JP2006137834A - 精製木酢液の製造方法、精製木酢液及びこれを用いた化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品 - Google Patents

精製木酢液の製造方法、精製木酢液及びこれを用いた化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 不快臭を発する有機溶剤を使用せずに油脂に十分に溶解させることができ、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止できる精製木酢液の製造方法等を提供すること。
【解決手段】 本発明は、有効成分及び生体有害物質を少なくとも含有する粗木酢液を有機溶剤と接触させて有効成分を有機溶剤に移行させ、有効成分を含有する有機溶剤相と生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とする第1接触工程と、この有機溶剤相を分離して回収する分離回収工程と、有機溶剤相から有機溶剤を蒸発させて、有効成分含有液を得る蒸発工程とを含む精製木酢液の製造方法において、有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る第2接触工程と、得られた混合液を加温して精製木酢液を得る加温工程とを含むことを特徴とする精製木酢液の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、粗木酢液を精製して得られる精製木酢液の製造方法、精製木酢液及びこれを用いた化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品に関する。
粗木酢液は、流木、生木、間伐材などの材木、真竹、孟宗竹などの成竹、及びツシマ笹、クマ笹等を炭化することにより発生する煙を冷却してできた水溶液であり、その化学成分は、炭化の対象となる原材料によって多少の違いはあるが、代表的なものは酢酸、プロピオン酸、アセトン、フルフラール、マルトール、フェノール、クレゾール、タンニン類、ホルムアルデヒド、メタノールなどである。なお、流木、生木、間伐材を原材料にするものは一般に粗木酢液と呼ばれ、真竹、孟宗竹などを原材料とするものは一般に粗竹酢液と呼ばれるが、本明細書では、粗木酢液及び粗竹酢液をまとめて「粗木酢液」と呼ぶこととする。
このような粗木酢液は、肌の傷を修復する効果を有し、タンニン性ポリフェノール(カテコール系タンニンなど)の植物性ポリフェノール類を多く含むものの、上述したようにホルムアルデヒドやメタノール、3−メチルコラントレン、3,4−ベンツピレン、ジベンゾアントラセン、タール、キノン類などの生体有害物質を含んでおり、そのまま化粧品等として使用するには不向きである。
そこで、このような粗木酢液から生体有害物質であるホルムアルデヒドやメタノールなどを除去することにより、粗木酢液を精製して精製木酢液原料を製造する方法が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。具体的に、同文献には、粗木酢液を有機溶剤と接触させて有効成分を有機溶剤に移行させ、有効成分を含有する有機溶剤相と生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とし、有機溶剤相を分離回収し、有機溶剤相を蒸発乾固させる精製木酢液原料の製造方法が開示されている。そして、同文献には、精製木酢液原料をスクワランに溶解させたものに、さらに流動パラフィン、オリーブ油を添加して70〜85℃で加熱することにより化粧用油を得る方法も開示されている。
特開平11−158472号公報
しかしながら、本発明者らは、上記従来の製造方法により得られる有効成分を含有する精製木酢液原料は、グリセリンやアルコールには完全に溶解するものの、スクワランには完全に溶解せず、スクワラン中に浮遊物や沈殿物が生成することを見出した。そして、本発明者らは、上記浮遊物や沈殿物中に、本発明者らによって精製木酢液中に存在することが新たに見出された赤褐色のカロチノイド系物質が含まれていたことから、上記のように精製木酢液原料がスクワラン等の動植物由来の油脂に溶解しない原因が、カロチノイド系の物質にあることをさらに見出した。
ところで、カロチノイド系物質は一般にポリフェノールと共存することで、脂質、特に多価不飽和脂肪酸に対してより強い抗酸化作用を示すことが知られている。ポリフェノールも精製木酢液に含まれている成分であるため、カロチノイド系物質を油脂中に溶解させ、ポリフェノールと共に均一に分散させることができれば、脂質に対して強い抗酸化作用を付与することが可能となる。
そこで、本発明者らは、この赤褐色の色素であるカロチノイド系物質の脂質に対する抗酸化作用に着目し、精製木酢液原料中に含まれるカロチノイド系物質を油脂中に溶解させ、浮遊物や沈殿物が生成することを防止する方法を模索した。ここで、油脂中に浮遊物や沈殿物が生成することを防止するためには、精製木酢液原料にスクワランを加えた後、エーテル及びヘキサンの混合液、若しくはアセトンを加えることも考えられるが、この場合、エーテル及びヘキサンの混合液、若しくはアセトンに起因して独特な不快臭がすることとなる。従って、エッセンス化粧品などの配合剤として、不快臭を発するような有機溶剤を使用せずに、油脂中に浮遊物や沈殿物が生成することを十分に防止できる精製木酢液が求められていた。
そこで、本発明は、不快臭を発する有機溶剤を使用せずに、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止できる精製木酢液の製造方法、精製木酢液、これを用いた化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、粗木酢液中の有効成分を有機溶剤で抽出し、有機溶剤を乾燥して得られる有効成分含有液に特定の油脂を加えて加温することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、有効成分及び生体有害物質を少なくとも含有する粗木酢液を有機溶剤と接触させて有効成分を有機溶剤に移行させ、有効成分を含有する有機溶剤相と生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とする第1接触工程と、この有機溶剤相を分離して回収する分離回収工程と、有機溶剤相から有機溶剤を蒸発させて、有効成分含有液を得る蒸発工程とを含む精製木酢液の製造方法において、有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る第2接触工程と、得られた混合液を加温する加温工程とを含むことを特徴とする精製木酢液の製造方法である。
この精製木酢液の製造方法によれば、上記有効成分含有液をツバキ油と接触させて得られる混合液を加温すると、不快臭を発する有機溶剤を使用せずに、有効成分含有液中に含まれている有効成分をツバキ油に十分に溶解させることができる。従って、有効成分がカロチノイド系物質を含有する場合であっても、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
上記加温工程において、上記混合液を37〜60℃の温度で加温することが好ましい。この場合、有効成分含有液に含まれる有効成分をツバキ油に十分に溶解させることができると共に、効率よく精製木酢液を製造することができる。
上記精製木酢液の製造方法は、上記分離回収工程と上記蒸発工程との間に、有効成分含有液を脱水する脱水工程を更に含むことが好ましい。この場合、有機溶剤中に分散している水に含有されているホルムアルデヒド、メタノール、水溶解性タール等の生体有害物質が脱水工程で完全に除去されるという利点が得られる。
上記精製木酢液の製造方法において、上記有効成分が、カロチノイド系物質及びポリフェノールを含むことが好ましい。この場合、脂質に対して十分な抗酸化作用を有する精製木酢液を得ることができる。
