JP2006140720A - Mimoチャンネル応答測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マルチキャリア方式に対応したMIMOチャンネル応答を、同時刻に同一の周波数を用いて厳密にかつ容易に測定可能なMIMOチャンネル応答測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】本発明のMIMOチャンネル応答は、送信装置2が、プリファードペアな擬似雑音(PN)系列を連続的に発生し、この系列をBPSKして複数の送信アンテナ40から同じ周波数で放射し、受信装置3が、複数の受信アンテナ100から受信した信号をIQ復調して複素ベースバンド信号を出力し、送信のために用いた擬似雑音系列と同じ系列を用いて相互相関を行って相互相関結果を出力し、閾値以下をゼロにして複素インパルス応答を出力し、フーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、測定系の周波数応答特性を用いて補正を行うことにより測定される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のMIMOチャンネル応答は、送信装置2が、プリファードペアな擬似雑音(PN)系列を連続的に発生し、この系列をBPSKして複数の送信アンテナ40から同じ周波数で放射し、受信装置3が、複数の受信アンテナ100から受信した信号をIQ復調して複素ベースバンド信号を出力し、送信のために用いた擬似雑音系列と同じ系列を用いて相互相関を行って相互相関結果を出力し、閾値以下をゼロにして複素インパルス応答を出力し、フーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、測定系の周波数応答特性を用いて補正を行うことにより測定される。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で同じ周波数を使って無線伝送を行うMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)技術に関し、特に、各送受信アンテナ間の伝搬チャンネル応答を測定する技術に関する。
近年注目を集めている無線伝送方式の一つにMIMO技術がある。この技術は、複数のアンテナを設けた送信装置が、同じ周波数で複数の送信信号を送信し、同じく複数のアンテナを設けた受信装置が、受信した複数の受信信号から途中の伝搬チャンネル応答を求め、これに基づいて複数の送信信号を推定するものである。この技術により、高い周波数効率を実現できるものと期待されている。ここで、途中の伝搬チャンネルをMIMOチャンネルと呼ぶことにする。
次に、伝搬チャンネル応答、すなわちMIMOチャンネル応答について説明する。各送信アンテナの送信信号をベクトルX=[X1X2・・・Xm]T,各受信アンテナの受信信号をベクトルY=[Y1Y2・・・Yn]Tとすると、MIMOチャンネル応答は、Y=HXで表される行列Hである。但し、ここでは送信アンテナの個数をm個、受信アンテナの個数をn個と仮定し、Tは転置を表す。このMIMOチャンネル応答行列Hのi行j列要素hijは、i番目の受信アンテナで受信された受信信号に含まれる、j番目の送信アンテナから出力された送信信号成分の振幅利得及び位相回転を表す複素数である。MIMO伝送技術により実現可能な最大の伝送容量は、MIMOチャンネル応答行列Hの相関行列の固有値に依存しているため、MIMOチャンネル応答がどのような特性をもっているかを測定することによって、その環境における伝送容量を評価することができる。MIMO技術は、シングルキャリア方式でシンボル速度が遅い狭帯域伝送への適用が容易であるが、マルチキャリア方式(OFDM/Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いることにより広帯域伝送にも適用することができる。OFDMの場合は、サブキャリア毎にMIMOチャンネル応答を知る必要がある。
これまでにMIMOチャンネル応答を測定する方法が幾つか提案されている。例えば、送信アンテナ毎にCW(Continuous Wave)の送信出力のオンオフを切り替えてチャンネル応答の測定を行い、さらに周波数も変えてマルチキャリア方式に対応した測定を行う方法が提案されている(非特許文献1を参照。)。また、送信装置が、送信アンテナ毎に周波数を少しオフセットさせ、各々が重ならないような試験信号をマルチキャリアとして送信し、受信装置が、前記オフセットさせた分だけ位相回転させ同じ周波数での応答とみなすことにより、マルチキャリア方式に適用したチャンネル応答を測定する方法が提案されている(非特許文献2を参照。)。
また、シングルキャリア方式に適用した方法として、送信装置が、十分に長い系列長の直交系列を各送信アンテナで最大伝搬遅延時間よりも長く重ならないように初期値をオフセットさせて送信し、受信装置が、参照用の直交系列と相関処理を行うことにより、送信アンテナ間のオーバーラップを起こすことなく、どの送信アンテナから出力された信号の応答かを分離する方法が提案されている(特許文献1を参照。)。また、マルチキャリア方式に適用した方法として、送信装置が、アンテナ毎に異なる直交符号をサブキャリアに割り当て、またはアンテナ毎に時間的に間欠のパイロット信号をサブキャリアに割り当てて送信し、受信装置が相関処理を行うことにより、各送信アンテナから出力された信号の応答を分離する方法が提案されている(特許文献2を参照。)。
西本浩、他3名、「実伝搬路におけるMIMO空間分割多重方式の特性評価」、信学技報、A・P2003−204、RCS−2003−210(2003−11)
Kei SAKAGUCH et al.、「A Novel Architecture for MIMO Spatio‐Temporal Channel Sounder」、IEICE Trans.Electron.、Vol.E85-C、No.3、Mar.2003
特開2002−314464 (段落0033〜0039、第5図)
特開2003−283441 (段落0032〜0042 第6図、第7図)
