JP2006124775A - パイプライン変形特性および低温靭性に優れた超高強度鋼板及び超高強度鋼管並びにそれらの製造方法 - Google Patents

パイプライン変形特性および低温靭性に優れた超高強度鋼板及び超高強度鋼管並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 パイプライン変形特性と高速延性破壊特性に優れた引張強さ800MPa以上(API規格X100以上)の超高強度鋼管及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、C :0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.5〜2.5%、P :0.015%以下、S :0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.15〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.06%以下を含有し、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率が90%以上でかつ、圧延幅方向と圧延長手方向の引張強度差が30MPa以上若しくは圧延長手方向と圧延幅方向との引張強度比が0.97以下であるパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管若しくはこれに使用される鋼板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然ガス・原油輸送用ラインパイプ等に使用される円周方向の引張り強度(TS)が800MPa以上を有するパイプライン変形特性および低温靭性に優れた超高強度ラインパイプに関する。
近年、原油・天然ガスのパイプラインにおいて、輸送効率の向上を目的とした高内圧化や現地施工能率の向上を目的としたラインパイプの外径、重量の低減が要求され、X100(円周方向の引張強さ760MPa以上)、X120(円周方向の引張り強さ915MPa以上)を超える高強度鋼管の開発が進められている(例えば、特許文献1、2)。
パイプラインでは地震による変形および繰り返し変形によって、また、寒冷地にて見られる不連続永久凍土の溶解による大変形および繰り返し変形によってパイプラインが円周溶接部より破壊することが懸念されている。この破壊を防止するためにはパイプライン母管と円周溶接金属との引張り強度比(以後マッチングとよぶ)が非常に重要であり、パイプライン母管の引張り強度よりも円周溶接金属の引張り強度を高くして(これをオーバーマッチングとよぶ)円周溶接部からの破壊を防止するようにしている。しかしながら、母材の引張り強度が800MPaを超えると円周溶接金属の強度をかなり高くする必要が出てくるため、円周溶接部での脆性破壊発生を防止するための靱性を確保することが困難になってくる。さらに、円周溶接部での低温割れ発生の問題も懸念されて、円周溶接部の強度をあまり高くすることが難しくなってくる。従って、オーバーマッチングの確保が難しくなるため長手方向の鋼管の強度を下げる試みが行われている。当然、円周方向の強度は各グレードの規格の強度を満足させる必要がある。すなわち、高強度鋼管の長手方向と円周方向の強度差を生じさせる必要がでてくる。実際には鋼管どうしを円周溶接し、曲げ変形を加えたとき、許容曲げ歪み内で円周溶接部から破断しないことである。しかしながら、このような試験を行うことは試験に要するコストが非常に高いので、通常はcurved wide plate試験を行う。Curved wide plate試験はガス溶接部を含んだ鋼管から引張り試験片を加工し、引張り試験を行う。この引張り試験にて許容ひずみ以内で円周溶接部から破断しなければよい。これをパイプライン変形特性と呼ぶ。
一方、パイプラインでは、鋼管の母材に発生した延性亀裂が管軸方向に100m/s以上の高速で、100mから数kmにも及ぶ長距離を伝播する可能性があり、これを停止させる必要がある。これを高速延性破壊特性と呼ぶ。高速延性破壊特性の評価には、鋼管の表面に爆薬を装着後、爆発させて発生した延性亀裂が停止するか否かを判定するフルクラックバーストテストが最適である。しかし、フルクラックバーストテストは、試験に要するコストが非常に高いため、従来、フルクラックバーストテストの結果と比較的よく一致するプリクラックDWTT試験によって求められる吸収エネルギー(プリクラックDWTT吸収エネルギーという)で評価する動きがある。(特許文献3)
特開平9−41074号公報 特開平9−41080号公報 特願2003−359609号
本発明は、パイプライン変形特性と高速延性破壊特性に優れた引張強さ800MPa以上(API規格X100以上)の超高強度鋼管及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、引張強さが800MPa以上のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管を得るための母材の成分及びミクロ組織について検討を行い、ミクロ組織、集合組織を最適化することが有効であるという知見を得、更に製造条件について検討を行い、パイプライン変形特性および高速延性超高強度鋼板及び鋼管並びにそれらの製造方法を発明するに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C :0.03〜0.10%、
Si:0.01〜0.6%、
Mn:1.5〜2.5%、
P :0.015%以下、
S :0.003%以下、
Ni:0.1〜2.0%、
Mo:0.15〜0.60%、
Nb:0.001〜0.10%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.06%以下
を含有し、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率が90%以上でかつ圧延幅方向と圧延長手方向の引張強度差が30MPa以上であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板、もしくは、
