JP2006141166A - モータ装置及びその制御方法 - Google Patents

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禎洋 伊藤
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Abstract

【課題】 負荷や回転速度の変化が大きく、正逆回転を繰り返すという使用環境下において、モータの進角を好適に制御する。
【解決手段】 進角を固定値にして運用することで、モータ消費電流の増大を防ぐことができる。また、一定速度でモータ回転を行なうとき、制御入力に基づいて進角を動的に制御することで、消費電力のさらなる節減(つまりモータの効率向上)を実現することができる。また、ロボット装置のように、回転子がストップ・アンド・ゴーを繰り返すようなとき、モータの消費電力に基づいて進角を動的に制御することで、発生トルクの最大化を実現することができる。
【選択図】 図17

Description

本発明は、電気エネルギを回転エネルギに変換するモータ装置及びその制御方法に係り、特に、回転子側に永久磁石を、固定子側に複数相のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるACサーボ・モータ(若しくはDCブラシレス・モータ)などのモータ装置及びその制御方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用されるモータ装置及びその制御方法に係り、特に、ロボットのモーション実行時などのように、モーション実行時には負荷や回転速度の変化が大きく、正逆回転を繰り返すという使用環境下において、各相のコイルに対する通電タイミングを効率的に決定するモータ装置及びその制御方法に関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置のことを「ロボット」という。その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
今後、ロボットがさまざまな人的作業を代行し、さらに人間の住空間に深く浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間のそれとほぼ同じであることが好ましい。ところが、人間の作業空間や居住空間のほとんどは、2足直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや行動様式に合わせて形成されおり、車輪その他の駆動装置を移動手段とした現状の機械システムが移動するには多くの障壁が存在する。そこで、最近では、ヒトなどの2足直立歩行を行なう動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
2足直立による脚式移動は、クローラ式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、以下のような脚式動作により、複雑な移動面を移動することができる。
(1)移動面上に形成された凹凸に対する足先位置の高い選択性
(2)不連続接地による選択的接地や移動
(3)踏み変え動作による接地状態の自在な変更
すなわち、脚式移動ロボットは、不整地や障害物など作業経路上に凹凸のある歩行面や、階段や梯子の昇降など不連続な歩行面に対応することができるなど、対地適応性に優れ、柔軟な移動作業を実現することができる。これが、脚式移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でもある。
ところで、ロボットは多数の関節自由度を備えている。人間形のロボットであれば32個又はその前後の自由度で構成することができる(例えば、特許文献2を参照のこと)。また、各関節の動きをアクチュエータ・モータで実現することができる。そして、各モータの回転位置、回転量などを取り出して、回転位置又は角速度の制御を行なうことにより、所望の動作パターンを再現するとともに、姿勢制御を行なうようになっている。
ロボットの関節用アクチュエータとしてサーボ・モータを用いるのが一般的である。これは、取扱いが容易で、小型且つ高トルクで、しかも応答性に優れているという理由に依拠する。特に、ACサーボ・モータ(若しくはDCブラシレス・モータ)は、ブラシがなく、メンテナンス・フリーであることから、無人化された作業空間で稼動することが望まれるような自動機械、例えば自由歩行を行なう脚式ロボットの関節アクチュエータなどに適用することができる。ACサーボ・モータは、回転子(ロータ)側に永久磁石(メイン・マグネット)を、固定子(ステータ)側に複数相(例えば3相)のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるようになっている。
例えば、脚式移動ロボットの関節アクチュエータとして適用することができる、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・モータなどが既に存在する(例えば、特許文献3を参照のこと)。また、アクチュエータ・モータの直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボットに求められている駆動系自身の受動的特性を得ることができる。
脚式移動ロボットは、多数の関節で構成されているため、関節自由度を構成する各サーボ・モータを小型且つ高性能に設計・製作しなければならない。また、転倒回避など姿勢安定制御を実現するために、サーボ・モータには高度な位置決め制御が要求される。
ACサーボ・モータでは、回転子の着磁磁束に合わせて複数相(例えば3相)のコイルに通電し回転させる。したがって、ホール素子などを用いて回転子の磁束を矩形波状に検出して各相への通電タイミングを決定し、その信号タイミングに基づいて各相のコイルへ通電する、というのが一般的である(例えば、特許文献4を参照のこと)。