MIMOチャンネル応答を厳密に測定するための条件として、まず、同時刻にMIMOチャンネルを通過した信号で測定を行う必要がある。MIMOチャンネル応答は、送信アンテナや受信アンテナが動くことによって変化するのみならず、アンテナの周囲の物体が動くことによっても変化するからである。この観点では、前述の非特許文献1、特許文献1、及び特許文献2の第7図(アンテナ毎に時間的に間欠のパイロット信号をサブキャリアに割り当てて送信することを示す図)に記載された方法がこの条件を満足していない。
次に、MIMOチャンネル応答を厳密に測定するための条件として、同一周波数の信号で測定を行う必要がある。マルチパス環境下では周波数の相関性が低くなり、周波数が近くてもチャンネル応答が大きく異なることがあり得るからである。この観点では、前述の非特許文献2に記載された方法がこの条件を満足していない。さらに、MIMOチャンネル応答を測定するための条件として、マルチキャリア方式に対応した測定法の実現が容易であることが必要とされる。この観点では、前述の特許文献2の図6(アンテナ毎に異なる直交符号をサブキャリアに割り当て送信することを示す図)に記載された方法を用いると、マルチキャリアの変復調手段そのものが必要となるので、シンボル同期処理などのためにシステムが複雑になる。また、その場合、平均電力対ピーク電力の比が大きくなる傾向にあるので送信出力を弱めなければならず、高精度な測定を行う上で不利である。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、マルチキャリア方式に対応したMIMOチャンネル応答を、同時刻に同一の周波数を用いて厳密にかつ容易に測定可能なMIMOチャンネル応答測定方法及び測定装置を提供することにある。
本発明のMIMOチャンネル応答測定方法は、送信装置及び受信装置によりMIMOチャンネル応答を測定する場合に、送信装置が、自己相関関数が周期的に鋭いピーク値をもち、それ以外では該ピーク値に比べて十分に小さく、相互相関関数が該ピーク値に比べて十分に小さな値をもつプリファードペアな擬似雑音系列を連続的に発生し、該擬似雑音系列を2相位相変調して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射し、受信装置が、前記送信装置から複数の受信アンテナを介して受信した信号をIQ復調し、該IQ復調の出力信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で相互相関を行い、該相互相関の出力について所定の閾値以下をゼロにする閾値処理を施して複素インパルス応答を抽出し、該複素インパルス応答のフーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、該周波数応答特性に対し測定系の周波数応答特性を用いて補正することを特徴とする。これにより、送信アンテナと受信アンテナとの間のそれぞれのMIMOチャンネル応答を測定することができる。この場合、マルチキャリア方式の変復調手段そのものが不要となり測定装置全体として複雑になることがなく、送信出力を弱める必要もない。つまり、マルチキャリア方式に対応したMIMOチャンネル応答を、同時刻に同一の周波数を用いて厳密にかつ容易に測定することができる。
また、本発明のMIMOチャンネル応答測定方法は、前記プリファードペアな擬似雑音系列の周期が、MIMOチャンネルの最大伝搬遅延時間よりも長いことを特徴とする。これにより、受信装置で抽出する複素インパルス応答のオーバーラップを防ぐことになり、MIMOチャンネル応答を確実に測定することができる。
また、本発明のMIMOチャンネル応答測定方法は、前記相互相関が、送信装置において擬似雑音系列を発生させたクロック速度でクロック同期によりIQ復調出力信号をサンプリングし、該サンプリングして得られた信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で行うことを特徴とする。また、前記相互相関は、送信装置において擬似雑音系列を発生させたクロック速度の2倍以上の速度でIQ復調出力信号をサンプリングし、該サンプリングして得られた信号と、前記送信装置において発生させた擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で行うことを特徴とする。これにより、クロック同期を省略し、送信装置で発生する擬似雑音系列のクロックよりも細かいサンプリングで処理できるから、遅延時間の細かい測定が可能となる。
また、本発明のMIMOチャンネル応答測定方法は、前記閾値を、擬似雑音系列の相関関数の値に応じた値とすることを特徴とする。例えば、Nをプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値、ε1をプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値以外の値、ε2をプリファードペアな系列の相互相関関数の値、mを送信系統数、及びKをマルチパスの程度を表す係数とした場合に、前記相互相関出力のピーク値を0dBとして、前記閾値を、次式:
20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m-1)|)-20・Log10(N+ε1・(K-1)+ε2・K・(m-1))[dB]
以上の値とする。また、Nをプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値、ε1をプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値以外の値、ε2をプリファードペアな系列の相互相関関数の値、mを送信系統数、Kをマルチパスの程度を表す係数、ε1 ´2をε1 2の期待値、及びε2 ´2をε2 2の期待値とした場合に、前記相互相関出力のピーク値を0dBとして、前記閾値を、次式:
10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m-1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K-1)+ε2 ´2・K・(m-1))[dB]以上の値とする。
20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m-1)|)-20・Log10(N+ε1・(K-1)+ε2・K・(m-1))[dB]