(2) 質量%で、
C :0.03〜0.10%、
Si:0.01〜0.6%、
Mn:1.5〜2.5%、
P :0.015%以下、
S :0.003%以下、
Ni:0.1〜2.0%、
Mo:0.15〜0.60%、
Nb:0.001〜0.10%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.06%以下
を含有し、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率が90%以上でかつ圧延長手方向と圧延幅方向の引張強度比が0.97以下であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板、もしくは、
(3) 圧延面に平行な面での(311)<011>の集合組織の集積度が4以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板、もしくは、
(4) 旧オーステナイトの平均パンケーキ厚みが5μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板、もしくは、
(5) 質量%で、
B :0.0001〜0.005%、
N :0.0001〜0.006%、
V :0.001〜0.10%、
Cu:0.01〜1.0%、
Cr:0.01〜0.8%、
Zr:0.0001〜0.005%、
Ta:0.0001〜0.005%、
Ca:0.0001〜0.01%、
REM:0.0001〜0.01%、
Mg:0.0001〜0.006%
の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板、もしくは、
(6) (1)または(5)に記載の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、鋼片を再加熱し、続いて、熱間圧延を行う際の鋼片の再加熱温度が1100〜1250℃であり、再結晶圧延域での圧延温度が900℃以上であり、未再結晶圧延域での開始温度が880℃以下、累積圧下量が70%以上でかつ、700℃から750℃での仕上げ圧延での累積圧下量が10%以上であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板の製造方法、もしくは、
(7) (1)または(5)に記載の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、熱間圧延を行う際に未再結晶圧延域での終了温度を650〜700℃として熱間圧延し、鋼板中心部を1℃/s以上30℃/s以下で水冷することを特徴とする(6)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板の製造方法、もしくは、
(8) 母材が(1)〜(5)のいずれかに記載の超高強度鋼板からなることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管、もしくは、
(9) 溶接金属の成分が質量%で、
C :0.04〜0.14%、
Si:0.05〜0.4%、
Mn:1.2〜2.2%、
P :0.01%以下、
S :0.010%以下、
Ni:1.3〜3.2%、
Cr+Mo+V:1.0〜2.5%、
Ti:0.003〜0.050%、
Al:0.02%以下、
B:0.005%以下、
O:0.01〜0.03%
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする(8)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管、もしくは、
(10) (6)または(7)に記載の超高強度鋼板の製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行い、その後、拡管を行うことを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法、もしくは、
(11) (6)または(7)に記載の板厚が10mmから30mmの超高強度鋼板を製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、2.0〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接した後、拡管を行うことを特徴とする(10)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法、もしくは、
(12) (6)または(7)に記載の超高強度鋼板の製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行い、溶接金属の成分を(9)に記載のものとし、その後、拡管を行うことを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法、もしくは、
(13) (6)または(7)に記載の板厚が10mmから30mmの超高強度鋼板を製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、2.0〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接し、溶接金属の成分を請求項9に記載のものとし、その後、拡管を行うことを特徴とする(12)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法、もしくは、
(14) 溶接ワイヤーの成分が質量%で、
C :0.01〜0.12%、
Si:0.3%以下、
Mn:1.2〜2.4%、
Ni:4.0〜8.5%、
Cr+Mo+V:3.0〜5.0%、
Ti:0.005〜0.15%、
Al:0.02%以下
