JP2006131477A - ガラス繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス繊維表面に平滑性を付与し、摩擦による毛羽を減少し、熱硬化性樹脂の含浸性に優れたガラス繊維、特にロービングクロス用ガラス繊維として好適なガラス繊維を提供する。
【解決手段】本発明のガラス繊維は、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む組成物によりガラスの表面が保護されており、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であるものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のガラス繊維は、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む組成物によりガラスの表面が保護されており、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、ロービングクロス等の織物として使用される複合材料用のガラス繊維に関し、特にFRP用のガラス繊維に関する。
一般に、Eガラス製のガラス繊維からなる合糸ロービングやガラスシングルエンドロービング(DWR)を用いたロービングクロスは、FRP製品の補強材として広く一般に使用されている。ロービングクロスは、ガラス繊維を均質にFRPの樹脂中に導くことができる材料であるため、特に高い強度が必要とされるFRP製品に使用されている。
また、近年では耐アルカリガラス製のガラス繊維よりなるロービングクロスは、セメント系材料の補強、クラックの抑制を目的とし、セメント系構造部材に使用されるようになっている。ロービングクロスを製織する場合、ガラスロービングにはテンションを加えた状態、すなわち引張応力がロービング長手方向に作用した状態で複数のガイドを通過し、織機に供給される。このテンションが大きい程、ガイドを通過する際にガラスロービングからの毛羽発生量が多くなり、ロービングクロスの品質低下を招くものとなる。そして毛羽発生量の多いガラスロービングよりなるロービングクロスは、多くのガラス繊維が切断されており、引張強度が弱く、このようなロービングクロスを使用したFRP製品やセメント系製品は、機械的強度特性が低下してしまう。
このような毛羽発生の機会は、ロービングクロスの製織時だけではなく、例えばFRPの引抜き成形を行う場合、あるいはフィラメントワインド成形(FW成形)など連続繊維として成形される場合のように、大きなテンションがロービングに加わる工程で、上記と同様に発生確率が高くなる。このため連続繊維として使用されるガラスロービングについては、摩擦によって発生する毛羽量を如何に抑制することができるかが最も重要な課題の一つである。
このような課題を克服するため特許文献1では、撚糸機に装着されたケーキに水を噴霧することで毛羽発生を抑制できるとする改善技術が公開されている。さらに特許文献2では、ガラス繊維の巻き取り装置に改善を施すことによって毛羽発生や糸切れを防止する内容の工夫が行われている。また特許文献3では、FW成形に供される装置について、ガラスロービングを供給する際の折れ曲がりを防止することによって毛羽や切れの発生を防止する繊維強化樹脂製品の製造装置についての発明が行われている。そして、特許文献4では、毛羽の発生を抑制するために、ガラス繊維表面に塗布するサイジング剤への可塑剤、ワックスなどの潤滑剤の添加が有効であるとする発明が開示されている。
特開平6−136623号公報
特開平8−290869号公報
特開平10−695号公報
特開2003−277103号公報
しかしながらこれまでに行われた各種の改善だけでは毛羽の発生を抑制する効果が充分ではなく、さらなる改善の余地があった。例えば、特許文献4のサイジング剤への潤滑剤の添加は、毛羽の発生を抑制する上で効果的ではあるが、充分な平滑性を実現できなくなるといった問題もあるので、その機能を補完するためにサイジング剤のフィルム形成剤の変更により、平滑性の向上を試みる必要があった。この場合、特にFRP製品を構成するマトリックス成分の含浸性に大きく影響を及ぼし、両者を満足するフィルム形成剤或いは配合条件の設定のための調査等の労力を必要とした。また、特にジルコニアを含む耐アルカリガラス製のガラス繊維はEガラス製のガラス繊維と比較してガラスの耐クラック性が低く、摩擦による毛羽の発生が多いため、より高い表面の平滑性が要求される。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ガラス繊維表面に平滑性を付与し、摩擦による毛羽を減少させ、熱硬化性樹脂の含浸性に優れたガラス繊維を提供することを目的とし、特にロービングクロス用として好適なガラス繊維を提供することを課題とするものである。
本発明のガラス繊維は、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されており、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であることを特徴とする。
ここで、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されているとは、ポリオレフィン系炭化水素であって、その熱的な性質の軟化点が90℃以上である有機物を乾燥状態における計測では質量百分率表示で10%以上である樹脂組成物によってガラス繊維の表面を被覆した状態で保護機能を発揮させたものであることを意味している。また、乾燥状態におけるとは、質量百分率表示で0.3%以下の水分量となった状態を表すものである。
