JP2006128583A - セラミック多層基板及びその製造方法 - Google Patents

セラミック多層基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特許文献2に記載の多層セラミック基板の製造方法では、拘束層を基体用グリーン層の上下両面に配置して無収縮工法で多層セラミック基板を作製するが、拘束層が基体用グリーン層の表面に配置されるため、拘束層の収縮抑制力が基体グリーン層の内部、特に焼結体プレートの拘束層とは反対側に位置する基体用グリーン層にまでは及び難くい。
【解決手段】本発明のセラミック多層基板の製造方法は、チップ型セラミック電子部品113をセラミックグリーン積層体111に内蔵させる工程では、チップ型セラミック電子部品113の近傍に、セラミック材料の収縮開始温度Tに対して収縮開始温度Tが50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし且つ収縮終了温度がセラミック材料の収縮終了温度より高い導体材料を用いて、セラミックグリーンシート111Aに内部導体パターン部115を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック多層基板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、セラミック多層基板にクラックやデラミネーション等の不具合を生じさせることがなく、信頼性の高いセラミック多層基板及びその製造方法に関するものである。
従来のこの種の技術としては特許文献1に記載の電子部品内蔵多層セラミック基板や、特許文献2に記載の多層セラミック基板およびその製造方法がある。
特許文献1に記載された電子部品内蔵多層セラミック基板は、多層セラミック基板と、多層セラミック基板内の凹部または貫通孔から形成される空間内に収容されたチップ型セラミック電子部品と、多層セラミック基板の層間または空間内に設けられている上記チップ型セラミック電子部品を配線している導体と備えている。このように多層セラミック基板内の空間内にチップ型セラミック電子部品を収容するため、平面性を悪化させることなく、所望形状の多層セラミック基板が得られる。
特許文献2に記載された多層セラミック基板及びその製造方法の場合には、セラミック機能素子を予め焼成して得られたプレート状の焼結体プレートをもって、コンデンサ素子、インダクタ素子及び抵抗素子等の機能素子を作製しておき、これらの機能素子を未焼結複合積層体内に内蔵させる。未焼結複合積層体は、基体用グリーン層と、難焼結性材料を含む拘束層と、配線導体とを備えており、これを焼成したとき、拘束層の作用により、基体用グリーン層は主面方向での収縮が抑制される。そのため、このような無収縮工法を採用することによって、機能素子として焼結体プレートを内蔵した状態で未焼結複合積層体を問題なく焼成することができると共に、焼結体プレートと基体用グリーン層との間で成分の相互拡散が生じず、焼結体プレートの機能素子の特性が焼成後も維持される。
特公平06−32378号公報 特開2002−84067号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多層セラミック基板の場合には、多層セラミック基板の平坦性の問題は解決されるが、焼成工程でチップ型セラミック電子部品とセラミック層との収縮挙動差により、デラミネーションやクラック等を生じることがあった。
また、特許文献2に記載の多層セラミック基板及びその製造方法の場合には、拘束層を基体用グリーン層の上下両面に配置する無収縮工法で多層セラミック基板を作製するようにしているが、拘束層が基体用グリーン層の表面に配置されるため、拘束層の収縮抑制力が基体グリーン層の内部、特に焼結体プレートの拘束層とは反対側(内側)に位置する基体用グリーン層にまでは及び難くいため、基体用グリーン層の表面側と焼結体プレートの内側とでは局所的に拘束層の収縮抑制力に大きな差を生じ、この差に起因して基板内部でクラックが生じ易くなり、極端な場合には内部配線が断線するという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、チップ型セラミック電子部品を内蔵している場合であっても基板内部でクラックや内部導体の断線等の不具合を生じることがなく、信頼性の高いセラミック多層基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の請求項1に記載のセラミック多層基板は、複数のセラミック層が積層されたセラミック積層体と、このセラミック積層体内に設けられ、セラミック焼結体を素体とし且つ端子電極を有するチップ型セラミック電子部品と、を含むセラミック多層基板であって、上記チップ型セラミック電子部品の近傍に内部導体パターンが配置されており、上記セラミック層を形成するセラミック材料の収縮開始温度Tと上記内部導体パターンを形成する導体材料の収縮開始温度Tは、50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし、且つ、上記導体材料の収縮終了温度は、上記セラミック材料の収縮終了温度より高いことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載のセラミック多層基板は、請求項1に記載の発明において、二つの隣合う上記チップ型セラミック電子部品の間に、上記内部導体パターンが配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載のセラミック多層基板は