JP2006132447A - 可変容量圧縮機 - Google Patents

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智洋 村上
Sokichi Hibino
惣吉 日比野
Shiro Hayashi
志郎 林
Yoshio Kimoto
良夫 木本
Yusuke Kita
裕介 北
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Abstract

【課題】吸入圧力の検知結果に基づき制御弁にて容量制御を行うに際して、簡単な構成で適正な容量制御をなしうる可変容量圧縮機を提供する。
【解決手段】吐出室26とクランク室16とを連通する給気通路33上には制御弁34が介在され、この制御弁34の感圧室38に吸入通路25から検圧通路35を介して吸入圧が導入される。この吸入圧に基づくべローズの伸縮に伴い制御弁34では容量制御のための弁開度が調節される。検圧通路35よりも冷媒ガスの流動方向下流側に吸入弁機構29を構成するロータリーバルブ28が設けられ、そのバルブ本体28A内に吸入脈動を抑制するための絞り弁59が配設される。したがって、検圧通路35は絞り弁59による絞り前の実際の吸入圧を感圧室38内へ導入することになり、制御弁34における適正な容量制御に貢献する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば車両用空調装置等に用いられる可変容量圧縮機に関する。
一般に、この種の可変容量圧縮機は、ハウジングの一部を構成するシリンダブロックに複数のシリンダボアを有しており、各シリンダボア内には揺動斜板に支持されたピストンを収容することにより冷媒圧縮用の圧縮室を区画形成している。そして、車両のエンジンによる駆動軸の回転駆動に基づきピストンをシリンダボア内で往復動させることにより、吸入室等の吸入圧領域から圧縮室内への冷媒ガスの吸入、圧縮室内での冷媒ガスの圧縮、及び、圧縮室から吐出室等の吐出圧領域への冷媒ガスの吐出を行うようにしている。
ところで、上記のような可変容量圧縮機においては、吸入行程で吸入圧領域から圧縮室へ流入する冷媒ガスの流量が減少する低流量域では、吸入弁が通過する冷媒ガスとの相互作用により自励振動を発生し、吸入する冷媒ガスの圧力変動すなわち吸入脈動を引き起こして異音を生じさせるという問題が指摘されていた。そこで、このような吸入脈動に対処するべく、近時、例えば特許文献1に記載されるように、吸入圧領域の吸入ポートに絞り弁を設けた可変容量圧縮機が提案されている。
すなわち、特許文献1の可変容量圧縮機では、吸入行程において冷媒ガスが吸入ポートからガス通路を介して吸入室に流入する構成とされ、前記ガス通路と吸入ポートとの間に設けられた弁室内には絞り弁(開度制御弁)がスプリングにて常には前記ガス通路の開孔面積を小さくする方向へ付勢された状態で配設されている。また、前記弁室は連通路を介して吸入室に連通されており、前記絞り弁には吸入ポート側から冷媒ガスを弁室内へ通過させる細孔状の弁孔が形成されている。
そして、冷媒ガスの低流量時には、吸入室と吸入ポートとの圧力差が小さくなり絞り弁がスプリングの付勢力でガス通路の開孔面積を小さくして絞るため、この絞りと吸入室とで形成されるローパスフィルタ効果で吸入脈動が減衰されるようにしている。また、その状態において絞りのかかったガス通路を介して吸入室に流入した低流量の冷媒ガスにより吸入弁が振動して吸入脈動が生じたとしても、その吸入脈動は吸入室の容積効果と弁孔の絞り効果とにより吸入ポート側への伝播が抑制されるようにしている。
特開2000−136776号公報(請求項1、段落番号[0017]、図1)