ポリオレフィン炭化水素としては、特に剛性に富むものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などあるが、マレイン酸、無水マレイン酸、カルボン酸、アクリル酸、グリシジルメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸スチレンスルホン酸等で変性されたポリプロピレン、ポリエチレン樹脂が最適である。
また、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であるガラス繊維とは、上記のポリオレフィン炭化水素を含む保護膜により被覆されたガラス繊維を25℃±5の温度で60分間、スチレンモノマー溶媒中に浸漬することによって、その後の質量減量率、即ち浸漬前に対する浸漬後の減量値の差が浸漬前に対して20%以上の値となることを意味するものである。
スチレンモノマーへの溶解性が向上すると、数百〜数千のモノフィラメントで構成されるガラスロービング内に樹脂が侵入しやすくなり、ガラスモノフィラメント表面に樹脂が接触しやすくなり、ガラス繊維と樹脂との接着性が向上し、硬化後の繊維補強複合材の機械的強度特性が優れたものとなる。スチレンモノマーへの溶解性を表す尺度としては、質量減少率が20%以上であることが好ましく、40%以上であると硬化後の繊維補強複合材の機械的強度特性の他に、繊維補強複合材の透明性が向上し、外観品位が向上するためより好ましい。スチレンモノマーへの溶解性を向上させる具体的な方法としては、例えば上記ポリオレフィン炭化水素は溶解性に劣るため、スチレンモノマーに1時間浸漬後の質量減少率が20%以上となるように溶解性の優れた樹脂を選択すると良い。具体的にはポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また本発明のガラス繊維は、上記に加えガラス転移温度が10℃以下の樹脂を乾燥状態で20質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されていれば、ポリオレフィン炭化水素による表面の平滑性に加えて柔軟性が備わり、さらにガラスロービングの毛羽の発生を抑制することができる。
軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素は、被膜表面の強度が硬いことで表面の平滑性が著しく向上する反面、脆い被膜特性を有するため、限界を超えた摩擦応力を受けることによって破壊の起点が形成されると、その起点から簡単に被膜破壊を生じ易くなる虞もあり、度重なる摩擦力の印加に対して充分な機能を発揮しにくくなる場合もある。
特にロービングがクロスの経糸として製織される場合には、ガラス繊維に過剰なせん断応力が働き、モノフィラメント化しやすく、製織が困難になる場合もある。このような場合であっても、ガラス転移温度が10℃以下の保護樹脂を20質量%以上添加した樹脂組成物によりガラスの表面が保護されている本発明のガラス繊維であれば、強靱な被膜に柔軟性が付与され、皮膜のタフネスが向上し、平滑性を維持しながら摩擦による被膜破壊が発生しにくくすることが可能であり、特に剪断応力のかかる部位などでガラスロービングからの毛羽の発生を抑制することができる。なお、本発明のガラス繊維を保護する樹脂組成物としては、ガラス転移温度が10℃以下であって、10〜30℃の温度範囲で成膜しない可流動性状態の樹脂であることが好適である。
さらに、本発明のガラス繊維を保護する樹脂組成物については、上記スチレンモノマーへの溶解性を考慮し、スチレンモノマーへの質量減少率が20%以上となるように溶解性の優れた保護樹脂を選択すると良い。具体的にはポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましく、可塑剤の添加されたタイプでも問題ない。
またシランカップリング剤については、ガラス繊維表面に均一な保護層を形成し、ガラス繊維を保護すると同時に、樹脂組成物中の樹脂成分またマトリックス成分との接着性を良好にすることから本発明の保護樹脂組成物中に添加するのが好ましい。シランカップリング剤としては、ウレイドシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤などがあるが、カップリング剤の種類は特に限定されず、マトリックスとの相性により選択することができる。
また本発明のガラス繊維は、上記の樹脂組成物をガラス繊維表面に0.2質量%から2質量%を塗布するとよい。0.2質量%に満たないとサイジング剤フィルムによる集束効果が不十分となり、モノフィラメント化し易くなって毛羽の発生を誘発する、あるいは織機によって製織する際に均一なテンションが加わりにくくなるため好ましくない。また2質量%を越えると、ガラス繊維表面に形成された組成物フィルム層が厚くなるため、スチレンモノマーへの溶解性が著しく低下する。そして上記の性能をより高い状態で安定したものとするためには、0.3質量%から1質量%の範囲で樹脂組成物をガラス繊維表面に塗布するとより好ましい。
また、本発明のガラス繊維は、上記に加え軟化点90℃以上のポリオレフィン炭化水素が酸変性ポリプロピレン樹脂または酸変性ポリエチレン樹脂であることが好適である。
