JP2006149041A - モータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

モータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

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浩 金田
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Abstract

【課題】 DCブラシレス・モータの進角制御により駆動電流位相を調整する。
【解決手段】 アクチュエータにDCブラシレス・モータを使用した脚式移動ロボットにおいて跳躍や走行などの動作を行なう際、着地衝撃により脚部に過大な外力が印加され、モータが本来動作したい方向とは逆方向に回転させられた場合、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角を回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更することによって、トルクの減少や逆回転の発生を防ぐ。モータ装置は安定したトルクを発生することができるので、着地時などの脚式移動ロボットの姿勢安定制御が可能となる。
【選択図】 図14

Description

本発明は、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用されるモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、回転子側に主極マグネットを、固定子側に複数相のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるACサーボ・モータ(若しくはDCブラシレス・モータ)などのモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、モーション実行時には負荷や回転速度の変化が大きく、正逆回転を繰り返すという使用環境下において、進角の制御により各相のコイルに対する駆動電流位相の調整を行なうモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、ロボットが跳躍や走行などを行なう際に、関節角の正転・逆転などの回転方向並びに回転速度が変化する状況に応じて、トルク減少が生じないように進角制御による駆動電流位相の調整を行なうモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置のことを「ロボット」という。その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
今後、ロボットがさまざまな人的作業を代行し、さらに人間の住空間に深く浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間のそれとほぼ同じであることが好ましい。ところが、人間の作業空間や居住空間のほとんどは、2足直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや行動様式に合わせて形成されおり、車輪その他の駆動装置を移動手段とした現状の機械システムが移動するには多くの障壁が存在する。そこで、最近では、ヒトなどの2足直立歩行を行なう動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
2足直立による脚式移動は、クローラ式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、以下のような脚式動作により、複雑な移動面を移動することができる。
(1)移動面上に形成された凹凸に対する足先位置の高い選択性
(2)不連続接地による選択的接地や移動
(3)踏み変え動作による接地状態の自在な変更
すなわち、脚式移動ロボットは、不整地や障害物など作業経路上に凹凸のある歩行面や、階段や梯子の昇降など不連続な歩行面に対応することができるなど、対地適応性に優れ、柔軟な移動作業を実現することができる。これが、脚式移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でもある。
ところで、ロボットは多数の関節自由度を備えている。人間形のロボットであれば32個又はその前後の自由度で構成することができる(例えば、特許文献2を参照のこと)。また、各関節の動きをアクチュエータ・モータで実現することができる。そして、各モータの回転位置、回転量などを取り出して、回転位置又は角速度の制御を行なうことにより、所望の動作パターンを再現するとともに、姿勢制御を行なうようになっている。
ロボットの関節用アクチュエータとしてサーボ・モータを用いるのが一般的である。これは、取扱いが容易で、小型且つ高トルクで、しかも応答性に優れているという理由に依拠する。特に、ACサーボ・モータ(若しくはDCブラシレス・モータ)は、ブラシがなく、メンテナンス・フリーであることから、無人化された作業空間で稼動することが望まれるような自動機械、例えば自由歩行を行なう脚式ロボットの関節アクチュエータなどに適用することができる。ACサーボ・モータは、回転子(ロータ)側に永久磁石(メイン・マグネット)を、固定子(ステータ)側に複数相(例えば3相)のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるようになっている。
例えば、脚式移動ロボットの関節アクチュエータとして適用することができる、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・モータなどが既に存在する(例えば、特許文献3を参照のこと)。また、アクチュエータ・モータの直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボットに求められている駆動系自身の受動的特性を得ることができる。
脚式移動ロボットは、多数の関節で構成されているため、関節自由度を構成する各サーボ・モータを小型且つ高性能に設計・製作しなければならない。また、転倒回避など極めて高度な姿勢安定制御を実現するために、サーボ・モータには高度な位置決め制御が要求される。
ACサーボ・モータでは、回転子の着磁磁束に合わせて複数相(例えば3相)のコイルに通電し回転させる。例えば、ホール素子などを用いて回転子の磁束を矩形波状に検出して各相への通電タイミングを決定し、その信号タイミングに基づいて各相のコイルへ通電することができる(例えば、特許文献4を参照のこと)。