を含有する(10)〜(13)に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法である。
本発明により、(1)の発明は鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率を90%以上にし、かつ圧延幅方向と圧延長手方向の引張強度差を30MPa以上にすることによってパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた、特にラインパイプ用鋼管に使用される超高強度鋼板の提供を可能とする。(2)の発明は、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率を90%以上にし、かつ圧延幅方向と圧延長手方向の引張強度比を0.97以下にすることによってパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた、特にラインパイプ用鋼管に使用される超高強度鋼板の提供を可能とする。(3)の発明は、板厚断面での(311)<011>の集合組織の集積度を4以上にすることによってパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた、特にラインパイプ用鋼管に使用される超高強度鋼板の提供を可能とする。(4)の発明は、旧オーステナイトの平均パンケーキ厚みを5μm以下とすることによってパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた、特にラインパイプ用鋼管に使用される超高強度鋼板の提供を可能とする。(5)の発明は添加する選択元素の成分範囲を限定したものであり、これらの元素を添加することによって、強度、焼き入れ性、溶接熱影響部靭性、耐ラメラティア性、パイプライン変形特性、高速延性破壊特性のうちいずれかまたは2つ以上を向上させる。(6)〜(7)の発明は(1)から(5)の発明であるパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造を実現する。(8)の発明は(1)〜(5)の発明の鋼板を用いることによってパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた、特にラインパイプ用鋼管に使用される超高強度鋼管を提供することを可能とする。(9)の発明では溶接金属の成分範囲を限定したものであり、これらの成分範囲とすることによって溶接部の強度、低温靭性、耐低温割れ感受性、焼き入れ性等を確保する。(10)〜(14)の発明は(8)及び(9)のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造を実現することを可能とする。これらの発明により、パイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた円周方向の引張強さ800MPa以上(API規格X100以上)の超高強度鋼管及びその製造方法の提供が可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者は、引張り強度が900MPa以上を有する鋼板において、曲げ変形などが加わったときに円周溶接部から破断しないようにするために長手方向(以下L方向と呼ぶ)とその幅方向(鋼管での円周方向に相当する;以下C方向と呼ぶ)の引張強度差(=幅方向引張強度−長手方向引張強度)をどれくらい大きくするかの定量性について検討を行った。その結果、圧延面に平行な面(以後Z面という)に特定の集合組織を顕著に生成させると幅方向と長手方向の引張強度差が顕著になり、30MPa以上の強度差になることがわかった。これにより圧延長手方向と圧延幅方向の引張強度比(=圧延長手方向引張強度÷圧延幅方向引張強度)は0.97以下になることも明らかとなった。この特定の集合組織とは(311)<110>であることがX線回折による集合組織解析によって判明した。この集合組織を生成させればL方向とC方向の引張強度差が大きくなる理由を発明者ら以下のように考えている。鉄の場合、引張りを加えていくと、(110)<111>集合組織の方向にすべることになる。この集合組織が圧延面に平行な面にL方向に多く集積して、C方向に最も少なく集積すれば、L方向とC方向の強度差が大きくなると考えられる。このバランスを考慮すると(311)<110>集合組織をZ面に集積させることがL方向とC方向の強度差が大きくなることが判明した。
もう1つは長手方向でのγ粒の扁平度合いを大きくすることである。すなわち、L方向に長く伸びたγ粒を多く生成させることである。これによりL方向とC方向の引張強度差は大きくなる。このL方向にγ粒を扁平させると引張強度差が大きくなる理由を筆者らは次のように考えている。L方向に長く扁平したγ粒が多く存在すると、L方向にはただちに伸びるのに対して、C方向に粒をのばすにはL方向よりも大きな抵抗になる。
このような鋼板を製造する方法について詳細に検討を行った。本発明者は、鋼板を種々の条件で製造し、熱間圧延の仕上げ温度と板厚中心のZ面での(311)<110>集合組織の関係を調査した。その結果、熱間圧延の仕上げ温度が低ければ低いほど(311)<110>集合組織が板厚中心部のZ面に顕著に生成することがわかった。具体的には仕上げ圧延の温度が700℃から750℃で累積圧下量が10%を超えると(311)<110>集合組織が板厚中心部のZ面に顕著に生成することが判明した。ただし、仕上げ温度がAr3点を下まわるとフェライトが多く生成し、(311)<110>集合組織が板厚中心部のZ面に集積しなくなることおよびフェライトを多く生成させると円周方向の引張り強度が900MPaを下回るので、Ar3以上で仕上げる必要がある。
次に、本発明者は、良好な鋼板の高速延性破壊特性を得るために鋭意検討を行った。高速延性破壊特性は、伝播する亀裂が停止する特性であるから、亀裂の伝播のエネルギーと相関がある。まず、鋼板のプリクラックDWTTエネルギーと長手方向のL断面のγ粒径との関係を明確にするために検討を行った。光学顕微鏡を用いて鋼板のミクロ組織を観察し、長手方向のγ粒径を測定し、プリクラックDWTTエネルギーとパンケーキ厚みとの関係を調査した。その結果、プリクラックDWTTエネルギーは、γ粒径と相関があることがわかった。