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記内部導体パターンは、上記チップ型セラミック電子部品よりも上記セラミック積層体の中心に近い側に配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記チップ型セラミック電子部品から100μm以内に、上記内部導体パターンが配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記内部導体パターンは、面内導体を有し、その厚みが5〜30μmであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項6に記載のセラミック多層基板の製造方法は、複数のセラミックグリーン体を積層してなるセラミックグリーン積層体の内部に、セラミック焼結体を素体とし且つ端子電極を有するチップ型セラミック電子部品を内蔵させる工程と、上記セラミックグリーン積層体の少なくとも一方の主面に、上記セラミックグリーン体を形成するセラミック材料の焼結温度では実質的に焼結しない拘束体を配置してセラミックグリーン複合積層体を作製する工程と、上記セラミックグリーン複合積層体を上記セラミック材料の焼結温度で焼結させる工程と、上記拘束体を除去する工程と、を備えたセラミック多層基板の製造方法であって、上記チップ型セラミック電子部品を上記セラミックグリーン積層体に内蔵させる工程は、上記チップ型セラミック電子部品の近傍に、上記セラミック材料の収縮開始温度Tに対して収縮開始温度Tが50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし且つ収縮終了温度が上記セラミック材料の収縮終了温度より高い導体材料を用いて、セラミックグリーン体に内部導体パターン部を形成する工程を有することを特徴とするものである。
本発明の請求項1〜請求項6に記載の発明によれば、チップ型セラミック電子部品を内蔵している場合であっても基板内部でクラックや内部導体の断線等の不具合を生じることがなく、信頼性の高いセラミック多層基板及びその製造方法を提供することができる。
以下、図1〜図10に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明のセラミック多層基板の一実施形態を示す断面図、図2及び図3はそれぞれ図1に示すセラミック多層基板の製造工程の要部を示す工程図、図4の(a)、(b)はそれぞれ本発明の実施例1と比較例1のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図、図5は実施例1のセラミック多層基板を焼成する際のTMA曲線を示すグラフ、図6の(a)(b)はそれぞれ図4の(a)、(b)の要部を拡大して示す断面図、図7は本発明の実施例3のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図、図8は本発明の実施例4のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図、図9は本発明の実施例5のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図、図10は本発明の実施例6のセラミック多層基板の積層セラミックコンデンサと第2面内導体の関係を示す断面図である。
本実施形態のセラミック多層基板10は、例えば図1に示すように、複数のセラミック層11Aが積層され且つ第1の内部導体パターン12を有するセラミック積層体11と、このセラミック積層体11内に設けられ、セラミック焼結体を素体とし且つ両端部に外部端子電極13Aを有するチップ型セラミック電子部品13と、を含んで構成され、無収縮工法を用いて作製されるものである。セラミック積層体11の両主面(上下面)には表面電極14、14がそれぞれ形成され、上面の表面電極14には複数の表面実装部品(図示せず)が搭載される。また、セラミック積層体11の下面の表面電極14は、セラミック多層基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際の端子電極となる。チップ型セラミック電子部品13と表面実装部品は、表面電極14及び第1の内部導体パターン12を介して互いに電気的に接続されている。
複数の表面実装部品としては、半導体素子、ガリウム砒素半導体素子等の能動素子やコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動素子等が半田や導電性樹脂を介して、あるいはAu、Al、Cu等のボンディングワイヤーを介してセラミック積層体11上面の表面電極14に電気的に接続されている。
また、図1に示すように、セラミック積層体11の内部には第2の内部導体パターン15が所定のパターンでチップ型セラミック電子部品13の近傍に配置して設けられている。この第2の内部導体パターン15は、チップ型セラミック電子部品13の近傍に配置されることで、無収縮工法で用いられる拘束層の機能をセラミック積層体11のチップ型セラミック電子部品13の近傍で補完する機能を有している。つまり、第2の内部導体パターン15は、セラミック積層体11内部のチップ型セラミック電子部品13の近傍で収縮抑制層(拘束層)として機能する。
