JP2006136220A - 移植機 - Google Patents

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Abstract

【課題】植付部を稼働させた状態のままで植付部の位置を上昇可能とする。
【解決手段】圃場に苗を植え付ける植付部18と、植付部18への動力伝達を入/切する植付クラッチ45と、植付クラッチ45を作動させる植付クラッチレバー29を有するクラッチ操作部23と、少なくとも植付部18を上下動させる昇降手段27とを機体11に備え、植付クラッチレバー29を操作して植付クラッチ45が入状態となるのに連動して昇降手段27が作動し植付部18を降下させる構成としている移植機10において、植付クラッチ45の入状態時に植付クラッチ45と昇降手段27との連動を遮断すると共に昇降手段27を強制的に作動させて植付部8を上昇させる独立昇降操作レバー30を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、移植機に関し、詳しくは、移植機において油圧装置等により昇降動作してポジションコントロールを行うための機構を改良するものである。
従来、移植機ではレバー操作により油圧装置で機体を昇降可能としており、圃場への植付作業時には機体を降下させて植付部を地表から一定高さで維持するようにしている。
特開昭61−162110号公報に開示された田植機では、図10に示すように、植付部5を昇降させる油圧装置1と、植付部5の植付クラッチ4とをレバー2一本で操作可能としている。例えば、レバー2を前方回動させると、昇降ワイヤ3が弛緩し、スプリングの張力によって油圧装置1が作動して植付部5が降下し、植付クラッチ4が入って植付作業が開始される。一方、レバー2を後方回動させると、植付クラッチ4が切れると共に油圧装置1が作動して植付部5が上昇する。
即ち、油圧装置1と植付クラッチ4の夫々の動作が一本のレバー2操作に連動しており、レバー2を前方回動して植付クラッチ4を入れて植付動作を開始させると、必ず植付部5を降下させるように油圧装置1が作動する構造となっている。
このように、従来の移植機では、植付クラッチを入れて圃場への植え付けを行う作業と、植付部を降下させることとは一体の動作として認識されているのが通常であり、一本のレバー操作に連動させることでユーザの操作負担を軽減している。
しかしながら、植付クラッチ4を入れて植付部5を稼働させた状態でメンテナンス等を行いたい場合には、植付部5が地表近くに降下しているため、作業者が機体下部に潜り込んで植付部5などの調整作業を行うことは難しく、メンテナンスの作業性が悪いという問題がある。よって、植付部5を稼働させた状態のままで植付部5の位置を上昇させるポジションコントロールが可能な機構を開発することが望まれる。
特開昭61−162110号公報
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、植付部を稼働させた状態のままで植付部の位置を上昇させることのできる移植機を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、圃場に苗を植え付ける植付部と、
前記植付部への動力伝達を入/切する植付クラッチと、
前記植付クラッチを作動させる植付クラッチレバーを有するクラッチ操作部と、
少なくとも前記植付部を上下動させる昇降手段とを機体に備え、
前記植付クラッチレバーによる前記植付クラッチの入操作に連動して前記昇降手段が作動し前記植付部を降下させる構成としている移植機において、
前記植付クラッチの入状態時に前記植付クラッチと前記昇降手段との連動を遮断すると共に前記昇降手段を強制的に作動させて前記植付部を上昇させる独立昇降操作手段を備えていることを特徴とする移植機を提供している。
前記構成とすると、植付クラッチレバーの操作により植付クラッチが入状態となっている場合であっても、独立昇降操作手段を用いることで昇降手段を強制的に上昇させることができる。よって、植付クラッチを入れて植付部を稼働させた状態でメンテナンスを行いたい場合であっても、植付部を地表から離した状態で作業者が機体下部に潜り込んで植付部などの調整作業を行うことも可能となる。
前記機体は、前記植付部を取り付ける第一フレームと、車輪に連繋される第二フレームとを備え、
前記第一フレームと前記第二フレームとの間に油圧装置からなる前記昇降手段を介設し、該昇降手段により前記第一フレームに対して前記第二フレームを近接/離反させることで前記植付部を昇降させる構成としていることが好ましい。
