以下,本発明の好適な実施の形態について,添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお,以下の説明及び添付図面において,略同一の機能及び構成を有する構成要素については,同一符号を付することにより,重複説明を省略する。
まず,図1を参照しながら,アドホックネットワークについて説明する。図1は,アドホックネットワークの概略的な構成を示す説明図である。
図1に示すように,アドホックネットワークには,通信装置101(101a,101b,・・・,101g)からなる複数の通信装置101が空間上に配置されている。なお,図1に示す通信装置101は7台の場合を例に挙げて説明するが,複数台の通信装置101であれば,かかる例に限定されない。また,通信装置101は,無線による通信可能な装置である場合を例に挙げて説明するが,かかる例に限定されず,例えば有線による通信可能な装置の場合等でも実施可能である。
上記各通信装置101は,電波を送出することで他の通信装置101とデータ通信可能なエリア(通信エリア102)を有している。したがって,近隣に存在する通信装置101とはお互い直接通信を行なえる構成になっている。
ここで,通信装置101aは,その通信エリア102a(通信装置101aを中心とした楕円の破線内)内に存在する近隣の通信装置101b,通信装置101c,および通信装置101dと直接データ通信ができるが,その通信エリア102a範囲外の通信装置101e,101f,101gとは直接通信ができない構成になっている。
同様に,通信装置101bの電波到達範囲は,通信エリア102bであり,通信エリア102b内である近隣の通信装置101a,通信装置101dと通信装置101bは,直接通信ができるが,その他の通信装置101c,通信装置101e,通信装置101f,および通信装置101gとは直接通信ができない。
通信装置101cの電波到達範囲は,通信エリア102cであり,通信エリア102c内である近隣の通信装置101a,通信装置101f,および通信装置101gと通信装置101cは直接通信ができるが,その他の通信装置101b,通信装置101d,および通信装置101eとは直接通信ができない。
通信装置101dの電波到達範囲は,通信エリア102dであり,通信エリア102d内である近隣の通信装置101a,通信装置101b,および通信装置101eと通信装置101dは直接通信ができるが,その他の通信装置101c,通信装置101f,および通信装置101gとは直接通信ができない。
通信装置101eの電波到達範囲は,図1に示すように,通信エリア102eであり,通信エリア102e内である近隣の通信装置101dのみ通信装置101eは直接通信ができるが,その他の通信装置101a,通信装置101b,通信装置101c,通信装置101f,および通信装置101gとは直接通信ができない。
また,通信装置101fの電波到達範囲は,通信エリア102fであり,通信エリア102f内である近隣の通信装置101cのみ通信装置101fは直接通信できるが,その他の通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,通信装置101e,および通信装置101gとは直接通信ができない。
通信装置101gの電波到達範囲は,通信エリア102gであり,通信エリア102f内である近隣の通信装置101cのみ通信装置101gは直接通信できるが,その他の通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,通信装置101e,および通信装置101fとは直接通信ができない。
さらに,通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,および通信装置101eの“○”で示された通信装置101は,第1のネットワークグループを形成し,通信装置101c,通信装置101f,および通信装置101gの“●”で示された通信装置101は,第2のネットワークグループを形成している。なお,上記ネットワークグループについては,後程詳述する。
次に,図2を参照しながら,アドホックネットワークにおけるスーパーフレームについて説明する。図2は,スーパーフレームの概略的な構成の一例を示す説明図である。
図2に示すように,スーパーフレームは,各通信装置101がビーコン信号を送信する周期に基づいて設定される。なお,各通信装置101のスーパーフレームの周期は同じであるが,上記周期は予め設定されている。
また,通信装置101によって,所定の時間間隔で周期的なビーコン信号を送信することでスーパーフレームが定義される。なお,各通信装置101で送信されるビーコン信号の送信タイミングは,重複することがないように各通信装置101で調整される。したがって,図2に示すように,各通信装置101で送信されるビーコン信号B(B1〜B7)の送信タイミングは,重複していない。
つまり,スーパーフレームは,各通信装置101a〜101gが独自にスーパーフレームの構成を設定し,近隣に存在する通信装置のスーパーフレームの構成とビーコン信号の送信タイミングが重ならないように設定される。
より具体的には,図2に示すように,通信装置101aでは,通信エリア102a内の通信装置101b,通信装置101c,および通信装置101dのビーコン信号NB2,ビーコン信号NB3,ビーコン信号NB4を受信し,それらのビーコン信号と重ならないタイミングで自身のビーコン信号B1を送信して,次のビーコン信号B1’の送信タイミングまでの周期を自己のスーパーフレームの周期として設定する。なお,ビーコン信号B1〜ビーコン信号B7は,各通信装置101から送信するビーコン信号であることを示し,ビーコン信号NB1〜ビーコン信号NB7は,各通信装置101が受信するビーコン信号であることを示している。
また,通信装置101bでは,通信エリア102b内である通信装置101a,通信装置101dのビーコン信号NB1,ビーコン信号NB4を受信する。
通信装置101cでは,近隣にある(通信エリア102c内)通信装置101a,通信装置101f,および通信装置101gのビーコン信号NB1,ビーコン信号NB6,ビーコン信号NB7を受信できる。
通信装置101dでは,近隣にある(通信エリア102d内)通信装置101a,通信装置101b,通信装置101eのビーコン信号(NB1,NB2,NB5)を受信できる。
通信装置101eでは近隣にある通信装置101dのビーコン信号(NB4)を受信でき,通信装置101fでは近隣にある通信装置101cのビーコン信号(NB3)を受信でき,通信装置101gでは近隣にある通信装置101cのビーコン信号(NB3)を受信できる。
なお,本実施の形態にかかるアドホックネットワークでは,CSMA/CA方式でデータ通信が行われている。上記CSMA/CAとは,衝突回避機能付き搬送波感知多重アクセス方式のことである。CSMA/CAは、IEEE 802.3(Ethernet)で利用されているCSMA/CD方式に類似したプロトコルを使い,無線通信路へのアクセス制御を行っている。
