JP2006125042A - 通気床パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】 特別な施工を伴わずに建物構造躯体内全体の通気が図られる通気床パネルを提供し、確実で安定した通気機能・効果をもたらす施工を実現する。
【解決手段】 短辺と長辺との寸法比が1対2の構造用合板で規格寸法の矩形板状に形成し、格子状に組み込まれた横架材上に敷設して各階の床下地を剛床ネダレスで施工する通気床パネルであって、裏面の側辺に、縁端から所定の深さ、寸法で削成した短溝状の通気用スリット溝15を、規定の間隔で並置して両長辺及び両短辺に対称の位置に配置し、各通気用スリット溝15の縁端には表面まで達する切り欠き15aを形成するとともに、裏面の中央部分に、所定の深さ、寸法で削成した長溝状の通気用スリット溝16を、中心線に沿って規定の間隔で配置し、各通気用スリット溝16の中央には表面まで貫通する貫通孔16aを形成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、建物の構造躯体内が密封型となりがちな現在の住宅建築に対して、通気機能を備えた通気床パネルを用いて各階の床下地を施工することで、建物構造躯体内の熱気や湿気の停留を解消するために通気を図る通気床パネルに関するものである。
近年、住宅建築において、工法の合理化と耐震性の向上を図るため、壁構造や床構造に構造用合板が多用されている。床の施工では、ネダレス工法と称して従来の根太組を省略し、土台、大引、床梁等の横架材に厚物合板を直接敷設し、その上に、フローリング、カーペット、畳敷等の床仕上げする施工が普及、増加している。こうした床下地材として、所定の厚さで3尺×6尺、1m×2m等、短辺と長辺との寸法比が1対2の構造用合板で規格寸法の矩形板状に形成した床パネルが用いられている。
一方、建物の外回り基礎に床下換気口を設けて床下空間の通風が図られるが、建物内には熱気や湿気を含んだ空気溜まりが生じて完全な換気が行われるものではなく、最近では床下に換気扇を取り付けて強制的に換気を行う手段も取られている。また、床組構造が従来の根太組敷設工法であれば、根太の高さ分だけ通風・換気が図れるが、床下地を剛床ネダレスで施工した場合、各階の床下・天井間の上下空間(以下、各階下間空間と称す)と壁体内とは完全に遮断されて空気が流通することがなく、横架材の高さ空間内にも熱気や湿気を含んだ空気が停留し、建物構造躯体内の通気が全く行われない。
このように、構造用合板や断熱材を多用した現在の住宅建築においては、建物の耐震強度、気密性、断熱性が著しく向上した反面、建物構造躯体内が密封型となり、建物内で発生する熱や水蒸気が建物構造躯体内に熱気や湿気として停留する構造となっている。そのため結露も生じやすくなり、これは、柱や梁等の構造体の寿命や室内環境に大きな弊害を及ぼし、住環境としても決して健康的で快適な居住空間とはいえないものである。
出願人は、こうした現在の住宅建築に関する課題を解決する手段として、先の出願、特開平11−172825号公報(特許文献1)で、裏面側辺に通気用スリット溝を配置した床パネルを提案した。この床パネルは、横架材上に敷設して各階の床下地を施工することで、通気用スリット溝で床下空間、各階下間空間と建物の壁体内とを連通させるとともに、床下空間、各階下間空間の通風性の向上を図るものである。また、この床パネルを用いた通気工法として、特開2003−328460号公報(特許文献2)を提案した。この通気工法は、各部屋を区画する間仕切り壁の位置で、床パネルの当接した縁端部分に通気用スリット溝に連通する小孔を表面から開設し、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とを連通させ、建物構造躯体内全体の通気を図るものである。
特開平11−172825号公報 特開2001−173202号公報
上記の床パネル及びこれを用いた通気工法では、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とを連通させるため、床パネルの当接した縁端に表面から通気用の小孔を開設し、通気用スリット溝に連通させなければならないが、表面から直ちに裏面の通気用スリット溝の位置を知ることができず、スリット溝の位置を記した定規を用意する等の開設位置を示す手段が必要とされる。また、この通気用の小孔を必要とされる位置に開設し忘れることもあり、何れにしても全ての必要位置に小孔を開設する作業は煩雑であり、その通気機能・効果を得るための施工性に大きな課題があった。
この発明は、こうした課題を解決することを目的とするもので、通気機能を備えた通気床パネルを用いて各階の床下地を施工することで、特別な施工を伴わずに直ちに建物構造躯体内全体の通気が図られる通気床パネルを提供し、施工性に極めて優れ、確実で安定した通気機能・効果をもたらす施工を実現することを目的とするものである。