ここで酸変性ポリプロピレン樹脂または酸変性ポリエチレン樹脂とは、通常のポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂に対してマレイン酸等のカルボニル結合を構造式中に有する成分を意図的に添加し、その性状を改質した樹脂である。本発明にこれらの成分を有する樹脂を使用することで、種々の用途で要求される強度に対応することのできる高い強度特性を有するガラス繊維とすることが可能となるため好適である。
また、ここで酸変性ポリプロピレン樹脂または酸変性ポリエチレン樹脂については、その分子構造や繰り返し単位構造等に特に限定は行わない。側錯の長さや付加重合反応物等の種別についてもどのようなものであっても使用することができる。
また、本発明のガラス繊維は、ガラスがZrO2を14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラスであることが好適である。
ここでガラスがZrO2を14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラスであるとは、ガラス構成成分中のZr(ジルコニウム)成分を酸化物換算の質量百分率表示で表した場合に、ガラス組成中に14%以上を含有することであって、耐アルカリ性ガラスとは、コンクリートなどのアルカリ環境下にガラス表面が暴露された状態であっても、実質的にその表面性状が経時的に化学的な劣化反応を生じず、ガラス繊維そのものの機械的な強度特性の低下をきたす虞の少ないガラス材質を意味するものである。
ここで、耐アルカリ性ガラスの一例を具体的に例示すると、そのガラス組成は、例えば質量%で、SiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、R(ただし、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す。) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al2O3 0〜2%であり、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、R(ただし、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す。) 0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al2O3 0〜1%という組成が好適である。
また、本発明のガラス繊維は、ガラス繊維の形態に特に限定を行うものではない。すなわち、ガラス繊維が長繊維であっても短繊維であってもよく、さらにそのガラス繊維の直径、形状についてもガラス繊維の用途等から使用可能な直径、形状を有するものであれば、支障はない。ただFRPとして成形体を形成する用途で使用される場合であれば、特にガラス長繊維として利用されることによって、一層好適な性能を実現できるものである。
また、本発明のガラス繊維は、上記に加えガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形体に使用されるものであることが好適である。
ここで、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形体とは、ガラス繊維を含有する熱硬化性樹脂よりなる物品であって、ガラス繊維の含有量と最適な樹脂材質の選択を行うことによって、必要となる化学的、物理的な各種の機能を発揮することができるものである。
本発明のガラス繊維は、利用に当たって異なる複数のガラス繊維を併用することが可能であって、樹脂の表面への塗布の方法についてガラス繊維の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
本発明で前記した軟化点は、樹脂が容易に変形し始める温度のことであって、JIS K7206に規定されているビカット針入試験や、マルテンス耐熱試験、環球法、加熱温度歪試験などの公知の測定方法、試験装置を使用することによって決定することができる。
また、前記したガラス転移点についても、示差走査熱量計等の公知の測定方法を使用することによって計測することができる。
(1)以上のように本発明のガラス繊維は、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されており、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であるため、摩擦等がガラス繊維に加わる場合であっても、毛羽の発生量を低く抑え、安定した高い機械的強度を堅持することができ、外観品位についても優れたものである。
(2)また本発明のガラス繊維は、ガラス転移温度が10℃以下の樹脂を乾燥状態で20質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されているものであれば、ガラス繊維表面の平滑性に加え、ガラス繊維束の柔軟性を高い品位で達成することができるものであって、摩擦等による剪断応力の印加に対しても高い耐性を実現することが可能である。
(3)さらに本発明のガラス繊維は、軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素は、酸変性ポリプロピレン樹脂または酸変性ポリエチレン樹脂であれば、ガラス繊維表面のフィルムの軟化温度が高くなり、一層高い耐摩擦性を実現することのできるものとなる。