ところで、特許文献1に記載されるような可変容量圧縮機では、通常、圧縮室の容量が制御弁の開度調節に基づき変化する構成とされているが、こうした制御弁は吸入室のガス圧力を検知しながら吸入圧力を一定とするように容量制御を行うタイプの制御弁(所謂、Ps制御弁)が一般的である。そのため、特許文献1の可変容量圧縮機のように、絞り弁が吸入室よりも上流側の吸入ポートに設けられていると、吸入室に流入する冷媒ガスは絞り弁を通過した後の冷媒ガスとなり、そのガス圧力が冷媒回路から吸入ポートに流入した際のガス圧力よりも低くなってしまう。その結果、容量制御の際に、制御弁は実際の吸入圧力(吸入ポートに流入した際のガス圧力)よりも低圧のガス圧力(絞り後のガス圧力)を検知して作動することになってしまい、この点で、適正な容量制御が行われているとは言い難かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸入圧力の検知結果に基づき制御弁にて容量制御を行うに際して、簡単な構成で適正な容量制御をなしうる可変容量圧縮機を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る可変容量圧縮機は、吸入圧領域の流体圧力に基づき制御弁の弁開度が調節され、該制御弁の弁開度に基づきストロークを制御されるピストンがシリンダボア内を往復動することで、該シリンダボア内の圧縮室に吸入圧領域から流体が吸入されると共に、該流体が圧縮室内で圧縮されて吐出圧領域へ吐出される可変容量圧縮機において、前記吸入圧領域に、前記制御弁の弁開度調節のために前記吸入圧領域の流体圧力を検知する吸入圧検知部と、前記吸入圧領域の流体圧力に応じて流体の流量を絞る絞り弁とを、該絞り弁の方が前記吸入圧検知部よりも前記吸入圧領域での前記流体の流動方向下流側となるように設けたことを特徴とする。
上記構成の可変容量圧縮機によれば、吸入圧領域に設けた絞り弁により、流体の低流量時における吸入脈動の発生が抑制され、吸入脈動に起因する異音の発生が良好に低減される。しかも、その絞り弁は、吸入圧領域において吸入圧検知部よりも前記流体の流動方向下流側に設けられているため、前記吸入圧検知部では絞り前の流体圧力、すなわち実際の吸入圧力が検知されることになる。したがって、吸入圧力の検知結果に基づき制御弁にて容量制御を行うに際して、簡単な構成で適正な容量制御をなしうることが可能となる。
また、上記構成の可変容量圧縮機は、前記吸入圧領域と圧縮室との間が連通路を介して連通され、該連通路を開閉する吸入弁機構が前記ピストンの往復動に同期して回転するロータリーバルブにより構成され、該ロータリーバルブにおける前記流体の流動経路途中に前記絞り弁が配設されている構成としてもよい。
このような構成とした場合には、吸入弁機構がリードバルブで構成された圧縮機の場合と異なり、圧縮機におけるハウジング(特に、リアハウジング)が大型化することなく、ロータリーバルブ内のスペースを絞り弁の配設スペースとして有効利用でき、圧縮機全体の小型化に貢献できるようになる。
また、上記構成の可変容量圧縮機は、前記ロータリーバルブは、筒状をなすバルブ本体を有し、該バルブ本体の周壁部に前記ピストンの吸入行程時において前記連通路と連通する連通口が形成され、前記絞り弁は、前記バルブ本体内に配置される弁体を有し、該弁体が前記バルブ本体内に流入した流体の流体圧力に基づき前記連通口の開口面積を変更するように前記バルブ本体の軸方向に沿って移動する構成としてもよい。
このような構成とした場合には、絞り弁の弁体がロータリーバルブのバルブ本体内を該バルブ本体の軸方向に沿って移動することにより、連通口の開口面積を無段階に変更調節できるようになり、吸入圧領域から圧縮室内へ流入する流体の流量を適宜に調節自在とされる。
また、上記構成の可変容量圧縮機は、前記弁体は、付勢部材により前記連通口の開口面積を小さくする方向へ移動するように付勢されている構成としてもよい。
このような構成とした場合には、吸入圧領域の流体圧力(吸入圧)と他の圧力(例えばクランク室圧)との差圧に基づき弁体を移動させる場合と異なり、吸入圧に対して弁体をリニアに対応させて移動させることができ、迅速な容量制御を実現できるようになる。
また、上記構成の可変容量圧縮機は、前記バルブ本体には、該バルブ本体の軸方向において前記弁体が前記連通口の開口面積を最小とする際の移動位置に弁体移動規制部が設けられている構成としてもよい。
このような構成とした場合には、ロータリーバルブを介して吸入圧領域から圧縮室内へ流入する流体の最小流量設定を弁体移動規制部の位置取りにて実現できるようになる。
本発明によれば、吸入圧力の検出結果に基づき制御弁にて容量制御を行うに際して、簡単な構成で適正な容量制御を行うことができる。