而して、セラミック層11Aを形成する材料としては、セラミック材料であれば特に制限されないが、例えば低温焼結セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramic)材料が好ましい。低温焼結セラミック材料とは、1000℃以下の温度で焼結可能であって、比抵抗の小さな銀や銅等と同時焼成が可能なセラミック材料である。低温焼結セラミックとしては、具体的には、アルミナやフォルステライト等のセラミック粉末にホウ珪酸系ガラスを混合してなるガラス複合系LTCC材料、ZnO−MgO−Al−SiO系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラス系LTCC材料、BaO−Al−SiO系セラミック粉末やAl−CaO−SiO−MgO−B系セラミック粉末等を用いた非ガラス系LTCC材料等が挙げられる。
セラミック積層体11を上述のように低温焼結セラミック材料によって形成することによって、第1の内部導体パターン12、表面電極14及び第2の内部導体パターン15の導体材料として、例えばAgまたはCu等の低抵抗で低融点をもつ低融点金属を用いることができ、セラミック積層体11と第1の内部導体パターン12、表面電極14及び第2の内部導体パターン15とを1000℃以下の低温で同時焼成することができる。
セラミック積層体11内の第1の内部導体パターン12は、上下のセラミック層11Aの界面に沿って所定のパターンで形成された面内導体12Aと、上下の面内導体12Aを接続するように所定のパターンで配置して形成されたビア導体12Bと、を有している。
複数のチップ型セラミック電子部品13は、図1に示すように、上下のセラミック層11A、11Aの界面に配置され、その外部端子電極13Aが上下のセラミック層11A、11Aの界面に設けられた面内導体12Aに接続されている。チップ型セラミック電子部品13としては、特に制限されないが、例えばチタン酸バリウムやフェライト等の1200℃以上で焼成されたセラミック焼結体を素体としたもの、例えばコンデンサ、インダクタ、フィルタ、バラン、カップラ等のチップ型セラミック電子部品を用いることができ、これらのチップ型セラミック電子部品を目的に応じて単数あるいは複数適宜選択して用いることができる。
第2の内部導体パターン15は、例えば図1に示すように、上下のセラミック層11A、11Aの界面に沿って所定のパターンで形成された第2面内導体15Aと、セラミック層11Aを貫通して形成された第2ビア導体15Bと、を有し、第2面内導体15A及び第2ビア導体15Bはいずれもチップ型セラミック電子部品13の近傍に配置して形成され、チップ型セラミック電子部品13には直接には接続されていない。第2面内導体15A及び第2ビア導体15Bは、同図に示すように、上下及び水平方向で隣合うチップ型セラミック電子部品13の間に配置されている。
第2の内部導体パターン15は、上述したように、チップ型セラミック電子部品13の近傍で後述する拘束層の機能を補完することによって、セラミック多層基板11Aとチップ型セラミック電子部品13の界面及びその近傍において発生するクラックや、第1の第1の内部導体パターン12の切断等の損傷を防止することができる。
第2の第1の内部導体パターン15が拘束層の機能を補完するためには、セラミック層11Aを形成するセラミック材料と第2の内部導体パターン15を形成する導体材料として、以下の関係にある材料がそれぞれ用いられる。即ち、セラミック材料及び導体材料それぞれの収縮開始温度を、それぞれT、Tと定義すれば、セラミック材料の収縮開始温度Tと導体材料の収縮開始温度Tは、50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たしている。これら両者の差(T−T)がこの範囲にあることによって、導体材料が収縮し始めてセラミック材料が収縮し始めるまではセラミック材料から導体材料に対して引っ張り力が働いて、導体材料の収縮を遅らせ、導体材料の収縮(焼結収縮)を抑制し、セラミック材料が収縮し始めてからは、導体材料の収縮速度がセラミック材料よりも遅く、導体材料からセラミック材料に対して引っ張り力が働き、導体材料の収縮終了時点まで導体材料がセラミック材料の収縮を抑制することができる。
セラミック材料の収縮開始温度Tと導体材料の収縮開始温度Tとの温度差(T−T)が50℃未満では導体材料とセラミック材料それぞれの収縮のタイミングが近すぎて、導体材料が収縮し始めてからセラミック材料が収縮し始めるまでの時間が短く、導体材料がセラミック材料と殆ど並行して収縮することになり、セラミック材料の収縮時に導体材料によってセラミック材料の収縮を十分に抑制することができなくなる。これら両者の温度差(T−T)が330℃を超えると導体材料の収縮のタイミングが早すぎてセラミック材料が収縮するまでに導体材料の収縮が進み過ぎて導体材料とセラミック材料の間にデラミネーションが生じる。
更に、第2の内部導体パターン15を形成する導体材料の収縮終了温度は、セラミック層11を形成するセラミック材料の収縮終了温度よりも高い。導体材料の収縮終了温度をセラミック材料の収縮終了温度より高くすることによって、セラミック材料より収縮速度が遅く、収縮途上にある導体材料によってセラミック材料が焼結するまでセラミック材料の収縮を確実に抑制することができる。セラミック材料の収縮終了温度が導体材料の収縮終了温度よりも高いと、導体材料がセラミック材料と同様に収縮するため、導体材料がセラミック材料の収縮を抑制する機能を果たさず、チップ型セラミック電子部品の近傍にクラックを生じさせる虞がある。
ここで、収縮開始温度とは、熱機械分析法(TMA)を用いて焼成温度に対する収縮率を測定し、測定結果に基づいて得られたTMA曲線における低温側での変曲点(収縮量0から収縮を開始した時点)の温度を意味し、収縮終了温度とは、高温側の変曲点(収縮量が0になる時点)の温度を意味する。
