JP2006131888A - 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法 - Google Patents

不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006131888A
JP2006131888A JP2005272534A JP2005272534A JP2006131888A JP 2006131888 A JP2006131888 A JP 2006131888A JP 2005272534 A JP2005272534 A JP 2005272534A JP 2005272534 A JP2005272534 A JP 2005272534A JP 2006131888 A JP2006131888 A JP 2006131888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isomer
acid
mixture
dilute
rich
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005272534A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4931391B2 (ja
Inventor
Hidetaka Uehara
秀隆 上原
Tomomi Suganuma
智巳 菅沼
Satoshi Negishi
聡 根岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Oillio Group Ltd
Original Assignee
Nisshin Oillio Group Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Oillio Group Ltd filed Critical Nisshin Oillio Group Ltd
Priority to JP2005272534A priority Critical patent/JP4931391B2/ja
Priority to TW094134991A priority patent/TWI372781B/zh
Priority to MYPI20054729 priority patent/MY139391A/en
Publication of JP2006131888A publication Critical patent/JP2006131888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4931391B2 publication Critical patent/JP4931391B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、従来濃縮することが困難であった混合物から所定の不飽和脂肪酸を濃縮した濃縮物を製造することができる、簡便で安価な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、C16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a)が溶解した混合溶液を得る工程、該混合溶液から、異性体(a)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び異性体(a)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法を提供する。

