JP2006138242A - 内燃機関 - Google Patents

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孝男 鈴木
Hisashi Ono
壽 小野
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一寿 若杉
Futoshi Ide
太 井手
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Abstract

【課題】 ブローバイガスを吸気通路に導入したことによる内燃機関の燃焼悪化を抑制することが可能な内燃機関を提供する。
【解決手段】 吸気通路3と接続され、クランク室10のブローバイガスを前記吸気通路に導くブローバイガス還元通路17を備えた内燃機関1において、前記ブローバイガス還元通路から前記吸気通路へのブローバイガスの導入及びその停止を切り替える切替バルブ20と、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段21と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記吸気通路へのブローバイガスの導入を停止させるように前記切替バルブの動作を制御するバルブ制御手段22と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クランク室のブローバイガスを吸気通路に導入する内燃機関に関する。
内燃機関の機関本体と別体にオイルタンクを設け、給油ポンプによりオイルタンクから機関本体にオイルを供給するとともに排出ポンプにより機関本体から機関本体の各部を潤滑したオイルとブローバイガスとをオイルタンクに排出する潤滑装置、いわゆるドライサンプ式の潤滑装置を備えた内燃機関において、オイルタンクにてオイルとブローバイガスとを気液分離し、分離後のブローバイガスを吸気通路に還流する内燃機関が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2〜4が存在する。
特開平8−240113号公報 特開2000−8828号公報 特開平7−279640号公報 特開平6−42325号公報
ブローバイガスには、スス(soot)などのデポジットや窒素酸化物(NOx)などが含まれている。NOx濃度の高いブローバイガスが吸気通路に還流(導入)された場合、吸気中のNOx濃度が高くなり内燃機関の燃焼が悪化するおそれがある。また、大量のデポジットを含むブローバイガスが導入された場合、デポジットが吸気通路内に付着、堆積し、吸入空気量が低下するおそれがある。また、オイル中に混入したデポジットが油潤滑性能低下を起し、摺動面の磨耗が増加するおそれもある。さらに、クランク室に高濃度のNOxが存在することで、オイルの劣化が早められる可能性がある。
そこで、本発明は、ブローバイガスを吸気通路に導入したことによる内燃機関の燃焼悪化を抑制することが可能な内燃機関を提供することを目的とする。
本発明の第一の内燃機関は、吸気通路と接続され、クランク室のブローバイガスを前記吸気通路に導くブローバイガス還元通路を備えた内燃機関において、前記ブローバイガス還元通路から前記吸気通路へのブローバイガスの導入及びその停止を切り替える切替バルブと、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記吸気通路へのブローバイガスの導入を停止させるように前記切替バルブの動作を制御するバルブ制御手段と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の第一の内燃機関によれば、NOx濃度が内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域のブローバイガスが吸気通路に導入されることがない。そのため、ブローバイガスによる内燃機関の燃焼悪化を抑制することができる。
本発明の第二の内燃機関は、吸気通路と接続され、クランク室のブローバイガスを前記吸気通路に導くブローバイガス還元通路を備えた内燃機関において、前記クランク室に空気を供給する空気供給手段と、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記クランク室に空気が供給されるように前記空気供給手段の動作を制御する動作制御手段と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項2)。
本発明の第二の内燃機関によれば、NOx濃度が内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域になると空気供給手段によってクランク室に空気が供給されるので、ブローバイガスのNOx濃度を低下させることができる。そのため、ブローバイガスによる内燃機関の燃焼悪化を抑制することができる。また、クランク室内のNOx濃度を低下させることにより、オイルの劣化を抑制することができる。
本発明の第一及び第二の内燃機関において、前記吸気通路にスロットルバルブが設けられ、前記ブローバイガス還元通路は、前記スロットルバルブよりも下流の前記吸気通路に接続されていてもよい(請求項3)。この場合、スロットルバルブへのデポジットの付着を抑制することができる。そのため、デポジットによるスロットルバルブの固着などを防止することができる。