第2の内部導体パターン15の収縮抑制力を作用させるためには、チップ型セラミック電子部品13から100μm以内に第2の内部導体パターン15を配置することが好ましい。換言すれば、第2の内部導体パターン15がチップ型セラミック電子部品13から100μmを超えて配置されると、第2の内部導体パターン15の収縮抑制力が作用し難くなる。
第2の内部導体パターン15が第2面内導体15Aである場合には、その厚みが5〜30μmであることが好ましい。この厚みが5μm未満では第2面内導体15Aによる収縮抑制力が作用し難くなり、30μmを超えるとセラミック多層基板10としての低背化を阻害することになる。
また、第2の内部導体パターン15は、グランド電極として利用することもでき、グランド電極として利用することによりセラミック多層基板10の浮遊容量を低減することができ、セラミック多層基板10としての設計自由度を高めることができる。
次いで、図2、図3を参照しながらセラミック多層基板10の製造方法について説明する。
本実施形態では無収縮工法を用いてセラミック多層基板10を作製する場合について説明する。無収縮工法とは、セラミック多層基板の焼成前後で多層基板の平面方向の寸法が実質的に変化しない工法のことを云う。
本実施形態ではまず、例えば低温焼結セラミック材料を含むスラリーを用いて、セラミックグリーンシートを所定枚数作製する。また、必要に応じてセラミック焼結体を素体とするチップ型セラミック電子部品113を搭載するためのセラミックグリーンシート111Aには所定のパターンでビアホールを形成する。これらのビアホール内には例えばAgまたはCuを主成分とする導電性ペーストを充填してビア導体部112Bを形成する。そして、このセラミックグリーンシート111A上に必要に応じてスクリーン印刷法を用いて同種の導電性ペーストを所定のパターンで塗布して、面内導体部112Aを形成する。更に、スクリーン印刷法を用いて同種の導電性ペーストをセラミックグリーンシート111A上に所定のパターンで塗布して、表面電極部114を形成し、表面電極部114とビア導体部112Bとを適宜接続したセラミックグリーンシート111Aを作製する。その他の面内導体部112A及び/またはビア導体部112Bを有するセラミックグリーンシート111Aや、第2面内導体部115A及び/または第2ビア導体115Bを有するセラミックグリーンシート111Aも上述の方法と同一要領で作製する。
次いで、チップ型セラミック電子部品113が配置されるセラミックグリーンシート111Aの上面には、スプレー等を用いて面内導体部112Aに有機系接着剤を塗布または噴霧して有機系接着剤層(図示せず)を形成した後、図2に示すように、チップ型セラミック電子部品113の外部端子電極部113A、113Aをセラミックグリーンシート111Aの面内導体部112Aに位置合わせし、チップ型セラミック電子部品113をセラミックグリーンシート111A上に搭載し、チップ型セラミック電子部品113の外部端子電極部113Aを、有機接着剤層を介して面内導体部112A上に接合、固定する。尚、有機接着剤としては、合成ゴムや合成樹脂と可塑剤を加えた混合物などを使用することができる。また、有機接着剤層の厚みは、塗布の場合には3μm以下、噴霧の場合には1μm以下が好ましい。
その後、図2に示すように面内導体部112A及び/またはビア導体部112Bを有するセラミックグリーンシート111A、チップ型セラミック電子部品113が搭載されたセラミックグリーンシート111A及び第2面内導体部115A及び/または第2ビア導体115Bを有するセラミックグリーンシート111Aを所定の順序で拘束層116上に積層し、更に、最上層の表面電極部114を有するセラミックグリーンシート111Aを積層して、拘束層116上にセラミックグリーン積層体111を形成する。セラミックグリーン積層体111を形成する際に、第2面内導体部115A及び/または第2ビア導体115Bを有するセラミックグリーンシート111Aをチップ型セラミック電子部品113の近傍、例えばセラミックグリーン積層体111の上下両面を基準にすればチップ型セラミック電子部品113の表面側ではなく内側の近傍に、つまり、よりセラミック積層体111の中心に近い側に配置することが好ましい。
更に、このセラミックグリーン積層体111の上面に拘束層116を積層し、上下の拘束層116を介してセラミックグリーン積層体111を所定の温度及び圧力で熱圧着して、図3に示すセラミックグリーン複合積層体110を得る。拘束層116としては、セラミックグリーン積層体111の焼結温度では焼結しない難焼結性粉末(例えばAl等のように焼結温度の高いセラミック粉末)を主成分として含むと共に、有機バインダを副成分として含むペーストから同図に示すようにシート状に形成されたものを用いる。
然る後、図3に示すセラミックグリーン複合積層体110を例えば空気雰囲気中870℃で焼成すると、セラミックグリーン複合積層体110が焼結して図1に示すチップ型セラミック電子部品13を内蔵するセラミック積層体11が上下の拘束層116間で得られる。焼成温度としては、低温焼結セラミック材料が焼結する温度、例えば800〜1000℃の範囲が好ましい。焼成温度が800℃未満では生の積層体110のセラミック成分が十分に焼結しない虞があり、1000℃を超えると第1の内部導体パターン12や第2の内部導体パターン15の金属粒子が溶融してセラミック層へ拡散する虞がある。