Description

本発明は、通常の分別結晶法では精製できない不飽和脂肪酸を濃縮した濃縮物の製造方法に関するものである。
近年、共役リノール酸(CLA)は脂質代謝改善、体脂肪低下作用、抗がん作用、高アレルギー作用、抗動脈硬化作用などの多彩な生理作用を有することから注目されている。共役リノール酸は、共役二重結合を1つ有する炭素数18脂肪酸の総称であり、肉や乳製品に含有する脂肪酸の一種である。共役リノール酸は、一般的にはプロピレングリコールに代表される有機溶媒をもちいたアルカリ共役化法(特許第3017108号公報)によって製造できることが知られている。この製造方法によって得られる共役リノール酸は、9c,11t-共役リノール酸(9cis,11trans-共役リノール酸)及び10t,12c-共役リノール酸(10trans,12cis-共役リノール酸)が等量生成した混合物である。これらの2つの異性体は、生理活性や副作用に差があることが知られており、所望の異性体を濃縮する濃縮物も求められている。
一方、脂肪酸の精製方法としては分別結晶法、蒸留法、尿素付加法、銀錯体法、酵素(リパーゼ)法などが知られているが、蒸留法は非常に有効な方法で脂肪酸の精製には広く用いられているが、不飽和脂肪酸の異性体は構造が非常に似ており沸点が近く蒸留法による分離は一般的に困難である。また、尿素付加法は非常に有用な方法であるが、非常にコストがかかり、精製した脂肪酸を食品用途で使用する場合には適さない。また、銀錯体法も不飽和脂肪酸には非常に有用な方法であるが、非常にコストがかかり精製した脂肪酸を食品用途で使用する場合には適さない。また、酵素法はコストが高く、操作も煩雑である。さらに、分別結晶法は優れた方法で、一般的に広く用いられているが、凝固点の近い脂肪酸例えば不飽和脂肪酸の異性体などを精製することは難しい。
従来から、特定の共役リノール酸についても、それを濃縮した濃縮物を得る方法が種々検討されてきた。例えば、共役リノール酸を酸性条件下メタノールなどと反応させてメチルエステル体を誘導し、晶析することで異性体を分離する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)が、誘導体化する必要があり、コストがかかる上に分離後に加水分解の必要がある。また、そのまま晶析によって濃縮する場合には、十分に濃縮した濃縮物が得られない。さらに、クロマトグラフィーによる濃縮方法が知られているが、溶剤とカラムの使用などで非常にコストがかかる。
その他に、リパーゼの存在下で共役リノール酸の異性体混合物を構成成分とする脂肪酸混合物またはそのグリセリドエステル混合物を、有機溶媒を含まない反応系で共役リノール酸異性体に対する選択反応に付すことを特徴とする共役リノール酸異性体の精製方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。また、リパーゼ存在下で共役リノール酸異性体混合物とオクタノールとを反応させ、オクタノールエステル画分における共役リノール酸異性体組成比を変えることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。また、リパーゼ存在下で直鎖高級アルコールと選択的エステル化反応させることによって、9c,11t-共役リノール酸含有脂肪酸を得る方法が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのリパーゼを用いた方法は、リパーゼが非常に高価である上、リパーゼ存在下での各不飽和脂肪酸異性体とアルコール類、または各不飽和脂肪酸異性体誘導体の加水分解の反応性の違いにより分離する方法であるため、反応生成物と未反応物を分離する操作(例えば、蒸留)が必要であり、さらに分離後も異性体の誘導体については再度加水分解するなどの操作が必要であり、コストがかかる。また、使用するアルコール(例えば、オクタノール)によっては食用に不向きである。
特開2004−23810号公報 特表平11−514887号公報 特開2001−169794号公報 O. Berdeaus, J. Voinot, E. Angioni, P. Jurneda, and J.L. Sebedio, J. Am. Oil. Chem. Soc., Vol. 75, 1749-1755 (1998).
本発明は、従来濃縮することが困難であった混合物から所定の不飽和脂肪酸を濃縮した濃縮物を製造することができる、簡便で安価な方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記濃縮物を用いるエステル化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のこれらの目的及び他の目的は、以下の記載から明らかとなるであろう。
上記目的を達成するために本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、共役リノール酸異性体混合物に特定の飽和脂肪酸を添加して晶析処理を行うことにより、所望の異性体を濃縮した濃縮物を得ることに成功した。本発明者らはこの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、C16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a)が溶解した混合溶液を得る工程、
該混合溶液から、異性体(a)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
異性体(a)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法を提供する。
また、本発明は、C16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも3種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも3種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a1)及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
該混合溶液から、異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、C16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a1)を濃縮した濃縮物及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
該混合溶液から、異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶を析出させるか、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶及び異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な溶液を得るため、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶及び異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な溶液を得るための固液分離処理工程
を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法を提供する。
また、本発明は、アルコール性水酸基を分子内に少なくとも1つ有する化合物を、前記製造方法によって得た不飽和脂肪酸濃縮物でエステル化することを特徴とするエステル化物の製造方法を提供する。
本発明によれば、従来濃縮することが困難であった混合物から所定の不飽和脂肪酸を濃縮した濃縮物を、非常に安価な方法で製造することができ、また、本発明の方法は、晶析と溶媒・中鎖脂肪酸除去のみを行うため、簡便である。
さらに、得られる濃縮物は食品用途に利用可能であり、濃縮物を用いて製造されたモノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)などのエステルについても、食品用途に利用できる。
本発明は、特定の混合物から所望の不飽和脂肪酸を濃縮した濃縮物を製造する方法に関するものである。本発明の方法は、C16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合した混合溶液を得る工程を含む。
混合物(A)に含まれるC16以上の共役不飽和脂肪酸としては、共役リノール酸、共役リノレン酸(カタルピン酸、ヤリカリン酸、α−カレンディン酸、β−カレンディン酸、プニカ酸、α−エレオステアリン酸など)、共役アラキドン酸、共役イコサペンタエン酸、共役ドコサヘキサエン酸、オキシ共役ポリエン酸(ディモルフェコリン酸、コリリン酸、アルテミジン酸、カムロレニン酸、リカン酸など)などが挙げられる。好ましくは、C16-C20の共役不飽和脂肪酸であり、より好ましくは共役リノール酸である。
混合物(A)に含まれるシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸としては、ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、ペテロセリン酸、シス−バクセン酸など)、イコセン酸、テトラコセン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、イコサジエン酸、デコサジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、イコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、不飽和ヒドロキシ酸(リシノール酸、オキシリノレン酸など)などが挙げられる。好ましくは、シス二重結合を有するC16-C20の不飽和脂肪酸で、さらに好ましくはオクタデセン酸(オレイン酸、ペテロセリン酸、シス−バクセン酸)である。
混合物(A)としては、混合物(A)中の飽和脂肪酸濃度が20質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
飽和脂肪酸(B)としては、酪酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、オクタン酸(カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸などのC4-C14の飽和脂肪酸が好ましい。また、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などのC6-C14の飽和脂肪酸がより好ましい。また、オクタン酸、デカン酸などのC8又はC10の飽和脂肪酸がさらに好ましい。これらの飽和脂肪酸(B)は単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
混合物(A)と飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合する場合には、濃縮物において濃縮すべき所望の異性体(a、a1又はa2)が溶解した混合溶液を調製することが好ましい。混合の際には有機溶媒を用いることもできる。ここで、好ましい有機溶媒としては、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトンなど)、炭化水素類(例えばヘキサン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエンなど)、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノールなど)、含水アルコール、エーテル類(例えばジエチルエーテルなど)、エステル類(例えば酢酸エチルなど)などが挙げられる。沸点以下の温度で脂肪酸を溶解する溶剤で融点が冷却温度よりも低ければ何でもかまわない。より好ましくは、アセトン、ヘキサン、アルコール、含水アルコールなどであり、最も好ましくはアセトン、ヘキサンである。