このような通電タイミングの決定方法は、信号タイミングが一定値をとることから、モータ負荷が定負荷、定速回転、一方向回転である場合には有効である。ところが、ロボット用アクチュエータに適用された場合には、負荷や回転速度の変化が大きく、モーション実行時には正逆回転を繰り返すため、よい特性が得られず、効率もよくない、という問題がある。
また、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じる。このため、回転子の回転速度が速くなると、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでの間に、回転子がかなりの角度回転し、実際の回転子の回転位相に対して通電相のトルク発生タイミングが遅れる。このような状態では、駆動トルクが低下して回転子の回転速度が抑制されてしまう。通電相の位相遅れは、負荷トルクや回転数などのモータ使用状況、逆誘起電圧、インダクタンス、電気的時定数などのモータ自身の特性によって変化するとされる。そこで、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し通電相の位相を進める、すなわち電気的に「進角」を与える必要がある。
例えば、モータの回転数と負荷トルクに応じて変動する位相のずれ量を補正して適切な転流タイミングで各層のコイルへ通電を行なうことにより、高い効率でモータを運転することができる(例えば、特許文献5を参照のこと)。しかしながら、回転子の回転位置の検出にホールICを使用しているため、位相検知の精度が不十分である。
また、回転子の回転速度に応じて回転子の回転位相に対する通電相の位相進み量を補正するモータ制御装置について提案がなされているが(例えば、特許文献6を参照のこと)、モータに印加される負荷に対しては全く考慮されていない。
また、回転子の回転制御を行なうDCブラシレス・モータの制御装置において、回転数や負荷トルクに応じて通電移相のずれを補正することが提案されているが(例えば、特許文献7を参照のこと)、モータ・コイルに起因する逆起電力に基づいて回転子の位置検出を行なっているため、製造バラツキなどにより正確な位置計測を行なうことができないという問題がある。
また、モータ駆動コイルに正弦波状の交番電流を流し、さらに交番電流と逆誘起電圧の位相を一致させて、トルク・リップル、振動、騒音を低減するとともに効率のよいモータ駆動装置について提案がなされている(例えば、特許文献8を参照のこと)。ところが、進角の制御のために3相コイルのうち2相の電流値をモニタする必要がある。
特開2001−129775号公報 特開平13−150371号公報 特開2000−299970号公報 特開2000−116175号公報 特開2001−37279号公報 特開2004−23931号公報 特開平7−111795号公報 特開2004−48951号公報
本発明の目的は、回転子側に永久磁石を、固定子側に複数相のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させることができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用することができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、ロボットのモーション実行時などのように、負荷や回転速度の変化が大きく、モーション実行時には正逆回転を繰り返すという使用環境下において、各相のコイルに対する通電タイミングを効率的に決定することができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を、所定のモータ入力電流が与えられたときの最適な進角に基づいて決定する進角制御手段と、
前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
を具備することを特徴とするモータ装置である。
ここで、前記進角制御手段は、より小さなモータ電流でより高い回転速度が得られる進角を最適な進角とする。
また、前記進角制御手段は、最大のモータ入力電流が与えられたときの最適な進角をすべてのモータ入力電流に対する固定の進角として決定するようにする。
通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じるため、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し通電相の位相を進める、すなわち進角を与えることが一般的に行なわれている。本発明の第1の側面に係るモータ装置によれば、進角を固定値にして運用することで、モータ消費電流の増大を防ぐことができる。
また、本発明の第2の側面は、回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を電気角に基づいて制御する進角制御手段と、
前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
を具備することを特徴とするモータ装置である。ここで、前記モータ制御論理手段に対し、一定の負荷が加えられている状態で前記回転子を定速で回転させるための回転速度指令が入力されている。
本発明の第2の側面に係るモータ装置によれば、一定速度でモータ回転を行なうとき、制御入力に基づいて進角を動的に制御することで、消費電力のさらなる節減(つまりモータの効率向上)を実現することができる。
また、本発明の第3の側面は、回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
前記モータの消費電流を検出するモータ消費電流検出手段と、
前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を前記モータの消費電流に基づいて制御する進角制御手段と、
前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
