JP2006120613A - 電池容器用めっき鋼板、その電池容器用めっき鋼板を用いた電池容器およびその電池容器を用いた電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絞り加工や絞りしごき加工を施して電池容器に成形加工する際に微小クラックが発生し、アルカリ電池の正極合剤との密着性を高めて、優れた電池特性を有する電池とすることが可能な電池容器用めっき鋼板、その電池容器用めっき鋼板を用いた電池容器およびその電池容器を用いた電池を提供する。
【解決手段】 鋼板の電池容器内面となる側にニッケルめっきを施し、次いでその上にニッケル−ボロン合金めっきを施し、さらにその上に銀めっきを施した後に拡散熱処理し、鋼板上に鉄−ニッケル合金層、その上にニッケル層または/および鉄−ニッケル−ボロン合金層または/およびニッケル−ボロン合金層を形成させ、さらにその上に銀層を形成させて電池容器用めっき鋼板とし、それを電池容器に成形加工して電池に適用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 鋼板の電池容器内面となる側にニッケルめっきを施し、次いでその上にニッケル−ボロン合金めっきを施し、さらにその上に銀めっきを施した後に拡散熱処理し、鋼板上に鉄−ニッケル合金層、その上にニッケル層または/および鉄−ニッケル−ボロン合金層または/およびニッケル−ボロン合金層を形成させ、さらにその上に銀層を形成させて電池容器用めっき鋼板とし、それを電池容器に成形加工して電池に適用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電池容器用めっき鋼板、その電池容器用めっき鋼板を用いた電池容器およびその電池容器を用いた電池に関する。
近年、オーディオ機器やモパイル電話など、多方面において携帯用機器が用いられ、その作動電源として一次電池であるアルカリ電池、二次電池であるニッケル水素電池、リチウムイオン電池などが多用されている。これらの電池においては、高出力化および長寿命化など、高性能化が常時求められており、正極および負極活物質を充填する電池容器も電池の重要な構成要素としての性能の向上が求められている。例えば、長寿命化を目的として電解液に用いられるアルカリ溶液に対する耐食性を向上させるために、電池ケースの内面となる側にニッケルーリン合金層が形成されている電池ケース用表面処理鋼板(例えば特許文献1参照)が提案されている。
また、プレス絞りしごき加工してなる缶を用いた電池において、電池の内部抵抗を減少させるために、缶内面となる側にニッケルメッキ層を形成させたその上に銀メッキ層を形成させた冷間圧延鋼板材を、プレス絞りしごき加工して細かいひび割れを生じさせて凹凸面を構成し、正極合剤や導電性被膜との接触面積を大きくして電池の内部抵抗を減少させる、または、ニッケルメッキ層を形成させたその上に銀メッキ層を形成させた後、加熱処理してニツケル−銀メッキ層を形成させてメッキの結晶を緻密化して硬度を高め、ひび割れの間隔を一層密にすることにより、正極合剤や導電性被膜との接触面積をさらに大きくして電池の内部抵抗を減少させる電池缶(例えば特許文献2参照)が提案されている。
しかし、特許文献1による方法は、硬質な脆いニッケル−リン合金層のためプレス成形によってより電池缶の内表面に生成するクラックにより正極合剤との密着性が向上し電池性能が向上する。しかしながら、過度にクラックが生じた場合は鋼素地が露出して電気伝導性を阻害し内部抵抗があがり放電性能が劣化する恐れがある。また特許文献2では同様に過度にクラックが生じた場合は鋼素地が露出して電池性能を損なうおそれがある。また缶内面にクラックを生じせしめるためにはミクロン単位の銀めっきを施す必要があり、高価な銀であるため経済的に不利となる。また、特許文献1、特許文献2は共に鋼素地の露出した場合アルカリ電解液と電気化学的に反応して水素ガスが発生し、電池缶内部の圧力が上昇して長期保存中に電解液が漏洩するおそれがある。
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
国際公開公報WO99/03161号公報
特開2001−325924号公報
本発明においては、絞り加工や絞りしごき加工を施して電池容器に成形加工する際に電池容器内面側のめっき層に鋼素地に達することのない微小クラックが発生し、アルカリ電池の正極合剤との密着性が向上して、長期保存後に優れた電池性能を十分に発揮することが可能であり、かつ電池容器内部のガス発生が抑制されて電解液の耐漏液性に優れた電池とすることが可能な電池容器用めっき鋼板、その電池容器用めっき鋼板を用いた電池容器およびその電池容器を用いた電池を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するため、本発明の電池容器用めっき鋼板は、鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項1)、または