以上の値とする。また、Nをプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値、ε1をプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値以外の値、ε2をプリファードペアな系列の相互相関関数の値、mを送信系統数、Kをマルチパスの程度を表す係数、ε1 ´2をε1 2の期待値、及びε2 ´2をε2 2の期待値とした場合に、前記相互相関出力のピーク値を0dBとして、前記閾値を、次式:
10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m-1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K-1)+ε2 ´2・K・(m-1))[dB]以上の値とする。
また、本発明のMIMOチャンネル応答測定方法は、前記補正が、フーリエ変換による周波数応答特性の出力に対し、送信装置と受信装置との間を直結して求めた前記フーリエ変換による周波数応答特性の出力で割算を行うことを特徴とする。これにより、MIMOチャンネル応答を測定することができる。
また、本発明のMIMOチャンネル応答測定装置は、MIMOチャンネル応答を測定するための送信装置及び受信装置から成る測定装置において、送信装置は、自己相関関数が周期的に鋭いピーク値をもち、それ以外では該ピーク値に比べて十分に小さく、相互相関関数が該ピーク値に比べて十分に小さな値をもつプリファードペアな擬似雑音系列を連続的に発生する手段と、該擬似雑音系列を2相位相変調して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射する手段とを備え、受信装置は、前記送信装置から複数の受信アンテナを介して受信した信号をIQ復調する手段と、該IQ復調の出力信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で相互相関を行う手段と、該相互相関の出力について所定の閾値以下をゼロにする閾値処理を施して複素インパルス応答を抽出する手段と、該複素インパルス応答のフーリエ変換を行って周波数応答特性を出力する手段と、該周波数応答特性に対し測定系の周波数応答特性を用いて補正する手段とを備えたことを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、マルチキャリアに対応した広帯域なMIMOチャンネル応答が、同時刻・同一周波数の信号によって厳密に測定することが可能となる。また、本発明によれば、シングルキャリア方式の送受信系統で容易に構成でき、シンボル同期の必要がなく、送信出力を弱める必要もない。
(本発明の原理)
まず、マルチキャリア方式に対応したMIMOチャンネル応答を同一の周波数を用いて同時刻に測定する原理について説明する。本発明のMIMOチャンネル応答は、送信装置が、プリファードペアな擬似雑音(PN)系列を連続的に発生し、この系列をBPSK(2相位相変調:Binary Phase Shift Keying)して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射し、受信装置が、複数の受信アンテナから受信した信号をIQ復調して複素ベースバンド信号を出力し、送信のために用いた擬似雑音系列と同じ系列を用いて相互相関を行って相互相関結果を出力し、閾値以下をゼロにして複素インパルス応答を出力し、フーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、測定系の周波数応答特性を用いて補正を行うことにより測定される。
まず、マルチキャリア方式に対応したMIMOチャンネル応答を同一の周波数を用いて同時刻に測定する原理について説明する。本発明のMIMOチャンネル応答は、送信装置が、プリファードペアな擬似雑音(PN)系列を連続的に発生し、この系列をBPSK(2相位相変調:Binary Phase Shift Keying)して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射し、受信装置が、複数の受信アンテナから受信した信号をIQ復調して複素ベースバンド信号を出力し、送信のために用いた擬似雑音系列と同じ系列を用いて相互相関を行って相互相関結果を出力し、閾値以下をゼロにして複素インパルス応答を出力し、フーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、測定系の周波数応答特性を用いて補正を行うことにより測定される。
ここで、プリファードペアな擬似雑音系列について詳細に説明する。擬似雑音系列のうち、自己相関関数が周期的に鋭いピークをもち、それ以外では十分小さく、かつ、相互相関関数が十分小さな値を有するものには、プリファードM系列及びプリファードGOLD系列がある。
プリファードM系列は、次数が同じで生成多項式が異なるM系列のうち、全ての対の相互相関出力が「ある小さい3値」だけをとるM系列の集合である。例えば、以下の生成多項式を用いて11次のプリファードM系列が生成される。
g1(X)=x11+x2+1
g2(X)=x11+x7+x3+x2+1
g3(X)=x11+x10+x9+x7+x6+x4+x3+x2+1
g4(X)=x11+x9+x8+x7+x6+x5+x4+x2+x+1
g1(X)=x11+x2+1
g2(X)=x11+x7+x3+x2+1
g3(X)=x11+x10+x9+x7+x6+x4+x3+x2+1
g4(X)=x11+x9+x8+x7+x6+x5+x4+x2+x+1
k次のプリファードM系列について、自己相関関数は、周期N=2k−1でピーク値Nとなり、その他で−1の値となる。また、相互相関関数は、floor(x)をx以下の最大整数を表すものとして、t(k)=2(floor(k+2)/2)+1により、{t(k)−2、−1、−t(k)}の3値となる。例えば、前述の11次のプリファードM系列について、自己相関関数のピーク値は2047、その他で−1となり、相互相関関数の3値は{63、−1、−65}となる。このように、プリファードM系列は優れた自己相関特性を有するが、その系列数は一般に少ない。