を具備することを特徴とするモータ装置である。ここで、前記モータ制御論理手段に対し、前記回転子の回転角度を指示する回転位置指令が入力されている。
本発明の第3の側面に係るモータ装置によれば、例えば、DCブラシレス・モータがロボット装置の関節駆動用アクチュエータとして適用された場合のように、回転子がストップ・アンド・ゴーを繰り返すようなとき、モータの消費電力に基づいて進角を動的に制御することで、発生トルクの最大化を実現することができる。
前記3相コイルはデルタ型の結線構造を持つ場合には、前記モータ消費電流検出手段は、各相コイルのコモン電流をモータ消費電流として容易に取り出すことができる。
本発明によれば、回転子側に永久磁石を、固定子側に複数相のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させることができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することができる。
また、本発明によれば、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用することができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することができる。
また、本発明によれば、ロボットのモーション実行時などのように、負荷や回転速度の変化が大きく、モーション実行時には正逆回転を繰り返すという使用環境下において、各相のコイルに対する通電タイミングを効率的に決定することができる、優れたモータ装置及びその制御方法を提供することができる。
本発明に係るモータ装置によれば、定負荷に近い状況において効率的な消費エネルギにて最適化運用を行なうことができる。また、負荷が激しく増減する状況において、高高率なパワー発生のための運用を行なうことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.モータの構成
図1には、本発明の実施に供されるDCブラシレス・モータ10の軸方向の断面構成を示している。
図示の通り、DCブラシレス・モータ(若しくはACサーボ・モータ)10は、所定の回転軸を持った回転子11の周囲に、例えば3相の固定子12が円周方向に配設されている。回転子11は、異なる磁極が交互に多極着磁されたメイン・マグネットからなる。一方、固定子12側にコイルを配置して、各相コイルに所定の位相差を以って正弦波電流を供給して所望の正弦波磁束分布を形成することにより、回転子11に対して回転トルクを印加することができる。これら回転子11及び固定子12は、略円筒形状の筐体に収容されて、単一のサーボ・アクチュエータ・ユニットを構成する。そして、回転子11は、所定の回転軸回りに回転可能となるように支持されている。
本実施形態では、固定子12は、U、V、Wの各相からなる3相コイルで構成されており(後述)、各相へ120度ずつの位相差を以って交流電流を流して磁界を発生させることにより、回転子11に対してトルクを起すことができる。また、各相へ供給する電流を制御することにより、回転子11に付与する回転トルクを制御することができる。
なお、図1には図示しないが、DCブラシレス・モータ10の出力端には減速ギアが直結されている。例えば、直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボットに求められている駆動系自身の受動的特性を得ることができる。
本実施形態に係るDCブラシレス・モータ10は、駆動回路13Aを同一筐体に内蔵した小型アクチュエータである。図1に示す例では、制御回路基板13上には、所定パターンの印刷配線が敷設されているとともに、駆動回路13Aやその周辺回路チップが搭載されている。制御回路基板13は、略円盤状に形設されている。制御回路基板13の略中央には、回転子11の回転シャフトを挿通させるための開口が穿設されている。
回転子11の制御回路基板13側の端面には、リング状の回転子センサ・マグネット15が取り付けられている。このリング状の回転子センサ・マグネット15の表面は正弦波着磁処理が施されている。このセンサ・マグネット15の極の位置と極数は、回転子11のメイン・マグネットと同じになっている。一方、制御回路基板13に対向する回転子11側の表面上には、図1に示すように2個の回転位置センサ16A及び16Bが回転軸に対して90度の位相差を以って配設されている。回転位置センサ16A及び16Bは、磁極軸の原点位置に磁束密度の大きさを検出する素子(ホール素子)で構成される。
回転位置センサ16Aは、回転子センサ・マグネット15が発する磁界に応じたホール・センサ信号SINを出力し、回転位置センサ16Bは同様にホール・センサ信号COSを出力する。これらホール・センサ信号SIN及びCOSは、回転子11における電気的な角度すなわち電気角を表しており、この電気角に基づいて外部(例えば中央コントローラ)からの位置指令に対するDCブラシレス・モータの回転駆動のフィードバック制御を行なうことができる。図2には、センサ・マグネット15と回転位置センサ16A及び16Bの位置関係を表している。同図に示すように、回転位置センサ16A及び16Bは回転子11の回転軸回りに90度の位相差を以って配設されていることから、これらのセンサ出力信号はSIN及びCOSとなり、これらセンサ出力に対し所定のレゾルバ演算を施すことにより、回転子11の電気角を得ることができる。
例えば、本出願人に既に譲渡されている特開平9−37590号公報には、異なる磁極が交互に多極着磁された回転子の駆動用マグネットと、モータの固定子に配置されて、マグネットに対面している駆動用のコイルと、モータの固定子に配置されて、固定子に対してモータが回転する際にマグネットの磁界の強さの変化を検出するホール素子などの複数のセンサとで構成されるサーボ・モータについて開示されている。そして、複数のセンサからえられるマグネットの磁界の強さの変化に対応する検出信号に基づいて、回転子の回転速度をサーボ制御するためのサーボ信号を生成することにより、モータの速度サーボを実現することができる。
