JP2006142231A - セラミックフィルタの逆洗方法 - Google Patents

Abstract

【課題】通常の逆洗では除去しにくいダストを除去することで、集塵装置の集塵性能を維持するとともに、セラミックフィルタの長寿命化を可能とする。
【解決手段】多数の並列するガス流路（一次側：１ａ、二次側：１ｂ）の開口に交互に目封じ１１を設けた多孔性ハニカムセラミックフィルタ１を用いた集塵装置による、焼却炉の燃焼排ガス中の固形分を分離するろ過運転における逆洗方法も関する。一般廃棄物、汚泥、産業廃棄物などの焼却炉の燃焼排ガスを対象とした集塵装置の通常のろ過運転では、燃焼排ガスは、２００℃以下の温度に制御して行なわれる。本発明は、逆洗操作に先立って予め２５０℃以上のガス、例えば加熱空気を通過させ、堆積ダストを２５０℃以上に、１〜３時間、加熱するという熱作用によって、その組織を脆弱化して、逆洗によって脱落し易くできる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物などの焼却炉に用いられるセラミックフィルタの改良に関するもので、特に、セラミックフィルタの目詰まりの原因となる堆積ダストを除去する逆洗方法の改良に関する。

焼却炉の排ガス中のダストを除去する集塵装置にセラミックフィルタを利用する技術については、本発明出願人がすでに提案したところである。（特許文献１を参照のこと）
このような集塵装置では、セラミックフィルタの差圧が上昇し、ろ過性能が低下することを防ぐために定期的にパルスエア等により逆洗を行い、差圧上昇の原因となるろ過面に付着したダストを除去し、ろ過性能を回復させることが通常である。

ところが、排ガス中のダストの種類によっては、この逆洗によってもろ過性能の回復が不十分であって、比較的短い期間でセラミックフィルタが使用できなくなる場合があった。このような逆洗では除去しきれないような、粘着性ダストの除去方法の開発が要望されていた。
特開２０００−２１０５１６号公報：請求項１、３、５、段落〔００１６〕〔００１９〕などを参照のこと。

本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、通常の逆洗では除去しにくいダストを除去できるようにして、集塵装置の集塵性能を向上させるとともに、セラミックフィルタの長寿命化を可能とするセラミックフィルタの逆洗方法を提供する。

上記の問題は、焼却炉の燃焼排ガス中の固形分を分離するためのセラミックフィルタを用いたろ過運転における堆積ダストを除去する逆洗方法であって、逆洗操作に先立って予め逆洗対象である堆積ダストを２５０℃以上の温度で熱処理することを特徴とする本発明のセラミックフィルタの逆洗方法によって、解決することができる。

また、本発明は、前記堆積ダストが、処理排ガス中のＳＯｘ成分を消石灰により固定化した固形分を含むものである形態、または前記堆積ダストが、処理排ガス中のオイル分を含むものである形態に好ましく具体化される。

さらに、前記形態において、堆積ダストを熱処理する方法が、温度２５０℃以上の加熱空気または焼却後の焼却炉の残熱を利用して発生させたガスをセラミックフィルタに供給するものであるのが好ましく、前記セラミックフィルタが多数の並列するガス流路のそれぞれの開口を交互に目封じしたハニカム式セラミックからなるフィルタであるのが好ましい。

本発明のセラミックフィルタの逆洗方法は、このように、逆洗対象である堆積ダストを２５０℃以上の温度で熱処理してその組織を脆弱化させ、逆洗効果を高めることができる。特に、前記堆積ダストが、処理排ガス中のＳＯｘ成分を消石灰により固定化した固形分を含む、あるいは未燃オイル分を含む場合には、優れた効果が発揮できる。よって本発明は、従来の問題点を解消し、集塵装置の集塵性能を向上させるとともに、セラミックフィルタの長寿命化を可能とするたセラミックフィルタの逆洗方法として、その実用的価値はきわめて大なるものがある。

次に、本発明のセラミックフィルタの逆洗方法に係る実施形態について説明する。
本発明は、好ましくは、図１、２に例示するような、多数の並列するガス流路（一次側１ａ、二次側１ｂ）の開口に交互に目封じ１１を設けたハニカム式セラミックフィルタ１を用いた集塵装置を対象とするもので、具体的には、その集塵装置による焼却炉の燃焼排ガス中の固形分を分離するろ過運転における堆積ダストを除去する逆洗方法も関する。

本発明の焼却炉には、一般廃棄物、汚泥、産業廃棄物などの焼却炉、それらの溶融炉を含む。また、このような焼却炉の燃焼排ガスを対象とした集塵装置の通常のろ過運転では、ろ過対象の排ガスは、２００℃以下の温度に制御して行なわれる。その理由は、排ガス温度を低温に維持して有害成分であるダイオキシン類の再合成を防止するためである。

