JP2006131252A - 空気緩衝材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 比較的大型で様々な寸法や形状を有する被梱包体を、コンテナーなどの搬送容器に収納して、過酷な条件の中でも安定的に輸送することが可能な、断熱・耐候性に富み、耐衝撃性と突き刺し防止性に優れる空気緩衝材を提供する。
【解決手段】 梱包される被梱包体と搬送容器内壁の間に介在するか、若しくは被梱包体同士の間に介在して、衝撃などの外力から該被梱包体を保護するための空気緩衝材であって、該空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側が発泡ポリエチレン樹脂(PPE)若しくはポリエチレン不織布(PE不織布)によって形成される多層構造の合成樹脂シート体である空気緩衝材。
【選択図】図3
【解決手段】 梱包される被梱包体と搬送容器内壁の間に介在するか、若しくは被梱包体同士の間に介在して、衝撃などの外力から該被梱包体を保護するための空気緩衝材であって、該空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側が発泡ポリエチレン樹脂(PPE)若しくはポリエチレン不織布(PE不織布)によって形成される多層構造の合成樹脂シート体である空気緩衝材。
【選択図】図3
Description
本発明は、バンパー、ドアー、ボンネット等の各種自動車用部品、パソコン、各種オーディオ、DVD機器、各種OA機器等からなる、比較的大型で形状の定まらない各種製品や部品等からなる被梱包体を梱包して、過酷な状況の中を長期間に亘って搬送する際に好適に用いられる梱包用部材に係り、詳しくは搬送される被梱包体と収納する搬送容器間、若しくは被梱包体同士の間に介在して、衝撃等の外力から被梱包体を保護するための空気緩衝材において、該空気緩衝材を形成する合成樹脂製素材を、特殊な構成とすることによって、その耐候性や耐熱性に止まらず、耐衝撃性にも優れた性能を示す空気緩衝材に関する。
従来、定形の量販製品の梱包には、発泡スチロールの成形品が使用されているが、幅広い用途に向けたパッキング材または緩衝材としては新聞紙や布、チップ状の発泡スチロール、バブルフイルムなどが梱包品の形状に関係なく使用できるために重宝されていた。
しかしながら上記の各緩衝部材において、例えば発泡スチロールの成形品は個々の製品に対応して専用のものが使用されるため、使用後は廃棄処分する以外、他に用途変換が望めず、また、汎用性において優れるチップ状の発泡スチロール、バブルシート(エアーキャップ)および新聞紙や布等においても、最終的に廃棄物として処理する際には相当の物量になり、近年の地球環境保護や省エネルギーの観点からは、安易に看過できない問題となっている。
そこで最近になって、2枚合わせにした合成樹脂フィルムの外縁部を熱シールして袋状とし、その一端に特殊な逆止弁機能を有する空気注入口を設けた袋状空気緩衝材(例えば、特許文献1参照)や、前記袋状緩衝材の内側に線状若しくは点状の溶着線を設け、複数の小気室からなるエアーマット状緩衝材(例えば、特許文献2参照)が開発され、3Kpa/cm2〜5Kpa/cm2の空気圧力を封入した薄膜合成樹脂製の袋状空気緩衝材として、既に広く用いられている。この袋状空気緩衝材は、梱包材としての汎用性を維持しつつ各種部品や製品の保護包装用、雑貨品の隙間充填材や資材の緩衝材として優れた特性を有し、また、その使用法が簡単であると共に、不使用時にはシート状に折り畳まれ、収納スペースもコンパクトとなり、廃棄処理も容易で簡便性にも優れている。
ところが前記合成樹脂製袋状空気緩衝材は、様々な形状を有する多品種の部品や製品からなる被梱包体に対応するチップ状の発泡スチロールやバブルシートの代用として用いる範囲においては、上記のように優れた特性を有するが、外形が方形若しくは多角形で特定の厚みを有する精密部品、衝撃に弱いガラス製品、或いは傷つき易い円筒状若しくは円柱状貨物等を安定的に梱包し、搬送容器等に収納して過酷な条件下で輸送する際には、その信頼性に若干の不安が残り、それを払拭するために必要以上に多量の袋状空気緩衝材を用いることとなり、それによって搬送容器の大型化を招く原因となっていた。また、該袋状空気緩衝材は搬送する製品などと包装容器間の様々の間隙を補うために、個々にはコンパクトであることが望ましく、且つ封入するエアーも比較的低い圧力であることが要求されていた。従って気温の変化が激しい地域、例えば寒冷地における長時間の輸送や保管に際しては、該袋状空気緩衝材の空気圧が減少したり、逆に高温地帯においては該袋状空気緩衝材が破裂して、緩衝材として機能をしなくなったりするなど、新たな問題が生じていた。
