JP2006136649A - 熱融着性の歯科用接着材 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アルキル基炭素数5以上の長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)およびアルキル基炭素数1〜4の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a2)を含有する不飽和二重結合を有する化合物を共重合してなる共重合体(a)を含有する歯科用接着材で
あり、該共重合体のガラス転移温度が−35℃〜35℃、重量平均分子量が20000〜200000、かつ、融点が40〜60℃の範囲内にある熱融着性の歯科用接着材にある。
【効果】
本発明の歯科用接着材に含有される共重合体(a)は、融点が40〜60℃の範囲内にあ
り、溶融状態で接着を行うことにより、容易にアバットメントと上部構造体などとを合着させることができる。
【選択図】 なし
Description
上記固定方式の内、歯科用セメント合着方式は、審美性に優れると共に、アバットメントと上部構造物とを強固に合着することができることから、近時、その需要が増大しつつある。
いずれにしても従来からアバットメントに上部構造物を固定するために使用されていた合着用セメントは、アバットメントと上部構造物と高い接着強度で長期間にわたり合着さ
せるものであるか、あるいは、上部構造物の分離を想定するものであり、両者を高い強度で接着する必要があるが場合によっては容易に剥離することがあるというアバットメントと上部構造物との使用形態には対応していない。
さらに詳しくは本発明は、例えば歯科用インプラントにおけるアバットメントと上部構造物とを接着することができ、しかも必要により、上部構造物を分離する場合にはアバットメントおよび上部構造物などに損傷を与えることなく分離することができる歯科用接着材を提供することを目的としている。
あり、該共重合体のガラス転移温度が−35℃〜35℃、重量平均分子量が20000〜200000、かつ、融点が40〜60℃の範囲内にある熱融着性の歯科用接着材にある。
いはチタンカップリング剤を用いた接着材のように反応性モノマーを口腔内に入れることなく接着を行うことができるので、生体に対する安全性がより高い。
本発明の歯科用接着材は、共重合体(a)から形成されており、この共重合体(a)は、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)および短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a2)を含有する不飽和二重結合を有する化合物(a)の共重合体である。
体(a1)は、炭素数が5以上、好ましくは8〜20、さらに好ましくは8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。この長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)を形成するアルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。なお、化合物(a1)においけるアルキル鎖の炭素数上限は、当該構造の単量体の製造上の限界によるものであり、発明の効果においては特に上限は認められるものではない。
メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート
、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。この短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a2)を形成するアルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
量を選定することができるが、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)と、短鎖アルキルメタクリレート単量体(a2)とを、通常は10:90〜90:10、好ましくは15:85〜85:15、さらに好ましくは20:80〜80:20の範囲内の重量比で共重
合させることができる。長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)と、短鎖アルキルメタクリレート単量体(a2)との共重合比が、上記の数値範囲を外れると接着時における余剰共重合体の除去が困難になりやすく、また、得られた共重合体を適正な温度で溶融することができにくくなり接着材の塗設操作ができにくくなる傾向がある。
量体(a1)と短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a2)との共重合体であるが、この共重合体にはさらに、他の単量体成分、例えば以下に示すような化合物(b)あるいは化合物(c)が共重合していてもよい。即ち、本発明の歯科用接着材を構成する共重合体には、上記のようなアルキル(メタ)アクリレート系の化合物(a)の他に、酸性基含有化合物である化
合物(b)、金属に対して接合力を発現可能な化合物(c)などが共重合していてもよい。
こで化合物(b)が有する酸性基の例としては、カルボキシル基およびその酸無水基、リン
酸基、チオリン酸基、スルホン酸基並びにスルフィン酸基を挙げることができる。
属などとの接着強度が高くなる。
本発明において、酸性基を有する化合物(b)として使用される分子中にカルボキシル基
またはその酸無水物基を有する単官能重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびポリカルボン酸またはそれらの無水物を挙げることができる。
ビニル安息香酸等のようなビニル芳香環類が付加したカルボン酸;11-(メタ)アクリロイ
ルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)等のような(メタ)アクリロイルオキシ
基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸;1,4-ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸および6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸等のような芳香環を有するカルボン酸;4-(メタ)アクリロイルオキシ
メチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、並びに、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物等のような4-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸およびその無水物;4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ)ブチルトリメリット酸およびそ
の無水物等のようにアルキル鎖に水酸基等の親水基を有するカルボン酸およびその無水物;2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のよ
うなカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシ
チロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシチロシ
ン、N-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン等のようなN-および/またはO-モノまたはジ(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸;N−(メタ)アクリロイル-4-アミノ安息香酸およびN-(メタ)アクリロイル-5-アミノ安息香酸等のようなN-(メタ)アクリロイルアミノ安息香酸;2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4または5−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸
二無水物の付加生成物(PMDM)、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;2-(3,4-ジカルボキシベン
ゾイルオキシ)-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン等のようなポリカルボキシベンゾイルオキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物;N-フェニルグリシ
ンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物;4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸;3または4-[N-メチル-N-(2-
ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。特に本発明では、これらのうち、11-メタクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)および4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)またはその無水物(4-META)が
好ましく用いられる。
の水酸基がリン原子に結合している基および水中で容易に水酸基に変換し得る官能基を有する化合物であり、水酸基を1個または2個を有するリン酸エステル基を有する重合性単量体が好ましい。
は3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等のような2つ以上の(メ
タ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メト
キシフェニルアシドホスフェート等のような(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とはフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェートなどを挙げることができ、さらにこれらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も挙げることができる。
に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体の例としては、2-スルホエチル(
メタ)アクリレート、2-または1-スルホ-1-または2-プロピル(メタ)アクリレート、1-または3-スルホ-2-ブチル(メタ)アクリレート等のようなスルホアルキル(メタ)アクリレー
ト;3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート等のような前記のアルキル部にハロゲン原子あるいは酸素原子などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;さらには、1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等のような前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物などを挙げることができる。
能で分子内に酸性基を有する単量体であれば化合物(b)として使用することができる。