混合物(A)と飽和脂肪酸(B)1種以上との混合割合は、好ましくは混合物(A)100質量部に対して飽和脂肪酸(B)1種以上が1質量部以上である。より好ましくは、混合物(A)100質量部に対して飽和脂肪酸(B)1種以上が5〜500質量部、さらに好ましくは、混合物(A)100質量部に対して飽和脂肪酸(B)1種以上が10〜300質量部である。
本発明の方法は、所望の異性体(a、a1又はa2)が4〜16位にシス配置を有する不飽和脂肪酸である場合に有効である。本発明の方法において、好適な4〜16位にシス配置を有する不飽和脂肪酸としては、共役リノール酸、共役リノレン酸、共役アラキドン酸、共役イコサペンタエン酸、共役ドコサヘキサエン酸、オキシ共役ポリエン酸、ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、ペテロセリン酸、シス−バクセン酸など)、イコセン酸、テトラコセン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、イコサジエン酸、デコサジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、イコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、不飽和ヒドロキシ酸(リシノール酸、オキシリノレン酸など)などが挙げられる。より好適には共役リノール酸、オクタデセン酸であり、さらに好適には9−シス,11−トランス共役リノール酸、10−トランス,12−シス共役リノール酸、オレイン酸、又はシス−バクセン酸である。また、本発明の方法は、混合物(A)がシス配置の位置が異性体(a、a1又はa2)と2位以上異なる不飽和脂肪酸を含む場合に有効である。また、本発明の方法は、混合物(A)が2種以上の共役脂肪酸またはシス二重結合を有する不飽和脂肪酸を含む場合に有効である。2種以上の共役脂肪酸として2種以上の共役リノール酸を含む場合により有効であり、2種以上の共役リノール酸が9−シス,11−トランス共役リノール酸及び10−トランス,12−シス共役リノール酸を含む場合に最も有効である。2種以上のシス二重結合を有する不飽和脂肪酸として2種以上のオクタデセン酸を含む場合により有効であり、2種以上のオクタデセン酸がオレイン酸及びシス−バクセン酸を含む場合に最も有効である。
また、本発明の方法は、上記で得られた混合溶液から、
異性体(a)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、
又は
異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、
又は
異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶を析出させるか、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程
を含む。
ここで、「異性体(a、a1又はa2)に富んだ結晶」とは、異性体純度 =(所望の異性体(a、a1又はa2)量または濃度)/(全異性体量または濃度)が、混合物(A)よりも高い結晶を意味し、好ましくは混合物(A)の1.2倍以上であり、より好ましくは1.3倍以上であり、最も好ましくは1.5倍以上である。また、「異性体(a、a1又はa2)が希薄な結晶」とは、異性体純度 =(所望の異性体(a、a1又はa2)量または濃度)/(全異性体量または濃度)が、混合物(A)よりも低い結晶を意味し、好ましくは混合物(A)の0.8倍以下であり、より好ましくは0.7倍以下であり、最も好ましくは0.65倍以下である。
晶析方法は、一般的な油脂、脂肪酸について行う方法と同様に行うことができ、冷却晶析法が利用できる。晶析温度は濃縮する不飽和脂肪酸や添加する飽和脂肪酸の種類や溶剤の有無、種類、濃度などによって異なるが、一般的な油脂、脂肪酸の冷却分別条件であるアセトン溶剤を3倍量用いる条件の晶析温度は10〜−60℃であり、好ましくは−5〜−50℃、より好ましくは−10〜−45℃である。また、晶析に際しては、溶媒を加えなくてもよいが、適切な溶媒を加えて行うのが望ましい。加える溶媒としては、例えばケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、炭化水素類(ヘキサン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、含水アルコール、エーテル類(ジエチルエーテルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)などが挙げられる。より好ましくは、アセトン、ヘキサン、アルコール、含水アルコールなどであり、最も好ましくはアセトン、ヘキサンである。加える溶媒の量は、混合溶液(混合物(A)+ 飽和脂肪酸(B))100質量部に対して5質量部以上であり、好ましくは10〜1000質量部、より好ましくは50〜500質量部である。
また、本発明の方法は、
異性体(a)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程、
又は
異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程、
又は
異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶及び異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な溶液を得るため、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶及び異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な溶液を得るための固液分離処理工程
を含む。これにより、所望の異性体を濃縮した濃縮物を得ることができる。
ここで、「異性体(a、a1又はa2)に富んだ溶液」とは、異性体純度 =(所望の異性体(a、a1又はa2)量または濃度)/(全異性体量または濃度)が、混合物(A)よりも高い溶液を意味し、好ましくは混合物(A)の1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、最も好ましくは1.5倍以上である。また、「異性体(a、a1又はa2)が希薄な溶液」とは、異性体純度 =(所望の異性体(a、a1又はa2)量または濃度)/(全異性体量または濃度)が、混合物(A)よりも低い溶液を意味し、好ましくは混合物(A)の0.85倍以下であり、より好ましくは0.7倍以下であり、最も好ましくは0.6倍以下である。
固液分離方法は、一般的な油脂、脂肪酸について行う方法と同様に行うことができ、ろ過方式、遠心分離方式、沈降分離方式等が利用でき、回分式処理でも連続式処理でもよい。
さらに、本発明の方法においては、得られた濃縮物から飽和脂肪酸(B)及び/又は有機溶媒を除去するために、固液分離処理工程後に飽和脂肪酸(B)及び/又は有機溶媒を除去処理する工程を含んでいてもよい。
除去方法は、一般的な油脂、脂肪酸について行う方法と同様に行うことができ、蒸留法、界面活性剤分別法、クロマトグラム法などが利用できる。蒸留法が望ましい。
さらに、本発明の方法においては、上記処理工程を繰り返して所望の不飽和脂肪酸異性体を高度に濃縮した濃縮物を得ることができる。
次に、本発明の不飽和脂肪酸異性体濃縮物を用いて、アルコール性水酸基を分子内に少なくとも1つ有する化合物をエステル化するエステル化物の製造方法について説明する。
アルコール性水酸基を分子内に少なくとも1つ有する化合物としては、各種モノアルコール、多価アルコール、アミノアルコールなど種々の化合物があげられる。具体的には、短鎖、中鎖、長鎖の飽和、不飽和、直鎖、分岐アルコール、グリコール類、グリセリン、エリスリトール類といった多価アルコールがあげられる。これらのうち、グリセリンが好ましい。
エステル化の条件は、例えば、特開平13−169795号公報や特開平15−113396号公報などに記載の条件に準じて行うことができる。一例をあげると、基質の合計質量、すなわちアルコール性水酸基を有する化合物と不飽和脂肪酸異性体濃縮物の合計質量に対して、リパーゼを0.1〜2質量%添加し、30〜60℃で24〜72時間反応させる。この際、反応系を減圧にしてエステル化により生じる水を除去しながら反応を行うのがよい。
1.材料・分析装置
この実施例で用いる材料及び分析装置は以下の通りである。
(1)材料
共役リノール酸 CLA80HG 日清オイリオグループ株式会社
ヘキサン酸(C6:0) 東京化成工業株式会社
オクタン酸(C8:0) 東京化成工業株式会社
デカン酸(C10:0) 東京化成工業株式会社
ラウリン酸(C12:0) 東京化成工業株式会社
ミリスチン酸(C14:0) 東京化成工業株式会社
パルミチン酸(C16:0) 東京化成工業株式会社
アセトン(特級) ナカライテスク株式会社
トルエン(特級) 和光純薬工業株式会社
ヘキサン(特級) 和光純薬工業株式会社
エタノール(特級) 和光純薬工業株式会社
グリセリン 和光純薬工業株式会社
14%3フッ化ホウ素メタノール錯体メタノール溶液
和光純薬工業株式会社
リパーゼQLM 名糖産業株式会社
リパーゼRM 当社出願特許 特願平2004-114443により製造
(2)分析装置
ガスクロマトグラフィー(GC-2010) 株式会社 島津製作所 製
カラム ; DB-23 30 m×0.25 μm×0.25 mm Agilent Technologies社製
2.分析方法
(1)異性体分析方法
試料25mgに1mLのトルエンと2mLの14%3フッ化ホウ素メタノール錯体メタノール溶液を加えて、40℃で10分間加熱する。反応後、飽和食塩水を3mL加えて氷冷し、2mLのヘキサンを加えてメチルエステルを抽出する。ヘキサン抽出液を硫酸ナトリウムにて乾燥し、得られたメチルエステル混合物をDB-23(Agilent Technologies)30 m×0.25 μm×0.25 mmをもちいたGLCにて分析を行った。
(2)GLC分析条件
機器 GC-2010(株式会社 島津製作所)
カラム DB-23(Agilent Technologies) 30 m×0.25 μm×0.25 mm
検出器 FID
キャリアガス He(1mL/min)
スプリット比 100:1
カラム温度℃ 130℃ → 220 ℃(2 ℃/min)
注入口温度 250 ℃
検出器温度 250 ℃
3.異性体濃縮方法
以下において用いられる異性体純度とは、下記式によって与えられる量である。
異性体純度 =(所望の異性体量または濃度)/(全異性体量または濃度)
また、共役リノール酸の異性体について、下記の記号を用いる。
9c11t:9−シス,11−トランス共役リノール酸
10t12c:10−トランス,12−シス共役リノール酸
9c11c:9−シス,11シス共役リノール酸
10c12c:10−シス,12−シス共役リノール酸
tt:9−トランス,11−トランス共役リノール酸と10−トランス,12−トランス共役リノール酸の合計
また、オクタデセン酸(18:1)の異性体について、下記の記号を用いる。
18:1 : オクタデセン酸
n9:オレイン酸
n11:シス−バクセン酸
検討には、2つの異なるロットのCLA80HGを用いた。それぞれの組成を表1に示す。
Figure 2006131888
比較例1
共役リノール酸 CLA80HG-1 500gにアセトン1500gを加えて溶解し、これを-20℃で一晩攪拌しながら冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別し、固形部および液状部のアセトンを留去し、固形部1を19g、液状部1を480g得た。CLA異性体の結果を表2に、オクタデセン酸異性体の結果を表3に示す。CLAについては固形部、液状部ともに異性体純度に変化は見られず異性体濃縮物は得られなかった。特に、固形部は非常に収量が少ないにもかかわらず異性体濃縮物は得られなかったので、本状件で異性体純度の向上は望めない。オクタデセン酸については、固形部にシス−バクセン酸の濃縮(1.26倍)が見られた。しかし、固形部は収量が非常に低く、これ以上の異性体純度向上は困難である。