ところが、このような通電タイミングの決定方法では、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じるという問題がある。すなわち、回転子の回転速度が速くなると、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでの間に、回転子がかなりの角度回転し、実際の回転子の回転位相に対して駆動電流位相の遅れが生じ、トルク発生タイミングが遅れる。このような状態では、駆動トルクが低下して回転子の回転速度が抑制されてしまう。駆動電流の位相遅れは、負荷トルクや回転数などのモータ使用状況、逆誘起電圧、インダクタンス、電気的時定数などのモータ自身の特性によって変化するとされる。
そこで、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し駆動電流位相の位相を進める、すなわち電気的に「進角」を与えるということが一般的に行なわれている。
例えば、モータの回転数と負荷トルクに応じて変動する位相のずれ量を補正して適切な転流タイミングで各層のコイルへ通電を行なうことにより、高い効率でモータを運転することができる(例えば、特許文献5を参照のこと)。
また、回転子の回転速度に応じて回転子の回転位相に対する駆動電流位相の位相進み量を補正するモータ制御装置について提案がなされている(例えば、特許文献6を参照のこと)。
また、回転子の回転制御を行なうブラシレス直流モータの制御装置において、回転数や負荷トルクに応じて通電位相のずれを補正することが提案されている(例えば、特許文献7を参照のこと)。
また、モータ駆動コイルに正弦波状の交番電流を流し、さらに交番電流と逆誘起電圧の位相を一致させて、トルク・リップル、振動、騒音を低減するとともに効率のよいモータ駆動装置について提案がなされている(例えば、特許文献8を参照のこと)。
従来、DCブラシレス・モータにおける進角制御は、回転子の回転位相に対し駆動電流位相の位相を進める、すなわち0〜正方向に移相して十分なトルクを得る、というのが一般的であった。また、多くの場合、進角として正数の固定値が用いられる。
ところが、脚式移動ロボットに代表されるロボット装置においては、跳躍や走行などの動作時に脚部に大きな着地衝撃が加わることを考慮して、逆転性(バックドライバビリティ)の高いアクチュエータが使用される。このため、過大な外力が印加されたときに本来動作したい方向とは逆方向にモータが回転してしまうことがある。このアクチュエータにDCブラシレス・モータを使用し、固定された正方向の進角によるモータの駆動制御を行なった場合、外力によりモータが逆転したときに、回転子の回転位相に対し駆動電流位相は所望の位相にないことになる。
図17には、DCブラシレス・モータにおける進角制御の動作例を図解している。通常は、回転子の回転位相に対し、駆動電流位相の位相すなわち駆動電流位相には進角が与えられることにより、回転目標方向が正で且つ回転方向も正の場合には所望のトルクを得ることができる。これに対し、回転目標方向は正であるが、外力の影響で回転方向が負に転じた場合には、見かけ上大きな進角を設定した状態となってしまう。この結果、必要なトルクを発生できない、あるいは逆回転を助長してしまうような回転力が発生して脱調してしまうなど、ロボットの姿勢安定制御に大きな影響を与えることになる。
特開2001−129775号公報 特開平13−150371号公報 特開2000−299970号公報 特開2000−116175号公報 特開2001−37279号公報 特開2004−23931号公報 特開平7−111795号公報 特開2004−48951号公報
本発明の目的は、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用することができる、優れたDCブラシレス方式のモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、モーション実行時には負荷や回転速度の変化が大きく、正逆回転を繰り返すという使用環境下において、進角の制御により各相のコイルに対する駆動電流位相の調整を好適に行なうことができる、優れたモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、ロボットが跳躍や走行などを行なう際に、関節角の正転・逆転などの回転方向並びに回転速度が変化する状況に応じて、トルク減少が生じないように進角制御による駆動電流位相の調整を好適に行なうことができる、優れたモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に複数相のコイルを配置し、各相のコイルに位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
前記回転子の回転速度及び回転方向を検出する回転子情報検出手段と、
前記回転子の回転位相に対し前記コイルに供給する駆動電流位相を進めるための進角を、前記回転子の回転速度及び回転方向に基づいて制御する進角制御手段と、
前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御手段と、
を具備することを特徴とするモータ装置である。
DCブラシレス・モータにおいては、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じるという問題がある。そこで、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し通電相の位相を進める、すなわち電気的に「進角」を与えるということが一般的に行なわれている。
ここで、脚式移動ロボットの関節駆動用アクチュエータとして、サーボ・モータを適用することができる。跳躍や走行などの動作時に脚部に大きな着地衝撃が加わることを考慮して、逆転性(バックドライバビリティ)の高いアクチュエータが使用されることから、過大な外力が印加されたときに本来動作したい方向とは逆方向にモータが回転してしまうことがある。このアクチュエータにDCブラシレス・モータを使用し、固定された正方向の進角によるモータの駆動制御を行なった場合、外力によりモータが逆転したときに、回転子の回転位相に対し駆動電流位相は所望の位相にないことになる。この結果、見かけ上大きな進角を設定した状態となってしまうため、必要なトルクを発生できない、あるいは逆回転を助長してしまうような回転力が発生して脱調してしまうなど、ロボットの姿勢安定制御に大きな影響を与えることになる。
これに対し、本発明によれば、着地衝撃により脚部に過大な外力が印加され、モータが本来動作したい方向とは逆方向に回転させられた場合であっても、モータ装置は、回転子の回転速度と回転方向に応じて、トルク減少が起きないように、進角制御による駆動電流位相の調整を行なうことができる。