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項2)、または
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項3)、または
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケルーボロン合金層、ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項4)である。
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項2)、または
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項3)、または
鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケルーボロン合金層、ニッケルーボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板(請求項4)である。
また本発明の電池容器は、上記(請求項1〜4)のいずれかの電池容器用めっき鋼板を有底の筒型形状に成形加工してなる電池容器(請求項5)である。
そして本発明の電池は、上記(請求項5)の電池容器を用いてなる電池(請求項6)である。
そして本発明の電池は、上記(請求項5)の電池容器を用いてなる電池(請求項6)である。
本発明の電池容器用めっき鋼板は、鋼板の電池容器内面となる側にニッケルめっきを施し、次いでその上にニッケルーボロン合金めっきを施し、さらにその上に銀めっきを施した後に拡散熱処理することにより、鋼板上に鉄−ニッケル合金層、その上にニッケル層または/およびアルカリ溶液に対する耐食性に優れた鉄−ニッケル−ボロン合金層または/およびニッケル−ボロン合金層を形成させ、さらにその上に導電性に優れた銀層を形成させたものであり、電池容器に成形加工した際に、電池容器内面側の表面硬質なボロン含有合金層に鋼板表面まで達することがない微小クラックが生成してアルカリ電池の正極合剤との密着性を高めるとともに、ニッケル−ボロン合金層上に銀層を形成することよる導電性の向上と相まって、保存後のハイレート放電特性に優れた電池容器用材料として好適に適用することができる。また同時に銀層の表面の銀酸化物により、アルカリ電解液中で電気化学的反応によって電池容器内に発生するガスを低減することでき、電池容器の内圧が高まることがないので、電池の耐漏液性を高めることができる。
以下、本発明の内容を説明する。本発明の電池容器用めっき鋼板の基板となる鋼板としては、汎用の低炭素アルミキルド鋼(炭素量0.01〜0.15重量%)、またはニオブやチタンを添加した非時効性の極低炭素アルミキルド鋼(炭素量0.01重量%未満)を用いる。これらの鋼の熱間圧延板を酸洗して表面のスケールを除去した後、冷間圧延し次いで電解洗浄、焼鈍、調質圧延したものを基板として用いる。
基板である鋼板の両面に、まずニッケルめっきを施す。ニッケルめっきとしては無光沢めっき、または無光沢めっき浴に有機光沢剤を含有させた浴を用いてめっきした半光沢めっきであることが好ましい。硫黄成分を含有する有機光沢剤を含有させた浴を用いる光沢めっきは、めっき後に加熱すると硫黄成分により皮膜が脆化し、耐食性が低下するので好ましくない。めっき量としては電池容器外面となる側については2〜30g/m2 であることが好ましい。ニッケルめっき厚が2g/m2 未満では電池缶外面における耐食性が充分でなく、また30g/m2 を超えるとでは耐食性の向上効果は飽和に達し、不経済になる。
電池容器内面となる側については2〜25g/m2 であることが好ましい。2g/m2 未満では電池容器に成形加工した際に鋼素地の鉄露出度が大きくなり、電池性能の劣化をもたらす。一方、25g/m2 を超えると電池性能の向上効果が飽和に達し不経済になる。
電池容器内面となる側については2〜25g/m2 であることが好ましい。2g/m2 未満では電池容器に成形加工した際に鋼素地の鉄露出度が大きくなり、電池性能の劣化をもたらす。一方、25g/m2 を超えると電池性能の向上効果が飽和に達し不経済になる。
