JP2006123205A - 表皮一体成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】表皮一体成形品の成形時に型のキャビティ内の空気を型外に排出して、表皮一体成形品の内部に空気を残さないようにして、成形不良を防ぐ。
【解決手段】表皮材3と芯材5との間隔が比較的狭い一般断面部21と、芯材5の注入孔から離れた左側の端末部に向けて延び、一般断面部21よりも表皮材3と芯材5との間隔が広い厚肉断面部23とを備えたインストルメントパネル1において、厚肉断面部23に堰部31を設け、樹脂原料の注入時に一般断面部21を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとが端末部で合流するように、樹脂原料の流れを調整する。
【選択図】図1
【解決手段】表皮材3と芯材5との間隔が比較的狭い一般断面部21と、芯材5の注入孔から離れた左側の端末部に向けて延び、一般断面部21よりも表皮材3と芯材5との間隔が広い厚肉断面部23とを備えたインストルメントパネル1において、厚肉断面部23に堰部31を設け、樹脂原料の注入時に一般断面部21を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとが端末部で合流するように、樹脂原料の流れを調整する。
【選択図】図1
Description
本発明は、表皮材と、芯材と、該芯材と表皮材との間の樹脂層とを有する表皮一体成形品に関するものである。
従来より、型内にセットされた表皮材と芯材との間に芯材の注入孔から樹脂原料を注入して樹脂層によって表皮材と芯材とが一体とされた表皮一体成形品は知られている。このような表皮一体成形品では、成形時に厚肉部や肉厚変化部では、他の部分とは異なる樹脂原料の流れが生じることで、空気溜まりや凹みが発生するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1では、芯材を射出成形した際に形成されたダイレクトゲートを利用して樹脂層の厚みが一様になるようにカットするものがある。
特開平7−178766号公報
ところで、表皮一体成形品に樹脂層として、ウレタン発泡層を使用する場合、ウレタン樹脂が高価であることから、肉厚をできるだけ薄くしようとするニーズがある。このため、特に制約のない部分は、ウレタン発泡層の肉厚の薄い、すなわち、表皮材と芯材との間隔が比較的狭い一般断面部として成形される。そして、一部分をデザイン上の観点などから、ウレタン発泡層の肉厚を厚く成形するものがある。
このような上記一般断面部よりも表皮材と芯材との間隔が広い厚肉断面部を芯材の注入孔から離れた端末部に向けて延びるように形成した表皮一体成形品には、例えば、図6に示すような車両用インストルメントパネル101がある。このインストルメントパネル101では、型内にセットされた表皮材103と芯材105との間に芯材105の注入孔125から樹脂原料(ウレタン樹脂)を注入すると、矢印に示すように樹脂原料が流れていく。このとき、型における表皮材103と芯材105との間のキャビティ内の空気は、芯材105の注入孔125から最も離れた左右の端末部127側からが型外に排出されるようになっている。
しかしながら、図5に示すような厚肉断面部123では、表皮材103と芯材105との間隔が一般断面部121よりも広いため、樹脂原料の流れが一般断面部121よりも速くなり、厚肉断面部123を通る樹脂原料の流れ(矢印Bで示す)が一般断面部121を通る樹脂原料の流れ(矢印Aで示す)よりも早く左側の端末部127に到達してその端末部127を塞いでしまい、キャビティ内の空気が型外に排出されず、インストルメントパネル101の内部に残ってエアー溜まり129が生じ、発泡層107に成形不良が発生するという問題がある。
このような場合、上記特許文献1の表皮一体成形品のように、芯材成形時に形成されたダイレクトゲートを利用しただけでは、厚肉断面部の成形不良に対応できても、表皮一体成形品全体では、十分に成形不良を防ぐことはできないという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、厚肉断面部の構成に工夫を加えることで、成形時に型のキャビティ内の空気を型外に排出して、表皮一体成形品の内部に空気を残さないようにして、成形不良を防ぐことにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、厚肉断面部に成形時の樹脂原料の流れを調整する堰部を設けた。
具体的には、第1の発明では、表皮材と、芯材と、該芯材と表皮材との間の樹脂層とを有し、型内にセットされた表皮材と芯材との間に芯材の注入孔から樹脂原料を注入して樹脂層によって表皮材と芯材とが一体とされた表皮一体成形品を対象とする。