具体的には、進角制御手段は、外力によりモータが逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角を回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更することによって、トルクの減少や逆回転の発生を防ぐ。これにより、脚部などに過大な外力が加わった場合であっても、モータ装置は安定したトルクを発生することができるので、着地時などの脚式移動ロボットの姿勢安定制御が可能となる。
前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定するようにする。また、前記回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定するようにする。
また、本発明に係るモータ装置は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときに、ゲイン制御により発生トルクを制御するトルク制御手段をさらに備えていてもよい。このような場合、外力が発生したときの進角制御量を調整することで、脚部などロボット装置に加わる着地衝撃を緩和することもできる。
本発明によれば、脚式移動ロボットにおける関節自由度を実現するために使用することができる、優れたDCブラシレス方式のモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、モーション実行時には負荷や回転速度の変化が大きく、正逆回転を繰り返すという使用環境下において、進角の制御により各相のコイルに対する駆動電流位相の調整を好適に行なうことができる、優れたモータ装置、モータの制御装置及びその制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明によれば、アクチュエータにDCブラシレス・モータを使用した脚式移動ロボットにおいて跳躍や走行などの動作を行なう際、着地衝撃により脚部に過大な外力が印加され、モータが本来動作したい方向とは逆方向に回転させられた場合であっても、モータ装置は、回転子の回転速度と回転方向に応じて、トルク減少が起きないように、進角制御による駆動電流位相の調整を行なうことができる。
具体的には、外力によりモータが逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角を回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更することによって、トルクの減少や逆回転の発生を防ぐようにした。これにより、脚部などに過大な外力が加わった場合であっても、モータ装置は安定したトルクを発生することができるので、着地時などの脚式移動ロボットの姿勢安定制御が可能となる。
また、本発明に係るモータ装置によれば、外力が発生したときの進角制御量を調整することで、脚部などロボット装置に加わる着地衝撃を緩和することもできる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.ロボット装置の構成
本発明に係るモータ装置は、脚式移動ロボットの関節駆動用アクチュエータとして適用することができる。このようなロボット装置は、胴体部に繋がった複数の関節を持ち、装置内部の制御周期毎に静的なモーション及びリアルタイムな動作生成による目標指令値(角度やトルク、アクチュエータ・ゲインなど)を各関節アクチュエータ(若しくは関節駆動に対応するデバイス)に与える。
図1及び図2には、「人間形」又は「人間型」と呼ばれるロボット装置100が直立している様子を前方及び後方の各々から眺望した様子を示している。図示の通り、ロボット装置100は、胴体部と、腰部と、頭部と、左右の上肢部と、脚式移動を行なう左右2足の下肢部とで構成され、例えば胴体に内蔵されている制御部(図示しない)によりロボット装置の動作を統括的にコントロールするようになっている。
左右各々の下肢は、大腿部と、膝関節と、脛部と、足首と、足平とで構成され、股関節によって体幹部の略最下端にて連結されている。また、左右各々の上肢は、上腕と、肘関節と、前腕とで構成され、肩関節によって体幹部の上方の左右各側縁にて連結されている。また、頭部は、首関節によって体幹部の略最上端中央に連結されている。
このように構成されたロボット装置100は、制御部(図1及び図2には図示しない)による全身協調的な動作制御により、2足歩行を実現することができる。かかる2足歩行は、一般に、以下に示す各動作期間に分割される歩行周期を繰り返すことによって行なわれる。すなわち、
(1)右脚を持ち上げた、左脚による単脚支持期
(2)右足が接地した両脚支持期
(3)左脚を持ち上げた、右脚による単脚支持期
(4)左足が接地した両脚支持期
制御部は、このロボット装置100を構成する各関節アクチュエータの駆動制御や各センサ(後述)などからの外部入力を処理するコントローラ(主制御部)や、電源回路その他の周辺機器類を搭載した筐体である。制御部は、その他、遠隔操作用の通信インターフェースや通信装置を含んでいてもよい。
脚式移動ロボット100における歩行制御は、例えばZMP(Zero Moment Point)を安定度判別規範として、あらかじめ下肢の目標軌道を計画し、上記の各期間において計画軌道の修正を行なうことによっても実現される。ここで言う「ZMP」とは、歩行中の床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点のことである。ZMPによる安定度判別規範は、歩行系から路面には重力と慣性力、並びにこれらのモーメントが路面から歩行系への反作用としての床反力並びに床反力モーメントとバランスするという「ダランベールの原理」に基づく。力学的推論の帰結として、足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ軸及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわちZMPが存在する(例えば、ヴコブラトビッチ(Miomir Vukobratovic)著「脚式移動ロボット(LEGGED LOCOMOTION ROBOTS)」(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))を参照のこと)。この場合、両脚支持期では、下肢軌道の修正を停止して、計画軌道に対する総修正量を用いて腰の高さを一定値で修正する。また、単脚支持期では、修正を受けた脚の足首と腰との相対位置関係を計画軌道に復帰させるように修正軌道を生成する。
あるいは、脚式移動ロボット100の左右の脚部など、全身の可動部のうち少なくとも一部を物理振動子として捉え、センサ出力などに基づいて得られる内部状態と外部環境に応じて物理振動子の位相を数学的に操作により発生させて、機体の大局的な安定性を実現するとともに、未知の外乱に適応的に対応することができる。