このような鋼板を製造する方法について詳細に検討を行った。ミクロ組織がベイナイト・マルテンサイトからなる900MPa以上の引張強度を有する高強度鋼を製造する際に、L方向に延伸化した扁平γ粒を多く生成させるには、仕上げ圧延開始温度を880℃以下にして、仕上げ圧延での累積圧下量を70%以上にすれば、長手方向での平均γ粒径(パンケーキ厚みと呼ぶ)が5μm以下になることが明らかとなった。
以下、本発明について詳細に説明する。
引張り強度が900MPa以上でのミクロ組織はベイナイト・マルテンサイト主体の組織であり、粒界から生成するフェライト(ポリゴナルフェライト)はほとんど生成されない。なぜなら、フェライトが生成する領域は空冷に相当する冷却速度よりも遅いため、ほとんど生成されない。また、このフェライト面積率が、10%超では、円周方向の引張り強度を確保することが難しくなる。そのため、フェライトの面積率を10%未満とした。残部はベイナイト・マルテンサイトである。ただし、ベイナイトおよびマルテンサイトのラス界面に5%以下の残留オーステナイトが残存する場合がある。なお、強度並びにパイプラン変形特性および高速延性破壊特性を考慮すると、フェライトの面積率の上限は5%未満であることが好ましい。
ミクロ組織において、フェライトとベイナイトもしくはマルテンサイトは、光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡を用いた組織観察によって判別することが可能である。光学顕微鏡では白く等軸に観察されるものである。走査電子顕微鏡では、黒く、のっぺりしたように観察される。これら光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡で撮影した組織写真を画像解析することにより、フェライトの面積率を測定することができる。
板厚中心部のZ断面での(311)<110>の集合組織の集積は、4を下回るとL方向とC方向の強度差が小さくなるため、4以上とした。なお、板厚中心部のZ断面での(311)<110>面の集積は、ランダムな方位を有する標準試料のX線回折による強度の測定値を基準とするものであるから、下限は1である。
次に、平均γ粒径が5μmを超えて粗大化すると、劈開の破面単位が大きくなって伝播エネルギーが低下することがあるため、平均γ粒径は5μm以下にする必要がある。平均γ粒径は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって撮影した組織写真を用いて、切断法によって測定することができる。
次に母材の化学成分の限定理由について説明する。
Cは鋼の強度向上に極めて有効な元素であり、0.03%以上のCを含有することが好ましい。しかし、C含有量が0.10%よりも多すぎると母材及び溶接熱影響部(HAZという)の低温靱性がやや劣化し、現地溶接性を損なうことがあるため、C含有量の上限を0.10%以下とすることが好ましく、0.07%以下とすることが更に好ましい。
Siは、脱酸に有効な元素であり、0.01%以上を含有することが好ましいが、0.6%よりも多く添加するとHAZの低温靱性がやや劣化し、現地溶接性を損なうことがあるため、Si含有量の上限を0.6%以下とすることが好ましい。
Mnは、鋼の強度と低温靱性とのバランスを良好にするために有効な元素であり、Mn含有量の下限を1.5%以上とすることが好ましい。しかし、Mnを2.5%よりも過剰に含有すると鋼の焼き入れ性が増してHAZの低温靱性を劣化させ、また、現地溶接性を損なうことがある。したがって、Mn含有量の上限を2.5%以下とすることが好ましい。
P、Sは不純物元素であり、母材及びHAZの低温靱性をより一層向上させるために、Pの含有量及びSの含有量の上限をそれぞれ0.015%以下及び0.003%以下とすることが好ましい。Pの含有量及びSの含有量の下限は低いほど好ましいため規定しないが、通常、それぞれ0.001%以上及び0.0001%以上を含有する。
Niは、低温靱性及び強度を向上させる元素であり、その効果を得るために、Ni含有量の下限を0.1%以上とすることが好ましい。一方、Niの含有量が2.0%を超えると、溶接性を損なうことがあるため、Ni含有量の上限を2.0%とすることが好ましい。
Moは、鋼の焼き入れ性を向上させ、炭窒化物を形成して強度を向上させる元素であり、その効果を得るには、Mo含有量を0.15%以上とすることが好ましい。一方、Moを0.60%超含有すると、強度が高くなり過ぎてHAZの低温靱性を損なうことがあるため、Mo含有量の上限を0.60%とすることが好ましい。
Nbは炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であり、この効果を得るには、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が0.10%よりも多すぎると、母材及びHAZの低温靱性を損なうことがあるため、Nb含有量の上限を0.10%とすることが好ましい。
Tiは、脱酸に有効であり、窒化物を形成して結晶粒径の微細化に寄与する元素であり、その効果を得るには、0.005%以上を添加することが好ましい。一方、Ti含有量が0.030%よりも多すぎると、粗大な炭化物を生じて、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.030%以下とすることが好ましい。
Alは脱酸材として有効な元素であるが、Al含有量が0.06%を超えるとAl系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を阻害することがあるため、Al含有量の上限を0.06%以下とした。また、脱酸はTi及び/又はSiでも可能であるため、Alを必ずしも含有する必要はなく、下限は0%でも良い。