(4)また本発明のガラス繊維は、ガラスがZrO2を14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラスであれば、摩擦によってクラック等の発生し易い状況で使用される用途に適用される場合であっても、高い耐久性を実現し、設計上望まれる所望の機能を確実に達成することが可能となるものである。
(5)また本発明のガラス繊維は、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形体に使用されるものであれば、例えばロービングクロスとして積層形成する用途や引き抜き成形する用途、さらにFW成形する用途等として好適なものである。
以下に本発明のガラス繊維とそれを用いた樹脂成形体について、実施例に基づいて具体的に説明する。
表1に本発明の実施例のガラス繊維を示す。表中に、ガラス組成として「AR」と表記したのは、耐アルカリガラス組成であって、「E」と表記したのは、いわゆるEガラス組成のガラス繊維を表している。
表1に示した構成のガラス繊維は、以下の手順によって作製したものである。まず、ガラス溶融炉からブッシング装置を使用して、ガラス繊維として、表1に「AR」と表記した耐アルカリガラス繊維(質量百分率表記でSiO2 61.0%、ZrO2 19.5%、Li2O 1.5%、Na2O 12.3%、K2O 2.6%、CaO 0.5%、TiO2 2.6%)と、「E」と表記したEガラス繊維(質量百分率表記でSiO2 58.1%、Na2O 0.3%、K2O 0.1%、CaO 24.2%、TiO2 0.2%、MgO 1.3%、SrO 0.1%、Al2O3 8.6%、B2O3 7.1%)のガラスロービングを成形し、それぞれ必要量だけ準備した。
また、質量百分率表示で0.3%以下の水分量となった状態で表1の構成となるように各種のサイジング剤を準備した。尚、ポリエステル樹脂については、ガラス転移温度が−15℃とガラス転移温度が45℃の2種類のポリエステル樹脂を、酸変性ポリプロピレン樹脂としては、軟化点が165℃の無水マレイン酸変性ポロプロピレン樹脂を使用し、酸変性ポリエチレン樹脂としては、軟化点が110℃無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を使用した。また、エポキシ樹脂としてはガラス転移温度が−25℃とガラス転移温度が23℃のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を使用し、ポリ酢酸ビニル樹脂としてはガラス転移温度が15℃のポリ酢酸ビニル樹脂を使用した。さらに、カップリング剤としてアミノシランカップリング剤(日本ユニカ(株)製)を使用し、ポリアミン滑性剤としてはポリアルキルポリアミンアルキルアマイド誘導体を使用した。
そしてこれら調整したサイジング剤を、各ガラス繊維の表面に、No.1〜No.11のガラス繊維となるように、すなわち表1の乾燥後の表面保護組成物或いは強熱減量になるように予め調整してロール法で塗布した後、各ガラス繊維を800本集束して、DWRの形態に巻き取り、ガラスロービングを得た。以上の方法によって得られたガラス繊維の外形は、その繊維モノフィラメント直径がいずれも13μmで、番手が280〜310テックス(tex)である。
こうして得られたDWRを加熱条件130℃、10時間で乾燥し、DWRの最内外層各500gのガラスロービングを除去してから、毛羽の発生量の評価を行った。毛羽発生量の評価試験については、その概念説明図を図1に示す。
図1に示したように真鍮製の3本のバーテンサーLと1本の補助バーテンサーPを使用し、その内2本の水平保持されたバーテンサーLの中心間距離Wを40mmで固定し、その2本から互いに20mmにある位置を起点としてその起点から3本目のバーテンサーLまでの寸法を300mm離れた状態で固定し、走行速度Vが300m/minでしごきを掛けながら300mmの長さのガラスストランドGを走行させて巻き取り操作を行った。そして、この操作の際に発生したテンションバーL直下に堆積するストランドからの毛羽Mとバーテンサーに絡みついたガラスストランドの毛羽Mを採取し、合わせてガラス毛羽Mの量を計測することによって毛羽発生量とした。
また、ガラス繊維のスチレンモノマーへの浸漬後の質量減少率の計測については、常温に設定した純度95%以上のスチレンモノマーにガラスロービング約15gを1時間浸漬し、スチレンモノマーからガラス繊維を取りだし、スチレン臭がなくなるまで風乾して数1に従う計算式によって算出を行った。また、強熱減量の計測は、JIS R3420(1999)に従い計測したものである。
また、強度試験については、各ガラスロービングとビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製リポキシR802)を使用し、ガラス繊維を50体積%含む直径6mmのFRPロッドを引抜き成形により作製して試験体とした。そして曲げ強度はこのFRPロッドの試験体を70mm長に裁断し、(株)島津製作所製オートグラフ強度試験装置を使用して、支点間距離50mmで試験速度1.3mm/minの3点曲げ試験を実施し、曲げ強度を測定した。
以上の評価の結果、本発明の実施例である試料No.1〜No.14については、スチレン溶解性について、最も少ない値の試料No.7でも21%であって、他の試料は25〜57%と20%以上の数値を示すものであった。そして、これらの試料の毛羽評価試験での試験結果は、毛羽発生量が0〜3mgと極めて少なく、毛羽の生じにくい状態にあることが明瞭となった。また曲げ強度の試験結果についても、782〜826MPaという高い数値となることが判明した。