CSMA/CAは,同一チャネル(メディア)に複数のユーザーがアクセスする際の競合を回避する。無線LANシステムでは,送信信号は非常に弱く,衝突の検出を行うことが困難である。したがって,データ送信の衝突確率を小さくするために,ランダムな待ち時間(バックオフ時間)を各通信装置101がもつようにしている。
次に,図3を参照しながら,通信装置101がビーコン信号をスキャンするスキャン周期について説明する。なお,図3は,スキャン周期の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図3に示すスキャン周期は,上記説明のスーパーフレームの周期をN倍したものである。なお,Nは0以上の定数である。このスキャン周期は各通信装置101によって設定され,通信装置101がスキャンするタイミングがくると通信エリア102内に存在する他の通信装置101からのビーコン信号を受信し,新規な通信装置101等が存在する場合,それらの通信装置101の管理を各通信装置101で行なう構成になっている。
つまり,アドホックネットワークに構成する通信装置101が各々スキャンする時間(SF−#1,SF−#2,・・・,SF−#(N−1))の合計がスキャン周期となる。
このスキャン周期の設定は,例えば,N(Nは任意の整数)倍のスーパーフレームに1回,そのスーパーフレーム周期に相当する時間にわたり,連続受信(スキャン)を行なう事によって,他の通信装置からのビーコン信号を受信する。
つまり,スーパーフレーム(SF−#1)でスキャンを行った場合に,次のスキャン周期であるスーパーフレーム(SF−#N)が到来した場合に,再度,スキャンを行なう構成になっている。
なお,スキャンを行なう周期の設定については,通信装置101の稼動状況に応じて可変であるが,かかる例に限定されず,予め固定の場合でも実施可能である。
例えば,通信装置101がデータ通信を頻繁に行なっている場合には,ほぼ毎スーパーフレーム,ビーコン信号をスキャンし,他の通信装置101のビーコン信号を受信して,自己の送受信する信号とタイミングが重複しないか等をチェックし,自己のデータ送受信に影響がないことを把握する。
また,通信装置101によるデータ通信がほとんど行なわれていない状態では,冗長な時間(数秒から数分)に1回程度スキャン動作を行なう事で,低消費電力で動作する構成になっている。
次に,図4を参照しながら,スーパーフレームに構成されるタイムスロット(例えば,時間枠)について説明する。なお,図4は,スーパーフレームの概略的な内部構成の一例を示す説明図である。なお,図4に示す水平線の下部に表記された数字は,タイムスロットの番号を示している。
図4に示すように,スーパーフレームには,複数のタイムスロット(タイムスロット0〜タイムスロット255)が含まれている。所定のタイムスロット単位にスーパーフレームの周期を分割することで,スーパーフレーム内の所定位置で周辺の通信装置101がどのような通信を行っているのか管理することができる。
なお,図4に示すように,各通信装置101のビーコン信号Bの送信位置を基準に,スーパーフレームがタイムスロット0〜タイムスロット255の256のタイムスロットに分割された場合を例に挙げて説明するが,かかる例に限定されない。
タイムスロット0において,自己の通信装置101のビーコン信号Bの送信と,そのアクセス制御などに利用され,それ以外のタイムスロット1〜タイムスロット255では,任意のデータ通信や,他の通信装置101からのビーコン信号Bの送信する位置の管理に利用される。
なお,アクセスとは,例えば,システムの利用,通信装置101への接続,データの参照,データの保存,データの削除,またはデータの変更など,無線又は有線を介してデータを処理する情報処理を総称していう。
次に,図5を参照しながら,タイムスロットによる通信装置101の通信管理について説明する。図5は,第1の実施の形態にかかる通信装置の通信管理の一例を示す説明図である。
なお,図5に示す一例は,上記説明の図1および図2の構成で,かつ上記説明の図4に示したタイムスロットの場合に適用される通信管理であるが,かかる例に限定されない。また,図5に示す各々の水平線の下部に表記された数字は,タイムスロットの番号を示している。
まず,図5に示すように,通信装置101aの場合,通信装置101aは,タイムスロット0近辺でビーコン信号Bを送信し,タイムスロット64近辺で通信装置101bからのビーコン信号NB2を検出し,タイムスロット128付近で通信装置101cからのビーコン信号NB3を検出し,タイムスロット192付近で通信装置101dからのビーコン信号NB4を検出するスケジュールとなっている。
通信装置101bの場合,通信装置101bは,タイムスロット128付近で通信装置101dからのビーコン信号NB4を検出し,タイムスロット192付近で通信装置101aからのビーコン信号NB1を検出するスケジュールとなっている。
通信装置101cの場合,通信装置101cは,タイムスロット96近辺で通信装置101gからのビーコン信号NB7を検出し,タイムスロット128近辺で通信装置101aからのビーコン信号NB1を検出し,タイムスロット160近辺で通信装置101fからのビーコン信号NB6を検出するスケジュールとなっている。
通信装置101dの場合,通信装置101dは,タイムスロット64近辺で通信装置101aからのビーコン信号NB1を検出し,タイムスロット128近辺で通信装置101bからのビーコン信号NB2を検出し,タイムスロット160近辺で通信装置101eからのビーコン信号NB5を検出するスケジュールとなっている。
通信装置101eの場合,通信装置101eは,タイムスロット96近辺で通信装置101dからのビーコン信号NB4を検出するスケジュールである。
通信装置101fの場合,通信装置101fは,タイムスロット96近辺で通信装置101cからのビーコン信号NB3を検出するスケジュールである。
通信装置101gの場合,通信装置101gは,タイムスロット160近辺で通信装置101cからのビーコン信号NB3を検出するスケジュールである。
なお,第1の実施の形態にかかる各通信装置101のスケジュールは,後述するタイムスロット管理表(例えば,時間枠管理表)にタイムスロット単位に記述されている。
また,図5に示すように,各通信装置101のタイムスロットは,各通信装置101が自己のビーコン信号Bを送信するタイムスロット(タイムスロット0)を基準としている。代表1台の通信装置101のタイムスロット0に他の通信装置101のタイムスロット0が同期する必要はなく,タイムスロット0が他のタイムスロット0と非同期であっても実施可能である。つまり,各通信装置101によってビーコン信号Bが送信されるタイミングが重複しなければ,例えば,各通信装置101のタイムスロットが非同期の場合であっても実施可能である。
次に,図6を参照しながら,ビーコン信号のフレームの構成について説明する。なお,図6は,ビーコン信号のフレームの概略的な構成の一例を示す説明図である。
ビーコン信号のフレームは,図6に示すように,所定のプリアンブルとPHYヘッダー(図示せず。)に続いて,MACヘッダー(MAC Header)とヘッダーチェックシーケンス(HCS),ビーコンペイロード(Beacon Payload),フレームチェックシーケンス(FCS)とから構成される。