また本発明は、上記精製木酢液の製造方法により製造される精製木酢液である。この精製木酢液によれば、赤褐色の色素であるカロチノイド系物質が粗木酢液の有効成分として含まれている場合には、当該カロチノイド系物質が精製木酢液中に溶解している。このカロチノイド系物質と、精製木酢液中に含まれているポリフェノールとが共存することで、脂質に対してより強い抗酸化作用が得られる。
更に本発明は、上記精製木酢液中の有効成分を含む化粧品、抗菌剤、医薬品又は加工食品である。これらの化粧品、抗菌剤、医薬品又は加工食品によれば、精製木酢液の持つ種々の効果が得られる。
本発明による精製木酢液の製造方法によれば、不快臭を発する有機溶剤を使用せずに、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる精製木酢液を得ることができる。
また本発明の精製木酢液によれば、赤褐色の色素であるカロチノイド系物質が粗木酢液の有効成分として含まれている場合には、当該カロチノイド系物質が精製木酢液中に溶解している。このカロチノイド系物質と、精製木酢液中に含まれているポリフェノールとが共存することで、脂質に対してより強い抗酸化作用が得られる。
更に、本発明の化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品によれば、精製木酢液の持つ種々の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
本発明の精製木酢液は、以下の製造方法により製造される精製木酢液である。
即ち、本発明の精製木酢液は、有効成分及び生体有害物質を少なくとも含有する粗木酢液を有機溶剤と接触させて有効成分を有機溶剤に移行させ、有効成分を含有する有機溶剤相と前記生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とする第1接触工程と、有機溶剤相を分離して回収する分離回収工程と、有機溶剤相から有機溶剤を蒸発させて、有効成分を含有する有効成分含有液を得る蒸発工程とを含む精製木酢液の製造方法において、有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る第2接触工程と、混合液を加温する加温工程を経て製造される。
上記のようにして得られる精製木酢液においては、粗木酢液中に含まれる生体有害物質及び製造工程で用いられた有機溶剤が十分に除去されている。また、カロチノイド系物質等の有効成分が加温工程にて有機溶剤を使用することなくツバキ油に十分に溶解することができる。
有効成分含有液との接触にツバキ油を使用すると、浮遊物や沈殿物の生成が十分に防止される理由は明らかではないが、ツバキ油中に含まれる特定の成分が、有効成分含有液に含まれる成分と相互作用し、界面活性剤、乳化剤として機能しているためではないかと考えられる。
また本発明による精製木酢液の製造方法によれば、有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る第2接触工程において、エーテル及びヘキサンの混合液、若しくはアセトン等の有機溶剤を使用しなくとも、次の工程である加温工程で有効成分が十分に溶解した精製木酢液を得ることができる。従って、精製木酢液、並びに当該精製木酢液が原料として配合されている化粧品、抗菌剤、医薬品、及び加工食品は有機溶剤に起因する独特な不快臭を抑制することができる。
さらに本発明の精製木酢液によれば、赤褐色の色素であるカロチノイド系物質が粗木酢液の有効成分として含まれている場合には、当該カロチノイド系物質が精製木酢液中に溶解している。このカロチノイド系物質と、精製木酢液中に含まれているポリフェノールとが共存することで、脂質に対してより強い抗酸化作用が得られる。
上記第1接触工程において用いる粗木酢液は、流木、生木、間伐材などの材木、真竹、孟宗竹などの成竹、及びツシマ笹、クマ笹等を炭化することにより発生する煙を冷却してできた水溶液である。粗木酢液の原料としては、流木、生木、間伐材などの材木、真竹、孟宗竹などの成竹、又はシツマ笹、クマ笹などの笹などを挙げることができる。粗木酢液の原料としては、自然保護のため、通常廃棄される流木や間伐材などを用いることが好ましい。粗木酢液を製造するにあたっては、従来公知の方法を採用することが可能である。
粗木酢液中には、有効成分及び生体有害物質が含まれている。
有効成分として、脂肪酸、タンニン性ポリフェノール、非タンニン性ポリフェノール、カロチノイド系物質等が含まれている。脂肪酸としては、具体的にミスチリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸等を挙げることができ、これらの成分は皮膚の新陳代謝を高める作用を有する。タンニン性ポリフェノールとしては、具体的にカテコール系タンニン、フラバノール等を挙げることができ、これらの成分は皮膚の保湿作用、抗酸化作用及び収斂作用を有する。非タンニン性ポリフェノールとしては、具体的にフェノール、クレゾール等を挙げることができ、これらの成分は黄色ブドウ球菌、緑膿菌等の病原性微生物に対して殺菌作用を有する。また、カロチノイド系物質は抗酸化作用を有し、ポリフェノールと共存することによって、脂質に対して強い抗酸化作用を示すことが知られている。ここでいうポリフェノールとは、粗木酢液中に存在する植物性ポリフェノールを指し、タンニン性ポリフェノール及び非タンニン性ポリフェノールをいう。
一方、生体有害物質としては、ホルムアルデヒド、メタノール、3−メチルコラントレン、3,4−ベンツピレン、ジベンゾアントラセン、タール、キノン類等が含まれている。
上記第1接触工程においては、粗木酢液に含まれる有効成分を有機溶剤に抽出するため、言い換えると有機溶剤に移行させるため、粗木酢液を有機溶剤と接触させる。ここで用いられる有機溶剤としては、極性の低い石油エーテル、ベンゼン、クロロホルム、脂肪族単一エーテル類、脂肪混合エーテル類、メタン系炭化水素等が挙げられる。これらの中でも、皮膚刺激作用をもつキノン類の除去という理由から、脂肪族単一エーテル類、脂肪族混合エーテル類、炭化水素系が好ましく、水溶解性タールの除去という理由から、脂肪族単一エーテルであるジエチルエーテル、炭化水素系であるn−ヘキサンがより好ましい。上記有機溶剤は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上の異なる有機溶剤を混合して使用してもよい。
上記第1接触工程では、粗木酢液のpHが重要であり、接触時のpHが2.5を越える場合は、クレゾール、フェノールなどの成分が有機溶剤に十分に移行しない傾向にある。従って、pHが2.5を超える場合は、酢酸を加えて粗木酢液のpHが2.5以下になるように調整することが好ましい。なお、酢酸を加えてpHを調整する必要がある場合には、加えた酢酸が有効成分を含有する有機溶剤相に移行することを防止するため、有機溶剤として、ジエチルエーテル及びn−ヘキサンの混合溶剤を使用することが好ましい。
また、上記第1接触工程において、粗木酢液に接触させる有機溶剤の量は、粗木酢液100質量部に対して、有機溶剤50〜300質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがより好ましい。上記の配合比率で粗木酢液に対して有機溶剤を加え、十分振とう混合することにより粗木酢液に含まれる有効成分を有機溶剤に十分に移行することができる。粗木酢液100質量部に対する有機溶剤の量が50質量部に満たない場合は粗木酢液中の有効成分の有機溶剤への移行が充分でなくなる傾向があり、300質量部を越える場合は有機溶剤相の回収量が多くなるため、作業効率の低下、更には回収された多量の有機溶剤が環境に対する負荷を増大させる可能性が生じる。
