ膜上に膜厚が70nmの酸化ケイ素膜を成膜した。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
上記で得られた第1面上に反射防止膜を設けたガラス板1の第2面を洗浄し、ついで乾燥させた後、ガラス板1の第2面に、インライン型のマグネトロンスパッタ装置を用い、各膜材料を順次成膜・積層した。装置内を1×10−3Pa以下に真空引きされた状態から、希ガス及び、或いは反応ガスを導入し、4Paに保たれた状態でターゲットと基板間に直流(DC)を印加・放電させて成膜した。
1)スパッタ法による酸化スズ膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、スズターゲットにDCを印加してガラス板1の第2面上に膜厚が10nmの酸化スズ膜を成膜した。
2)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して酸化スズ膜上に膜厚が5nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。
3)スパッタ法による銀膜の成膜
アルゴンガスを導入し、銀ターゲットにDCを印加してアルミニウム添加酸化亜鉛膜上に膜厚が8nmの銀膜を成膜した。
4)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して銀膜上に膜厚が15nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。
5)スパッタ法による酸化スズ膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、スズターゲットにDCを印加してアルミニウム添加酸化亜鉛膜上に膜厚が35nmの酸化スズ膜を成膜した。
(複層ガラスの製造)
上記で得られた第1面上に反射防止膜および第2面上に遮熱膜を設けたガラス板1と、一辺が10cmの正方形となるように切断した厚さ6mmのフロートガラス(ソーダラムガラス)板2とを、空気層(幅6mm)を介して対向するように配置し、ついで乾燥剤入りスペーサー4を介して周辺を接着剤で常法に従い封止することにより、複層ガラスを製造する。
(実施例2〜4)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例1の第1面と同様のCVD法で、ガラス板1の第1面に、窒化チタン膜、酸化スズ膜、酸化ケイ素膜を順次積層した。各々の膜厚は、それぞれ以下のようにした。
実施例2として、窒化チタン膜を8nm厚、酸化スズ膜を340nm厚、酸化ケイ素膜を70nm厚とした。
実施例3として、窒化チタン膜を8nm厚、酸化スズ膜を40nm厚、酸化ケイ素膜を95nm厚とした。
実施例4として、窒化チタン膜を8nm厚、酸化スズ膜を95nm厚、酸化ケイ素膜を90nm厚とした。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
次に、上記で得られた第1面上に反射防止膜を設けたガラス板1を用いたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス板1の第2面上で遮熱膜を形成した。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例5〜7)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例1の第1面と同様のCVD法で、ガラス板1の第1面に、酸窒化チタン膜、酸化スズ膜、酸化ケイ素膜を順次積層した。酸窒化チタン膜は、実施例1の「1)CVD法による窒化チタン膜の成膜」に示された混合ガスの代わりに、四塩化チタン(蒸気)、アンモニア(ガス)、窒素および酸素からなる混合ガスを供給することで形成した。各々の膜厚は、それぞれ以下のようにした。
実施例5として、酸窒化チタン膜を12nm厚、酸化スズ膜を525nm厚、酸化ケイ素膜を100nm厚とした。
実施例6として、酸窒化チタン膜を12nm厚、酸化スズ膜を350nm厚、酸化ケイ素膜を100nm厚とした。
実施例7として、酸窒化チタン膜を12nm厚、酸化スズ膜を580nm厚、酸化ケイ素膜を100nm厚とした。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
次に、上記で得られた第1面上に反射防止膜を設けたガラス板1を用いたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス板1の第2面上で遮熱膜を形成した。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(比較例1)
第1面に反射防止膜を設けなかったこと以外、実施例1と同様にして複層ガラスを製造した。
(試験例1)
実施例1〜7および比較例1の複層ガラスを構成するガラス板から、複層ガラスの可視光透過率、室外可視光反射率および日射透過率をJIS R3106:1998に従い測定した。また得られた光学特性から反射のクロマティクネス指数a*、b*を計算した。結果を下記表1に示す。
なお、酸化ケイ素をSiO、酸化スズをSnO、酸化チタンをTiO、窒化チタンをTiN、酸窒化チタンをTiON、アルミニウム添加酸化亜鉛をZnO:Al、銀をAgと略記した。

Figure 2006143525
図5は、実施例8〜10の複層ガラスの断面を模式的に示したものである。