そして、上記表皮材と芯材との間隔が比較的狭い一般断面部と、上記注入孔から離れた端末部に向けて延び、上記一般断面部よりも表皮材と芯材との間隔が広い厚肉断面部とを備え、上記厚肉断面部には、樹脂原料の注入時に上記一般断面部を通る樹脂原料の流れと上記厚肉断面部を通る樹脂原料の流れとが上記端末部で合流するように樹脂原料の流れを調整する堰部が設けられる構成とする。
第2の発明では、上記堰部は、厚肉断面部の延びる方向に略直交するように芯材から表皮材に向けて突設された突条からなるものとする。
第3の発明では、上記堰部における樹脂原料の流れの下流側の面は、芯材の平面部に対して45°以下傾いているものとする。
第4の発明では、上記堰部は、芯材又は表皮材に貼り付けられたブロック状のクッション材よりなるものとする。
上記第1の発明によれば、厚肉断面部において、堰部により、樹脂原料の注入時の樹脂原料の流れを妨げて、その流れを減速させ、一般断面部を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部を通る樹脂原料の流れとを端末部で合流するようにしている。このため、成形時に型のキャビティ内の空気が樹脂原料の流れに伴って端末部側から型外に排出されるので、表皮一体成形品の内部に空気が残らず、成形不良を防ぐことができる。
上記第2の発明によれば、芯材より突設した突条からなる堰部により、厚肉断面部に対応するキャビティ内を流れる樹脂原料の流れを調整している。このため、簡単な構成で、表皮一体成形品の内部に空気が残るのを防ぐことができる。
上記第3の発明によれば、堰部の下流側の面を芯材の平面部に対して45°以下だけ傾けている。このため、樹脂原料が滑らかに下流側に流れ、堰部の下流側に空気溜まりができない。一方、この場合、下限値は任意であり、適度な傾斜を有していればよい。したがって、空気溜まりなどの成形不良を新たに発生することなく、適度に樹脂原料の流れを調整することができる。
上記第4の発明によれば、ブロック状のクッション材を堰部として利用している。このため、堰部自体がクッション性を有しているため、表皮一体成形品のクッション性が損なわれない。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図2は、本発明に実施形態にかかる表皮一体成形品としての車両用インストルメントパネル1を示す。このインストルメントパネル1は、表皮材3と、芯材5と、該芯材5と表皮材3との間に樹脂層としての発泡層7(図1に示す)とを有している。上記インストルメントパネル1は、図示しない型内にセットされた表皮材3と芯材5との間に後述する芯材5の注入孔25から樹脂原料(ウレタン樹脂)を注入して発泡層7によって表皮材3と芯材5とが一体とされたものである。
図2は、本発明に実施形態にかかる表皮一体成形品としての車両用インストルメントパネル1を示す。このインストルメントパネル1は、表皮材3と、芯材5と、該芯材5と表皮材3との間に樹脂層としての発泡層7(図1に示す)とを有している。上記インストルメントパネル1は、図示しない型内にセットされた表皮材3と芯材5との間に後述する芯材5の注入孔25から樹脂原料(ウレタン樹脂)を注入して発泡層7によって表皮材3と芯材5とが一体とされたものである。
具体的には、上記インストルメントパネル1は、メータフード11、空調用吹出口12、エアバック開口13などが設けられたアッパー部15と、センタパネル部16、ステアリング用開口17、グローブボックス用開口18などが設けられたロアー部19とが一体に成形されている。そして、アッパー部15の車両前方側には、デフロスター用開口20が設けられている。このデフロスター用開口20側を除くアッパー部15の部分でインパネ前面部15aが構成され、このインパネ前面部15aは、クッション性を高めるために発泡層7を含んだ三層構造となっている。アッパー部15のその他の部分やロアー部19は、芯材5が露出した構造となっている。
図1に示すように、アッパー部15のインパネ前面部15aは、上記表皮材3と芯材5との間隔が比較的狭い一般断面部21と、上記一般断面部21よりも表皮材3と芯材5との間隔が広い厚肉断面部23とを備えている。
上記一般断面部21の発泡層7は、ほぼ全体が一定の肉厚で、例えば4mm程度の厚さとなっている。
上記インパネ前面部15aの略中心部に相当する芯材5には、インストルメントパネル1の成形時に樹脂原料を注入するための注入孔25(図2に破線で示す)が設けられている。この注入孔25から離れた車幅方向左側のエアバック開口13の下側に端末部27に向けて車幅方向に延びるように、上記厚肉断面部23が形成されている。