上記第1接触工程によって、粗木酢液と有機溶剤の混合液は、粗木酢液に含まれていた有効成分が十分に移行した有機溶剤相と粗木酢液に含まれていた生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態となる。
上記分離回収工程では、有効成分が含まれる有機溶剤相と生体有害物質が含まれる水溶液相を常法にしたがって分液し、有機溶剤相を分離回収する。ここで、回収した有機溶剤相中に含まれる少量の水溶液相を脱水することが好ましく、脱水には従来公知の無水硫酸ナトリウムなどの乾燥剤を使用することができる。この場合、有機溶剤中に分散している水に含有されているホルムアルデヒド、メタノール、水溶解性タール等の生体有害物質が脱水工程で完全に除去されるという利点が得られる。
なお、分離回収工程後に得られた水溶液相に再び有機溶剤を加え、十分振とう混合することにより水溶液相に残存する有効成分を有機溶剤相に再度抽出させてもよい。その後、上記の分離回収工程と同様に有機溶剤相を回収する。有効成分の再度の抽出がされた有機溶剤相及び最初の分離回収工程で回収した有機溶剤相を混ぜ合わせて、有効成分を含む有機溶剤相を得てもよい。
上記蒸発工程では、上記分離回収工程により得られた有効成分を含む有機溶剤相に含まれる有機溶剤を蒸発させて、有効成分を含有する有効成分含有液を得る。有機溶剤の蒸発は、加熱によって行ったり、ロータリーエバポレータなどを使用して行うことができる。蒸発工程により、有機溶剤相に含まれていた有機溶剤を十分に蒸発させることで、有機溶剤に起因する特有の不快臭を抑制することができる。
上記第2接触工程では、上記蒸発工程により得られた有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る。有効成分含有液に接触させるツバキ油の量は、有効成分含有液1質量部に対して、ツバキ油20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましく、100〜200質量部であることが更に好ましい。有効成分含有液1質量部に対するツバキ油の量が20質量部に満たない場合は、20質量部以上である場合に比べて、上記加温工程を経ても浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができなくなる傾向があり、300質量部を越える場合は300質量部以下である場合に比べて、有効成分の効果が不十分になる傾向がある。なお、第2接触工程においては、有効成分含有液に対して、上記範囲の質量のツバキ油が接触すればよく、必ずしもツバキ油のみを用いる必要はない。即ち、第2接触工程で用いる油脂は、ツバキ油と共にスクワラン、ホホバ油、ワセリン等のツバキ油以外の油脂が含まれていてもよい。
上記加温工程では、上記第2接触工程により得られた混合液を加温し、有効成分含有液に含まれていた有効成分を混合液中に溶解させて精製木酢液を得る。混合液を加温する温度は、37〜60℃であることが好ましく、50〜60℃であることがより好ましい。37℃未満では37℃以上である場合と比べて有効成分の溶解が不十分となる傾向があり、60℃を超えると有効成分が加温により熱変性を起こす可能性がある。また、加温する時間は有効成分を十分に溶解させるために45〜60分であることが好ましい。
なお、本発明の精製木酢液の製造方法においては、上記第2接触工程を行った後、上記加温工程を行ってもよいし、上記第2接触工程と上記加温工程を同時に行っても良い。
上記精製木酢液に含まれる燻臭成分、揮発成分及びポリフェノール類の含有量は、ガスクロマトグラフィー法によって測定することができる。その他、ガスクロマトグラフィー法によっては測定することのできない有効成分の含有量、具体的には総フェノール量、タンニン性ポリフェノール量、総フラバノール量、及びカロチノイド系物質の含有量は分光光度計を用いて測定することができる。
加温工程の後の工程において、さらに油脂を加温下で接触させて精製木酢液を得てもよい。ここで用いられる油脂はツバキ油であってもよいが、ツバキ油はスクワランなどの一般に用いられる油脂と比較すると高価であるため、ツバキ油以外の油脂が好ましい。ツバキ油以外の油脂としては、例えばスクワラン、ゴマ油、シソ油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、ホホバ油、ミンク油、ヒマシ油、馬油、ワセリン、流動パラフィンであり、これらのうち、スクワラン、ホホバ油、ミンク油、馬油、ワセリン、流動パラフィンが好ましい。ツバキ油以外の油脂を混合する割合は、ツバキ油の使用量の低減化及び得られる精製木酢液の効果を十分利用するため、第2接触工程で使用するツバキ油100質量部に対して、100〜500質量部であることが好ましく400〜500質量部であることがより好ましい。また、ツバキ油以外の油脂を混合する場合においても、37〜60℃に加温することが好ましい。前述したように、ツバキ油を用いた加温工程によってカロチノイド系物質等の有効成分は十分に溶解しているため、加温工程後に、他の油脂を加えて得られる精製木酢液においても浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
なお、本発明の精製木酢液の製造方法において、ツバキ油、及び、場合によりスクワラン等の化粧品原料等に一般に使用されている油脂を用いているため、精製木酢液単独でも化粧品等に利用することも可能である。
(化粧品)
本発明の化粧品は、精製木酢液中の有効成分を含むことを特徴とする。本発明の化粧品によれば、精製木酢液中に含まれる有効成分による作用、具体的には保湿作用、紫外線防止作用、美白作用、抗酸化作用、殺菌作用、消炎作用、皮膚の賦活作用等が十分に得られる。また、化粧品中に有効成分が十分に溶解しているため、化粧品を肌に塗るときの伸びがよい。
精製木酢液中の有効成分を含む化粧品としては、具体的に、クリーム、ジェル、オイルエッセンス美容液、パック・マスク、乳液、口紅、クレンジングオイル、ファンデーション、頬紅、マスカラ、アイシャドー、眉墨、ネールトリートメント、毛髪仕上げ化粧品、リップクリーム等を挙げることができる。
本発明の化粧品は、化粧品用原料を用いて製造される。化粧品用原料は、上記精製木酢液と、基材として使用することのできる配合剤とを含む。
上記配合剤は、例えば、ツバキ油、ゴマ油、シソ油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、ホホバ油、ミンク油、ヒマシ油、オリーブ油、スクワラン、馬脂、カミツレ油、グリチルレン酸エステル、トウキセンカエキスなどである。これらの配合剤が化粧品の基材を構成し、精製木酢液中の有効成分がこの基材中に分散している。
精製木酢液中のカロチノイド系物質等の有効成分は、精製木酢液中に十分に溶解しているため、精製木酢液と上記配合剤とを加温下で混合することによって、不快臭の原因となる有機溶剤を使用せずに、化粧品用油脂に対して有効成分を十分に溶解させることができる。従って、上記化粧品用油脂を基材とする化粧品においても、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
精製木酢液と配合剤の配合比率は、精製木酢液中の有効成分が有する効果を十分に利用するために、精製木酢液1質量部に対して、配合剤10〜100質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがさらに好ましい。
精製木酢液を配合剤とともに配合する方法は、従来公知の方法により行われ、特に限定されるものではなく、例えば、精製木酢液及び化粧品用油脂をそれぞれ加温し、それぞれの粘性を低下させて両者が十分混合しやすい状態にしてから精製木酢液が所定の濃度になるように化粧品用油脂に配合する方法を採用することができる。精製木酢液及び配合剤の粘性を低下させて、両者を混合しやすくするためには、37〜60℃程度に加温することが好ましい。