そこで近時、精密部品等の被梱包体を空気緩衝材でそっくり包み込むようにして搬送容器との間に介在し、安定的な緩衝機能を発揮する空気緩衝材も多々提案されている。一例をあげると横方向に連なる複数の長尺状空気室を有する合成樹脂製空気緩衝材の、該長尺状空気室を筒状に折り曲げると共に、その部分溶着部を折り曲げることにより、終局的には被梱包体全体を該空気室で覆う空気緩衝材(例えば、特許文献3参照)や、左右方向に連続した小胞という空気室が設けられ、空気が充填された際に該空気室の中間部分と両端部との境目に段差が形成される巻き付け型の空気緩衝材(例えば、特許文献4参照)が提案され、前者においては被梱包体を当該緩衝材によってそっくり包み込み、後者においてはその段差部によって被梱包体の周辺を支えながら包みこんだり、場合によっては左右から挟持する方式の空気緩衝材が提案されている。
特公平7−117171号公報(第1〜3頁、図2)
実開平6−37149号公報(第1〜5頁、図4)
特開2003−137352号公報(第1〜8頁、図1〜15図)
特開2003−63567号公報(第1〜7頁、図1〜7図)
通常、各種製品等を船舶や飛行機によって長時間輸送する際は、コンテナーによって運搬されるが、このコンテナー内における荷崩れは、外見上では発見されないために大きな事故を惹起する惧れも懸念されるところから、その梱包には充分な配慮が求められ、とりわけその信頼性が重視される。そこで空気緩衝材としての上記の改良に止まらず、荷崩れ防止用の空気緩衝材は、外袋と内袋とからなる2重構造のものが用いられ、例えば外袋に未晒しのクラフト紙、内袋にPE袋を用いたものや、外袋に未晒しのクラフト紙を3重にして用い、内袋をPE袋としたり、或いはPA/PE/PAのラミネートを施したものを用い、いずれの場合もピロー状に形成した空気緩衝材が広くが用いられている。
このピロー状空気緩衝材によって例えば自動車のドアーパーツ、バンパーなどの被梱包体を梱包して輸送する場合、該空気緩衝材の中央部に応力が集中して凸状となることがある。空気緩衝材が凸状に変形することによって、前記ドアーパーツなどの被梱包体が部分的に変形させられたり、被梱包体とコンテナーとが接触して損傷を招くことが懸念されるため、コンテナーの内壁と被梱包体との間にさらに強化ダンボールなどを介在させ、それによって貨物とコンテナーとの接触による損傷を未然に防止するよう配慮されているが、用いられる強化ダンボールは高価なものであり、それを含む所謂シュワリングコストの高騰を招き、早急に解決を望まれる課題であった。その上、凸状となった空気緩衝材は部分的に薄肉となり、しかも内圧が高くなるため、被梱包体のコーナーや比較的尖った部分による突き刺しに、殆ど抵抗することなく破断して、緩衝材としての機能を一瞬にして喪失する恐れが残されていた。
一方、飛行機や船舶によって異なる環境の中を長時間にわたって搬送されると、気温の変化によって空気緩衝材の内圧に変化が生じて、空気緩衝材としての機能を失うことも懸念されるが、斯かる問題に対処するためには、空気緩衝材を形成する素材が気候の変化に対する強い耐候性と、熱遮断性を有することと、優れたガスバリアー性を有することが併せて望まれる。本発明はこのような従来技術に残された様々な課題を解決するため、上記従来技術に更なる改良を加え、安価にして且つ簡略な構造であるにも拘らず、多様にしてしかも複雑な形状を有する被梱包体を、安定的に梱包し得る空気緩衝材、即ち優れた突き刺し防止特性を有し、しかも優れた断熱性とガスバリアー性とを併せて有すると共に、成形性に優れた素材によって空気緩衝材を形成し、様々な寸法や形状を有する製品や部品からなる被梱包体を梱包してコンテナー内に収納し、過酷な条件の中でも安定的に輸送することが可能な空気緩衝材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、梱包される被梱包体と搬送容器内壁の間に介在するか、若しくは被梱包体同士の間に介在して、衝撃などの外力から該被梱包体を保護するための空気緩衝材であって、該空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側が発泡ポリエチレン樹脂(PPE)によって形成される多層構造の合成樹脂シート体であることを特徴的構成要件とするとする空気緩衝材を要旨とするものである。