なお、本発明においては、強度および靱性を改善する元素として、B、N、V、Cu、Cr、Zr、Ta、Ca,REM、Mgの1種または2種以上の元素を添加することができる。
Bは、焼入れ性を高め、溶接熱影響部の靱性を向上させる元素である。この効果は、0.0001%以上の添加で顕著になるが、0.005%よりも過剰の添加は、靱性の低下を招くことがある。したがって、Bの添加量を0.0001〜0.005%の範囲とすることが好ましい。
Nは、Ti、Al等と窒化物を形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を防止する。この効果は、0.0001%以上の添加で顕著になるが、0.006%よりも過剰の添加は、靱性の低下を招くことがある。したがって、Nの添加量を0.0001〜0.006%の範囲とすることが好ましい。
Vは、Nbと同様に炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であるが、顕著な効果を得るには0.01%以上の添加が好ましい。一方、Vを0.10%超添加すると、靱性の低下を招くことがあるため、上限を0.10%以下とすることが好ましい。
Cuは、強度を上昇させる元素であり、0.01%以上添加することが好ましい。一方、1.0%超を添加すると鋼片加熱時や溶接時に割れを生じやすくするため、上限を1.0%以下とすることが好ましい。
Crは、析出強化によって鋼の強度を向上させる元素であり、0.01%以上の添加が有効である。一方、0.8%よりも多量に添加すると、鋼の焼入れ性を上昇させて、靱性を低下させることがあるため、上限を0.8%以下とすることが好ましい。
Zr及びTaは、Nbと同様に炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であり、それぞれ、0.0001%以上の添加が好ましい。一方、Zr及びTaを、それぞれ、0.0050%超添加すると、靱性の低下を招くことがある。そのため、Zr及びTaの添加量の上限をそれぞれ、0.005%以下とすることが好ましい。
Ca及びREMは硫化物を生成することにより、伸長したMnSの生成を抑制し、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性を改善する。この効果を得るには、Ca及びREMを、それぞれ、0.0001%以上添加することが好ましい。一方、Ca及びREMを、それぞれ、0.01%超添加すると、Ca及びREMの酸化物が増加する。そのため、Ca及びREMの添加量の上限を、それぞれ、0.01%以下とすることが好ましい。
Mgは、MgO、MgS等の超微細なMg含有酸化物又は硫化物を生成し、オーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZ靱性を向上させる元素である。この効果を得るには、Mgを0.0001%以上添加することが好ましい。一方、Mgを0.006%超添加するとMg含有酸化物、硫化物が粗大化するため、その上限を0.006%以下とすることが好ましい。
上記の鋼板を鋼管とする場合の、溶接金属の成分の限定理由について述べる。
Cは、鋼の強度向上に極めて有効であり、マルテンサイト組織において目標とする強度を得るためには、C含有量を0.04%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.14%を超えると溶接低温割れが発生しやすくなり、現地溶接部とシーム溶接が交わる、いわゆるTクロス部のHAZ最高硬さの上昇を招くので、C含有量の上限を0.14%以下とすることが好ましい。更に好ましいC含有量の上限値は0.10%以下である。
Siは、ブローホールの発生を防止するために、0.05%以上含有させることが好ましい。一方、Si含有量が0.4%よりも多いと、低温靱性を劣化させることがあり、特に、内外面溶接や多層溶接を行う場合、再熱部の低温靱性を劣化させることがあるため、上限を0.4%以下とすることが好ましい。
Mnは、強度、低温靱性のバランスを良好にする元素である。この効果を得るには、Mn含有量を1.2%以上にすることが好ましい。一方、Mn含有量が2.2%よりも多すぎると偏析が助長され、低温靱性が劣化することがあり、溶接材料の製造が困難になるので、Mn含有量の上限を2.2%以下とすることが好ましい。
P、Sは不可避的不純物であり、低温靱性の劣化を抑制し、低温割れ感受性を低減するためには、少ないほど好ましく、P、Sの含有量を、それぞれ、0.01%以下、0.01%以下とすることが好ましい。
Niは、焼き入れ性を高めて強度を向上させ、低温靱性を向上させる元素であり、この効果を得るためには、1.3%以上のNiを含有させることが好ましい。一方、Ni含有量が3.2%よりも多すぎると高温割れを生じることがあるため、Ni含有量の上限を3.2%以下とすることが好ましい。
Cr、Mo、Vは、何れも焼き入れ性を高め、強度を向上させる元素であり、効果を得るには、Cr+Mo+Vを1.0%以上とすることが好ましい。一方、Cr+Mo+Vを2.5%よりも多量に添加すると低温割れを生じることがあるため、Cr+Mo+V含有量の上限を2.5%以下とすることが好ましい。
Tiは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの窒化物及び酸化物等を形成する元素であり、0.003%以上を含有させることが好ましい。一方、Ti含有量が0.05%よりも多すぎると、Tiの炭化物が多く生成し、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.05%とすることが好ましい。
Alは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの酸化物の生成を阻害することがあるため、Al含有量は少ない方が好ましい。Al含有量の好ましい上限は0.02%以下であり、更に好ましくは0.015%以下が良い。