本発明の化粧品は、上記化粧品用原料を用いて以下のように製造することができる。
例えば、エモリエントクリーム(O/W型、ノニオン界面活性剤)は、精製木酢液、並びに油分、保湿剤、界面活性剤及び精製水を用いて製造することができる。油分として、ステアリルアルコール、ステアリン酸、水添ラノリン、スクワラン及びオクチルドデカノールのうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。保湿剤として、1、3ブチレングリコール及び/又はPEG1500を用いることができる。界面活性剤として、POE(25)セチルアルコールエーテル及び/又はモノステアリン酸グリセリンを用いることができる。
精製水に保湿剤を加えて温度を70℃に調整し水相を調製する。一方、油分に精製木酢液及び界面活性剤を加えて温度を70℃に調整し、油分相を調製する。ただし、複数の油分を用いる場合は界面活性剤を加える前に、70℃程度の加温下で十分に混合しておくことが好ましい。このように調製した水相及び油分相を70℃に温度調整しながらホモミキサーを用いて乳化粒子を均一にする。その後、ホモミキサーから回収した水相及び油分相を脱気、濾過、冷却することによりエモリエントクリームを得ることができる。
油性ジェル(乳化タイプ)は、精製木酢液、並びに油分、保湿剤、界面活性剤及び精製水を用いて製造することができる。油分として、流動パラフィン、グリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステルのうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。保湿剤として、ソルビトール及び/又はPEG400を用いることができる。界面活性剤として、アシルメチルタウリン及び/又はPOEオクチルドデシルアルコールエーテルを用いることができる。
精製水に保湿剤及び界面活性剤(好ましくはアシルメチルタウリン)を加えて温度を70℃に調整し、水相を調製する。一方、油分に精製木酢液及び界面活性剤(好ましくはPOEオクチルドデシルアルコールエーテル)を加えて温度を70℃に調整し、油分相を調製する。ただし、複数の油分を用いる場合は界面活性剤を加える前に、70℃程度の加温下で十分に混合しておくことが好ましい。このように調製した水相及び油分相を70℃に温度調整しながらホモミキサーを用いて乳化粒子を均一にする。その後、ホモミキサーから回収した水相及び油分相の混合相からなる液を脱気、濾過、冷却することにより油性ジェルを得ることができる。
オイルエッセンスは、精製木酢液に対して、スクワラン、ツバキ油、カミツレ油、グリチルレチン酸ステアリル及びトウキンセンカエキスのうちの1種又は2種以上を配合することにより製造することができる。40℃前後に加温して各成分を混合した後、得られた混合液を脱気、濾過、冷却することによりオイルエッセンスを得ることができる。
ペースト状ピールオフタイプのパック・マスクは、精製木酢液、皮膜剤、保湿剤、油分、界面活性剤、剥離用粉末、エタノール、及び精製水を用いて製造することができる。皮膜剤として、ポリ酢酸ビニルエマルジョン及び/又はポリビニルアルコールを用いることができる。保湿剤として、ソルビトール及び/又はPEG400を用いることができる。油分として、ホホバ油及び/又はスクワランを用いることができる。界面活性剤として、POEソルビタン及びステアリン酸エステル、剥離用粉末として酸化チタン及び又はタルチを用いることができる。精製水に剥離用粉末を加えて攪拌により十分に分散した後、保湿剤を添加し、70〜80℃に加温する。加温下でさらに皮膜剤を添加し、各成分を溶解させて水相を得る。エタノールに精製木酢液、界面活性剤及び油分を添加し油分相を得る。油分相を水相に加えて混合し、混合相からなる液を脱気、濾過、冷却することによりパック・マスクを得ることができる。
乳液タイプの口紅は、精製木酢液、二酸化チタン、セレン、赤色201号、赤色202号、赤色223号、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシ油、イソステアリン酸ジグリセライド、ポリオキシエチレン(25)ポリオキシドプロピレン(20)2−テトラデシルエーテル、イオン交換水、グリセリン、プロピレングリコールを用いて製造することができる。二酸化チタン、赤色201号、赤色202号をヒマシ油の一部に加えてローラで処理し顔料部を得る。赤色223号をヒマシ油、精製木酢液に溶解し染料部を得る。イオン交換水、グリセリン、プロピレングリコールを80℃の加温下で混合し、各成分を均一に溶解させ水相を得る。ホモミキサーに上記の顔料部及び染料部を加えて均一に分散させる。その後、上記の水相をホモミキサーに更に加えて混合し、乳化分散させる。このようにして得られた混合相からなる液を型に流し込み、急冷することによりスティック状の乳液タイプの口紅を得ることができる。
(抗菌剤)
本発明の抗菌剤は、精製木酢液中の有効成分を含むことを特徴とする。本発明の抗菌剤によれば、精製木酢液中の有効成分による作用、具体的には表在性皮膚・粘膜黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、水虫の原因菌である白癬菌などに対する抗菌作用及び殺菌作用が十分に得られる。
精製木酢液中の有効成分を含む抗菌剤は、具体的に、軟膏、スプレー缶に収容可能な液状、ゼリー状の形態で利用することができる。
本発明の抗菌剤は、抗菌剤用原料を用いて製造される。抗菌剤用原料は、上記精製木酢液と、基材として使用することのできる配合剤とを含む。
上記配合剤は、例えば、ツバキ油、ゴマ油、シソ油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、ホホバ油、ミンク油、ヒマシ油、オリーブ油、スクワラン、馬脂、カミツレ油、グリチルレチン酸エステル、トウキセンカエキス、ワセリン、流動パラフィンなどである。これら配合剤が抗菌剤の基材を構成し、精製木酢液中の有効成分がこの基材中に分散している。
精製木酢液中のカロチノイド系物質等の有効成分は、精製木酢液中に十分に溶解しているため、精製木酢液と上記配合剤とを加温下で混合することによって、不快臭の原因となる有機溶剤を使用せずに、配合剤に対して有効成分を十分に溶解させることができる。従って、上記配合剤を基材とする抗菌剤においても、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
精製木酢液と配合剤の配合比率は、精製木酢液が有する効果を十分に利用するために、精製木酢液1質量部に対して、配合剤10〜50質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがより好ましい。
精製木酢液を配合剤と配合する方法は、従来公知の方法により行われ、特に限定されるものではなく、例えば、精製木酢液及び配合剤をそれぞれ加温し、それぞれの粘性を低下させて両者が十分混合しやすい状態にしてから精製木酢液が所定の濃度になるように配合剤に配合する方法を採用することができる。なお、配合する工程において、必ずしも加温する必要はないが、基材として使用する配合剤が固形油脂である馬油、ワセリン、流動パラフィンの場合は、精製木酢液及び配合剤の粘性を低下させて、両者を混合しやすくするためには、75〜85℃程度に加温することが好ましい。
本発明の抗菌剤は、上記抗菌剤用原料を用いて以下のように製造することができる。
例えば、抗菌作用を有する軟膏は、精製木酢液、油性成分及びプロピレングリコール、水酸化カリウム及び精製水を用いて製造することができる。油分として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、POE(25)セチルアルコールエーテル、モノステアリン酸グリセリンのうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