Figure 2006131888
Figure 2006131888
比較例2
CLA80HG-1 20gにアセトン60gを加えて溶解し、これを-30℃で一晩冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別し、固形部および液状部のアセトンを留去し、固形部2を6.7g、液状部2を12.5g得た。CLA異性体の結果を表4に、オクタデセン酸異性体の結果を表5に示す。CLAについては、固形部、液状部ともに異性体純度に変化は見られず異性体濃縮物は得られなかった。オクタデセン酸についても、固形部、液状部ともに異性体純度に変化は見られず異性体濃縮物は得られなかった。
Figure 2006131888
Figure 2006131888
比較例3
比較例1で得られた液状部1 10gにアセトン30g加え溶解し、これを-30℃で一晩冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別した後、固形部と液状部のアセトンを留去し、固形部3を4.0g、液状部3を5.5g得た。CLA異性体の結果を表6にオクタデセン酸異性体の結果を表7に示す。CLAについては固形部、液状部ともに異性体純度におおきな変化は見られず、異性体濃縮物は得られなかった。オクタデセン酸についても、固形部、液状部ともに異性体純度におおきな変化は見られず、異性体濃縮物は得られなかった。
Figure 2006131888
Figure 2006131888
比較例4
CLA80HG-2 3500gにアセトン3500gを加えて溶解した。これを攪拌しながら一晩-15℃に冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別し、固形部および液状部のアセトンを留去し、固形部4を230g、液状部4を3260g得た。CLA異性体の結果を表8にオクタデセン酸異性体の結果を表9に示す。
CLAについては固形部、液状部ともに異性体純度に大きな変化は見られず異性体濃縮物は得られなかった。オクタデセン酸については、固形部にシス−バクセン酸の濃縮(1.25倍)が見られた。しかし、固形部は収量が非常に低く、これ以上の異性体純度向上は困難である。