図3には、このロボット装置100が具備する関節自由度構成を模式的に示している。同図に示すように、ロボット装置100は、2本の腕部と頭部1を含む上肢と、移動動作を実現する2本の脚部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結する体幹部と、腰部で構成された、複数の肢を備えた構造体である。
頭部を支持する首関節(Neck)は、首関節ヨー軸101と、首関節ピッチ軸102A、頭ピッチ軸102B、首関節ロール軸103という4自由度を有している。
また、各腕部は、その自由度として、肩(Shoulder)における肩関節ピッチ軸104と、肩関節ロール軸105と、上腕ヨー軸106、肘(Elbow)における肘関節ピッチ軸107と、手首(Wrist)における手首関節ヨー軸108と、手部とで構成される。手部は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由度構造体である。
また、体幹部(Trunk)は、体幹ピッチ軸109と、体幹ロール軸110という2自由度を有する。
また、下肢を構成する各々の脚部は、股関節(Hip)における股関節ヨー軸111と、股関節ピッチ軸112と、股関節ロール軸113と、膝(Knee)における膝関節ピッチ軸114と、足首(Ankle)における足首関節ピッチ軸115と、足首関節ロール軸116と、足部とで構成される。
但し、ロボット装置100が上述したすべての自由度を装備しなければならない訳でも、あるいはこれに限定される訳でもない。設計・製作上の制約条件や要求仕様などに応じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができることは言うまでもない。
上述したようなロボット装置100が持つ各自由度は、実際には回転型アクチュエータを用いて実装され、これらの回転位置制御に基づいて運動制御を行なうようになっている。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に近似させること、2足歩行という不安定構造体に対して姿勢制御を行なうことなどの要請から、これら関節アクチュエータは小型且つ軽量であることが好ましい。
本実施形態では、ギア直結型で、且つサーボ制御系、電源系、並びにセンサ系の回路を搭載した制御基板をモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型のDCブラシレス・モータ(ACサーボ・モータ)を搭載することとした。モータ・ユニット内のセンサには、サーボ制御のための回転位置若しくは関節位置を検出する角度・位置センサ、姿勢安定制御(例えばZMP方程式のパラメータ取得)のための加速度センサやジャイロ・センサ、異常状態検出のためのトルク・センサや電流検出センサなどが含まれる。また、アクチュエータ・モータの直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボット100に求められている駆動系自身の受動的特性を得ている。この種のACサーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人に既に譲渡されている特開2000−299970号公報や特開2004−181613号公報などに開示されている。
B.モータの構成
図4には、本発明の実施に供されるDCブラシレス・モータ10の軸方向の断面構成を示している。
図示の通り、DCブラシレス・モータ(若しくはACサーボ・モータ)10は、所定の回転軸を持った回転子11の周囲に、例えば3相の固定子12が円周方向に配設されている。回転子11は、異なる磁極が交互に多極着磁されたメイン・マグネットからなる。一方、固定子12側にコイルを配置して、各相コイルに所定の位相差を以って正弦波電流を供給して所望の正弦波磁束分布を形成することにより、回転子11に対して回転トルクを印加することができる。これら回転子11及び固定子12は、略円筒形状の筐体に収容されて、単一のサーボ・アクチュエータ・ユニットを構成する。そして、回転子11は、所定の回転軸回りに回転可能となるように支持されている。
本実施形態では、固定子12は、U、V、Wの各相からなる3相コイルで構成されており(後述)、各相へ120度ずつの位相差を以って交流電流を流して磁界を発生させることにより、回転子11に対してトルクを起すことができる。また、各相へ供給する電流を制御することにより、回転子11に付与する回転トルクを制御することができる。
なお、図4には図示しないが、DCブラシレス・モータ10の出力端には減速ギアが直結されている。例えば、直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボットに求められている駆動系自身の受動的特性を得ることができる。
本実施形態に係るDCブラシレス・モータ10は、駆動回路13Aを同一筐体に内蔵した小型アクチュエータである。図4に示す例では、制御回路基板13上には、所定パターンの印刷配線が敷設されているとともに、駆動回路13Aやその周辺回路チップが搭載されている。制御回路基板13は、略円盤状に形設されている。制御回路基板13の略中央には、回転子11の回転シャフトを挿通させるための開口が穿設されている。
回転子11の制御回路基板13側の端面には、リング状の回転子センサ・マグネット15が取り付けられている。このリング状の回転子センサ・マグネット15の表面は着磁処理が施されている。このセンサ・マグネット15の極の位置と極数は、回転子11のメイン・マグネットと同じになっている。一方、制御回路基板13に対向する回転子11側の表面上には、図4に示すように2個の回転位置センサ16A及び16Bが回転軸に対して90度の位相差を以って配設されている。回転位置センサ16A及び16Bは、磁極軸の原点位置に磁束密度の大きさを検出する素子(ホール素子)で構成される。
回転位置センサ16Aは、回転子センサ・マグネット15が発する磁界に応じたホール・センサ信号SINを出力し、回転位置センサ16Bは同様にホール・センサ信号COSを出力する。これらホール・センサ信号SIN及びCOSは、回転子11における電気的な角度すなわち電気角を表しており、この電気角に基づいて外部(例えば中央コントローラ)からの位置指令に対するDCブラシレス・モータの回転駆動のフィードバック制御を行なうことができる。図5には、センサ・マグネット15と回転位置センサ16A及び16Bの位置関係を表している。同図に示すように、回転位置センサ16A及び16Bは回転子11の回転軸回りに90度の位相差を以って配設されていることから、これらのセンサ出力信号はSIN及びCOSとなり、これらセンサ出力に対し所定のレゾルバ演算を施すことにより、回転子11の電気角を得ることができる。