本発明はまた、前記空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側がポリエチレン不織布によって形成される多層構造の合成樹脂シート体であることを特徴とするものである。
本発明は更に、前記空気緩衝材が、前記多層構造の合成樹脂シート体を2枚合わせにし、外枠の端部に相当する側縁部と、該側縁部間において上下左右を複数に区切った辺縁部とを、被梱包体の寸法、形状に対応して熱溶着すると共に、該辺縁部には少なくとも1つの空気流通路を設けることにより、相互に連通した複数の空気室からなる方形の空気緩衝材を形成し、かつ、該空気室の少なくとも1つに空気注入口を設け、該空気注入口より空気を注入して空気室全体を膨張させ、その内側を被梱包体に、その外側を搬送容器の内壁若しくは他の被梱包体に圧接せしめることを特徴とする空気緩衝材を要旨とするものである。
本発明による前記空気緩衝材は、前記複数の空気室からなる方形の空気緩衝材において、その一端部若しくは両端部を、被梱包体の寸法形状に合わせて内方に折込み、その端部を熱溶着することによって、ポケットを形成せしめることを好ましい態様とするものである。
また、本発明による前記空気緩衝材においては、空気緩衝材を形成する複数の空気室を相互に連通するための空気流通路に通じて、それぞれ連接逆止弁を設けることを好ましい態様とするものである。
さらに本発明に係る前記空気緩衝材においては、空気室の少なくとも一つに設けられる空気注入口に、逆止弁を用いることを好ましい態様とするものである。
本発明はまた、前記空気緩衝材において、素材を構成する前記多層構造の合成樹脂シート体に、帯電防止剤を混入させてなることを好ましい態様とするものである。
本発明による空気緩衝材は、ガスバリアー性に優れる延伸されたポリアミド(OPA)フィルムを芯にして、その外側にポリエチレンフィルム、さらにその外側を、熱遮断性に優れると共に突き刺し防止に有効に作用する発泡ポリエチレンシート、若しくはポリエチレン不織布によって被覆した、所謂多層構造の合成樹脂シート体を構成素材として用いたことに最大の特徴がある。このような素材によって形成された本発明による空気緩衝材は、芯材を形成する延伸ポリアミドの優れたガスバリアー作用により、基本的には優れた気密性によって各空気室に充填された空気圧を維持し、しかも外側に被覆された発泡ポリエチレン、若しくはポリエチレン不織布からなるシート体によって外気が遮断され、気候の変化に対してもその内圧を極力一定に維持するために機能する。さらに機械的強度に優れる該シート体によって突き刺しなどの外部からの衝撃に対しても、強靭に抵抗して空気緩衝材としての機能を効果的に保持する。本発明による空気緩衝材は、上記の様な突き刺しや衝撃に耐え得るための剛性を有し、比較的分厚い合成樹脂シート体を2枚合わせにし、該シート体の外枠の端部に相当する側縁部と、該側縁部間において上下左右を複数に区切った辺縁部とを、複雑な形状を有する被梱包体の寸法、形態に対応して熱溶着すると共に、該辺縁部には少なくとも1つの空気流通路を設けることにより、相互に連通した複数の空気室からなる方形の空気緩衝材が形成されるが、素材のもつ優れた成形性により、斯かる加工が比較的容易になされ、素材そのものの価格が比較的安価なことに加え、空気緩衝材を作製するためのコストを極めて低く抑えることが可能となる。