さらに,上記MACヘッダーは,フレームコントロール(Frame Control),ピコネット識別子(PN ID),届け先識別子(Dest. ID),送り元識別子(Src. ID),フラグメント制御情報(Fragment Control),およびストリームインデックス(Stream Index)とから少なくとも構成される。
また,ビーコンペイロードは,通信装置101のMACアドレス情報エレメント(IE)などから構成されるMAC Address IEと,上記通信装置101の通信スケジュールを示すタイムスロットの一覧を報知するための情報エレメントであるタイムスロットIE(Time Slot IE)と,ネットワークグループを識別するグループIE(Group IE)と,通信装置101の能力を報知するための能力IE(Capability IE)と,通信装置101の属性を通知するための属性IE(Attribute IE)等とから構成される。
なお,上記説明したタイムスロットIE,能力IE,または属性IE等の各種情報エレメント(IE)はかかる例に限定されず,必要に応じて追加されたり,削除されたりしてビーコン信号のフレームが構成されても良い。
次に,図7を参照しながら,タイムスロットによる通信装置101の通信管理について説明する。なお,図7は,タイムスロットによる通信装置101の通信管理の概略の一例を示す説明図である。また,図7に示す水平線各々の下部に表記された数字は,タイムスロット(TimeSlot)の番号を示している。
なお,図7に示す通信管理は通信装置101aの場合であって,上記通信装置101aの周囲(通信エリア102a)に存在する通信装置101b,通信装置101c,通信装置101dのビーコン信号Bを受信する受信タイミングの関係から,自己の通信装置101aのタイムスロット管理表に割当てる(マッピングする)ことで,管理する構成を示しているが,通信装置101a以外の通信装置101についても同様である。
通信装置101aでは,自己のビーコン信号Bの送信タイミングを基準にして自己のタイムスロット位置が決定される。つまり,タイムスロット0が自己のビーコン信号Bの送信タイミングとなる。
さらに,上記タイムスロット0内のビーコン信号Bの送信タイミング位置の隣には,上記ビーコン信号Bの送信に付随して,他の通信装置101にデータ送信するためのアクセス期間(Access P)として利用される。上記タイムスロット0にアクセス期間としてデータ送信処理が行われるとタイムスロット管理表に設定される。即ち,タイムスロット0では,通信装置101aによって,自己(通信装置101a)のビーコン信号Bを送信する処理と,他の通信装置101にデータを送信する処理が行われる。
さらに,タイムスロット0に隣接するタイムスロット1では,必要に応じて自己の通信装置101aのデータを受信する受信期間(OwnReserve)として設定される。通信装置101aは,図7に示すタイムスロット1でデータを受信する処理を行う。
図7に示すように,タイムスロット64の中間地点では,通信装置101aは,通信装置101bからのビーコン信号NB2を受信する受信処理がタイムスロット管理表に設定されている。上記通信装置101bからのビーコン信号NB2を通信装置101aが受信する受信タイミングの位置がタイムスロット64の中間であるため,上記タイムスロット0の場合とは異なり,タイムスロット64内でビーコン信号Bの送信処理及びデータを送信する送信処理ができない。したがって,通信装置101bからのビーコン信号NB2を受信する受信処理の期間をタイムスロット64として登録するとともに,タイムスロット64に隣接するタイムスロット65には,上記通信装置101bがデータを他の通信装置101に送信するための期間,つまりアクセス期間(Access P)が設定される。
なお,上記説明のように,ビーコン信号Bの送信処理とデータ送信処理の期間が1つのタイムスロット内に収まりきれない場合,当該タイムスロットに隣接するタイムスロットがデータ送信処理等を行う期間として予備的に設定されるが,上記以外の処理についても,必要に応じて,予備的に隣接するタイムスロットに所定処理を行うための期間としてタイムスロット管理表に設定される。
図7に示すように,タイムスロット127の終端部の地点では,通信装置101aが通信装置101cからのビーコン信号NB3を受信する受信処理の期間が,タイムスロット管理表に設定されている。
上記ビーコン信号NB3を受信するタイミングがタイムスロット127の終端地点であるため,上記説明のタイムスロット64の場合と同様に,ビーコン信号NB3を受信する受信処理の期間をタイムスロット127としてタイムスロット管理表に登録するとともに,タイムスロット127に隣接するタイムスロット128には,上記通信装置101cがデータを他の通信装置101に送信するデータ送信処理の期間(アクセス期間:Access P)として,タイムスロット管理表に設定される。
さらに,図7に示すように,タイムスロット192の先端部(先頭部)の地点では,通信装置101aが通信装置101dからのビーコン信号NB4を受信する受信処理の期間が,タイムスロット管理表に設定されている。つまり,通信装置101aのタイムスロットがタイムスロット192になった時点で,通信装置101dからのビーコン信号NB4を通信装置101aが受信することになる。
上記通信装置101dからのビーコン信号NB4を受信するタイミングがタイムスロット192の先端部(先頭部)でありながらも,上記説明のように,通信装置101dがデータを他の通信装置101にデータ送信処理の期間(アクセス期間)が上記タイムスロット192内に上記アクセス期間に収めることができず,タイムスロット管理表に設定できないため,上記タイムスロット127の場合と同様に,ビーコン信号NB4を受信する受信処理の期間をタイムスロット192としてタイムスロット管理表に登録すると共に,タイムスロット192に隣接するタイムスロット193には,上記通信装置101dによるデータ送信処理のアクセス期間がタイムスロット管理表に設定される。
なお,図7に示すタイムスロット65,タイムスロット129,およびタイムスロット193では,必要に応じて他の通信装置101(101b,101c,または101d)によるデータを受信する受信期間(Neighbor Reserve)として設定される。
(通信装置101の構成について)
次に,図8を参照しながら,第1の実施の形態にかかる通信装置101の構成について説明する。なお,図8は,第1の実施の形態にかかる通信装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図8に示すように,通信装置101は,アンテナ801,無線受信部802,受信信号解析部803,自己アクセス制御部804,スキャン設定部805,情報記憶部806,基準時間生成部807,ビーコン解析部808,タイムスロット管理部809,中央制御部810,個別通信装置アクセス制御部811,ビーコン生成部812,無線送信部813,無線送信バッファ814,データバッファ815,インターフェース816とを備えている。