即ち、植付部は第一フレームに固定しておき、車輪に対して第一フレームを昇降することで植付部の地表からの高さを変える構成としている。このように、機体を全体として昇降させることで、機体全体の上昇時に機体下部に空間を大きく確保することができるので、メンテナンス作業性がより一層向上する。
具体的には、前記クラッチ操作部は、第一回転軸と、該第一回転軸に回転自在に嵌合される第二回転軸とを備え、
前記第一回転軸には、前記昇降手段との間に張設される昇降ワイヤを接続していると共に前記植付クラッチレバーの動作軌跡上に配置される押当部を突出し、
前記第二回転軸には、前記植付クラッチとの間に張設される植付ワイヤを接続していると共に前記植付クラッチレバーを固定し、
前記植付クラッチレバーにより前記押当部を傾動させることで前記第一回転軸を回転させ、前記昇降ワイヤを介して前記昇降手段を作動させる構成としている一方、
前記独立昇降操作手段として前記押当部の傾動軌跡上に独立昇降操作レバーを配置し、前記独立昇降操作レバーにより前記押当部を傾動させることで、該押当部を前記植付クラッチレバーより離反させた状態で前記第一回転軸を回転させ、前記昇降手段を強制動作させて前記植付部を上昇可能としていると好ましい。
前記構成とすると、通常時は、植付クラッチレバーを押当部に当接させたまま傾動し、押当部の傾動による第一回転軸の回転により昇降ワイヤを介して昇降手段を作動させることで、植付クラッチレバーの操作に連動して植付部の昇降を行うことができる。一方、植付部が降下している場合でも、別個に設けた独立昇降操作レバーを押当部に押し当てながら傾動させ、第一回転軸および昇降ワイヤを介して昇降手段を作動させることで、植付部を強制的に上昇させることができる。したがって、複雑な電気制御装置を用いることなく、簡素な構造で強制上昇機能を設けることが可能となり、コスト増も抑制することできる。
なお、前記第二回転軸は、前記第一回転軸に対して回転自在に外嵌される筒状の回転軸とすると好ましい。また、独立昇降操作レバーは第一回転軸あるいは第二回転軸に回転自在に取り付けていると好ましい。
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、植付クラッチレバーの操作により植付クラッチが「入」状態であっても、独立昇降操作手段を用いることで昇降手段を強制的に上昇させることができる。したがって、植付クラッチを入れて植付部を稼働させた状態でメンテナンス等を行いたい場合であっても、植付部を地表から離した状態で作業者が機体下部に潜り込むなどして調整作業を行うことが可能となる。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の移植機10を示し、機体11に設けられた前輪12および後輪13と、動力源となるエンジン14と、減速ミッション15と、クラッチ100が内蔵された伝動ミッション16と、機体後方に動力伝達を中継する伝動ボックス17と、苗を圃場に植え付ける植付カップ18(植付部)と、左右一対の植付カップ18を交互に昇降させるロータリーボックス19と、ロータリーボックス19からの回転出力を植付カップ18の昇降動作に変換する昇降用連結体20とを備えている。
機体11後方には、ポット苗箱Nの送り動作を行う苗載台21と、操縦用のハンドル22と、クラッチ操作部23と、ポット苗箱Nから押出装置(図示せず)により押し出された苗を横方向に搬送する苗搬送ベルト24と、苗搬送ベルト24の終端より落下する苗を水平姿勢から垂直姿勢に変更させて植付カップ18に導く苗挟持ローラ25と、植付カップ18の後方に付設した覆土輪26とを備えている。
機体11には油圧装置27(昇降手段)を連結しており、クラッチ操作部23でのレバー操作に連動して機体11の昇降を行う構成としている。
詳しくは、植付カップ18等の各種部品が固定されて機体骨格を形成する第一フレーム61の前端に固定片65を取り付け、固定片65に対して回転自在な軸63を固定している。軸62の回転に連動して揺動するように、前輪12を接続する第二フレーム62と、傾動片64とを取り付けている。第一フレーム61と傾動片64との間に油圧装置27を介設しており、油圧装置27の伸縮させて第二フレーム62を第一フレーム61に対して近接/離反させることで、前輪12の第二フレーム62の角度が変わる構成としている。
後輪13を回転駆動させるチェーンケース66は、第一フレーム61に回転軸69を介して傾動自在に取り付けており、チェーンケース66の回転軸69にはチェーンケース66の傾動に伴って共回転する揺動片67を取り付けている。揺動片67と傾動片64との間にはリンク棒68を架け渡しており、油圧装置27が伸縮して傾動片64が傾動するのに連動して、リンク棒68、揺動片67および回転軸69を介してチェーンケース66の角度が変わる構成としている。