本発明による空気緩衝材は、前記複数の空気室からなる方形の空気緩衝材において、その一端部若しくは両端部を、被梱包体の寸法形状に合わせて内方に折込み、その端部を熱溶着することによって、ポケットを形成せしめることを好ましい態様とするものであるが、該ポケットに被梱包体の要部を差し込んで収納することにより、特殊形状の被梱包体であっても容易にしかも安定して梱包され、例えばコンテナーなどの搬送容器内に複数を重ね合わせて積み重ねた場合であっても、被梱包体同士の間には空気緩衝材が介在して、被梱包体同士が直接接触して破損に至るという危惧は払拭され、効率的で安定的な積載が保証される。
このように本発明による空気緩衝材は基本的には簡略な構造であるにも拘らず、多層構造の合成樹脂シート体の大きさを任意に変更したり、辺縁部やポケットの寸法形状を、梱包される被梱包体の形態や寸法に応じて任意に変更し得るため、文字通り多様な被梱包体に容易に対応し得る空気緩衝材が提供される。また、該空気緩衝材は梱包容器との間においてそれぞれの要部を側面や上下から把持するようにしてパッキングし、該被梱包体と梱包容器間に一定の空隙を設けるように介在するため、気温や気圧の変化により空気室の圧力が減少して、その緩衝効果が僅かな状態となっても、依然として貨物を衝撃から保護することができる。
本発明による空気緩衝材はさらに、芯材となる延伸ポリアミドを除く構成素材は同一な素材、具体的にはPPE/PE/OPA/PE/PPE若しくはPE不織布/PE/OPA/PE/PE不織布からなる合成樹脂シート体を2枚合わせとして用いることにより、その任意箇所を自由に熱溶着ができるために、上記のような加工を可能としたものであり、また、同一の素材であるが故に補修などのメンテナンスが容易で、使用後はリサイクルして有効に活用することが期待されると共に、被梱包体をそっくり包み込むような従来型の空気緩衝材と異なり、要部のみを保護する本発明の空気緩衝材は、その本体そのものが極めてコンパクトであるために、未使用時の保管や輸送に係るコストも低減され、止むを得ず焼却処分する際においても有害物質の発生する惧れも無く、資源の有効利用は勿論のこと、環境保護の面においても行き届いた配慮がなされている。
以下本発明を添付した図面に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれにより拘束されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において自由に設計変更が可能である。
図1は本発明に係る空気緩衝材を形成する、多層構造の合成樹脂シート体の構成を模式的に示す一部拡大断面図、図2は本発明に係る一実施例の空気緩衝材において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示し、(a)はその平面図、(b)は同実施例における空気流通路の熱シールの一例を示す部分拡大平面図、(c)は同じく空気流通路と辺縁部が交差する部分の熱シールの一例を示す部分拡大平面図、図3は同実施例において、空気を注入して空気緩衝材を形成後、被梱包体を収納した状態を模式的に示す斜視図、図4は本発明に係る他の実施例の空気緩衝材において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示す平面図、図5は同実施例において空気を注入して空気緩衝材を形成した後、被梱包体を収納した状態を模式的に示す斜視図、図6は本発明に係るさらに他の実施例において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示す平面図、図7は同実施例において、空気の注入途中の状態を模式的に示す斜視図、図8は同実施例において、空気を注入後被梱包体のコーナーを保護する形態を模式的に示す斜視図、図9は本発明に係るさらに他の実施例の空気緩衝材において、空気を注入して被梱包体を保護する状態を模式的に示す部分斜視図である。