プリファードGOLD系列は、一対のプリファードM系列をビット毎に排他的論理和で合成して得られる系列と、元になった一対のプリファードM系列との集合である。例えば、g1(X)及びg2(X)の排他的論理和の系列と、g1(X)とg2(X)の系列との集合である。プリファードGOLD系列について、自己相関関数は、周期Nでピーク値N、その他で{t(k)−2、−1、−t(k)}の3値、相互相関関数は、{t(k)−2、−1、−t(k)}の3値となる。プリファードGOLD系列の自己相関特性は、プリファードM系列の特性に比べて劣るが、排他的論理和で生成される系列数が、元になるプリファードM系列の初期値の選び方によってN通りあるので、系列数がN+2と非常に多いのが特徴である。
その他、自己相関関数が周期的に鋭いピークを有し、それ以外で十分小さく、相互相関関数が十分小さな値となる系列として、特殊M系列、GOLD−like系列、カサミ系列等がある。これらの系列については、“丸林元、他2名、「スペクトル拡散通信とその応用」、(社)電子情報通信学会、PP.69−82”に詳しい説明があるため、ここでは説明を省略する。以下、これらの系列を総称してプリファードペアな系列と呼ぶことにする。
本発明で用いるプリファードペアな系列の周期は、この系列により複素インパルス応答を測定することから、最大伝搬遅延時間よりも長いことが条件である。送信装置の各送信系統では、このプリフアードペアな系列を用いて、同一周波数の正弦波に対し同時にかつ連続的にBPSKを行い、広帯域な信号を送信する。受信装置の受信系統では、複数の受信アンテナで受信された受信信号をIQ復調して複素振幅のベースバンド信号とし、このベースバンド信号の系列と各送信装置で発生したのと同じ系列との間で相互相関処理を行う。
この相互相関処理は、送信装置との間でクロック同期を行い、送信信号源のクロック速度と同じ速度でサンプリングした受信系列及び送信系列について行う処理と、送信信号源のクロック速度の2倍以上の速度でサンプリングした受信系列及び送信系列について行う処理とがある。後者の処理の場合は、周波数の折り返しを防ぎ、クロック同期させるための手段を省略することができ、遅延時間の細かい測定が可能となる。
プリファードペアな系列は、自分以外の系列とは相互相関関数が十分小さいことが特徴であるので、この相互相関出力に対し適切に閾値を設けることにより、受信信号に含まれる特定の系列の複素インパルス応答を抽出することができる。例えば、送信系統をm、プリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値をN、それ以外の値をε1、相互相関関数の値をε2とした場合を考える。ε1とε2は一般に多値であるが、ここでは一つの記号で表す。受信系列には各送信系列が同じ割合で重ね合わされており、かつ各々の送信信号が最大到来波電力で換算してk波分の到来波から構成されていると仮定すると、ある送信系列に対する受信系列の相互相関出力のピーク値電力は、20・Log10(N+ε1・(K−1)+ε2・K・(m−1))[dB]となり、ピーク以外のタイミングでの相互相関出力の擬似ピーク電力は、20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m−1)|)[dB]となる。従って、ピーク電力を0dBとして、閾値電力を20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m−1)|)−20・Log10(N+ε1・(K−1)+ε2・K・(m−1))[dB]以上に設定することにより、他の系列との応答を完全に排除することができる。実際には、上式で考慮しているように遅延した系列との応答や他の系列との応答が電圧合成されて大きな擬似ピークとなることは稀であるので、電力合成で考えた場合の閥値電力、すなわち10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m−1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K−1)+ε2 ´2・K・(m−1))[dB]が多少の誤差を許容できる場合は実用的である。ここで、ε1 ´ε2 ´は、ε1、ε2の期待値である。
この場合、複素インパルス応答をフーリエ変換した結果は、受信信号に含まれる特定の送信信号についての周波数応答特性、厳密には測定系統の周波数応答特性とMIMOチャンネルの周波数応答特性の積に相当する。そして、送信装置と受信装置とを直結して求めた測定系統の周波数応答特性で前述の結果を割算することにより、特定の受信アンテナと特定の送信アンテナとの間で成り立つ、周波数毎のMIMOチャンネル応答を求めることができる。
本発明の実施例について、図1〜6を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例における測定装置1の全体ブロック図である。この測定装置1は、送信装置2及び受信装置3から構成され、送信装置2と受信装置3との間の環境における伝送容量を評価するためのMIMOチャンネル応答を測定する。送信装置2は、m個の送信系統を有し、プリファード系列発生器10、変調器20−1〜20−m、アップコンバータ30−1〜30−m、送信アンテナ40−1〜40−m、及び発振器50−1,50−2を備えている。受信装置3は、n個の受信系統を有し、受信アンテナ100−1〜100−n、ダウンコンバータ110−1〜110−n、IQ復調器120−1〜120−n、プリファード系列発生器130、相互相関器140−1〜140−n、閾値処理器150−1〜150−n、フーリエ変換器160−1〜160−n、補正器170−1〜170−n、及び発振器180−1,180−2を備えている。ここで、v番目の送信アンテナ40−vを含む系統を送信系統V、u番目の受信アンテナ100−uを含む系統を受信系統uと呼ぶ。