即ち、油圧装置27が伸縮することにより、前輪12および後輪13の第一フレーム61に対する上下方向の離反距離が変動し、機体11全体として植付カップ18等の各種部品を地表から昇降させている。
クラッチ操作部23には、図2に示すように、走行クラッチレバー28と、植付クラッチレバー29と、独立昇降操作レバー30(独立昇降操作手段)とを設けており、夫々、ケース31の上壁31aに切り欠かれたガイド孔31b〜31dを通して上方に立設している。
走行クラッチレバー28はガイド孔31bに沿って後方側から前方側に移動させることで、「駐車ブレーキ」、走行クラッチの「切」、「入」の順に動作する。
植付クラッチレバー29はガイド孔31cに沿って後方側から前方側に移動させることで、機体11の「上昇」、「止」、「下降」、植付クラッチの「切」、「入」の順に動作する。
独立昇降操作レバー30はガイド孔31dに沿って後方側から前方側に移動させることで、機体11の「強制上昇」、「止」、「下降」の順に動作する。
図3および図4に示すように、クラッチ操作部23のケース31の対向する側壁31eの間には第一回転軸32を架け渡して両側よりボルト40で固定している。第一回転軸32にはコの字状の押当部33を回転自在に取り付けていると共に、該押当部33の一端側には油圧用揺動片34を一体的に突出している。該油圧用揺動片34の先端側には、油圧装置27に接続された昇降ワイヤ35を取り付けている。
独立昇降操作レバー30は第一回転軸32に対して回転自在に取り付けており、独立昇降操作レバー30の中間位置には押当部33の端部に係合可能な切欠状の係合部30aを設けている。即ち、昇降ワイヤ35の下方への張力で、油圧用揺動片34および第一回転軸32を介して押当部33が前方に回動するように付勢されており、その押当部33の動きを独立昇降操作レバー30の係合部30aで受け止めることができる構成としている。
第一回転軸32の所要部分には筒状の第二回転軸36を回転自在に外嵌している。第二回転軸36には、植付クラッチレバー29を固定していると共に植付用揺動片37を固定している。植付用揺動片37には、植付クラッチ45に接続された植付ワイヤ39を円弧状連結片38を介して連結している。
第一回転軸32の別の部位には筒状の第三回転軸41を回転自在に外嵌している。第三回転軸41には、走行クラッチレバー28を固定していると共に走行用揺動片42を固定している。走行用揺動片42には、走行クラッチ46に接続された走行ワイヤ44を連結片43を介して連結している。
また、押当部33は、植付クラッチレバー29および独立昇降操作レバー30よりも後方側に配置する位置関係とし、植付クラッチレバー29あるいは独立昇降操作レバー30を後方側に傾動させると押当部33に当たって押当部33が傾動し、第二回転軸36の回転に伴って油圧用揺動片34を介して昇降ワイヤ35が上昇する構成となっている。
操縦用のハンドル22は、図5および図6に示すように、上面視で略コの字状の操縦枠部22aと、操縦枠部22aの両端から直交方向の上方に突出する板状の固定部22b、22cとを備え、固定部22b、22cにはそれぞれボルトB締結用のボルト孔22d、22eを2つ穿設している。即ち、ハンドル22は全体として左右対称の形状としている。
機体11の後部には左右対称にハンドル固定用フレーム50、51を設けており、ハンドル固定用フレーム50、51にはそれぞれ2つのボルト孔50a、50b、51a、51bを穿設している。また、ハンドル22の操縦枠部22aにはサイドクラッチレバー51を着脱自在に取り付けている。
ハンドル22は、固定部22b、22cを上方に向けた状態でハンドル固定用フレーム50、51に重ね合わせ、互いのボルト孔22d、22e、50a、50b、51a、51bを連通させた状態でボルトB留めすることにより、図6中の実線で示すように低い位置で固定している。
一方、ハンドル22を上下反転させ、固定部22b、22cを下方に向けた状態でハンドル固定用フレーム50、51に重ね合わせ、互いのボルト孔22d、22e、50a、50b、51a、51bを連通させた状態でボルトB留めすることにより、図6中の二点鎖線で示すように高い位置で固定することができる。
即ち、作業者の身長や圃場の状況に応じてハンドル22を上下反転させて取り付けることにより、ハンドル22を2種類用意することなく、かつ、ハンドル22の角度を変えずに水平に保ったままで、二段階の高さ調節を可能としている。
次に、独立昇降操作レバー30の作用について説明する。
例えば、図7に示すように、独立昇降操作レバー30が「下降」の位置に存在し、押当部33が独立昇降操作レバー30の係合部30aに係合する時は、油圧用揺動片34が下降位置にあり昇降ワイヤ35を介して油圧装置27により機体11を降下させることになる。