Figure 2006131888
Figure 2006131888
(ii)異性体濃縮方法
異性体分離実験には、添加する飽和脂肪酸の効果をより明確なものにするため、飽和脂肪酸をできるだけ除去したもの、すなわち一度冷却晶析を行い固形部を除去した液状部を用いた。
実施例1
比較例1で得られた液状部1に各種飽和脂肪酸とアセトンを加えて混合溶液を調製し、これらを各温度に冷却しながら一晩静置した。次いでデカンテーションにて固形部と液状部を分離した後アセトンを留去した。晶析条件および収量の結果を表10に、異性体純度や脂肪酸組成の結果を表11に示す。固形部の異性体純度はオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸でおおきな変化が見られ、オクタン酸では9c11t体の異性体濃縮物が、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸では10t12C体の異性体濃縮物が得られた。固形部に濃縮される異性体が、オクタン酸では9c11t体であったが、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸では10t12c体であった。固形部に含まれる添加脂肪酸を見ると、オクタン酸は他の脂肪酸と比較して非常に低い。添加飽和脂肪酸の析出量と異性体の種類に相関が見られた。液状部の異性体純度はオクタン酸、デカン酸でおおきな変化が見られ、オクタン酸では10t12c体の異性体濃縮物が、デカン酸では9c11t体の異性体濃縮物が得られた。