本発明において、共重合体(a)を構成する単量体全量(化合物(a)+化合物(b)=100
重量%とした場合)のうち、化合物(b)は、好ましくは0.1〜15%、より好ましくは
0.2〜10%、さらに好ましくは0.5〜8%の範囲内の量で使用される。化合物(b)
の共重合量が、0.1%を下回ると金属接着性を向上させることが実質上不可能になることがあり、15%を上回ると金属接着強さが大きくなり、上部構造の取り外しが事実上困難となることがある。
限りにおいて、金属とのさらなる接着性能向上を目的に、重合体(a)の構成成分である化
合物(c)として、11-メタアクリロイルオキシウンデシルチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジ
アゾールに代表されるラジカル重合性メルカプトチアジアゾール誘導体、6-(4-ビニルベ
ンジル-n-プロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールに代表されるラジカル重合性含硫黄トリアジン誘導体等を含有させることができる。
り好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
共重合体(a)の製造法としては、生体への安全性が確保される限りにおいて、特に制限
はなく、従来公知の方法で製造することができる。具体的には有機溶剤、ラジカル重合開始剤、単量体を反応器内で撹拌しながら加熱し、重合させた後に、有機溶媒を留去するもしくは反応液を貧溶媒中に投下し、重合体を析出させる方法などにより製造することができる。重合温度は一般的に20〜200℃、多くの場合、40〜150℃の範囲内に設定される。
製造方法によって限定されるものではない。即ち、構造が同じであれば共重合体の製造方法の相違は、発明の効果に何ら差違を与えないものである。
5℃にあることが必要であり、さらに−25〜25℃の範囲内にあることが好ましく、−15〜20℃の範囲内にあることが特に好ましい。
ることができる他、化合物(a1)および化合物(a2)など、本発明の共重合体(a)を構成する
成分を用いた単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移温度(Tg)からFoxの式などから
求めることができる。
それらの共重合量を変えることにより、上記記載の範囲内に調整することができる。
本発明の歯科用接着材を構成する共重合体(a)のガラス転移温度(Tg)が、−35℃を
下回ると、アバットメントに接着材を用いて上部構造物を接合しても、通常の飲食により上部構造物の脱落あるいは上部構造物の動揺が起こる。さらに、操作時に余剰樹脂により上部構造物からはみ出した場合に、この余剰樹脂の除去が難しくなる。また35℃を超えると溶融時に歯科用接着材の術部へのなじみが悪くなる。
とが必要であり、さらに40〜58℃の範囲内にあることが好ましく、42〜55℃の範囲にあることが特に好ましい。
あるいは加温して溶融状態にし、この溶融状態の歯科用接着材をアバットメントあるいは上部構造物の接着面に塗設して両者を接合させる。こうして接合した後、本発明の歯科用接着材が共重合体(a)の融点以下の温度にまで冷却されると、歯科用接着材の流動性は喪
失し、アバットメントと上部構造体とは、本発明の歯科用接着材により適度に接着した状
態になる。そして、アバットメントと上部構造物との接着状態は、高い状態で一定に保たれる。他方、アバットメントから上部構造物を分離する場合には、常温で分離することができる。
飲食の際による熱によっては到達することが難しい40℃、好ましくは42℃に設定される。これよりも低い融点を有する共重合体を用いたのでは、通常の飲食により本発明の歯科用接着材が溶融状態になり、安定した接着強度を得ることはできない。他方、本発明の歯科用接着材中に含有される共重合体(a)の融点の上限値は、本発明の歯科用接着材を使
用する際の操作性に寄与する。即ち、本発明の歯科用接着材を使用する際には、加熱或いは加温して含有される共重合体(a)を溶融状態にする必要があるが、本発明の歯科用接着
剤は、口腔内で使用することから、術者の手指および患者の術部周囲に熱傷をもたらす可能性がある範囲にすることはできない。熱による蛋白質に熱変性が生じ始める温度の下限値はおよそ60℃であり、従って、本発明で使用される共重合体(a)の融点の上限値は6
0℃、好ましくは58℃、好ましくは55℃である。
ましくは40〜58℃、特に好ましくは42〜55℃の範囲内に融点があり、この融点以上の温度で本発明の歯科用接着材が接着剤として良好な粘稠な液体状態を維持できるものを使用する。このような融点の共重合体(a)を使用することにより、通常の飲食によって
上部構造物の脱落あるいは動揺が生ずることがなく、また、通常の飲食によって本発明の歯科用接着材が口腔内に流れ出すこともない。さらに上部構造物を接着する際に接着剤を余剰に使用した場合であっても、余剰になった接着剤が口腔内に漏出しても、口腔内の温度では固体の状態になるので、この余剰の接着剤を口腔内から除去することが容易になる。
さらに、本発明の歯科用接着材に含有される共重合体(a)の重量平均分子量は、200
00〜200000の範囲内にあることが必要になり、さらに30000〜150000の範囲内にあることが好ましく、33000〜130000の範囲内にあることが特に好ましい。共重合体(a)の重量平均分子量が、20000に満たないと溶融時の粘度が小さ
く、また、200000を超えると溶融時の粘度が高くなり、いずれの場合のおいても、口腔の細部にまで本発明の歯科用接着材を供給することが著しく困難となるためである。
とが好ましい。即ち、口腔細菌の増殖は唾液を媒介していると考えられ、吸水性の高い共重合体を用いたのでは口内細菌が共重合体上で増殖する可能性が高くなる。従って、本発明で使用する共重合体(a)は実質的に吸水性を有していない樹脂であることが望ましい。
