JP2006138271A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空状のハウジング3の端部に設けられた弁装置8と、弁装置8を電磁吸引力により駆動させるソレノイド装置2とを備えた燃料噴射弁1であって、弁装置8は、開口部17を有するとともに、下流側に突起した第1の突起部15を有する弁座10と、弁装置8内を軸方向に往復移動可能に配設され、弁座10に離接する弁体11と、弁座10の下流側に設けられ、燃料を外部に噴射する噴孔19を有するとともに、下流側に突起した第2の突起部18を有するプレート14とを有し、弁座10とプレート14との間には、燃料を整流するキャビティ20が形成され、噴孔19のキャビティ20側の入口部は、開口部17よりも外周側に形成されているものである。
【選択図】図2
Description
上記の構成により、弁座下流側開口部からキャビティに流入した燃料は流路が急拡大する際に乱流となって各噴孔に向かうため、微粒化が促進されるというものである(例えば、特許文献1参照)。
上記の構成により、弁座下流部のデッドボリュームを抑えつつ、各噴孔に流入する角度を大きくすることができ、それにより微粒化が促進されるというものである(例えば、特許文献2参照)。
また、乱流を利用しているため、噴射方向や流量が噴孔位置精度や弁座下流側開口部形状のわずかなひずみ等により大きな影響を受けてしまうため、量産管理することが困難であるという問題点もあった。
さらに、弁座とプレートとの間にキャビティが形成されており、開弁直後には流速の小さい燃料が開口部からキャビティに流入するが、キャビティのデッドボリュームが大きい場合には、キャビティに流入した燃料のエネルギーのうち、デッドボリュームでロスするエネルギーも大きくなる。そのため、さらに燃料の流速は小さいものとなり、大きな粒径を持った燃料噴霧が多くなり、燃焼が悪化するという問題点もあった。
また、キャビティの環境は、低温時と高温時とで大きく異なっており、開口部からキャビティへ流入する燃料の流れやすさにばらつきが生じる。そのため、デッドボリュームが大きい場合には、それに伴って開口部からキャビティへ流入する燃料の流れやすさに対するキャビティの環境変化の影響がさらに大きくなるので、流量精度が悪化するという問題点もあった。
また、構造上弁座シート径を噴孔配置径よりも大きくする必要があるが、その場合は燃圧によってニードルを弁座に押しつける力が大きくなり、燃料噴射弁の外径を大きくしない限り、動作限界燃圧が低下するという問題点もあった。
また、計量オリフィスは長手方向軸線に対して垂直な平面に配置されるため、長手方向軸線と、噴孔の軸線との交差する鋭角側の角度である噴射角が大きい場合、実効的な噴孔長さLと噴孔径Dとの比が大きくなってしまう。そのため、噴孔入口部で1度剥離した流れが整流されてしまい、燃料噴霧の微粒化を阻害し、噴射角によって燃料噴霧の微粒化の度合いや噴霧ペネトレーションが異なるという問題点もあった。
また、弁座下流部開口部を通過した燃料流れはウォール効果によりプレート斜面に沿って整流されるので、噴射角が大きい場合においても各噴孔に流入する角度を大きく設定することが可能となり、噴孔入口部の流れの剥離強化により燃料噴霧の微粒化が促進される。
また、デッドボリュームを低減したことにより、開口部からキャビティへ流入する燃料の流れやすさに対するキャビティの温度環境による影響が小さくなり、流量精度を向上させることができる。
さらに、弁座シート部下の弁座軸方向長さが、燃料噴霧の微粒化に影響しない範囲で弁座シート部の剛性を確保するのに十分な長さとすることができるので、弁座シート部の真円度を容易に確保でき、弁漏れ量を低減することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁の断面図である。
図2は、図1に示した弁装置8に係るA−A線に沿った矢視断面図である。
図1および図2において、燃料噴射弁1は、中空状のハウジング3と、ハウジング3の端部に設けられた弁装置8と、弁装置8を電磁吸引力により駆動させるソレノイド装置2とを有している。
ソレノイド装置2は、磁気回路の固定鉄心部分であるコア4と、コア4の外周に設けられたコイル5と、磁気回路の可動鉄心部分であるアマチュア6と、弁体11を閉弁方向に押している圧縮バネ7とを有している。
また、燃料ガイド12は、弁本体9から軸方向に燃料を導く外周隙間12aと、外周隙間12aとつながるガイド溝12bと、ガイド溝12bとつながり、開口部17に燃料を流出させるガイド溝出口部12cとを有している。
図3において、弁座10は、下流側に突起した第1の突起部15と、弁体11と当接する弁座シート部16と、燃料噴霧が通過する開口部17とを有している。
また、プレート14の中央部には、下流側に突起した第2の突起部18と、第2の突起部18に設けられ、板厚方向に貫通する複数の噴孔19とが設けられている。
ここで、弁座10とプレート14との間には、燃料を整流するキャビティ20が形成されている。
さらに、弁座シート部16下の弁座10の軸方向長さHは、燃料噴霧の微粒化に影響しない範囲で弁座シート部16の剛性を確保するのに十分な長さとなっている。
なお、キャビティは、流れ方向に沿って流路断面積が一定であるように形成されていてもよい。
そこで、弁本体9と弁体11との隙間を小さく設定して、弁座シート部16に対する弁体11の径方向の非同軸度(振れ)を規制するのが好ましい。
そこで、本実施の形態では弁体11の耐久磨耗を許容限度以内とするため、弁本体9と弁体11との最も狭い箇所の隙間を弁体11の両側をあわせて10μm以下(片側隙間5μm以下)としている。
図4は、図3に示したプレート14の製作工程を示す説明図である。
まず、工程1として、図4(a)に示すように、プレート14の中央部を位置決めする。続いて、工程2として、図4(b)に示すように、位置決めされたプレート14の中央部をプレス加工して、薄肉部14aを形成する。