Figure 2006131888
Figure 2006131888
注意)C16:0添加の脂肪酸組成は、添加脂肪酸にC16:0を、C16:0 +C18:0にC18:0の値を示した。
用語の説明 S;固形部 L;液状部
実施例2
比較例4で得られた液状部4 8.0gとヘキサン酸 2.0gにアセトン30g加えて混合溶液を調製し、-30℃で一晩冷却した。次いでデカンテーションにて固形部と液状部を分離した後アセトンを留去した。固形部5を1.7gと液状部5を8.2g得た。結果を表12に示す。固形部の異性体純度に大きな変化がみられた。実施例1のオクタン酸と同様に、固形部には9c11tが濃縮され、添加脂肪酸の析出が非常に少なかった。液状部には、10t12c体が濃縮された。
Figure 2006131888
実施例3
比較例4で得られた液状部4にデカン酸とアセトンを加えて混合溶液を調製し、これらを攪拌しながら各温度にて3時間冷却した。次いで固形部と液状部を減圧濾過にて分離した後にアセトンを留去した。晶析条件および収量の結果を表13に、異性体純度や脂肪酸組成の結果を表14に示す。
液状部4とデカン酸の添加比率(液状部4/デカン酸)が7/3から2/8までの比率では固形部に10t12c体の異性体純度の向上がみられた。特に7/3から4/6の比率で大きな向上が見られた。液状部では7/3から4/6の比率で9c11t体の異性体純度の向上がみられた。特に6/4から4/6の比率で大きな向上が見られた。添加比率が5/5の条件では冷却温度を下げると固形部の10t12c異性体純度が下がるが、液状部の9c11t異性体純度が向上した。
Figure 2006131888
Figure 2006131888
実施例4
比較例4で得られた液状部4とデカン酸を重量比率が6/4になるように測りとり(溶質)、アセトン(溶媒)を加えて混合溶液を調製し、これらを攪拌しながら各温度にて3時間冷却した。次いで固形部と液状部を減圧濾過にて分離した後にアセトンを留去した。晶析条件および収量の結果を表15に、異性体純度や脂肪酸組成の結果を表16に示す。
溶質とアセトンの比率(溶質/アセトン)がどの値でも、固形部では10t12c体の、液状部では9c11t体の異性体純度が向上した。
Figure 2006131888
用語の説明 溶質;液状部4とデカン酸をあわせた量
Figure 2006131888
実施例5
比較例4で得られた液状部4にデカン酸と各種溶剤を加えて混合溶液を調製し、これらを各温度に冷却しながら一晩静置した。次いでデカンテーションにて固形部と液状部を分離した後溶剤を留去した。晶析条件および収量の結果を表17に、異性体純度や脂肪酸組成の結果を表18に示す。
使用した3種類の溶媒すべての固形部の10t12c体の異性体純度の向上がみられた。
Figure 2006131888





Figure 2006131888
実施例6
比較例4で得られた液状部4 10gとオクタン酸 90gにアセトン300gを加えて混合溶液を調整し、これを-25℃にて攪拌しながら10時間冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別した後アセトンを留去し、固形部6を19gと液状部6を78g得た。分析結果を表19に示す。
固形部、液状部ともに異性体純度が変化し、固形部の9c11t体の濃度が大きく向上した。液状部の10t12c体の異性体純度も向上した。
Figure 2006131888
実施例7
液状部1 100gとデカン酸 100gにアセトン600g加えて混合溶液を調整し、これを-35℃にて攪拌しながら3時間冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別した後アセトンを留去し、固形部7を105gと液状部7を95gを得た。結果を表20に示す。固形部、液状部ともに異性体純度が大きく変化し、固形部に10t12C体が液状部に9c11t体が濃縮され、それぞれの異性体濃縮物を得た。



Figure 2006131888
実施例8
実施例7で得られた固形部7から70gをはかりとり、温度100から150℃、真空度3torrにてデカン酸を留去し、濃縮物1を31g得た。結果を表21に示す。中鎖脂肪酸の除去工程では異性体純度に変化はなく分解や異性化は見られなかった。CLA80HG-1と比較すると濃縮物1の10t12c純度は1.4倍に上昇しているが、共役脂肪酸濃度はわずかに低下している。これはパルミチン酸、ステアリン酸が固形部へと濃縮されたためである。濃縮原料に含まれる飽和脂肪酸は少ない方が望ましい。
Figure 2006131888
実施例9
実施例7で得られた液状部7から70gをはかりとり、温度100から150℃、真空度3torrにてデカン酸を留去し、濃縮物2を31.5g得た。結果を表22に示す。中鎖脂肪酸の除去工程では異性体純度に変化はなく分解や異性化は見られなかった。CLA80HG-1と比較すると濃縮物2の9c11t純度は1.44倍に上昇している。
Figure 2006131888
実施例10
液状部4 50gとデカン酸 50gにアセトン300g加えて混合溶液を調整し、これを-35℃にて攪拌しながら3時間冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別した後アセトンを留去し、固形部8を53gと液状部8を46gを得た。CLA異性体の濃縮結果を表23に、オクタデセン酸異性体の濃縮結果を表24に示す。
共役リノール酸の異性体については、固形部、液状部ともに異性体純度が大きく変化し、固形部に10t12C体が液状部に9c11t体が濃縮され、それぞれの異性体濃縮物を得た。
オクタデセン酸の異性体については、固形部のシス−バクセン酸(n11)の異性体純度が大きく向上(1.79倍)し、その向上率は、固形部の収率が50%以上と非常に高いにもかかわらず、比較例1や4で見られた濃縮効果(1.26倍)よりも高かった。
Figure 2006131888
Figure 2006131888
実施例11
実施例10で得られた固形部8 53gにアセトン159g加えて混合溶液を調整し、これを-35℃にて攪拌しながら3時間冷却した。次いで減圧濾過にて固形部と液状部に分別した後アセトンを留去し、固形部9を15gと液状部9を37gを得た。結果を表25に示す。固形部、液状部ともに異性体純度が変化し、固形部に10t12C体が液状部に9c11t体が濃縮された。晶析および固液分離を繰り返した結果、固形部の10t12c体異性体純度は更に向上し、高度に濃縮された(1.73倍)濃縮物を得た。
Figure 2006131888
カッコ内の数字は、液状部4と比較した場合の異性体純度向上倍率
実施例12
攪拌機付き反応容器に、グリセリン2g及び実施例4で得た共役脂肪酸混合物18gを加え、これに、撹拌下、リパーゼQLM 40mg、リパーゼRM 160mgを添加した。60℃で10トールにて24時間反応させ、トリグリセライド18gを得た。得られたトリグリセライドはトリグリセライド濃度95%、酸価3.1であった。