精製木酢液と油性成分とを70〜80℃の加温下で混合し、油分相を得る。一方、精製水、プロピレングリコール及び水酸化カリウムを70〜80℃の加温下で混合し水相を得る。このように調製した水相を先に調整した油分相に加えてホモミキサーにて乳化粒子を均一にする。このようにして得られた混合相からなる液を脱気、濾過、冷却することにより軟膏を得る。
スプレー缶に収容可能な液状抗菌剤は、精製木酢液、ハッカ油、レスチン、スクワラン、カミツレ油を加えて、40〜50℃に加温調整して十分混合して得られる混合液を脱気、濾過、冷却することにより製造することができる。
(医薬品)
本発明の医薬品は、精製木酢液中の有効成分を含むことを特徴とする。本発明の医薬品によれば、精製木酢液中に含まれる有効成分による作用、具体的には、表在性皮膚及び粘膜病原性微生物感染症、草カブレ、虫さされ、火傷、日焼け、アトピー性皮膚炎などによる肌のトラブル防止及び修復する作用が十分に得られる。
精製木酢液中の有効成分を含む医薬品は、具体的に、軟膏、スプレー缶に収容可能な液状、石鹸、ゼリー状の形態で利用することができる。
本発明の医薬品は、医薬品用原料を用いて製造される。医薬品用原料は、上記精製木酢液と、基材として使用することのできる配合剤とを含む。
上記配合剤は、例えば、液状油脂では、スクワラン、ツバキ油、シソ油、綿実油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、ミンク油、カミツレ油、ナタネ油などであり、固形油脂では、ワセリン、流動パラフィン、馬油などである。これら配合剤が医薬品の基材を構成し、精製木酢液中の有効成分がこの基材中に分散している。
精製木酢液中のカロチノイド系物質等の有効成分は、精製木酢液中に十分に溶解しているため、精製木酢液と上記配合剤とを加温下で混合することによって、不快臭の原因となる有機溶剤を使用せずに、配合剤に対して有効成分を十分に溶解させることができる。従って、上記配合剤を基材とする医薬品においても、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
精製木酢液と配合剤の配合比率は、精製木酢液が有する効果を十分に利用するために、精製木酢液1質量部に対して、配合剤10〜50質量部であることが好ましく、20〜30質量部あることがより好ましい。
精製木酢液を配合剤と配合する方法は、従来公知の方法により行われ、特に限定されるものではなく、例えば、精製木酢液及び配合剤をそれぞれ加温し、それぞれの粘性を低下させて両者が十分混合しやすい状態にしてから精製木酢液が所定の濃度になるように配合剤に配合する方法を採用することができる。なお、配合する工程において、必ずしも加温する必要はないが、精製木酢液及び配合剤の粘性を低下させて、両者を混合しやすくするためには、配合剤が液状油脂の場合は、40℃程度に加温することが好ましく、配合剤が固形油脂の場合は、70〜85℃に加温することが好ましい。
本発明の医薬品は、上記医薬品用原料を用いて以下のように製造することができる。例えば、精製木酢液3質量部に対し、ワセリンベース配合剤97質量部を加え、70℃〜80℃に加温し、十分に混合させた後、冷却して使用される。精製木酢液中には有効成分が溶解しているため、配合剤と加温しながら混合した場合でも、浮遊物や沈殿物の生成を十分に防止することができる。
(加工食品)
本発明の加工食品は、精製木酢液中の有効成分を含むことを特徴とする。本発明の加工食品によれば、精製木酢液中に含まれる有効成分による作用、具体的には脂質に対する抗酸化作用及び抗菌作用により加工食品の風味を保ち、腐敗を防止する効果が得られる。
精製木酢液中の有効成分を含む加工食品は、加工食品中に精製木酢液中の有効成分を十分に分散させることができるものであれば、特に限定されないが、このような加工食品としては、例えば、パン、ビスケット、ケーキ、乳製品、食肉加工食品、マヨネーズなどが挙げられる。
本発明の加工食品は加工食品用原料を用いて製造される。加工食品用原料は、上記精製木酢液と、食品材料とを含む。
上記食品材料は、例えば、パン生地、マーガリン、マヨネーズなどの油脂を基材とする食品、ガムベースを基材として使用される嗜好品などである。これら食品材料の基材中に精製木酢液中の有効成分が分散している。
本発明の加工食品に使用される精製木酢液は、有機溶剤を原因とする不快臭が十分に抑制されているため、加工食品の添加剤として利用した場合も、得られる加工食品の風味を損なうことはない。また、カロチノイド系物質が粗木酢液の有効成分として含まれている場合には、当該カロチノイド系物質とポリフェノールとが共存し脂質に対して強い抗酸化作用が得られる。従って、精製木酢液中の有効成分を含まない加工食品と比較すると、加工食品に含まれる脂質の酸化による変色及び変味を長期間防止することができる。
精製木酢液と食品材料の配合比率は、精製木酢液が有する効果を十分に利用し、且つ、得られる加工食品の風味を損なわないため、加工食品100質量部に対して、精製木酢液0.1〜3質量部であることが好ましく、0.5〜1質量部であることがより好ましい。
精製木酢液を加工食品中に分散させる方法は、従来公知の方法により行われ、特に限定されるものではなく、ミキサーなどを用いて配合することができる。また、調理の過程において精製木酢液を混入させてもよい。
本発明の加工食品は、上記加工食品用原料を用いて以下のように製造することができる。
パンを製造する場合は、小麦粉、水、糖類、油脂類、食塩、乳製品、酵母の基材に精製木酢液を配合し、パンを製造する常法を用いて製造することができる。マヨネーズ、チューインガム、ソーセージなどを製造する場合にも原料基材に精製木酢液を加えてそれぞれ常法によって製造することができる。
なお、化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品の製造工程においては60℃を越えて加温する工程が含まれているが、ツバキ油及び配合剤中の成分により精製木酢液の有効成分は保護され、精製木酢液の有効成分の熱変性は十分に防止される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<粗木酢液の製造>
粗木酢液は、ブナ、マツ、及びスギからなる流木を用いて次の手順で製造した。まず流木を天日干しし、110cmの長さに切断後、容積5.4m炭釜に入れ、釜の温度400℃、煙突の温度80℃に保持しながら48時間煙を採取した。その後、約1年間放置して3層に分離させ、中間層である粗木酢液を採取した。得られた粗木酢液は、pH2.39、比重1.006であった。また、水分は94.9質量%であり、有効成分である脂肪酸の濃度は8.25mg/dl、タンニン性ポリフェノールの濃度は23.9mg/dl、非タンニン性ポリフェノールの濃度は386.1mg/dl、カロチノイド系物質の濃度は0.93mg/dlであった。生体有害物質であるホルムアルデヒドの濃度は510ppm、メタノール0.19質量%であった。
<精製木酢液の製造>
1000ml用分液ロートに粗木酢液500ml入れ、ジエチルエーテルとn−ヘキサンを同体積量含む有機溶剤を300ml加え、粗木酢液を有機溶剤と接触させ、十分振とう混合した。混合時の水溶液相のpHは2.4であった。この工程により粗木酢液中に含まれていた有効成分を有機溶剤に移行させた後、15分間放置し、有効成分を含有する有機溶剤相と生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とした(第1接触工程)。有機溶剤相を分離回収し、残された水溶液相を再度分液ロートに入れて300mlのジエチルエーテルとn−ヘキサンを同体積量含む有機溶剤を加えて十分振とう混合し、先と同様に分離回収した。回収した有機溶剤相中に無水硫酸ナトリウムを5g加えて、有機溶剤相中に含まれる水分を脱水除去した(分離回収工程)。ここで、ガスクロマトグラフィー分析及び分光光度法によって、有効成分が有機溶剤相中に移行していることを確認した。その後、ロータリーエバポレータを用いて有機溶剤を蒸発させて、有効成分含有液1.7gを得た(蒸発工程)。