Bは、焼き入れ性を高め、溶接金属の低温靱性を向上させる元素であり、0.0003%以上を含有することが好ましいが、B含有量が0.005%よりも多すぎると低温靱性を劣化させることがあるため、B含有量を0.005%以下とすることが好ましい。
Oは、焼入れ性を下げ、溶接金属の低温靭性を劣化させる元素であり、O量が0.03%を超えると低温靭性を著しく劣化させる。一方、O量が低いと低温割れが発生しやすくなると同時に現地溶接性の硬さが高くなるので0.010%以上とした。
溶接金属には、その他に溶接時の精錬・凝固を良好に行わせるために添加させたZr、Nb、Mg等の元素を含有する場合がある。
溶接金属の組織は、主にベイナイト・マルテンサイト、粒内ベイナイトからなり、残部はフェライト及び/又は残留オーステナイトである。引張強度を900MPa以上にするために、ベイナイト・マルテンサイトの面積率を80%以上にすることが好ましい。
更に溶接金属の低温靱性を良好にするには粒内ベイナイトの面積率が多ければ多い方が好ましく、10%以上にした方がよい。ベイナイト・マルテンサイトと粒内ベイナイトは、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡による組織観察によって判別することができ、ベイナイト・マルテンサイト、粒内ベイナイトの面積率は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって撮影した組織写真を用いて画像解析によって測定することができる。
次に高速延性破壊特性を良好にする鋼板の製造方法について説明する。上記に示した成分を含有する鋼を製鋼工程で溶製後、連続鋳造し、その後、加熱し、熱間圧延を施す。
鋼片の加熱温度は1100〜1250℃に規定する。1100℃未満では粗大なγ粒が存在し、鋼板ままでその粗大粒がのこる。このため加熱温度を1100℃以上とした。一方1250℃を越えると粒成長が起こるためこれまた粗大粒が生成しやすくなり、低温靭性を劣化させるので1250℃以下にした。
次に再結晶圧延について述べる。再結晶域圧延の圧延温度が900℃以上とした。再結晶域圧延の圧延温度が900℃未満になると、オーステナイトの十分な再結晶化が図れず、結晶粒が細粒化しないため再結晶域圧延の圧延温度を900℃以上とした。
次に、未再結晶域圧延の条件について説明する。
本発明の未再結晶圧延条件は、平均γ粒径を5μm以下にするために圧下温度を880℃以下とし、かつ、累積圧下率を70%以上とする。880℃を超えると板厚中心部では一部再結晶圧延になってしまうために粒の細粒化がはかれないので圧延開始温度を880℃以下とした。また、累積圧下量を70%未満では平均γ粒径が微細化しないため70%以上とした。
一方、板厚中心部のZ面に(311)<110>の集合組織の集積度を上げるには、熱間圧延の仕上げ温度を低下させることが非常に有効である。板厚中心部のZ面に(311)<110>の集合組織の集積度を4以上にするには、熱間圧延の仕上げ温度が700℃から750℃にて、累積圧下量が10%以上にする必要があるその後フェライトが生成しない温度域である650℃以上700℃以下の範囲から冷却する。
さらに、熱間圧延の終了後、1℃/s以上30℃/s以下で水冷する。冷却速度が30℃/s超では、強度が高くなりすぎるため、さらに冷却速度が1℃/s未満ではフェライトが生成する可能性があるので、板厚中心部のZ面に(311)<110>の集合組織の集積度が4未満になるので、1℃/s以上30℃/s以下にする必要がある。
更に、鋼板を筒状にプレス成形し、端部同士をサブマージアーク溶接して鋼管とする。
サブマージアーク溶接は母材の希釈が大きい溶接であり、所望の特性すなわち溶接金属組成を得るためには、母材の希釈を考慮した溶接材料の選択が必要である。以下、溶接ワイヤーの化学組成の限定理由を述べるが、基本的には超高強度ラインパイプを実現できる製造方法である。
Cは、溶接金属で必要とされる範囲のC含有量を得るために、母材成分による希釈及び雰囲気からCの混入を考慮して0.01〜0.12%とした。
Si、Mn、Ni、Cr+Mo+Vは、溶接金属で必要とされる範囲のSi、Mn、Ni、Cr+Mo+Vの含有量を得るために、母材成分による希釈を考慮して、それぞれ、0.3%以下、1.2〜2.4%、4.0〜8.5%、3.0〜5.0%とした。
Tiは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの窒化物及び酸化物等を形成する元素であり、0.005%以上を含有させることが好ましい。一方、Ti含有量が0.15%よりも多すぎると、Tiの炭化物が多く生成し、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.15%とすることが好ましい。
Alは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの酸化物の生成を阻害することがあるため、Al含有量は少ない方が好ましい。Al含有量の好ましい上限は0.02%以下である。
その他P,Sの不純物は極力少ない方が望ましく、Bは強度確保に添加することも可能である。また、Zr,Nb,Mg等が脱酸を目的として使用される。
なお、溶接は単極だけでなく、複数電極での溶接も可能である。複数電極で溶接の場合は各種ワイヤーの組み合わせが可能であり、個々のワイヤーが上記成分範囲にある必要はなく、それぞれのワイヤー成分と消費量からの平均組成が上記成分範囲にあれば良い。
サブマージドアーク溶接に使用されるフラックスは大別すると焼成型フラックスと溶融型フラックスがある。焼成型フラックスは合金材添加が可能で拡散性水素量が低い利点があるが、粉化しやすく繰り返し使用が難しい欠点がある。一方、溶融型フラックスはガラス粉状で、粒強度が高く、吸湿しにくい利点があり、拡散性水素がやや高い欠点がある。本発明の超高強度鋼管を製造する場合には、溶接低温割れが起こりやすく、この点からは焼成型が望ましいが、一方、回収して繰り返し使用が可能な溶融型は大量生産に向きコストが低い利点がある。焼成型ではコストが高いことが、溶融型では厳密な品質管理の必要性が問題であるが、工業的に対処可能な範囲であり、どちらでも本質的には使用可能である。