一方、比較例として、表2に示すような構成となるように、試料No.15〜No.20を準備した。試料No.15〜No.20については、実施例と同様の手順でガラス繊維を成形し、さらに表2のサイジング剤を調整して、その所定量をガラス繊維表面に実施例と同様に塗布した。また各種の評価試験の試験方法についても、実施例と同様の設定と仕様に従って評価を行った。
その結果、表2に示すように、本発明の実施例で用いたポリオレフィン炭化水素が10質量%以下の比較例の試料No.15、No.18、No.19は、樹脂の粘着性が高く、毛羽評価試験での毛羽の発生量が39mg〜98mgと非常に多く、またNo.16は、ガラス転移温度が高い樹脂を使用しているため、毛羽評価試験での毛羽の発生量が102mgと非常に多く、実使用する場合には多数の毛羽が問題となる虞があり、本発明には適さない品位であることが判明した。
また比較例の試料No.17は、本発明の実施例で用いたポリオレフィン炭化水素を20質量%以上含んでいる試料であるが、同時にガラス転移温度が高い樹脂を使用しているため、毛羽評価試験での毛羽の発生量が多く、スチレンモノマーへ浸漬した後の質量減少率も低いため、FRPの曲げ強度が低い結果となった。
さらに、比較例の試料No.20は、本発明の実施例で用いたポリオレフィン炭化水素を10質量%以上含んでおり、毛羽評価試験での毛羽発生量が8mgと少ないが、スチレンモノマーへ浸漬した後の質量減少率が19%と低くなるように樹脂を塗布したため、FRPの曲げ強度が低い結果となった。
以上のように、実施例である試料No.1〜No.14と比較例であるNo.15〜No.20とを比較することによって、本発明のガラス繊維の毛羽発生量が少なく、曲げ強度の高い樹脂成形体を形成することのできるガラス繊維であることが明らかなものとなった。
本発明のガラス繊維は、毛羽発生量が少なく、上記以外のステッチや熱硬化性及び熱可塑性樹脂をマトリックスとしたテープやテープ状プリプレグにも適した性状を有するものである。
C 3本目のバーテンサーまでの寸法
G ガラスストランド
L バーテンサー
M バーテンサーによるしごき操作で発生する毛羽
P 補助バーテンサー
V ストランド走行方向
W 水平保持されたバーテンサーの中心間距離
G ガラスストランド
L バーテンサー
M バーテンサーによるしごき操作で発生する毛羽
P 補助バーテンサー
V ストランド走行方向
W 水平保持されたバーテンサーの中心間距離
Claims (5)
- 軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素を乾燥状態で10質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されており、常温のスチレンモノマーに1時間浸漬した後の質量減量率が20%以上であることを特徴とするガラス繊維。
- ガラス転移温度が10℃以下の樹脂を乾燥状態で20質量%以上含む樹脂組成物によりガラスの表面が保護されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維。
- 軟化点が90℃以上のポリオレフィン炭化水素は、酸変性ポリプロピレン樹脂または酸変性ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス繊維。
- ガラスがZrO2を14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラスであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガラス繊維。
- ガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形体に使用されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガラス繊維。
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JP (1) | JP2006131477A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008255549A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-10-23 | Nippon Electric Glass Co Ltd | メッシュ状織物及び建造物用の複合構成体 |
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2004
- 2004-11-09 JP JP2004324971A patent/JP2006131477A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008255549A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-10-23 | Nippon Electric Glass Co Ltd | メッシュ状織物及び建造物用の複合構成体 |
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