JP2006124437A - カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法 - Google Patents

カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006124437A
JP2006124437A JP2004311601A JP2004311601A JP2006124437A JP 2006124437 A JP2006124437 A JP 2006124437A JP 2004311601 A JP2004311601 A JP 2004311601A JP 2004311601 A JP2004311601 A JP 2004311601A JP 2006124437 A JP2006124437 A JP 2006124437A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carboxyl group
copolymer
acrylic monomer
containing acrylic
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004311601A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006124437A5 (ja
Inventor
Kazuji Kageishi
一二 影石
Hiroyuki Kobayashi
宏之 小林
Hideki Matsumoto
英樹 松本
Daisuke Yamamoto
大介 山本
Toru Yamanaka
亨 山中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Fine Chemicals Co Ltd, Toray Industries Inc filed Critical Toray Fine Chemicals Co Ltd
Priority to JP2004311601A priority Critical patent/JP2006124437A/ja
Publication of JP2006124437A publication Critical patent/JP2006124437A/ja
Publication of JP2006124437A5 publication Critical patent/JP2006124437A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、比較的簡便な重合および後処理操作で、とりわけ光学材料に要求されている高度な共重合組成および分子量の精密制御を可能とするカルボキシル基含有アクリル共重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 カルボキシル基含有アクリル系単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物を共重合し、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)を製造する際、芳香族基を含有しない有機溶媒であって、カルボキシル基含有アクリル単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物は溶解し、かつ、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下であることを特徴とする有機溶媒(B)を用いることを特徴とするカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の有機溶媒を重合溶媒として用いることにより、比較的簡便な重合および後処理操作で、とりわけ精密に制御された共重合組成および分子量分布を有するカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体を固体(粉粒体)として取り出す重合方法に関するものである。
ポリメタクリル酸メチル(以下PMMA樹脂とも言う)や(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合物(AC樹脂とも言う)、ポリスチレン(以下PS樹脂とも言う)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(以下AS樹脂とも言う)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(以下ABS樹脂とも言う)などは、一般に、工業的に製造される場合には、その大部分が塊状重合、懸濁重合、乳化重合で製造され、ごく一部が溶液重合で製造されている。
塊状重合、懸濁重合、乳化重合は、大量に生産する場合には好都合の製造方法であるが、重合形式から容易に推察されるとおり、共重合組成、分子量分布の制御が困難である場合が多い。さらに言えば、懸濁重合、乳化重合のように、水を媒体とする重合方法では、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を有する不飽和単量体を共重合することが困難であり、ポリマーに機能性や他ポリマーとの相溶性を付与することができず、機能性ポリマーとしての展開やポリマーアロイとして物理的な性質、化学的な性質を改善することを困難としていた。さらに、塊状重合、懸濁重合、乳化重合では、重合速度の制御がきわめて難しく、巨大分子量ポリマーの生成を抑制することが困難である。このため、ポリマー中には異物としてこれら巨大分子量ポリマーが混在し、膜や成形物としたとき、この巨大分子量ポリマーを核とする欠点(ブツ、フィッシュアイなど)が発生することがある。したがって、塊状重合、懸濁重合、乳化重合で製造されたポリマーは、透明性、均一性が高度に要求される光学用途では使用が制限されるといった問題点があった。
一方、溶液重合では、共重合組成および分子量分布の制御が比較的容易であり、前記水溶性官能基を有する不飽和単量体の共重合も可能となるが、生成した共重合体を有機溶剤溶液から分離、回収するのがきわめて困難であり、多大な労力とエネルギーが必要になるといった問題点があった。