次いで、電池容器の内面となる片面にのみニッケル−ボロン合金めっきを施す。ニッケル−ボロン合金めっきは無電解めっき法と電解めっき法があるが、本発明においては浴管理やめっき量の調整が容易な電解めっき法を用いることが好ましい。めっき量としては、ニッケルとして0.5〜5g/m2 であることが好ましく、1〜3g/m2 であることがより好ましい。0.5g/m2 未満では電池缶内面に形成される微小クラックの深さが小さくなり、正極合剤との密着性の向上効果に乏しくなる。一方5g/m2 を超えると微小クラックの深さが大きくなり、下地のニッケルめっき層を貫通して鋼素地に達する深さのクラックが生じるようになり、電池性能が劣化してしまう。また、蛍光X線法を用いて測定されるニッケル−ボロン合金めっきのボロン含有率(B量×100/(Ni量+B量))は、1〜5%であることが好ましい。ボロン含有率はめっき浴中のボロンイオンの濃度、めっき浴のpH、電流密度、浴温を適宜選択することにより調整することができる。
次いで上記のようにして形成したニッケル−ボロン合金めっきの上に銀めっきを施す。銀めっきはシアン浴、非シアン浴の何れも用いることが出来るが、毒性の観点から非シアン浴の銀めっき液を用いることが好ましい。めっき量としては、フラッシュめっき程度の量で電気伝導性の優れた向上効果をもたらすことが可能であり、0.05〜1.0g/m2 であることが好ましい。0.05g/m2 未満では十分な電気伝導性の向上効果が得られず、1.0g/m2 を超えると電気伝導性の向上効果がに達し不経済になる。
その後、箱型焼鈍法または連続焼鈍法を用いて拡散熱処理を施す。拡散熱処理は、ニッケル−ボロン合金めっき中に Ni3Bの組成を有する相が析出して硬化し、併せてニッケル−ボロン合金めっきの下層のニッケルめっき層が再結晶軟質化するか、またはニッケルめっきの一部または全部が鉄−ニッケル拡散層となる条件で実施する。すなわち保護雰囲気中で450〜650℃、好ましくは500〜600℃に加熱する。450℃未満で加熱してもニッケルめっきは再結晶しないので軟化せず、また鉄−ニッケル拡散層も生成しない。一方650℃を超える温度で加熱すると鉄−ニッケル拡散層は十分に形成するものの、ニッケル−ボロン合金めっきが軟質化してしまう。箱型焼鈍法を用いて拡散熱処理を施す場合は450〜550℃の均熱温度で1〜6時間均熱することが好ましく、連続焼鈍法を用いて拡散熱処理を施す場合は550〜650℃で10秒〜5分間加熱することが好ましい。
ニッケルめっきの一部または全部が鉄−ニッケル合金層に変換する量は、ニッケルめっき量および熱処理条件により適宜調整することができる。また、ニッケル−ボロン合金めっきの一部または全部が鉄−ニッケル−ボロン合金層に変換する量は、ニッケル−ボロン合金めっき量および熱処理条件により適宜調整することができる。
これらの拡散熱処理において、450〜650℃では最上層の銀はその下層のニッケルとは互いに固溶する溶解度を有していないのでニッケルと合金化することがなく、銀は薄層の銀層または銀酸化物層として最表面に存在するので、熱処理後も優れた電気伝導性と低接触抵抗を保持することができる。
また、ニッケルめっきを施し、次いでニッケル−ボロン合金めっきを施した後に拡散熱処理を施した後、その上に銀めっきを施して銀層を形成させてもよい。
このようにして、鋼板の電池容器の外面となる片面に鉄−ニッケル合金層、または鉄−ニッケル合金層上にニッケル層が形成されてなり、電池容器の内面となる他の片面に下記のA)〜D)のいずれかの層、すなわち鋼板側から順に
A)鉄−ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケル−ボロン合金層、銀層、
B)鉄−ニッケル合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層、
C)鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、銀層、
D)鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層のいずれかの層が形成されてなるめっき鋼板が得られる。このめっき鋼板を調質圧延し、本発明の電池容器用めっき鋼板とする。なお、鋼板の電池容器の外面となる片面に、鉄−ニッケル合金層、または鉄−ニッケル合金層上にニッケル層を形成させることに替えて、電池容器の内面となる他の片面に施す上記と同様のA)〜D)のいずれかのめっき層を形成させてもよい。
A)鉄−ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケル−ボロン合金層、銀層、
B)鉄−ニッケル合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層、
C)鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、銀層、