本発明の第一及び第二の内燃機関において、前記内燃機関は、前記クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室の底部から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有するドランサンプ方式の潤滑装置を備え、前記ブローバイガス還元通路は、前記オイルタンクのヘッドスペースと前記吸気通路とを接続してもよい(請求項4)。ドライサンプ式の潤滑装置では、クランク室のブローバイガスがオイルとともにオイルタンクに排出され、オイルタンクにて気液分離される。そのため、オイルタンクのヘッドスペースと吸気通路とをブローバイガス還元通路で接続することで、吸気通路にブローバイガスを導入する。
本発明の第三の内燃機関は、クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有する潤滑装置を備えた内燃機関において、前記内燃機関の吸気通路と前記オイルタンクのヘッドスペースとを接続するブローバイガス還元通路と、前記ヘッドスペースと前記吸気通路との間の接続及び遮断を切り替える切替バルブと、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記ヘッドスペースと前記吸気通路とが遮断されるように前記切替バルブの動作を制御するバルブ制御手段と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項5)。
本発明の第三の内燃機関によれば、第一の内燃機関と同様に、NOx濃度が内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域のブローバイガスが吸気通路に導入されることがない。そのため、内燃機関の燃焼悪化を抑制することができる。
本発明の第四の内燃機関は、クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有する潤滑装置を備えた内燃機関において、前記内燃機関の吸気通路と前記オイルタンクのヘッドスペースとを接続するブローバイガス還元通路と、前記クランク室に空気を供給する空気供給手段と、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記クランク室に空気が供給されるように前記空気供給手段の動作を制御する動作制御手段と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項6)。
本発明の第四の内燃機関によれば、第二の内燃機関と同様に、NOx濃度が内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域になると空気供給手段によってクランク室へ空気が供給されるので、ブローバイガスのNOx濃度を低下させることができる。そのため、内燃機関の燃焼悪化を抑制するとともに、オイルの劣化を抑制することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、吸気通路にはNOx濃度が内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域のブローバイガスが導入されないので、ブローバイガスによる燃焼悪化を抑制することができる。また、クランク室に空気供給手段によって空気を供給することで、ブローバイガスのNOx濃度を低下させることができるので、オイルの劣化を抑制することができる。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の内燃機関の第一の実施形態を示している。内燃機関(以下、エンジンと呼ぶことがある。)1は、車両に走行用動力源として搭載されるもので、機関本体2に接続される吸気通路3と、潤滑装置4と、ブローバイガス還元装置5とを備えている。機関本体2は、シリンダが形成されているシリンダブロック6と、シリンダブロック6の上方に取り付けられるシリンダヘッド7と、シリンダブロック2の下方に取り付けられるクランクケース8と、クランクケース8の下面に取り付けられるオイルパン9とを備えている。クランクケース8の内部には、シリンダブロック6とクランクケース8とオイルパン9とによってクランク室10が形成される。吸気通路3には、吸気濾過用のエアクリーナ11と、吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ12が設けられている。潤滑装置4は、ドライサンプ方式の潤滑装置であり、機関本体2とは別体に設けられたオイルタンク13と、機関本体2の各部にオイルを供給するためのフィードポンプ14と、排出ポンプとしてのスカベンジポンプ15とを備えている。エンジン1においてオイルは、図1に矢印Aで示したようにフィードポンプ14によってオイルタンク13から機関本体2の各部に供給される。機関本体2の各部を潤滑したオイルは、クランク室10の底部に設けられたオイル回収部16に回収され、図1に矢印Bで示したようにスカベンジポンプ15によってオイルタンク13に排出される。このようにオイルは、オイルタンク13と機関本体2とを循環する。
ブローバイガス還元装置5は、吸気通路3とシリンダヘッド7及びクランク室10とを接続する新気導入通路17と、オイルタンク13のヘッドスペース13aと吸気通路3及びクランク室10とを接続するブローバイガス還元通路18とを備えている。ブローバイガス還元通路18は、スロットルバルブ12よりも下流の吸気通路3に接続されている。ブローバイガス還元通路18には、ブローバイガスの流量を調整するためのPCVバルブ19と、ブローバイガスの導入先を吸気通路3又はクランク室10に切り替える切替バルブ20と、ブローバイガスのNOx濃度に対応した信号を出力するNOx濃度出力手段としてのNOxセンサ21とが設けられている。