このような問題点を解決する方法として、沈殿重合で製造される重合体を含有する架橋性光学材料に関する技術が知られている(特許文献1参照)。この特許文献によれば、透明で、高屈折率かつ軽量な架橋性の光学材料が提供できるとされ、沈殿重合が「その前駆体である重合性単量体を溶解するが重合体は溶解しない溶剤に該重合性単量体を溶解し、その溶液を重合することにより、一定の重合度に達した重合体を析出物として回収する重合方法」と定義されている。
しかしながら、特許文献1に具体的に記載された方法を単純にカルボキシル基含有アクリル系単量体を含む単量体混合物の沈殿重合に単に適用するのみでは、必ずしも共重合組成を精密に制御できるものではないことが判明した。
非特許文献1、2には、カルボキシル基含有アクリル系モノマーの共重合に関して、ベンゼンやトルエンといった芳香族基を含有する溶媒を用いた沈殿重合法が開示されている。しかしながら、上記溶媒を用いてカルボキシル基含有アクリル系単量体を含む単量体混合物を共重合する際、単量体混合物中でのカルボキシル基含有アクリル系単量体の二量化が顕著に起こり、部分的に不均一な相を形成することや、溶媒への連鎖移動が避けられないため、生成する共重合体の共重合組成および分子量を精密に制御することが困難であり、とりわけ分子量分布が極端に大きくなるといった問題点があった。
さらに、分散重合法で製造される重合体微粒子の製造方法が知られている(特許文献2参照)が、かかる方法をカルボキシル基含有アクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合に単純に適用するのみでは、必ずしも共重合組成を精密に制御できるものではなかった。
以上の通り、従来の製造技術では、機能性ポリマーとしての用途や光学用途などのパフォーマンスの高い用途に適用できる共重合体の製造は困難であった。
特開平8−217824号公報 特開平10−218935号公報 Die Angewandte Makromolekuare Chemie 11(1970)p53-62 Journal of Polymer Science:Polymer Letters Edition, Vol.18(1980), p241-248
本発明は、比較的簡便な重合および後処理操作で、とりわけ光学材料に要求されている高度な共重合組成および分子量の精密制御を可能とするカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、カルボキシル基含有アクリル単位を含有する共重合体を製造するに際し、特定の重合溶媒を用いることにより、従来の知見では成し得ることができなかった、共重合組成と分子量の精密制御を可能とし、成形加工特性、低異物を満足する高品質と、共重合体の溶媒との分離が容易で経済的にも優位なカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体を製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
〔1〕カルボキシル基含有アクリル系単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物を共重合し、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)を製造する際、芳香族基を含有しない有機溶媒であって、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物は溶解し、かつ、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下である有機溶媒(B)で重合することを特徴とするカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の製造方法、
〔2〕カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.0以上であることを特徴とする上記〔1〕記載の製造方法、
〔3〕カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.5〜1.7であることを特徴とする上記〔1〕記載の製造方法、
〔4〕有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上であることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の製造方法、
〔5〕有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物であることを特徴とする請求項〔1〕〜〔3〕いずれか記載の製造方法、
〔6〕有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物であり、その重量比が5/95〜70/30であることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の製造方法、
〔7〕前記カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)中に、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を15〜50重量%含有する上記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の製造方法である。
本発明によれば、カルボキシル基含有アクリル単量体を有する共重合体(A)粒子を、有機溶媒中で効率よく製造することができる。
本発明によれば、カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)(以下カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)という場合もある)の分子量分布や組成分布が溶液重合法と同様にコントロール可能であり、異物(不溶不融の巨大分子量ポリマー、原料モノマーの単独重合体)の混入を最小限に押さえることが可能であり、光学用途、感光性ポリマー用途などポリマーのクリーン度が要求される分野に好適に適用できる。
また、有機溶媒中で製造するため、これらの単量体が水相に移行し単独で重合することがないため、設計した官能基、官能度を有する共重合体が製造可能であり、かつクリーン度の高い共重合体が得られ、光学材料や電気、電子材料への展開を容易にする。
以下、本発明の熱可塑性重合体(B)の製造方法について具体的に説明する。