D)鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層のいずれかの層が形成されてなるめっき鋼板が得られる。このめっき鋼板を調質圧延し、本発明の電池容器用めっき鋼板とする。なお、鋼板の電池容器の外面となる片面に、鉄−ニッケル合金層、または鉄−ニッケル合金層上にニッケル層を形成させることに替えて、電池容器の内面となる他の片面に施す上記と同様のA)〜D)のいずれかのめっき層を形成させてもよい。
このようにしていずれかの拡散熱処理を行った後、ストレッチヤーストレインの発生を防止するため、1.0〜1.5%の圧延率で調質圧延する。このようにして本発明の電池容器用めっき鋼板を得ることができる。
本発明の電池容器は、上記の電池容器用めっき鋼板を、絞り加工法、絞りしごき加工法(DI加工法)、絞りストレッチ加工法(DTR加工法)、または絞り加工後ストレッチ加工としごき加工を併用する加工法を用いて、有底の筒型形状に成形加工して得られる。筒型形状としては、底面が円、楕円、または長方形や正方形などの多角形の形状であり、用途に応じて側壁の高さを適宜選択した筒型形状に成形加工する。このようにして得られる電池容器に正極合剤、負極活物質等を充填して電池とする。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
[電池容器用めっき鋼板の作成]
基板として、表1に化学組成を示す低炭素アルミキルド鋼(I)または極低炭素アルミキルド鋼(II)の0.25mmの板厚を有する冷間圧延板を用い、以下に示す1)または2)の工程を経て電池容器用めっき鋼板を作成した。
1)冷間圧延→電解洗浄→焼鈍(箱型焼鈍または連続焼鈍)→(調質圧延)→ニッケル めっき→ニッケル−ボロン合金めっき→銀めっき→拡散熱処理(箱型焼鈍または連 続焼鈍)→調質圧延
2)冷間圧延→電解洗浄→焼鈍(箱型焼鈍または連続焼鈍)→(調質圧延)→ニッケル めっき→ニッケル−ボロン合金めっき→拡散熱処理(箱型焼鈍または連続焼鈍)→ 調質圧延→銀めっき
焼鈍は低炭素アルミキルド鋼(I)の場合は箱型焼鈍により640〜680℃で8時間均熱し、極低炭素アルミキルド鋼(II)の場合は連続焼鈍により780℃で1分間加熱して実施した。
[電池容器用めっき鋼板の作成]
基板として、表1に化学組成を示す低炭素アルミキルド鋼(I)または極低炭素アルミキルド鋼(II)の0.25mmの板厚を有する冷間圧延板を用い、以下に示す1)または2)の工程を経て電池容器用めっき鋼板を作成した。
1)冷間圧延→電解洗浄→焼鈍(箱型焼鈍または連続焼鈍)→(調質圧延)→ニッケル めっき→ニッケル−ボロン合金めっき→銀めっき→拡散熱処理(箱型焼鈍または連 続焼鈍)→調質圧延
2)冷間圧延→電解洗浄→焼鈍(箱型焼鈍または連続焼鈍)→(調質圧延)→ニッケル めっき→ニッケル−ボロン合金めっき→拡散熱処理(箱型焼鈍または連続焼鈍)→ 調質圧延→銀めっき
焼鈍は低炭素アルミキルド鋼(I)の場合は箱型焼鈍により640〜680℃で8時間均熱し、極低炭素アルミキルド鋼(II)の場合は連続焼鈍により780℃で1分間加熱して実施した。
上記の1)または2)の工程におけるニッケルめっき、ニッケルーボロン合金めっき、銀めっきは以下に示す条件で行った。
<ニッケルめっき>
浴組成 硫酸ニッケル 300g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 45g/L
ピット抑制剤(ラウリル硫酸ナトリウム) 0.4mL/L
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
攪拌 空気撹拝
pH 4〜4.6
浴温 55〜60℃
電流密度 20A/dm2
<ニッケルめっき>
浴組成 硫酸ニッケル 300g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 45g/L
ピット抑制剤(ラウリル硫酸ナトリウム) 0.4mL/L
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
攪拌 空気撹拝
pH 4〜4.6
浴温 55〜60℃
電流密度 20A/dm2
<ニッケル−ボロン合金めっき>
浴組成 硫酸ニッケル 240g/L
塩化ニッケル 40g/L
ホウ酸 30g/L
トリメチルアミンボラン 6g/L
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
撹拌 空気攪拌
浴温 50〜55℃
電流密度 1〜5A/dm2
浴組成 硫酸ニッケル 240g/L
塩化ニッケル 40g/L
ホウ酸 30g/L
トリメチルアミンボラン 6g/L