図1は本発明に係る空気緩衝材を形成する、多層構造の合成樹脂シート体の構成を模式的に示す一部拡大断面図、図2は本発明に係る一実施例の空気緩衝材において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示し、(a)はその平面図、(b)は同実施例における空気流通路の熱シールの一例を示す部分拡大平面図、(c)は同じく空気流通路と辺縁部が交差する部分の熱シールの一例を示す部分拡大平面図、図3は同実施例において、空気を注入して空気緩衝材を形成後、被梱包体を収納した状態を模式的に示す斜視図、図4は本発明に係る他の実施例の空気緩衝材において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示す平面図、図5は同実施例において空気を注入して空気緩衝材を形成した後、被梱包体を収納した状態を模式的に示す斜視図、図6は本発明に係るさらに他の実施例において、空気を注入して緩衝材を形成する前の状態を示す平面図、図7は同実施例において、空気の注入途中の状態を模式的に示す斜視図、図8は同実施例において、空気を注入後被梱包体のコーナーを保護する形態を模式的に示す斜視図、図9は本発明に係るさらに他の実施例の空気緩衝材において、空気を注入して被梱包体を保護する状態を模式的に示す部分斜視図である。
本発明に係る空気緩衝材は、該緩衝材を構成する素材が多層構造の合成樹脂シート体によって形成されるところに第1の特徴がある。具体的には図1に示すようにその中心に芯材としての延伸されたポリアミド樹脂(OPA、以下単に「OPA」ということがある。)3、その外側にポリエチレン樹脂(PE、以下単に「PE」ということがある。)4、さらにその外側に発泡ポリエチレン樹脂(PPE、以下単に「PPE」ということがある。)、若しくはポリエチレン不織布(PE不織布、以下単に「PE不織布」ということがある。)5が被覆された構造となっている。芯材となるOPA3は延伸されたナイロンであり、通常市販のナイロン6およびナイロン66を基材とする樹脂がこれに相当するが、熱劣化が起き難く成形性に優れる上、価格の面でも安価であるところからナイロン6が好ましく採用される。OPA3は、機械的強度に優れ、強靭で引っ張り強さが大きいので、環境の変化にも柔軟に対応できるという特性を有するが、何よりもその優れたガスバリアー性により、空気緩衝材の空気圧を安定的に維持するために貢献する。
空気緩衝材を構成する前記PE樹脂4は、OPA3とPPE若しくはPE不織布5との間に介在し、その優れた熱接着性によって両者を一体として接合するバインダーとして機能する。一方、そのPE4を介してOPA3と接合され、外側に被覆されるPPE若しくはPE不織布5には共通して、衝撃吸収性、とりわけ繰返しの衝撃に対して特に優れた吸収性を有し、熱伝導率が小さく断熱性に優れ、耐薬品性や耐候性に加えて成形性に優れるという特性を有している。本発明の空気緩衝材を形成する前記合成樹脂のそれぞれの厚さは、本発明の目的を達成し得る範囲において任意であり得に制限しないが、通常OPA3およびPE4は、5〜30μm、好ましくは10〜20μmのフィルム体であり、その厚さが5μm以下の場合は、その特性を損なうことが懸念され、30μmを超えるとコスト面でマイナスとなる。PPE若しくはPE不織布5の厚さは、0.5〜2.0mm、好ましくは0.7〜1.5mmのシート体であり、その厚さが0.5mmに満たない場合は耐衝撃性や断熱性に不安が残り、2.0mm以上になると成形性や特有の可撓性が損なわれて、柔軟な空気緩衝材用素材としての機能が損なわれる恐れがある。本発明における上記各合成樹脂フィルム体並びにシート体は、PPE/PE/OPA/PE/PPE若しくはPE不織布/PE/OPA/PE/PE不織布の如く積層され、通常熱圧接加工によって一体の合成樹脂シート体2が形成され、本発明の空気緩衝材を構成する素材として提供される。
図1に示すように、PPE1mm/PE15μm/OPA15μm/PE15μm/PPE1mmの組成を有する多層構造の合成樹脂シート体2を形成し、該シート体2を2枚合わせにして、外枠を形成する側縁部1−2および該側縁部1−2の内側にあって、横断して複数に区切る辺縁部1−3を溶着して、図1に示すように横方向に複数の空気室1−1を有する空気緩衝材1を形成した。本例における空気緩衝材1は、前記空気室1−1の間を複数に区切る空気流通路1−7を設け、該空気流通路1−7と各空気室1−1間には、それぞれ少なくとも1つの連接逆止弁(図示せず)を備えて相互に連通させた。茲で空気流通路1−7の形成方法は、上記各空気室1−1に空気が良好に通流する範囲において任意であるが、例えば同図(b)に示すように該空気流通路に1−7に小判型の熱シール部1−10を設けたり、該空気流通路1−7と辺縁部1−3が交差する部分に、同図(c)に示すような略十字型の熱シー部1−11を設けて、空気の通流が相互に自由とすることも好ましい。