以下、本発明を、車両用空調装置に用いられる可変容量型斜板式圧縮機(以下、「圧縮機」という。)に具体化した一実施形態を図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明において「前後方向」をいう場合、図1における左側を「前側」とし、同じく右側を「後側」として説明するものとする。
図1に示すように、本実施形態の圧縮機10は、シリンダブロック11と、該シリンダブロック11の前端に接合固定されたフロントハウジング12と、前記シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とを備えている。これら、シリンダブロック11、フロントハウジング12、及びリヤハウジング14は、複数本(図1には1本のみ図示)のスルーボルト15により相互に結合固定されている。
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域にはクランク室16が区画形成されている。クランク室16内においてシリンダブロック11とフロントハウジング12との間には、図示しない駆動源(本実施形態の場合は、車両のエンジン)の駆動力に基づき回転する駆動軸17が回転可能に支持されている。また、前記クランク室16内において、駆動軸17の前端側寄りにはラグプレート18が一体回転可能に支持されており、該ラグプレート18の後側には斜板19が駆動軸17の軸線Lに沿ってスライド移動可能に且つ傾動可能に支持されている。ラグプレート18と斜板19との間にはヒンジ機構20が介在されている。したがって、斜板19は、ヒンジ機構20を介したラグプレート18とのヒンジ連結により、駆動軸17が回転した場合には、該駆動軸17及びラグプレート18と同期回転すると共に、駆動軸17の軸線Lに沿ったスライド移動を伴いながら駆動軸17に対して傾動することになる。
前記シリンダブロック11には、複数(図1には1つのみ図示)のシリンダボア21が前記駆動軸17の後端側を等角度間隔で取り囲むようにして前後方向に貫通形成されている。各シリンダボア21内には、片頭型のピストン22がクランク室16側から前後方向への往復動可能にそれぞれ挿入されている。各ピストン22は、一対のシュー23を介して前記斜板19の外周部に係留されており、該斜板19が傾動(揺動)することにより、前記シリンダボア21内を往復動することになる。その結果、シリンダボア21の前後両開口は、ピストン22及び前記弁・ポート形成体13により閉塞されることになり、シリンダボア21内にはピストン22の往復動に伴い容積変化する圧縮室24が区画形成されることになる。
前記リヤハウジング14には、吸入圧領域としての吸入通路25及び吐出圧領域としての吐出室26がそれぞれ区画形成されている。吸入通路25は、前記駆動軸17の軸線Lと対応するようにリヤハウジング14の中央部に形成されている。そして、吸入通路25には、図示しない蒸発器につながる低圧側の外部冷媒回路が接続され、該冷媒回路を介して低圧(吸入圧)の冷媒ガスが導入されるようになっている。また、吐出室26は、図示しないガスクーラにつながる高圧側の外部冷媒回路が接続され、該冷媒回路を介して前記圧縮室24内で高圧(吐出圧)に圧縮された冷媒ガスを圧縮機10外へ導出するようになっている。
前記シリンダブロック11において前記リヤハウジング14の吸入通路25と対応する位置には、該吸入通路25と共に吸入圧領域を構成する横断面円形状をなす収容孔25Aが形成されている。収容孔25Aの後端側は吸入通路25に連通され、収容孔25Aの前端側は駆動軸17の軸心位置に貫通形成された抽気通路27を介してクランク室16に連通されている。収容孔25Aは、吸入通路25から吸入圧(低圧)の冷媒ガスが流入する吸入室としての機能を有するものであり、該収容孔25A内にはロータリーバルブ28からなる吸入弁機構29が配設されている。なお、吸入弁機構29の具体的構成については後述する。