なお,上記アンテナ801と無線受信部802,またはビーコン解析部808のうち少なくとも一方を,例えば,ビーコン信号等の信号を受信するビーコン信号受信手段として例示することができる。また,上記タイムスロット管理部809は,例えば,信号を送受信するタイミングを決定する時間枠決定手段及び/又は信号の送受信タイミングが決まったらタイムスロット管理表のタイムスロットに登録する時間枠管理手段として例示することができる。
上記通信装置101では,まず中央制御部810からスキャン設定部805にスキャン指示が出され,所定のビーコン信号の存在を確認するためビーコン信号のスキャン動作が起動する。上記中央制御部810は,通信装置101に備わる各部の処理動作等を制御する。
基準時間生成部807により生成されるマスタ信号に基づいて,スキャン動作部805から自己アクセス制御部804に,スーパーフレームの周期にわたる時間,連続的に信号を受信する連続受信モードが設定されることで,上記スキャン動作が実行される。
したがって,ビーコン信号NBを受信し,ビーコン信号NBをスキャンするため,無線受信部802が動作し,アンテナ801を介して受信されたビーコン信号NBが,受信信号解析部803に供給され,このうちのビーコン信号NBのみが,ビーコン解析部808に送られる。
ビーコン解析部808では,ビーコン信号NBを受信したタイミングを,基準時間生成部807の信号に基づいて計時するとともに,ビーコン信号NBを解析し,そのタイミングでビーコン信号NBを受信したこと知らせる信号をタイムスロット管理部809に供給する。
タイムスロット管理部809は,通信エリア102内に存在する通信装置101(近隣通信装置101又は隣接する通信装置101)の存在を,基準時間生成部807の時間情報に基づき,自己のタイムスロット管理表に登録するとともに,さらに各々の近隣通信装置101のタイムスロットに設定された,例えばビーコン信号Bの送信処理等の期間から構成される通信処理状況を示すタイムスロットパラメータ(Time Slot IE)を近隣通信装置101から受信し,自己のタイムスロット管理表に登録する。したがって,タイムスロット管理部809がタイムスロット管理表を参照すれば,近隣通信装置101に対してアクセス制御可能なタイムスロット(または,タイミング,時間)を認識することができる。なお,上記タイムスロット管理表は,情報記憶部806等に記憶される。またタイムスロットパラメータは,例えば時間枠パラメータなどを例示することができる。
つまり,タイムスロット管理部809からの通知により,必要に応じて自己アクセス制御部804と個別通信装置アクセス制御部811にアクセス制御の処理が起動し,無線送信部813と無線受信部802を必要に応じて動作させることで,データ(情報)の送受信が行なわれる。
また,タイムスロット管理部809は,上記基準時間生成部807の信号に基づいて計時されたタイミングが,上記タイムスロット管理表におけるタイムスロット内の中間地点等に該当する場合,上記図7で説明したように,該当するタイムスロットと隣接するタイムスロットを通信処理を実行する予備的な期間として設定する。
ビーコン生成部812は,中央制御部810からの指示により,自己の通信装置101が送信するビーコン信号Bを生成する。さらに,ビーコン生成部812は,上記生成されたビーコン信号Bを無線送信バッファ814に一時的に格納しておき,タイムスロット管理部809からビーコン信号Bを送信するタイミングである旨の通知を受けると,無線送信部813に供給する。なお,無線送信部813に供給されたビーコン信号Bはアンテナ801から送信される。
なお,アンテナ801から送信されるデータ(情報)は,通信装置101の接続先であるアプリケーション機器(図示せず。)から,インターフェース816を介して,データバッファ815に取り込まれる。
また,上記データがインターフェース816を介して取り込まれたことは中央制御部810に通知され,さらに中央制御部810によって上記データが近隣通信装置101宛か否か判断され,近隣通信装置101宛の場合,送信対象となるデータがデータバッファ815等に格納されたことを個別通信装置アクセス制御部811に通知し,そのデータ送信先の通信装置101が受信可能なタイミングで,データバッファ815からデータが送信バッファ814を介して無線送信部913に供給され,アンテナ801から逐次送信される。
一方,タイムスロット管理部809からの通知により,通信装置101のデータを受信する受信タイミングが到来すると,無線受信部802が動作し,アンテナ801を介して受信した信号は受信信号解析部803に供給され,自己宛のデータであるか否か判断され,データバッファ815に格納される。なお,自己宛のコマンド情報は直接的に中央制御部810に供給される構成をとっても良い。
データバッファ815に格納されたデータは,中央制御部810に通知されるとともに,インターフェース816を介して,接続されるアプリケーション機器(図示せず)に,データを供給可能なタイミングが到来した場合に伝送される。
さらに,自己宛のコマンド情報の応答は,中央制御部810から直接的にデータバッファ815もしくは無線送信バッファ814に供給され,所定のアクセス制御手順に基づいて上記データと同様にアンテナ801を介して送信される。
情報記憶部806には,通信装置101を処理するために必要な一連の動作プログラムや,自己アドレス情報,スキャン周期情報,周辺装置情報などが格納されていて,必要に応じて中央制御部810から逐次アクセスされる構成になっている。なお,情報記憶部806にタイムスロット管理表がさらに記憶されている場合でも実施可能である。
次に,図9を参照しながら,タイムスロットパラメータ(Time Slot IE)について説明する。なお,図9は,タイムスロットパラメータの概略的な構成の一例を示す説明図である。
タイムスロットパラメータは,上記タイムスロット管理表に基づいて生成されるものであり,上記タイムスロットパラメータは,ビーコン信号Bに設定され,通信装置101から近隣通信装置101にビーコン信号Bに含まれた状態で送信される。
タイムスロットパラメータには,各タイムスロットに登録された通信装置101が実行する通信処理期間の種類を示す値が1又は2以上存在する。なお,図9に示すように,8種類の値が存在する場合を例に挙げて説明するが,かかる例に限定されない。
図9に示すように,タイムスロットパラメータの値には,0〜7の8種類の値が存在し,そのうちタイムスロットパラメータ値が“7”の場合は,自己の通信装置101のビーコン信号Bを送信するビーコン信号Bの送信処理期間であることを示している。
次に,タイムスロットパラメータ値が“6”の場合は,データを受信するデータ受信処理等の通信処理期間であることを示している。また,タイムスロットパラメータ値が“5”の場合は,近隣通信装置101によるビーコン信号Bを送信するビーコン信号送信処理期間であることを示している。