上述したように、DCブラシレス・モータは、回転可能に支持されたメイン・マグネットからなる回転子と、複数相のコイルを所定の位相差を以って配置してなる固定子で構成される。例えば、3相モータであれば、U、V、Wの3相からなる各固定子コイルに所定の位相差を以って正弦波電流を流し、正弦波の磁束分布を発生させることによって、マグネットからなる回転子に回転トルクを与えることができる。
同期式のDCブラシレス・モータのコイルには、図3に示すような各コイルの一端を接続したスター型結線や、図4に示すような各コイルの両端をそれぞれ接続してなるデルタ型結線が適用される。スター型結線は高電圧の電源に適した結線であり、循環電流がないことからモータ出力電流を制御し易いという特徴がある。一方、デルタ型結線は低電圧の電源に適した結線で使用されている。一般に、永久磁石式ACモータでは、高速回転時には永久磁石による高調波電流がコイル内でループ状に流れて効率が劣化するため、デルタ型結線はあまり使用されない。しかしながら、本実施形態では、デルタ型結線は合成抵抗値が少なく、低い電圧でトルク(モータ出力電流)が大きくなり、バッテリ駆動のロボット装置に有利であるなどの理由により、デルタ型結線を用いるものとする。
図5には、3相DCブラシレス・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路についての等価回路の構成例を図解している。同図に示す例では、固定子コイルはデルタ結線方式で構成されている。モータ制御論理回路は、図示しない中央制御部からの電流軸電流指令(又はトルク指令)としての制御入力uに基づいて相変換を行なうことで、各相コイルU、V、Wへの電流指令IU、IV、IWを生成する。これらの電流指令は互いに120度(=2π/3)ずつ位相差を持ち、後述する電気角θerを用いて下式で表される。
Figure 2006141166
インバータ論理回路は、これら電流指令IU、IV、IWに基づいて各トランジスタA'、A、B'、B、C'、CをPWM(Pulse Width Modulation)方式にてそれぞれスイッチング制御する。
図5に示す電流制御回路は、フルブリッジ構成であり、pnp型のトランジスタA'とnpn型のトランジスタAを順方向接続したU相磁束分布生成用の回路と、pnp型のトランジスタB'とnpn型のトランジスタBを順方向接続したV相磁束分布生成用の回路と、pnp型のトランジスタC'とnpn型のトランジスタCを順方向接続したW相磁束分布生成用の回路とが並列接続されている。そして、これら1対のトランジスタを順方向接続した回路の一方のpnp型トランジスタA'、B'、C'それぞれのエミッタをモータ駆動用の電源電圧VCCに並列接続するとともに、他方のnpn型トランジスタA、B、CそれぞれのエミッタにグランドGNDを並列接続している。さらに、トランジスタA'とAの中間点とトランジスタB'とBの中間点にコイルUが接続され、トランジスタB'とBの中間点とトランジスタC'とCの中間点にコイルVが接続され、トランジスタC'とCの中間点とトランジスタA'とAの中間点にコイルWが接続されている。
トランジスタA'及びBをオンにするとともに、トランジスタA及びB'をオフにすることによって、コイルUには、図示の矢印方向の電流IUが流れる。次に、トランジスタA'及びBをオフにすることによって、コイルUはオープン状態となって、電流IUは流れなくなる。
同様に、トランジスタB'及びCをオンにするとともに、トランジスタB及びC'をオフにすることによって、コイルVには、図示の矢印方向の電流IVが流れる。次に、トランジスタB'及びCをオフにすることによって、コイルVはオープン状態となって、電流IVは流れなくなる。
また同様に、トランジスタC'及びAをオンにするとともに、トランジスタC及びA'をオフにすることによって、コイルWには、図示の矢印方向の電流IWが流れる。次に、トランジスタC'及びAをオフにすることによって、コイルWはオープン状態となって、電流IWは流れなくなる。
図6及び図7には、図5に示した電流制御回路における各トランジスタのスイッチングとスイッチング電流との関係を示している(図6にはコイル端子電圧波形を、図7にはコイル電流波形を、それぞれ示している)。PWMスイッチング信号により各トランジスタのオン/オフ動作させて各コイル電流IU、IV、IWの大きさを制御するようになっている。その最大電流は、パルス幅の最大量により決定される。また、電源電圧に接続されているトランジスタU’とグランドに接続されているトランジスタUが同時にオンにならないように、図示しないデッド・バンドtdが確保される。トランジスタB’とB、トランジスタC’とCにおいても同様にデッド・バンドが確保される。
ここで、モータ駆動時のPWM制御には、モータ・コイルがオープン状態になるタイミングが存在する。例えば、図6中のハッチングされた領域部分において、各相のモータ・コイルU、V、Wがともにオープン状態になる。
回転子11の制御回路基板13側の端面には、回転子11のメイン・マグネットと同じ極の位置と極数を持つリング状の回転子センサ・マグネット15が取り付けられている。そして、センサ・マグネットに対向して配設されるセンサ(ホール素子)16A及び16Bから得られるマグネットの磁界の強さの変化に対応する検出信号に基づいて、ロータの速度をサーボ制御するためのサーボ信号を生成することにより、モータの速度サーボを実現することができる(前述)。
なお、図5に示したモータ駆動回路構成では、モータ電流は下式で表される。但し、同式中のabs()は()内の値の絶対値を表わす。
Figure 2006141166
B.電気角の検出
上述したように、メイン・マグネットに同軸状に取り付けられたセンサ・マグネットの磁界の変化により回転子の挙動を高精度に検出するためには、メイン・マグネットとセンサ・マグネット間で極の位相が同一(若しくはある特定の角度)になるように組み合わせる必要がある。また、先述したように、脚式移動ロボットの関節アクチュエータなど、より厳密なサーボ制御が要求される用途に使用される場合には、メイン・マグネットとセンサ・マグネット間の極位相を高精度に位置合わせしなければならない。メイン・マグネットとセンサ・マグネット間の位相差は、進角制御にも影響を及ぼす。