本発明で使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれのカルボキシル基含有アクリル単量体も使用可能である。好ましいカルボキシル基含有アクリル単量体として、下記一般式(1)
Figure 2006124437
(ただし、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
で表される化合物、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
本発明で使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体と共重合可能なその他のアクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、トリフルオロエチルメタクリレート、などのアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルあるいはそれらの(フルオロ)アルキルエステル単量体が例示できる。中でも、光学特性、熱安定性に優れる点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましく、とりわけメタクリル酸メチルが好ましい。これらは単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
また、必要であれば、上記アクリル単量体以外に、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリルなどの共重合可能なその他の不飽和単量体を使用してもよい。該その他の不飽和単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、通常のアクリル重合体の顔料分散性を改善し、ナイロン(以下NYとも言う)、ポリカーボネート(以下PCとも言う)などのポリマーとの相溶性を向上し、機能ポリマーアロイの実現を可能とする。さらには、カルボキシル基を利用した高分子反応により、アクリル重合体に感光性や現像性を付与するために有効な官能基として機能する。また、アクリル重合体の分子内反応を利用し耐熱性の向上や屈折率の調整が可能となる。
カルボキシル基含有アクリル単量体は、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の酸価が、好ましくは、5〜300mgKOH、より好ましくは5〜250mgKOHとなるような量で共重合されるのが望ましい。
本発明の重合方法については、重合開始剤の存在下あるいは非存在下で、原料であるカルボキシル基含有アクリル単量体を含む単量体混合物は溶解し、芳香族基を含有しない有機溶媒であって、(i)カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下であることを特徴とする有機溶媒(B)を用いることを特徴とするカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を沈殿させる、いわゆる「沈殿重合法」で得ることを特徴とする。この場合、重合後のスラリー溶液を濾過および乾燥することにより、該カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を単離することができる。尚、ここで、「カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度」とは、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の有機溶媒(B)100gに対する、23℃で24時間、攪拌した後の溶解量を意味する。
本発明に使用される有機溶媒(B)としては、前述の沈殿重合法を可能とし、さらに芳香族を含まないことが必要である。具体的には、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール類から選ばれる1種以上などを挙げることができる。中でも、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上が好ましい。特に、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステルから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明に使用される脂肪族炭化水素としては、炭素数が5〜10の直鎖状、側鎖を有するもの、脂環式のものを挙げることができる。具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンおよびそれらの種々の異性体を挙げることができる。
本発明に好ましく使用されるカルボン酸エステルとは、飽和脂肪族カルボン酸および飽和アルコールからなるエステルであり、飽和カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを、また飽和アルコールとしては炭素数1〜10で直鎖状および分岐状のものを挙げることができる。好ましいカルボン酸エステルとしては、ギ酸−n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸−n−ペンチル、ギ酸−n−ヘキシル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ペンチル、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−n−ヘプチル、酢酸−n−オクチル、酢酸−n−ノニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、プロピオン酸−n−ヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−n−ペンチル、酪酸−n−ヘキシルなどの種々の異性体を挙げることができる。
本発明に使用されるケトンとは、炭素数1〜10で直鎖状および分岐状の飽和脂肪族基からなるケトンであり、具体例としては、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトンなどを挙げることができる。