また,上記タイムスロットパラメータ値が“4”の場合は,近隣通信装置101によってデータを受信するデータ受信処理等の通信処理期間であることを示し,上記タイムスロットパラメータ値が“3”の場合は,自己の通信装置101が近隣通信装置101からのビーコン信号NBを受信するビーコン信号の受信処理期間であることを示している。
さらに,上記タイムスロットパラメータ値が“2”の場合は,近隣通信装置101が他の近隣通信装置101からのビーコン信号NBを受信するビーコン信号の受信処理期間であることを示し,上記タイムスロットパラメータ値が“1”の場合は,自己の通信装置101がデータ等の受信処理期間であることを示し,上記タイムスロットパラメータ値が“0”である場合は,何らの通信処理期間に該当しないことを示している。
次に,図10を参照しながら,タイムスロット管理表の構成について説明する。なお,図10は,タイムスロット管理表の概略的な構成の一例を示す説明図である。なお,図10では,通信装置101aのタイムスロット管理表の場合で,タイムスロットが図7に示す状態である場合を例に挙げて説明するが,かかる例に限定されず,他の通信装置101または他のタイムスロットの場合以外でも実施可能である。また,通信装置101にて管理されるタイムスロット管理表から生成することが可能な他の通信装置101のタイムスロットパラメータを近隣通信装置101に報知するようになっている。
図10に示すように,タイムスロット管理表は,タイムスロット0などタイムスロットの番号を示すタイムスロットナンバーと,当該タイムスロットに実行される通信処理の内容(Contents)と,その通信処理内容に対応するパラメータ値であるタイムスロットパラメータ値(Time Slot IE Value)と,自己の通信装置101を含め通信エリア102内に存在する通信装置101のタイムスロットごとの通信処理の状況を示す「通信処理状況」とから少なくとも構成されている。なお,「通信処理状況」は,自己の通信装置101を含め近隣通信装置101に記載されたタイムスロットパラメータ(Time Slot IE)の設定値を,自己の通信装置101が管理するタイムスロット管理表におけるタイムスロットに変換して記載したものを示している。
図10に示すタイムスロット管理表に記載された上記タイムスロットパラメータ値(Time Slot IE)が,自己の通信装置101のビーコン信号Bを送信する際に,ビーコン信号Bに記載されて近隣通信装置101に報知される。
ここで,図10に示すタイムスロットパラメータ値(Time Slot IE)について説明すると,まず,タイムスロット0のタイムスロットパラメータ値は,“7”である。したがって,タイムスロット0は,自己の通信装置101のビーコン信号Bを送信する期間であることが分かる。
なお,上記タイムスロット0における通信エリア102に存在する近隣通信装置101の「通信処理状況」は,いずれの通信装置101もNbとなっている。なお,Nbは,例えば,受信すべき近隣通信装置101からのビーコン信号NBがある旨を示している。
上記タイムスロット0に続く,タイムスロット1のタイムスロットパラメータ値は,“6”である。したがって,タイムスロット1は,自己の通信装置101がデータを送信するデータ送信処理の期間であることが分かる。
なお,上記タイムスロット1における上記近隣通信装置101の「通信処理状況」は,いずれの通信装置101もNrとなっている。なお,Nrは,例えば,自己の通信装置101以外の近隣通信装置101のなかでデータ送信処理等の通信処理を実行する通信装置101が存在する旨を示している。
図10に示すように,タイムスロット1以降,タイムスロット2,タイムスロット3,…,タイムスロット62,タイムスロット63のタイムスロットパラメータ値は,“0”である。したがって,上記説明したように,上記タイムスロット2,3,…,62,63は,通信処理101によって通信処理が何ら実行されない未使用の期間であることが分かる。
つぎに,タイムスロット64のタイムスロットパラメータ値は,“5”である。したがって,タイムスロット64は,近隣通信装置101(通信装置101b)のビーコン信号Bを送信する期間であることが分かる。
なお,上記タイムスロット64における近隣通信装置101の「通信処理状況」は,通信装置101bに“Tx”が設定され,通信装置101dに“Nb”が設定されている。即ち,通信装置101bがビーコン信号Bを送信し,通信装置101bからのビーコン信号Bがある旨の報告を通信装置101dが受けていることを示している。
さらに,タイムスロット64に続くタイムスロット65のタイムスロットパラメータ値は,“4”である。したがって,タイムスロット65は,近隣通信装置101(通信装置101b)がデータを必要に応じて送信するデータ送信処理の期間であることが分かる。
なお,上記タイムスロット65における近隣通信装置101の「通信処理状況」は,通信装置101bに“Tx”が設定され,通信装置101bのビーコン信号Bを送信するタイムスロットと自身(通信装置101a)のタイムスロット(通信装置101aではタイムスロットパラメータ値“4”)と同期が取れていない状態を示している。さらに,通信装置101dも通信装置101bのビーコン信号NBを受信できたために“Nr”が設定されている。
上記タイムスロット65以降のタイムスロット66,タイムスロット67…,タイムスロット126は,通信装置101による通信処理が未使用であることを示し,そのときのタイムスロットパラメータ値は,“0”として記載される。なお,タイムスロット66における通信装置101bの「通信処理状況」は,“Rx”であるが,ここでは通信装置101bがもし受信するデータ存在する場合,必要に応じてデータを受信するために予備的にデータ受信処理を行う期間として割当てられている。
そして,上記タイムスロット126に続くタイムスロット127のタイムスロットパラメータ値は,“5”である。したがって,タイムスロット127は,近隣通信装置101(通信装置101c)のビーコン信号Bを送信する期間であることが分かる。
タイムスロット127に続くタイムスロット128のタイムスロットパラメータ値は,“4”である。したがって,タイムスロット128は,近隣通信装置101(通信装置101c)がデータを必要に応じて送信するデータ送信処理の期間であることが分かる。なお,上記タイムスロット128における近隣通信装置101の「通信処理状況」は,通信装置101cに“Tx”が設定され,通信装置101cのビーコン信号Bを送信するタイムスロットと自身(通信装置101a)のタイムスロットと同期が取れていない状態を示している。
タイムスロット129以降,タイムスロット129,タイムスロット130,…,タイムスロット190,タイムススロット191は,通信装置101による通信処理が未使用であることを示し,そのときのタイムスロットパラメータ値は,“0”として記載される。なお,タイムスロット129における通信装置101cの「通信処理状況」は,“Rx”であるが,ここでは通信装置101cがもし受信するデータ存在する場合,必要に応じてデータを受信するために予備的にデータ受信処理を行う期間として割当てられている。