モータの回転子の組立てはメイン・マグネット部分とセンサ・マグネット部分を別々に製作して、組み上げるのが代表的な方法の1つである。すなわち、まず軸にバック・ヨークを介して接着されたメイン・マグネットを着磁して、メイン・マグネット部分を完成する。次いで、別のバック・ヨークに接着したセンサ・マグネットを着磁して、センサ・マグネット部分を完成する。そして、それぞれのマグネット間での極の位相がある特定の角度になるように組み合わせる。
メイン・マグネットとセンサ・マグネット間での極位相を位置合わせし易くするために、例えば、各部品に切り欠きなどの物理的な目印を設けて、目視又は組立治具を用いて組み立て作業を行なうなどの工夫がなされているものの、組立誤差や、モータ毎の位相のばらつき(個体差)を完全に排除することはできない。図8には、センサ・マグネットとメイン・マグネットの間に発生する位相差角度を示している。
本実施形態では、メイン・マグネットとセンサ・マグネット間の位相差による影響を排除するために、電気角オフセットを検出するようにしている。図9には、DCブラシレス・モータにおける電気角オフセットを自動検出するための処理手順をフローチャートの形式で示している。また、図10には、この処理手順に従って電気角オフセットを求める様子を図解している。但し、ここでは以下の2点を前提とする。
(1)入力電流の絶対値が同じ場合、モータはCW/CCWのどちらの回転方向にも同じ速度で回転する。
(2)入力電流の絶対値が同じ場合、モータ消費電力はCW/CCWのどちらの回転方向でも同じ値をとる。
まず、設定されているある初期電気角オフセットを読み込む(A1)
次いで、ユーザからあらかじめ入力した電気角オフセット検索角度範囲を読み込む(A2)
そして、変数iに初期値1を代入し、モータに指定可能な最低分解能に至るまで、A3〜A8にわたる処理を繰り返し実行する。
i=1では、まずモータをCW回転し(A3−i)、電気角オフセットを決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、回転数と電流値をサンプリングする(A4−i)。次いで、モータをCCW回転し(A5−i)、電気角オフセットを決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、回転数と電流値をサンプリングする(A6−i)。そして、サンプリングしたデータから、正転及び逆転ともに回転数、電流値が最も近いと推測された角度を次の検索角度の中心とし(A7−i)、検索範囲を半分にする(A8−i)。
ここで、検索範囲は最低分解能に到達していないので、i=2において同様の処理を繰り返す。まずモータをCW回転し(A3−i)、電気角オフセットを決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、回転数と電流値をサンプリングする(A4−i)。次いで、モータをCCW回転し(A5−i)、電気角オフセットを決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、回転数と電流値をサンプリングする(A6−i)。そして、サンプリングしたデータから、正転及び逆転ともに回転数、電流値が最も近いと推測された角度を次の検索角度の中心とし(A7−i)、検索範囲を半分にする(A8−i)。
このように検索範囲を順次狭めながら電気角オフセットの検索処理を検索範囲が最低分解能を割り、処理不能となった時点で検索中心角度を電気角オフセットとして返し、本処理ルーチン全体を終了する。
C.進角の検出
ホール素子などを用いて回転子の磁束を矩形波状に検出して各相コイルへの通電タイミングを決定する方法では、モータ負荷が定負荷、定速回転、位置方向回転である場合には有効である。ところが、ロボット用アクチュエータに適用された場合には、負荷や回転速度の変化が大きく、モーション実行時には正逆回転を繰り返すため、よい特性が得られず、効率もよくない。
また、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じる。このため、回転子の回転速度が速くなると、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでの間に、回転子がかなりの角度だけ回転し、実際の回転子の回転位相に対して通電相のトルク発生タイミングが遅れる。このような状態では、駆動トルクが低下して回転子の回転速度が抑制されてしまう。通電相の位相遅れは、負荷トルクや回転数などのモータ使用状況、逆誘起電圧、インダクタンス、電気的時定数などのモータ自身の特性によって変化するとされる。
そこで、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し通電相の位相を進める、すなわち進角を与えることが一般的に行なわれている。最適な進角では、より小さなモータ電流でより高い回転速度を得ることができる。
図10には、この処理手順に従って進角オフセットを求める様子を図解している。また、図11には、DCブラシレス・モータにおける進角を自動検出するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、設定した進角検索角度範囲を読み込む(B1)。そして、設定した進角検索角度範囲の中心を初期進角とし(B2)、モータをCW方向に回転させる。
そして、変数iに初期値1を代入し、モータに指定可能な最低分解能に至るまで、B4〜B6にわたる処理を繰り返し実行する。
i=1では、モータの回転子をCW方向に回転させている最中に、進角を決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、各々での電流値をサンプリングする(B4−i)。そして、サンプリングしたデータから、最もモータ電流が少なかった角度を次の進角に設定し(B5−i)、検索範囲を半分にする(B6−i)。