前記収容孔25Aは、シリンダブロック11に前記軸線Lを中心として放射状をなすように形成された複数の連通路30を介して各シリンダボア21の圧縮室24に連通され、各圧縮室24は、前記弁・ポート形成体13に形成された吐出ポート31及び吐出弁32を介して各々対応する吐出室26に連通されている。前記吐出室26は、シリンダブロック11及びリヤハウジング14に形成された給気通路33を介してクランク室16に接続されている。そして、リヤハウジング14内において、前記給気通路33上には容量制御機能を有する制御弁34が介在され、該制御弁34と前記吸入通路25との間には、制御弁34内に吸入通路25を流れる冷媒ガスの圧力(すなわち、吸入圧たる吸入圧領域の流体圧力)を導くための検圧通路(吸入圧検知部)35が形成されている。
前記制御弁34は、設定吸入圧可変型のものであり、バルブハウジング34A内には、弁室36と、該弁室36に連通する制御弁孔37、及び感圧室38が形成されている。弁室36は給気通路33の上流部を介して吐出室26に連通され、制御弁孔37は給気通路33の下流部を介してクランク室16に連通されている。感圧室38は前記検圧通路35を介して吸入通路25に連通され、該吸入通路25の吸入圧が導入されるようになっている。
前記弁室36内には制御弁体39が制御弁34の軸方向(図1では上下方向)への移動自在に収容されている。また、弁室36内にはコイルスプリング40が内装され、制御弁体39を図1において下方へ(すなわち、制御弁孔37の開度を大きくする方向へ)付勢している。一方、感圧室38内には検圧通路35を介して導入された吸入圧に応じて制御弁34の軸方向に変位動作するベローズ41が収容されている。そして、このベローズ41は、前記制御弁孔37の部分で細径状をなす感圧ロッド42を介して前記制御弁体39と接離可能に作動連結されている。
前記制御弁34の基端部(図1では下端部)には、電磁アクチュエータ部43が連設され、該電磁アクチュエータ部43の中心部には有底円筒状をなす収容筒44が配設されている。収容筒44の上部には円筒状の固定鉄心45が嵌着され、収容筒44の下部には下面側に凹部46が形成された可動鉄心47が収容筒44内を制御弁34の軸方向に沿って移動可能に収容されている。
可動鉄心47の凹部46内には前記コイルスプリング40よりも付勢力の小さいコイルスプリング48が配設され、可動鉄心47を固定鉄心45側に向けて付勢している。固定鉄心45内には制御弁体39から延設された作動ロッド49が貫挿されており、該作動ロッド49の突出端には前記コイルスプリング48の付勢力により固定鉄心45側に向けて付勢された可動鉄心47が当接している。そして、固定鉄心45及び可動鉄心47間を跨ぐように収容筒44の外周にはコイル50が巻回され、このコイル50に励磁電流が供給された場合には、可動鉄心47が前記弁室36内のコイルスプリング40の付勢力に抗して固定鉄心45側へ移動するようになっている。
次に、前記吸入弁機構29の具体的構成について説明する。
前述したように、吸入弁機構29はロータリーバルブ28により構成されている。このロータリーバルブ28は、図1において前端側が底となる有底円筒状のバルブ本体28Aを有しており、該バルブ本体28Aは収容孔25Aの内周面26aによって摺動可能に支持されている。バルブ本体28Aの前端面は、収容孔25A内に突出した駆動軸17の後端に周知のキー構造51を介して連結されている。一方、バルブ本体28Aの後端面はリヤハウジング14における吸入通路25の開口周りに固着された摺動リング52に対して摺動可能に当接されている。したがって、ロータリーバルブ28(バルブ本体28A)は、駆動軸17が回転した場合(すなわちピストン22が往復動した場合)、収容孔25A内で同期回転するようになっている。
前記ロータリーバルブ28におけるバルブ本体28Aの筒内空間53は、前記吸入通路25に連通されており、該吸入通路25から冷媒ガスが流入する点で、吸入圧領域の一部を構成している。前記バルブ本体28Aの周壁部54には周方向へ連通口55が形成されている。この連通口55は、前記周壁部54の周方向の一定区間に亘り形成されており、前記駆動軸17の回転に伴いロータリーバルブ28(バルブ本体28A)が回転した際における前記ピストン22の吸入行程時に前記連通路30と連通するようになっている。したがって、外部冷媒回路から吸入通路25に導入された冷媒ガスは、ピストン22の吸入行程時、吸入通路25から収容孔25A、バルブ本体28Aの筒内空間53、連通口55、及び連通路30を介して圧縮室24内に吸入される。