中でも、本発明では、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物が好ましく使用することができる。この場合、脂肪族炭化水素とカルボン酸エステルの好ましい混合比は、特に制限はないが、重量比で5/95〜70/30の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましく、とりわけ20/80〜40/60の範囲が好ましい。混合比が5/95より小さいと、重合中に生成した共重合体が反応槽へ固着する傾向が見られる。また、混合比が70/30より大きいと、共重合体の粒子径が極めて微細でハンドリング性に劣る傾向が見られる。
なお、本発明の製造方法において沈殿重合する際、その重合反応系に水を用いると共重合組成の精密に制御しにくくなる場合があり、水は共重合組成の制御が可能な範囲にとどめるべきであり、有機溶媒等重合反応系に用いる成分が不純物として水を極く少量含む場合を除き、水は積極的に添加しないことが最も好ましい。
重合温度については、任意に設定することが可能であるが、好ましくは使用する有機溶媒の沸点以下の温度が好ましい。中でも、100℃以下の重合温度で重合することが好ましく、90℃以下の重合温度で重合することことがより好ましい。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。また重合時間は、必要な重合率を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜240分間の範囲が特に好ましい。
また、重合液中の溶存酸素濃度を5ppm以下に制御することが、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の熱安定性を向上させる点で好ましい。さらに好ましい溶存酸素濃度の範囲は0.01〜3ppmであり、さらに好ましくは0.01〜1ppmである。ここで、本発明における、溶存酸素濃度は、重合液中の溶存酸素を溶存酸素計(例えばガルバニ式酸素センサである飯島電子工業株式会社製、DOメーターB−505)を用いて測定した値である。溶存酸素濃度を5ppm以下にする方法については、重合容器中に窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを通じる方法、重合液に直接不活性ガスをバブリングする方法、重合開始前に不活性ガスを重合容器に加圧充填した後、放圧を行う操作を1回若しくは2回以上行う方法、単量体混合物を仕込む前に密閉重合容器内を脱気した後、不活性ガスを充填する方法、重合容器中に不活性ガスを通じる方法を例示することができる。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の製造時に用いられるこれらの単量体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100重量%として、カルボキシル基含有アクリル単量体が15〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%である。カルボキシル基含有アクリル単量体の共重合量が15重量%未満の場合には、共重合による改質や、高分子反応他への展開が困難となる場合がある。カルボキシル基含有アクリル単量体の共重合量が50重量%を超える場合には、共重合組成のコントロールや、分子量分布のコントロールが所望するものからはずれやすくなる傾向にある。また、高分子反応を実施し感光性樹脂として使用することを考えた場合、顔料との間で親和性や水素結合性などが強くなりすぎ、顔料のシーディング(凝集)が起こりやすくなる場合がある。また、露光部、未露光部の現像液に対する感度差が小さくなり、微細で明瞭な現像パターンが形成され難くなる傾向にある。
また、これらの単量体混合物は、有機溶媒中に一括で仕込んで共重合しても良く、分割添加、逐次添加しながら共重合しても良い。より好ましくは、生成するカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を構成する単量体単位の組成分布を低減する目的で、単量体混合物中の重量組成比を任意に設定して、分割添加あるいは逐次添加する方法が挙げられる。
本発明には重合開始剤として、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、通常使用されるあらゆる開始剤が使用できるが、中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルなどのアゾ系化合物、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が好適に使用することができる。
使用される重合開始剤の量は、共重合に用いられる単量体混合物100重量部に対して、0.001〜2.0重量部が好ましく、とりわけ0.01〜1.0重量部が好ましい。
また、本発明においては、分子量を制御する目的で、アルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤を添加することができる。
本発明に使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
本発明においては、容易にカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を沈殿・析出させるため、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)と有機溶媒(B)に対する溶解度のバランスを考慮する必要がある。その観点から、各成分の溶解度パラメーターを考慮し、共重合種、共重合組成、反応溶媒等重合条件の設計を行うことが好ましい。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδpは、7.0〜12.0の範囲にあることが好ましく、7.5〜10.5であることがより好ましい。δpが7.0未満の場合には、耐ガソリン性や耐油性が劣るものとなり、実用上多くの制限を受ける場合がある。δpが12.0を超える場合には、ポリマーの凝集力が強くなりすぎ、成形品に加工したり、溶解して使用する際に粘度が高くなりすぎて取り扱い性が悪化する傾向にある。
ここで言う溶解度パラメーターは、「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9を参考に、Smallの方法で算出したものである。