この状態から植付クラッチレバー29を操作して「上昇」の位置まで後方移動させると、図8に示すように、植付クラッチレバー29に押されて押当部33が後方に回動するのに伴って、第一回転軸32および油圧用揺動片34が回動する。それにより、昇降ワイヤ35が上方に引き上げられて油圧装置27により機体11が上昇させられる。
さらに、本発明の特徴的事項として、図9に示すように、植付クラッチレバー29を「入」の位置まで前方移動することで植付クラッチ45が「入」状態となり植付カップ18等が植付動作を行っている場合であっても、別途、独立昇降操作レバー30を後方移動させることで、押当部33が独立昇降操作レバー30の係合部30aに押されて後方に回動することになる。よって、それに伴って第一回転軸32および油圧用揺動片34が回動し、昇降ワイヤ35が上方に引き上げられて油圧装置27により機体11が強制的に上昇させられる。
以上のように、本発明の移植機10によれば、植付クラッチ45を入れて植付カップ18を稼働させた状態のままで機体11全体を上昇させるポジションコントロールが可能であるので、メンテナンス時などにおいて、作業者が機体11下部に潜り込んで植付カップ18などの調整作業を行うことが可能となり、メンテナンス作業性を向上することができる。
本発明の実施形態の移植機の側面図である。 クラッチ操作部の上面図である。 クラッチ操作部の背面図である。 クラッチ操作部の背面側の斜視図である。 ハンドルの上面図である。 ハンドルの高さ調節を説明する側面図である。 クラッチ操作部の動作を説明する断面図である。 クラッチ操作部の動作を説明する断面図である。 独立昇降操作レバーによる強制上昇を説明する断面図である。 従来例を示す図面である。
符号の説明
10 移植機
11 機体
12 前輪
13 後輪
14 エンジン(動力源)
15 減速ミッション
16 伝動ミッション
17 伝動ボックス
18 植付カップ(植付部)
19 ロータリーボックス
20 昇降用連結体
21 苗載台
22 ハンドル
23 クラッチ操作部
24 苗搬送ベルト
25 苗挟持ローラ
26 覆土輪
27 油圧装置(昇降手段)
28 走行クラッチレバー
29 植付クラッチレバー
30 独立昇降操作レバー
32 第一回転軸
33 押当部
34 油圧用揺動片
35 昇降ワイヤ
36 第二回転軸
37 植付用揺動片
38 円弧状連結片
39 植付ワイヤ
45 植付クラッチ
46 走行クラッチ

Claims (3)

  1. 圃場に苗を植え付ける植付部と、
    前記植付部への動力伝達を入/切する植付クラッチと、
    前記植付クラッチを作動させる植付クラッチレバーを有するクラッチ操作部と、
    少なくとも前記植付部を上下動させる昇降手段とを機体に備え、
    前記植付クラッチレバーによる前記植付クラッチの入操作に連動して前記昇降手段が作動し前記植付部を降下させる構成としている移植機において、
    前記植付クラッチの入状態時に前記植付クラッチと前記昇降手段との連動を遮断すると共に前記昇降手段を強制的に作動させて前記植付部を上昇させる独立昇降操作手段を備えていることを特徴とする移植機。
  2. 前記機体は、前記植付部を取り付ける第一フレームと、車輪に連繋される第二フレームとを備え、
    前記第一フレームと前記第二フレームとの間に油圧装置からなる前記昇降手段を介設し、該昇降手段により前記第一フレームに対して前記第二フレームを近接/離反させることで前記植付部を昇降させる構成としている請求項1に記載の移植機。
  3. 前記クラッチ操作部は、第一回転軸と、該第一回転軸に回転自在に嵌合される第二回転軸とを備え、
    前記第一回転軸には、前記昇降手段との間に張設される昇降ワイヤを接続していると共に前記植付クラッチレバーの動作軌跡上に配置される押当部を突出し、
    前記第二回転軸には、前記植付クラッチとの間に張設される植付ワイヤを接続していると共に前記植付クラッチレバーを固定し、
    前記植付クラッチレバーにより前記押当部を傾動させることで前記第一回転軸を回転させ、前記昇降ワイヤを介して前記昇降手段を作動させる構成としている一方、
    前記独立昇降操作手段として前記押当部の傾動軌跡上に独立昇降操作レバーを配置し、前記独立昇降操作レバーにより前記押当部を傾動させることで、該押当部を前記植付クラッチレバーより離反させた状態で前記第一回転軸を回転させ、前記昇降手段を強制動作させて前記植付部を上昇可能としている請求項1または請求項2に記載の移植機。
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