(実施例8)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例1の第1面と同様のCVD法で、ガラス板1の第1面に、酸化スズ膜、酸化チタン膜、酸化ケイ素膜を順次積層した。酸化チタン膜は、実施例1の「1)CVD法による窒化チタン膜の成膜」に示された混合ガスの代わりに、チタンイソプロポキシド(蒸気)、窒素、酸素からなる混合ガスを供給することで形成した。各々の膜厚は酸化スズ膜を65nm厚、酸化チタン膜を100nm厚、酸化ケイ素膜を85nm厚とした。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例1の第2面と同様のマグネトロンスパッタ装置を用い、ガラス板1の第2面に、窒化チタン膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜を順次積層した。
1)スパッタ法による窒化チタン膜の成膜
窒素ガスを導入し、チタンターゲットにDCを印加してガラス板1の第2面上に膜厚が20nmの窒化チタン膜を成膜した。
2)スパッタ法による酸化スズ膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、スズターゲットにDCを印加して窒化チタン膜上に膜厚が170nmの酸化スズ膜を成膜した。酸化スズ成膜の際に、酸素プラズマによって窒化チタン膜表面が酸化され、膜厚3nmの酸化チタン膜が形成された。そのため、窒化チタン膜厚は17nmとなった。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例9)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例8と同様にしてガラス板1の第1面に反射防止膜を設けた。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例8の第2面と同様にして、ガラス板1の第2面に、窒化チタン膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜を順次積層した。各々の膜厚は、窒化チタン膜を15nm厚、酸化チタン膜を3nm厚、酸化スズ膜を295nm厚とした。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例10)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例8と同様にしてガラス板1の第1面に反射防止膜を設けた。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例8の第2面と同様にして、ガラス板1の第2面に、酸窒化チタン膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜を順次積層した。
1)スパッタ法による酸窒化チタン膜の成膜
窒素ガスと酸素ガスを導入し、チタンターゲットにDCを印加してガラス板1の第2面上に膜厚が32nmの酸窒化チタン膜を成膜した。
2)スパッタ法による酸化スズ膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、スズターゲットにDCを印加して酸窒化チタン膜上に膜厚が505nmの酸化スズ膜を成膜した。酸化スズ成膜の際に、酸素プラズマによって酸窒化チタン膜表面が酸化され、膜厚2nmの酸化チタン膜が形成された。そのため、酸窒化チタン膜厚は30nmとなった。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(比較例2)
遮熱膜を設けなかったこと以外、実施例8と同様にして複層ガラスを製造した。
(試験例2)
実施例8〜10および比較例2の複層ガラスを構成するガラス板から、複層ガラスの可視光透過率、室外可視光反射率および日射透過率をJIS R3106:1998に従い測定した。また得られた光学特性から反射のクロマティクネス指数a*、b*を計算した。結果を下記表2に示す。
なお、下記表2では、酸化ケイ素をSiO、酸化スズをSnO、酸化チタンをTiO、窒化チタンをTiN、酸窒化チタンをTiONと略記した。
Figure 2006143525
図6は、実施例11〜14の複層ガラスの断面を模式的に示したものである。
(実施例11)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例8と同様にして、ガラス板1の第1面に反射防止膜を設けた。。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例1の第2面と同様のマグネトロンスパッタ装置を用い、ガラス板1の第2面に、アルミニウム添加酸化亜鉛膜、銀膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を順次積層した。各々の膜厚は、ガラス板1に接するアルミニウム添加酸化亜鉛膜を30nm厚、銀膜を16nm厚、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を45nm厚とした。
(ガラス板2の第3面上での多層膜の形成)
ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成と同様にして、ガラス板2の第3面上での多層膜を設けた。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例12)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板1の第1面上に反射防止膜を設けた。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例1の第2面と同様にして、ガラス板1の第2面に、窒化チタン膜、酸化チタン膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜、銀膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を順次積層した。
1)スパッタ法による窒化チタン膜の成膜