すなわち、smallの方法により与えられた特定の原子及び原子団の凝集エネルギー定数F(cal1/2cc1/2/mol)、密度をs(g/cc)、基本分子量をMとし、δ=(sΣF)/Mで算出される値を溶解度パラメーターδとする。なお、本発明において凝集エネルギーFはsmallの数値を用いるものとする。
(1)単量体の溶解度パラメーター
一例として、メタクリル酸メチル(密度 0.944 g/cc)の算出例を示す。
メタクリル酸メチルを構成する各成分のFは
Figure 2006124437
となる。したがって、メタクリル酸メチルの溶解度パラメーターδmは、
δm=0.944×947÷100=8.94
となる。
本算出方法により求めた代表的な単量体の溶解度パラメーターは
Figure 2006124437
である。
(2)カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδp
本発明では、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδpを以下の式に従い算出した。すなわち、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)中の各単量体のモル分率Xi(%)、各単量体の溶解度パラメーターδiから、下記式により、算出されるものである。
δp=Σ(δi × Xi/100)
従って、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδpを上記範囲にするためには、使用する単量体の溶解度パラメーターを考慮して組成を調整すればよい。
(3)有機溶媒(B)の溶解度パラメーターδs
有機溶媒(B)の溶解度パラメーターδsは、前記カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδpの算出方法と同様にして求められる。n−ヘプタンの例を以下に示す。
Figure 2006124437
δs=0.676×1093÷100=7.39
また、有機溶媒(B)が2種類以上の混合物である場合の溶解度パラメーターδsは、混合有機溶媒中の各溶媒成分のモル分率Xi(%)、各溶媒成分の溶解度パラメーターδiから、下記式により算出されるものである。
δp=Σ(δi × Xi/100)
本発明においては、カルボキシル基含有アクリル単量体を共重合する際、上記のカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.0以上となるような共重合組成、溶媒種を選択することが好ましい。より好ましくは1.1以上であり、特に1.2以上の条件で重合を行うことが、重合中の重合槽壁面への付着がなく、さらに生成する共重合体を粉体として容易に取り出す上で好ましい。また、上記のΔSPが1.0〜1.9の範囲、より好ましくは、1.2〜1.8の範囲、さらに好ましくは1.5〜1.7の範囲で重合条件を設計することにより、重合開始前の仕込み単量体混合物組成と生成する共重合体の共重合組成に大きなずれを生じさせない精密な制御を行うこと、および分子量分布のより狭い、均一性の高い分子量制御を行うことができる点でより望ましい。
本発明における特定の重合溶媒で重合されたカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を含む有機溶媒スラリーは、例えば、遠心分離機により固液分離することにより、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)と有機溶媒(B)とを分離・分別でき、さらに必要であれば、有機溶媒(B)を数%程度含有するカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を棚段式乾燥機、コニカルドライヤー、遠心式乾燥機などにより乾燥することにより、有機溶媒(B)を含有しないカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を製造することも可能である。
もっと簡便には、可能であれば、スプレードライヤーによりカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を回収すると同時に、乾燥ポリマーとし、有機溶媒(B)を回収することもできる。
以上により製造されたカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の平均粒子径については、0.3μm以上、100μm以下であることが好ましい。平均粒子径は、0.5μm以上、80μm以下がより好ましく、1.0μm以上、60μm以下がさらに好ましい。上記の範囲未満では得られるカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の粒子は、極めて微細なパウダーであり、ハンドリング性に劣る傾向を生じ、上記の範囲を越えると、粒子中に取り込まれた有機溶媒の乾燥除去に長時間あるいは高温を要し、熱分解による色調悪化を引き起こす場合がある。尚、ここで言う平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1万倍で観察し、1次粒子径を画像解析して算出した数平均粒子径を表す。
以上により製造されたカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、重量平均分子量(以下Mwとも言う)が、好ましくは、2000〜1000000、より好ましくは、5000〜500000であることが望ましい。Mwが2000未満の場合には、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を有機溶媒(B)中に分散質として沈殿、析出できない場合があり、本発明の目的に沿わないことがある。また、重合体が脆く、機械的な性質が劣悪になる傾向にある。Mwが1000000を超える場合には、溶融成形や溶液塗工した製品に十分に溶融、または溶解しない高分子量物が異物として残りやすくなる傾向にありフィッシュアイやハジキの欠点が出やすくなる傾向にある。