次に図1のエンジン1におけるブローバイガスの流れについて説明する。クランク室10のブローバイガスは、スカベンジポンプ15によってオイルとともにオイルタンク13に排出(図1の矢印B方向)され、オイルタンク13にてブローバイガスとオイルとに気液分離される。オイルと分離されてヘッドスペース13aに集められたブローバイガスは、ブローバイガス還元通路18を介して吸気通路3(図1の矢印C方向)又はクランク室10(図1の矢印D方向)に導入される。なお、クランク室10及びシリンダヘッド7には、吸気通路3から新気導入通路17を介して空気(新気)が導入される。
切替バルブ20の動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)22によって制御される。ECU22は、エンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU22には、例えばエンジン1の回転数に対応した信号を出力する回転数センサ23の出力信号などが入力されている。ECU22は、これらの信号を参照してエンジン1の運転状態を制御している。図2は、ECU22が切替バルブ20の動作を制御するために実行する切替バルブ制御ルーチンを示している。図2の制御ルーチンはエンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行される。ECU22は、図2の制御ルーチンを実行することにより、本発明のバルブ制御手段として機能する。
図2の制御ルーチンにおいてECU22は、まずステップS11でブローバイガスのNOx濃度が予め設定した許容限度以上であるか否か判断する。許容限度は、例えば以下に示す方法によって設定される。ブローバイガスにはNOxが含まれており、ブローバイガスのNOx濃度はエンジン1の運転状態によって変化する。例えば、エンジン1が高負荷、低回転で運転されている場合にNOx濃度が高くなる。このNOx濃度の高いブローバイガスを吸気通路3に戻した場合、吸気のNOx濃度が高くなるため、エンジン1の燃焼が悪化する。そこで、許容限度には、吸気通路3に戻したブローバイガスに含まれるNOxによってエンジン1の燃焼が悪化しないようなNOx濃度が設定される。
NOx濃度が許容限度未満であると判断した場合はステップS12に進み、ECU22はブローバイガスの導入先が吸気通路3に変更されるように、即ち図1の矢印D方向にブローバイガスが流れるように切替バルブ20を動作させる。その後、今回の制御ルーチンを終了する。一方、NOx濃度が許容限度以上であると判断した場合はステップS13に進み、ECU22はブローバイガスの導入先がクランク室10に変更されるように、即ち図1の矢印E方向にブローバイガスが流れるように切替バルブ20を動作させる。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
この実施形態によれば、ブローバイガスのNOx濃度が許容限度以上の場合、ブローバイガスの導入先がクランク室10に変更される。これにより、ブローバイガスの吸気通路3への導入を停止(吸気通路3とクランク室10との間を遮断)させることができるので、NOx濃度が許容限度を超えた、即ちエンジン1の燃焼を悪化させるNOx濃度のブローバイガスが吸気通路3に導入されることがない。そのため、エンジン1の燃焼悪化を抑制することができる。なお、クランク室10に戻されたブローバイガスは、新気導入通路17を介して導入される空気と混合されるので、NOx濃度が低下する。以降、NOx濃度が許容限度未満に低下するまで、ブローバイガスはクランク室10とオイルタンク13とを循環する。ブローバイガスにはデポジットが含まれており、このデポジットはブローバイガスのNOx濃度が高くなるほど増加する。そのため、NOx濃度が許容限度を超えたブローバイガスをクランク室10に戻すことで、吸気通路3へのデポジットの付着を抑制することができる。また、ブローバイガスは、スロットルバルブ12よりも下流の吸気通路3に導入されるため、スロットルバルブ12へのデポジットの付着を抑制することができる。
図3は、第一の実施形態の変形例を示している。なお、図3において図1と共通する部分には同一符号を付してある。図3に示したように、この変形例ではスカベンジポンプ15とオイルタンク13との間にオイルセパレータ30が設けられている。オイルセパレータ30は、オイルとブローバイガスを分離させる気液分離部31を備えている。また、オイルセパレータ30には、NOxセンサ21が設けられている。オイルセパレータ30は、リターン通路32によってクランク室10と接続される。リターン通路32には、クランク室10からオイルセパレータ30への逆流を防止するチェックバルブ33と、オイルセパレータ30とクランク室10との間の接続及び遮断を切り替えるリターンバルブ34とが設けられている。なお、図3に示したようにブローバイガス還元通路18は、オイルタンク13のヘッドスペース13aと吸気通路3とを接続している。
次に、図3の変形例におけるオイルとブローバイガスの流れについて説明する。図3においてオイルは、オイルタンク13からフィードポンプ14によって機関本体2の各部に供給される。機関本体2の各部を潤滑したオイルはオイル回収部16に回収され、ブローバイガスとともにスカベンジポンプ15によって気液分離部31に送られる。気液分離部31では、その内部においてオイルとブローバイガスとを図3に矢印Eで示したように旋回させ、遠心力によって気液分離させる。分離されたオイルは、気液分離部31の下側開口部31aから排出され、オイルタンク13に導かれる。以降、オイルは上述した経路を循環する。
一方、図3においてブローバイガスは、クランク室10からスカベンジポンプ15によってオイルセパレータ30に送られ、気液分離部31でオイルと分離される。分離されたブローバイガスは気液分離部31の上側開口部31bから排出され、オイルセパレータ30のヘッドスペース30aに集められる。その後、リターンバルブ34が開いている場合、ブローバイガスはリターン通路32を介してクランク室10に戻される。一方、リターンバルブ34が閉じている場合、ブローバイガスは、オイルとともにオイルタンク13に送られ、オイルタンク13のヘッドスペース13aからブローバイガス還元通路18を介して吸気通路3に導入される。