Claims (22)

  1. 16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
    混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
    異性体(a)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
    を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法。
  2. 16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも3種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも3種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a1)及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
    混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
    異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
    を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法。
  3. 16以上の共役不飽和脂肪酸であって少なくとも2種の異性体を含む混合物、及びシス二重結合を有するC16以上の不飽和脂肪酸であって少なくとも2種のシス位置異性体を含む混合物からなる群から選択される混合物(A)から所望の異性体(a1)を濃縮した濃縮物及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物を製造する方法であって、
    混合物(A)とC4-C14の飽和脂肪酸(B)1種以上とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶を析出させるか、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、及び
    異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶及び異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な溶液を得るため、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶及び異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な溶液を得るための固液分離処理工程
    を含むことを特徴とする前記濃縮物の製造方法。
  4. 固液分離処理工程後、飽和脂肪酸(B)を除去処理する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 混合物(A)及び飽和脂肪酸(B)1種以上を混合する際に有機溶媒を用いる請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 固液分離処理工程後、有機溶媒及び飽和脂肪酸(B)を除去処理する工程を含む請求項5に記載の製造方法。
  7. 混合物(A)と飽和脂肪酸(B)1種以上との混合割合が、混合物(A)100質量部に対して飽和脂肪酸(B)1種以上が1質量部以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 異性体(a)、異性体(a1)又は異性体(a2)が4〜16位にシス配置を有する不飽和脂肪酸である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 混合物(A)が、シス配置の位置が異性体(a)、異性体(a1)又は異性体(a2)と2位以上異なる不飽和脂肪酸を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 混合物(A)が共役リノール酸の少なくとも2種の異性体を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 混合物(A)が9−シス,11−トランス共役リノール酸及び10−トランス,12−シス共役リノール酸を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 飽和脂肪酸(B)がC6-C14の飽和脂肪酸である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 飽和脂肪酸(B)がC8又はC10の飽和脂肪酸である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 異性体(a)、異性体(a1)又は異性体(a2)が共役リノール酸である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 異性体(a)、異性体(a1)又は異性体(a2)が9−シス,11−トランス共役リノール酸又は10−トランス,12−シス共役リノール酸である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 請求項1、4〜15のいずれか1項に記載の製造方法により得られた濃縮物と、飽和脂肪酸(B)1種以上及び/又は有機溶媒とを混合して異性体(a)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、
    異性体(a)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
    を1回以上繰り返すことを特徴とする異性体(a)を濃縮した濃縮物の製造方法:ここで、前記固液分離処理工程後に、飽和脂肪酸(B)及び/又は有機溶媒を除去処理する工程を含んでもよい。
  17. 請求項2、4〜15のいずれか1項に記載の製造方法により得られた濃縮物と、飽和脂肪酸(B)1種以上及び/又は有機溶媒とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を析出させるか、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、
    異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ結晶を得るため、又は異性体(a1)及び異性体(a2)が希薄な結晶を取り除いて異性体(a1)及び異性体(a2)に富んだ溶液を得るための固液分離処理工程
    を1回以上繰り返すことを特徴とする異性体(a1)及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物の製造方法:ここで、前記固液分離処理工程後に、飽和脂肪酸(B)及び/又は有機溶媒を除去処理する工程を含んでもよい。
  18. 請求項3〜15のいずれか1項に記載の製造方法により得られた1種の濃縮物と、飽和脂肪酸(B)1種以上及び/又は有機溶媒とを混合して異性体(a1)及び異性体(a2)が溶解した混合溶液を得る工程、
    該混合溶液から、異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶を析出させるか、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶を析出させる晶析処理工程、
    異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な結晶及び異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な溶液を得るため、又は異性体(a2)に富み、かつ、異性体(a1)が希薄な結晶及び異性体(a1)に富み、かつ、異性体(a2)が希薄な溶液を得るための固液分離処理工程
    を1回以上繰り返すことを特徴とする異性体(a1)を濃縮した濃縮物及び異性体(a2)を濃縮した濃縮物の製造方法:ここで、前記固液分離処理工程後に、飽和脂肪酸(B)及び/又は有機溶媒を除去処理する工程を含んでもよい。
  19. 前記有機溶媒がアセトンまたはヘキサンである、請求項5〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 混合物(A)中の飽和脂肪酸濃度が20質量%以下である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. アルコール性水酸基を分子内に少なくとも1つ有する化合物を、請求項1〜20のいずれか1項記載の製造方法によって得た不飽和脂肪酸濃縮物でエステル化することを特徴とするエステル化物の製造方法。
  22. アルコール性水酸基を分子内に少なくとも1つ有する化合物がグリセリンである請求項21記載の製造方法。
JP2005272534A 2004-10-08 2005-09-20 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法 Active JP4931391B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005272534A JP4931391B2 (ja) 2004-10-08 2005-09-20 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法
TW094134991A TWI372781B (en) 2004-10-08 2005-10-06 Method for preparing concentrates of unsaturated fatty acids
MYPI20054729 MY139391A (en) 2004-10-08 2005-10-07 Process for producing concentrate of unsaturated fatty acid