また、本発明では、特定の共重合組成、溶媒種を選択することにより、均質な分子量分布を有するカルボキシル基含有アクリル共重合体が得られる。カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、前記好ましい態様の製造方法によれば、1.5〜5.0の範囲にあるものを得ることができ、より好ましい態様においては、1.7〜4.0の範囲にあるものを得ることができ、とりわけ好ましい態様においては、2.0〜3.5の範囲の範囲にあるものを得ることが可能である。このような分子量分布を有するカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、成形加工性に優れる傾向があり、好ましく使用することができる。
以下に、実施例および比較例をもって、本発明の態様を説明する。以下特に断りがない限り組成比は重量組成比を表すものとする。
(1)共重合体中の各成分組成
重ジメチルスルフォキシド中、30℃でH−NMRを測定し、各共重合単位の組成を決定した。
(2)重量平均分子量・分子量分布
得られた共重合体をテトラヒドロフランに溶解して、測定サンプルとした。テトラヒドロフランを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて、重量平均分子量(絶対分子量)、数平均分子量(絶対分子量)を測定した。分子量分布は、重量平均分子量(絶対分子量)/数平均分子量(絶対分子量)で算出した。
(3)溶解度
得られた共重合体1gを共重合に使用した有機溶媒100gに添加し、23℃で24時間攪拌して溶解試験を行った後の溶液状態を目視観察し、不溶物が観察された場合、溶解度を1g/100g以下と判定した。
実施例1:共重合体(A−1)
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を有する重合装置に有機溶媒としてヘプタン(δs=7.39)を仕込み、次いで、撹拌しながらメタクリル酸メチル(以下MMAとも言う)とメタクリル酸(以下MAAとも言う)(MMA/MAA(重量比)=73/27)の単量体混合物を単量体濃度が10重量%となるように仕込み、単量体混合物を溶解させた。さらに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下ADVNとも言う)を単量体に対し0.5%の濃度となるよう仕込み、90℃に昇温して6時間重合を行った。
重合は、重合初期から共重合体(A−1)が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行した。重合率は75%であった。
得られたスラリーを窒素ガスを流しながら遠心分離機「LAC−21」(松本機械販売(株)の製品)で2時間処理し、共重合体(A−1)と有機溶媒を分離した。遠心分離機処理によるポリマー回収率はほぼ100%であった。
得られた共重合体(A−1)は走査型電子顕微鏡(以下SEMとも言う)を用い、1万倍で観察し、1次粒子径を画像解析して算出した数平均粒子径が2.0μmであった。また、GPC測定によるMwは150000、分子量分布(Mw/Mn)は4.49であった。共重合体(A−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。尚、共重合体(A−1)(δp=9.21)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、1.82であった。
実施例2:共重合体(A−2)
重合溶媒を酢酸ブチル(δs=7.60)に変更した以外は、(A−1)と同様の製造方法で共重合体(A−2)を得た。重合率は77%であった。得られた共重合体(A−2)はSEM観察の結果、平均粒子径が8.0μmであった。Mwは120000、分子量分布(Mw/Mn)は3.19であった。共重合体(A−2)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。尚、共重合体(A−2)(δp=9.20)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、1.60であった。
実施例3:共重合体(A−3)
重合溶媒をn−ヘプタン25重量%および酢酸ブチル75重量%の混合物(δs=7.55)に変更した以外は、(A−1)と同様の製造方法で共重合体(A−3)を得た。得られた共重合体(A−3)はSEM観察の結果、平均粒子径が5.5μmであった。重合率は77%であった。Mwは120000、分子量分布(Mw/Mn)は3.11であった。共重合体(A−3)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。尚、共重合体(A−3)(δp=9.20)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、1.65であった。
実施例4:共重合体(A−4)
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記(イ)の混合物質を供給して、250rpmで撹拌しながら溶解し、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら95℃に昇温した。下記(ロ)の混合物質を180分間で逐次添加し、さらに60分間保った後、重合を終了した。得られたスラリーを窒素ガスを流しながら遠心分離機「LAC−21」(松本機械販売(株)の製品)で2時間処理し、有機溶媒を分離した。遠心分離機処理によるポリマー回収率はほぼ100%であった。80℃で12時間、乾燥を行い、パウダー状の共重合体(A−8)を得た。この共重合体(A−4)の重合率は77%であった。得られた共重合体(A−4)はSEM観察の結果、平均粒子径が5.0μmであった。Mwは、120000、分子量分布(Mw/Mn)は、3.03であった。共重合体(A−4)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。尚、共重合体(A−8)(δp=9.20)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、1.65であった。
混合物質(イ):
メタクリル酸 2重量部、
メタクリル酸メチル 8重量部、
n−ヘプタン 12.5重量部、
酢酸ブチル 37.5重量部、
混合物質(ロ):
メタクリル酸 25重量部、
メタクリル酸メチル 65重量部、
n−ヘプタン 112.5重量部、
酢酸ブチル 337.5重量部、