一方、前記バルブ本体28Aの連通口55は、前記ピストン22が吐出行程に移行した場合、前記駆動軸17の回転(及びピストン22の往復動)に伴い前記連通路30に対して周方向へ完全に位置ずれした状態(非連通の状態)となる。すなわち、バルブ本体28Aの周壁部54において連通口55が形成されていない周面部位が連通路30と対応するようになり、吸入通路25側からの冷媒ガスが圧縮室24内へ吸入されることのないように、前記連通路30の上流側開口を閉塞状態とする。したがって、吐出行程において圧縮された高圧の冷媒ガスは、連通路30を介して吸入圧領域(筒内空間55、収容孔25A、吸入通路25)側へ逆流することなく、吐出ポート31及び吐出弁32を介して吐出室26へ吐出される。
図1,図2に示すように、前記ロータリーバルブ28におけるバルブ本体28Aの筒内空間53には、吸入通路25側を底とする有底円筒状のスプール(弁体)56が配設されている。このスプール56は、その外径がバルブ本体28Aの筒内空間53の内径と対応しており、バルブ本体28Aの軸方向(駆動軸17の軸線Lと一致する方向)に沿って移動自在(摺動自在)とされている。前記バルブ本体28Aの筒内空間53内において、バルブ本体28Aの内底面とスプール56の内底面との間には、付勢部材としてのコイルばね57が介装され、該コイルばね57の付勢力によりスプール56は吸入通路25側へ付勢されている。
すなわち、スプール56は、前記コイルばね57の付勢力により、バルブ本体28Aの軸方向において周壁部54に形成された連通口55とオーバーラップしながら、該連通口55の開口面積(具体的には筒内空間53と連通路30とを連通する開口面積)を小さくする方向へ移動するように付勢されている。そして、吸入通路25から筒内空間53内に流入した冷媒ガスの流体圧力と前記コイルばね57の付勢力との強弱関係に基づき、前記連通口55の開口面積を変更可能とするようにバルブ本体28Aの軸方向に移動する構成とされている。
また、バルブ本体28Aの軸方向において前記連通口55の吸入通路25側の口縁位置近傍には、スプール56に対し弁体移動規制部として機能するサークリップ58がバルブ本体28A内に固着されている。したがって、スプール56は、吸入通路25側から流入する冷媒ガスの流体圧力が小さい(例えば低流量)の場合、前記コイルばね57の付勢力により前記連通口55の開口面積を小さくする方向へ移動するが、連通口55の開口面積を最小とする移動位置において前記サークリップ58に当接すると、その移動位置から先への移動が規制される。そして、本実施形態では、前記スプール56及びコイルばね57により、吸入圧領域(吸入通路25、収容孔25A、筒内空間53)の流体圧力(冷媒ガスの吸入圧)に応じて流体(冷媒ガス)の流量を絞る絞り弁59が構成され、かかる絞り弁59が冷媒ガスの流動経路途中となるロータリーバルブ28(バルブ本体28A)内に配設されている。
そこで次に、上記のように構成された圧縮機10の作用について、特に制御弁34及び絞り弁59の相互作用に着目して説明する。
さて、前述したように、本実施形態の制御弁34は、設定吸入圧可変型のものであり、吸入通路25(吸入圧領域)に導入された冷媒ガスの圧力である吸入圧に基づき弁開度が調節される。すなわち、図示しない車両用空調装置のスイッチがオン操作され、電磁アクチュエータ部43のコイル50に励磁電流が供給されると、可動鉄心47が上動して作動ロッド49を押し上げるため、制御弁体39が感圧ロッド42に当接する。そして、その状態において、前記吸入圧に応じたベローズ41の変位動作に従って制御弁体39の弁室36内での軸方向位置が変化することにより弁開度が調節される。
例えば、前記コイル50への励磁電流の電流値が小さく、吸入通路25における吸入圧が高く設定されている場合には、検圧通路35を介して感圧室38へ導入される吸入圧が高いため、ベローズ41が収縮して制御弁体39を上動させる結果、制御弁34の弁開度は小さくなる。すると、給気通路33を介して吐出室26からクランク室16へ流入する冷媒ガスの量が減少するため、クランク室16の内圧と圧縮室24の内圧との差が小さくなり、その結果、斜板19の傾斜角度が大きくなると共にピストン22のストロークが増大して吐出容量が増大する。