図1は、本発明の実施例における測定装置1の全体ブロック図である。この測定装置1は、送信装置2及び受信装置3から構成され、送信装置2と受信装置3との間の環境における伝送容量を評価するためのMIMOチャンネル応答を測定する。送信装置2は、m個の送信系統を有し、プリファード系列発生器10、変調器20−1〜20−m、アップコンバータ30−1〜30−m、送信アンテナ40−1〜40−m、及び発振器50−1,50−2を備えている。受信装置3は、n個の受信系統を有し、受信アンテナ100−1〜100−n、ダウンコンバータ110−1〜110−n、IQ復調器120−1〜120−n、プリファード系列発生器130、相互相関器140−1〜140−n、閾値処理器150−1〜150−n、フーリエ変換器160−1〜160−n、補正器170−1〜170−n、及び発振器180−1,180−2を備えている。ここで、v番目の送信アンテナ40−vを含む系統を送信系統V、u番目の受信アンテナ100−uを含む系統を受信系統uと呼ぶ。
送信装置2のプリファード系列発生器10は、0を1、1を−1の2値に割り当てて同じクロックで生成したプリファードペアな系列{C1}={C10,C11,・・・C1N-1}、{C2}={C20,C21,・・・C2N-1}、・・・{Cm}={Cm0,Cm1・・・CmN-1}のNRZ信号を各送信系統の試験信号C1(t)、C2(t)、・・・Cm(t)として連続的に出力する。但し、Nは系列の周期、{Ci}はi番目の系列、Cidは1または−1に割り当てたi番目の系列のd番目の符号を表す。{Cl}、{C2}、・・・{Cm}はプリファードペアな系列であるので、自己相関関数Rii(τ)及び相互相関関数Rij(τ)は以下の値となる。
但し、ε1とε2は、系列の種類と次数によって決まるNに対して十分小さな値である。ε1とε2は一般に多値であるが、ここでは一つの記号で表す。ここで、★の記号は共役複素数を表す。
但し、ε1とε2は、系列の種類と次数によって決まるNに対して十分小さな値である。ε1とε2は一般に多値であるが、ここでは一つの記号で表す。ここで、★の記号は共役複素数を表す。
図2は、プリファードペアな系列における自己相関関数Rii(τ)及び相互相関関数Rij(τ)の例を示すグラフである。本図(a)により、自己相関関数Rii(τ)は、τ=0,NにおいてNであり、それ以外のτにおいてNに対して十分に小さな値ε1であることがわかる。また、(b)により、相互相関関数Rij(τ)は、Nに対して十分に小さな値ε2であることがわかる。
図1を参照して、変調器20(20−1〜20−m)は、試験信号C1(t)、C2(t)、・・・Cm(t)により、発振器50−1から出力される周波数f1の正弦波に対しBPSKを行う。アップコンバータ30(30−1〜30−m)は、被変調波と発振器2から出力される周波数f2の正弦波とを掛け合せて送信周波数に周波数変換する。尚、被変調波の周波数が送信周波数と等しい場合は、これを省略することができる。送信アンテナ40(40−1〜40−m)は、試験信号を空間に放射する。
受信装置3の受信アンテナ100−1〜100−nは、MIMOチャンネルを伝搬した高周波信号を受信する。ダウンコンバータ110(110−1〜110−n)は、受信した高周波信号と発振器180−1により出力される周波数f3の正弦波とを掛け合せ、中間周波数に変換する。尚、中間周波数が受信周波数と等しい場合は、これを省略することができる。
IQ復調器120(120−1〜120−n)は、中間周波数が同じ周波数のI軸検波用正弦波(発振器180−2により出力される周波数f4の正弦波)と、それに対して90度位相が遅れたQ軸検波用正弦波とにより受信信号のIQ検波を行う。IQ復調器120は、I軸出力を実部、Q軸出力を虚部とすることにより、複素ベースバンド信号B1(t)、B2(t)、・・・Bn(t)を得ることができる。この複素ベースバンド信号は、各送信系統から出力された試験信号がマルチパスを通過して重ね合わせられた結果である。受信系統uの複素ベースバンド信号Bu(t)は、試験信号C1(t)、C2(t)、・・・Cm(t)により以下のように表すことができる。
但し、qujsは複素数であり、試験信号Cj(t)についての伝搬時間がτs・Δtの到来波に対する複素振幅である。
但し、qujsは複素数であり、試験信号Cj(t)についての伝搬時間がτs・Δtの到来波に対する複素振幅である。
受信系統uの複素ベースバンド信号Bu(t)をΔt間隔でサンプリングした系列{Bu}のd番目、つまりt=d・Δtの符号Budは、各送信系統の試験信号C1(t)、C2(t)、・・・Cm(t)をΔt間隔でサンプリングした系列{C1}、{C2}、・・・{Cm}により以下のように表すことができる。
ここで、Δtはサンプリング間隔であり、サンプリング速度の逆数である。サンプリング速度は、受信装置3がクロック同期を行う場合、送信装置2により発生した系列のクッロクと同じ速度とすることができる。一方、サンプリング定理に従って、サンプリング速度を、送信装置2により発生した系列のクロック速度のL倍(Lは2以上)とすることで、クロック同期を省くことができ、遅延時間を細かく測定することができる。以下の説明では、サンプリング速度を、送信装置2により発生した系列のクロック速度と等倍である(L=1)場合も含め、L倍のオーバーサンプリングにより系列の周期がd=0〜LN−1に拡大したものとする。
ここで、Δtはサンプリング間隔であり、サンプリング速度の逆数である。サンプリング速度は、受信装置3がクロック同期を行う場合、送信装置2により発生した系列のクッロクと同じ速度とすることができる。一方、サンプリング定理に従って、サンプリング速度を、送信装置2により発生した系列のクロック速度のL倍(Lは2以上)とすることで、クロック同期を省くことができ、遅延時間を細かく測定することができる。以下の説明では、サンプリング速度を、送信装置2により発生した系列のクロック速度と等倍である(L=1)場合も含め、L倍のオーバーサンプリングにより系列の周期がd=0〜LN−1に拡大したものとする。
相互相関器140(140−1〜140−n)は、IQ復調器120により出力された複素ベースバンド信号の系列{B1}、{B2}、・・・{Bn}と、プリファード系列発生器130により発生されたプリファードペアな系列{C1}、{C2}・・・{Cm}(送信装置2のプリファード系列発生器10により発生されたプリファードペアな系列と同等の系列)との間で相互相関処理を行う。受信系統uの系列{Bu}と送信系統vの系列{Cv}と間の相互相関関数RUV(τ)は以下のようになる。
但し、δ(x)はデルタ関数で、x=0で1、それ以外で0を表す。上式の{Cj}と{Cv}に着目すると、右辺第1項と第2項はj=Vの自己相関出力であり、第3項はj≠Vの相互相関出力である。