有効成分含有液1.7gが入った容器に、ツバキ油498.3gを添加し、この容器を加温器により60℃に加温しながら、ロータリーエバポレータを用いて50分間混合し、精製木酢液を得た(第2接触工程及び加温工程)。このようにして得られた精製木酢液は、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、臭いは殆ど感じられなかった。
(実施例2)
実施例1と同じ粗木酢液を用いて、実施例1と同じ方法により得られた有効成分含有液1.7gが入った容器に、ツバキ油249.2gを添加し、この容器を加温器により60℃に加温しながら、ロータリーエバポレータを用いて50分間混合し、精製木酢液を得た。このようにして得られた精製木酢液は、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、臭いは殆ど感じられなかった。
(実施例3)
実施例2で得た精製木酢液に対して、スクワラン249.2gを添加し、再度60℃に加温し、精製木酢液とスクワランを十分に混合させた。このようにして得られたスクワランを含有する精製木酢液も、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、臭いは殆ど感じられなかった。
(比較例1)
実施例1と同じ粗木酢液を用いて、実施例1と同じ方法により得られた有効成分含有液1.7gが入った容器に、スクワラン498.3gを添加し、この容器を加温器により60℃に加温しながら、ロータリーエバポレータを用いて50分間混合し、精製木酢液を得た。
こうして得られた精製木酢液は、浮遊物が生成し、十分に有効成分を精製木酢液中に溶解させることができなかった。一方、臭いは殆ど感じられなかった。
(比較例2)
実施例1と同じ粗木酢液を用いて、実施例1と同じ方法により得られた有効成分含有液1.7gが入った容器に、スクワラン483.3gを添加し、さらに、エーテル及びヘキサンの混合液(体積混合比1:1)15mlを添加した。この容器を加温器により60℃に加温しながら、ロータリーエバポレータを用いて50分間混合し、精製木酢液を得た。
ツバキ油を使用せず、有機溶剤であるエーテル及びヘキサンの混合液を使用してスクワランを溶解して得られた精製木酢液は、浮遊物や沈殿物は生成しなかったが、有機溶剤を起因とする不快臭がした。
<精製木酢液の化学的特性>
蒸発工程において得られた有効成分含有液を50%エタノール水溶液に溶解させた時の化学成分特性を表1、2に示した。
Figure 2006137834
Figure 2006137834
有効成分含有液中に含まれる化学成分の分析はガスクロマトグラフィー法にて実施するため、精製木酢液そのままの状態では分析不可能となる。そのため、50%エタノールに溶解したものを分析試料とした。分析試料には、実施例1の有効成分含有液の製造に使用した粗木酢液500mlから上記の第1接触工程及び分離回収工程と同じ工程によって回収された有機溶剤相を減圧により濃縮し、この濃縮物に50%エタノール水溶液を加えて500mlに定容したものを用いた。この分析試料に含まれる各種成分の濃度は、実施例1及び2で製造される精製木酢液と同じ質量濃度として示される。
表1で示される成分はほとんどが燻臭成分である。また、精製木酢液がもつ生理活性を示す化学成分は表2に示した。表2には示されていないが、有効成分含有液中にはカロチノイド系物質が含まれており、カロチノイド系物質の濃度は分光光度計による測定の結果、0.91〜0.95mg/dlであった。
(油溶解精製木酢液の抗菌作用)
実施例3(の精製木酢液の病原性微生物に対する抗菌作用を最小発育阻止濃度(MIC;Minimum Inhibitory Concentration)を測定することにより検討した。病原性微生物として、黄色ブドウ球菌、MRAS、緑膿菌、病原性大腸菌O−157及び白癬菌を用いた。表3に精製木酢液の最小発育阻止濃度を示す。精製木酢液は白癬菌(水虫の起因菌:Trichophyton mentagrophytes)に対して抗菌作用が一番強く、精製木酢液0.25質量%濃度で菌発育阻止効果が得られた。また、普遍的に存在する病原性微生物である黄色ブドウ球菌、緑膿菌などに対して、3〜4質量%の精製木酢液で菌の発育阻止効果が認められた。さらに食中毒の起因菌とされる病原性大腸菌O−157に対しても0.78質量%濃度の精製木酢液で菌の発育阻止効果が認められた。なお、精製木酢液の濃度調整のための希釈液には、ツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂を使用した。
Figure 2006137834
(精製木酢液の酸化防止作用)
実施例3の精製木酢液の酸化防止作用を、ロダン鉄法によって評価した。測定には、精製木酢液の濃度が0.34質量%である試料を用いた。また、ツバキ油とスクワランとを質量比で等量混合した油脂によって1質量%濃度に調整されたα−トロフェロール及び対照(コントロール)であるリノール酸の酸化防止効果と対比させて検討した。図1では、コントロールであるリノール酸の過酸化度を100%とし、精製木酢液及びα−トロフェノールの過酸化度を%で表した。数値が低いほど抗酸化作用が高いことを表す。
1質量%α−トロフェロール油脂は対照としたリノール酸の過酸化度とほぼ同じ値を示したのに対し、0.34質量%精製木酢液は1質量%α−トロフェロール油脂と比較し、濃度が低いにも関わらず、高い酸化防止効果が認められた。
上述したように、精製木酢液には菌の発育阻止効果および抗酸化作用が認められるため、加工食品に配合される原料として好適に利用することができることが分かった。
<精製木酢液の安全性>
精製木酢液を化粧品、抗菌剤、医薬品及び加工食品の原料として利用するために、以下のようにして精製木酢液の安全性を確認した。
(マウスを用いた急性経口特性試験)
OECD化学物質毒性指針(1987)に準拠し、マウスにおける実施例3の精製木酢液の急性経口毒性試験を実施した。その結果、精製木酢液投与後、14日間の観察期間中、死亡例はなく、剖検所見においても主要臓器に異常は認められなかった。また、体重、一般状態ともツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂を投与したマウスの対照群と差がなく、精製木酢液の安全性は経口投与量20mg/kg以上であることが認められた。
(ウサギを用いた皮膚1次刺激試験)
精製木酢液の皮膚に対する安全性を確認するため、Register(§163.August,1978)の試験方法に準拠し、実施例3の精製木酢液のウサギを用いた皮膚1次刺激の試験を実施した。用いたウサギは日本白色種雄ウサギの無傷及び有傷皮膚ウサギである。精製木酢液は24時間閉鎖貼布した。試験開始後24時間に2匹の有傷皮膚ウサギに、擦り傷に限局した紅斑および軽度の浮腫が見られたが、7日までにはすべて消失した。この結果により、ウサギを用いた皮膚1次刺激試験において、精製木酢液は「弱い刺激物」の範疇に入るものとされた。
(ウサギを用いた累積皮膚刺激性試験)
精製木酢液の皮膚に対する安全性を確認するため、MarzulliとMaibach(1975)の方法に準拠し、精製木酢液のウサギを用いた累積皮膚刺激性試験を実施した。累積皮膚刺激性試験においては、実施例3の精製木酢液を、ツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂で50質量%(有効成分含有液0.17質量%)に希釈したものを日本白色種ウサギ6匹の皮膚に1週間に5回、3週間にわたって開放適用した。一方、対照群に対してはツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂を用いた。その結果、いずれのウサギにおいても試験期間を通じて皮膚の刺激反応は認められなかった。このことから、精製木酢液はウサギにおいて、開放適用による皮膚1次性および累積性刺激がないものと評価された。