図4の制御ルーチンは、ECU22がリターンバルブ34の動作を制御するために実行する制御ルーチンを示している。図4の制御ルーチンは、エンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行される。なお、図4において図2と同一の処理には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図4の制御ルーチンにおいてECU22は、まずステップS11においてブローバイガスのNOx濃度が許容限度以上であるか否か判断する。NOx濃度が許容限度未満であると判断した場合はステップS21に進み、ECU22はリターンバルブ34を閉じる。即ち、ブローバイガスがオイルセパレータ30からオイルタンク13及びブローバイガス還元通路18を介して吸気通路3に導入されるようにブローバイガスの流れを変更する。その後、今回の制御ルーチンを終了する。一方、NOx濃度が許容限度以上であると判断した場合はステップS22に進み、ECU22はリターンバルブ34を開ける。即ち、ブローバイガスがオイルセパレータ30からリターン通路32を介してクランク室10に戻されるようにブローバイガスの流れを変更する。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
以上に説明したように、リターンバルブ34の動作を制御することで、クランク室10のブローバイガスの導入先を吸気通路3又はクランク室10に切り替えることができる。そのため、リターンバルブ34は本発明の切替バルブとして機能する。この変形例においてもエンジン1の燃焼を悪化させるNOx濃度のブローバイガスが吸気通路3に導入されることがないので、エンジン1の燃焼悪化を抑制することができる。また、図3の変形例では、NOx濃度が許容限度を超えたブローバイガスがオイルタンク13に送られることがない。そのため、オイルタンク13内のオイルとNOxとの接触を抑制することができるので、オイルの劣化を抑制することができる。
(第二の実施形態)
図5は、本発明の第二の実施形態に係るエンジン1を示している。なお、図5において図1と共通する部分には同一符号を付してある。この実施形態では、クランク室10に空気を供給する空気供給手段としての電動ポンプ40が新気導入通路17に設けられている点が第一の実施形態と異なる。本実施形態では、図5に示したようにNOxセンサ21はクランクケース8に取り付けられる。
図6は、ECU22が電動ポンプ40の動作を制御するために実行する制御ルーチンを示している。図6の制御ルーチンは、エンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行される。図6の制御ルーチンを実行することにより、ECU22は本発明の動作制御手段として機能する。なお、図6において図2と同一の処理には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図6においてECU22は、まずステップS11においてブローバイガスのNOx濃度が許容限度以上であるか否か判断する。NOx濃度が許容限度未満であると判断した場合はステップS31に進み、ECU22は電動ポンプ40を停止させる。その後、今回の制御ルーチンを終了する。一方、NOx濃度が許容限度以上であると判断した場合はステップS32に進み、ECU22は電動ポンプ40を起動する。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
以上に説明したように、本実施形態においては、ブローバイガスのNOx濃度が許容限度以上の場合、電動ポンプ40によってクランク室10に空気が供給されるので、ブローバイガスのNOx濃度を低下させることができる。そのため、エンジン1の燃焼悪化を抑制することができる。また、ブローバイガスのNOx濃度を低下させることによって、オイルの劣化を抑制することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、切替バルブやリターンバルブ、電動ポンプの動作を制御するために参照する信号はNOxセンサの出力信号に限定されない。NOxセンサの代わりにブローバイガスの酸素(O)濃度に対応した信号を出力するOセンサを設け、このOセンサの出力信号を参照してバルブや電動ポンプの動作を制御してもよい。ブローバイガスのO濃度は、NOx濃度が高いほど低下する。そこで、O濃度に基づいてバルブや電動ポンプの動作を制御する場合は、O濃度が予め設定した許容限度以下に低下した場合に、ブローバイガスがクランク室に戻されるように、又はクランク室に空気が供給されるように、バルブや電動ポンプの動作を制御する。
また、上述したようにブローバイガスのNOx濃度は、エンジンの回転数及び負荷に応じて変化する。図7は、エンジンの回転数及び負荷とブローバイガスのNOx濃度との関係の一例を示している。NOx濃度は、エンジンの回転数が低く、負荷が高い場合に高くなる。即ち、図7の領域AにおいてNOx濃度が高く、領域B、領域Cの順にNOx濃度が低くなる。そこで、例えばエンジンの回転数及び負荷が図7の領域A又は領域Bになる場合に、NOx濃度が許容限度以上であると判断してもよい。なお、図7の関係は予め実験などによって求めておき、ECUにマップとして記憶させておく。エンジンの回転数は回転数センサの出力信号を参照して取得し、負荷は例えばエンジンへの燃料供給量などに基づいて取得する。この場合、ECUが本発明のNOx濃度取得手段として機能する。このようにNOx濃度を取得することで、NOxセンサやOセンサを省略することができる。