但し、δ(x)はデルタ関数で、x=0で1、それ以外で0を表す。上式の{Cj}と{Cv}に着目すると、右辺第1項と第2項はj=Vの自己相関出力であり、第3項はj≠Vの相互相関出力である。
図3は、受信系統uの系列{Bu}と送信系統vの系列{Cv}との間の相互相関関数RUV(τ)の例を示すグラフである。本図より、(a)の相互相関関数RUV(τ)は、(b)の自己相関成分(出力)と、(c)の相互相関成分(出力)とを加えた関係にあることがわかる。相互相関器140はL倍オーバーサンプリングで相関を行うので、この自己相関出力は、{Bu}に含まれる{Cv}成分と{Cv}が完全に一致したタイミング(z=0)でピーク値となり、その前後の部分的に一致したタイミング(z=−L+1,・・・,L−1、z≠0)で一致割合に応じた出力となる。
閾値処理器150(150−1〜150−n)は、ε1及びε2がNに対して十分小さな値であることを考慮して適切な閾値を設けることにより、相互相関器140による受信系統uの系列{Bu}と送信系統vの系列{Cv}との相互相関の結果である相互相関関数RUV(τ)に対して閾値以下の出力をゼロとし、受信系統uの送信系統vについての複素インパルス応答Iuv(τ)を抽出する。この複素インパルス応答Iuv(τ)を次式に示す。
閾値は、原理的に次式で表される。
しかし、quvs、qujsが未知なので、以下のように設定する。すなわち、相互相関関数RUV(τ)に対して自己相関ピーク電力値を0dBとして、閾値電力を、
20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m-1)|)-20・Log10(N+ε1・(K-1)+ε2・K・(m-1))[dB]
以上に設定する。ここで、Kはマルチパスの程度を表す定数であり、インパルス応答が最大到来波電力で換算してK波分の到来波から構成されていることに対応する。例えば、プリファードペアな系列として、15次プリフアードGOLD系列を用いた場合、N=32767、ε1=ε2={255、-1、-257}であり、送信2系統(m=2)、K=5とすると、上式の最大値は、20・Log10(|-257×5-257×5×1|)−20・Log10(32767-257×4-257×5×1))=-21.47[dB]である。従って、この場合の閾値電力は、−21.47[dB]以上に設定し、閾値電力以下の相互相関出力をゼロとする。
しかし、quvs、qujsが未知なので、以下のように設定する。すなわち、相互相関関数RUV(τ)に対して自己相関ピーク電力値を0dBとして、閾値電力を、
20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m-1)|)-20・Log10(N+ε1・(K-1)+ε2・K・(m-1))[dB]
以上に設定する。ここで、Kはマルチパスの程度を表す定数であり、インパルス応答が最大到来波電力で換算してK波分の到来波から構成されていることに対応する。例えば、プリファードペアな系列として、15次プリフアードGOLD系列を用いた場合、N=32767、ε1=ε2={255、-1、-257}であり、送信2系統(m=2)、K=5とすると、上式の最大値は、20・Log10(|-257×5-257×5×1|)−20・Log10(32767-257×4-257×5×1))=-21.47[dB]である。従って、この場合の閾値電力は、−21.47[dB]以上に設定し、閾値電力以下の相互相関出力をゼロとする。
実際には、上記で考慮しているように遅延した系列との応答や他の系列との応答が電圧合成されることにより、大きな擬似ピークになることは稀である。このため、多少の誤差を許容できる場合は、電力合成で考えた場合の閾値電力、
10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m−1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K-1)+ε2 ´2・K・(m-1))[dB]
が、実用的である。ここで、ε1 ´2、ε2 ´2は、ε1 2、ε2 2の期待値である。前述と同じ15次プリフアードGOLD系列の例では、ε1 ´2=ε2 ´2=207.82であるので、上式の閾値電力は、10・Log10(207.82×5+207.82×5×1)-10・Log10(327672+207.82×4+207.82×5×1)=-33.9[dB]になる。厳密なチャンネル応答を調査する場合は閾値電力として前者を用いる方が良いが、複数のインパルス応答について平均を行う場合は、遅延した系列との応答や他の系列との応答が平均により打ち消しあい完全に同相とならず、大きな擬似ピークになることがないので、後者が有効である。また、後者はダイナミックレンジが大きく取れる点も有利である。尚、送信系統及び受信系統の系統数が多くなり、マルチパスが大きくなると閾値が大きくなるので、系列の次数としては15次以上、望ましくは19次以上に設定するとよい。
10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m−1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K-1)+ε2 ´2・K・(m-1))[dB]
が、実用的である。ここで、ε1 ´2、ε2 ´2は、ε1 2、ε2 2の期待値である。前述と同じ15次プリフアードGOLD系列の例では、ε1 ´2=ε2 ´2=207.82であるので、上式の閾値電力は、10・Log10(207.82×5+207.82×5×1)-10・Log10(327672+207.82×4+207.82×5×1)=-33.9[dB]になる。厳密なチャンネル応答を調査する場合は閾値電力として前者を用いる方が良いが、複数のインパルス応答について平均を行う場合は、遅延した系列との応答や他の系列との応答が平均により打ち消しあい完全に同相とならず、大きな擬似ピークになることがないので、後者が有効である。また、後者はダイナミックレンジが大きく取れる点も有利である。尚、送信系統及び受信系統の系統数が多くなり、マルチパスが大きくなると閾値が大きくなるので、系列の次数としては15次以上、望ましくは19次以上に設定するとよい。