次に溶接条件について以下に説明する。
最初に行う仮付け溶接は、MAGアーク溶接、MIGアーク溶接、TIGアーク溶接の何れでもよい。通常はMAGアーク溶接である。次に内外面の溶接を、サブマージドアーク溶接とすることが好ましいが、TIGアーク溶接、MIGアーク溶接、MAGアーク溶接でも良い。内外面の溶接はそれぞれ1パスづつでも良いが、複数パス行っても良い。
内外面をサブマージドアーク溶接する場合、溶接速度を1m/分未満とするとラインパイプのシーム溶接としては非効率であり、3m/分を超えるとビード形状が不安定になることがある。したがって、サブマージドアーク溶接の溶接速度は、1〜3m/分の範囲内であることが好ましい。
なお、仮付け溶接と内外面の溶接の溶接部が重複する場合には、溶接入熱は出来る限り低い方が好ましい。また、溶接入熱は板厚によって異なるが、入熱が小さすぎると溶け込みが不十分になり、溶接回数が多くなり、作業効率が悪くなり、溶接入熱が大きすぎると熱影響部の軟化が大きく、溶接部の靭性も低下する。板厚を10mmから30mmにした場合での内外面の溶接入熱は2.0〜3.5kJ/mmとした。
シーム溶接後、拡管により真円度を向上させる。真円にするためには塑性域まで変形させる必要がある。本発明の超高強度鋼管の場合は、拡管後円周と拡管前円周の差を拡管前円周で除した値を百分率で表した拡管率が、0.7%以上であることが好ましい。一方、拡管率が2%を超えると、母材、溶接部とも塑性変形により靭性が劣化することがある。したがって、拡管率は0.7〜2%の範囲とすることが好ましい。
表1の化学成分からなる鋼を溶製して鋳造し、厚みが240mmの鋼塊とした。これらの鋼塊を1150℃に加熱し、900℃以上で59〜86mmまで熱間圧延し、そのまま14〜20mmまで700〜800℃の範囲で熱間圧延を行った。なお、900℃以上は再結晶温度域であり、880℃以下は未再結晶温度域である。熱間圧延後、1℃/s以上10℃/s以下で450℃以下まで水冷した。これらの鋼板製造条件および鋼板の組織を表2に示した。
得られた鋼板の長手方向と幅方向から試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。
その後、鋼板を筒状にプレス成形し、仮付け溶接を行った後、溶接入熱を2.0〜3.5kJ/mmとして内外面をサブマージドアーク溶接し、拡管して、28〜48インチ(914〜1219mm径)径の鋼管とした。溶接方法および溶接結果を表3、表4(表3のつづき)に示した。
得られた鋼管の長手方向と円周方向から試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。さらに、円周方向を長手としたDWTT試験片を採取し、板厚方向にプレスノッチを導入して、更に3点曲げで延性亀裂を導入し、プリクラックDWTT試験を+10℃で実施した。それらの試験結果を同様に表5に示した。
鋼1〜8は本発明の例を示す。表2から明らかなように、これらの鋼板および鋼管のいずれも平均γ粒径が5μm未満であり、かつ、板厚中心部のZ面での(311)<110>の集積度が4以上である。その結果、L方向とC方向の引張り強度差が30MPa以上であり、かつL方向とC方向の強度比が0.97(97%)以下であった。さらに、表5から明らかなように、母材の+10℃でのプリクラックDWTTエネルギーが3000J以上である。しかもこれらの鋼管は部分ガスバースト試験で亀裂が停止している。すなわち、不安定延性破壊特性が優れている。
一方、鋼9〜17は本発明方法から逸脱した比較例を示す。すなわち、鋼9〜13は熱間圧延条件を逸脱していることによって鋼板および鋼管の平均γ粒径が5μm以上であるかまたは、板厚中心部のZ面での(311)<110>の集積度が4未満である。その結果、L方向とC方向の引張り強度差が30MPa未満であり、かつL方向とC方向の強度比が0.97(97%)以上であった。さらに母材の+10℃でのプリクラックDWTTエネルギーが3000J未満になっているものも存在した。しかも、部分ガスバースト試験も貫通し、不安定延性破壊特性も劣っている。鋼14、15は母材のCが逸脱しているので、鋼14は鋼板および鋼管の強度が満足していないし、鋼15は鋼板及び鋼管の強度が高すぎて、溶接金属強度よりも鋼管強度のほうが高くオーバーマッチングを満たしていない。さらにプリクラックDWTTエネルギーが3000J未満になっていて部分ガスバースト試験も貫通し、不安定延性破壊特性も劣っている。鋼16、17は溶接金属の化学成分または入熱条件が逸脱しているために溶接金属強度が高すぎて、溶接金属の靱性が劣化しているか、または、溶接金属の低温割れが生じていた。
Figure 2006124775
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Claims (14)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.10%、
    Si:0.01〜0.6%、
    Mn:1.5〜2.5%、
    P :0.015%以下、
    S :0.003%以下、
    Ni:0.1〜2.0%、
    Mo:0.15〜0.60%、
    Nb:0.001〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.06%以下
    を含有し、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率が90%以上でかつ圧延幅方向と圧延長手方向の引張強度差が30MPa以上であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板。
  2. 質量%で、
    C :0.03〜0.10%、
    Si:0.01〜0.6%、
    Mn:1.5〜2.5%、
    P :0.015%以下、
    S :0.003%以下、
    Ni:0.1〜2.0%、