焼成工程では、焼成温度が上昇し、チップ型セラミック電子部品113の近傍に位置する第2の内部導体パターン部115がその収縮開始温度Tに達して収縮し始める。そして、セラミックグリーンシート111Aの収縮開始温度Tに達するまでセラミックグリーンシート111Aから第2の内部導体パターン部115に収縮抑制力が働き、その大きな収縮を妨げる。この段階では第2の内部導体パターン部115の有機バインダ等の熱分解性物質が燃焼、分解しているため、その表面状態が粗く、第2の内部導体パターン部115からセラミックグリーンシート111Aに対するアンカー効果が働くため、収縮抑制力が大きい。その後、セラミックグリーンシート111Aがその収縮開始温度Tに達し、収縮し始めると、この時点で第2の内部導体パターン部115はセラミックグリーンシート111Aよりも収縮速度が遅いため、セラミックグリーンシート111Aに収縮抑制力が働く。そして、第2の内部導体パターン部115の収縮終了温度がセラミックグリーンシート111Aの収縮終了温度よりも高いため、セラミックグリーンシート111Aがセラミック層11として焼結する段階でも第2の内部導体パターン部115からセラミック層11に対する収縮抑制力が働く。
従って、拘束層116の収縮抑制力が及び難い、セラミックグリーン積層体111の内部では第2の内部導体パターン部115が収縮抑制体として働き、焼結段階におけるセラミック層11とチップ型セラミック電子部品13の界面におけるクラックや、第1の内部導体パターン12の切断、更には上下のセラミック層11、11間のデラミネーション等を抑制し、防止することができる。
焼成後には、ブラスト処理や超音波洗浄処理によって上下の拘束層116を除去して、セラミック多層基板10を得る。そして、図1に示すようにセラミック多層基板10の表面電極14に所定の表面実装部品を半田等の手法で実装して最終製品を得ることができる。尚、本実施形態ではセラミック焼結体を素体とするチップ型セラミック電子部品113の外部端子電極113Aは、導電性ペーストを塗布して焼き付けたものであっても、導電性ペーストを塗布して乾燥させて焼き付ける前のものであっても良い。
以上説明したように本実施形態によれば、セラミック層11Aの収縮抑制効果を有する導体材料を用いて、セラミックグリーンシート111Aに第2の内部導体パターン部115を形成し、チップ型セラミック電子部品113の近傍に特定の第2の内部導体パターン部115を配置してチップ型セラミック電子部品13をセラミックグリーン積層体111に内蔵させた後、拘束層116を用いた無収縮工法でセラミック多層基板10を製造するようにしたため、焼成段階で拘束層116がセラミックグリーン積層体111の収縮を抑制し、セラミックグリーン積層体111内部で拘束層116の収縮抑制力が十分に作用し難くても、チップ型セラミック電子部品113の近傍では第2の内部導体パターン部115の収縮抑制力が作用し、セラミックグリーン積層体111全体に収縮抑制力が確実に作用し、セラミックグリーン積層体111の表面側とチップ型セラミック電子部品113の近傍との間で生じる収縮不均衡に起因するクラックやデラミネーション等の不具合や、第1の内部導体パターン部112の断線を抑制、防止することができ、信頼性の高いセラミック多層基板10を得ることができる。
また、本実施形態によれば、第2の内部導体パターン15を構成する第2面内導体15A及び第2ビア導体15Bが上下及び水平方向で隣合うチップ型セラミック電子部品13、13の間に配置されているため、隣合うチップ型セラミック電子部品13間に介在するセラミック層11Aの収縮を確実に抑制することができる。しかも、第2の内部導体パターン15は、チップ型セラミック電子部品13から100μm以内に配置されているため、チップ型セラミック電子部品13から100μm以内で発生し易いクラック、デラミネーション等を確実に抑制し、防止することができる。更に、第2の内部導体パターン15、特に第2面内導体15Aの厚みを5〜30μmに設定したため、第2面内導体15Aの収縮抑制力を確実に得ることができる。尚、第1の内部導体パターン12は、第2の内部導体パターン15と同一の材料で構成されていても、異なる材料で構成されていても良い。
本実施例では、チップ型セラミック電子部品の近傍で第2の内部導体パターンの配置を種々変更し、各位置での第2の内部導体パターンの収縮抑制力を検証した。また、第2の内部導体パターンの導体材料の影響についても検証した。
実施例1
〔セラミック多層基板の作製〕
本実施例のセラミック多層基板を作製するには、まず、Alをフィラーとし、セラミック材料としてホウ珪酸ガラスを焼結助剤とする低温焼結セラミック材料を用いてスラリーを調製し、このスラリーをキャリアフィルム上に塗布して複数枚のセラミックグリーンシート(焼成後の厚み:50μm)を作製した。そして、2枚のセラミックグリーンシートに、Ag粉末を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷して所定のパターンで面内導体部(焼成後の厚み:10μm)を形成した。他のセラミックグリーシートについても同様にしてビア導体部及び面内導体部を形成した。
次いで、セラミック焼結体を素体とするチップ型セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを用意した。この積層セラミックコンデンサは、1300℃で焼成されたセラミック焼結体(サイズ:0.6mm×0.3mm×0.3mm、内部電極:Pd、容量規格:80pF)からなり、その両端部にAgを主成分とする導電性ペーストを塗布して外部端子電極部が形成されている。外部端子電極にはメッキ処理が施されていない。その後、スプレーを用いてセラミックグリーンシート上に有機系接着剤を塗布して面内導体部に有機系接着剤層を形成した後、マウンターを用いてセラミックグリーンシート上の面内導体部に合わせて積層セラミックコンデンサを搭載し、積層セラミックコンデンサを面内導体部に接合、固定した。積層セラミックコンデンサが搭載されたセラミックグリーンシートを2枚準備した。