フーリエ変換器160(160−1〜160−n)は、各送信系統vに対応した複素インパルス応答Iuv(τ)の離散フーリエ変換(DFT)を行う。複素インパルス応答Iuv(τ)と周波数応答特性(周波数対振幅利得・位相回転特性)とはフーリエ変換の関係にあるので、この離散フーリエ変換処理により、各送信系統vに対応した周波数応答特性を得ることができる。受信系統uの送信系統vに対する周波数応答特性HUV(w)は、複素インパルス応答Iuv(τ)の離散フーリエ変換として、以下の式で表される。
尚、インパルス応答に0を付加する、またはインパルス応答の0が延々と続く無応答部分を排除すること等により、2のべき乗個とすることで高速フーリエ変換(FFT)を適用することができ、高速な計算が可能となる。
尚、インパルス応答に0を付加する、またはインパルス応答の0が延々と続く無応答部分を排除すること等により、2のべき乗個とすることで高速フーリエ変換(FFT)を適用することができ、高速な計算が可能となる。
現実問題として、測定系統(送信系統と受信系統)そのものにもフラットではない周波数応答特性が存在するので、ここで求めた周波数応答特性HUV(w)は、測定系統の周波数応答特性H’UV(w)とMIMOチャンネルの周波数応答特性H’’UV(w)とを掛け合わせたものであり、複素インパルス応答Iuv(τ)は、測定系統のインパルス応答I’uv(τ)とMIMOチャンネルのインパルス応答I’’uv(τ)とのコンボリューションである。図4に、インパルス応答と周波数応答特性との関係を示す。
補正器170(170−1〜170−n)は、フーリエ変換器160により、複素インパルス応答Iuv(τ)をフーリエ変換して得られた周波数応答特性HUV(w)に対し、測定系統の周波数応答特性H’UV(w)で割算を行って補正する。測定系統の周波数応答特性H’UV(w)は、送信装置2と受信装置3とを直結して求めることができる。補正された周波数応答特性H’’UV(w)は、以下の式で求められる。尚、この処理には、アパーチャ補正も含まれている。
H’’UV(w)=HUV(w)/H’UV(w)
H’’UV(w)=HUV(w)/H’UV(w)
尚、測定系統がフラットな周波数応答特性である場合は、閾値処理器150が、複素インパルス応答Iuv(τ)に対しz=0のピーク値のみ抜き出すピーク検出を行うことにより、近似的にMIMOチャンネルの複素インパルス応答のみを取り出すことができる。フーリエ変換器160が、この複素インパルス応答に対してフーリエ変換を行うことにより、MIMOチャンネルの周波数応答特性H’’UV(w)を簡易に求めることができ、補正器170を省略することができる。
H’’UV(w)は、MIMOチャンネルの周波数応答特性の等価低域(ベースバンド)表現である。これと無線周波数でのMIMOチャンネル応答との関係は、サンプリング周波数をfs、無線周波数の中心をfc、DFT又はFFTのサイズをNsとすると、w=0〜floor((Ns−1)/2)に対するMIMOチャンネルの周波数応答特性H’’UV(w)が無線周波数f=fc+fs・w/NsのMIMOチャンネル応答Hのu行v列要素hUV(f)であり、w=floor((Ns−1)/2)+1〜Ns−1に対するMIMOチャンネルの周波数応答特性H’’UV(w)が無線周波数f=fc+fs・(w−Ns)/NsのMIMOチャンネル応答Hのu行v列要素hUV(f)である。この関係を図5に示す。
図6は、擬似的にマルチパスを発生した送信2系統の受信信号に対する相互相関器140、閾値処理器150、フーリエ変換器160及び補正器170の処理例を示す図である。図6を参照して、相互相関器140は、複素ベースバンド信号(受信系列){B1}と、プリファード系列発生器130により発生されたプリファードペアな系列(送信系列){C1}、{C2}と間で相互相関処理を行い、受信系統1の系列{B1}と送信系統1の系列{C1}と間の相互相関関数R11(τ)、及び受信系統1の系列{B1}と送信系統2の系列{C2}と間の相互相関関数R12(τ)を出力する。閾値処理器150は、相互相関器140により出力された相互相関関数R11(τ),R12(τ)に対して、所定の閾値以下の出力をゼロとし、受信系統1の送信系統1についての複素インパルス応答I11(τ)、及び受信系統1の送信系統2についての複素インパルス応答I12(τ)を抽出して出力する。フーリエ変換器160は、閾値処理器150により出力された複素インパルス応答I11(τ),I12(τ)の離散フーリエ変換を行い、受信系統1の送信系統1に対する周波数応答特性H11(w)、及び受信系統1の送信系統2に対する周波数応答特性H12(w)を得て出力する。補正器170は、フーリエ変換器160により出力された周波数応答特性H11(w),H12(w)に対し、測定系統1,2の周波数応答特性H’11(w),H’12(w)の補正係数を用いて補正し、MIMOチャンネル応答Hの1行1列要素h11(f)、及び1行2列要素h12(f)を出力する。すなわち、送信アンテナ40−1と受信アンテナ100−1との間のMIMOチャンネル応答h11(f)、及び送信アンテナ40−2と受信アンテナ100−1との間のMIMOチャンネル応答h12(f)を得る。これにより、wによって規定される無線周波数毎に各送信アンテナから各受信アンテナへの同時刻のMIMOチャンネル応答Hを求めることができる。
1 測定装置
2 送信装置
3 受信装置
10 プリファード系列発生器
20,20−1〜20−m 変調器
30,30−1〜30−m アップコンバータ
40,40−1〜40−m 送信アンテナ
50,50−1,50−2,180−1,180−2 発振器
100,100−1〜100−n 受信アンテナ
110,110−1〜110−n ダウンコンバータ
120,120−1〜120−n IQ復調器
130 プリファード系列発生器
140,140−1〜140−n 相互相関器
150,150−1〜150−n 閾値処理器
160,160−1〜160−n フーリエ変換器
170,170−1〜170−n 補正器
2 送信装置
3 受信装置
10 プリファード系列発生器
20,20−1〜20−m 変調器
30,30−1〜30−m アップコンバータ
40,40−1〜40−m 送信アンテナ
50,50−1,50−2,180−1,180−2 発振器