工程3では、図4(c)に示すように、薄肉部14aに複数の噴孔19をプレス加工により打ち抜いて形成する。続いて、工程4では、図4(d)に示すように、薄肉部14aをプレス加工して、円錐状あるいは断面弓形状の第2の突起部18を形成する。
最後に、工程5として、図4(e)に示すように、弁本体9と嵌合する嵌合部をプレス加工により形成する。
まず、エンジンの制御装置(図示せず)より燃料噴射弁1に動作信号が送られると、ソレノイド装置2のコイル5に電流が通電され、コイル5に磁束が発生する。発生した磁束は、アマチュア6、コア4、ハウジング3で構成される磁気回路を通り、アマチュア6は圧縮バネ7の付勢力に抗してコア4側へ吸引される。
アマチュア6がコア4に吸引されると、アマチュア6と一体構造である弁体11が弁座シート部16から離れて間隙が形成される。
図5において、第2の突起部18の上流側斜面と、噴孔19の軸線との交差する鋭角側の角度を流入角βとする。
また、長手方向軸線と、噴孔19の軸線との交差する鋭角側の角度を噴射角γとする。
また、第2の突起部18の上流側斜面の垂線と、噴孔19の軸線との交差する鋭角側の角度を噴孔傾斜角δとする。
なお、図中に示された矢印は、燃料噴霧の流れる方向を示している。
プレート14の斜面に沿った燃料の流れは、噴孔19の入口付近で剥離を起こし、乱流となって噴孔19から外部に噴射される。
したがって、キャビティ20に流入した燃料は、第2の突起部18でウォール効果により、プレート14の斜面に沿って整流され、上流側から流入した燃料に順次押され、噴孔19の入り口付近で剥離を起こして乱流となるので、噴孔19から噴射される燃料噴霧の噴射角γ、噴霧ペネトレーション、粒径および流量のばらつきが小さく、かつ、噴霧ターゲッティング精度および流量精度を維持しつつ、微粒化を促進することができる。
よって、噴孔19の入口部の流れの剥離を強化することにより燃料噴霧の微粒化をさらに促進することができる。
また、デッドボリュームを低減したことにより、開口部17からキャビティ20へ流入する燃料の流れやすさに対するキャビティ20の環境による影響が小さくなり、流量精度を向上させることができる。
また、噴孔19の入口部が、開口部17よりも外周側に形成されているので、弁座シート16径を大きくする必要がないので、動作限界燃圧を維持することができる。
さらに、弁座シート部16下の弁座10の軸方向長さHは、燃料噴霧の微粒化に影響しない範囲で弁座シート部16の剛性を確保するのに十分な長さとなっているので、弁座シート部16の真円度を容易に確保でき、弁漏れ量を低減することができる。
この場合も、第1の突起部15および第2の突起部18を円錐状に形成した場合と同様に、微粒化促進の効果を得ることができる。
また、この場合も、燃料の流速が落ちてしまうことを防止するため、流れ方向に沿って随時キャビティ20の流路断面積が小さくなるように形成されていることが望ましい。
図7は、この発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁1の弁装置8の一部を示す要部拡大図である。
図8は、この発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁1の弁装置8の一部の別の態様を示す要部拡大図である。
図7および図8において、第2の突起部18の立体角α2は、80°≦α2≦140°の範囲とし、かつ噴孔19の噴孔傾斜角δを0°≦δ≦20°の範囲としている。
このとき、立体角α2と噴孔傾斜角δとを組み合わせることで、噴射角γは0°≦γ≦70°の範囲まで対応させることができる。
また、噴射角γの変化に対する噴孔19の実効的な噴孔19長さLと噴孔19径Dとの比の変化は、第2の突起部18により、プレート14に角度をつけることができる。よって、噴孔19の入口部付近で剥離した燃料噴霧が再度整流されることなく噴射されるので、噴射角γによる燃料噴霧の粒径レベルや噴霧ペネトレーションの変化が小さい。よって燃料噴霧の噴霧ペネトレーションおよび粒径のばらつきを抑えつつ、噴射方向の自由度を向上させる効果がある。
Claims (4)
- 中空状のハウジングと、
前記ハウジングの端部に設けられた弁装置と、
前記弁装置を電磁吸引力により駆動させるソレノイド装置と
を備えた燃料噴射弁であって、
前記弁装置は、開口部を有するとともに、下流側に突起した第1の突起部を有する弁座と、
前記弁装置内を軸方向に往復移動可能に配設され、前記弁座に離接する弁体と、
前記弁座の下流側に設けられ、燃料を外部に噴射する噴孔を有するとともに、下流側に突起した第2の突起部を有するプレートとを有し、
前記弁座と前記プレートとの間には、燃料を整流するキャビティが形成され、
前記噴孔の前記キャビティ側の入口部は、前記開口部よりも外周側に形成されていること
を特徴とする燃料噴射弁。 - 前記第1の突起部は立体角が立体角α1である円錐形状を有し、
前記第2の突起部は立体角が立体角α2である円錐形状を有し、
前記立体角α1は前記立体角α2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。 - 前記立体角α2を80°≦α2≦140°の範囲とし、かつ前記第2の突起部の上流側斜面の垂線と、前記噴孔の軸線との交差する鋭角側の角度である噴孔傾斜角δを0°≦δ≦20°の範囲としたことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
- 前記プレートは、プレス加工により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の燃料噴射弁。
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