また、本実施例では、上述したセラミックグリーンシート上の積層セラミックコンデンサの配置パターンに合わせてセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを塗布して第2の内部導体パターン部として第2面内導体部(サイズ:1.5mm×0.5mm×0.01mm)を形成した。第1の内部導体パターン部及び第2の内部導体パターン部の導体材料として、Agを主成分とする導体材料を用いた。この際、Agの粒径を表1に示すように変化させて試料No.1〜8の導体材料を用いた。
然る後、図4の(a)に示すように、10枚のセラミックグリーンシート111Aを積層してセラミックグリーン積層体111を作製した。この際、セラミックグリーン積層体111の上から3番目(セラミックグリーン積層体の上面から焼成後の距離で0.1mm下)及び5番目(セラミックグリーン積層体の上面から焼成後の距離で0.2mm下)に複数の積層セラミックコンデンサ113が搭載されたセラミックグリーンシート111Aを配置すると共に、これらのセラミックグリーンシート111Aの間に第2面内導体部115Aが形成されたセラミックグリーンシート111Aを配置した。第2面内導体部115Aはセラミックグリーン積層体111の上面から焼成後の距離で0.15mm下に位置する。そして、セラミックグリーン積層体111の上下両面に拘束層116を配置して所定の圧力で圧着してセラミックグリーン複合積層体110を作製した後、870℃の空気雰囲気中でセラミックグリーン複合積層体110の焼成を行った。
焼成時に各試料No.1〜8の導体材料を熱機械分析し、この熱機械分析によって各試料のTMA曲線を作製した。そして、TMA曲線に基づいて各試料の収縮開始温度、収縮終了温度及び収縮量を求め、その結果を表1に示した。尚、図5は試料No.3の導体材料のTMA曲線を例示した。
焼成後、未焼結の拘束層116を除去して0.5mm厚のセラミック多層基板を得た。尚、拘束層116としては、Alを主成分として含むと共に、有機バインダを副成分として含むペーストを用いた。
また、比較例1として、図4の(b)に示すように第2面内導体部のないセラミックグリーン複合積層体110Aを作製した以外は、実施例1と同一要領でセラミック多層基板を作製した。
〔セラミック多層基板の評価〕
本実施例1及び比較例1のセラミック多層基板について、X線深傷装置を用い、基板中のクラックの有無について検査を行い、その結果を表2に示した。
Figure 2006128583
Figure 2006128583
表2に示す結果によれば、試料No.2〜6の導体材料を用いたセラミック多層基板は、セラミック材料の収縮開始温度Tと導体材料の収縮開始温度Tの差が50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし、且つ、導体材料の収縮終了温度がセラミック材料の収縮終了温度より高いため、セラミック多層基板に図6の(a)に示すようなクラックやデラミネーションが認められず、問題のないセラミック多層基板を得られた。
これに対して、試料No.1の導体材料を用いたセラミック多層基板は、セラミック材料と導体材料の収縮開始温度の差(T−T)が330℃を超えているため、導体材料の収縮終了温度がセラミック材料の収縮終了温度よりも高くても、第2面内導体15Aとセラミック層11A間にデラミネーションが認められた。また、試料No.7の導体材料を用いたセラミック多層基板は、セラミック材料と導体材料の収縮開始温度の差(T−T)が50℃未満であるため、導体材料の収縮終了温度がセラミック材料の収縮終了温度よりも高くても、積層セラミックコンデンサ13とセラミック層11Aの界面にクラックが認められた。試料No.8の導体材料を用いたセラミック多層基板は、セラミック材料と導体材料の収縮開始温度の差(T−T)が本発明の範囲内にあっても、導体材料の収縮終了温度がセラミック材料の収縮終了温度より低く、セラミック層11Aにクラックが認められた。
また、第2面内導体15Aを有しない比較例1のセラミック多層基板は、図6の(b)に示すように積層セラミックコンデンサ13とセラミック層11Aの界面にクラックCが認められた。
これらの結果から、積層セラミックコンデンサの近傍に上述の第2面内導体を配置することによって、第2面内導体の収縮抑制力がセラミック積層体内で働き、クラックやデラミネーションを生じさせないことが判った。
実施例2
本実施例では、実施例1における試料No.2の導体材料を用いて、図4の(a)に示す第2面内導体115Aの厚みを表3に示すように3〜30μmの範囲で複数の水準に振って第2面内導体115Aを形成した以外は、実施例1と同一要領で試料No.21〜26のセラミック多層基板を作製した。そして、これらの試料について、実施例1と同様にX線深傷装置を用い、基板中のクラックの有無についての検査を行い、その結果を表3に示した。尚、表3において、部品とは積層セラミックコンデンサのことを云う。
Figure 2006128583
表3に示す結果によれば、試料No.23〜26のセラミック多層基板は、第2面内導体15Aの厚みが5〜30μmで本発明の好ましい範囲内にあるため、セラミック多層基板中にクラックが認められなかった。これに対して、試料No.21、22のセラミック多層基板は、第2面内導体15Aの厚みが5μm未満で本発明の好ましい範囲を外れているため、第2面内導体の収縮抑制力が小さく、積層セラミックコンデンサの周辺にクラックが認められた。
この結果から、第2面内導体が収縮抑制力を発現するためには、少なくとも5μm以上の厚みが必要であることが判った。
実施例3