例えば、本出願人に既に譲渡されている特開平9−37590号公報には、異なる磁極が交互に多極着磁された回転子の駆動用マグネットと、モータの固定子に配置されて、マグネットに対面している駆動用のコイルと、モータの固定子に配置されて、固定子に対してモータが回転する際にマグネットの磁界の強さの変化を検出するホール素子などの複数のセンサとで構成されるサーボ・モータについて開示されている。そして、複数のセンサからえられるマグネットの磁界の強さの変化に対応する検出信号に基づいて、回転子の回転速度をサーボ制御するためのサーボ信号を生成することにより、モータの速度サーボを実現することができる。
上述したように、DCブラシレス・モータは、回転軸に支持されたメイン・マグネットからなる回転子と、複数相のコイルを所定の位相差を以って配置してなる固定子で構成される。例えば、3相モータであれば、U、V、Wの3相からなる各固定子コイルに所定の位相差を以って正弦波電流を流し、正弦波の磁束分布を発生させることによって、マグネットからなる回転子に回転トルクを与えることができる。
同期式のDCブラシレス・モータのコイルには、図6に示すような各コイルの一端を接続したスター型結線や、図7に示すような各コイルの両端をそれぞれ接続してなるデルタ型結線が適用される。スター型結線は高電圧の電源に適した結線であり、循環電流がないことからモータ出力電流を制御し易いという特徴がある。一方、デルタ型結線は低電圧の電源に適した結線で使用されている。一般に、永久磁石式ACモータでは、高速回転時には永久磁石による高調波電流がコイル内でループ状に流れて効率が劣化するため、デルタ型結線はあまり使用されない。しかしながら、本実施形態では、デルタ型結線は合成抵抗値が少なく、低い電圧でトルク(モータ出力電流)が大きくなり、バッテリ駆動のロボット装置に有利であるなどの理由により、デルタ型結線を用いるものとする。
図8には、本実施形態に係るDCブラシレス・モータ10の機能的構成を模式的に示している。図示のDCブラシレス・モータ10は、回転子の位置情報を検出する位置検出センサ31と、モータを駆動するためのモータ駆動回路32と、実際のモータ33、そしてモータ動作をコントロールするためのモータ制御装置34で構成される。
位置検出センサ31は、上述したように、回転子の端面に取り付けられたセンサ・マグネット15と、センサ・マグネットに対向するホール素子16A及び16Bで構成され、ホール・センサ信号出力SIN及びCOSに基づいて、回転子の電気角を検出することができる。
モータ制御回路34は、図示しない中央制御部からの電流軸電流指令(又は位置指令)としての制御入力uに基づいて相変換を行なうことで、各相コイルU、V、Wへの電流指令IU、IV、IWを生成する。これらの電流指令は互いに120度(=2π/3)ずつ位相差を持ち、下式で表される。但し、θerは回転子の電気角である。
Figure 2006149041
さらにモータ制御装置34は、これら電流指令IU、IV、IWに基づいて、モータ駆動回路内にて各相のコイル電流を制御するためのトランジスタA'、A、B'、B、C'、CをPWM(Pulse Width Modulation)方式にてそれぞれスイッチング制御する。
図9には、モータ駆動回路32の構成例を示している。図示のモータ駆動回路32は、フルブリッジ構成であり、pnp型のトランジスタA'とnpn型のトランジスタAを順方向接続したU相磁束分布生成用の回路と、pnp型のトランジスタB'とnpn型のトランジスタBを順方向接続したV相磁束分布生成用の回路と、pnp型のトランジスタC'とnpn型のトランジスタCを順方向接続したW相磁束分布生成用の回路とが並列接続されている。そして、これら1対のトランジスタを順方向接続した回路の一方のpnp型トランジスタA'、B'、C'それぞれのエミッタをモータ駆動用の電源電圧VCに並列接続するとともに、他方のnpn型トランジスタA、B、CそれぞれのエミッタにグランドGNDを並列接続している。さらに、トランジスタA'とAの中間点とトランジスタB'とBの中間点にコイルUが接続され、トランジスタB'とBの中間点とトランジスタC'とCの中間点にコイルVが接続され、トランジスタC'とCの中間点とトランジスタA'とAの中間点にコイルWが接続されている。
トランジスタA'及びBをオンにするとともに、トランジスタA及びB'をオフにすることによって、コイルUには、図示の矢印方向の電流IUが流れる。次に、トランジスタA'及びBをオフにすることによって、コイルUはオープン状態となって、電流IUは流れなくなる。
同様に、トランジスタB'及びCをオンにするとともに、トランジスタB及びC'をオフにすることによって、コイルVには、図示の矢印方向の電流IVが流れる。次に、トランジスタB'及びCをオフにすることによって、コイルVはオープン状態となって、電流IVは流れなくなる。
また同様に、トランジスタC'及びAをオンにするとともに、トランジスタC及びA'をオフにすることによって、コイルWには、図示の矢印方向の電流IWが流れる。次に、トランジスタC'及びAをオフにすることによって、コイルWはオープン状態となって、電流IWは流れなくなる。
図10及び図11には、図9に示したモータ駆動回路32における各トランジスタのスイッチングとスイッチング電流との関係を示している(図10にはコイル端子電圧波形を、図11にはコイル電流波形を、それぞれ示している)。PWMスイッチング信号により各トランジスタのオン/オフ動作させて各コイル電流IU、IV、IWの大きさを制御するようになっている。その最大電流は、パルス幅の最大量により決定される。また、電源電圧に接続されているトランジスタU’とグランドに接続されているトランジスタUが同時にオンにならないように、図示しないデッド・バンドtdが確保される。トランジスタB’とB、トランジスタC’とCにおいても同様にデッド・バンドが確保される。
ここで、モータ駆動時のPWM制御には、モータ・コイルがオープン状態になるタイミングが存在する。例えば、図10中のハッチングされた領域部分において、各相のモータ・コイルU、V、Wがともにオープン状態になる。
再び図8に戻って、モータ制御装置34について説明する。この制御装置は、例えばワンチップ・マイクロコンピュータなどを用いて構成され、内部に書き込まれたプログラム・コードによって動作を実現することができる。図示の例では、位置情報演算部、サーボ演算部、3相PWM生成モジュール、進角制御モジュールなどで構成される。
DCブラシレス・モータにおいては、通電相のコイルに通電を開始してから実際にトルクが発生するまでに、コイルのインダクタンス相当の遅れが生じるという問題がある。そこで、進角制御モジュールは、回転子を回転駆動するトルクを発生させるためには、回転子の回転位相に対し駆動電流位相を進めるための進角を電気的に与える。
モータ動作としては、まず位置検出センサからの情報を制御装置で取り込み、そのセンサ情報に基づいてモータの回転子の回転位置及び現在の角度情報を取得する。制御装置34内のサーボ演算部では、その現在の角度情報と上位制御系(図示しない)からの位置指令情報に基づき、その時点で必要な回転方向情報と電流指令情報を作成する。