そして、本発明の特徴として、この厚肉断面部23には、樹脂原料の注入時に上記一般断面部21を通る樹脂原料の流れと上記厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとが上記端末部27で合流するように樹脂原料の流れを調整する堰部31が三列設けられている。
具体的には、堰部31は、厚肉断面部23の延びる方向(車幅方向)に略直交するように芯材5から表皮材3に向けて突設された突条からなっている。この堰部31は、芯材5を略一定の厚さのままで表皮材3側に折り曲げるようにして設けられ、断面が略三角形状を有している。この堰部31における樹脂原料の流れの下流側の面である左側部31aと芯材5の平面部との傾斜角θは45°以下となっている。この場合、下限値は任意であり、速度調整可能な程度の傾斜角であればよい。
−インストルメントパネル1の成形方法−
次に、本実施形態にかかるインストルメントパネル1の成形方法について説明する。
次に、本実施形態にかかるインストルメントパネル1の成形方法について説明する。
まず、図示しない成形型の下型に表皮材3を配置し、上型に芯材5を配置する。この状態で型を閉じ、表皮材3と芯材5との間にできたキャビティ内に芯材5の注入孔25から発泡層7の樹脂原料を注入する。
このとき、図2に示すように、注入孔25から樹脂原料が放射状に広がっていく(矢印Aで示す)。放射状に広がった樹脂原料は、一般断面部21において略一定の速さで広がっていく。一方、厚肉断面部23に流入した樹脂原料は、当初、上記一般断面部21よりも速いスピードで流れていく(矢印Bで示す)。
しかし、厚肉断面部23に流入した樹脂原料が堰部31にさしかかると、堰部31にその流れを妨げられ、流れが遅くなる。この堰部31の左側部31aの表面が芯材5の平面部に対して45°以下傾いているので、左側部31aの下流側に空気が溜まることはない。
そして、この堰部31を三列通過した樹脂原料は、一般断面部21を通過した樹脂原料と略同時にインストルメントパネル1の左側の端末部27に到着し、キャビティ内の空気は、端末部27側から徐々に排出される。
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態にかかるインストルメントパネル1によると、厚肉断面部23に設けた堰部31により、樹脂原料の注入時の樹脂原料の流れを妨げて、その流れを減速させ、一般断面部21を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとを端末部27で合流するようにしている。このため、成形時に型のキャビティ内の空気が樹脂原料の流れに伴って端末部27から型外に排出されるので、インストルメントパネル1の内部に空気が残らず、成形不良を防ぐことができる。
したがって、本実施形態にかかるインストルメントパネル1によると、厚肉断面部23に設けた堰部31により、樹脂原料の注入時の樹脂原料の流れを妨げて、その流れを減速させ、一般断面部21を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとを端末部27で合流するようにしている。このため、成形時に型のキャビティ内の空気が樹脂原料の流れに伴って端末部27から型外に排出されるので、インストルメントパネル1の内部に空気が残らず、成形不良を防ぐことができる。
また、本実施形態では、突条からなる堰部31により、厚肉断面部23に対応するキャビティ内を流れる樹脂原料の流れを調整している。このため、簡単な構成で、インストルメントパネル1の内部に空気が残るのを防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、堰部31の左側部31aを芯材5の平面部に対して45°以下だけ傾けている。このため、樹脂原料が滑らかに下流側に流れ、堰部31の下流側に空気溜まりができない。したがって、空気溜まりなどの成形不良を新たに発生することなく、適度に樹脂原料の流れを調整することができる。
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1では、堰部31を芯材5が表皮材3側に突出するようにして設けた断面が略三角形状の突条としたが、図3に示すように、堰部31を単に芯材5側から突出させた板状の突条により構成してもよい。この場合でも、上記実施形態1と同様にインストルメントパネル1の内部に空気が残るのを防いで成形不良を防ぐことができる。
上記実施形態1では、堰部31を芯材5が表皮材3側に突出するようにして設けた断面が略三角形状の突条としたが、図3に示すように、堰部31を単に芯材5側から突出させた板状の突条により構成してもよい。この場合でも、上記実施形態1と同様にインストルメントパネル1の内部に空気が残るのを防いで成形不良を防ぐことができる。