は、いずれも共重合体(a)を構成する成分単位を単量体換算にして算出したものとする。
例えば、単量体(a1)の重量比率R(a1)は、単量体(a1)の総重量W(a1)と全単量体総量(例えば、単量体(a1)の総重量W(a1)+単量体(a2)の総重量W(a2)+単量体(b)の総重量W(b)との比より求められる。即ち、この場合、
R(a1)=W(a1)/{W(a1)+W(a2)+W(b)}×100
である。
例を挙げれば、単量体(a1)で有り、かつ、単量体(b)であるという単量体(a1b)もあ
り得る。この場合、例えば、単量体(a1)の長鎖アルキル鎖の末端などに単量体(b)の酸性基があるような単量体である。この例では、単量体(a1b)の総重量W(a1b)は、単量体(a1)の総重量W(a1)にも数え入れ、単量体(b)の総重量W(b)にも数え入れて、重量比率R(a1)やR(b)を計算することとする。即ち、
R(a1)={W(a1)+W(a1b)}/{W(a1)+W(a2)+W(b)+W(a1b)}×100
R(b)={W(b)+W(a1b)}/{W(a1)+W(a2)+W(b)+W(a1b)}×100
として、計算するものである。他の場合(例えば、単量体(a2b)がある例など)も同様とする。なお、このように単量体の2種類以上の性質を兼ね備えている単量体が存在す
る場合は、計算上、重量比率の全合計が1(100%)を超えることもある。
0.1〜15%、より好ましくは0.2〜10%、さらに好ましくは0.5〜8%の範囲内にあり、さらに化合物(c)については、好ましくは0.0001〜20%、より好まし
くは0.001〜15%、さらに好ましくは0.001〜10%の範囲内にある。
ン、ヘキサン等の有機溶媒、フルオロセイン等に代表される色素類、チタンホワイト等に代表される顔料類などを有していても良い。ただし、本発明の歯科用接着材中の共重合体(a)の含有量は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは
80%以上である。
以上の温度に加熱あるいは加温した場合には、通常は0MPa程度、好ましくは0〜0.1MPaに低下する。このような接着強度の変動は、共重合体(a)の状態が、温度により、固体
状態と、粘稠な液体状態との間で変動することから生ずる。
本発明の歯科用接着材は、共重合体(a)の1成分であるため混練などの必要がなく、ニ
ードルチップ付きシリンジあるいはチューブ型容器内などに充填して使用することができる。このようにシリンジあるいはチューブ型容器に充填された本発明歯科用接着材を使用するに際しては、この容器内に充填されている歯科用接着材中の共重合体(a)の融点以上
に加熱あるいは加温して、本発明の接着材組成物を直接絞り出し可能な粘稠液体にした後、この容器から絞り出して使用とする。
の接着面に適量を直接塗布した直後に口腔内にセットする方法を例示することができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<歯科用インプラント用接着材の製造例>
撹拌装置、温度計、コンデンサ、窒素ガス導入管、モノマー導入口を取り付けたガラス製反応容器内にトルエン560gを仕込み、反応容器内を窒素気流下、98℃まで昇温した。これに表1に示す通りモノマー700gとパーブチル-O(商品名、日本油脂(株)製;t-ブチル-パーオキシ-2-エチルヘキサノエート)との混合物を5時間かけて導入、1時間熟成の後、さらにパーブチル-Oを添加し、さらに1時間温度を保持した。冷却後、溶媒を留去、乾燥し、それぞれにつきMwを測定した。また、Tg、Tmを測定した。得られたポリマーを内容量1.5mlのポリプロピレン製シリンジ(商品名:メタフィルフロー用シ
リンジ,サンメディカル(株)製)に1gずつ分注し、70℃水浴中で加熱して溶融ポリマーより気泡を抜き、添付のフタで密栓し、歯科用インプラント用接着材とした。
<操作性試験>
上述の歯科用インプラント用接着材が封入されたシリンジのフタをはずし、添付のニードルを取り付けた状態で98℃水浴中において15分間加熱したのち、70℃で30分以上保管した。水浴から取り出した歯科用接着材を即座に37℃、100%湿潤条件に放置したチタン((株)モリタ製歯科用純チタン)平板に絞り出した。絞り出すことが可能であり、かつ、絞り出した際に糸引きがなかったものを◎、絞り出した際に糸引きがあったものを△、絞り出しが不可能だったものを×として評価した。
<バリとり試験>
上述の操作性試験で◎としたものに関して、以下のように評価した。直径6mm、高さ20mmの円柱状のJIS3種純チタン((株)モリタ製歯科用純チタン)の底面を#600シリコンカーバイド紙(三共理化学(株)製)で平滑に研磨した後、歯科用アルミナサンドブラスト処理し、残存アルミナ粒子を洗浄、乾燥させた。さらに1.2cm角平板の歯科用純チタンあるいは歯科用金銀パラジウム合金(ジーシー社製キャストウェルMC12)の表面を、同様に#600シリコンカーバイド紙で研磨の後、歯科用アルミナサンドブラスト処理し、残存アルミナ粒子を洗浄後、37℃、100%湿潤条件に放置した。一方、前述の歯科用接着材は98℃水浴中において15分間加熱したのち70℃で30分間以上保管し、シリンジ内で溶融させた。前記のサンドブラスト処理したチタン円柱および歯科用純チタンあるいは歯科用金銀パラジウム合金の平板表面を歯科用エアーシリンジにて表面の水分を取り除いた後に歯科用インプラント用接着材111mg/cm2にてそれぞれ塗布
、直後に両者を圧接した。37℃、100%湿潤条件で5分間経過後に、余剰の歯科用インプラント用接着材を歯科用探針(ワイディーエム社製)で除去した。接着材が硬化し、バリ取りが容易であったものを◎、接着材が硬化せずに余剰接着材が金属よりはみだしたまま残存したものを×と評価した。
<引っ張り接着試験>