また、位置情報演算部から出てきた回転子位相角度情報に進角制御モジュールからの進角が加算され、電流位相角度情報として3相PWM生成モジュールに入力される。3相PWM生成モジュールは、先ほどの回転方向情報及び電流指令情報に基づいて、3相PWM生成モジュールから、回転子の現在の回転位置に合った3相PWM信号がモータ駆動回路へと出力され、モータが回転する。
このような仕組みを持つDCブラシレス・モータを脚式移動ロボットの関節駆動用アクチュエータとして適用した場合、跳躍や走行などの動作時に脚部に大きな着地衝撃が加わることを考慮して、逆転性(バックドライバビリティ)の高いギアと組み合わせられる(前述)。
ここで、跳躍や走行などの激しい動作をさせたときに、脚部に使用されているアクチュエータは、着地衝撃に抗する方向へのトルクを発生させようとするが、その着地衝撃力が大きく、着地衝撃力が吸収されるまでの間は、図12に示すように、トルクの発生方向(本来回転すべき方向)とは逆向きにアクチュエータが回転させられる場合がある。
一般に、進角は、速度領域に応じて切り替えたり、固定値を使用したりといった運用形態がとられ、また、回転子の回転方向に対し正の方向に加算するのがほとんどである。このような場合、特に着地衝撃を受けた場合などの非常に高速に逆転させられるパターンにおいては、実際のロータ位置を検出してから、PWM信号が出力されるまでのロータ位置変化量が多くなり、また本来と逆向きに回転してしまっているため、見かけ上大きな進角が掛けられているのと同等の状態になってしまう(図17を参照のこと)。
図13には、DCブラシレス・モータにおける、進角とトルクとモータ消費電流の関係を示している。同図からも判るように、同じモータ電流であっても進角に応じて発生トルク量に差が生じ、進角が大きくなるに従ってトルクは減少していく。このため、回転子が本来とは逆向きに回転し、見かけ上大きな進角が掛けられた場合には、トルクが減少し、さらに非常に高速に動かされるような場合には、逆回転を助長させるようなトルクが発生してしまうことになる。また、図には示さないが、マイナス側に進角を大きくしていった場合も、同様に同じモータ電流であってもトルクは減少していく。
そこで、本実施形態では、着地衝撃により脚部に過大な外力が印加され、モータが本来動作したい方向とは逆方向に回転させられた場合であっても、モータ装置は、回転子の回転速度と回転方向に応じて、トルク減少が起きないように、進角制御による駆動電流位相の調整を行なうようにする。
具体的には、進角制御モジュールは、外力によりモータが逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角を回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更することによって、トルクの減少や逆回転の発生を防ぐ。回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定するようにする。
図16には、回転子が回転目標方向に対し逆回転しているときの進角コントロールが動作する様子を図解している。図17に示した動作例では、外力の影響で回転方向が負に転じた場合には、見かけ上大きな進角を設定した状態となり、必要なトルクを発生できない、あるいは逆回転を助長してしまうような回転力が発生して脱調してしまう。これに対し、図16に示す動作例では、回転子の実際の回転方向に合わせ、逆回転時には負方向の進角を設定することで、トルクの減少や脱調という状況を回避している。また、回転子の逆方向の回転速度が増大すると、進角を負方向に増大させるようにする。
また、回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定するようにする。これにより、脚部などに過大な外力が加わった場合であっても、モータ装置は安定したトルクを発生することができるので、着地時などの脚式移動ロボットの姿勢安定制御が可能となる。
進角制御モジュールによる進角制御の手順を以下に示す。
手順1)進角制御モジュール内で、回転目標方向情報より回転目標方向を取得する。
手順2)この制御タイミングでの回転子の回転角度変化量を取得する。
手順3)回転目標方向と回転子の回転角度変化量を比較し、逆回転しているか正回転しているかを判定する。
手順4)回転子が逆回転している場合、さらに回転子の回転角度変化量があらかじめ設定された回転子の回転角度変化量閾値を超えているか否かを判定する。
手順5)閾値よりも回転子の回転角度変化量が大きい場合に、以下の逆回転時進角演算を行なう。
進角値 =回転子の回転角度変化量×ゲイン
手順6)上記条件にあてはまらない場合は、逆回転の状況になっていないことから、通常の正回転時進角設定値が進角値に設定される。
手順7)上記の手順5または手順6のどれかのパターンにより算出された進角が、進角制御モジュールから出力される。
進角制御モジュールは、回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定するようにする。このため、回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定するようにする。また、回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときに、進角値を回転子の回転角度変化量にゲインを乗算した値に設定することで、ゲイン制御により発生トルクを制御することができる。
図14には、進角制御モジュールによる進角制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、進角制御モジュール内で、回転目標方向情報より回転目標方向を取得する(ステップS1)。
回転目標方向がプラス方向(例えばCW方向)である場合、プラス方向用の角速度閾値を設定する(ステップS2)。
そして、所定の制御タイミングで回転子の回転角度変化量すなわち角速度を取得し、この角速度が先行ステップS2で設定された角速度閾値を下回るかどうかをチェックする(ステップS3)。
回転子の角速度が角速度閾値を下回っていない場合には、正転時における固定の進角値を設定する(ステップS4)。これに対し、回転子の角速度が角度閾値を下回っている場合には、回転子の回転角度変化量×ゲインという逆転時進角演算により求められた進角値を設定する(ステップS5)。
一方、回転目標方向がマイナス方向(例えばCCW方向)である場合、マイナス方向用の角速度閾値を設定する(ステップS6)。
そして、所定の制御タイミングで回転子の回転角度変化量すなわち角速度を取得し、この角速度が先行ステップS6で設定された角速度閾値を超えるかどうかをチェックする(ステップS7)。