(モルモットを用いた光毒性試験)
精製木酢液の光毒性(光過敏性)試験を森川法に準拠して実施した。試験試料として、実施例3の精製木酢液、ツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂(陰性対照物質)、及び、ツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂に50μg/ml濃度になるように8−Methoxypsoralenを溶解させた油脂(陽性対照物質)をそれぞれ準備した。光毒性試験は、試験動物(モルモット)10匹に対し、上記試験試料をそれぞれモルモットに脊柱をはさんで塗布し、片側をアルミホイルで覆い(紫外線非照射側)、他方は開放の状態で紫外線を照射した(紫外線照射側)。そして、照射後24時間、48時間および72時間にそれぞれ皮膚の所見を観察した。その結果、紫外線照射、非照射側ともに精製木酢液を塗布した部位には紅斑、浮腫などの皮膚反応は見られなかった。また、紫外線照射、非照射側ともに陰性対照物質を塗布した部位にも紅斑、浮腫などの皮膚反応は見られなかった。一方、陽性対照物質の塗布部位においては紫外線照射側で軽度〜中度の紅斑、浮腫が認められた。このことから精製木酢液はモルモットにおいて光毒性(光過敏性)を有しないものと結論された。
(モルモットを用いたMaximization法による皮膚感作性試験)
精製木酢液の皮膚感作性試験をMaximization法に準拠し、モルモットを用いて実施した。感作誘導処置としてモルモット10匹にツバキ油及びスクワランを等質量混合した油脂で50質量%濃度に調整された実施例3の精製木酢液希釈液を皮内注射し、7日後に精製木酢液を48時間密閉塗布し、感作誘発試験をおこなった。そして、感作誘発試験開始から48時間後及び72時間後にモルモット皮膚の貼付部位を観察した。その結果、誘発後48時間、72時間の各観察時間においてモルモット皮膚の貼付部位にいずれのモルモットおいても紅斑、壊死、浮腫などの皮膚反応は観察されなかった。これらの事から油溶解精製木酢液はモルモットにおいて皮膚感作性を有しないものと結論された。
(モルモットを用いたAdjuvant−Strip法による光感作試験)
精製木酢液について、試料としてモルモットを用いてAdjuvant−Strip法による光感作試験を実施した。
実施例3の精製木酢液を用い、モルモット12匹のそれぞれに対し、紫外線照射する群と紫外線を照射しない(紫外線非照射)の群に対して、誘導操作を施行した。モルモットを電気剃刀で剃毛し、さらに3M−Blenderm手術用テープを用いて角質除去(Stripping)した部位に紫外線照射部、紫外線非照射部を設定し、精製木酢液、並びに精製木酢液をツバキ油とスクワランとを等質量混合した油脂で50質量%、30質量%濃度に調整したものを開放塗布した。その結果、紫外線照射群、非照射群ともに、いずれの濃度の誘発部位においても紅斑、浮腫などの皮膚反応は見られなかった。このことから、精製木酢液はモルモットに対して光感作性を有しないことが結論づけられた。
(細菌を用いた復帰突然変異試験)
精製木酢液に含まれる有効成分の安全性を確認するため、Escherichia coli WP2 uvrA株及びSalmonella typhimurium並びにTA系4菌株(TA100、TA98、TA1535、TA1537)を用いて復帰突然変異試験を行った。試験方法は厚生省薬務局薬審1第24号(平成元年9月11日)の変異原性試験法に従い、用量設定試験及び本試験を行った。
この試験では、指示菌、培養液への影響を防止するため、精製木酢液の製造工程で得られる有効成分含有液を用いた。なお、有効成分含有液は、第一種接触工程において有機溶剤として、ジエチルエーテルとn−ヘキサンとを同体積量含む有機溶剤を用い、その後分離回収工程及び蒸発工程を経て得た。このように製造した有効成分含有液に5ml程度の99.5%エタノールを加えて溶解し、精製水で100mlに調整したものを試料溶液とした。この試料溶液の一部を採取し、さらにジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて有効成分含有液の濃度が50mg/mlとなるように調整した。試験は有効成分含有液の濃度が0〜5000μg/plateになるように希釈した試料で行った。
また、陰性対照と陽性対照の2群について実施し、陽性対照には復帰突然変異を誘発するAF−2、ENNG、9−AA及び2−AAの陽性対照物質を添加した。一方、陰性対照には陽性対照物質は添加しなかった。
その結果、Escherichia coli WP2 uvrA株及びSalmonella typhimurium並びにTA系4菌株(TA100、TA98、TA1535、TA1537)いずれの菌株においても有効成分含有液は313〜5000μg/plateの間であり、陰性対照に比較して増加しなかった。また、菌の育成阻害も認められなかった。一方、陽性対照はいずれの菌株においても陰性対照の2倍以上の復帰突然変異コロニーを誘発した。
以上のことから精製木酢液に含まれる有効成分は、突然変異誘起が陰性であると結論された。
(ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験)
精製木酢液に含まれる有効成分の安全性を確認するため、具体的には培養細胞に対する染色体異常誘発性を調べるため、「新規化学物質に係る試験の方法について」の一部改正等についてスクリーニング毒性試験法の制定(昭和61年12月5日環保業第700号薬発1039号、61基局第1014号)別添III2、及びほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験に準拠してチャイニーズ・ハムスター肺腺維芽細胞(CHL/1U)を用いて試験を行った。
この試験では精製木酢液の製造工程で得られる有効成分含有液を用いた。なお、有効成分含有液は、第一種接触工程において有機溶剤として、ジエチルエーテルとn−ヘキサンとを同体積量含む有機溶剤を用い、その後分離回収工程及び蒸発工程を経て得た。このように製造した有効成分含有液に50%グリセリン水溶液を用いて調整された試料を注射用水(日本薬局方)にて55mg/mlの試験原液を調整した。この試料原液を生理食塩液により順次希釈し、0.313〜5mg/mlに調整したものを試験液とした。
試験液について染色体異常試験は短時間処理法、連続処理処理法を用いて細胞増殖抑制試験、染色体異常誘発新試験行った。細胞増殖抑制試験の場合、短時間処理法は、単層に増殖したCHL/1U細胞を剥離し、細胞浮遊液を調整した。シャーレにこの浮遊液を入れ、37℃、5%COインキュベーター中で培養した。3日後に新しい培養液と交換し、上述の整理食塩液で調整した試料液を添加した。陰性対照は生理食塩液を添加した。インキュベーター中で6時間培養後、新しい培養液と交換し、更に18時間培養後、培養液を捨て、10%中性リン酸緩衝ホルマリン液で固定し、クリスタルバイオレット溶液で染色した。これをモノセレーターで陰性対照の増殖率を100%ととして各濃度の増殖率を求めた。
連続処理法は、短時間処理法と同様に細胞を播種し、培養した。3日後に試験液を添加した。陰性対照は生理食塩液を添加した。インキュベーター中で24時間及び48時間培養後、短時間処理法と同様に固定、染色後モノセレータ−で増殖率を測定した。
染色体異常誘発試験の場合、短時間処理法は、細胞増殖抑制試験の短時間処理法と同様に細胞を播種し、培養した。3日後に新しい培養液と交換し、生理食塩液で調整した試験液、陰性対照の添加を行った。陰性対照のBenzo[a]pyrene、N−ethyl−N’−nitro−N−nitrosoguanideneを添加した。37℃、5%インキュベーター中で6時間培養後、新しい培養液と交換して更に18時間培養し、染色体標本を作製した。