こうした目的を達成するため、この発明は、短辺と長辺との寸法比が1対2の構造用合板で規格寸法の矩形板状に形成し、格子状に組み込まれた横架材上に敷設して各階の床下地を剛床ネダレスで施工する通気床パネルであって、裏面の側辺に、縁端から所定の深さ、寸法で削成した短溝状の通気用スリット溝15を、規定の間隔で並置して両長辺及び両短辺に対称の位置に配置し、各通気用スリット溝15の縁端には、表面まで達する切り欠き15aを形成するとともに、裏面の中央部分に中心線に沿って、所定の深さ、寸法で削成した長溝状の通気用スリット溝16を規定の間隔で配置し、各通気用スリット溝16の中央に、表面まで貫通する貫通孔16aを形成する。そして、各階の床面の周縁で、床下空間、各階下間空間と建物の壁体内とを通気用スリット溝15で連通させ、床下空間、各階下間空間において、横架材上で小口面を当接して開口位置が一致した通気用スリット溝15及び横架材上に位置する通気用スリット溝16で、横架材を跨いだ通風路を形成し、間仕切り壁に位置した切り欠き15a及び貫通孔16aで、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とを連通させることを特徴とするものである。
以上のように構成したこの発明の通気床パネルを用いて各階の床下地を施工することで、全ての必要位置に切り欠き15a及び貫通孔16aが開孔した状態で施工され、間仕切り壁に位置した切り欠き15a及び貫通孔16aで床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とが連通する。したがって、通気床パネル敷設後の開孔作業が一切不要となり、従来と同様にして通気床パネルを敷設するだけで、特別な施工を伴わずに直ちに建物構造躯体内全体の通気が図られ、確実で安定した通気機能・効果をもたらす極めて施工性に優れた通気工法を実現することができる。そして、床下地を剛床ネダレスで施工した場合であっても、自然対流による建物構造躯体内の空気の流通が図られ、柱や梁等の構造体が常に新鮮な空気に触れることが可能であるから木の調湿作用を促進させ、建物構造体の耐久性の向上を図ることができる。こうした建物構造躯体内の通気性の向上により、建物構造躯体内の熱気や湿気の停留を解消し、結露の発生を防止し、特に間仕切り壁内を空気が流通することで、内装クロスやクローゼット内のカビの発生を防止するなど、長期にわたる健康的で快適な居住空間を実現することができる。
また、この発明の通気床パネルは、構造用合板に部分的に切削加工、穴開け加工するだけであるから、量産性に優れて安価に製作されるとともに、下地材として強度、剛性に劣ることもない等の効果を奏するものである。
以下にこの発明を実施するための最良の形態について、図面に示した実施例に基づいて具体的に説明する。
図1から5に、この発明の通気床パネルの実施例を示す。図の通気床パネル10は、3尺×6尺、1m×2m等の短辺と長辺との寸法比が1対2、板厚27mm以上の構造用合板で規格寸法の矩形板状に形成した一般的なものである。通気床パネル10の裏面側辺に、縁端から所定の深さ(板厚の略半分程度)、寸法で削成した短溝状の通気用スリット溝15が規定の間隔で並置され、各通気用スリット溝15の縁端には表面まで達する半円形の切り欠き15aが形成されている(図3参照)。同様にして、通気用スリット溝15と同じ深さ、所定の寸法で削成した長溝状(通気用スリット溝15の略2倍の長さ)の通気用スリット溝16が、通気床パネル10の裏面の中央部分に中心線に沿って規定の間隔で配置され、各通気用スリット溝16の中央には表面まで貫通する円形の貫通孔16aが形成されている(図4参照)。
図5に、格子状に組み込まれた横架材(図中、想像線で示した大引26等)上に通気床パネル10を敷設した状態の裏面図を示す。図に示すように、通気用スリット溝15は、両短辺及び両長辺に対称の位置に配置され、小口面を当接して敷設した場合、当接した通気床パネル10の通気用スリット溝15の開口位置が一致して連通するように配置され、切り欠き15aが当接して円形の貫通孔が形成される。また、図例のように、長辺に2枚の短辺を当接して通気床パネル10を敷設した場合も、通気用スリット溝15の開口位置が一致するように配置され、建物の間取りや横架材の位置に対応して通気床パネル10を縦横柔軟に敷設可能としている。
図6に、この通気床パネル10を用いて各階の床下地を剛床ネダレスで施工する木造住宅建築の施工例を示す。
図の施工例において、基礎20がコンクリート打設され、周縁に沿って所定の高さで立ち上げられた外回り基礎20aの適宜の箇所の開孔に、開閉式の床下換気口22が取り付けられる。外回り基礎20aの表面は化粧モルタル21で仕上げられ、内周面(裏面側)には断熱材30が面張り施工され、基礎断熱として、外気に接する外回り基礎20aの内周面に断熱材30を施工することで、経年劣化や蟻虫による浸食を防止している。
外回り基礎20a上に土台25がボルト締め固定され、外回り基礎20aと適宜の間隔で立ち上げられた内回り基礎20bと床束上に大引26が架設される。そして、通気床パネル10を土台25、大引26上に小口面を当接して敷設し、順次専用ビスでこれらの横架材に直接固定し、ネダレス工法で1階の床下地が施工される。