本発明が適用される内燃機関は、ドライサンプ方式の潤滑装置を備えた内燃機関に限定されない。図8に示したように、オイル回収部15にオイルを貯留し、このオイルをオイルポンプ50によって機関本体2の各部に供給する、いわゆるウエットサンプ方式の潤滑装置を備えた内燃機関に本発明を適用してもよい。なお、図8において図1と共通する部分には同一符号を付してある。図8の切替バルブ20は、ECU22が図2に示した切替バルブ制御ルーチンを実行することによって制御される。即ち、ブローバイガスのNOx濃度が許容限度未満の場合はブローバイガスが吸気通路3に(図8の矢印C方向に)導かれ、NOx濃度が許容限度以上の場合はブローバイガスがクランク室10に(図8の矢印D方向に)導かれる。そのため、エンジン1の燃焼を悪化させるNOx濃度のブローバイガスが吸気通路3に導入されることがない。従って、ブローバイガスによるエンジン1の燃焼悪化を抑制することができる。
本発明の内燃機関の第一の実施形態を示す図。 ECUが実行する切替バルブ制御ルーチンを示すフローチャート。 第一の実施形態の変形例を示す図。 ECUが実行するリターンバルブ制御ルーチンを示すフローチャート。 本発明の内燃機関の第二の実施形態を示す図。 ECUが実行する電動ポンプ制御ルーチンを示すフローチャート。 エンジンの回転数及ぶ負荷とブローバイガスのNOx濃度との関係の一例を示す図。 本発明が適用されたウエットサンプ方式の内燃機関の一形態を示す図。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 機関本体
3 吸気通路
4 潤滑装置
10 クランク室
12 スロットルバルブ
13 オイルタンク
13a ヘッドスペース
15 スカベンジポンプ(排出ポンプ)
18 ブローバイガス還元通路
20 切替バルブ
21 NOxセンサ(NOx濃度取得手段)
22 エンジンコントロールユニット(バルブ制御手段、動作制御手段)
34 リターンバルブ(切替バルブ)
40 電動ポンプ(空気供給手段)

Claims (6)

  1. 吸気通路と接続され、クランク室のブローバイガスを前記吸気通路に導くブローバイガス還元通路を備えた内燃機関において、
    前記ブローバイガス還元通路から前記吸気通路へのブローバイガスの導入及びその停止を切り替える切替バルブと、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記吸気通路へのブローバイガスの導入を停止させるように前記切替バルブの動作を制御するバルブ制御手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関。
  2. 吸気通路と接続され、クランク室のブローバイガスを前記吸気通路に導くブローバイガス還元通路を備えた内燃機関において、
    前記クランク室に空気を供給する空気供給手段と、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記クランク室に空気が供給されるように前記空気供給手段の動作を制御する動作制御手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関。
  3. 前記吸気通路にスロットルバルブが設けられ、
    前記ブローバイガス還元通路は、前記スロットルバルブよりも下流の前記吸気通路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 前記内燃機関は、前記クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室の底部から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有するドランサンプ方式の潤滑装置を備え、
    前記ブローバイガス還元通路は、前記オイルタンクのヘッドスペースと前記吸気通路とを接続していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関。
  5. クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有する潤滑装置を備えた内燃機関において、
    前記内燃機関の吸気通路と前記オイルタンクのヘッドスペースとを接続するブローバイガス還元通路と、前記ヘッドスペースと前記吸気通路との間の接続及び遮断を切り替える切替バルブと、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記ヘッドスペースと前記吸気通路とが遮断されるように前記切替バルブの動作を制御するバルブ制御手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関。
  6. クランク室が形成される機関本体とは別体に設けられたオイルタンクと、前記クランク室から前記オイルタンクにオイルを排出する排出ポンプと、を有する潤滑装置を備えた内燃機関において、
    前記内燃機関の吸気通路と前記オイルタンクのヘッドスペースとを接続するブローバイガス還元通路と、前記クランク室に空気を供給する空気供給手段と、ブローバイガスのNOx濃度を取得するNOx濃度取得手段と、前記NOx濃度取得手段により取得されたNOx濃度が許容限度を超えて前記内燃機関の燃焼を悪化させる濃度域にあると判断した場合、前記クランク室に空気が供給されるように前記空気供給手段の動作を制御する動作制御手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関。
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