回転子の角速度が角速度閾値を超えていない場合には、正転時における固定の進角値を設定する(ステップS8)。これに対し、回転子の角速度が角度閾値を超えている場合には、回転子の回転角度変化量×ゲインという逆転時進角演算により求められた進角値を設定する(ステップS9)。
図15には、回転目標方向がプラス及びマイナスそれぞれの方向の場合における、進角設定変更条件を図解している。
回転目標方向がプラス方向の場合、回転子の角速度が所定の進角制御動作角速度閾値以上の領域は固定的な進角を用いる通常動作領域として定義され、角速度がこの閾値を下回る領域は進角を動的にコントロールする進角制御領域として定義される。
また、回転目標方向がマイナス方向の場合、回転子の角速度が所定の進角制御動作角速度閾値以下の領域は固定的な進角を用いる通常動作領域として定義され、角速度がこの閾値を超える領域は進角を動的にコントロールする進角制御領域として定義される。
通常動作領域では、進角制御モジュールは、あらかじめ求められた最適な進角を固定的な進角値として出力する。最適な進角では、より小さなモータ電流でより高い回転速度を得ることができる。最大のモータ入力電流が与えられたときの最適な進角をすべてのモータ入力電流に対する固定の進角として決定することで、モータへの入力電流の変動に拘らず、モータ消費電流の増大を防ぐことができる。
一方、進角制御領域では、回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定するようにする。このとき、回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定する。また、逆転時進角演算により進角値を回転子の回転角度変化量にゲインを乗算した値に設定することで、ゲイン制御により発生トルクを制御することができる。
アクチュエータは、CW方向、CCW方向と回転方向が定義されるが、それぞれが本来回転する方向を正回転、逆を逆回転として定義することで、同一の進角コントロール・アルゴリズムを使用することができる。
進角制御モジュールは、外力(撃力)がアクチュエータに加わり、回転目標方向に対して逆転させられたような場合、そのときの回転子の角速度に応じて、逆回転方向の角度にまで広げて進角コントロールを行なう。このようにして補正された進角値が、検出された回転子の位置情報に加算され、現在の動作状況に合致して必要なトルクを発生させることができる電流位相角度情報として、3相PWM生成モジュールに供給される。そして、3相PWM生成モジュールは、モータ駆動回路へと3相モータ駆動信号を供給し、安定したモータ駆動が実現される。
また、上述した逆転時進角設定式(進角値=回転子の角速度×ゲイン)におけるゲイン部分を、足底にある接地センサ(前述)により検出された着床時の着地衝撃力の量に基づいてコントロールするようにしてもよい。例えば、進角によって発生トルク量が変化させられることを利用して(図13を参照のこと)、進角を大きくとることで発生トルクを低下させ、着地時の衝撃力を緩和することができるようになる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、とりわけロボット装置の関節自由度を実現するためにアクチュエータに適用することを前提に、本発明に係るDCブラシレス・モータについて説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、他のあらゆる機械装置の駆動用アクチュエータに適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、ロボット装置100の外観構成を示した図である。 図2は、ロボット装置100の外観構成を示した図である。 図3は、ロボット装置100が具備する関節自由度構成を模式的に示した図である。 図4は、本発明の実施に供されるDCブラシレス・モータ10の軸方向の断面構成を示した図である。 図5は、センサ・マグネット15と回転位置センサ16A及び16Bの位置関係を表した図である。 図6は、3相コイルのスター型結線構造を示した図である。 図7は、3相コイルのデルタ型結線構造を示した図である。 図8は、本発明の実施形態に係るDCブラシレス・モータ10の機能的構成を模式的に示した図である。 図9は、モータ駆動回路の構成例を示した図である。 図10は、図9に示したモータ駆動回路におけるコイル端子電圧波形を示した図である。 図11は、図9に示したモータ駆動回路におけるコイル端子電流波形を示した図である。 図12は、着地時の衝撃が脚部に加わる様子を示した図である。 図13は、DCブラシレス・モータにおける、進角とトルクとモータ消費電流の関係を示した図である。 図14は、進角制御モジュールによる進角制御の処理手順を示したフローチャートである。 図15は、回転目標方向がプラス及びマイナスそれぞれの方向の場合における、進角設定変更条件を説明するための図である。 図16は、回転子が回転目標方向に対し逆回転しているときの進角コントロールが動作する様子を示した図である。 図17は、DCブラシレス・モータにおける進角制御の動作例を示した図である。
符号の説明
10…DCブラシレス・モータ
11…回転子
12…固定子
13…制御回路基板
15…回転子センサ・マグネット
16…回転位置センサ
31…位置検出センサ
32…モータ駆動回路
33…モータ
34…モータ制御装置
100…脚式移動ロボット
101…首関節ヨー軸
102A…第1の首関節ピッチ軸
102B…第2の首関節(頭)ピッチ軸
103…首関節ロール軸
104…肩関節ピッチ軸
105…肩関節ロール軸
106…上腕ヨー軸
107…肘関節ピッチ軸
108…手首関節ヨー軸
109…体幹ピッチ軸
110…体幹ロール軸
111…股関節ヨー軸
112…股関節ピッチ軸
113…股関節ロール軸
114…膝関節ピッチ軸
115…足首関節ピッチ軸
116…足首関節ロール軸

Claims (16)

  1. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に複数相のコイルを配置し、各相のコイルに位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより回転子にトルクを発生させるモータ装置であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
    前記回転子の回転速度及び回転方向を検出する回転子情報検出手段と、
    前記回転子の回転位相に対し前記コイルに供給する駆動電流位相を進めるための進角を、前記回転子の回転速度及び回転方向に基づいて制御する進角制御手段と、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御手段と、
    を具備することを特徴とするモータ装置。