連続処理法は細胞増殖抑制試験の短時間処理法と同様に細胞を播種し、培養した。3日後に生理食塩液で調整した試験液、陰性対照の添加を行った。また、陽性対照はENNGを添加した。インキュベーター中で24時間及び38時間培養後、染色体標本を作製した。
標本の観察はブランド法にて行った。染色体の構造異常は染色体型、染色分体型ともに切断、交換に分類し、断片化や多発異常として記載した。ギャップの判定基準は染色体断片が染色体あるいは染色分体の長軸の延長上に存在し、且つ断片部分の幅が染色分体幅前後のものとした。染色体の数的以上は倍数性について記載した。
結果の判定は、異常細胞の出現率が5%未満の場合は陰性、5%以上10%未満の場合は疑陽性、10%以上の場合は陽性とした。
その結果、生理食塩液で調整された有効成分含有液の試験液は、細胞増殖抑制試験、染色体異常誘発試験では、短時間処理法及び連処理法ともに構造異常あるいは倍数体の出現率は4.5%以下であった。陽性対照は染色体誘発性を示した。陰性対照では異常細胞の出現率は4.0%以下であった。このことから精製木酢液に含まれる有効成分は染色体異常誘発性が陰性であると結論づけられた。
(ウサギを用いた眼刺激試験)
精製木酢液の眼に対する安全性を確認するため、Federal Register(§163.August、1978)に準拠し、実施例2の精製木酢液について、ウサギを用いて眼刺激性試験をおこなった。その結果、精製木酢液は、ウサギを用いた眼刺激性試験において無刺激物の範囲に入るものと認められた。
(精製木酢液を含有する外用剤の皮膚認容試験及び光貼付試験)
精製木酢液の皮膚に対する安全性を確認するため、精製木酢液を含有する外用剤の皮膚認容試験及び光貼付試験を行った。精製木酢液を含有する外用剤の皮膚認容試験は、実施例3の精製木酢液をそれぞれ5質量%、1質量%濃度に含む白色ワセリンを、フィンチャンバーを用いて健常人被験者の背部に貼付し、48時間、72時間後にICDRG(International Contact Dermatitis Research Group)基準に基づいて評価判定を行った。光貼付試験は、精製木酢液を5質量%、1質量%濃度で含有する白色ワセリンをフィンチャンバーを用いて健常人被験者の背部に貼付し、24時間後にICDRG基準に基づいて測定し、異常がないことを確認したうえで、30分後に波長紫外線(3J/cm)を照射し、照射30分後、24時間後、48時間後に異常がないかを測定した。皮膚認容試験、光貼付試験とも被験者は20歳以上の健常人で男性25名(平均年齢31.0±6.3歳)、女性25名(平均年齢32.3±9.1歳)の計50名であった。その結果、油溶解精製木酢液を含有する外用剤の皮膚認容試験、光貼付試験ともに全例で異常は認められず、その安全性が確認された。
(実施例3)
実施例3の精製木酢液1質量部、オリーブ油20質量部、カミツレ油8質量部、及びハッカ油、ローズマリー油を混合し、オイルエッセンス美容液を製造した。混合はホモミキサーを用いて50分間混合攪拌し、温度条件は60℃とした。
このようにして得られたオイルエッセンス美容液は、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、不快臭は全く感じられなかった。
(実施例4)
実施例3の精製木酢液1質量部とステアリン酸1.16質量部、ステアリン酸亜鉛3.72質量部、POE(25)セチルアルコールエーテル0.35質量部、スクワラン1.16質量部、モノステアリン酸グリセリン0.53質量部、精製水23.56質量部及び水酸化カリウム0.09質量部を混合し、クリーム状の抗菌剤を製造した。混合はホモミキサーを用いて180分間行い、温度条件は80℃とした。
このようにして得られたクリーム状の抗菌剤は、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、不快臭は全く感じられなかった。
(実施例5)
実施例3の精製木酢液1質量部、スクワラン2.0質量部、ステアリン酸亜鉛4.0質量部、POE(25)セチルアルコールエーテル0.4質量部、モノステアリン酸グリセリン0.5質量部、精製水17.0質量部及び水酸化カリウム0.1質量部、並びにハッカ油、ローズマリー油を混合し、皮膚のキズ修復用軟膏を製造した。混合はホモミキサーを用いて180分間行い、温度条件は80〜85℃とした。
このようにして得られた皮膚のキズ修復用軟膏は、浮遊物や沈殿物を生成することなく、また、不快臭は全く感じられなかった。
(実施例6)
実施例3の精製木酢液を用いてバターロールパンを製造した。精製木酢液1質量部、硬質小麦をひいた強力粉65質量部、バター10質量部、砂糖小さじ2杯、インスタントドライイースト小さじ1.5杯、塩小さじ0.5杯、卵1個、及び牛乳を材料とし、ボウル内で十分にこね、40℃にてオーブン発酵を40分行った。ガス抜きをし、40℃にてオーブン発酵を更に20分行った。このようにして得られたパン生地をロールパンの形状に成形後、180℃のオーブンで12分間焼いてバターロールを製造した。
このようにして得られたバターロールは、固形物や精製木酢液が分離析出することはなかった。また、不快臭は全く感じられなかった。精製木酢液を配合することにより、精製木酢液を配合しない場合と比較すると、日持ちするバターロールを製造することができ、風味の変質も防止することができた。また、通常食パンにはカビが発生しやすいが、食パンに精製木酢液を配合することによりカビの発生の防止が期待できる。
本発明にかかる精製木酢液の抗酸化作用を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 有効成分及び生体有害物質を少なくとも含有する粗木酢液を有機溶剤と接触させて前記有効成分を前記有機溶剤に移行させ、前記有効成分を含有する有機溶剤相と前記生体有害物質が残存する水溶液相の二相状態とする第1接触工程と、
    前記有機溶剤相を分離して回収する分離回収工程と、
    前記有機溶剤相から前記有機溶剤を蒸発させて、前記有効成分を含有する有効成分含有液を得る蒸発工程とを含む精製木酢液の製造方法において、
    前記有効成分含有液をツバキ油と接触させて混合液を得る第2接触工程と、
    前記混合液を加温する加温工程と、
    を含むことを特徴とする精製木酢液の製造方法。
  2. 前記加温工程において、前記混合液を37〜60℃の温度で加温する請求項1に記載の精製木酢液の製造方法。
  3. 前記蒸発工程と前記第2接触工程との間に、前記有効成分含有液を脱水する脱水工程を更に含む請求項1又は2に記載の精製木酢液の製造方法。
  4. 前記有効成分が、カロチノイド系物質及びポリフェノールを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の精製木酢液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の精製木酢液の製造方法により製造される精製木酢液。
  6. 請求項5に記載の精製木酢液中の前記有効成分を含むことを特徴とする化粧品。
  7. 請求項5に記載の精製木酢液中の前記有効成分を含むことを特徴とする抗菌剤。
  8. 請求項5に記載の精製木酢液中の前記有効成分を含むことを特徴とする医薬品。
  9. 請求項5に記載の精製木酢液中の前記有効成分を含むことを特徴とする加工食品。
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JP2012006890A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Kanagawa Univ 化粧料及び化粧料製造用原料

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