さらに,タイムスロット192のタイムスロットパラメータ値は,“5”である。したがって,タイムスロット192は,近隣通信装置101(通信装置101d)のビーコン信号Bを送信する期間であることが分かる。
それに続くタイムスロット193のタイムスロットパラメータ値は“4”であるため,タイムスロット65は,近隣通信装置101(通信装置101d)がデータを必要に応じて受信するデータ受信処理の予備的な期間である。したがって,「通信処理状況」におけるタイムスロット193の通信装置101dが“Rx”となっている。
タイムスロット194以降,タイムスロット194,タイムスロット195,…,タイムスロット254は,通信装置101による通信処理が未使用であることを示し,そのときのタイムスロットパラメータ値は,“0”として記載される。
なお,上記タイムスロット管理部809は,上記図7において説明したが,1つのタイムスロット内にビーコン信号Bの送信処理とデータ送信処理(AccessP)との期間が収まりきれないと判断した場合,例えば,図10に示す「通信処理状況」の通信装置101bのタイムスロット64,65や,通信装置101cのタイムスロット127,128等のように隣接するタイムスロットも通信処理を実行する期間として設定するが,1つのタイムスロット内にビーコン信号Bの送信処理とデータ送信処理(AccessP)との期間が収まる場合は,通信装置101dのタイムスロット192のように,隣接するタイムスロットの通信処理は設定されない。
以上から,図10に示すタイムスロット管理表を参照すれば,どのタイムスロット位置で,通信エリア102内に存在する近隣通信装置101がどのような通信処理を行っているのか,または何ら実行していないのか通信処理状況を逐次把握することができる。タイムスロット管理部809は,上記タイムスロット管理表を参照し,通信処理を実行するタイミングを見計らっている。
これにより,タイムスロット管理部809は,例えば,自己の通信装置101から近隣通信装置101に対してデータを送信することのできるタイミングを判断する構成になっている。
次に,図11を参照しながら,第1の実施の形態にかかる通信装置101の通信処理の動作について説明する。なお,図11は,第1の実施の形態にかかる通信装置の通信処理の概略的な動作の一例を示すフローチャートである。
まず,通信処理を実行するために,通信装置101に電源が供給されると,まず自己の通信装置101のクロック周期に基づいて,スーパーフレームの周期とビーコン信号NBをスキャンするビーコンスキャン周期が設定される(S101)。
次に,通信装置101のビーコン信号Bを送信する期間(タイムスロット)が到来した場合(ステップS102),予め格納されているビーコンパラメータ値を獲得し(ステップS103),ビーコン信号Bの送信処理を実行する(S104)。
ビーコンスキャンを実行するスーパーフレーム周期になった場合(S105),ビーコン信号NBを受信するビーコン受信処理を実行し(S106),ビーコン信号NBを受信した場合(S107),その通信装置101が管理するタイムスロット管理表に記載されたタイムスロットパラメータ値を獲得し(S108),そのタイミングで通信装置101によるビーコン信号Bの送信があったことを,自己のタイムスロット管理表の該当するタイムスロットのタイムスロットパラメータ値と「通信処理状況」の自己の通信装置101に設定する(S109)。
さらに,上記ビーコン信号NBの受信時刻を獲得し(S110),当該受信時刻に基づいてそのビーコン信号NBを送信した通信装置101のビーコン信号Bの送信処理時刻を求め,その送信処理時刻と自己の通信装置101のクロック周期と非同期であれば(S111),タイムスロット管理部809は,上記送信処理時刻に相当するタイムスロットに隣接する次のタイムスロットにも,その通信装置101によって通信処理が実行される期間として設定される(S112)。
そして,上記処理の終了後(S112)と,ビーコン信号Bの送信処理時刻が同期していた場合,ビーコン信号NBの受信がない場合でも,上記S102に戻り,自己のビーコン信号Bを送信する送信時刻であるか否かの判定,もしくはビーコン信号NBをスキャンするタイミング(スーパーフレーム周期)であれば,そのビーコン信号NBを受信するビーコン信号受信処理がくり返される。
ビーコン信号NBをスキャンするビーコンスキャンを実行するスーパーフレーム周期(又は,ビーコンスキャン周期)が終了し,自己の通信装置101がデータを受信するデータ受信処理の時刻(又は,タイムスロット)が到来した場合(S113),データの受信処理を実行し(ステップS114),そして自己の通信装置101宛のデータを受信した場合(S115),上記受信したデータをバッファ(又は,情報記憶部806)に格納し(S116),ビーコンスキャン周期を短い時間単位(受信検出以降スーパーフレーム周期にわたるビーコン受信を設定)に変更する(S117)。上記ビーコンスキャンを実行する周期を変更するのは,データ送受信処理が頻繁に行われると,その処理の期間内に他の近隣通信装置101によって通信処理が重複して実行される可能性があるため,頻度を上げて新規のビーコン信号NBの有無をスキャンする必要がある。
また,自己の通信装置101宛のデータを何ら受信しない場合,上記S113に戻り,通信装置101のデータ受信処理を実行する時刻(又は,タイムスロット)が終了するまで受信を継続する。
さらに,上位であるアプリケーション機器と接続するインターフェース816に出力可能であれば(S118),そのアプリケーション機器に対してデータバッファ815に格納されたデータを,インターフェース816を介して出力し(S119),そのデータが格納されていたデータバッファを開放する(S120)。
上記処理の終了後(S120),自己ビーコンの送信時刻の判定,もしくはビーコンスキャン動作の判定,あるいは,自己の受信時刻にあれば,それらの処理がくり返し行なわれる。
インターフェース816と接続するアプリケーション機器から送信するデータを受理した場合(S121),そのデータをバッファ815に格納し(S122),ビーコンスキャンの周期を短い時間単位(受信検出以降スーパーフレーム周期にわたるビーコン受信を設定)に変更する(S123)。
さらに,データの送信先の通信装置101のタイムスロットパラメータ値(Time Slot IE)が事項の通信装置101のタイムスロット管理表に格納済みであれば(S124),該当通信装置101宛の送信時刻の設定を行なう(S125)。
ここで,上期初嬰の終了後と,インターフェース816に送信データが到来していない場合,データの届け先の通信装置101のタイムスロットパラメータ値が格納されていない場合には,自己通信装置101からの送信可能時刻が到来したかを判断する(S126)。
そして無線伝送路上に他の通信が行なわれていないことを確認し該当通信装置あてに送信が可能であれば(S127),データ送信を行なう(S128)。
さらに,その通信に対する受領確認(ACK)情報を受信した場合には(S129),ビーコンスキャン周期を長い時間単位の周期に変更し(S130),そのデータが格納されていたデータバッファ815を開放する(S120)。