逆に、前記コイル50への励磁電流の電流値が大きく、吸入通路25における吸入圧が低く設定されている場合には、検圧通路35を介して感圧室38へ導入される吸入圧が低いため、ベローズ41が伸長して制御弁体39を下動させる結果、制御弁34の弁開度は大きくなる。すると、給気通路33を介して吐出室26からクランク室16へ流入する冷媒ガスの量が増大するため、クランク室16の内圧と圧縮室24の内圧との差が大きくなり、その結果、斜板19の傾斜角度が小さくなると共にピストン22のストロークが減少して吐出容量が減少する。
一方、ロータリーバルブ28内に設けられた絞り弁59は、吸入通路25の吸入圧が高く設定されている場合には、冷媒ガスの流量が高流量であるため、スプール56が図2に二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで移動し、連通路30に連通する連通口55の開口面積を最大とする。逆に、吸入通路25の吸入圧が低く設定されている場合には、冷媒ガスの流量が低流量であるため、スプール56が図2に実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで移動し、連通路30に連通する連通口55の開口面積を最小とする。また、スプール56は連通口55の開口面積を最小とする位置まで移動した場合には、サークリップ58に当接して、それ以上の移動が規制される。
そして、絞り弁59は、吸入通路25側からロータリーバルブ28におけるバルブ本体28Aの筒内空間53に流入する冷媒ガスの圧力(吸入圧)に応じて、バルブ本体28Aの軸方向に沿ってスプール56の軸方向位置を無段階に変化させながら、前記連通口55の開口面積を変更調節する。しかも、その変更調節に際しては、コイルばね57の付勢力と冷媒ガスの圧力(吸入圧)との力関係のバランスを取りながら、スプール56が吸入圧に対してリニアに反応して移動させられる。そして、吸入圧が低くて冷媒ガスの流量が低流量である場合は、前記連通路30に連通する連通口55の開口面積を小さくして圧縮室24へ吸入される冷媒ガスの流量を絞ることにより、吸入脈動の発生を抑制し、該吸入脈動に起因する異音の発生を低減している。
また、このように冷媒ガスの流量が絞り弁59により絞られる構成であっても、制御弁34の弁開度を調節するための吸入圧は、吸入通路25及び筒内空間53等からなる吸入圧領域において絞り弁59よりも冷媒ガスの流動方向上流側に設けられた検圧通路35を介して制御弁34の感圧室38へ導入される。したがって、制御弁34においては、絞り弁59で流量を絞られる前の吸入通路25における冷媒ガスの吸入圧(つまり、電磁アクチュエータ部43のコイル50に供給される励磁電流の電流値により設定される実際の吸入圧)に基づき開度調節が行われる。
従って、上記実施形態の圧縮機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)吸入通路25の吸入圧が低くて冷媒ガスの流量が低流量である場合には、絞り弁59のスプール56が、連通路30に連通する連通口55の開口面積を小さくする方向へ移動し、圧縮室24に吸入される冷媒ガスの流量を絞るため、吸入脈動の発生及び該吸入脈動に起因する異音の発生を良好に低減できる。
(2)また、吸入圧領域に絞り弁59を設けていても、該絞り弁59よりも冷媒ガスの流動方向上流側で制御弁34の弁開度調節のための吸入圧検知を検圧通路35により行うようにしているため、容量制御のための制御弁34の弁開度調節を絞り前の実際の吸入圧に従って適正に行うことができる。
(3)また、吸入弁機構29を構成するロータリーバルブ28におけるバルブ本体28Aの筒内空間53をスプール56及びコイルばね57からなる絞り弁59の配設スペースとして利用しているため、例えばリヤハウジング14を大きくする等しなくて済み、圧縮機10の小型化に貢献することができる。
(4)絞り弁59にて圧縮室24への冷媒ガスの流量を絞るに際しては、スプール56が、冷媒ガスの圧力とコイルばね57の付勢力との力関係のバランスをとりながらバルブ本体28A内を軸方向に移動する構成であるため、圧縮室24への冷媒ガス吸入量を規定する連通路30に連通する連通口55の開口面積を無段階に変更調節できる。