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
撹拌 空気攪拌
浴温 50〜55℃
電流密度 1〜5A/dm2
<銀めっき>
浴組成 銀含有有機酸塩(ダインシルバーNEC(大和化成研究所(株)製))
240g/L
有機酸(錯塩)(ダインシルバーAGI(大和化成研究所(株)製)) 500g/L
有機添加剤(平滑剤)(ダインシルバーAGH(大和化成研究所(株)製))
25g/L
陽極 銀板
攪拌 めっき浴の循環
浴温 35〜40℃
電流密度 1A/dm2
浴組成 銀含有有機酸塩(ダインシルバーNEC(大和化成研究所(株)製))
240g/L
有機酸(錯塩)(ダインシルバーAGI(大和化成研究所(株)製)) 500g/L
有機添加剤(平滑剤)(ダインシルバーAGH(大和化成研究所(株)製))
25g/L
陽極 銀板
攪拌 めっき浴の循環
浴温 35〜40℃
電流密度 1A/dm2
以上のようにして、表2に示す電池容器用めっき鋼板の試料(試料番号1〜6)を作成した。また、比較用にニッケルめっきのみを施した試料(試料番号7)、ニッケルめっき上に直接銀めっきを施した試料(試料番号8)、およびニッケルめっき上にニッケル−ボロン合金めっきに替えてニッケル−リン合金めっきを施した試料(試料番号9)も作成した。ニッケル−リン合金めっきは、下記の条件を用いて試料を作成した。
<ニッケル−リン合金めっき>
浴組成 硫酸ニッケル 240g/L
塩化ニッケル 40g/L
亜リン酸 15g/L
ホウ酸 30g/L
pH 1.2
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
撹拌 空気攪拌
浴温 55〜60℃
電流密度 5A/dm2
浴組成 硫酸ニッケル 240g/L
塩化ニッケル 40g/L
亜リン酸 15g/L
ホウ酸 30g/L
pH 1.2
陽極 ニッケルペレット(チタンバスケットに充填)
撹拌 空気攪拌
浴温 55〜60℃
電流密度 5A/dm2
[電池容器の作成]
これらの試料番号1〜9の試料から57mm径でブランクを打ち抜いた後、鉄−ニッケル合金層とニッケル層のみを設けた側が容器外面となるようにして、10段の絞り加工により、外径13.8mm、高さ49.3mmの円筒形のLR6型電池(単3型電池)容器に成形加工した。
これらの試料番号1〜9の試料から57mm径でブランクを打ち抜いた後、鉄−ニッケル合金層とニッケル層のみを設けた側が容器外面となるようにして、10段の絞り加工により、外径13.8mm、高さ49.3mmの円筒形のLR6型電池(単3型電池)容器に成形加工した。
[電池の作成]
この電池容器を用いて、以下のようにしてアルカリマンガン電池を作成した。二酸化マンガンと黒鉛を10:1の比率で採取し、水酸化カリウム(10モル)を添加混合して正極合剤を作成した。次いでこの正極合剤を金型中で加圧して所定寸法のドーナツ形状の正極合剤ペレットに成形し、上記の電池容器に圧挿入した。なお、一部の電池容器は、内面に黒鉛粉末を主成分とする塗料を塗布したものを用いた。次に、負極集電棒をスポット溶接した負極板を電池容器に装着した。次いで、電池容器に圧挿入した正極合剤ペレットの内周に沿うようにしてビニロン製不織布からなるセパレータを挿入し、亜鉛粒と酸化亜鉛を飽和させた水酸化カリウムからなる負極ゲルを電池容器内に充填した。さらに、負極板に絶縁体のガスケットを装着して電池容器内に挿入した後、カシメ加工してアルカリマンガン電池を作成した。
この電池容器を用いて、以下のようにしてアルカリマンガン電池を作成した。二酸化マンガンと黒鉛を10:1の比率で採取し、水酸化カリウム(10モル)を添加混合して正極合剤を作成した。次いでこの正極合剤を金型中で加圧して所定寸法のドーナツ形状の正極合剤ペレットに成形し、上記の電池容器に圧挿入した。なお、一部の電池容器は、内面に黒鉛粉末を主成分とする塗料を塗布したものを用いた。次に、負極集電棒をスポット溶接した負極板を電池容器に装着した。次いで、電池容器に圧挿入した正極合剤ペレットの内周に沿うようにしてビニロン製不織布からなるセパレータを挿入し、亜鉛粒と酸化亜鉛を飽和させた水酸化カリウムからなる負極ゲルを電池容器内に充填した。さらに、負極板に絶縁体のガスケットを装着して電池容器内に挿入した後、カシメ加工してアルカリマンガン電池を作成した。
[特性評価]
以上のようにして試料番号1〜9の試料から作成した電池容器を用いて作成した電池の特性を、以下のようにして評価した。
以上のようにして試料番号1〜9の試料から作成した電池容器を用いて作成した電池の特性を、以下のようにして評価した。
<短絡電流>
電池を80℃で3日間放置した後、電池に電流計を接続して閉回路を設けて電流値を測定し、これを短絡電流とした。短絡電流が大であるほど特性が良好であることを示す。