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2を示し、堰部31の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図4は本発明の実施形態2を示し、堰部31の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施形態にかかるインストルメントパネル1の堰部は、成形時に厚肉断面部23における芯材5側に両面テープ132によって貼り付けられたブロック状のクッション材131により構成されている。
なお、このクッション材131を成形時に表皮材3側に貼り付けてもよい。
−実施形態2の効果−
したがって、本実施形態にかかるインストルメントパネル1によると、上記実施形態1と同様の作用効果が得られると共に、堰部31自体がクッション性を有しているため、インストルメントパネル1のクッション性が損なわれない。
したがって、本実施形態にかかるインストルメントパネル1によると、上記実施形態1と同様の作用効果が得られると共に、堰部31自体がクッション性を有しているため、インストルメントパネル1のクッション性が損なわれない。
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、上記各実施形態では、インストルメントパネル1について述べたが、ドアトリムなどの表皮材3と芯材5との間隔が比較的狭い一般断面部21を備え、かつ芯材5の注入孔25から離れた端末部27に向けて延び、一般断面部21よりも表皮材3と芯材5との間隔が広い厚肉断面部23を備えた表皮一体成形品であれば、本発明は適用できる。
また、上記各実施形態では、発泡層7としてウレタン樹脂よりなる発泡層を使用しているが、例えば、この発泡層7は、表皮材3と芯材5とを接着する接着剤よりなる樹脂層であってもよい。
さらに、上記各実施形態では、堰部31を三列設けているが、この数には限定されず、一般断面部21を通る樹脂原料の流れと厚肉断面部23を通る樹脂原料の流れとが端末部27で合流するように樹脂原料の流れを調整できるように、その数と、形状を設定すればよい。
また、上記実施形態2でのクッション材131は、内部に連通気泡を有していることが望ましく、この連通気泡により、クッション材131は空気を通すので、その周辺に空気溜まりが発生するのを防ぐことができる。
以上説明したように、本発明は、車両用インストルメントパネルなどの表皮材と芯材との間隔が比較的狭い一般断面部と、芯材の注入孔から離れた端末部に向けて延び、一般断面部よりも表皮材と芯材との間隔が広い厚肉断面部とを備えた表皮一体成形品について有用である。
1 インストルメントパネル
3 表皮材
5 芯材
7 樹脂層
21 一般断面部
23 厚肉断面部
25 注入孔
27 端末部
31 堰部
31a 左側部(面)
131 クッション材(堰部)
3 表皮材
5 芯材
7 樹脂層
21 一般断面部
23 厚肉断面部
25 注入孔
27 端末部
31 堰部
31a 左側部(面)
131 クッション材(堰部)
Claims (4)
- 表皮材と、芯材と、該芯材と表皮材との間の樹脂層とを有し、型内にセットされた表皮材と芯材との間に芯材の注入孔から樹脂原料を注入して樹脂層によって表皮材と芯材とが一体とされた表皮一体成形品であって、
上記表皮材と芯材との間隔が比較的狭い一般断面部と、
上記注入孔から離れた端末部に向けて延び、上記一般断面部よりも表皮材と芯材との間隔が広い厚肉断面部とを備え、
上記厚肉断面部には、樹脂原料の注入時に上記一般断面部を通る樹脂原料の流れと上記厚肉断面部を通る樹脂原料の流れとが上記端末部で合流するように樹脂原料の流れを調整する堰部が設けられていることを特徴とする表皮一体成形品。 - 請求項1に記載の表皮一体成形品において、
上記堰部は、厚肉断面部の延びる方向に略直交するように芯材から表皮材に向けて突設された突条からなることを特徴とする表皮一体成形品。 - 請求項2に記載の表皮一体成形品において、
上記堰部における樹脂原料の流れの下流側の面は、芯材の平面部に対して45°以下傾いていることを特徴とする表皮一体成形品。 - 請求項1に記載の表皮一体成形品において、
上記堰部は、芯材又は表皮材に貼り付けられたブロック状のクッション材よりなることを特徴とする表皮一体成形品。
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2004
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100406 |