(5)また、その連通口55の開口面積を変更調節するに際しては、バルブ本体28Aの筒内空間53に流入した冷媒ガスの圧力(吸入圧)とコイルばね57の付勢力との大小関係に基づいているため、例えばクランク室16の内圧との差圧に基づく場合と異なり、構成が簡単にできると共に、吸入圧に対してリニアにスプール56を移動できる。
(6)さらに、絞り弁59のスプール56については、サークリップ58と当接する位置を連通路30に連通する連通口55の開口面積を最小とする際の移動位置として簡易に設定することができる。
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
○ 弁体移動規制部は、サークリップ58によらずに、バルブ本体28Aの内周面に対してスプール56が係止する段部や凸部などの係止部を形成して弁体移動規制部としてもよい。
○ バルブ本体28Aの筒内空間53でスプール56を軸方向に移動させる場合、吸入圧とコイルばね57との力関係で移動させる構成に代えて、クランク室16の内圧と吸入圧との差圧に基づき移動させる構成としてもよい。
○ 絞り弁59において弁体として機能するスプールは有底円筒状に限らず、例えば円柱状に形成されたものであってもよい。
○ 絞り弁59はロータリーバルブ28(バルブ本体28A)の外部に配設される構成であってもよい。要するに、吸入圧領域において吸入圧検知部として機能する検圧通路35よりも冷媒ガスの流動方向下流側に設けられるならば、必ずしもロータリーバルブ28(バルブ本体28A)の内部に配設されている必要はない。
○ 吸入弁機構29がロータリーバルブ28ではなくリードバルブで構成された圧縮機10に具体化してもよい。
本実施形態の可変容量型斜板式圧縮機の縦断面図。 図1の要部拡大図。
符号の説明
10…可変容量圧縮機、21…シリンダボア、22…ピストン、24…圧縮室、25…吸入通路(吸入圧領域)、25A…収容孔(吸入圧領域)、26…吐出室(吐出圧領域)、28…ロータリーバルブ、28A…バルブ本体、29…吸入弁機構、30…連通路、34…制御弁、35…検圧通路(吸入圧検知部)、53…筒内空間(吸入圧領域)、54…周壁部、55…連通口、56…スプール(弁体)、57…コイルばね(付勢部材)、58…サークリップ(弁体移動規制部)、59…絞り弁。

Claims (5)

  1. 吸入圧領域の流体圧力に基づき制御弁の弁開度が調節され、該制御弁の弁開度に基づきストロークを制御されるピストンがシリンダボア内を往復動することで、該シリンダボア内の圧縮室に吸入圧領域から流体が吸入されると共に、該流体が圧縮室内で圧縮されて吐出圧領域へ吐出される可変容量圧縮機において、
    前記吸入圧領域に、前記制御弁の弁開度調節のために前記吸入圧領域の流体圧力を検知する吸入圧検知部と、前記吸入圧領域の流体圧力に応じて流体の流量を絞る絞り弁とを、該絞り弁の方が前記吸入圧検知部よりも前記吸入圧領域での前記流体の流動方向下流側となるように設けた可変容量圧縮機。
  2. 前記吸入圧領域と圧縮室との間が連通路を介して連通され、該連通路を開閉する吸入弁機構が前記ピストンの往復動に同期して回転するロータリーバルブにより構成され、該ロータリーバルブにおける前記流体の流動経路途中に前記絞り弁が配設されている請求項1に記載の可変容量圧縮機。
  3. 前記ロータリーバルブは、筒状をなすバルブ本体を有し、該バルブ本体の周壁部に前記ピストンの吸入行程時において前記連通路と連通する連通口が形成され、前記絞り弁は、前記バルブ本体内に配置される弁体を有し、該弁体が前記バルブ本体内に流入した流体の流体圧力に基づき前記連通口の開口面積を変更するように前記バルブ本体の軸方向に沿って移動する構成とされている請求項2に記載の可変容量圧縮機。
  4. 前記弁体は、付勢部材により前記連通口の開口面積を小さくする方向へ移動するように付勢されている請求項3に記載の可変容量圧縮機。
  5. 前記バルブ本体には、該バルブ本体の軸方向において前記弁体が前記連通口の開口面積を最小とする際の移動位置に弁体移動規制部が設けられている請求項4に記載の可変容量圧縮機。
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