100,100−1〜100−n 受信アンテナ
110,110−1〜110−n ダウンコンバータ
120,120−1〜120−n IQ復調器
130 プリファード系列発生器
140,140−1〜140−n 相互相関器
150,150−1〜150−n 閾値処理器
160,160−1〜160−n フーリエ変換器
170,170−1〜170−n 補正器
Claims (9)
- 送信装置及び受信装置によりMIMOチャンネル応答を測定する方法において、
送信装置が、自己相関関数が周期的に鋭いピーク値をもち、それ以外では該ピーク値に比べて十分に小さく、相互相関関数が該ピーク値に比べて十分に小さな値をもつプリファードペアな擬似雑音系列を連続的に発生し、該擬似雑音系列を2相位相変調して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射し、
受信装置が、前記送信装置から複数の受信アンテナを介して受信した信号をIQ復調し、該IQ復調の出力信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で相互相関を行い、該相互相関の出力について所定の閾値以下をゼロにする閾値処理を施して複素インパルス応答を抽出し、該複素インパルス応答のフーリエ変換を行って周波数応答特性を出力し、該周波数応答特性に対し測定系の周波数応答特性を用いて補正することを特徴とするMIMOチャンネル応答測定方法。 - 前記プリファードペアな擬似雑音系列の周期は、MIMOチャンネルの最大伝搬遅延時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。
- 前記相互相関は、送信装置において擬似雑音系列を発生させたクロック速度でクロック同期によりIQ復調出力信号をサンプリングし、該サンプリングして得られた信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で行うことを特徴とする請求項1に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。
- 前記相互相関は、送信装置において擬似雑音系列を発生させたクロック速度の2倍以上の速度でIQ復調出力信号をサンプリングし、該サンプリングして得られた信号と、前記送信装置において発生させた擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で行うことを特徴とする請求項1に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。
- 前記閾値を、擬似雑音系列の相関関数の値に応じた値とすることを特徴とする請求項1に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。
- Nをプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値、ε1をプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値以外の値、ε2をプリファードペアな系列の相互相関関数の値、mを送信系統数、及びKをマルチパスの程度を表す係数とした場合に、前記相互相関出力のピーク値を0dBとして、
前記閾値を、次式:
20・Log10(|ε1・K+ε2・K・(m-1)|)-20・Log10(N+ε1・(K-1)+ε2・K・(m-1))[dB]
以上の値とすることを特徴とする請求項5に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。 - Nをプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値、ε1をプリファードペアな系列の自己相関関数のピーク値以外の値、ε2をプリファードペアな系列の相互相関関数の値、mを送信系統数、Kをマルチパスの程度を表す係数、ε1 ´2をε1 2の期待値、及びε2 ´2をε2 2の期待値とした場合に、前記相互相関出力のピーク値を0dBとして、
前記閾値を、次式:
10・Log10(ε1 ´2・K+ε2 ´2・K・(m-1))-10・Log10(N2+ε1 ´2・(K-1)+ε2 ´2・K・(m-1))[dB]以上の値とすることを特徴とする請求項5に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。 - 前記補正は、フーリエ変換による周波数応答特性の出力に対し、送信装置と受信装置との間を直結して求めた前記フーリエ変換による周波数応答特性の出力で割算を行うことを特徴とする請求項1に記載のMIMOチャンネル応答測定方法。
- MIMOチャンネル応答を測定するための送信装置及び受信装置から成る測定装置において、
送信装置は、自己相関関数が周期的に鋭いピーク値をもち、それ以外では該ピーク値に比べて十分に小さく、相互相関関数が該ピーク値に比べて十分に小さな値をもつプリファードペアな擬似雑音系列を連続的に発生する手段と、該擬似雑音系列を2相位相変調して複数の送信アンテナから同じ周波数で放射する手段とを備え、
受信装置は、前記送信装置から複数の受信アンテナを介して受信した信号をIQ復調する手段と、該IQ復調の出力信号と、前記送信装置により発生した擬似雑音系列と同じ系列の信号との間で相互相関を行う手段と、該相互相関の出力について所定の閾値以下をゼロにする閾値処理を施して複素インパルス応答を抽出する手段と、該複素インパルス応答のフーリエ変換を行って周波数応答特性を出力する手段と、該周波数応答特性に対し測定系の周波数応答特性を用いて補正する手段とを備えたことを特徴とするMIMOチャンネル応答測定装置。
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JP2007325165A (ja) * | 2006-06-05 | 2007-12-13 | Fujitsu Ltd | インパルス無線装置 |
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-
2004
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