そして、本発明の特徴とするところは、逆洗操作に先立って予め２５０℃以上のガス、例えば加熱空気をセラミックフィルタの一次側から２次側に通過させ、逆洗対象である堆積ダストを熱処理する点にあり、このように堆積ダストを２５０℃以上に、１〜３時間、加熱するという熱作用によって、その組織を脆弱化して、逆洗によって脱落し易くできるものである。

本発明は、集塵装置の前工程に処理排ガス中のＳＯｘ成分を消石灰により乾式固定化する有害ガス除去工程を設けた場合における燃焼排ガスを対象とする場合に、特に効果的である。その理由は次の通りである。
このような有害ガス除去工程では、ＳＯｘ成分と石灰分は反応してＣａＳＯ_４・２Ｈ_２Ｏ粒子となって集塵装置に送り込まれる。そして、この硫酸カルシウム水和物がダストとして凝集した状態でセラミックフィルタに堆積する。このような凝集した硫酸カルシウム水和物を含む堆積ダストは凝固していて、通常のパルスエアなどの逆洗手段では除去し難いのであるが、２５０℃以上に加熱されると、硫酸カルシウム水和物から水分が分解、遊離して脆弱化し外力によって容易に組織が崩れるようになるからである。

また、本発明は、前記堆積ダストが、処理排ガス中の未燃オイル分を含む場合にも好ましい結果が得られる。この理由は、未燃オイル分は粘着性が高く、一般ダスト成分と一緒になって凝固した堆積ダストを形成するものの、２５０℃以上に加熱されると、部分的に分解して粘着性を失い、脆弱化し外力によって容易に組織が崩れるようになるからである。
なお、本発明では、熱処理温度は、３５０℃以上にするのは好ましくない。熱エネルギが無用に消費される他、他機器への影響が懸念されるからである。

この熱処理はフィルタを装置に組込んだ状態でおこなうが、フィルタを装置より取外し、加熱炉のような炉内にて加熱することも可能である。
また、熱処理のためのガスは加熱空気を使用するが、焼却を停止もしくは一次的に中断した焼却炉の残熱を利用して空気を加熱することにより、エネルギー使用量、加熱時間ともに大幅に低減ができる。

また、以上の説明では、ガス流路の開口に交互に目封じ１１を設けたハニカム式セラミックフィルタの例で説明したが、本発明は、セラミック製フィルタであれば、特にハニカム形式に限定するものではなく、各種形状のセラミックフィルタに適用可能である。

次に、本発明の実施例を説明する。この場合のろ過条件および加熱条件の概要は次のとおりである。
１）ろ過対象排ガス：集じん器入口において消石灰を噴霧し、脱硫・脱塩をおこなった焼却排ガス。集じん器入口温度１９０℃
２）セラミックフィルタの仕様：ハニカムタイプ
３）熱処理ガス温度：２５０℃、３００℃
４）熱処理時間：１.５時間、３時間
５）熱処理間隔：差圧状況により１週間から1ヶ月に１回熱処理を行う。
６）結果：熱処理をおこなったときの差圧減少率
｛（熱処理前の差圧−熱処理・逆洗後の差圧）／熱処理前｝を％で示す。

この結果を表１に示す。
熱処理をおこなうことで差圧が最大46.9％まで低減しており、ろ過性能が回復していることがわかる。なお、6.5％から46.9％の範囲でばらつきが見られるのは、運転時間の経過とともに本熱処理では除去できない要因によって発生するろ過性能の低下が原因と思われる。
なお、熱処理を行わない場合、差圧は減少することはなく差圧減少率は０％である。

本発明に用いられるセラミックフィルタを示す部分切り欠き要部斜視図。 同じくセラミックフィルタの通気状態を示す模式的断面図。

符号の説明

１：セラミックフィルタ、１ａ：一次側、１ｂ：二次側、１１：目封じ

Claims (5)

1. 焼却炉の燃焼排ガス中の固形分を分離するためのセラミックフィルタを用いたろ過運転における堆積ダストを除去する逆洗方法であって、逆洗操作に先立って予め逆洗対象である堆積ダストを２５０℃以上の温度で熱処理することを特徴とするセラミックフィルタの逆洗方法。
2. 前記堆積ダストが、処理排ガス中のＳＯｘ成分を消石灰により固定化した固形分を含むものである請求項１に記載のセラミックフィルタの逆洗方法。
3. 前記堆積ダストが、処理排ガス中のオイル分を含むものである請求項１に記載のセラミックフィルタの逆洗方法。
4. 堆積ダストを熱処理する方法が、温度２５０℃以上の加熱空気または焼却後の焼却炉の残熱を利用して発生させたガスをセラミックフィルタに供給するものである請求項２または３に記載のセラミックフィルタの逆洗方法。
5. 前記セラミックフィルタが多数の並列するガス流路のそれぞれ開口を交互に目封じしたハニカム式セラミックからなるフィルタである請求項１〜４のいずれかに記載のセラミックフィルタの逆洗方法。

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