電池を80℃で3日間放置した後、電池に電流計を接続して閉回路を設けて電流値を測定し、これを短絡電流とした。短絡電流が大であるほど特性が良好であることを示す。
<放電特性>
電池を80℃で3日間放置した後、電池を1.5Aの一定電流に放電し、電圧が0.9Vに到達するまでの時間を放電時間として測定した。放電時間が長いほど放電特性が良好であることを示す。
電池を80℃で3日間放置した後、電池を1.5Aの一定電流に放電し、電圧が0.9Vに到達するまでの時間を放電時間として測定した。放電時間が長いほど放電特性が良好であることを示す。
<間歇放電特性>
間歇放電の評価として、2Aで0.5秒放電した後に0.25Aで29.5秒放電する操作を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し、電圧が1.0Vに到達するまでのサイクル数を測定した。サイクル数が多いはど間歌放電特性が良好であることを示す。
間歇放電の評価として、2Aで0.5秒放電した後に0.25Aで29.5秒放電する操作を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し、電圧が1.0Vに到達するまでのサイクル数を測定した。サイクル数が多いはど間歌放電特性が良好であることを示す。
<ガス発生量>
電池を一部放電(3.9Ω、1.5時間)し、次いで70℃で2週間放置した後、電池を水中に浸漬したまま開封し、電池内部に発生して滞留していたガスを目盛り付きビュレットに捕集し、ガス発生量を測定した。
これらの評価結果を表3に示す。
電池を一部放電(3.9Ω、1.5時間)し、次いで70℃で2週間放置した後、電池を水中に浸漬したまま開封し、電池内部に発生して滞留していたガスを目盛り付きビュレットに捕集し、ガス発生量を測定した。
これらの評価結果を表3に示す。
表3に示すように、本発明の電池容器用めっき鋼板は、ニッケルめっきのみを施した電池容器用めっき鋼板、ニッケルめっき上に直接銀めっきを施した電池容器用めっき鋼板、およびニッケルめっき上にニッケル−ボロン合金めっきに替えてニッケル−リン合金めっきを施した電池容器用めっき鋼板に比べて短絡電流、放電特性、間歌放電特性のいずれにも優れている。また本発明の電池容器用めっき鋼板を用いた電池容器内面に黒鉛塗料を塗布した場合は、さらに短絡電流、放電特性、間歌放電特性が向上した。
鋼板上に鉄−ニッケル合金層、その上にニッケル層または/およびアルカリ溶液に対する耐食性に優れた鉄−ニッケル−ボロン合金層または/およびニッケル−ボロン合金層を形成させ、さらにその上に導電性に優れた銀層を形成してなる本発明の電池容器用めっき鋼板は、電池容器に成形加工した場合、電池容器内面側表面の硬質のボロン含有合金層に微小クラックが生成しても、クラックが鋼板表面まで達することがないので鋼板表面がアルカリ性の電解液に侵されることがなく、アルカリ電池の正極合剤との密着性が高まるとともに、銀層を形成させることによる導電性の向上と相俟って、長期保存後の放電特性に優れた高性能の電池容器用材料として好適に適用することができる。また最表面に形成されている銀酸化物により、アルカリ電解液との電気化学的反応によって発生する水素ガスが水に変換されるので、電池の内圧が高まることがなく、耐漏液性を高めることができる。さらに、従来の容器内面に黒鉛塗料を塗布した容器よりも優れた電池特性を示すので、黒鉛塗料を塗布し乾燥させる工程を省略することが可能となり、低コストで高性能電池を製造することができる。
Claims (6)
- 鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケル−ボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板。
- 鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板。
- 鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板。
- 鋼板の電池容器内面となる側の鋼板上に下から順に、鉄−ニッケル合金層、鉄−ニッケル−ボロン合金層、ニッケル−ボロン合金層、銀層が形成されてなることを特徴とする電池容器用めっき鋼板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電池容器用めっき鋼板を有底の筒型形状に成形加工してなる電池容器。
- 請求項5に記載の電池容器を用いてなる電池。
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