なお、少なくとも1つの空気室1−1には逆止弁機能を有する空気注入口1−5を取り付けた。次いで図1に示すA−A線およびB−B線を折り込み、縦方向の側縁部1−2に沿った溶着部1−9を熱溶着して、上下に異なる寸法のポケット1−10、1−10aを形成した。その後前記空気注入口1−5より空気を注入して、図3に示すようなポケット1−10、1−10aつき空気緩衝材1を形成し、被梱包体6の上下の要部を該ポケット1−10、1−10aに差し込み、本例による収納を完了したが、被梱包体6は図3に示すように、安定的に保護されていることが確認された。
実施例1と同様の多層構造合成樹脂シート体を用い、収納される被梱包体6aの形態を考慮して、図4に示すようにその形状を長方形にした以外は、実施例1とほぼ同様にして空気緩衝材1aを作製した。その後C−C線およびD−D線を折込み、溶着部1a−9をそれぞれ熱溶着して図5に示すような長手方向のポケット1a−10、1a−10aを有する空気緩衝材1aを作製し、空気注入口1a−5より空気を注入した後、該ポケット1a−10、1a−10aに被梱包体6aの側面を差し込んで収納した結果、図5に示すように被梱包体6aは安定的に保護されていることが確認された。
多層構造の合成樹脂シート体2の組成がPE不織布/PE/OPA/PE/PE不織布となるよう構成し、辺縁部1b−3間に相互に連通する空気の流通口1b−4を設けると共に、被梱包体(図示せず)の寸法形状を考慮して、縦方向の側縁部1b−2に前記辺縁部1b−3に沿って複数のスリット1b−6を形成した以外、実施例2とほぼ同様にして図6および図7に示すような空気緩衝材1bを作製した。空気注入口1b−5より空気を注入した後、前記スリット1b−6を内側に折り曲げることにより、図8に示すように図示を省略した被梱包体を側面から挟持し、コーナーに収納し得る緩衝材として有効に活用される空気緩衝材となることが確認された。
実施例1において用いられたものと同様の多層構造の合成樹脂シート体2を4枚重ね合わせ、内側と外側の合成樹脂シート体2とを熱シール部1c−9aで、内側同士の合成樹脂シート体2とを熱シール部1c−9bで、それぞれ熱溶着することにより第1空気室1c−1aを形成し、さらに外側の合成樹脂シート体2同士を、熱シール部1c−9cで熱溶着することにより第2空気室を形成して、図9に示すような偏平の空気緩衝材1cを得た。なお、本実施例における空気注入口1c−5は、第1空気室1c−1aの側面に逆止弁つきで取付けられるが、所望により第2空気室1c−1bの熱シール部1c−9cに併設することを妨げない。本例による空気緩衝材は、図9に示すようにDVDやPC等の薄型の被梱包体6cを、コンパクトに梱包しながら強固に保護することが確認された。
本発明における上記の各空気緩衝材を、室温の異なる空間に数日間放置したり、直射日光に曝してその耐候性を検証した結果、空気室の内圧には相応の変化は見られるものの、緩衝材としての機能は依然として維持し、被梱包体をほぼ正常な形で保護していることが実証された。また本発明に基づく上記各実施例において明らかなように、本発明による空気緩衝材は、不定形の各パーツや製品をポケットに収納して保護し得るため、形状の異なる様々な形状の被梱包体に、柔軟に対応することができる。なお、上記各実施例においては、空気緩衝材のポケットを形成する際、折り込んだ側縁部を熱溶着する方法が採られているが、該熱溶着に代えて、例えばナイロン糸などによって縫合することを妨げるものでない。
本発明における他の実施例として緩衝材を形成する上記合成樹脂シート体、具体的にはPPE/PE/OPA/PE/PPE若しくはPE不織布/PE/OPA/PE/PE不織布等に、予め帯電防止剤を混入させたものを用いて空気緩衝材を形成し、梱包する製品等への帯電を防止すると共に、それに起因する塵埃の付着を防止することも好ましい実施形態として推奨できる。帯電防止剤として用いられる成分は、本発明の目的を達成し得る範囲内において得に制限はないが、本発明の空気緩衝材の原料素材となる多層構造の合成樹脂シート体を構成する、上記PE樹脂等に容易に混入可能であると共に、本発明の目的を損なうことのない高分子帯電防止剤、より具体的には有機酸、スルホン酸、有機アンモニウム塩などを有するポリマーが好ましく選択される。