窒素ガスを導入し、チタンターゲットにDCを印加してガラス板1の第2面上に膜厚が7nmの窒化チタン膜を成膜した。
2)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して窒化チタン膜上に膜厚が7nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。アルミニウム添加酸化亜鉛成膜の際に、酸素プラズマによって窒化チタン膜表面が酸化され、膜厚3nmの酸化チタン膜が形成された。そのため、窒化チタン膜厚は4nmとなった。
3)スパッタ法による銀膜の成膜
アルゴンガスを導入し、銀ターゲットにDCを印加してアルミニウム添加酸化亜鉛膜上に膜厚が12nmの銀膜を成膜した。
4)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して銀膜上に膜厚が45nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。
(ガラス板2の第3面上での多層膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板2の第3面上に多層膜を設けた。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例13)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板1の第1面上に反射防止膜を設けた。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例1の第2面と同様にして、ガラス板1の第2面に、酸窒化チタン膜、酸化チタン膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜、銀膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を順次積層した。
1)スパッタ法による酸窒化チタン膜の成膜
窒素ガスと酸素ガスを導入し、チタンターゲットにDCを印加してガラス板1の第2面上に膜厚が9nmの酸窒化チタン膜を成膜した。
2)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して酸窒化チタン膜上に膜厚が7nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。アルミニウム添加酸化亜鉛成膜の際に、酸素プラズマによって窒化チタン膜表面が酸化され、膜厚3nmの酸化チタン膜が形成された。そのため、酸窒化チタン膜厚は6nmとなった。
3)スパッタ法による銀膜の成膜
アルゴンガスを導入し、銀ターゲットにDCを印加してアルミニウム添加酸化亜鉛膜上に膜厚が12nmの銀膜を成膜した。
4)スパッタ法によるアルミニウム添加酸化亜鉛膜の成膜
アルゴンガスと酸素ガスを導入し、アルミニウム添加酸化亜鉛ターゲットにDCを印加して銀膜上に膜厚が45nmのアルミニウム添加酸化亜鉛膜を成膜した。
(ガラス板2の第3面上での多層膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板2の第3面上に多層膜を設けた。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(実施例14)
(ガラス板1の第1面上での反射防止膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板1の第1面上に反射防止膜を設けた。
(ガラス板1の第2面上での遮熱膜の形成)
実施例13の第2面と同様にして、ガラス板1の第2面に、酸窒化チタン膜、酸化チタン膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜、銀膜、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を順次積層した。各々の膜厚は、酸窒化チタン膜を3nm厚、酸化チタン膜を3nm厚、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を15nm厚、銀膜を14nm厚、アルミニウム添加酸化亜鉛膜を45nm厚とした。
(ガラス板2の第3面上での多層膜の形成)
実施例11と同様にして、ガラス板2の第3面上に多層膜を設けた。
(複層ガラスの製造)
実施例1と同様の方法で、複層ガラスを製造する。
(試験例3)
実施例11〜14の複層ガラスについて可視光透過率、可視光反射率、日射透過率をJIS R3106:1998に従い測定した。また得られた光学特性から反射のクロマティクネス指数a*、b*を計算した。結果を表3に示す。
なお、下記表3では、酸化ケイ素をSiO、酸化スズをSnO、酸化チタンをTiO、窒化チタンをTiN、酸窒化チタンをTiON、アルミニウム添加酸化亜鉛をZnO:Al、銀をAgと略記した。
Figure 2006143525
上記表1〜3に示すように、上記実施例では、赤色〜黄色の暖色系色調ではなく、青色〜緑色の寒色系色調および無色の複層ガラスが得られた。
(試験例4)
実施例2の反射防止膜におけるSiOおよびSnOの膜厚を下記表4に示すように変化させて室外反射色調の変化を調べた。結果を下記表4に示す。
Figure 2006143525
表4から、本発明の反射防止膜が多層膜である場合、該多層膜の各層の膜厚が変動しても、反射色調にはほとんど影響がないことが分かる。そのため、本発明の複層ガラスにおける反射防止膜が多層膜である場合には、生産工程で生じ得る膜厚の変動に対して、反射色調の変動が少なく、安定した工程を実現できる。
本発明によって、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、高遮熱性能を有する複層ガラス、特に、可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である複層ガラスを提供できる。