本実施例では、実施例2と同一の導体材料を用い、図7に示すように、実施例1における第2面内導体部に代えて第2ビア導体部115Bを上から4番目のセラミックグリーンシート111Aに貫通させて形成し、下段の積層セラミックコンデンサ113を上から6番目のセラミックグリーンシート111A上に配置した以外は、実施例1と同一要領でセラミックグリーン複合積層体110を作製し、焼成してセラミック多層基板を得た。第2ビア導体部115Bとしては、直径0.3mmのものを形成した。そして、このセラミック多層基板について、実施例1と同様にX線深傷装置を用いて、基板中のクラックの有無についての検査を行った。その結果、セラミック多層基板にクラックが認められなかった。
この結果から、上下の複数の積層セラミックコンデンサそれぞれの間に配置された第2ビア導体は、第2面内導体と同様に収縮抑制力のあることが判った。
実施例4
本実施例では、実施例2と同一の導体材料を用いて、図8に示すように実施例1の場合と同一位置に第2面内導体部115Aを形成すると共に、実施例1おける上下二段の積層セラミックコンデンサのうち、上側の積層セラミックコンデンサ113のみを設けた以外は、実施例1と同一要領でセラミック多層基板を作製した。また、比較例2として、第2面内導体部を省略した以外は実施例4と同一要領でセラミック多層基板を作製した。そして、本実施例及び比較例2のセラミック多層基板それぞれについて、実施例1と同様にX線深傷装置を用いて、クラックの有無についての検査を行った。その結果、実施例4のセラミック多層基板にクラックが認められなかったが、比較例2のセラミック多層基板にはクラックが認められた。
この結果から、セラミック多層基板内に積層セラミックコンデンサが存在する場合、積層セラミックコンデンサの内側(拘束層116とは反対側)近傍に第2面内導体を配置することによって、第2面内導体の収縮抑制力が積層セラミックコンデンサの近傍で作用し、拘束層116の収縮抑制力を補完することができことが判った。第2面内導体がない場合には、拘束層116の収縮抑制力が積層セラミックコンデンサ113によって阻害され、積層セラミックコンデンサの内側まで及ばず、クラックを生じることが判った。
実施例5
本実施例では実施例4と同一の積層セラミックコンデンサ及び導体材料を用いた。そして、本実施例では、焼成後の厚みが25μm(上記各実施例の半分の厚み)となるセラミックグリーンシート111Aを用い、20枚積層してセラミックグリーン積層体を作製した。この際、図9に示すように複数の積層セラミックコンデンサ113を同一のセラミックグリーンシート111A上に配置し、複数の第2面内導体部115Aを複数の積層セラミックコンデンサ113に対応させて徐々に遠ざけて配置した。後は実施例1と同一要領でセラミック多層基板を作製した。積層セラミックコンデンサ113は実施例1と同一のものである。本実施例における第2面内導体115Aの大きさは実施例1と同様に1.5mm×0.5mm×0.01mmであった。焼成後の複数の積層セラミックコンデンサとそれぞれに対応する第2面内導体との間の距離は表4に示す通りであった。そして、本実施例のセラミック多層基板それぞれについて、実施例1と同様にX線深傷装置を用いて、クラックの有無についての検査を行い、その結果を表4に示した。尚、表4において、部品とは積層セラミックコンデンサのことを云う。
Figure 2006128583
表4に示す結果によれば、第2面内導体の積層セラミックコンデンサからの距離が100μm以内のセラミック多層基板の場合には、クラックが認められなかった。これに対して、第2面内導体の積層セラミックコンデンサからの距離が100μmを超えるセラミック多層基板の場合には、クラックが認められた。
この結果から、第2面内導体の積層セラミックコンデンサからの距離が100μmを超えると、第2面内導体による収縮抑制力が及ばなくなり、セラミック多層基板にクラックが入ることが判った。
実施例6
本実施例では実施例4と同一の積層セラミックコンデンサ及び導体材料を用いた。そして、本実施例では、焼成後の厚みが50μmになる、200mm□のセラミックグリーンシートを10枚積層し、積層セラミックコンデンサを全てセラミックグリーン積層体の上面から0.2mm下のセラミックグリーンシート上に配置した。第2面内導体部として1.5mm×0.5mmで、その厚みを表5に示すように変化させて、図10の(a)、(b)に示すように積層セラミックコンデンサ113に接合するように配置した。これらの点以外は実施例1と同一要領で試料No.61〜66のセラミック多層基板を作製した。試料No.61〜66のセラミック多層基板それぞれについて、実施例1と同様にX線深傷装置を用いて、クラックの有無について検査を行い、その結果を表5に示した。
Figure 2006128583
表5に示す結果によれば、第2面内導体の厚みが5μm以上の試料No.63〜66のセラミック多層基板の場合には、図10の(a)に示すようにクラックが認められなかった。これに対して、第2面内導体の厚みが5μm未満の試料No.61、62のセラミック多層基板の場合には、図10の(b)に示すように積層セラミックコンデンサ13と第2面内導体15Aの界面にクラックCが認められた。
この結果から、第2面内導体15Aが5μm未満の厚みでは収縮抑制効果が得られないことが判った。また、積層セラミックコンデンサ13の導通用の面内導体も収縮抑制効果を有することが判った。
実施例7
本実施例では、低温焼結セラミック材料に用いられる焼結助材の添加量を変化させて拘束層に添加することによって、セラミックグリーンシートの積層体に対する拘束層の密着力を変化させ、表6に示すように積層体の平面方向の収縮量を制御した以外は、実施例1と同一要領でセラミック多層基板を作製した。