ここで、検索範囲は最低分解能に到達していないので、i=2において同様の処理を繰り返す。モータの回転子をCW方向に回転させている最中に、進角を決められた検索範囲内にて所定のステップ間隔で変更させ、各々での電流値をサンプリングする(B4−i)。そして、サンプリングしたデータから、最もモータ電流が少なかった角度を次の進角に設定し(B5−i)、検索範囲を半分にする(B6−i)。
このように検索範囲を順次狭めながら最適進角の検索処理を検索範囲が最低分解能を割り、処理不能となった時点で検索中心角度を進角として返し、本処理ルーチン全体を終了する。
D.進角とモータ特性の関係
最適な進角では、より小さなモータ電流でより高い回転速度を得ることができる。
図13には、無負荷の状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係を示している。同図では、DCブラシレス・モータへの入力電流uが100%、80%、60%、40%、20%それぞれの場合における進角とモータ電流Io、及びモータ回転速度ω[rpm]の関係を示している。同様に、図14には、本実施形態を現実に使用することを想定した場合において、負荷が加えられた状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係を示している。
両図を比較して判るように、DCブラシレス・モータへの負荷を変動させても、各入力電流に対しモータ電流が最小となるような進角は大きく変化しない。
また、図15には、DCブラシレス・モータにおける、進角と発生トルクの関係を示している。同図では、進角0度から45度まで5度刻みで発生トルクに対するモータ電流の変化を示している。同図から判るように、進角が小さくなると、同じモータ電流値で発生できるトルクが大きくなる。
E.進角の運用
前項から判るように、DCブラシレス・モータにおいては、モータ負荷を変動させてもモータ電流が最小となる進角が大きく変化しないことと、進角に応じて発生トルクが変化するということが判る。
そこで、本発明者らは、モータの消費電力を考慮した固定進角による運用と、モータの負荷変動を考慮した進角の制御という2つの運用形態を提案する。
E−1.固定進角による運用
図16には、図13に示した無負荷の状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係に関するグラフについて、モータ電流Io軸の縮尺を変えて示している。図中の矢印で示すΔIは、モータへの入力電流の相違による効率最大点の電流差を示している。
同図に示されているΔIから判るように、モータへの入力電流uが100%の場合に得られた最適進角を使用したときの最小電流値と、入力電流uが20%の場合に同じ進角を使用したときの値を比較すると、最大電流(停動電流)の2%以下、また実質運用電流の5%以下となる。
したがって、進角を固定値にして運用することで、モータ消費電流の増大を防ぐことができる。モータ入力電流uが100%のときの最適進角を固定値の進角として用いることで、進角を与えない場合に比べて、最大83%の消費電流減となる。この場合、同じ進角でモータ入力電流uが20%のときと比較しても、モータ消費電流の差は少ない。逆にモータ入力電流uが20%のときの最適進角を固定値の進角として用いた場合には、同じ進角でモータ入力電流uが100%のときのモータ消費電流との差が大きいので好ましくない。
図17には、固定進角で運用する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図を示している。
図2に示したように、ホール素子などの回転位置センサ16A及び16Bの出力に基づいて、回転子の機械角θmechaを検出する。そして、極対数を乗じて、電気角θerとしてモータ制御論理回路へフィードバックされる(θmecha×極対数=θer)。
モータ制御論理回路には、モータ入力電流uと、固定進角Δθer(=±θopt(Const))が入力され、互いに120度(=2π/3)ずつ位相差を持つ各相コイルU、V、Wへの電流指令IU、IV、IWに対し、この固定進角Δθerだけ位相をそれぞれ進ませる。
回転子がCW回転時には、固定進角Δθerはθopt、入力電流u=1(正規化入力なので100%相当)とする。また、回転子がCCW回転時には、固定進角Δθerは−θopt、入力電流u=−1(正規化入力なので−100%相当)とする。
勿論、進角を制御した方が効率的となるモータの使用形態もあるが、固定進角のままでも、実質運用電流の5%以下の消費電流の増分にしかならない。
E−2.一定速度でモータ回転を行なう場合の進角制御
一定速度でモータ回転を行なうとき、制御入力に基づいて進角を動的に制御することで、E−1で説明した実施形態と比較しても、消費電力のさらなる節減(つまりモータの効率向上)を実現することができる。このような特性は、例えば図13に示したような実験結果に基づいて導出することができる。
図18には、一定速度でモータ回転を行なうとき、制御入力に基づいて進角を動的に制御する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図を示している。
図2に示したように、ホール素子などの回転位置センサ16A及び16Bの出力に基づいて、回転子の機械角θmechaを検出する。そして、極対数を乗じて、電気角θerとしてモータ制御論理回路へフィードバックされる(θmecha×極対数=θer)。
また、図示しない中央制御部からは、参照信号としてモータの回転子の回転速度ωrefが与えられる。そして、モータの回転子の実際の回転速度ωとの差分に基づいて制御入力uがモータ制御論理回路に入力される。
そして、この制御入力uに基づいて動的に制御される進角Δθerがモータ制御論理回路に与えられ、互いに120度(=2π/3)ずつ位相差を持つ各相コイルU、V、Wへの電流指令IU、IV、IWに対し、この固定進角Δθerだけ位相をそれぞれ進ませる。
図13並びに図16に示した例では、Kθer−2は入力当たり28degである。