上述のバリ取り試験において圧接した金属を37℃、100%湿潤条件下でさらにさらに2時間および4週間放置した。放置後、精密万能試験機((株)島津製作所製オートグラフAGS−1000D)を用い、クロスヘッドスピード2mm/minで接着強度を試験し
た。各接着強度は5個の試験片の測定値の平均値で示した。2時間の放置によって、口腔内における上部構造セット直後の接着を、4週間の放置によって、口腔内でセットした上部構造の接着安定性(口腔内での脱落が不意に起こらない)を評価することが可能となるとともに、アバットメントと上部構造と間のシール性の評価も可能となる。
<歯科用インプラント用接着材の評価(アバットメントから上部構造の取り外し試験)>
上述の操作性試験で◎としたものに関して、以下のように評価した。純チタン製アバットメント(ジーシー社製;直径4.4mmコニカルアバットメント)と適合する上部構造として、通法に従って、金銀パラジウム合金(ジーシー社製キャストウェルMC12)を用いてメタルフレームを作製し、硬質レジン(サンメディカル(株)製ニューメタカラーインフィス)を築盛した、下顎右側6番の前装冠を作製した。作製した前装冠の内部を歯科用アルミナサンドブラスト処理し、残存アルミナ粒子を洗浄後、37℃、100%湿潤条件で放置した。一方、前述の歯科用インプラント用接着材を98℃の水浴中で15分間加熱し、70℃の水浴中で30分以上保管、シリンジ内で溶融させた。アバットメント表面および前装冠の内部を歯科用エアーシリンジにて表面の水分を取り除き、歯科用接着材10mgずつを塗布し、接着させた後に、37℃、100%湿潤条件で4週間放置した。放置後、アバットメントを万力で固定し、抜歯用鉗子を用いてアバットメントから前装冠を取り外した。この際、非常に容易に取り外せたものを◎、容易に取り外せたものを○、取り外しができなかったものを×と評価した。これにより、アバットメントと上部構造の接着が取り外し可能かを評価することができる。
〔比較例1〕
製造例3で得た歯科用インプラント用接着材を用い、上述した操作性評価試験、バリ取り試験、ひっぱり接着試験、上部構造の取り外し試験を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
製造例4で得た歯科用インプラント用接着材を用い、上述した操作性評価試験、ひっぱり接着試験、上部構造の取り外し試験を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
製造例5で得た歯科用インプラント用接着材を用い、上述した操作性評価試験、バリ取り試験、ひっぱり接着試験、上部構造の取り外し試験を行った。結果を表2に示す。
の段階では溶融状態にして接着させ、被接着物を使用する際には、上記共重合体(a)が溶
融に至ることのない条件で使用するので、強固に接着された被接着物が脱落することがない。また、上記のように通常の使用状態では、良好な接着強さを有する本発明の歯科用接着剤の接着強さは、過度に高くないので、被接着物を分離しようとする場合に、被接着物に損傷を与えることなく常温での分離が可能である。
Claims (10)
- アルキル基炭素数5以上の長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)およびアルキル基炭素数1〜4の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a2)を含有する不飽和二重結合を有する化合物を共重合してなる共重合体(a)を含有する歯科用接着材であり、該共
重合体のガラス転移温度が−35℃〜35℃、重量平均分子量が20000〜200000、かつ、融点が40〜60℃の範囲内にある熱融着性の歯科用接着材。 - 前記共重合体(a)が、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(a1)と前記短鎖アルキ
ル(メタ)アクリレート単量体(a2)とが、90:10〜90:10の範囲内の重量比で共重合していることを特徴とする請求項1に記載の熱融着性の歯科用接着材。 - 前記共重合体(a)が、さらに、酸性基および不飽和二重結合を同一分子内に有する化合
物(b)が共重合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱融着性の歯科用接
着材。 - 前記共重合体(a)中(100重量部)における、酸性基および不飽和二重結合を同一分
子内に有する化合物(b)の共重合量が、0.1〜10重量部の範囲内にあることを特徴と
する請求項3に記載の熱融着性の歯科用接着材。 - 前記歯科用接着材を歯科用金属に熱融着したときの、該歯科用金属に対する引っ張り接着強さが、0.1〜5MPaの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材。
- 前記歯科用接着材が、含有される共重合体(a)の融点以上の温度で、熱融着可能な粘調
状態が発現するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材。 - 請求項1〜6のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材よりなることを特徴とする歯科用金属用接着材。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材よりなることを特徴とする歯科用インプラント固定用接着材。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材よりなることを特徴とする歯科用充填物用接着材。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の熱融着性の歯科用接着材よりなることを特徴とする義歯用接着材。
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