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004296617 2004-10-08
JP2004296617 2004-10-08
JP2005272534A JP4931391B2 (ja) 2004-10-08 2005-09-20 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006131888A true JP2006131888A (ja) 2006-05-25
JP4931391B2 JP4931391B2 (ja) 2012-05-16

Family

ID=36725718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005272534A Active JP4931391B2 (ja) 2004-10-08 2005-09-20 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4931391B2 (ja)
MY (1) MY139391A (ja)
TW (1) TWI372781B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016034284A (ja) * 2011-03-03 2016-03-17 テルサス ファーマシューティカルズ リミテッド ライアビリティ カンパニー C16:1n7−パルミトレアートを含む組成物および方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58198423A (ja) * 1982-05-12 1983-11-18 Nippon Oil & Fats Co Ltd 油脂の分別法
JPH0776549A (ja) * 1993-09-08 1995-03-20 Chikyu Kankyo Sangyo Gijutsu Kenkyu Kiko 脂肪酸の分離方法
JP2000044983A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Maruha Corp 二重結合を有する脂肪酸またはその誘導体の精製法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58198423A (ja) * 1982-05-12 1983-11-18 Nippon Oil & Fats Co Ltd 油脂の分別法
JPH0776549A (ja) * 1993-09-08 1995-03-20 Chikyu Kankyo Sangyo Gijutsu Kenkyu Kiko 脂肪酸の分離方法
JP2000044983A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Maruha Corp 二重結合を有する脂肪酸またはその誘導体の精製法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016034284A (ja) * 2011-03-03 2016-03-17 テルサス ファーマシューティカルズ リミテッド ライアビリティ カンパニー C16:1n7−パルミトレアートを含む組成物および方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4931391B2 (ja) 2012-05-16
TWI372781B (en) 2012-09-21
MY139391A (en) 2009-09-30
TW200626711A (en) 2006-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9556401B2 (en) Method for producing EPA-enriched oil and DHA-enriched oil
EP3294850B1 (en) Very long chain polyunsaturated fatty acids from natural oils
EP2585570B1 (en) Process for separating polyunsaturated fatty acids from long chain unsaturated or less saturated fatty acids
US20010023259A1 (en) Conjugated fatty acids and related compounds
JP2003500082A (ja) 蒸留−酵素的エステル交換の組合せによるポリ不飽和脂肪酸エステルの濃縮及び精製
WO2014054435A1 (ja) 高度不飽和脂肪酸アルキルエステル含有組成物の製造方法
JP2013151689A (ja) Dhaを含有する脂肪酸組成物を製造する方法
Senanayake et al. Concentration of docosahexaenoic acid (DHA) from algal oil via urea complexation
JP4978751B2 (ja) リン脂質の製造方法
KR101189886B1 (ko) 불포화지방산 농축물의 제조방법
US20110033595A1 (en) Fatty acid fractionation process, fatty acid products and use thereof
Vali et al. An efficient method for the purification of arachidonic acid from fungal single-cell oil (ARASCO)
JP5481903B2 (ja) 高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法
JP4931391B2 (ja) 不飽和脂肪酸濃縮物の製造方法
Cervera et al. Acyl migration evaluation in monoacylglycerols from Echium plantagineum seed oil and Marinol
JP5016483B2 (ja) 共役脂肪酸濃縮物の製造方法
JP6464144B2 (ja) ステアリドン酸の精製方法
EP2464240A1 (en) Phytanic acid fractionation process, fatty acid products and use thereof
EP2758480B1 (en) Edible oil with a high concentration of poly-unsaturated fatty acids
Rastegari et al. Fractionation of fish waste oil through low-temperature crystallization in acetone followed by urea complexation
JP2024004585A (ja) ω-3高度不飽和脂肪酸含有組成物の製造方法
KR20140003437A (ko) 다중불포화 지방산을 금속 수소화물로 안정화시키는 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110613

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4931391

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250