モータに一定負荷が加わっている状態で、このように進角を制御することによって、より効率的にモータを回転させることができる。
E−3.消費電力に基づく進角制御
例えば、DCブラシレス・モータがロボット装置の関節駆動用アクチュエータとして適用された場合のように、回転子がストップ・アンド・ゴーを繰り返すようなとき、モータの消費電力に基づいて進角を動的に制御することで、発生トルクの最大化を実現することができる。このような特性は、例えば図15に示したような実験結果に基づいて導出することができる。
図19には、ストップ・アンド・ゴーを繰り返すようなとき、モータの消費電力に基づいて進角を動的に制御する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図を示している。
図2に示したように、ホール素子などの回転位置センサ16A及び16Bの出力に基づいて、回転子の機械角θmechaを検出する。そして、極対数を乗じて、電気角θerとしてモータ制御論理回路へフィードバックされる(θmecha×極対数=θer)。
また、図示しない中央制御部からは、参照信号としてモータの回転子の回転角θrefが与えられる。そして、モータの回転子の実際の回転角θmechaとの差分に基づいて制御入力uがモータ制御論理回路に入力される。
モータの発生トルクは、モータ電流Ioに比例する。そこで、このモータ電流Ioに基づいて動的に制御される進角Δθerがモータ制御論理回路に与えられ、互いに120度(=2π/3)ずつ位相差を持つ各相コイルU、V、Wへの電流指令IU、IV、IWに対し、この固定進角Δθerだけ位相をそれぞれ進ませる。
図13並びに図16に示した例では、Kθer−1は(28/3)×(Io−3)deg/Aである。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、とりわけロボット装置の関節自由度を実現するためにアクチュエータに適用することを前提に、本発明に係るDCブラシレス・モータについて説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、他のあらゆる機械装置の駆動用アクチュエータに適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
なお、DCブラシレス・モータの小型化・高出力化を実現するために、回転子側に磁束密度の高いマグネットを使用するようにしてもよい。例えば、極異方性マグネットは、磁束密度が高いので、高出力化の点で優れている。例えば、本出願人に既に譲渡されている特願2000−128409号明細書には、小型化・高出力化のために回転子に極異方性マグネットを使用したサーボ・アクチュエータについて開示されている。
また、DCブラシレス・モータの小型化・高出力化を実現するために、固定子側の巻線密度を高密度化する。例えば、固定子に分割コア方式が採用される。分割コア方式とは、鉄心すなわちコアをその周方向に分割するとともに、コイルを外部で整列状に巻き込んだ後、各鉄心を組み立てることによって固定子を構成するものであり、コアへの高密度なコイルとアクチュエータの省スペース化を可能にする。例えば、本出願人に既に譲渡されている特願2000−281072号明細書には、固定子にコイルを巻設するために分割コア方式を採用したサーボ・アクチュエータについて開示されている。
図1は、本発明の実施に供されるDCブラシレス・モータ10の軸方向の断面構成を示した図である。 図2は、センサ・マグネット15と回転位置センサ16A及び16Bの位置関係を表した図である。 図3は、3相コイルのスター型結線構造を示した図である。 図4は、3相コイルのデルタ型結線構造を示した図である。 図5は、3相DCブラシレス・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路についての等価回路の構成例を示した図である。 図6は、図5に示した電流制御回路におけるコイル端子電圧波形を示した図である。 図7は、図5に示した電流制御回路におけるコイル電流波形を示した図である。 図8は、センサ・マグネットとメイン・マグネットの間に発生する位相差角度を示した図である。 図9は、DCブラシレス・モータにおける電気角オフセットを自動検出するための処理手順を示したフローチャートである。 図10は、図9に示した処理手順に従って電気角オフセットを求める様子を示した図である。 図11は、DCブラシレス・モータにおける進角を自動検出するための処理手順を示したフローチャートである。 図12は、図11に示した処理手順に従って進角オフセットを求める様子を示した図である。 図13は、無負荷の状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係を示した図である。 図14は、有負荷の状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係を示した図である。 図15は、DCブラシレス・モータにおける、進角と発生トルクの関係を示した図である。 図16は、無負荷の状態でのDCブラシレス・モータの進角と回転速度及び消費電流との関係を示した図である。 図17は、固定進角で運用する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図である。 図18は、一定速度でモータ回転を行なうとき、制御入力に基づいて進角を動的に制御する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図である。 図19は、ストップ・アンド・ゴーを繰り返すようなとき、モータの消費電力に基づいて進角を動的に制御する場合のDCブラシレス・モータのサーボ制御系のブロック図である。

Claims (16)

  1. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を、所定のモータ入力電流が与えられたときの最適な進角に基づいて決定する進角制御手段と、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