以上の各実施例からも明らかなように本発明による空気緩衝材は、その特殊な素材構成によって優れた耐候性と耐衝撃性並びに高い気密性とを、高いレベルで保持し得るため、過酷な気象条件の中を長時間にわたって搬送される場合であっても、被梱包体を安定して保護することが可能である。また本発明による空気緩衝材は比較的大型で、形状の定まらない被梱包体であっても、その要部を緩衝材のポケットに収納して梱包することができるため、繰返しの揺れによっても荷崩れ等の危険を未然に回避することができる。本発明による上記空気緩衝材は、必要に応じて空気流通路に沿って各空気室に連接逆止弁を設けることにより、各空気室は共通する内圧を持って維持され、一方、いずれか1つの空気室が破損した場合、その逆止弁が直ちに閉じられ、他の空気室の内圧は維持されるよう構成されているため、空気緩衝材としての機能低下は最小限に止めることができる。本発明による空気緩衝材は、外枠の端部を形成する縦横の側縁部と、該縦横の側縁部間にあってその内側を、上下の若しくは左右に複数に区切る辺縁部とによって、複数の空気室が形成されるが、この際、梱包される被梱包体の形状や寸法に対応して、該辺縁部の熱溶着部を変更することによって、梱包される被梱包体や搬送容器(コンテナー等)内壁と、該空気室との接触面積を任意にコントロールすることが可能となる。従って該空気室に空気を注入して膨張させ、その内側を貨物に、その外側を搬送容器の内壁に圧接して緩衝材として機能する際、相互に広い接触面積を得ることが可能となるため、応力の集中が未然に回避され、安定的な緩衝機能が確保される。従って、気温や気圧の変化にも柔軟に対することが可能なまでに、内圧を高めて置くことが可能となり、過酷な条件下における緩衝材としての機能を長時間に亘って維持することが可能となった。
また、本発明による空気緩衝材はさらに、芯材を除く合成樹脂素材はいずれもポリエチレン系樹脂であり、2枚合わせの該シート体の任意箇所を自由に熱溶着ができるために、上記のような加工を容易に可能としたものであり、また、同一の素材であるが故に補修などのメンテナンスが容易で、使用後はリサイクルして有効に活用することが期待されると共に、止むを得ず焼却処分する際においても有害物質の発生する惧れも無く、資源の有効利用は勿論のこと、環境保護の面においても充分な配慮がなされている。本発明の効果について更に付言すると、空気緩衝材の本体そのものが極めて簡略な構造である上に、使用資材は汎用性が高く且つ廉価であるところから、使用の前後には折り畳んでコンパクトに収納することができるため、未使用時の保管や輸送に係る物流コストが低減され、省エネルギー効果においても著しく寄与するところから、空気注入型の緩衝材として幅広い用途が期待される。
1、1a、1b、1c 空気緩衝材
1−1、1a−1、1b−1、 空気室
1c−1a 第1空気室
1c−1b 第2空気室
1−2、1a−2、1b−2 側縁部
1−3、1a−3、1b−3 辺縁部
1a−4 空気流入口
1−5、1a−5、1b−5、1c−5 空気注入口
1b−6 スリット
1−7、1a−7、1b−7 空気流通路
1a−8 連接逆止弁
1−9、1a−9、1b−9、1c−9a、
1c−9b、1c−9c 溶着部
1−10、1−11 熱シール部
2 多層シート体
3 延伸ポリアミド
4 ポリエチレン
5 発泡ポリエチレン
(ポリエチレン不織布)
6、6a、6b、6c 被梱包体
1−1、1a−1、1b−1、 空気室
1c−1a 第1空気室
1c−1b 第2空気室
1−2、1a−2、1b−2 側縁部
1−3、1a−3、1b−3 辺縁部
1a−4 空気流入口
1−5、1a−5、1b−5、1c−5 空気注入口
1b−6 スリット
1−7、1a−7、1b−7 空気流通路
1a−8 連接逆止弁
1−9、1a−9、1b−9、1c−9a、
1c−9b、1c−9c 溶着部
1−10、1−11 熱シール部
2 多層シート体
3 延伸ポリアミド
4 ポリエチレン
5 発泡ポリエチレン
(ポリエチレン不織布)
6、6a、6b、6c 被梱包体
Claims (7)