    Mo:0.15〜0.60%、
    Nb:0.001〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.06%以下
    を含有し、鋼板の組織のベイナイトもしくはマルテンサイト分率が90%以上でかつ圧延長手方向と圧延幅方向の引張強度比が0.97以下であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板。
  3. 圧延面に平行な面での(311)<011>の集合組織の集積度が4以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板。
  4. 旧オーステナイトの平均パンケーキ厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板。
  5. 質量%で、
    B :0.0001〜0.005%、
    N :0.0001〜0.006%、
    V :0.001〜0.10%、
    Cu:0.01〜1.0%、
    Cr:0.01〜0.8%、
    Zr:0.0001〜0.005%、
    Ta:0.0001〜0.005%、
    Ca:0.0001〜0.01%、
    REM:0.0001〜0.01%、
    Mg:0.0001〜0.006%
    の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板。
  6. 請求項1または5に記載の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、鋼片を再加熱し、続いて、熱間圧延を行う際の鋼片の再加熱温度が1100〜1250℃であり、再結晶圧延域での圧延温度が900℃以上であり、未再結晶圧延域での開始温度が880℃以下、累積圧下量が70%以上でかつ、700℃から750℃での仕上げ圧延での累積圧下量が10%以上であることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板の製造方法。
  7. 請求項1または5に記載の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、熱間圧延を行う際に未再結晶圧延域での終了温度を650〜700℃として熱間圧延し、鋼板中心部を1℃/s以上30℃/s以下で水冷することを特徴とする請求項6に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管に使用される鋼板の製造方法。
  8. 母材が請求項1〜5のいずれかに記載の超高強度鋼板からなることを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
  9. 溶接金属の成分が質量%で、
    C :0.04〜0.14%、
    Si:0.05〜0.4%、
    Mn:1.2〜2.2%、
    P :0.01%以下、
    S :0.010%以下、
    Ni:1.3〜3.2%、
    Cr+Mo+V:1.0〜2.5%、
    Ti:0.003〜0.050%、
    Al:0.02%以下、
    B:0.005%以下、
    O:0.01〜0.03%
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項8に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
  10. 請求項6または7に記載の超高強度鋼板の製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行い、その後、拡管を行うことを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  11. 請求項6または7に記載の板厚が10mmから30mmの超高強度鋼板を製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、2.0〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接した後、拡管を行うことを特徴とする請求項10に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  12. 請求項6または7に記載の超高強度鋼板の製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行い、溶接金属の成分を請求項9に記載のものとし、その後、拡管を行うことを特徴とするパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  13. 請求項6または7に記載の板厚が10mmから30mmの超高強度鋼板を製造後、前記超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、2.0〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接し、溶接金属の成分を請求項9に記載のものとし、その後、拡管を行うことを特徴とする請求項12に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  14. 溶接ワイヤーの成分が質量%で、
    C :0.01〜0.12%、
    Si:0.3%以下、
    Mn:1.2〜2.4%、
    Ni:4.0〜8.5%、
    Cr+Mo+V:3.0〜5.0%、
    Ti:0.005〜0.15%、
    Al:0.02%以下
    を含有する請求項10〜13に記載のパイプライン変形特性および高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
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