    を具備することを特徴とするモータ装置。
  2. 前記進角制御手段は、より小さなモータ電流でより高い回転速度が得られる進角を最適な進角とする、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記進角制御手段は、最大のモータ入力電流が与えられたときに得られる最適な進角をすべてのモータ入力電流に対する固定の進角として決定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
  4. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を電気角に基づいて制御する進角制御手段と、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
    を具備することを特徴とするモータ装置。
  5. 前記モータ制御論理手段に対し、一定の負荷が加えられている状態で前記回転子を定速で回転させるための回転速度指令が入力されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ装置。
  6. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
    前記モータの消費電流を検出するモータ消費電流検出手段と、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を前記モータの消費電流に基づいて制御する進角制御手段と、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理手段と、
    を具備することを特徴とするモータ装置。
  7. 前記モータ制御論理手段に対し、前記回転子の回転角度を指示する回転位置指令が入力されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータ装置。
  8. 前記3相コイルはデルタ型の結線構造を持ち、
    前記モータ消費電流検出手段は、各相コイルのコモン電流を前記モータの消費電流として取り出す、
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータ装置。
  9. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置の制御方法であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出ステップと、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を、所定のモータ入力電流が与えられたときの最適な進角に基づいて決定する進角制御ステップと、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理ステップと、
    を具備することを特徴とするモータ装置の制御方法。
  10. 前記進角制御ステップでは、より小さなモータ電流でより高い回転速度が得られる進角を最適な進角とする、
    ことを特徴とする請求項9に記載のモータ装置の制御方法。
  11. 前記進角制御ステップでは、最大のモータ入力電流が与えられたときに得られる最適な進角をすべてのモータ入力電流に対する固定の進角として決定する、
    ことを特徴とする請求項9に記載のモータ装置の制御方法。
  12. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置の制御方法であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出ステップと、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を電気角に基づいて制御する進角制御ステップと、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理ステップと、
    を具備することを特徴とするモータ装置の制御方法。
  13. 前記モータ制御論理ステップに対し、一定の負荷が加えられている状態で前記回転子を定速で回転させるための回転速度指令が入力されている、
    ことを特徴とする請求項12に記載のモータ装置の制御方法。
  14. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に3相コイルを配置し、各相のコイルに120度ずつ位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより前記回転子にトルクを発生させるモータ装置の制御方法であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出ステップと、
    前記モータの消費電流を検出するモータ消費電流検出ステップと、
    前記回転子の回転位相に対しコイル電流の位相を進めるための進角を前記モータの消費電流に基づいて制御する進角制御ステップと、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御論理ステップと、
    を具備することを特徴とするモータ装置の制御方法。
  15. 前記モータ制御論理ステップに対し、前記回転子の回転角度を指示する回転位置指令が入力されている、
    ことを特徴とする請求項14に記載のモータ装置の制御方法。
  16. 前記3相コイルはデルタ型の結線構造を持ち、
    前記モータ消費電流検出ステップでは、各相コイルのコモン電流をモータ消費電流として取り出す、
    ことを特徴とする請求項15に記載のモータ装置の制御方法。
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