上記処理の終了後,まだ自己の通信装置101からの送信可能時刻(又は,タイムスロット)が到来していない場合と,まだ受領確認(ACK)情報を受信していない場合には,上記一連の動作(S102〜)がくり返し行なわれる。
次に,図12を参照しながら,第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークのネットワークグループにおける通信装置101の通信処理について説明する。なお,以降に記載する第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークの説明では,第1の実施の形態にかかるアドホックネットワークとの相違点ついて特に詳細に説明し,実質的に同様な構成等については説明を省略する。図12は,第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークのネットワークグループのビーコン信号周期の一例を示す説明図である。
図12に示すように,ネットワークグループでグループ化された通信装置101同士が,共通のクロック情報によって設定された共通のスーパーフレーム構造を共有し,そのスーパーフレーム周期の先頭部(タイムスロット0とタイムスロット1)を,ビーコン信号Bを送信する送信処理の期間であるタイムスロットとして定義して,この中の各通信装置101に割り振られたビーコン信号Bを送信するタイミングで所定のビーコン信号を送受信する構成である。なお,第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークでは,例えば,Multi Band OFDM Alliance(MBOA)にて定義されたアドホックネットワークに従って実施されるが,かかる例に限定されない。また,上記先頭部は,例えば,ビーコン信号を送受信するためのビーコン管理領域などと定義することも可能である。
なお,図12で示すビーコン信号B1,ビーコン信号B2,ビーコン信号B4,ビーコン信号B5は,1つのネットワークグループを形成する通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,および通信装置101eが送信するビーコン信号である。さらに,上記通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,および通信装置101eは,図1に示す第1のネットワークグループであるが,かかる例に限定されない。
ここでは,1つのタイムスロットあたり3つのビーコン信号Bを送信する送信位置が定義され,通信装置101a,通信装置101b,通信装置101e,通信装置101dの順番にそれぞれビーコン信号B(B1,B2,B5,B4)を送信する構成になっている。
第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークシステムのように,ネットワークグループを構成する複数台の通信装置101は,各ネットワークグループ間の通信装置101とは同期をとり,自己の通信装置101がデータ送信処理等を実行する期間を調整する必要があるものの,ネットワークグループ内に存在する複数の通信装置101では同じスーパーフレーム周期とタイムスロットを定義できるため,タイムスロットで効率的に通信処理を管理することができる。
図12に示すように,同じネットワークグループ(第1のネットワークグループ)を形成する通信装置101a,通信装置101b,通信装置101e,および通信装置101dでは,ビーコン信号を送信する期間としてタイムスロット0とタイムスロット1を共有する。また,例えば,タイムスロット1に続くタイムスロット2を,競合アクセス期間(CAP:Contention Access Period)として共有することができる。上記競合アクセス期間は,上記説明の「AccessP」と類似し,複数の通信装置101が,ある程度各通信装置101で同期をとりながら,各通信装置101が必要に応じてデータを受信する受信処理の期間として定義される。あるいは,ネットワークグループに新たな通信装置が加入する領域として確保しておくことも可能である。
次に,図13を参照しながら,各ネットワークグループにおけるビーコン信号のスーパーフレーム周期について説明する。図13は,第2の実施の形態にかかるネットワークグループにおけるスーパーフレームの概略的な構成の一例を示す説明図である。
図13に示すように,第1のネットワークグループ(通信装置101a,101b,101e,101d)は,ビーコン信号Bを送信するビーコン送信処理の実行する期間として設定されたタイムスロットの位置に応じてスーパーフレームの周期が定まり,第2のネットワークグループ(通信装置101c,101f,101g)も,そのビーコン送信処理の実行する期間として設定されたタイムスロットの位置に応じ各通信装置101共通のスーパーフレーム周期が定まる。
なお,第2の実施の形態では,例えば,図1に示すように,通信装置101aと通信装置101cが隣接して存在する場合に,それぞれの通信装置101において,第1のネットワークグループ又は第2のネットワークグループ等のネットワークグループの存在を,所定のビーコンスキャン周期にビーコン信号のスキャン処理(受信動作)を実行することで,相手のネットワークグループにおけるビーコン信号NBを受信して,ネットワークグループの存在を把握することができる構成になっている。
次に,図14を参照しながら,第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークの他のネットワークグループにおける通信装置101の通信処理について説明する。図14は,第2の実施の形態にかかるアドホックネットワークの他のネットワークグループにおける通信装置101の通信処理の概略的な構成を示す説明図である。なお,図14では,図12に示したネットワークグループと異なるネットワークグループ(例えば,図1に示す第2のネットワークグループなど)のビーコン信号Bの周期を示している。
第2の実施の形態にかかる第2のネットワークグループ等のように異なるネットワークグループのビーコン信号の周期は,自己のネットワークグループに同期せずに存在する可能性が極めて高い。
したがって,図14においても,1つのタイムスロットあたり3つのビーコン信号Bを送信する送信位置が定義され,通信装置101c,通信装置101f,通信装置101gがそれぞれビーコン信号(B3,B6,B7)を送信する構成になっている。通信装置101aの含まれるネットワークグループでは,他のネットワークグループのビーコン信号Bを送信する送信処理の期間を示すタイミングが,タイムスロット218の途中に存在することを把握する。
上記の場合,第2の実施の形態にかかる非同期で他の通信装置101とのネットワークを管理する手法を用い,通信装置101aの含まれるネットワークグループでは,タイムスロット218〜219を近隣通信装置101がビーコン信号Bを送信する期間として設定されたタイムスロットが管理され,タイムスロット220〜221を近隣予約スロットとして管理される。