  2. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角値を前記回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角値を設定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
  4. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
  5. 前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときに、ゲイン制御により発生トルクを制御するトルク制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
  6. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に複数相のコイルを配置し、各相のコイルに位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより回転子にトルクを発生させるDCブラシレス方式のモータの制御装置であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出手段と、
    前記回転子の回転速度及び回転方向を検出する回転子情報検出手段と、
    前記回転子の回転位相に対し前記コイルに供給する駆動電流位相を進めるための進角を、前記回転子の回転速度及び回転方向に基づいて制御する進角制御手段と、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御手段と、
    を具備することを特徴とするモータの制御装置。
  7. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角値を前記回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータの制御装置。
  8. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定する、
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータの制御装置。
  9. 前記進角制御手段は、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定する、
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータの制御装置。
  10. 前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときに、ゲイン制御により発生トルクを制御するトルク制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータの制御装置。
  11. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に複数相のコイルを配置し、各相のコイルに位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより回転子にトルクを発生させるDCブラシレス方式のモータの制御方法であって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出ステップと、
    前記回転子の回転速度及び回転方向を検出する回転子情報検出ステップと、
    前記回転子の回転位相に対し前記コイルに供給する駆動電流位相を進めるための進角を、前記回転子の回転速度及び回転方向に基づいて制御する進角制御ステップと、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御ステップと、
    を具備することを特徴とするモータの制御方法。
  12. 前記進角制御ステップでは、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、進角の補正コントロールを逆回転方向に広げ、その進角値を前記回転子の回転角度変化の大きさに応じて変更する、
    ことを特徴とする請求項11に記載のモータの制御方法。
  13. 前記進角制御ステップでは、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転位相と駆動電流位相との位相差が小さくなるように逆回転方向の進角を設定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載のモータの制御方法。
  14. 前記進角制御ステップでは、前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときには、前記回転子の回転速度にほぼ比例した逆回転方向の進角を設定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載のモータの制御方法。
  15. 前記回転子が本来の回転方向に対し逆回転させられるときに、ゲイン制御により発生トルクを制御するトルク制御ステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項12に記載のモータの制御方法。
  16. 回転子側に主極マグネットを配置するとともに、固定子側に複数相のコイルを配置し、各相のコイルに位相の異なるコイル電流を供給して磁束分布に変化を与えることにより回転子にトルクを発生させるDCブラシレス・モータの駆動制御をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
    前記回転子の電気角を検出する電気角検出ステップと、
    前記回転子の回転速度及び回転方向を検出する回転子情報検出ステップと、
    前記回転子の回転位相に対し前記コイルに供給する駆動電流位相を進めるための進角を、前記回転子の回転速度及び回転方向に基づいて制御する進角制御ステップと、
    前記モータに対する入力電流と前記回転子の電気角に進角を加算した位相に基づいて各相のコイルへの供給電流を制御するモータ制御ステップと、
    を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009528495A (ja) * 2006-03-01 2009-08-06 エアバス・ユ―ケ―・リミテッド 耐障害アクチュエータ
CN103817695A (zh) * 2014-02-28 2014-05-28 浙江大学 一种机器人柔性关节的控制方法及驱动装置
KR101767438B1 (ko) * 2015-12-08 2017-08-11 현대오트론 주식회사 모터 위치 제어 장치 및 방법

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