2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル 0.5重量部。
実施例5:共重合体(A−5)
重合溶媒をn−ヘプタン25重量%および酢酸ブチル75重量%の混合物(δs=7.55)とし、メタクリル酸メチル(以下MMAとも言う)とメタクリル酸(以下MAAとも言う)(MMA/MAA(重量比)=55/45))の混合モノマーをモノマー濃度が10重量%となるように仕込んだ以外は(A−1)と同様の製造方法で共重合体(A−5)を得た。重合率は72%であった。得られた共重合体(A−2)はSEM観察の結果、平均粒子径が2.5μmであった。Mwは130000、分子量分布(Mw/Mn)は4.33であった。共重合体(A−5)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=60/40であった。尚、共重合体(A−5)(δp=9.33)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、1.78であった。
比較例1:共重合体(A−6)
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を有する重合装置に有機溶媒としてトルエン(δs=8.29)を仕込み、次いで、撹拌しながらMMAとMAA(MMA/MAA(重量比)=73/27)の混合モノマーをモノマー濃度が10重量%となるように仕込んだ。さらに、重合開始剤としてADVNをモノマーに対し0.5重量%の濃度となるよう仕込み、90℃に昇温して6時間重合を行った。重合初期から溶媒不溶の膨潤・ゲル状物が生成し、攪拌不能となったため、重合反応を完結することができなかった。生成した膨潤・ゲル状ポリマーを各種分析した結果、Mwは150000、分子量分布(Mw/Mn)は6.88、共重合組成はMMA/MAA(重量比)=65/35であった。尚、共重合体(A−6)(δp=9.23)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、0.94であった。
比較例2:共重合体(A−7)
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を有する重合装置に有機溶媒としてベンゼン(δs=8.29)を仕込み、次いで、撹拌しながらMMAとMAA(MMA/MAA(重量比)=73/27)の混合モノマーをモノマー濃度が10重量%となるように仕込んだ。さらに、重合開始剤としてADVNをモノマーに対し0.5重量%の濃度となるよう仕込み、90℃に昇温して6時間重合を行った。比較例1と同様に重合初期から溶媒不溶の膨潤・ゲル状物が生成し、攪拌不能となったため、重合反応を完結することができなかった。生成した膨潤・ゲル状ポリマーを各種分析した結果、Mwは150000、分子量分布(Mw/Mn)は6.56、共重合組成はMMA/MAA(重量比)=65/35であった。尚、共重合体(A−7)(δp=9.23)と有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、0.94であった。
実施例1〜5、および比較例1〜2の重合結果を纏めたものを表4に示す。尚、表中の粉体としての取り出し性について、重合終了後、共重合体(A)が固体として、スラリー状で溶媒中に分散し、遠心分離操作により、容易に粉体として取り出せるものを○、それ以外の重合終了後の状態が膨潤・ゲル状物であるものについては×で記載した。
Figure 2006124437
実施例1〜5、および比較例1〜2の比較から、本発明で用いる特定の溶媒を用いることにより、生成するカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を粉体として容易に取り出しが可能で、かつ重合開始前の仕込み単量体混合物組成と生成する共重合体の共重合組成に大きなずれを生じさせない精密な共重合組成制御および分子量分布のより狭い、均一性の高い分子量制御を行うことができることがわかる。

Claims (7)

  1. カルボキシル基含有アクリル系単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物を共重合し、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)を製造する際、芳香族基を含有しない有機溶媒であって、カルボキシル基含有アクリル単量体およびこれと共重合可能なその他のアクリル系単量体を含む単量体混合物は溶解し、かつ、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下である有機溶媒(B)中で重合することを特徴とするカルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の製造方法。
  2. カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.0以上であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.5〜1.7であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  6. 有機溶媒(B)が、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物であり、その重量比が5/95〜70/30であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  7. 前記カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体(A)中に、(i)カルボキシル基含有アクリル単量体単位を15〜50重量%含有する請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
JP2004311601A 2004-10-26 2004-10-26 カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法 Pending JP2006124437A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004311601A JP2006124437A (ja) 2004-10-26 2004-10-26 カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004311601A JP2006124437A (ja) 2004-10-26 2004-10-26 カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006124437A true JP2006124437A (ja) 2006-05-18