本発明の複層ガラスの角部断面を模式的に示した図であって、本発明の主要な構成を説明する図である。 室内側ガラス板に多層膜を設けた場合の本発明の複層ガラスの角部断面を模式的に示した図である。 本発明の複層ガラスの主要な断面構成を模式的に示した図である。 実施例1〜7の複層ガラスの断面を模式的に示した図である。 実施例8〜12の複層ガラスの断面を模式的に示した図である。 実施例13〜16の複層ガラスの断面を模式的に示した図である。
符号の説明
1 室外側のガラス板
2 室内側のガラス板
3 単層膜または多層膜
4 乾燥剤入りスペーサー
5 シール部
11 反射防止膜の第1の層
12 反射防止膜の第2の層
13 反射防止膜の第3の層
21 遮熱膜の第1の層
22 遮熱膜の第2の層
23 遮熱膜の第3の層
24 遮熱膜の第4の層
25 遮熱膜の第5の層
41 多層膜の第1の層
42 多層膜の第2の層
43 多層膜の第3の層
99 ガス層
100 複層ガラス
101 複層ガラス(実施例1〜7)
102 複層ガラス(実施例8〜10)
103 複層ガラス(実施例11〜14)

Claims (16)

  1. 2枚のガラス板を、ガス層を介して対向するように配置した複層ガラスであって、前記2枚のガラス板のうち室外側となるガラス板が、室外側の表面に反射防止膜を有し、室内側の表面に遮熱膜を有することを特徴とする複層ガラス。
  2. 反射防止膜が、無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  3. 無機シリコン化合物が酸化ケイ素である請求項2記載の複層ガラス。
  4. 遮熱膜が、銀を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層ガラス。
  5. 遮熱膜が、チタンの窒化物もしくは酸窒化物を主成分とする層を含む多層膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層ガラス。
  6. 遮熱膜が、銀を主成分とする層と、チタンの窒化物もしくは酸窒化物を主成分とする層とを含む多層膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層ガラス。
  7. 反射防止膜が、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなり、遮熱膜が、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  8. 反射防止膜が、酸化ケイ素層、酸化スズ層、酸化チタン層、窒化チタン層および酸窒化チタン層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなり、遮熱膜が、酸化スズ層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、酸化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および銀層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  9. 反射防止膜が、酸化ケイ素層、酸化スズ層、酸化チタン層、窒化チタン層および酸窒化チタン層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  10. 反射防止膜が、ガラス板表面から順次、(1)窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、(2)酸窒化チタン層、酸化スズ層および酸化ケイ素層、または(3)酸化スズ層、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  11. 遮熱膜が、酸化スズ層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、酸化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および銀層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  12. 遮熱膜が、ガラス板表面から順次、(1)酸化スズ層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層、アルミニウム添加酸化亜鉛層および酸化スズ層、(2)窒化チタン層、酸窒化チタン層、アルミニウム添加酸化亜鉛層、銀層およびアルミニウム添加酸化亜鉛層、または(3)窒化チタン層、酸化チタン層および酸化スズ層を積層した3層または5層からなることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  13. 室内側となるガラス板が、室内側の表面に(1)無機シリコン化合物を主成分とする単層膜または(2)無機シリコン化合物を主成分とする層を含む多層膜(2a)もしくは2種以上の金属酸化物層を積層した多層膜(2b)を有することを特徴とする請求項1記載の複層ガラス。
  14. 室内側ガラス板の室内側表面の多層膜が、ガラス板表面から順次、酸化スズ層、酸化チタン層および酸化ケイ素層を積層した3層からなることを特徴とする請求項13記載の複層ガラス。
  15. 反射防止膜の膜厚が50〜1000nmであり、遮熱膜の膜厚が50〜1000nmである請求項1〜14のいずれかに記載の複層ガラス。
  16. 可視光透過率が45%以上であり、可視光反射率が15%以下であり、日射透過率が35%以下である請求項1〜15のいずれかに記載の複層ガラス。
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