上記によって,同期の取れていないネットワークグループ同士であっても,同一空間上で共存することができる。
次に,図15を参照しながら,第2の実施の形態にかかるタイムスロット管理表について説明する。なお,図15は,第2の実施の形態にかかるタイムスロット管理表の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図15に示すタイムスロット管理表の「通信処理状況」には,例えば,第1のネットワークグループに属する通信装置101(通信装置101a,通信装置101b,通信装置101d,通信装置101e)が含まれている。
また,上記説明したように,例えば,通信装置101aが管理するタイムスロット管理表に設定されるタイムスロットパラメータ値は,複数のネットワークグループに構成される通信装置101に報知される構成になっている。上記タイムスロットパラメータ(Time Slot IE)の値が,自己の通信装置101のビーコン信号Bに記載されて報知される。
なお,図15に示すタイムスロットパラメータについては,図9等で説明した第1の実施の形態にかかるタイムスロットパラメータと実質的に同様である。なお,図15に示すタイムスロット管理表の「通信処理状況」の通信装置101は,図12または図14に示すビーコン信号B1〜ビーコン信号B7を送信する処理を実行する通信装置101と対応し,図15に示すタイムスロット管理表は,例えば,通信装置101aについての管理表の場合について説明する。
図15に示すように,タイムスロット0は,自己の通信装置101(通信装置101a)がビーコン信号Bを送信する期間であるので,タイムスロットパラメータ値は,“7”となる。なお,「通信処理状況」に示すように,通信装置101b,通信装置101e(図示せず。)も自己のビーコン信号Bを送信する期間であることが分かる。
タイムスロット0に続く,タイムスロット1は,自己の通信装置101aが他の通信装置101からのビーコン信号NBを受信する期間であるため,タイムスロットパラメータは,“3”となる。なお,「通信処理状況」に示すようにタイムスロット1の通信装置101dはビーコン信号B4を送信する期間であるため,タイムスロット1には“Tx”が設定されている。
タイムスロット2では,通信装置101aはデータを送信する可能性があることを示す期間であり,タイムスロットパラメータ値は,“6”となる。以降,タイムスロット3,…,217は,通信に未使用であることを示し,タイムスロットパラメータ値は,“0”未使用スロットとして記載される。
また,タイムスロット218は,第2のネットワークグループにある通信装置101cによるビーコン信号B3の送信期間であるので,タイムスロットパラメータ値は,“5”近隣ビーコン送信スロットとして記載される。
タイムスロット218に続くタイムスロット219は,第2のネットワークグループに構成される通信装置101のビーコン信号Bを送信する期間であるため,タイムスロットパラメータ値は,“5”近隣ビーコン送信スロットとして記載される。
タイムスロット220は,第2のネットワークグループに構成される通信装置101がデータを送信する可能性があるため,タイムスロットパラメータ値は“4”近隣予約スロットとして記載される。
以降,タイムスロット221,…,タイムスロット254は,通信処理に何ら使用されない期間であることを示し,タイムスロットパラメータ値は“0”未使用スロットとして記載される。
以上から,本実施の形態にかかるアドホックネットワークを形成する各通信装置101において,少なくともビーコン信号Bを送信するタイミングが重複しなければ,他の通信装置101との間で同期処理を必要としないため,通信装置101相互間で,完全に自律分散的な通信を実行することができる。
各通信装置101が非同期に通信処理を実行することによって,通信装置101間の距離が離散的な関係になっても遅延を考慮せずに動作することができる。
各通信装置101で他の通信装置101と同期をあわせる必要がないため,各通信装置101の間で,複雑な同期処理をくり返さないため,低消費電力動作が可能となる。
通信エリア102内に同期の取れていない通信装置101が存在しても,同期を取る必要がないため,これらの通信装置101の管理を簡素化することができる。
さらに,非同期で動作する各通信装置101との間で同期をとるためのコマンド情報などの情報交換を行う必要がなくなるため,無駄なトラフィックを削減できる。
各通信装置101が所定の周期でビーコン信号Bのスキャン動作を実行することで,その時に自己の通信装置101の近隣に存在する通信装置101の存在を把握するとともに,周囲の通信装置101の存在をその通信装置101のビーコン信号Bを送信する期間としてタイムスロット単位で管理することによって,複雑な通信装置101の管理が不要となる。
また,所定のタイムスロットの前後をその通信装置101のビーコン送信位置として登録することにより,その通信装置101のビーコン信号Bを送信するタイミングを把握することができる。
クロック周期が微妙に異なった通信装置101が存在しても,ビーコン信号Bのスキャン動作により常に最新のビーコン送信位置が変化したこととして管理することで,その存在を常に把握することができる。
自己の通信装置101と同期が取れている通信装置101のビーコン信号Bの送信期間はそのタイムスロットのまま管理をして,同期がとれていない通信装置101のビーコン信号Bを送信するタイミングについては,さらに次のタイムスロットまでを管理することで無駄なスロットの管理を省くことができる。
ビーコン信号Bのスキャン周期を可変にすることによって,非同期で存在する通信エリア102内に存在する通信装置101を短時間に把握することができる。
例えば,自己の通信装置101宛のデータを受信した場合や,自己の通信装置101から送信するデータを受信した場合において,ビーコン信号Bのスキャン周期を開始することで,短時間に通信エリア102内に存在する通信装置101の存在を把握することができる。
さらに,データ送信終了時などにスキャン周期を元に戻すことで,無用なビーコンスキャンの設定を冗長に行なえるので,システム全体での低消費電力動作が可能になる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例を想定し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態においては,通信装置101が無線通信可能な装置の場合を例にあげて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。例えば,通信装置101は有線通信可能な装置の場合でも実施することができる。
上記実施形態においては,通信装置101がスキャンを実行する周期の設定については,通信装置101の稼動状況に応じて可変である場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,例えば予め固定の場合でも実施することができる。