JP2006124437A5 JP2006124437A5 (ja) 2007-12-13

Family

ID=36719486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004311601A Pending JP2006124437A (ja) 2004-10-26 2004-10-26 カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006124437A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0439312A (ja) * 1990-06-06 1992-02-10 Showa Denko Kk 架橋型アクリル酸系ポリマー及びそれを用いた化粧料
JPH05117306A (ja) * 1991-07-04 1993-05-14 Nippon Junyaku Kk 高重合度ポリアクリル酸の製造方法
WO2004083262A1 (ja) * 2003-02-28 2004-09-30 Toagosei Co., Ltd. 粉末状樹脂の精製方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0439312A (ja) * 1990-06-06 1992-02-10 Showa Denko Kk 架橋型アクリル酸系ポリマー及びそれを用いた化粧料
JPH05117306A (ja) * 1991-07-04 1993-05-14 Nippon Junyaku Kk 高重合度ポリアクリル酸の製造方法
WO2004083262A1 (ja) * 2003-02-28 2004-09-30 Toagosei Co., Ltd. 粉末状樹脂の精製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guyot et al. High solid content latexes
JPH05178912A (ja) 架橋ポリマー粒子の製造方法
CN101501077B (zh) 聚合物微粒的制造方法
KR20160094986A (ko) 폴리불화비닐리덴 수지 입자 및 그의 제조 방법
JP2006124437A (ja) カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体の製造方法
JP4009752B2 (ja) 狭い粒径分布を有する自己活性化ポリマー粒子及びその製造方法
JP2008239850A (ja) 共重合体の製造方法
US20120157613A1 (en) Bulk polymerization of (meth)acrylate copolymers soluble under aqueous-alkaline conditions
JP2009235357A (ja) ウェットケークの乾燥方法
JP3784292B2 (ja) 樹脂粒子の製造方法およびその方法により得られる樹脂粒子
JP2008239851A (ja) 共重合体の製造方法
JP2011068856A (ja) 着色粒子
JP2009235364A (ja) カルボキシル基含有アクリル共重合体の製造方法
JP2009235363A (ja) カルボキシル基含有アクリル共重合体の製造方法
JP5028974B2 (ja) 重合体粒子及び重合体粒子の製造方法
JP6136214B2 (ja) フマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法
JPH08143627A (ja) 単分散性ポリスチレン系粒子の製造方法
JP4411377B2 (ja) 重合体の製造方法
JPS63297402A (ja) 粒子径分布の狭い重合体粒子の製造方法
JP2010070625A (ja) カルボキシル基含有アクリル単量体単位を含む共重合体を回収する方法
US7071265B2 (en) Method of producing a non-crosslinked polymer particle
JP3192445B2 (ja) 重合体粒子の製造方法
JPH05262804A (ja) 分散性の優れた重合体微粒子の製造方法
RODRÍGUEZ-PIZANO et al. Effect of the operating conditions on the particle size distribution by the suspension polymerization process
JPS63191805A (ja) 単分散ビニル重合体微粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Effective date: 20071025

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20071025

A621 Written request for application examination

Effective date: 20071025

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20071025

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071107

A977 Report on retrieval

Effective date: 20091215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091222

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100413

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02