本実施例においても実施例1と同様にX線探傷法で評価を行い、その結果を表6に示した。
Figure 2006128583
表6に示す結果によれば、セラミック層の収縮量が±5%を超えると積層セラミックコンデンサ及び/または基板にクラックが発生することが判った。換言すれば、第2の面内導体部を設けても、低温焼結セラミック材料の収縮量を±5%以内に抑える必要があることが判った。従って、拘束層への焼結助材の添加量は、±5%の範囲内の収縮量を示す、0.1〜1.6重量%に設定することが好ましいことが判った。
尚、本発明は、上記各実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限り、本発明に含まれる。
本発明は、電子機器などに使用されるセラミック多層基板及びその製造方法に好適に利用することができる。
本発明のセラミック多層基板の一実施形態を示す断面図である。 図1に示すセラミック多層基板の製造工程の要部を示す工程図である。 図1に示すセラミック多層基板の製造工程の要部を示す工程図である。 (a)、(b)はそれぞれ本発明の実施例1と比較例1のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図である。 本発明の実施例1のセラミック多層基板を焼成する際のTMA曲線を示すグラフである。 (a)(b)はそれぞれ図4の(a)、(b)の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施例3のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図である。 本発明の実施例4のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図である。 本発明の実施例5のセラミックグリーン複合積層体を示す断面図である。 本発明の実施例6のセラミック多層基板の積層セラミックコンデンサと第2面内導体の関係を示す断面図である。
10 セラミック多層基板
11 セラミック積層体
11A セラミック層
13 チップ型セラミック電子部品
13A 外部端子電極(端子電極)
15 第2の内部導体パターン
15A 第2面内導体
15B 第2ビア導体
111 セラミックグリーン積層体
111A セラミックグリーンシート(セラミックグリーン体)
113 積層セラミックコンデンサ(素体)、チップ型セラミック電子部品(素体)
115 第2の内部導体パターン部(内部導体パターン部)
115A 第2面内導体部
115B 第2面ビア導体部

Claims (6)

  1. 複数のセラミック層が積層されたセラミック積層体と、このセラミック積層体内に設けられ、セラミック焼結体を素体とし且つ端子電極を有するチップ型セラミック電子部品と、を含むセラミック多層基板であって、
    上記チップ型セラミック電子部品の近傍に内部導体パターンが配置されており、
    上記セラミック層を形成するセラミック材料の収縮開始温度Tと上記内部導体パターンを形成する導体材料の収縮開始温度Tは、50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし、且つ、
    上記導体材料の収縮終了温度は、上記セラミック材料の収縮終了温度より高い
    ことを特徴とするセラミック多層基板。
  2. 二つの隣合う上記チップ型セラミック電子部品の間に、上記内部導体パターンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミック多層基板。
  3. 上記内部導体パターンは、上記チップ型セラミック電子部品よりも上記セラミック積層体の中心に近い側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項に記載のセラミック多層基板。
  4. 上記チップ型セラミック電子部品から100μm以内に、上記内部導体パターンが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
  5. 上記内部導体パターンは、面内導体を有し、その厚みが5〜30μmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
  6. 複数のセラミックグリーン体を積層してなるセラミックグリーン積層体の内部に、セラミック焼結体を素体とし且つ端子電極を有するチップ型セラミック電子部品を内蔵させる工程と、
    上記セラミックグリーン積層体の少なくとも一方の主面に、上記セラミックグリーン体を形成するセラミック材料の焼結温度では実質的に焼結しない拘束体を配置してセラミックグリーン複合積層体を作製する工程と、
    上記セラミックグリーン複合積層体を上記セラミック材料の焼結温度で焼結させる工程と、
    上記拘束体を除去する工程と、
    を備えたセラミック多層基板の製造方法であって、
    上記チップ型セラミック電子部品を上記セラミックグリーン積層体に内蔵させる工程は、
    上記チップ型セラミック電子部品の近傍に、上記セラミック材料の収縮開始温度Tに対して収縮開始温度Tが50℃≦(T−T)≦330℃の関係を満たし且つ収縮終了温度が上記セラミック材料の収縮終了温度より高い導体材料を用いて、セラミックグリーン体に内部導体パターン部を形成する工程
    を有することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
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