建物の断熱・自然通気方法として外断熱工法が取られ、土台25に立設した柱29の外側に断熱材30が面張り施工され、さらにその外側に通気用の胴縁31を設けて外壁32が施工され、室内側では内壁33を施工する。その結果、断熱材30と内壁33との間の壁体内の通気空間と、断熱材30と外壁32との間の通気空間が形成される。通気床パネル10上に床仕上げ材34が施工され、天井材35、間仕切り壁の内壁36等の内装仕上げが順次施工される。
2階では、胴差39、床梁40上に通気床パネル10を同様に敷設して床下地が施工され、床仕上げ材34、天井材35、内壁36等の内装仕上げが順次施工される。さらに、小屋裏空間の利用を図るため、桁41、小屋梁42上に通気床パネル10が敷設される。
屋根垂木43の外側に断熱材30が面張り施工され、その上に通気用の垂木44、野地板45を施工して屋根46を施工する。その結果、屋根面に沿って断熱材30と屋根46との間に通気空間が形成され、この通気空間は、軒天換気口47に連通するとともに、断熱材30と外壁32との間の通気空間に連通している。
以上の通気床パネル10の施工によって、各階床面の周縁では、全周にわたって所定の間隔で通気用スリット溝15が配置され、この通気用スリット溝15で床下空間、各階下間空間と建物の壁体内(断熱材30と内壁33との間)とが連通される。また、横架材上で小口面を当接した通気床パネル10の通気用スリット溝15の開口位置が一致し、横架材を跨いだ通風路が形成され、通気床パネル10の中央に横架材が配置された場合には、長溝状の通気用スリット溝16でこの横架材を跨いだ通風路が形成される(図5参照)。さらに、切り欠き15aが当接した円形の貫通孔で、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とが連通され、通気床パネル10の中央に間仕切り壁が配置された場合には、貫通孔16aで、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とが連通される。以上の通気床パネル10の施工で、建物構造躯体内(床下空間、各階下間空間、壁体内、間仕切り壁内、小屋裏)が全て連通される。
次に、このように施工した建物の空気の流れについて説明する。
床下換気口22から床下空間内に流入した空気(図6中、実線矢印)は、1階床面の周縁に亘って配置された通気用スリット溝15で床下空間から壁体内へ、切り欠き15aで床下空間から間仕切り壁内へと流通する。同様にして2階の各階下間空間では、2階床面の周縁に亘って配置された通気用スリット溝15で各階下間空間から壁体内へ、切り欠き15aで各階下間空間から間仕切り壁内へと流通する。さらに小屋裏へと流入した空気が小屋裏換気口等から屋外へ排出される。このように、床下空間内に流入した空気が自然対流により建物構造躯体内を流通し、各階下間空間では、横架材を跨いだ通風路で空気が横架材上を流通し、通気性の向上が図られている。
断熱材30と外壁32との間の通気空間内に下端開口から流入した空気(図6中、破線矢印)は、この通気空間内を上昇し、軒天換気口47から軒先空間内に流入した空気と合流し、断熱材30と屋根46との間の通気空間を流通して屋根最上部の棟排気口等から排出される。以上のように、この建物は、断熱材30の内側に建物構造躯体内が連通した内側通気層を形成し、外側に常時外気が流通する外側通気層を形成した二重通気層構造とされ、通気機能を備えたこの発明の通気床パネル10を用いて各階の床下地を施工することで、安定した通気機能・効果をもたらす内側通気層を簡単かつ確実に形成することができる。
この発明の通気床パネルの実施例の裏面図。 同じく平面図。 図2中A−A線の断面図。 図2中B−B線の断面図。 長辺に2枚の短辺を当接して通気床パネルを敷設した裏面図。 この発明の通気床パネルの施工例を示す要部の断面図。
符号の説明
10 通気床パネル
15 通気用スリット溝
15a 切り欠き
16 通気用スリット溝
16a 貫通孔30

Claims (1)

  1. 短辺と長辺との寸法比が1対2の構造用合板で規格寸法の矩形板状に形成し、格子状に組み込まれた横架材上に敷設して各階の床下地を剛床ネダレスで施工する通気床パネルであって、
    裏面の側辺に、縁端から所定の深さ、寸法で削成した短溝状の通気用スリット溝15を、規定の間隔で並置して両長辺及び両短辺に対称の位置に配置し、各通気用スリット溝15の縁端には表面まで達する切り欠き15aを形成するとともに、裏面の中央部分に、所定の深さ、寸法で削成した長溝状の通気用スリット溝16を、中心線に沿って規定の間隔で配置し、各通気用スリット溝16の中央には表面まで貫通する貫通孔16aを形成し、
    各階の床面の周縁で、床下空間、各階下間空間と建物の壁体内とを通気用スリット溝15で連通させ、
    床下空間、各階下間空間において、横架材上で小口面を当接して開口位置が一致した通気用スリット溝15及び横架材上に位置する通気用スリット溝16で、横架材を跨いだ通風路を形成し、
    間仕切り壁に位置した切り欠き15a及び貫通孔16aで、床下空間、各階下間空間と間仕切り壁内とを連通させることを特徴とした通気床パネル。
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