- 梱包される被梱包体と搬送容器内壁の間に介在するか、若しくは被梱包体同士の間に介在して、衝撃などの外力から該被梱包体を保護するための空気緩衝材であって、該空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側が発泡ポリエチレン樹脂(PPE)によって形成される多層構造の合成樹脂シート体であることを特徴とする空気緩衝材。
- 前記空気緩衝材を形成する素材が、中心に延伸されたポリアミド樹脂(OPA)、その外側にポリエチレン樹脂(PE)、さらにその外側がポリエチレン不織布によって形成される多層構造の合成樹脂シート体であることを特徴とする請求項1に記載の空気緩衝材。
- 前記空気緩衝材が、前記多層構造の合成樹脂シート体を2枚合わせにし、外枠の端部に相当する側縁部と、該側縁部間において上下左右を複数に区切った辺縁部とを、被梱包体の寸法、形状に対応して熱溶着すると共に、該辺縁部には少なくとも1つの空気流通路を設けることにより、相互に連通した複数の空気室からなる方形の空気緩衝材を形成し、かつ、該空気室の少なくとも1つに空気注入口を設け、該空気注入口より空気を注入して空気室全体を膨張させ、その内側を被梱包体に、その外側を搬送容器の内壁若しくは他の被梱包体に圧接せしめることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の空気緩衝材。
- 前記複数の空気室からなる方形の空気緩衝材において、その一端部若しくは両端部を、被梱包体の寸法形状に合わせて内方に折込み、その端部を熱溶着することによって、ポケットを形成せしめることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気緩衝材。
- 前記空気緩衝材を形成する複数の空気室において、相互に連通するための空気流通路に通じて、それぞれ連接逆止弁を設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気緩衝材。
- 前記空気緩衝材において、空気室の少なくとも一つに設けられる空気注入口に、逆止弁を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気緩衝材。
- 前記空気緩衝材において、素材を構成する前記多層構造の合成樹脂シート体に、帯電防止剤を混入させてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気緩衝材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004321352A JP2006131252A (ja) | 2004-11-04 | 2004-11-04 | 空気緩衝材 |
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JP2004321352A JP2006131252A (ja) | 2004-11-04 | 2004-11-04 | 空気緩衝材 |
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JP2006131252A true JP2006131252A (ja) | 2006-05-25 |
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ID=36725147
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006131252A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014024583A (ja) * | 2012-07-27 | 2014-02-06 | Toppan Printing Co Ltd | 包装袋およびこれを用いた包装体の製造方法 |
-
2004
- 2004-11-04 JP JP2004321352A patent/JP2006131252A/ja active Pending
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